説明

バイモーダルなNdBR

本発明は、高い比率(>95%)のcis−1,4単位および低い比率(<1%)の1,2−ビニル含量を有する高分子量のバイモーダルなネオジム触媒法ポリブタジエンに関し、ここでそのポリブタジエンが、線状ポリマー性の主フラクションと長鎖分岐ポリマー性のフラクションとを有し、ここでRGM相関における勾配が、ポリマー性の主フラクションでは>0.5、長鎖分岐ポリマー性のフラクションでは<0.3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い比率(>95%)のcis−1,4単位および低い比率(<1%)のビニル単位を有する、高分子量でバイモーダルなネオジム触媒法(neodymium−catalysed)ポリブタジエン、その製造方法、および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリブタジエンは、タイヤ産業において、ゴム混合物の重要な構成成分として使用され、これに関しては、最終的な性質における改良、たとえば転がり抵抗の抑制および摩耗の抑制が望まれている。さらなる使用分野がゴルフボールのコアまたは靴底にあるが、この場合においては、高い反発弾性が最大の関心事となる。
【0003】
高い比率でcis−1,4単位を有するポリブタジエンは、かなり昔から工業的に大規模に生産されており、タイヤおよびその他のゴム製品の生産、ならびにポリスチレンの衝撃改質に使用されている。
【0004】
高い比率のcis−1,4単位を製造するためには、希土類化合物をベースとする触媒が現在のところ、ほぼ独占的に使用されており、それらはたとえば、(特許文献1)および(特許文献2)に記載されている。
【0005】
高cisポリブタジエンの群の中でも、ネオジム触媒法ポリブタジエンが、転がり抵抗、摩耗および反発弾性に関しては特に有利な性質を有していることが、従来技術から公知である。
【0006】
たとえば(非特許文献1)に記載されているように、希土類のアリル錯体をベースとする構造的に規定されたシングルサイト触媒を使用してポリブタジエンが製造されるということは、当業者のよく知るところである。
【0007】
使用される触媒系は、ポリブタジエンの製造において重要な役割を果たす。
【0008】
工業的に使用されるネオジム触媒は、たとえば、複数の触媒成分から形成されるZiegler−Natta系である。触媒の形成には、ほとんど別の触媒サイトが形成されることが含まれ、このことは、ポリマー中に、少なくともバイモーダルなモル質量分布があることによって認識することができる。Ziegler−Natta触媒系においては、ネオジム源、クロリド源および有機アルミニウム化合物からほぼなっているよく知られた3種の触媒成分が、各種の方法である種の温度条件下で混合され、その触媒系が、エージングをさせるかまたはさせないで、重合のために準備される。
【0009】
従来技術では、ポリブタジエン製造のためのZiegler−Natta触媒系を作成する多くの方法が公表されている。
【0010】
(特許文献3)には、ブタジエン重合のための触媒を調製するための方法が記載されていて、それには、アルミニウムヒドロカルビルもしくは水素化アルミニウムヒドロカルビル、ネオデカン酸ネオジムもしくはナフテン酸ネオジムおよびハロゲン源を、炭化水素溶液(ヘキサン)中、−15℃〜−60℃の温度で混合し、その触媒系を少なくとも8時間かけてエージングしてから、重合に使用することが含まれている。エージングは、−20℃で実施するのが好ましい。
【0011】
ポリマー中の鎖末端の数が、エネルギー散逸の要因となる。遊離の鎖末端の数が多いほど、ポリマーによるエネルギー散逸が高くなる。しかしながら、ポリマーのエネルギー散逸が低くなるにつれて、たとえば、転がり抵抗が低下し、ポリマーの反発弾性が改良される。したがって、1分子あたり2個の鎖末端しか有していない線状ポリマーの最終的な性質は、同一のモル質量の分岐状ポリマーのそれらよりは、常に良好である。
【0012】
たとえば(非特許文献2)および(非特許文献3)に記載されているように、CoBRおよびNiBRもまた、従来技術から公知であるが、それらは平均して線状NdBRポリマーよりは分岐度が高い。
【0013】
線状NdBRの利点は特に、動的性質が改良され、エネルギー吸収がより低いことにあるが、それによって、なかんずく、タイヤ用途においては転がり抵抗が低下し、ゴルフボール用途においては反発弾性が改良される。(特許文献4)には、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)成形物の中で線状ポリブタジエンを使用すると、たとえば衝撃靱性が改良されるとの記述がある。
【0014】
しかしながら、他方では、線状のゴムが高い溶液粘度を有していること、そしてそれらの高い溶液粘度のために、必然的に、ABSまたはHIPSの加工において高い加工粘度となってしまうことが知られている。さらに、溶解時間が分岐度に依存し、線状ポリマーは明らかに、分岐状ポリマーよりも溶解するのが遅いということも知られている。加工粘度が高いほど、そして溶解時間が長いほど、線状ポリブタジエンの使用が経済的に成り立ちにくい。
【0015】
さらに、ポリマーの加工性においては、分岐度が特に重要であるということもまた知られている。ABSまたはHIPSに使用される分岐状ポリマーは、溶液の性質を改良し、溶解時間を短縮する。ポリマーのモル質量と分岐度とが、溶液粘度を決定する。
【0016】
