説明

バインダー樹脂およびペースト組成物

【課題】メタクリル系重合体ブロックおよび(メタ)アクリル系重合体ブロックからなるアクリル系ブロック共重合体からなるバインダー樹脂、および該バインダー樹脂を用いたペースト組成物を提供する。
【解決手段】メタクリル系重合体ブロック(A)10〜90重量%および(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)90〜10重量%とからなるアクリル系ブロック共重合体であって、メタクリル系重合体ブロック(A)のガラス転移温度が(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)のガラス転移温度より大きく、数平均分子量が10,000〜100,000であり、分子量分布が1.8以下であり、トルエンに40重量%溶解させた時のチクソ指数(2rpmでの粘度(25℃)/20rpmでの粘度(25℃))が1.5〜5.5であることを特徴とするバインダー樹脂により達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル系ブロック共重合体からなるバインダー樹脂、該バインダー樹脂を用いたペースト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バインダー樹脂中に無機粒子を分散させたペーストを成形した後、焼成を行うことにより精密な成形体を得ることが一般に行われている。
【0003】
例えば、積層セラミックコンデンサは、次のような工程を経て製造される。
【0004】
まず、バインダー樹脂に溶剤、可塑剤、分散剤などを添加した後、セラミック原料粉末を加えて均一に混合、脱泡することにより、一定粘度を有するセラミックペーストが得られる。このセラミックペーストをシート状に成形したのち、加熱等により溶剤などを除去することでセラミックグリーンシートを得る。
【0005】
次に、セラミックグリーンシート上に内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷等により塗工する。導電ペーストが塗工されたセラミックグリーンシートを積層し、加熱圧着することで積層体を得る。導電ペーストは、金属粒子とバインダー樹脂などから構成される。
【0006】
このセラミックグリーンシートと導電ペーストの構成成分であるバインダー樹脂を加熱により熱分解し、焼成してセラミック焼成物を得る。このセラミック焼成物の端面に外部電極を焼結することにより積層セラミックコンデンサが製造される。
【0007】
このように、セラミックペーストおよび導電ペースト等にはバインダー樹脂が用いられているが、バインダー樹脂としては、セルロース系樹脂やアクリル系樹脂などが一般に用いられている(特許文献1、2、3)。アクリル系樹脂は、セルロース系樹脂に比べて熱分解性に優れているが、チクソ性に劣るため、印刷性に問題があった。
【0008】
一方、ヒドロキシル基などの極性官能基を含有するアクリル系樹脂からなるバイダー樹脂が知られており(特許文献4)、印刷性を改良しているがまだ十分とはいえず、チクソ性のバランスに優れたバインダー樹脂の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−50594
【特許文献2】特開2007−277442
【特許文献3】特開平5−58711
【特許文献4】特開2008−202041
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
メタクリル系重合体ブロック(A)および(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)からなるアクリル系ブロック共重合体からなるバインダー樹脂、および該バインダー樹脂を用いたペースト組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者は、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、メタクリル系重合体ブロック(A)10〜90重量%および(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)90〜10重量%とからなるアクリル系ブロック共重合体であって、メタクリル系重合体ブロック(A)のガラス転移温度が(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)のガラス転移温度より大きく、数平均分子量が10,000〜100,000であり、分子量分布が1.8以下であり、トルエンに40重量%溶解させた時のチクソ指数(2rpmでの粘度(25℃)/20rpmでの粘度(25℃))が1.5〜5.5であることを特徴とするバインダー樹脂に関する。
【0013】
好ましい実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体が、窒素雰囲気下、加熱速度10.0℃/分の条件で500℃まで昇温させた時の重量損失が95%以上であることを特徴とするバインダー樹脂に関する。
【0014】
好ましい実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体が、メタクリル系重合体ブロック(A)および(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)の少なくとも一方に、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、エポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基(C)を有することを特徴とするバインダー樹脂に関する。
【0015】
好ましい実施態様としては、官能基(C)が、カルボキシル基もしくはヒドロキシル基であることを特徴とするバインダー樹脂に関する。
【0016】
