説明

バイオメディカルデバイス

(a)1種以上のエステル化アミノアルコールモノマー、及び、(b)1種以上のバイオメディカルデバイス形成性モノマーを含むモノマー混合物の重合生成物から形成されるバイオメディカルデバイスがここに提供される。上記のモノマーは一般式XNR(式中、Xは重合可能なエチレン系不飽和有機エステル含有基であり、Rは水素であるか、又は、ヒドロキシル基で場合により置換されていてよいC〜C30非重合性ヒドロカルビル基であり、Rはヒドロキシル基を含有する非重合性基である)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は一般にバイオメディカルデバイスに関し、特に、コンタクトレンズ又は眼内レンズなどの眼の上又は中に直接配置することが意図された眼科用レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
コンタクトレンズなどのバイオメディカルデバイスの分野において、適切な特性を有する材料を作り出すためには様々な要素を考慮しなければならない。たとえば、酸素透過性、湿潤性、材料強度及び安定性などの様々な物理的及び化学的特性は、まさに、使用可能なコンタクトレンズを提供するために注意深くバランスさせなければならない幾つかの要素である。角膜は大気との接触から排他的に酸素供給を受けるので、良好な酸素透過性はどのコンタクトレンズ材料にとっても重要な特性である。もしレンズが十分な湿潤可能性を有しなければ、それが潤滑されず、それゆえ目に快適に装着できない点で湿潤性も重要である。したがって、最適なコンタクトレンズは少なくとも優れた酸素透過性及び優れた涙液湿潤性の両方を有する。
【0003】
たとえば、シリコーン材料から作られたコンタクトレンズは長年にわたって検討されてきた。このような材料は、一般に、2つの主なクラス、すなわち、ヒドロゲル及び非ヒドロゲルにさらに分類されうる。ヒドロゲルは水を吸収しそして平衡状態で保持でき、一方、非ヒドロゲルは評価可能な量の水を吸収しない。これらの水含有量に関係なく、ヒドロゲル及び非ヒドロゲルシリコーンコンタクトレンズは、両方とも、比較的に疎水性で、非湿潤性の表面を有する傾向がある。
【0004】
コンタクトレンズ用ポリマーにフッ素含有基を導入することにより、酸素透過性は有意に増大されうる。たとえば、米国特許第4,996,275号明細書はオルガノシロキサン成分と組み合わせて、フッ素化化合物であるビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)イタコネートを含むコモノマーの混合物を使用することを開示している。特定のポリシロキサン材料をフッ素化すると、このような材料から作られたコンタクトレンズ上での付着物の蓄積が低減されることが示された。たとえば、米国特許第4,440,918号明細書、同第4,954,587号明細書、同第4,990,582号明細書、同第5,010,141号明細書及び同第5,079,319号明細書を参照されたい。しかしながら、フッ素化ポリマーは下記の1つ以上の欠点に悩まされることがある:合成経路が困難及び/又は高価であること、加工性が低いこと、屈折率が低いこと、湿潤性が低いこと、光学透明性が低いこと、他のモノマー/試薬との混和性が低いこと、及び毒性。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、体との長時間の接触の間に適切な物理的及び化学的特性、たとえば、酸素透過性及び湿潤性を示し、また、生体適合性でもある、改良されたコンタクトレンズなどのバイオメディカルデバイスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明の1つの実施形態によると、バイオメディカルデバイスは(a)1種以上の、一般式I
【0007】
【化1】

【0008】
(上式中、X、R及びRは本明細書中に規定されるとおりである)のエステル化アミノアルコールモノマー、及び、(b)1種以上のバイオメディカルデバイス形成性コモノマーを含むモノマー混合物の重合生成物から形成される。
【0009】
本発明の第二の実施形態によると、バイオメディカルデバイスは(a)1種以上の、一般式I
【0010】
【化2】

【0011】
(上式中、X、R及びRは本明細書中に規定されるとおりである)のエステル化アミノアルコールモノマー、及び、(b)1種以上のシロキシ含有モノマーを含むモノマー混合物の重合生成物から形成される。
【0012】
本発明の第三の実施形態によると、 (a)1種以上の、一般式I
【0013】
【化3】