NdBRポリマーとネオジム触媒法ポリブタジエンとは、同義語である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許出願公開第A1−0 011 184号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第B−A1−0 007 027号明細書
【特許文献3】欧州特許第0 375 421B1号明細書
【特許文献4】米国特許第6,706,814B2号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Macromolecular Chemistry and Physics,2002(203/7),1029〜1039
【非特許文献2】Tire Technology International(2009),82〜86
【非特許文献3】Journal of Macromolecular Science,Pure and Applied Chemistry(2004),A41(3),245〜256
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、動的性質に関しては線状性の有利な性質および加工性に関しては分岐性の有利な性質を有するネオジム触媒法ポリブタジエンを提供するのが望ましい。
【0020】
ポリブタジエンとポリマーとは、同義語として使用する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
その目的は、線状ポリマー性の主フラクションと長鎖分岐ポリマー性のフラクションとを有する上述のタイプのポリブタジエンによって達成されるが、ここで、RGM相関(RGM relationship)における勾配が、ポリマー主フラクションでは>0.5、長鎖分岐ポリマー性のフラクションでは<0.3である。
【0022】
それらのフラクションは、非対称フロー・フィールド・フロー・フラクショネーション(AF4)を使用して溶出させる。
【0023】
対象となるポリブタジエンは、好ましくは、ネオジム含有触媒系による触媒を使用したものであった。そのような系は、炭化水素に可溶性のネオジム化合物をベースとするZiegler−Natta触媒である。
【0024】
使用するネオジム化合物は、特に好ましくは、カルボン酸ネオジムまたはネオジムアルコキシド、より特に好ましくは、ネオデカン酸ネオジム、オクタン酸ネオジム、ナフテン酸ネオジム、2,2−ジエチルヘキサン酸ネオジム、および/または2,2−ジエチルヘプタン酸ネオジムである。
【0025】
驚くべきことには、本発明によるポリブタジエンは、線状性と分岐状性を有しており、そのためにそれら二つの性質を併せ持っていることが見出された。
【0026】
過去においては、光散乱検出器または粘度検出器と組み合わせたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)が、ポリブタジエンの鎖構造を特性解析し、さらにはその分子量分布とそれらのパラメーターを求めるための唯一の手段であった。本発明によるNdBRは、この方法を使用するのでは満足のいく特性解析ができないということが判った。
【0027】
したがって、非対称フロー・フィールド・フロー・フラクショネーション(AF4)が特性解析法としては極めて有用なので、それを使用した。AF4においては、固定相の存在しない中空のチャンネルの中で分離が行われる。したがって、剪断および相互作用がほとんどない状態で分離を達成することができる。
【0028】
構造と性質の関係から、分子パラメーターと、それらのポリマーとの間の相関関係を記述することが可能となる。
【0029】
RGM相関は、回転半径(RMS)とマクロモレキュールのモル質量Mとの間の相関関係であって、モル質量に対して回転半径を両対数プロットしたときの勾配として評価される。
【0030】
回転半径(RMS)は、光散乱によって求めるが、この場合、照射した光線がポリマーコイルによって散乱される。散乱シグナルの角度依存性を使用して、ポリマーの流体力学的容積および/または回転半径を求める。
【0031】
線状ポリマーの場合には、モル質量に比例してその回転半径が大きくなる。なかんずく、Journal of Applied Polymer Science,54(1994),91〜103に記載されているように、線状ポリマーは、RGM相関において0.5〜0.6の勾配を有している。同一のモル質量では、ポリマー中での分岐性が増すにつれて、ポリマーコイルにおける密度が上がり、回転半径が小さくなる。ポリマーの分岐度が高いほど、RGM相関における勾配が小さくなる。分岐状ポリマーはRGM相関において0.5未満の勾配を有するとの記述があり、0.33以下の勾配は、球状配置の高度に分岐したポリマーを示している。
【0032】
この検討の過程では、これらのパラメーターは、多角度散乱光度計および濃度検出器を備えたフラクショネーティングユニット(非対称フロー・フィールド・フロー・フラクショネーション)からなる組合せ系を使用して求めた。
【0033】
AF4による分析の説明:
分析に先立って、HPLC純度のTHFの中にポリマーを溶解させた。その濃度は3mg/mLである。いずれの場合においても、安定化のために1mg/mLのBHTを添加した。溶解時間は、室温で16時間、次いで50℃のオーブン中で4時間、次いで室温で48時間であった。加熱処理の前後に、手で軽く振盪させてポリマー溶液を撹拌したが、そうでないとしても、いかなる点でも、機械的な均質化は一切行わなかった。ポリマーの高分子量粒子を除去してしまわないように、濾過は省略した。AF4チャンネルには、再生セルロース膜(カットオフ指示(cut−off mandate):10kg/molPS)を備えた。