好ましい実施態様としては、官能基(C)の含有量が、アクリル系ブロック共重合体中、5重量%以下であることを特徴とするバインダー樹脂に関する。
【0017】
好ましい実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体が、制御ラジカル重合により製造されることを特徴とするバインダー樹脂に関する。
【0018】
好ましい実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体が、原子移動ラジカル重合により製造されることを特徴とするバインダー樹脂に関する。
【0019】
さらに本発明は、上記記載のバインダー樹脂と無機粒子を含むことを特徴とするペースト組成物に関する。
【0020】
好ましい実施態様としては、無機粒子が導電性粒子であることを特徴とするペースト組成物に関する。
【0021】
好ましい実施態様としては、無機粒子が金属粒子であることを特徴とするペースト組成物に関する。
【0022】
好ましい実施態様としては、無機粒子がセラミック粒子であることを特徴とするペースト組成物に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、熱分解性に優れ、分散性、粘度、チクソ性、および曳糸性のバランスに優れたバインダー樹脂を提供することができ、印刷性に優れたペースト組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
<アクリル系ブロック共重合体>
本発明のバインダー樹脂を構成するアクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸エステルを主成分とするメタクリル系重合体ブロック(A)および(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)からなるアクリル系ブロック共重合体である。ここで言う(メタ)アクリルとは、メタクリルもしくはアクリルを意味するものとする。メタクリル系重合体ブロック(A)10〜90重量%および(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)90〜10重量%とからなるアクリル系ブロック共重合体であることが好ましい。
【0025】
アクリル系ブロック共重合体の構造は、線状ブロック共重合体、分岐状(星状)ブロック共重合体のいずれか、またはこれらの混合物であってもよい。このようなブロック共重合体の構造は、必要とされるアクリル系ブロック共重合体の物性に応じて適宜選択されるが、コスト面や重合容易性の点で、線状ブロック共重合体が好ましい。
【0026】
線状ブロック共重合体は、いずれの構造のものであってもよいが、線状ブロック共重合体の物性および組成物の物性の点から、メタクリル系重合体ブロック(A)をa、(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)をbと表現したとき、(a−b)n型、b−(a−b)n型および(a−b)n−a型(nは1以上の整数、たとえば1〜3の整数)からなる群より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体からなることが好ましい。これらの中でも、加工時の取り扱い容易性や組成物の物性の点から、a−b型のジブロック共重合体、a−b−a型のトリブロック共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
【0027】
本発明のバインダー樹脂を構成するアクリル系ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、10,000〜100,000であることが好ましい。数平均分子量が10,000より小さいとペースト組成物の粘度が低くなりすぎて垂れの原因となったり、チクソ性に乏しくなるため好ましくない。数平均分子量が100,000より大きいと粘度が高くなりすぎて加工性や印刷性が低下したり曳糸性(糸曳き)が悪化する傾向がある。なお、前記数平均分子量は、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレンゲルカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算によって測定された値を示す。
【0028】
アクリル系ブロック共重合体をGPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は特に限定されないが、1.8以下であることが好ましい。Mw/Mnが1.8を超えると、垂れの原因となる低分子量成分や、高粘度の原因となる高分子量成分が増加することにより、物性が低下することがある。
【0029】
アクリル系ブロック共重合体における、メタクリル系重合体ブロック(A)の割合は、10〜90重量%である。10重量%より少ないとペースト組成物の垂れが問題となり、90重量%以上であるとペースト組成物の粘度が高くなりすぎる場合がある。
【0030】
アクリル系ブロック共重合体を構成するメタクリル系重合体ブロック(A)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)のガラス転移温度の関係は、メタクリル系重合体ブロック(A)のガラス転移温度をTgA、(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)のそれをTgBとして、下式の関係を満たすことを特徴とする。特に、TgAとTgBの差が50℃以上であることがチクソ性の点から好ましい。
TgA>TgB
前記重合体のガラス転移温度(Tg)の設定は、下記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2 /Tg2)+…+(Wm/Tgm)
W1+W2+…+Wm=1
式中、Tgは重合体部分のガラス転移温度を表わし、Tg1,Tg2,…,Tgmは各重合単量体のガラス転移温度を表わす。また、W1,W2,…,Wmは各重合単量体の重量比率を表わす。
