説明

バゼドキシフェンアセテートの結晶多形

【課題】結晶多形は、物質の同じ組成物が異なる格子配置で結晶化して、特定多形に特異的な異なる熱力学的特性及び安定性を生じさせる場合に起こる。より良好なバイオアベイラビリティー又はより良好な安定性を示すバゼドキシフェンアセテートの結晶多形の提供。
【解決手段】粉末X線回折データ、IRデータ及びDSCデータに従って特徴付けられるバゼドキシフェンアセテートの結晶多形(A形)およびそれを含有する組成物、その製造及びその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的エストロゲン受容体調節剤、1−[4−(2−アゼパン−1−イル−
エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−イン
ドール−5−オール酢酸(バゼドキシフェンアセテート)の、A形と称される結晶多形に
関する。
【背景技術】
【0002】
以下に示す化学式:
【化1】

を有する、バゼドキシフェンアセテート(1−[4−(2−アゼパン−1−イル−エトキ
シ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール
−5−オール酢酸)は、典型的には選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)と称さ
れる薬剤のクラスに属する。その分類と一致して、バゼドキシフェンはエストロゲン受容
体(ER)に対して親和性を示すが、組織選択的エストロゲン作用を示す。例えばバゼド
キシフェンアセテートは、子宮刺激の前臨床モデルにおいて子宮応答の刺激をほとんど又
は全く示さない。逆に、バゼドキシフェンアセテートは、骨減少症の卵巣摘出ラットモデ
ルにおいて骨量減少を防止すること及びコレステロールを低下させることにおいてエスト
ロゲンアゴニスト様の作用を示す。MCF−7細胞株(ヒト乳癌細胞株)では、バゼドキ
シフェンアセテートはエストロゲンアンタゴニストとして行動する。これらのデータは、
バゼドキシフェンアセテートが骨及び心臓血管脂質パラメータに対してはエストロゲン性
であり、子宮及び乳房組織には抗エストロゲン性であって、それ故エストロゲン受容体が
関与する多くの異なる疾患又は疾患様状態を治療するための潜在的可能性を有することを
明らかにする。
【0003】
米国特許第5,998,402号及び同第6,479,535号は、バゼドキシフェン
アセテートの製造を報告し、この塩が174−178℃の融点を有すると特性付けている
。バゼドキシフェンアセテートの合成による製造は一般文献でも公表されている。例えば
前記塩を170.5−172.5℃の融点を有する結晶性固体として報告する、Miller e
t al., J. Med. Chem., 2001, 44, 1654-1657参照。薬剤の生物活性のさらなる説明も、
同様に一般文献中に認められる(例えば Miller, et al. Drugs of the Future, 2002, 2
7(2), 117-121)。
【0004】
特定薬剤の結晶多形がしばしば薬剤の製造の容易さ、安定性、溶解度、保存安定性、製
剤の容易さ及びインビボでの薬理学の重要な決定因子であることは周知である。多形は、
物質の同じ組成物が異なる格子配置で結晶化して、特定多形に特異的な異なる熱力学特性
及び安定性を生じさせる場合に起こる。2以上の多形物質が生成され得る場合、両方の多
形を純粋な形態にする方法を有することは望ましい。いずれの多形が好ましいかを決定す
るときには、多形の数多くの性質を比較して、多くの物理的性質の変数に基づいて好まし
い多形を選択しなければならない。ある種の特徴、例えば製造の容易さ、安定性等が重要
と思われる一部の状況である1つの多形が好ましくありえることは極めて起こり得る。ま
た別の状況では、より大きな溶解度及び/又は卓越した薬物動態のために異なる多形が好
ましいだろう。
【0005】
例えばより良好なバイオアベイラビリティー又はより良好な安定性を示す、改善された
医薬製剤が一貫して求められているので、既存薬剤分子の新しい又はより純粋な多形に対
する需要が現在も存在する。ここで述べるバゼドキシフェンアセテートの多形は、これら