【0034】
ポリブタジエンの場合、0.137mL/mgの屈折率増分を使用して、分子量と濃度を計算した。測定はすべて、Postnova Analytics(Landsberg/Lech,Germany)製のAF4 2000システムのポンプ系を用いて実施した。用いた検出器の組合せは、Dawn DSP,Wyatt Technology(Santa Barbara,USA)製のMALLS検出器と、Postnova Analytics(Landsberg/Lech,Germany)製のタイプPN 3140のRI検出器とである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】AF4分析において使用したクロスフロー勾配の関数を示す。
【図2】微分半径分布(実線)および積分半径分布(破線)としてプロットした、本発明によるポリブタジエンの半径分布を示す。
【図3】本発明によるポリブタジエンにおけるRGM相関のグラフ表現を示す。
【図4】微分半径分布(実線)および積分半径分布(破線)としてプロットした、比較例の半径分布を示す。
【図5】比較例のポリブタジエンにおけるRGM相関のグラフ表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に、AF4分析において使用したクロスフロー勾配の関数を示す。
【0037】
AF4分析の注入体積は100μLであった。注入相から、試料を0.2mL/分の流速でチャンネルの中に搬送して、比較的高濃縮の溶液中の分子の各種の分解を予め行わせた(pre−empt)。この手順の間は、クロスフローをその最大値一定に保つ。その注入手順の際には、いわゆる「フォーカス(focus)」と呼ばれる第二のフローも同様に活性化させる。このフローによって、検出器の中に0.5mL/分の一定流速で流し、それによって、注入した試料を、極めて狭いゾーンの内部に固定する(後ほどになっての帯域拡張を抑制)ことが可能となる。4分間の注入相の後、1分間以内にフォーカスを指数関数的に0にまで低下させ、クロスフロープログラムをそれに続けさせる。
【0038】
本発明によるポリマーが、RGM相関において>0.5の勾配を有する線状の主フラクションと、RGM相関において<0.3の勾配を有する長鎖分岐ポリマー性のフラクションとの二つのフラクションからなることを測定することが可能である。
【0039】
長鎖分岐ポリマー性のフラクションの高い分岐度が、溶解したポリマーの最大回転半径を抑制するので、100nmを超える回転半径を有するポリマーの比率が、<15%、好ましくは<10%、より好ましくは<5%である。
【0040】
回転半径の分布の幅は非常に狭く、<45nm、好ましくは<40nm、より好ましくは<35nmの大きさとなる。
【0041】
回転半径の分布の幅は、微分プロットから求める。半径の分布の最大微分値を半分にし、それらの数値における曲線の二つの半径値の差として回転半径の分布の幅を得る。
【0042】
本発明によるポリブタジエンが、>100万g/molのポリマーを含む長鎖分岐ポリマー性のフラクションを有しているのが好ましい。
【0043】
線状ポリマー性の主フラクションが、長鎖分岐ポリマー性のフラクションよりも多いのが好ましい。
【0044】
本発明によるポリブタジエンを製造するための方法が提供されるが、その方法には以下のステップが含まれる:
1.以下のものからなる、ネオジムをベースとする触媒系を使用した予備形成を用いた変性触媒の製造
成分A:アルコキシド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩および/またはリン酸塩、カルボン酸塩、希土類金属とジケトンとの錯化合物、および/または、希土類金属のハロゲン化物と酸素もしくは窒素供与体化合物との付加化合物、好ましくはバーサチック酸ネオジム、
成分B:水素化ジアルキルアルミニウム、好ましくは水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)、
成分C:ジエン、好ましくはブタジエンまたはイソプレン、および
成分D:少なくとも1種の有機金属ハロゲン化物、好ましくはエチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)、
ここで、最初に、第一ステップにおいて、成分A、BおよびCを、−20℃〜80℃、好ましくは0℃〜40℃の温度で、5分間〜10時間、好ましくは10分間〜2時間かけて混合してから、その混合物を冷却して、−10℃未満、好ましくは−30℃未満としてから、成分Dを添加するステップ;
2.場合によっては、−30℃〜80℃、好ましくは5℃〜50℃の温度で、10分間〜250時間、好ましくは20分間〜100時間かけてその変性触媒系を予備形成するステップ;
3.−20〜100℃の間の温度でモノマーを重合させるステップ、
4.次いで、≧100℃、好ましくは100℃〜140℃、より好ましくは100℃〜125℃の温度で、10〜120分間、好ましくは15〜60分間かけて、重合溶液を最終状態、すなわち、ブタジエンの、≧85重量%、好ましくは≧90重量%、より好ましくは≧95重量%の転化率に維持するステップ。
【0045】
本発明による方法は、最適な活性を有し、前述のような望ましいポリマーを導く、ネオジムベースの触媒系を提供する。ポリマーの最終的な性質とその製造方法の経済性を決定するのは、触媒の成分の量と機能の相互作用である。