【0031】
前記Fox式における各重合単量体のガラス転移温度は、たとえば、Polymer Handbook Third Edition(Wiley−Interscience,1989)記載の値を用いればよい。
【0032】
なお、前記ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)または動的粘弾性のtanδピークにより測定することができる。
【0033】
本発明のバインダー樹脂を構成するアクリル系ブロック共重合体は、窒素雰囲気下、加熱速度10.0℃/分の条件で500℃まで昇温させた時の重量損失が95%以上であることを特徴とする。95%未満であると、焼成後に残留物が多くなるため好ましくない。
【0034】
本発明のバインダー樹脂を構成するアクリル系ブロック共重合体は、トルエンに40重量%溶解させた時のチクソ指数(2rpmでの粘度(25℃)/20rpmでの粘度(25℃))が1.5〜5.5であることを特徴とする。チクソ指数がこの範囲外であると、スクリーン印刷性の低下やペースト組成物の高温での垂れなどが問題となる場合がある。
【0035】
<メタクリル系重合体ブロック(A)>
メタクリル系重合体ブロック(A)は、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックである。ここで、主成分とは、メタクリル系重合体ブロック(A)を構成する単量体のうちの50重量%以上がメタクリル酸エステルであることを意味する。50重量%未満であると、熱分解性が低下する傾向がある。
【0036】
メタクリル酸エステルとしては、たとえば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸アラルキルエステル;メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイルなどのメタクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチルなどのメタクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタクリル酸2−トリフルオロエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル、メタクリル酸パーフルオロメチル、メタクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタクリル酸フッ化アルキルエステルなどがあげられる。これらの中でも、メタクリル酸メチルが好ましい。これらは単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
メタクリル系重合体ブロック(A)は、メタクリル酸エステルを主成分とするが、これと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%を含んでいてもよい。前記共重合可能なビニル系単量体としては、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
【0038】
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル;アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどをあげることができる。
【0039】
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。
【0040】
シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。
【0041】
共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。
【0042】
ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。
【0043】
ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。
【0044】
マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
【0045】
<(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)>
(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)は、メタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックである。主成分とは、(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)を構成する単量体のうちの50重量%以上がメタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルであることを意味する。50重量%未満であると、熱分解性が低下する傾向がある。メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルの含有量の比としては、特に限定されないが、熱分解性を向上したい場合には100/0〜50/50とすることができ、チクソ性を向上したい場合には、49/51〜0/100とすることができる。
【0046】
メタクリル酸エステルとしては、前記メタクリル系重合体ブロック(A)に用いられるメタクリル酸エステルと同様のものを用いることができるが、ガラス転移温度が低いことから、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシルが好ましく、更にコストの点からメタクリル酸n−ブチルが好ましい。これらは単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