や他の需要に応えるのに役立つ。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、ここで提供する粉末X線回折データ、IRデータ及びDSCデータに従って
特徴付けられるバゼドキシフェンアセテートの結晶多形(A形)を提供する。
【0007】
本発明はさらに、バゼドキシフェンアセテートの多形A形を含有する組成物を提供する

【0008】
本発明はさらに、
a)溶媒中及び場合により水素化触媒の存在下で、バゼドキシフェン遊離塩基を含む反
応混合物を形成するのに適した時間及び条件下で、ヘキサメチレンイミノベンジルオキシ
インドールを水素化試薬と反応させること;
b)反応混合物を、バゼドキシフェンアセテート多形A形を形成するのに適した時間及
び条件下で酢酸によって処理すること
を含む、バゼドキシフェンアセテート多形A形を製造する方法を提供する。
【0009】
本発明はさらに、バゼドキシフェンアセテートのA形多形の治療有効量を哺乳動物に投
与することを含む、エストロゲン欠乏又はエストロゲン過剰に関連する疾患又は症候群を
有する当該哺乳動物を治療する方法を提供する。
【0010】
本発明はさらに、バゼドキシフェンアセテートのA形多形の治療有効量を哺乳動物に投
与することを含む、子宮内膜組織の増殖又は異常発達に関連する疾患又は障害を有する当
該哺乳動物を治療する方法を提供する。
【0011】
本発明はさらに、バゼドキシフェンアセテートのA形多形の治療有効量を哺乳動物に投
与することを含む、当該哺乳動物においてコレステロールを低下させる方法を提供する。
【0012】
本発明はさらに、バゼドキシフェンアセテートのA形多形の治療有効量を哺乳動物に投
与することを含む、当該哺乳動物において骨量減少又は乳癌を抑制する方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、バゼドキシフェンアセテートのA形多形の治療有効量を閉経後女性に
投与することを含む、1以上の血管運動障害、例えば顔面潮紅に関して当該閉経後女性を
治療する方法を提供する。
【0014】
本発明はさらに、ここで述べるいかなる方法によって製造されるバゼドキシフェンアセ
テートの結晶多形A形を提供する。
【0015】
本発明はさらに、治療における使用のための本発明の結晶多形を提供する。
【0016】
本発明はさらに、薬剤の製造のための本発明の結晶多形の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
詳細な説明
本発明は、1以上の固体状態分析法によって特定することができる、ここではA形と称
する、バゼドキシフェンアセテートの無水、非溶媒和結晶多形を提供する。例えばA形は
、図1に示すその粉末X線回折パターンによって特定することができる。A形と一致する
粉末X線回折データを以下の表1に示す。
【表1】

【0018】
いくつかの実施形態では、バゼドキシフェンアセテートの結晶多形(A形)は、2θに
関して、約12.7°及び約18.5°の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンに
よって特徴付けられる。さらなる実施形態では、粉末X線回折パターンは、2θに関して
、約16.0°、約20.7°及び約22.3°の特徴的ピークをさらに含む。さらなる
実施形態では、A形の粉末X線回折パターンは、2θに関して、約9.8°、約12.7
°、約15.2°、約16.0°、約17.1°、約17.4°、約18.5°、約18
.8°、約19.6°、約20.4°、約20.7°、約22.3°、約23.5°、約
24.9°、約25.6°、約26.1°、約27.4°、約28.0°、約28.7°
、約29.6°、約29.9°及び約30.7°から選択される5以上の特徴的ピークを
含む。さらなる実施形態では、A形は、実質的に図1に示す粉末X線回折パターンによっ
て特徴付けられる。ピークの相対的強度は、試料調製手法、試料封入手法及び使用する特
定機器に依存して変わり得る。さらに、機器の違いや他の因子が2θ値に影響を及ぼし得
る。それ故、XRPDピークの割当は、プラス又はマイナス約0.2°変動し得る。
【0019】
A形はまた、図2に示すようなその特徴的赤外(IR)吸収スペクトルによっても特定