【0046】
成分Cは、高分子量ネオジム触媒法ポリブタジエンを製造するのに使用するのと同一のポリマーであるのが好ましい。触媒を製造する際にジエンが存在していることが特に重要であるが、その理由は、それによって安定した触媒錯体を形成させることが可能であるからである。有用な溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、またはC6留分の溶媒混合物が挙げられる。その他の溶媒も同様に受け入れられる。
【0047】
溶媒は、純粋な形でも、あるいは個々の触媒成分の溶媒としてでも、添加することができる。溶媒の量は、成分Aに依存し、成分Aの溶媒に対する濃度が、0.05〜0.3mol/Lの間、好ましくは0.08〜0.2mol/Lの間になるようにする。
【0048】
成分A対成分Bのモル比は、(1:1)〜(1:100)の範囲、好ましくは(1:3)〜(1:80)の範囲、より好ましくは(1:3)〜(1:50)の範囲である。成分A対成分Cのモル比は、(1:1)〜(1:200)の範囲、好ましくは(1:2)〜(1:100)の範囲、より好ましくは(1:3)〜(1:50)の範囲である。成分A対成分Dのモル比は、(1:0.5)〜(1:20)の範囲、好ましくは(1:0.7)〜(1:10)の範囲、より好ましくは(1:0.8)〜(1:8)の範囲である。
【0049】
変性触媒製造のステップ1における冷却温度は、好ましくは−10℃もしくは−20℃、好ましくは−30℃、より好ましくは−60℃である。
【0050】
さらに、触媒系を製造するのに、トリアルキルアルミニウム、好ましくはトリブチルアルミニウム(TIBA)を使用することも可能である。成分Aのトリアルキルアルミニウム、好ましくはトリブチルアルミニウム(TIBA)に対するモル比は、(1:0.4)〜(1:15)の範囲、好ましくは(1:0.5)〜(1:8)の範囲である。
【0051】
予備形成が望ましければ、触媒系を予備形成した後、有機溶媒中で重合を実施する。それらの溶媒は、使用される触媒系に対して不活性でなければならない。好適な溶媒の例は、芳香族、脂肪族および脂環族の炭化水素、たとえばベンゼン、トルエン、ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンである。
【0052】
重合は、連続式でも、さらにはバッチ式でも実施することができる。
【0053】
重合は、−20〜100℃の間の温度で実施する。一つの典型的な実施態様においては、成分A、B、CおよびDならびに任意成分のTIBAからなる触媒を、100重量部の溶媒と5〜50重量部、好ましくは8〜30重量部のモノマーとの混合物に添加する。
【0054】
重合の終了時に維持される時間は、本明細書においては、遅延時間(delay time)とも呼ぶ。
【0055】
適切な温度の遅延時間を設けることによって、100万g/molを超えるポリマーの場合に分岐反応がもたらされる。
【0056】
重合終了での温度、すなわち遅延時間の間の温度は、好ましくは100〜140℃の範囲、より好ましくは100〜120℃の範囲である。
【0057】
遅延時間が完了したら、少量のたとえば水、カルボン酸またはアルコールを添加することによって触媒を失活させる。
【0058】
ポリマー溶液と重合溶液とは、同義語であると理解されたい。
【0059】
慣用される安定剤を慣用される量でそのポリマー溶液に添加してから、後処理をすることができる。使用される安定剤の例としては、立体障害のあるフェノールまたは芳香族アミンまたはホスファイト、たとえば2,6−ジ−tert−ブチル−4,5−メチルフェノールが挙げられる。
【0060】
ポリマーは、ポリマー溶液を蒸発させる方法、非溶媒たとえばメタノール、エタノール、アセトンを用いて沈殿させる方法、または好ましくは溶媒を水蒸気蒸留させる方法によって単離する。
【0061】
水蒸気を用いたストリッピングに続けて、適切なシーブを使用するか、またはエクスペラー/エクスパンダースクリューのようなスクリュー装置、または移動層乾燥器によって水を除去する。
【0062】
乾燥は通常の方法、たとえば乾燥キャビネット中またはスクリュー乾燥器中で実施する。
【0063】
本発明によるポリブタジエンはさらに、単独で使用することもできるし、芳香族もしくは脂肪族オイルを用いて切断することもできるし、あるいは他のゴムと混合して、たとえば、タイヤ産業において、または靴底もしくは産業用ゴム商品の製造において使用されるようなゴム混合物およびゴム加硫物の製造に使用することもできる。ゴム加硫物を製造するのに適したさらなるゴムとしては、天然ゴムのみならず、合成ゴムも挙げられる。好ましい合成ゴムについては、たとえば次の文献に記載がある:W.Hofmann,「Kautschuktechnologie」,Gentner Verlag,Stuttgart,1980、およびI.Franta,「Elastomers and Rubber Compounding Materials」,Elsevier,Amsterdam,1989.それらには、なかんずく、以下のものが含まれる:
BR:通常のポリブタジエン
ABR:ブタジエン/アクリル酸C1〜C4−アルキル・コポリマー
CR:ポリクロロプレン
IR:ポリイソプレン
SBR:スチレン/ブタジエン・コポリマー(スチレン含量、1重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜50重量%)
IIR:イソブチレン−イソプレン・コポリマー