アクリル酸エステルとしては、前記メタクリル系重合体ブロック(A)に用いられるアクリル酸エステルと同様のものを用いることができる。これらの中でも、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチルが好ましい。これらは単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
アクリル系重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするが、これと共重合可能なビニル系単量体50〜0重量%を含んでいてもよい。共重合可能な異種のビニル系単量体としては、上述の、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
【0049】
<官能基(C)>
本発明のバインダー樹脂を構成するアクリル系ブロック共重合体は、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、エポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基(C)を有することを特徴とする。なかでも、無機粒子の分散性の点から、カルボキシル基、ヒドロキシル基が好ましい。
【0050】
官能基(C)は、メタクリル系重合体ブロック(A)中、および(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)中のいずれに存在してもよく、バインダー樹脂として求められる特性に応じて選択することができるが、ペースト組成物の粘度が高くなることを避けるには(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)中に有することが好ましい。
【0051】
これらの官能基(C)の含有量は、バインダー樹脂として必要とされる、分散性、粘度、チクソ性、熱分解性から適宜選択することができるが、含有量が多くなると熱分解性が低下したり、高分子鎖同士の相互作用が時間と共に増加して粘度経時安定性が低下したりする恐れがあるため、アクリル系ブロック共重合体中、5重量%以下であることが好ましく、2重量%以下が更に好ましい。
【0052】
官能基(C)のアクリル系ブロック共重合体への導入方法としては特に限定されず、官能基(C)を有する単量体を共重合させる方法、官能基(C)の前駆体となる官能基を有する単量体を共重合させた後、公知の化学反応にて官能基(C)を生成させる方法、などがある。
【0053】
カルボキシル基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸化合物、マレイン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸化合物およびそのモノエステル化合物などが挙げられる。また、カルボキシル基は、その前駆体となる官能基から変換することができる。カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸トリメチルシリル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸α,α−ジメチルベンジル、(メタ)アクリル酸α−メチルベンジルなどが挙げられる。これらの単量体を重合させた後、加水分解や酸分解、熱分解などによりカルボキシル基を生成させることができる。
【0054】
酸無水物基を有する単量体としては、たとえば、無水マレイン酸などが挙げられる。また、酸無水物基の前駆体となる官能基としては、カルボキシル基が挙げられ、カルボキシル基を導入する方法としては前記の方法を挙げることができる。
【0055】
ヒドロキシル基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ブレンマーPEシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAEシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーP(日本油脂(株))、ブレンマーPPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーPEPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAEPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーPETシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAETシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーPPTシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAPTシリーズ(日本油脂(株))などが挙げられる。
【0056】
エポキシ基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸グリシジル、2,3−エポキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸とエポキシ環を含有する有機基含有アルコールとのエステル、4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2エポキシドなどのエポキシ基含有不飽和化合物などを挙げることができる。
【0057】
<アクリル系ブロック共重合体の製法>
アクリル系ブロック共重合体を製造する方法としては、制御重合法を用いることが好ましい。制御重合法としては、リビングアニオン重合法(特開平11−335432)、有機希土類遷移金属錯体を重合開始剤として用いる重合法(特開平6−93060)、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法(特開平2−45511)、制御ラジカル重合法などが挙げられる。本発明においては、特に官能基を有するモノマーの重合容易性の点から、制御ラジカル重合が好ましい。