することができる。いくつかの実施形態では、A形は、約1511、約1467及び約1
242cm-1から選択される1以上の特徴的ピークを有するKBrにおける赤外スペクト
ルによって特徴付けられる。
【0020】
A形はまた、図3に示すようなその特徴的示差走査熱量計(DSC)トレースによって
も特定できる。いくつかの実施形態では、A形は、約176℃で最大値を示すDSCトレ
ースによって特徴付けられる。DSCに関して、認められる温度が、温度変化の速度並び
に試料調製手法及び使用する特定機器に依存することは公知である。それ故、DSCサー
モグラムに関してここで報告する数値は、プラス又はマイナス約4℃変動し得る。
【0021】
バゼドキシフェンアセテート多形A形は、他の結晶多形、例えばより溶解度の低いB形
とは容易に区別できる。いくつかの物理的性質に関する試料データを、以下の表2におい
てA形及びB形多形に関して比較する。
【表2】

【0022】
表2からわかるように、2個の結晶多形は識別可能な物理的及び分光学的特徴を有する
。A形は、B形よりも水及び有機溶媒系において高い溶解度を有すると思われ、これは、
特定組成物の溶解度が問題となる特定製剤又は用量において有利である。例えばより高い
溶解度は、液体担体中の製剤を容易にすることに加えて、薬剤のより良好な生体吸収及び
分布に寄与し得る。
【0023】
A形は、例えば、水素化触媒(例えば10%活性炭に担持されたパラジウム;Pd/C
10%)の存在下にアルコール(例えばエタノール)を含む溶媒中での水素添加分解に
よってヘキサメチレンベンジルオキシインドール(例えば米国特許第5,998,402
号参照)を脱保護することによって製造できる。水素添加分解は、いかなる長さの時間で
も実施することができ、典型的にはHPLC又は何らかの他の適切な手法によって観測で
きるように反応が実質的に完了するまで実施される。触媒はその後ろ過によって除去する
ことができ、起こり得る水素化生成物の酸化分解を阻止するために抗酸化剤(例えばアス
コルビン酸)を添加することができる。溶媒対ヘキサメチレンベンジルオキシインドール
の適切な重量比の例は、例えば約10:1から約2:1まで、約8:1から約4:1まで
、又は約6:1から約7:1までを含む。
【0024】
水素化生成物(バゼドキシフェン遊離塩基)に酢酸を添加して、酢酸塩を形成すること
ができる。酢酸の適切な量は、典型的には反応混合物中に存在する全ての遊離塩基を塩形
態に変換するのに十分である。従って、1以上の当量の酢酸(ヘキサメチレンベンジルオ
キシインドール出発物質の量に対して)を添加することができる。いくつかの実施形態で
は、約1から約2当量の酢酸を添加する。十分な所望量の酢酸を一度に又は多回に分けて
添加することができる。結晶性生成物は、典型的には酢酸の添加時の溶液から沈殿し、常
套的方法に従ってアルコール含有溶媒から再結晶化することができる。
【0025】
製造及び再結晶化手順の溶媒において使用される適切なアルコールは、例えばメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、それらの混合物等を含み得る。いくつかの実施形態
では、アルコールは、場合により約1−10%v/vトルエン、約1−10%v/vヘキ
サン、約1−10%v/v酢酸エチル等で変性することができるエタノールである。さら
なる実施形態では、反応溶媒及び/又は再結晶化溶媒は、5%(容量ベースで)酢酸エチ
ルを含むエタノールである。さらなる実施形態では、溶媒はエタノールである。
【0026】
A形の製造に含まれる工程は、何らかの適切な温度、例えば約25℃、約20℃又は約
15℃以下で実施することができる。例えば水素化は、周囲温度で、例えば25℃で実施
できる。酢酸の添加は、約20℃以下で実施できる。バゼドキシフェンアセテートを含む
反応混合物は、いかなる長さの時間でも(例えば少なくとも約1時間、少なくとも約2時
間、少なくとも約6時間又は少なくとも約12時間)約−20℃から約20℃の温度に保
持することができる。いくつかの実施形態では、反応混合物を少なくとも約2時間20℃
に保持する。いくつかの実施形態では、反応混合物を少なくとも約2時間0℃に保持する

【0027】
B形の割合は、A形とB形の混合物を含有する組成物において、以下の方法に従って上