【0014】
(上式中、X、R及びRは本明細書中に規定されるとおりである)のエステル化アミノアルコールモノマー、及び、(b)1種以上のシロキシ含有モノマーを含むモノマー混合物の重合生成物を含むコンタクトレンズが提供される。
【0015】
本発明のバイオメディカルデバイス、たとえば、コンタクトレンズのポリマー形成における使用のためのエステル化アミノアルコールモノマーは、コンタクトレンズに抗細菌性を向上させ、リゾチームなどのカチオン性タンパク質の蓄積及びカチオン性抗細菌剤の吸着を低減する能力を有する。たとえば、生理学的pHにおいて、得られるアミノアルコール含有ポリマーの正電荷は、電気的反発のために、リゾチームなどの正に帯電したタンパク質のコンタクトレンズへの吸着を妨害し、また、低分子量及び高分子量カチオン性殺生物剤の吸着を妨害することができる。モノマー単位のアルコールの性質はレンズの湿潤性を増大させることができる。このように、エステル化アミノアルコール基を取り込んだ、得られたレンズ用ポリマーは、向上した表面湿潤性、向上したシリコーンヒドロゲルへの吸水性、ならびに、タンパク質付着物(通常、リゾチームである)の蓄積を妨害し、正に帯電した殺生物剤(目の刺激又は目の汚染を引き起こしうる)の吸着を妨害することを含む、改良された特性を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は生体組織又は体液と直接的に接触することが意図されたバイオメディカルデバイスに関する。本明細書中に使用される際に、「メディカルデバイス」とは、哺乳類の組織又は流体の中又はその上で、そして好ましくはヒトの組織又は流体の中又はその上で使用されるように設計されたあらゆる物品である。バイオメディカルデバイスの代表的な例として、限定するわけではないが、人工尿管、横隔膜、子宮内デバイス、心臓弁、カテーテル、義歯ライナー、プロテーゼデバイス、レンズが目の中又はその上に直接的に配置されることが意図された眼科レンズアプリケーション、たとえば、眼内デバイス及びコンタクトレンズが挙げられる。好ましいバイオメディカルデバイスは眼科デバイス、特にコンタクトレンズ、そして最も特にはシリコーンヒドロゲルで作られたコンタクトレンズである。
【0017】
本明細書中で使用されるときに、用語「眼科デバイス」は目の中に又は目の上に存在するデバイスを指す。これらのデバイスは光学補正、傷の手当、ドラッグデリバリー、診断機能又は美容向上もしくは効果、あるいは、これらの特性の組み合わせを提供することができる。有用な眼科デバイスとしては、限定するわけではないが、ソフトコンタクトレンズ、たとえば、ソフトヒドロゲルレンズ、ソフト非ヒドロゲルレンズ、及び、ハードコンタクトレンズ、たとえば、ハードガス透過性レンズ材料などの眼科レンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼科インサート、光学インサートなどが挙げられる。当業者に理解されるとおり、レンズは破壊することなく折り返すことができるならば、「ソフト」であると考えられる。
【0018】
本発明のバイオメディカルデバイスは有利には(a)1種以上の、窒素原子に結合した1つの重合性エステル含有部分を有する、エステル化アミノアルコール、及び、(b)1種以上のバイオメディカルデバイス形成性コモノマーを含むモノマー混合物の重合生成物から形成される。成分(a)のエステル化アミノアルコールモノマーは一般式I
【0019】
【化4】

【0020】
(上式中、Xは重合可能なエチレン系不飽和有機エステル含有基であり、Rは水素であるか、又は、ヒドロキシル基で場合により置換されていてよいC〜C30非重合性ヒドロカルビル基であり、たとえば、置換又は未置換の直鎖又は枝分かれC〜C30アルキル基、置換又は未置換C〜C30シクロアルキル基、置換又は未置換C〜C30シクロアルキルアルキル基、置換又は未置換C〜C30シクロアルケニル基、置換又は未置換C〜C30アリール基、又は、置換又は未置換C〜C30アリールアルキル基、グリセロール基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基及びアルキルスルホニル基であり、Rはヒドロキシル基によって置換されたC〜C30非重合性ヒドロカルビル基である)の構造によって表される。「非重合性」とは、構造又は置換基が所望されずにバイオメディカルデバイス形成性コモノマーと反応することがなく、また、モノマーの重合(たとえば、架橋)を所望せずに妨害することがないことを意味する。このようなエステル化アミノアルコールモノマーの非重合性置換基は、通常、非エチレン系不飽和基である。
【0021】
「重合性エチレン系不飽和有機エステル含有基」の代表的な例としては、たとえば、(メタ)アクリレートエステル含有基、(メタ)アクリルアミドエステル含有基、ビニルカーボネートエステル含有基、ビニルカルバメートエステル含有基、スチレンエステル含有基、イタコネートエステル含有基、ビニルエステル含有基、ビニルオキシエステル含有基、フマレートエステル含有基、マレイミドエステル含有基、ビニルスルホニルエステル含有基などが挙げられる。1つの実施形態において、重合性エチレン系不飽和有機エステル含有基は一般式
【0022】
【化5】