【0058】
制御ラジカル重合法としては、たとえば、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いる重合法、コバルトポルフィルン錯体を用いる重合法、ニトロキシドを用いる重合法(WO2004/014926)、有機テルル化合物などの高周期ヘテロ元素化合物を用いる重合法(特許第3839829号)、可逆的付加脱離連鎖移動重合法(RAFT)(特許第3639859号)、原子移動ラジカル重合法(ATRP)(特許第3040172号)などが挙げられる。
【0059】
本発明においては、安価な原料と穏和な反応条件で制御されたアクリル系ブロック共重合体が得られる点で、原子移動ラジカル重合法が好ましい。原子移動ラジカル重合に用いる触媒の中心金属としては、重合制御およびコストの点から銅であることが好ましい。原子移動ラジカル重合法を用いてアクリル系ブロック共重合体(A)を製造する方法としては、たとえば、WO2004/013192に挙げられた方法などを用いることができる。
【0060】
<バインダー樹脂>
本発明のバインダー樹脂には、バインダー樹脂組成物として一般に用いられる、分解促進剤、分解遅延剤、気体発生剤、フィラー、液状樹脂、カップリング剤、有機溶剤等を必要に応じて用いることができる。
【0061】
分解促進剤としては、例えば、アゾ化合物;硫酸鉄、硝酸ナトリウム、ナフテン酸コバルト等の重金属化合物;シュウ酸、リノレイン酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類;ハイドロキノン、過酸化物、酸化錫等が挙げられる。なかでも、分解促進剤に起因する分解残渣分をも低く抑えることができることから、過酸化物が好適である。また、分解促進剤による分解促進効果と同時に、分解で発生する窒素ガスにより分解物の揮発を促進することができることから、アゾ化合物も好適である。
【0062】
分解遅延剤としては、例えば、メルカプト化合物、アミン化合物、有機錫、有機ホウ素等が挙げられる。
【0063】
気体発生剤としては、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等が挙げられる。
【0064】
フィラーとしては、例えば、酸化チタン、アルミナ、コロイダル炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、表面処理シリカ、珪酸カルシウム、無水珪素、含水珪素、マイカ、表面処理マイカ、タルク、クレー、表面処理タルク、窒化ホウ素、窒化アルミナ、窒化炭素、カーボンブラック、ホワイトカーボン、ガラス短繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シラスバルーン、アクリルビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。ただし、フィラーは無機残渣となるものであることから、その含有量は必要最小限に抑えるべきである。
【0065】
液状樹脂としては、具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオールオリゴマー、ブチルアクリレートオリゴマー、2−エチルヘキシルアクリレートオリゴマー、ポリイソプレンオリゴマー、ポリブタジエンオリゴマー、ラウリルメタクリレートオリゴマー、ポリエチレングリコールオリゴマー、ポリプロピレンオリゴマー、ポリテトラメチレングリコールオリゴマー、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、グリセリンモノオレイル酸エステル等が挙げられる。
【0066】
カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシランなどのシランカップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピル−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネートなどのチタンカップリング剤などが挙げられる。
【0067】
有機溶剤としては、固形分の安定性、印刷時の粘度安定性等の点から、沸点が150℃以上のものが好ましく、例えば、ターピネオール、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール等が挙げられる。なかでも、有機残渣の残りにくい芳香環を含まない溶剤が好ましい。
【0068】
<ペースト組成物>
本発明のバインダー樹脂を用いたペースト組成物は、バインダー樹脂と無機粒子からなる。無機粒子としては、金属や金属酸化物などの導電性粒子や、セラミックやガラスなどの誘電体粒子などが挙げられる。金属粒子としては、例えば、銅、銀、金、白金、ニッケル、アルミニウム、タングステン、モリブデン、パラジウムなどが挙げられる。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化銀、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、インジウム錫オキサイド、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。セラミックス粒子としては、例えば、従来から用いられている金属酸化物粉末、非金属の酸化物または非酸化物粉末のいずれもが使用でき、具体例としては、BaTiO3、Al23、ZnO、LaCrO3、鉄族酸化物、バナジウム族酸化物、ZnO−Bi23、SnO2、ZrO2、LaB6、Zn−Mnフェライト、SrO・6Fe23、In23、CaWO4、LaF4、Y22S、ZnS、Y3Al512、GaAs、Bi4(GeO43、LiNbO3、BaNaNb515、ThO2、K2O・nTiO2・nSiO2、BeO、WC、TiC、B4C、SiC、Si34、Ca5(F,Cl)P312、TiO2、K2O・nAl23、PZT、YIGなどが挙げられる。ガラス粒子としては、例えば、硼珪酸鉛ガラス、鉛ガラス、CaO・Al23・SiO2系無機ガラス、MgO・Al23・SiO2系無機ガラス、Li2O・Al23・SiO2系無機ガラス等の低融点ガラスなどが挙げられる。