昇させることができる。例えばB形は、出発組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの
約10重量%未満、約20重量%未満、約30重量%未満又は約40重量%未満を構成し
得る。B形の割合は、アルコールを含む溶媒を出発組成物と組み合わせること及びその結
果として生じる混合物を、組成物中のB形の割合を上昇させるのに適した長さの時間、約
25℃以上(例えば約25から約60℃、約25から約40℃又は約25から約30℃)
に保持することによって上昇させ得る。溶媒は、バゼドキシフェンアセテート出発物質の
実質的に全部又は全部未満を溶解して、それぞれ均一又は不均一な混合物を形成するのに
十分な量で供給し得る。溶媒は、例えば約5:1、約3:1、約2:1又は約1:1の総
溶媒対バゼドキシフェン出発物質量の重量比で供給し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、バゼドキシフェンアセテートと溶媒の混合物を、例えば数時
間(例えば約1から約3時間)、還流温度に加熱し、その後段階的な方法でに緩やかに冷
却する。例えば混合物を、第一期間中は約45から約55℃(例えば約50℃)に冷却し
、次に第二期間中には約10から約30℃(例えば約20℃)に冷却し得る。第一、第二
及び何らかの付加的な期間は、数時間、例えば約1から約5時間又は約1から約3時間持
続し得る。いくつかの実施形態では、第一期間は約1時間であり、第二期間は約3時間で
ある。混合物は、さらに、生成物の沈殿のために十分なさらなる期間、冷却温度(例えば
約10から約30℃)に保持することができる。付加的な期間は、例えば約2から約24
時間、約8から約18時間又は約13時間であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、A型は、アルコールを含む溶液から、その溶液を約20℃以
下、約10℃以下又は約5℃以下の温度に保持して、バゼドキシフェンアセテートを結晶
化することによって製造できる。アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノール、それらの混合物等を含み得る。いくつかの実施形態では、アル
コールはエタノールを含む。
【0030】
A形を製造するための方法はまた、バゼドキシフェンアセテートを含む溶液にA形種結
晶を入れることを含み、B形を製造するための方法はまた、バゼドキシフェンアセテート
を含む溶液にB形種結晶を入れることを含み得る。
【0031】
A形の例示的製造を実施例1に示す。B形の例示的製造を実施例2に示す。
【0032】
ここで提供するA形の製造のための方法は、実質的に純粋なA形(例えば約10%未満
、約5%未満又は約3%未満のB形を含有する組成物)並びにA形に富む混合物(例えば
B型に比べてA形が約50%以上)を生じさせ得る。従って、本発明はさらに、A形を含
有する組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物中の総バゼドキシフェンアセ
テートの少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、
少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくと
も約98.0重量%、少なくとも約98.1重量%、少なくとも約98.2重量%、少な
くとも約98.3重量%、少なくとも約98.4重量%、少なくとも約98.5重量%、
少なくとも約98.6重量%、少なくとも約98.7重量%、少なくとも約98.8重量
%、少なくとも約98.9重量%、少なくとも約99.0重量%、少なくとも約99.1
重量%、少なくとも約99.2重量%、少なくとも約99.3重量%、少なくとも約99
.4重量%、少なくとも約99.5重量%、少なくとも約99.6重量%、少なくとも約
99.7重量%、少なくとも約99.8重量%、又は少なくとも約99.9重量%がA形
として存在する。さらなる実施形態では、本発明の組成物は、基本的に、バゼドキシフェ
ンアセテートの少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98.