【0023】
(上式中、Rは水素又はメチルであり、Rは独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又は−CO−Y−R基であり、ここで、Yは−O−、−S−又は−NH−であり、Rは1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは随意に存在しうる結合基(たとえば、1〜約12個の炭素原子を有する二価のアルケニル基)であり、Bは−O−又は−NH−であり、Zは−CO−、−OCO−又は−COO−であり、Arは6〜約30個の炭素原子を有する芳香族基であり、wは0〜6であり、aは0又は1であり、bは0又は1であり、そしてcは0又は1である)によって表されることができる。本明細書中に使用されるときに、用語「(メタ)」は随意に存在しうるメチル置換基を表す。このため、用語「(メタ)アクリレート」はメタクリレート又はアクリレートを表し、「(メタ)アクリルアミド」はメタクリルアミド又はアクリルアミドを表す。
【0024】
ヒドロキシル含有非重合性基の代表的な例としては、たとえば、ヒドロキシル置換C〜C30非重合性ヒドロカルビル基、たとえば、ヒドロキシル置換C〜C30アルキル基、好ましくはヒドロキシル置換C〜C16アルキル基であり、そして最も好ましくはヒドロキシル置換C〜Cアルキル基、たとえば、−CH−CH−OH又は−CH−CH(OH)−CH−OH、又は、ヒドロキシル置換アルコキシアルキル基、又は、ヒドロキシ置換C〜C30芳香族基であって場合により1個以上のヘテロ原子を含んでよい基、又は、ヒドロキシル置換C〜C25シクロアルキル基であって場合により1個以上のヘテロ原子を含んでよい基が挙げられる。1つの実施形態において、ヒドロキシル置換C〜C30芳香族基は1個以上の環又は多環含有基であってその基において置換された1個のヒドロキシル基を有する基を含むことができる、
【0025】
エステル化アミノアルコールモノマーの1つのクラスは一般式IIの構造によって表されることができる。
【0026】
【化6】