NBR:ブタジエン−アクリロニトリル・コポリマー(アクリロニトリル含量、5重量%〜60重量%、好ましくは10重量%〜40重量%)
HNBR:部分水素化または完全水素化NBRゴム
EPDM:エチレン−プロピレン−ジエン・コポリマー
およびそれらのゴムの混合物。表面変性充填剤を用いた自動車タイヤ製造のために関心を寄せられる材料は、特に天然ゴム、エマルションSBR、さらには、欧州特許出願公開第A0 447 066号明細書に記載されているような、場合によってはシリルエーテルまたはその他の官能基によって変性されていてもよい、ガラス転移温度が50℃よりも高い溶液SBRゴム、Ni、Co、Ti、またはNdをベースとする触媒を使用して製造された、高1,4−cis含量(>90%)のポリブタジエンゴム、およびさらには、0〜75%のビニル含量を有するポリブタジエンゴム、ならびにそれらの混合物である。
【0064】
本発明はさらに、本発明によるポリブタジエンを含むゴム混合物も提供するが、それには通常、5〜300重量部のたとえば以下のような活性もしくは不活性な充填剤が含まれる:
・ コロイダルシリカ、たとえばシリケートの溶液からの沈降法によるか、またはハロゲン化ケイ素の加水分解法によって製造されたもので、比表面積(BET表面積)が5〜1000m/gの範囲、好ましくは20〜400m/gの範囲で、一次粒径が10〜400nmの範囲のもの。それらのシリカは、場合によっては、他の金属の酸化物たとえばAl酸化物、Mg酸化物、Ca酸化物、Ba酸化物、Zn酸化物、Zr酸化物、またはTi酸化物との混合酸化物として存在していてもよい、
・ 合成ケイ酸塩、たとえばケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルカリ土類金属、たとえば、ケイ酸マグネシウムもしくはケイ酸カルシウムで、BET表面積が20〜400m/g、一次粒子直径が10〜400nmのもの;
・ 天然ケイ酸塩、たとえばカオリンおよびその他の天然産のシリカ、
・ ガラス繊維およびガラス繊維製品(マット、ストランド)、またはガラスマイクロビーズ、
・ 金属酸化物たとえば、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、
・ 金属炭酸塩たとえば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、
・ 金属水酸化物たとえば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
・ 金属塩、たとえばα,β−不飽和脂肪酸、たとえば3〜8個の炭素原子を有するアクリル酸またはメタクリル酸の亜鉛塩またはマグネシウム塩、たとえば、アクリル酸亜鉛、二アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、二メタクリル酸亜鉛、およびそれらの混合物、
・ カーボンブラック。本明細書において使用されるカーボンブラックは、ランプブラック、ファーネスブラック、またはガスブラックプロセスにより製造されたものであって、20〜200m/gのBET表面積を有しており、たとえば、SAF、ISAF、HAF、FEF、またはGPFカーボンブラックである。
・ ゴムゲル、特にポリブタジエン、ブタジエン−スチレンコポリマー、ブタジエン−アクリロニトリル・コポリマー、およびポリクロロプレンをベースとするもの。
【0065】
二アクリル酸亜鉛、コロイダルシリカ、およびカーボンブラックが特に好ましい。
【0066】
上述の充填剤は、単独で使用しても、混合して使用してもよい。一つの特に好ましい実施態様においては、そのゴム混合物が、淡色の充填剤たとえばコロイダルシリカとカーボンブラックとの混合物を含み、淡色の充填剤対カーボンブラックの混合比が、0.05〜20の範囲、好ましくは0.1〜10の範囲である。
【0067】
充填剤は、固体物質として、または水もしくは溶媒中のスラリーとして、本発明によるポリブタジエン(1種または複数)の溶液に添加するのが好ましい。ゴム溶液は、予め製造しておくこともできるが、重合したままの溶液を直接使用するのが好ましい。次いで、溶媒を、熱的、好ましくは水蒸気を利用して除去する。このストリッピングのための条件は、予備的な実験で容易に決定することができる。
【0068】
本発明による固形のポリブタジエンに対して、またはゴムの混合物に対して充填剤を添加し、たとえばニーダーを使用して公知の方法で組み入れるのがさらに好ましい。
【0069】
本発明によるゴム混合物には、所望により、架橋剤をさらに含む。架橋剤としては硫黄または過酸化物を使用することが可能であるが、この場合硫黄が特に好ましい。本発明によるゴム混合物にはさらに、ゴム用補助薬品、たとえば、反応促進剤、抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤、抗オゾン剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、連鎖延長剤、有機酸、遅延剤、金属酸化物、さらには、活性化剤たとえばトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオールなどが含まれていてもよいが、これらのものはゴム業界では公知である。
【0070】