【0069】
本発明のペースト組成物に金属等の導電性粒子を使用した場合、焼成して配線導体などの導体を形成できる。またセラミック粒子等の誘電体粒子を使用した場合には、焼成して誘電体を形成できる。
【実施例】
【0070】
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例におけるBA、MMA、TBA、EAはそれぞれ、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸エチルを表わす。
【0071】
<分子量測定法>
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
【0072】
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14B
分離カラム:J&W SCIENTIFIC INC製、キャピラリーカラムDB−17、0.35mmφ×30m
分離条件:初期温度50℃、3.5分間保持
昇温速度40℃/min
最終温度140℃、1.5分間保持
インジェクション温度250℃
ディテクター温度250℃
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約10倍に希釈し、アセトニトリルを内部標準物質とした。
【0073】
<熱分解性評価法>
アクリル系ブロック共重合体の熱分解性は、島津製作所(SHIMADZU)製の示差熱熱重量同時測定装置(DTG−50)で測定し、500℃まで昇温した場合の重量損失で評価した。測定は流量50.0ml/分の窒素気流下、加熱速度10.0℃/分の条件でおこなった。重量損失は、室温おける重量を基準とした。
【0074】
<チクソ指数測定法>
アクリル系ブロック共重合体の溶液状態のチクソ指数は、ブルックフィールド社製B型粘度計を用い、トルエンに40重量%で溶解させたアクリル系ブロック共重合体の、25℃における2rpmと20rpmの粘度の比から算出した。
【0075】
(実施例1)
窒素置換した500L耐圧反応器に、アクリル酸ブチル78kg、アクリル酸t−ブチル2.9kg、臭化銅690g、アセトニトリル7.1kg、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.3kgを仕込み、攪拌しながら75℃に加温した。その後、ペンタメチルジエチレントリアミン83gを添加して重合を開始した。重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約100gを抜き取り、ガスクロマトグラム分析によりBAの転化率を決定した。ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。BAの転化率が99%に達したところで、トルエン104kg、塩化銅480g、メタクリル酸メチル48kg、アクリル酸エチル7.8kg、ペンタメチルジエチレントリアミン83gを加えた。MMAの転化率が95%に達したところで、トルエン290kgを加えて反応溶液を希釈すると共に反応器を冷却して重合を停止させた。
【0076】
この重合体溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物2.2kgを加え、150℃で4時間加熱攪拌することにより、TBA中のt−ブチルエステル基をカルボキシル基に変換した。室温まで冷却した後、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を2.7kg添加した。その後、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機を用いて0.1〜0.4MPaGにて加圧濾過し、固体分を分離した。
【0077】
得られた酸性の溶液に、固体塩基として協和化学製キョーワード500SHを1.3kg加え、30℃で1時間撹拌した。その後、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機を用いて0.1〜0.4MPaGにて加圧濾過して固体分を分離した。得られた高分子溶液を真空乾燥させて溶剤および未反応単量体を除き、目的とするアクリル系ブロック共重合体1を得た。
【0078】
得られたアクリル系ブロック共重合体1のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)が52,900、分子量分布(Mw/Mn)が1.47であった。メタアクリル系重合体ブロックと(メタ)アクリル系重合体ブロックの重量比は、60/40であった。カルボキシル基の含有量は、0.75重量%であった。メタクリル系重合体ブロックのガラス転移温度は78℃、アクリル系重合体ブロックのガラス転移温度は−52℃であった。
【0079】
このアクリル系ブロック共重合体1の500℃での重量損失は96.1%、チクソ指数は5.0であった。
【0080】
(実施例2)
5L耐圧反応器を用い、アクリル酸ブチル545g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル46g、臭化銅5.0g、アセトニトリル51g、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル7g、ペンタメチルジエチレントリアミン0.6gを用いた以外は実施例1と同様にして重合を開始した後、トルエン775g、塩化銅3.5g、メタクリル酸メチル360g、アクリル酸エチル58g、ペンタメチルジエチレントリアミン0.6gを用いた以外は実施例1と同様にして重合した。トルエン2000gを加えて重合を停止し、p−トルエンスルホン酸一水和物16gを用いて、30℃で3時間攪拌した。ラヂオライト#3000を19g加え、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機を用いて0.1〜0.4MPaGにて加圧濾過して固体分を分離した。得られた酸性溶液に、キョーワード500SHを15g加え、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機を用いて0.1〜0.4MPaGにて加圧濾過して固体分を分離し、目的とするアクリル系ブロック共重合体2を得た。