【0027】
上式中、Xは重合性エチレン系不飽和有機エステル含有基であり、Rは水素、C〜C30非重合性炭化水素基又は一般式−R−OHのアルコールであり、ここで、Rは直鎖又は枝分かれC〜C30アルキル基、好ましくはC〜C16アルキル基であり、そして最も好ましくはC〜Cアルキル基であり、たとえば、−CH−CH−OH又は−CH−CH(OH)−CH−OH、又は、置換又は未置換C〜C30シクロアルキル基、置換又は未置換C〜C30シクロアルキルアルキル基、置換又は未置換C〜C30シクロアルケニル基、置換又は未置換C〜C30アリール基、又は、置換又は未置換C〜C30アリールアルキル基であり、Rは、直鎖又は枝分かれC〜C30アルキル、好ましくはC〜C16アルキル、そして最も好ましくはC〜Cアルキル基、置換又は未置換C〜C30シクロアルキル基、置換又は未置換C〜C30シクロアルキルアルキル基、置換又は未置換C〜C30シクロアルケニル基、置換又は未置換C〜C30アリール基、又は、置換又は未置換C〜C30アリールアルキル基である。好ましくは、Rは−R−OHのアルコールであり、ここで、Rは直鎖又は枝分かれC〜Cアルキル基であり、Rは、直鎖又は枝分かれC〜Cアルキル基である。
【0028】
ここでの使用のためのアルキル基の代表的な例として、たとえば、分子の残りの部分に1〜約30個の炭素原子及び水素原子を含む直鎖又は枝分かれ炭化水素鎖が挙げられ、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(又はイソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチルなどが挙げられる。
【0029】
ここでの使用のためのエーテル又はポリエーテル含有基の代表的な例としては、たとえば、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、シクロアルキルアルキルエーテル、シクロアルケニルエーテル、アリールエーテル、アリールアルキルエーテルが挙げられ、ここで、上記のアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール及びアリールアルキル基は本明細書中に規定されるとおりであり、たとえば、アルキレンオキシド、ポリ(アルキレンオキシド)、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)及びそれらの混合物又はコポリマー、一般式−ROR(式中、Rは結合、本明細書中で規定されるとおりのアルキル、シクロアルキル又はアリール基であり、Rは本明細書中に規定されるとおりのアルキル、シクロアルキル又はアリール基である)、たとえば、−CHCHOC及び−CHCHOCなどが挙げられる。
【0030】
ここでの使用のためのシクロアルキル基の代表的な例として、たとえば、約3〜約30個の炭素原子の置換もしくは未置換の非芳香族単環系もしくは多環系、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ペルヒドロナフチル、アダマンチル及びノルボルニル基、橋架け環式基又はスピロ二環式基、たとえば、スピロ−(4,4)−ノン−2−イルなどであって、場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むものが挙げられる。
【0031】
ここでの使用のためのシクロアルケニル基の代表的な例としては、たとえば、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、約3〜約30個の炭素原子を含む、置換もしくは未置換の環含有基、たとえば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルなどであって、上記の環が場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むものが挙げられる。
【0032】
ここでの使用のためのアリール基の代表的な例としては、たとえば、約5〜約30個の炭素原子を含む、置換もしくは未置換の単環芳香族もしくは多環芳香族基、たとえば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニルなどであって、場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むものが挙げられる。
【0033】
ここでの使用のためのアリールアルキル基の代表的な例としては、たとえば、本明細書中で規定されるとおりのアルキル基に直接結合された、上記のとおりの置換もしくは未置換のアリール基、たとえば、−CH、Cなどが挙げられ、上記アリール基は場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むことができる。
【0034】
ここで使用される際のアルキルカルボニルの代表的な例としては、式−C(=O)R(式中、Rは本明細書中で規定されるとおりのアルキル基である)の基などが挙げられる。
【0035】
ここで使用される際のアリールカルボニルの代表的な例としては、式−C(=O)R(式中、Rは本明細書中で規定されるとおりのアリール基である)の基などが挙げられる。
【0036】
ここで使用される際のアルキルスルホニルの代表的な例としては、式−S(O)R(式中、Rは本明細書中で規定されるとおりのアルキル基である)の基などが挙げられる。
【0037】
ここでの使用のためのエステル基の代表的な例としては、たとえば、カルボン酸含有エステルなどが挙げられる。
【0038】
上記のエステル化アミノアルコールモノマーは当該技術分野でよく知られたエステル化技術によって調製することができ、たとえば、米国特許第7,078,560号明細書(参照によりその内容を本明細書中に取り込む)を参照されたい。たとえば、エステル化アミノアルコールモノマーはアミノアルコール含有モノマー、たとえば、式R20−OH(式中、R20はアミン含有部分である)を重合性エチレン系不飽和有機含有モノマーによってエステル化することによって調製することができる。
【0039】
適切なアミノアルコールとしては、少なくとも1つの第一級アルコール官能基を有するすべての第三級アミン、たとえば、モノアルキルジアルカノールアミン、ジアルキルモノアルカノールアミン又はトリアルカノールアミンが挙げられ、ここで、アルキルはC〜C22の炭素原子を有する置換又は未置換の直鎖又は枝分かれアルキル基であり、アルカノールはエタノール又はプロパノールであってよい。適切なモノアルキルジアルカノールアミンとしては、限定するわけではないが、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミンなど及びそれらの混合物が挙げられる。適切なジアルキルモノアルカノールアミンとしては、限定するわけではないが、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノプロパノール、ジエチルアミノエタノール、ジエチルアミノプロパノール、3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチル−1−プロパノールなど及びそれらの混合物が挙げられる。適切なトリアルカノールアミンとしては、限定するわけではないが、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
適切な重合性エチレン系不飽和有機含有モノマーとしては、限定するわけではないが、C1〜C4アルキル(メタ)アクリレート、たとえば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート又はn−ブチルアクリレートなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0041】
エステル化は適切な温度、たとえば、周囲温度で有利に行うことができる。通常、反応は実質的に大気圧で行われるが、より揮発性の高い反応体では大気圧よりも高い圧力を用いることができる。反応は塩基性触媒、ナトリウムメトキシドなどの適切な触媒下に行うことができる。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外分光法、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ラマン分光法又はUV吸収などの標準的な技術を用いて反応の進行をモニターすることができる。適切な反応条件ならびに反応体の量は当業者によって容易に決定されうる。
【0042】
当業者が容易に理解するであろうとおり、上記の反応はジ又はトリ−重合性エチレン系不飽和有機含有アミン基などの副生成物を含む反応混合物を生成することができる。ジ又はトリ重合性エチレン系不飽和有機含有アミン基副生成物は得られる重合生成物中に架橋を生じ、一方、式Iのモノ官能化エステル化アミノアルコールモノマーは得られるポリマー鎖にペンダントしたモノ官能化エステル化アミノアルコールモノマーを含むポリマーを生じるであろう。したがって、式Iのエステル化アミノアルコールモノマーを提供するようにクロマトグラフィーなどの当該技術分野でよく知られた技術によって、得られた反応混合物からジ−又はトリ−重合性エチレン系不飽和有機含有アミン基副生成物を除去することが必要な場合がある。
【0043】
式Iのエステル化アミノアルコールモノマーに加えて、モノマー混合物は少なくとも1種のメディカルデバイス形成性コモノマーをさらに含むであろう。1つの実施形態において、バイオメディカルデバイス形成性コモノマーはコンタクトレンズ形成性モノマーなどの眼科デバイス形成性コモノマーである。第二の実施形態において、バイオメディカルデバイス形成性モノマーはシリコーン含有モノマーである。シリコーンヒドロゲルの形成における使用のための応用可能なシリコーン含有モノマー単位は当該技術分野でよく知られており、多数の例が、たとえば、米国特許第4,136,250号明細書、同第4,153,641号明細書、同第4,740,533号明細書、同第5,034,461号明細書、同第5,070,215号明細書、同第5,260,000号明細書、同第5,310,779号明細書及び同第5,358,995号明細書に提供されている。
【0044】
応用可能なシリコーン含有モノマー単位の代表的な例としては、嵩高なポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。嵩高なポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーの例は下記式IIIの構造で表される。
【0045】
【化7】

【0046】
上式中、Xは−O−又は−NR−であり、各R20は独立に水素又はメチルであり、各R21は独立に低級アルキル基、フェニル基又は下記式の基
【0047】
【化8】