高活性の沈降シリカを含む好適なゴム混合物においては、さらなる充填剤−活性化剤が特に有利である。好適な充填剤−活性化剤は、たとえば、硫黄含有シリルエーテル、より詳しくは、独国特許出願第A2 141 159号明細書および独国特許出願第A2 255 577号明細書に記載されているような、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド、独国特許出願第A4 435 311号明細書および欧州特許出願公開第号明細書A0 670 347号明細書のオリゴマー性および/またはポリマー性硫黄含有シリルエーテル、メルカプトアルキルトリアルコキシシラン、より詳しくは、独国特許出願第A195 44 469号明細書に記載されているようなメルカプトプロピルトリエトキシシランおよびチオシアナトアルキルシリルエーテルである。
【0071】
ゴム用補助剤は、慣用される量で使用されるが、それは、とりわけ、目的とする用途に依存する。慣用される量の範囲は、ゴムを基準にして、たとえば0.1重量%〜50重量%の範囲である。
【0072】
ゴムをその他の前述のゴム用補助薬品、架橋剤、および加硫促進剤とさらに混合することは、適切な混合装置、たとえばロール、インターナルミキサー、および混合エクストルーダーを使用して、通常の方法で実施することができる。
【0073】
コンパウンディングおよび加硫については、たとえばEncyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4,p.66〜(コンパウンディング)およびVol.17,p.666〜(加硫)にさらに詳しく書かれている。
【0074】
本発明によるゴム混合物は、(場合によっては10〜200barの加圧下に)慣用される温度の100〜200℃、好ましくは130〜180℃で加硫させることができる。
【0075】
本発明によるゴム混合物は、各種の成形物品を生産するのに極めて有用である。
【0076】
それらの成形物品の例を非限定的に挙げれば、O−リング、形材、ガスケット、膜、タイヤ、タイヤトレッド、制動要素、ホースなどがある。
【0077】
各種の構造タイヤ(structural tyre)構成成分およびタイヤトレッドが特に好ましい。
【0078】
本発明によるゴム混合物はさらに、熱可塑性プラスチック、より詳しくはポリスチレンおよびスチレン−アクリロニトリル・コポリマーの耐衝撃性の改良においても有用である。
【0079】
たとえばHIPSまたはABSのような耐衝撃性成形組成物を製造するためには、本発明によるポリマー(ポリブタジエンと同義語である)を、好ましくはまず、ビニル芳香族モノマーの存在下、より詳しくはスチレン、アルファ−メチルスチレン、アルファ−メチルスチレンダイマー、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、および/またはその他の環置換されたアルキルスチレン(好ましくはアルキル基中に2〜6個の炭素原子を有する)の存在下に溶解させる。これによって、ビニル芳香族ポリマー溶液が得られる。
【0080】
次いで、ビニル芳香族ポリマー溶液のフリーラジカル重合によるか、またはエチレン性不飽和ニトリルモノマーの存在下、場合によっては、さらなるビニル芳香族モノマーの添加によって、そして場合によっては、溶媒の存在下に、連続法、半連続法、またはバッチ法で、そのビニル芳香族ポリマー溶液を公知のバルク重合、溶液重合、または懸濁重合させることによって、成形組成物を製造する。
【0081】
アクリル系モノマーまたはマレイン酸誘導体を、全モノマーの、好ましくは30重量%まで、より好ましくは20重量%までで使用することも可能である。
【0082】
フリーラジカル重合を溶媒中で実施するときには、有用な溶媒としては、芳香族炭化水素たとえば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、およびケトンたとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、さらにはそれらの混合物が挙げられる。エチルベンゼン、メチルエチルケトン、およびアセトン、ならびにそれらの混合物が好ましい。
【0083】
フリーラジカル開始剤の手段によって重合を開始させるのが好都合ではあるが、熱的に実施させることもまた可能である。生成するポリマーの分子量は、分子量調節剤の手段によって調節することができる。
【0084】
フリーラジカル重合に好適な重合開始剤は、グラフト活性のある過酸化物であって、それらは分解してフリーラジカルとなる。
【0085】
分子量は、慣用される分子量調節剤たとえば、メルカプタン、オレフィン、たとえば、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、シクロヘキセン、テルピノレン、アルファ−メチルスチレンダイマーなどを使用して、設定することができる。
【0086】
それらのプロセスは、バッチ法、半連続法、および連続法で実施することができる。
【0087】
本発明による成形組成物は、押出し法、射出成形法、カレンダリング法、ブロー成形法、加圧法、および焼結法によって熱可塑的に加工して、成形部品を形成することができる。
【0088】
それらのゴム混合物の使用は、ゴルフボール、より詳しくはゴルフボールのコアに特に適している。
【0089】
実施例を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0090】
実施例1
触媒の製造および予備形成:
乾燥した、アルゴン不活性化したSchlenkベッセルに、7.5mL(42mmol)の水素化ジイソブチルアルミニウム、1.2mL(12mmol)のイソプレン、および11.3mL(3mmol)のヘキサン中バーサチック酸ネオジムの0.265モル溶液を仕込んだ。それに続けて、50℃で90分間撹拌を行った。それに続けて、冷却して5℃とし、8mL(2mmol)のヘキサン中エチルアルミニウムセスキクロリドの0.25モル溶液を添加した。その予備形成した触媒溶液を、室温で一夜静置してから、重合に使用した。
【0091】
重合:
乾燥させ、アルゴン−不活性化した1.9Lのガラスオートクレーブに、580gのヘキサン(モレキュラーシーブ上で乾燥させたもの)、1.68mLの上述の予備形成させた触媒溶液、および120gのブタジエンを仕込んだ。これに続けて、65℃に加熱し、90分間、撹拌下に重合をさせた。試料を採取して、転化率を測定した。重合後のブタジエン転化率は95%であった。
【0092】
遅延時間に到達させるために、そのポリマー溶液を60分間、105℃に壁面加熱(wall heat)した。
【0093】
次いで、586gのその粘稠な溶液を流しだし、撹拌しながら、2mLのメタノールと、さらに0.6gのビス[3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタンを組み入れた。次いで、そのポリマーを70℃で真空乾燥させた。
乾燥後の生成物重量:99.3g
ムーニー粘度(ML 1+4、100℃):43MU;ML−Relax(30秒):5.4%
溶液粘度(トルエン中5.43%、室温):183mPas
溶液粘度対ムーニー比率(LV/ML):4.3
【0094】
RGM相関および回転半径(RMS):
RGM相関を測定するために、本発明によるポリブタジエンを溶出させ、AF4を使用して分析した。試料の調製および分析指示についての基準は、本明細書のp.3〜5に記載した。
【0095】
最初に、本発明によるポリブタジエンについて回転半径(RMS)を測定した。本明細書のp.3、4,5を参照されたい。
【0096】
図2に、微分半径分布(実線)および積分半径分布(破線)としてプロットした、本発明によるポリブタジエンの半径分布を示している。100nmを超える回転半径を有する積分半径フラクションは、1.4%である。半径分布の最大半量における全幅は29.0nmである。
【0097】
RGM相関の勾配を計算するために、それぞれの場合において、5個から統計的中央値を形成させたが、それら使用した数は、記述されたモル質量に最も近い、下および上の二つの測定値とモル質量そのものである。
【0098】
回転半径は典型的には、RMSと略称される。RGM相関の勾配は、両対数プロットにおいて、モル質量に対する回転半径の勾配として計算される。このために、モル質量の自然対数および回転半径RMSの自然対数を計算した。特定のモル質量範囲におけるRGM相関の勾配は、考慮の対象となっている範囲の限界におけるRMSの自然対数の差を、考慮の対象となっている範囲の限界におけるモル質量の自然対数で割り算をした商によって与えられる。
【0099】
表1に、測定された数値を示す。
【0100】
【表1】

【0101】
図3に、本発明によるポリブタジエンにおけるRGM相関のグラフ表現を示す。100万g/molのモル質量からは、勾配がより小さいことが明らかに認められる。このことは、本発明によるポリブタジエンが、100万g/molのモル質量より下では線状構造を有し、その一方で、それより高いモル質量では長鎖の分岐を有しているということを意味している。
【0102】
比較例
触媒予備形成なし、遅延時間なしの重合
乾燥させた、アルゴン−不活性化した1.9Lのガラスオートクレーブに、8500gのヘキサン(モレキュラーシーブ上で乾燥させたもの)、23.0mLのヘキサン中水素化ジイソブチルアルミニウムの18.45%溶液、2.75mLのヘキサン中バーサチック酸ネオジムの40%溶液、5.1mLのヘキサン中エチルアルミニウムセスキクロリド10%溶液、および1300gのブタジエンを仕込んだ。これに続けて、73℃に加熱し、90分間、撹拌下に重合をさせた。次いで、1012gのその粘稠な溶液を流しだし、2mLのメタノールおよびさらに2.5gのビス[3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタンを撹拌下に組み入れた。次いで、そのポリマーを70℃で真空乾燥させた。
乾燥後の生成物の重量:129.5g
ムーニー粘度(ML 1+4、100℃):43MU;ML−Relax(30秒):6.2%
溶液粘度(トルエン中5.43%、室温):663mPas
溶液粘度対ムーニー比率(LV/ML):15.4
【0103】
RGM割当量(RGM ration)および半径分布:
実施例1を繰り返して、比較例のポリブタジエンのRGM相関および回転半径を求めた。
【0104】
図4に、微分半径分布(実線)および積分半径分布(破線)としてプロットした、比較例の半径分布を示している。100nmを超える回転半径を有する積分半径フラクションは、12.2%である。半径分布の最大半量における全幅は50.7nmである。
【0105】
RGM相関の勾配を計算するために、それぞれの場合において、5個から統計的中央値を形成させたが、それら使用した数は、記述されたモル質量に最も近い、下および上の二つの測定値とモル質量そのものである。
【0106】
回転半径は典型的には、RMSと略称される。RGM相関の勾配は、両対数プロットにおいて、モル質量に対する回転半径の勾配として計算される。このために、モル質量の自然対数および回転半径RMSの自然対数を計算した。特定のモル質量範囲におけるRGM相関の勾配は、考慮の対象となっている範囲の限界におけるRMSの自然対数の差を、考慮の対象となっている範囲の限界におけるモル質量の自然対数で割り算をした商によって、与えられる。