【0081】
得られたアクリル系ブロック共重合体2のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)が85,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.53であった。メタアクリル系重合体ブロックと(メタ)アクリル系重合体ブロックの重量比は、60/40であった。ヒドロキシル基の含有量は、1.1重量%であった。メタクリル系重合体ブロックのガラス転移温度は78℃、アクリル系重合体ブロックのガラス転移温度は−51℃であった。
【0082】
(比較例1)
5L耐圧反応器を用い、アクリル酸ブチル707g、アクリル酸t−ブチル26g、臭化銅3.2g、アセトニトリル64g、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル20g、ペンタメチルジエチレントリアミン0.4gを用いた以外は実施例1と同様にして重合を開始した後、トルエン723g、塩化銅3.3g、メタクリル酸メチル447g、アクリル酸エチル72g、ペンタメチルジエチレントリアミン0.4gを用いた以外は実施例1と同様にして重合した。トルエン1000gを加えて重合を停止し、p−トルエンスルホン酸一水和物15gを用いて実施例1と同様にカルボキシル基への変換を実施した。以下、ラヂオライト#3000を24g、キョーワード500SHを48g用いて実施例1と同様の操作により、目的とするアクリル系ブロック共重合体3を得た。
【0083】
得られたアクリル系ブロック共重合体3のGPC分析を行ったところ、数平均分子量(Mn)が29,400、分子量分布(Mw/Mn)が1.34であった。メタアクリル系重合体ブロックと(メタ)アクリル系重合体ブロックの重量比は、60/40であった。カルボキシル基の含有量は、0.81重量%であった。メタクリル系重合体ブロックのガラス転移温度は78℃、アクリル系重合体ブロックのガラス転移温度は−52℃であった。
【0084】
このアクリル系ブロック共重合体1の500℃での重量損失は98.1%、チクソ指数は1.0であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル系重合体ブロック(A)10〜90重量%および(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)90〜10重量%とからなるアクリル系ブロック共重合体であって、メタクリル系重合体ブロック(A)のガラス転移温度が(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)のガラス転移温度より大きく、数平均分子量が10,000〜100,000であり、分子量分布が1.8以下であり、トルエンに40重量%溶解させた時のチクソ指数(2rpmでの粘度(25℃)/20rpmでの粘度(25℃))が1.5〜5.5であることを特徴とするバインダー樹脂。
【請求項2】
アクリル系ブロック共重合体が、窒素雰囲気下、加熱速度10.0℃/分の条件で500℃まで昇温させた時の重量損失が95%以上であることを特徴とする請求項1に記載のバインダー樹脂。
【請求項3】
アクリル系ブロック共重合体が、メタクリル系重合体ブロック(A)および(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)の少なくとも一方に、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、エポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基(C)を有することを特徴とする請求項1または2に記載のバインダー樹脂。
【請求項4】
官能基(C)が、カルボキシル基もしくはヒドロキシル基であることを特徴とする請求項3に記載のバインダー樹脂。
【請求項5】
官能基(C)の含有量が、アクリル系ブロック共重合体中、5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバインダー樹脂。
【請求項6】
アクリル系ブロック共重合体が、制御ラジカル重合により製造されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバインダー樹脂。
【請求項7】
アクリル系ブロック共重合体が、原子移動ラジカル重合により製造されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のバインダー樹脂。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のバインダー樹脂と無機粒子を含むことを特徴とするペースト組成物。
【請求項9】
無機粒子が導電性粒子であることを特徴とする請求項8に記載のペースト組成物。
【請求項10】
無機粒子が金属粒子であることを特徴とする請求項8または9に記載のペースト組成物。
【請求項11】
無機粒子がセラミック粒子であることを特徴とする請求項8に記載のペースト組成物。

【公開番号】特開2010−215712(P2010−215712A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61438(P2009−61438)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】