【0048】
であり、ここで、R21’は独立に低級アルキル又はフェニル基であり、hは1〜10である。
【0049】
嵩高なモノマーの例は3−メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン又はしばしばTRISと呼ばれるトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート及びTRIS−VCと呼ばれるトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルビニルカルバメートである。
【0050】
このような嵩高なモノマーはシリコーンマクロモノマーと共重合可能であることができ、それは分子の2つ以上の末端において不飽和基によってキャッピングされたポリ(オルガノシロキサン)である。米国特許第4,153,641号明細書は、たとえば、アクリルオキシ基又はメタクリルオキシ基などの様々な不飽和基を開示している。
【0051】
別のクラスの代表的なシリコーン含有モノマーとしては、限定するわけではないが、シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、たとえば、1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチルジシロキサン、3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t−ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネートなどが挙げられる。
【0052】
別のクラスのシリコーン含有モノマーとしては、ポリウレタン−ポリシロキサンマクロモノマー(時折、プレポリマーとも呼ぶ)が挙げられ、それは伝統的なウレタンエラストマーと同様のハード−ソフト−ハードブロックを有することができる。シリコーンウレタンの例はLai, Yu-Chin, “The Role of Bulky Polysiloxanylalkyl Methacrylates in Polyurethane-Polysiloxane Hydrogels,”Journal of Applied Polymer Science, Vol. 60, 1193-1199(1996)”を含む様々な文献中に開示されている。国際公開WO96/31792号明細書もこのようなモノマーの例を開示しており、その内容の全体を参照により本明細書中に取り込む。シリコーンウレタンモノマーのさらなる例は式IV及びVによって表される。
E(G)E’ (IV) 又は
E(A)E’ (V)
【0053】
Dはアルキル二価基、アルキルシクロアルキル二価基、シクロアルキル二価基、アリール二価基又はアルキルアリール二価基であり、6〜約30個の炭素原子を有し、
Gはアルキル二価基、シクロアルキル二価基、アルキルシクロアルキル二価基、アリール二価基又はアルキルアリール二価基であり、1〜約40個の炭素原子を有し、そしてそれは、エーテルもしくはポリエーテル、チオ又はアミン結合を主鎖に含むことができ、
*はウレタン又はウレイド結合基であり、
aは少なくとも1であり、
Aは式VIの二価ポリマー基であり、
【0054】
【化9】

【0055】
各Rは独立に1〜約10個の炭素原子を有するアルキル又はフルオロ置換アルキルであり、それは炭素原子の間にエーテル結合を含むことができ、
m’は少なくとも1であり、pは約400〜約10,000の部分分子量を提供する数であり、
各E及びE’は独立に式VIIにより表される重合性不飽和有機基であり、
【0056】
【化10】

【0057】
上式中、R23は水素又はメチルであり、
24は、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、又は、−CO−Y−R26基であり、ここで、Yは−O−、−S−又は−NH−であり、
25は1〜約10個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
26は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
Xは−CO−又は−OCO−であり、
Zは−O−又は−NH−であり、
Arは約6〜約30個の炭素原子を有する芳香族基であり、
wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0058】
好ましいシリコーン含有ウレタンモノマーは下記式VIIIにより表される。
【化11】

【0059】
上式中、mは少なくとも1であり、好ましくは3又は4であり、aは少なくとも1であり、好ましくは1であり、pは約400〜約10,000の部分分子量を提供する数であり、好ましくは少なくとも約30であり、R27はイソシアネート基を取り除いた後のジイソシアネートの二価基であり、たとえば、イソホロンジイソシアネートの二価基であり、各E”は下記の基である。
【0060】
【化12】