【0107】
表2に、測定された数値を示す:
【0108】
【表2】

【0109】
図5に、比較例のポリブタジエンにおけるRGM相関のグラフ表現を示す。100万g/molのモル質量から始まる勾配が、100万g/molのモル質量までの勾配とほぼ同じであるということが明らかに認められる。このことは、比較例のポリブタジエンが完全に線状の構造を有しているということを意味している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い比率(>95%)のcis−1,4単位および低い比率(<1%)の1,2−ビニル含量を有する高分子量のバイモーダルなネオジム触媒法ポリブタジエンであって、前記ポリブタジエンが、線状ポリマー性の主フラクションと長鎖分岐ポリマー性のフラクションとを有し、RGM相関における勾配が、前記ポリマー性の主フラクションでは>0.5、前記長鎖分岐ポリマー性のフラクションでは<0.3であることを特徴とする、ポリブタジエン。
【請求項2】
前記フラクションが、非対称フロー・フィールド・フロー・フラクショネーション(AF4)を使用して溶出されることを特徴とする、請求項1に記載のポリブタジエン。
【請求項3】
100nmを超える回転半径を有するポリブタジエンの比率が、<15%、好ましくは<10%、より好ましくは<5%であることを特徴とする、請求項2に記載のポリブタジエン。
【請求項4】
前記ポリブタジエンの回転半径の分布の幅が、<45nm、好ましくは<40nm、より好ましくは<35nmであることを特徴とする、請求項3に記載のポリブタジエン。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイモーダルなネオジム触媒法ポリブタジエンを製造するための方法であって、
1)以下のものからなる、ネオジムをベースとする触媒系を使用した予備形成を用いた変性触媒の製造
成分A:アルコキシド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩および/またはリン酸塩、カルボン酸塩、希土類金属とジケトンとの錯化合物、および/または、希土類金属のハロゲン化物と酸素もしくは窒素供与体化合物との付加化合物、好ましくはバーサチック酸ネオジム、
成分B:水素化ジアルキルアルミニウム、好ましくは水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)、
成分C:ジエン、好ましくはブタジエンまたはイソプレン、および
成分D:少なくとも1種の有機金属ハロゲン化物、好ましくはエチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)、
ここで、最初に、第一ステップにおいて、前記成分A、BおよびCを、−20℃〜80℃、好ましくは0℃〜40℃の温度で、5分間〜10時間、好ましくは10分間〜2時間かけて混合してから、前記混合物を冷却して、−10℃未満、好ましくは−30℃未満としてから、成分Dを添加するステップ;
2)場合によっては、−30℃〜80℃、好ましくは5℃〜50℃の温度で、10分間〜250時間、好ましくは20分間〜100時間かけて前記変性触媒系を予備形成するステップ;
3)−20〜100℃の間の温度で前記モノマーを重合させるステップ、
4)次いで、≧100℃、好ましくは100℃〜140℃、より好ましくは100℃〜125℃の温度で、10〜120分間、好ましくは15〜60分間かけて、前記重合溶液を最終状態、すなわち、ブタジエンの、≧85重量%、好ましくは≧90重量%、より好ましくは≧95重量%の転化率に維持するステップ、
を含む方法。
【請求項6】
前記触媒系の製造が、場合によっては、トリアルキルアルミニウム、好ましくはトリブチルアルミニウムを使用して実施することが可能であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記重合の終了時に、前記遅延時間の温度を、90℃〜110℃の範囲、好ましくは95℃〜100℃の範囲に維持することを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
請求項4に記載のポリブタジエンを含むゴム混合物。
【請求項9】
各種の成形物品の製造における、請求項8に記載のゴム混合物の使用。
【請求項10】
前記成形物品が、構造タイヤ構成成分であることを特徴とする、請求項9に記載のゴム混合物の使用。
【請求項11】
熱可塑性プラスチックの耐衝撃変性のための、請求項8に記載のゴム混合物の使用。
【請求項12】
ポリスチレンおよびスチレン−アクリロニトリル・コポリマーのための、請求項8に記載のゴム混合物の使用。
【請求項13】
ゴルフボールのための、請求項8に記載のゴム混合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−519769(P2013−519769A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553313(P2012−553313)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052330
【国際公開番号】WO2011/101399
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】