0重量%、少なくとも約98.1重量%、少なくとも約98.2重量%、少なくとも約9
8.3重量%、少なくとも約98.4重量%、少なくとも約98.5重量%、少なくとも
約98.6重量%、少なくとも約98.7重量%、少なくとも約98.8重量%、少なく
とも約98.9重量%、少なくとも約99.0重量%、少なくとも約99.1重量%、少
なくとも約99.2重量%、少なくとも約99.3重量%、少なくとも約99.4重量%
、少なくとも約99.5重量%、少なくとも約99.6重量%、少なくとも約99.7重
量%、少なくとも約99.8重量%、又は少なくとも約99.9重量%がA形として組成
物中に存在する、バゼドキシフェンアセテートから成る。いくつかの実施形態では、残り
のバゼドキシフェンアセテートは、B形として又は非晶質物質として存在する。組成物中
のバゼドキシフェンアセテートの多形のそれぞれの量は、何らかの適切な分光法、例えば
X線粉末回折法又はDSCによって測定することができる。
【0033】
本発明はさらに、本発明の多形(A形)とB形を含有する組成物を提供する。いくつか
の実施形態では、組成物は、約70から約90重量%のA形と約10から約30重量%の
B形、約75から約85重量%のA形と約15から約25重量%のB形、78から約92
重量%のA形と約18から約22重量%のB形、又は約80重量%のA形と約20重量%
のB形を含有する。
【0034】
本発明はさらに、組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約70から約90重量%
が本発明の多形(A形)として存在し、及び組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの
約10から約30重量%がB形として存在する、又は組成物中の総バゼドキシフェンアセ
テートの約75から約85重量%が本発明の多形(A形)として存在し、及び組成物中の
総バゼドキシフェンアセテートの約15から約25重量%がB形として存在する、又は組
成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約78から約82重量%が本発明の多形(A形
)として存在し、及び組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約18から約22重量
%がB形として存在する、又は組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約80重量%
が本発明の多形(A形)として存在し、及び組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの
約20重量%がB形として存在する、バゼドキシフェンアセテートを含有する組成物を提
供する。
【0035】
A形及びB形を含有する組成物は、例えばここで提供する方法のいずれかに従って製造
される、実質的に純粋なA形及びB形の混合を含む、何らかの適切な方法によって製造す
ることができる。
【0036】
方法
米国特許第5,998,402号に述べられているように、バゼドキシフェン及びその
塩は、エストロゲン受容体に親和性を有する選択的エストロゲンアゴニストである。他の
タイプのエストロゲンアゴニストと異なり、バゼドキシフェン及びその塩は子宮において
抗エストロゲン性であり、子宮組織でのエストロゲンアゴニストの栄養作用に拮抗するこ
とができる。従って、バゼドキシフェンアセテートの多形及びそれらを含有する組成物は
、エストロゲン欠乏又はエストロゲン過剰に関連する疾患状態又は症候群を治療すること
に関して多くの用途を見出し得る。多形はまた、子宮内膜又は子宮内膜様組織の増殖又は
異常な発達、作用又は成長から生じる疾患又は障害のための治療方法においても使用する
ことができる。
【0037】
本発明のバゼドキシフェンアセテートの多形は、コレステロールを低下させること及び
骨量減少を抑制することによってエストロゲンアゴニストのように作用する能力を有する
。従って、前記多形は、エストロゲン作用及びエストロゲン過剰又は欠乏から生じる多く
の疾病、例えば骨粗しょう症、前立腺肥大、男性型禿頭症、膣及び皮膚萎縮、ざ瘡、機能
不全性不正子宮出血、子宮内膜ポリープ、良性乳房疾患、子宮平滑筋腫、腺筋症、卵巣癌
、不妊症、乳癌、子宮内膜症、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、心臓血管疾患、避妊、
アルツハイマー病、認知低下及び他のCNS障害、並びに、中でも特に、黒色腫、前立腺
癌、結腸癌、CNS癌を含むある種の癌、を治療するために有用である。加えて、これら