【0061】
別のクラスの代表的なシリコーン含有モノマーとしては、フッ素化モノマーが挙げられる。このようなモノマーはフルオロシリコーンヒドロゲルの生成に使用されており、結果として、それから作られたコンタクトレンズ上の付着物の堆積を抑制し、そのことは米国特許第4,954,587号明細書、同第5,010,141号明細書及び同第5,079,319号明細書に記載されるとおりである。特定のフッ素化側基、すなわち、−(CF)−Hを有するシリコーン含有モノマーの使用は、親水性モノマー単位とシリコーン含有モノマー単位との相容性を改良することが発見されており、たとえば、米国特許第5,321,108号明細書及び同第5,387,662号明細書を参照されたい。
【0062】
上記のシリコーン材料は単なる例示であり、そして本発明に係るバイオメディカルデバイスを形成するのに使用され、様々な刊行物中に開示され、コンタクトレンズ及び他のメディカルデバイスにおける使用のために継続的に開発されている他の材料も、また、使用できる。たとえば、ここでの使用のための眼科用レンズはカチオン性コンタクトレンズなどのカチオン性レンズであることができる。
【0063】
本発明のバイオメディカルデバイス、たとえば、コンタクトレンズ又は眼内レンズは、上記の混合物を重合して、次いで、たとえば、旋盤加工、射出成形、圧縮成形、切断などによって適当な形状に加工されうる生成物を生成することで調製することができる。又は、反応混合物はモールド中に配置され、次いで、適当な製品へと硬化されることができる。
【0064】
たとえば、コンタクトレンズを製造するときに、初期のモノマー混合物はチューブ中で重合してロッド形状の製品を提供し、その後、それをボタンに切断する。その後、ボタンを旋盤加工してコンタクトレンズとすることができる。又は、コンタクトレンズは、たとえば、スピンキャスティング及び静的キャスティング法によって、モノマー混合物からモールディングに直接キャスティングされることができる。スピンキャスティング法は米国特許第3,408,429号明細書及び同第3,660,545号明細書に開示されており、静的キャスティング法は米国特許第4,113,224号明細書、同第4,197,266号明細書及び同第5,271,875号明細書に開示されている。スピンキャスティング法は、モノマー混合物をモールドに装填し、そしてモノマー混合物をUV光などの放射線に暴露しながら制御した様式でモールドを回転させることを含む。静的キャスティング法は、1つのモールドセクションは前部レンズ表面を形成するような形状であり、他方のモールドセクションは後部レンズ表面を形成するような形状である、2つのモールドセクションの間にモノマー混合物を装填し、モールドアセンブリー中にモノマー混合物を保持しながらモノマー混合物を、たとえば、モノマー混合物のラジカル重合によって硬化させてレンズを形成することを含む。レンズ材料を硬化させるためのフリーラジカル重合技術の例としては、熱照射、赤外線、電子ビーム線、γ線照射、紫外線(UV)などが挙げられ、このような技術の組み合わせも使用することができる。米国特許第5,271,875号明細書は前部モールド及び後部モールドによって画定される、モールドキャビティー中で最終のレンズの成形を行う静的キャスト成形法を記載している。さらなる方法として、米国特許第4,555,732号明細書はモールド内でのスピンキャスティングによって過剰のモノマー混合物を硬化させ、前部レンズ表面及び比較的に厚い厚さを有する成形品を形成し、硬化したスピンキャスト製品の後部レンズ表面を、次いで、旋盤加工して、所望の厚さ及び後部レンズ表面を有するコンタクトレンズを提供する方法を記載している。
【0065】
重合は熱及び/又は紫外線光、可視光又は高エネルギー線などの放射線に混合物を暴露することにより促進されうる。重合開始剤は重合工程を促進するために混合物中に含まれることができる。代表的なフリーラジカル熱重合開始剤は有機過酸化物、たとえば、アセタールペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、第三級ブチルペルオキシピバレート、ペルオキシジカーボネートなどである。代表的なUV開始剤は当該分野に知られたもの、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ダロキュア(Darocure)1173, 1164, 2273, 1116, 2959, 3331 (EM Industries)及びイルガキュア(Irgacure)651及び184(Ciba-Geigy)などである。一般に、開始剤は合計混合物の約0.01〜1質量%の濃度でモノマー混合物中に使用されうる。
【0066】
混合物の重合によりポリマーを生じ、そのポリマーが水和されるときにヒドロゲルを形成する。一般に、モノマー混合物は混合物の合計質量の約0.1〜99質量%の範囲の量でアミノアルコールモノマーを含むことができる。場合により、親水性コモノマーは、アミノアルコールモノマー及びメディカルデバイス形成性コモノマーを含む初期のモノマー混合物中に含まれてもよく、たとえば、もし、より親水性のコポリマーを得ることを望むならば、上記親水性コモノマーが含まれてよい。代表的な親水性コモノマーとしては、限定するわけではないが、不飽和カルボン酸、たとえば、メタクリル酸及びアクリル酸、(メタ)アクリル置換アルコール、たとえば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び2−ヒドロキシエチルアクリレート、ビニルラクタム、たとえば、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、たとえば、メタクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミドなどならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0067】
ヒドロゲルレンズを製造するときに、モノマー混合物は少なくとも1種の希釈剤をさらに含んでよく、その希釈剤は重合生成物が水和されてヒドロゲルを形成するときに最終的に水で置換される。一般に、ヒドロゲルの含水率は約5質量%より大きく、より一般的には約10質量%〜約80質量%である。使用される希釈剤の量は約50質量%未満とすべきであり、ほとんどの場合には希釈剤含有率は約30質量%未満であろう。しかしながら、特定のポリマー系では、実際の制限は希釈剤中の様々なモノマーの溶解度によって決まるであろう。光学的に透明なコポリマーを製造するためには、視覚的な不透明性を生じさせる相分離がコモノマーと希釈剤の間又は希釈剤と最終コポリマーとの間に起こらないことが重要である。
【0068】
さらに、使用されうる希釈剤の最大量は希釈剤が最終のポリマーに生じさせる膨潤の量によって決まるであろう。過度の膨潤は水和時に希釈剤を水で置き換えるときにコポリマーを崩壊させる又は崩壊させうる。適切な希釈剤としては、限定するわけではないが、エチレングリコール、グリセリン、液体ポリ(エチレングリコール)、アルコール、アルコール/水混合物、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、低分子量直鎖ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、乳酸のグリコールエステル、ホルムアミド、ケトン、ジアルキルスルホキシド、ブチルカルビトールなど及びそれらの混合物が挙げられる。必要ならば、周囲圧力もしくはその付近又は真空下での蒸発によって行うことができる縁仕上げ操作の前に、レンズから残存希釈剤を除去することが望ましいことがある。希釈剤を蒸発させるのに必要な時間を短縮するために高温を用いることができる。溶剤除去工程の時間、温度及び圧力条件は、希釈剤及び特定のモノマー成分の揮発性などの因子によって様々であることができ、当業者によって容易に決定することができる。所望ならば、ヒドロゲルレンズを製造するために使用されるモノマー混合物はヒドロゲル材料を製造するための従来技術で知られた架橋剤及び湿潤剤をさらに含むことができる。
【0069】
ここで得られるコンタクトレンズは随意の機械加工操作を受けることができる。たとえば、随意の機械加工工程としては、レンズ縁及び/又は表面のバフ研磨又はポリッシングが挙げられる。一般に、このような機械加工処理は製品がモールド部品から解放される前又は後に行われてよく、たとえば、真空ピンセットを用いてモールドからレンズを持ち上げることによってレンズをモールドから乾燥開放し、その後、レンズを機械ピンセット手段によって第二の真空ピンセットに移し、そして回転表面に置くことで表面又は縁をなめらかにする。その後、レンズをひっくり返してレンズの反対面を機械加工する。
【0070】
その後、レンズを緩衝塩類溶液を含む個々のレンズパッケージに移すことができる。塩類溶液はレンズの輸送前又は後のいずれでもパッケージに添加することができる。適切なパッケージングデザイン及び材料は当該技術で知られている。プラスチックパッケージはフィルムによって容易に開放可能にシールされる。適切なシーリングフィルムは当該技術分野で知られており、ホイル、ポリマーフィルム及びそれらの混合物が挙げられる。レンズを含むシール済みパッケージはその後、無菌化されて無菌製品とする。適切な無菌化手段及び条件は当該技術で知られており、たとえば、オートクレービングが挙げられる。
【0071】
当業者が容易に理解するとおり、上記のモールディング及びパッケージングプロセスに他の工程が含まれてよい。このような他の工程は、たとえば、形成されたレンズのコーティング、(たとえば、モールド輸送による)形成の間のレンズの表面処理、レンズの検査、欠陥レンズの廃棄、モールドハーフのクリーニング、モールドハーフの再使用など及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【実施例】
【0072】
下記の実施例は当業者が本発明を実施することができるように提供されるものであって、本発明の単なる例示である。実施例は特許請求の範囲に記載されるとおりの発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【0073】
例1
N−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンの調製
トリエタノールアミンをメタクリル酸メチル及びナトリウムメトキシドと周囲温度において、未反応のモノ−、ジ−及びトリメタクリルオキシ置換生成物がガスクロマトグラフィーによって決定して所望の分布に到達するまで反応させる。得られた溶液を減圧下でストリッピングして過剰の試薬を除去する。次に、N−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンをクロマトグラフィーによって溶液から分離する。
【0074】
例2
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンからのフィルムの調製
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミン及び米国特許第6,762,264号明細書において調製したとおりのM25を所望の比率で、少量のDarocur-1173開始剤とともにヘキサノールなどの溶剤中に溶解させる。UV光下で硬化することにより、混合物をシラン処理したガラス板の間でキャスティングする。
【0075】
例3
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンからのフィルムの調製
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミン及びメチルメタクリレートを所望の比率で、少量のDarocur-1173開始剤とともに溶剤中に溶解させる。UV光下で硬化することにより、混合物をシラン処理したガラス板の間でキャスティングする。
【0076】
例4
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンからのフィルムの調製
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミン、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)及びN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)を所望の比率で、少量のDarocur-1173開始剤とともに溶剤中に溶解させる。UV光下で硬化することにより、混合物をシラン処理したガラス板の間でキャスティングする。
【0077】
例5
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンからのフィルムの調製
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミン、TRIS、DMA及びN−ビニルピロリドン(NVP)を所望の比率で、少量のDarocur-1173開始剤とともに溶剤中に溶解させる。UV光下で硬化することにより、混合物をシラン処理したガラス板の間でキャスティングする。
【0078】
例6
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンからのフィルムの調製
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミン、DMA及びNVPを所望の比率で、少量のDarocur-1173開始剤とともに溶剤中に溶解させる。UV光下で硬化することにより、混合物をシラン処理したガラス板の間でキャスティングする。
【0079】
例7
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンからのフィルムの調製
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルビニルカルバメート(TRIS−VC)及びDMAを所望の比率で、少量のDarocur-1173開始剤とともに溶剤中に溶解させる。UV光下で硬化することにより、混合物をシラン処理したガラス板の間でキャスティングする。
【0080】
例8
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンからのフィルムの調製
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミン、TRIS−VC、DMA及びNVPを所望の比率で、少量のDarocur-1173開始剤とともに溶剤中に溶解させる。UV光下で硬化することにより、混合物をシラン処理したガラス板の間でキャスティングする。
【0081】
例9
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンからのフィルムの調製
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミン、TRIS−ダイマー及びDMAを所望の比率で、少量のDarocur-1173開始剤とともに溶剤中に溶解させる。UV光下で硬化することにより、混合物をシラン処理したガラス板の間でキャスティングする。
【0082】
例10
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミンからのフィルムの調製
例1のN−(2−メタクリルオキシエチル)ジエタノールアミン、TRIS−ダイマー、DMA及びNVPを所望の比率で、少量のDarocur-1173開始剤とともに溶剤中に溶解させる。UV光下で硬化することにより、混合物をシラン処理したガラス板の間でキャスティングする。
【0083】
例11
コンタクトレンズの調製
例4のモノマー混合物を、成形表面が前部コンタクトレンズ表面を提供する形状である清浄なポリプロピレン前部モールドハーフ上に注入し、成形表面が後部コンタクトレンズ表面を提供する形状である相補的なポリプロピレン後部モールドハーフでカバーする。モールドハーフどうしを圧縮し、混合物をUV照射に暴露することによって硬化させる。上部モールドハーフを取り外し、下部モールドハーフからレンズを取り外す。レンズから残留物を抽出した後に、レンズを緩衝塩類溶液中で水和させる。
【0084】
本明細書中に開示された実施形態に対して様々な変更がなされてよいことが理解されるであろう。それゆえ、上記の記載は限定するのではなく、好ましい実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。たとえば、本発明を操作するのに最良の形態として上記しそして実施した機能は単なる例示の目的である。本発明の精神と範囲を逸脱することなく、他の態様及び方法が当業者によって実施されうる。さらに、当業者はここに添付された特徴及び利点の範囲及び精神の範囲内で他の変更を考えるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1種以上の、一般式I
【化1】

(上式中、Xは重合可能なエチレン系不飽和有機エステル含有基であり、Rは水素であるか、又は、ヒドロキシル基で場合により置換されていてよいC〜C30非重合性ヒドロカルビル基であり、Rはヒドロキシル基を含有する非重合性基である)のエステル化アミノアルコールモノマー、及び、(b)1種以上のバイオメディカルデバイス形成性コモノマーを含むモノマー混合物の重合生成物から形成される、バイオメディカルデバイス。
【請求項2】
Xはビニルエステル含有基である、請求項1記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項3】
Xは(メタ)アクリレートエステル含有基である、請求項1記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項4】
はヒドロキシル置換されたC〜Cアルキル基である、請求項1記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項5】
は一般式ROHのアルコールであり、Rは直鎖又は枝分かれC〜C30アルキル基であり、Rはヒドロキシル基置換されたC〜Cアルキル基である、請求項1記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項6】
前記エステル化アミノアルコールモノマーは一般式II
【化2】

(上式中、X及びRは上記の意味であり、Rは直鎖又は枝分かれC〜Cアルキル基である)の構造によって表され、そして前記バイオメディカルデバイス形成性コモノマーはシリコーン含有モノマーである、請求項1記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項7】
は一般式−ROHのアルコールであり、ここで、Rは直鎖又は枝分かれC〜Cアルキル基であり、RはC〜Cアルキル基である、請求項6記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項8】
前記バイオメディカルデバイス形成性コモノマーはシリコーン含有モノマーである、請求項1記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項9】
前記モノマー混合物は親水性モノマーをさらに含む、請求項1記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項10】
前記親水性モノマーはアクリル含有モノマーを含む、請求項9記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項11】
前記親水性モノマーはビニル含有モノマーを含む、請求項9記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項12】
前記親水性モノマーはN,N−ジメチルアクリルアミド及びN−ビニルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項9記載のメディカルデバイス。
【請求項13】
眼科レンズである、請求項1記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項14】
前記眼科レンズはコンタクトレンズである、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項15】
前記コンタクトレンズは硬質ガス透過性レンズである、請求項14記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項16】
ヒドロゲルである、請求項1記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項17】
眼科レンズである、請求項6記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項18】
前記眼科レンズはコンタクトレンズである、請求項17記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項19】
前記コンタクトレンズは硬質ガス透過性レンズである、請求項18記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項20】
ヒドロゲルである、請求項6記載のバイオメディカルデバイス。

【公表番号】特表2011−503661(P2011−503661A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534083(P2010−534083)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/080603
【国際公開番号】WO2009/064589
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】