の多形は、閉経前女性における避妊、並びに閉経後女性における(例えば顔面潮紅などの
血管運動障害を治療するため)又はエストロゲン補充が有益である他のエストロゲン欠乏
状態におけるホルモン補充療法のために使用することができる。また、無月経が好都合で
ある疾患状態、例えば白血病、子宮内膜剥離、慢性腎又は肝疾患又は血液凝固疾患又は障
害においても使用できる。
【0038】
本発明の多形はまた、骨量減少を抑制する方法においても使用することができる。骨量
減少はしばしば、個体の新しい骨組織の形成とより古い組織の吸収の不均衡から生じ、骨
量の正味の減少を導く。そのような骨量減少は、ある種の個体、特に閉経後女性、両側卵
巣摘出術を受けた女性、長期間コルチコステロイド治療を受けた又は受けている個体、性
器発育異常を経験している個体、及びクッシング症候群に罹患している個体において生じ
る。骨折、不完全骨格を有する個体、及び骨関連手術及び/又は人工器官の移植を受けた
個体における、歯及び口腔骨を含む骨補充の特殊な必要性も、これらの多形を使用して対
処することができる。上述した問題に加えて、本発明の多形は、変形性関節症、低カルシ
ウム血症、高カルシウム血症、パジェット病、骨軟化症、骨石灰脱失症、多発性骨髄腫及
び骨組織への有害作用を有する他の形態の癌の治療において使用できる。
【0039】
ここで列挙する疾患及び症候群を治療する方法は、そのような治療を必要する個体に本
発明の多形の治療有効量又はそれを含有する組成物を投与することを含むことは了解され
る。ここで使用する、疾患に関連した「治療する」という用語は、疾患を予防すること、
抑制すること及び/又は改善することを指すことが意図されている。
【0040】
ここで使用する、交換可能に用いられる「個体」又は「患者」という用語は、哺乳動物
、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ
、ウマ又は霊長類を含む何らかの動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0041】
ここで使用する、「治療有効量」という語句は、以下:
(1)疾患を予防すること;例えば疾患、状態又は障害に罹患しやすいかもしれないが
、疾患の病変又は総体的症状をまだ経験していない又は示していない個体において疾患、
状態又は障害を予防すること;
(2)疾患を抑制すること;例えば疾患、状態又は障害の病変又は総体的症状を経験し
ている又は示している個体において疾患、状態又は障害を抑制すること(すなわち病変及
び/又は総体的症状のさらなる発現を停止させる又は緩慢化すること);及び
(3)疾患を改善すること;例えば疾患、状態又は障害の病変又は総体的症状を経験し
ている又は示している個体において疾患、状態又は障害を改善すること(すなわち病変及
び/又は総体的症状を逆転させること)
の1以上を含む、研究者、獣医、医師又は他の臨床家によって追及される組織、系、動物
、個体又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を惹起する活性化合物又は薬剤の量を指
す。
【0042】
用量及び製剤
本発明はまた、1以上の製薬上許容される担体、賦形剤等と共に本発明の多形の1以上
を使用する医薬組成物を含む。
【0043】
バゼドキシフェンアセテートA形の製剤は、その必要のある個人に0.1mgから10
00mgの範囲の1日量で投与することができる治療有効量を含む。例示的な用量範囲は
、10mg/日から約600mg/日まで又は10mg/日から約60mg/日まで変わ
る。投薬は、1日当りの単回用量あるいは2回以上の分割用量であり得る。そのような用
量は、経口的、インプラントによる、非経口的(静脈内、腹腔内及び皮下注射を含む)、
経膣的、経直腸的及び経皮的を含む、化合物が血流中に入るのを促進する何らかの方法で
投与することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、製剤は、体表面及び上皮と粘膜組織を含む身体通路の内層を
横切る全ての投与方法を含む、経皮的に投与される。そのような投与は、ローション、ク
リーム、コロイド、泡、パッチ、懸濁液又は溶液の形態であり得る。
【0045】
本発明の多形を含有する経口製剤は、錠剤、カプセル、バッカル形態、トローチ、ロゼ
ンジ及び経口液体、懸濁液又は溶液を含む、何らかの慣例的に使用される経口形態を含み
得る。カプセルは、バゼドキシフェンアセテートの他の多形又は非晶質バゼドキシフェン
アセテートと所望パーセンテージの結晶性A形の混合物を含み得る。所望結晶形態の所望
パーセンテージ組成物のカプセル又は錠剤はまた、他の活性化合物又は不活性充填剤及び
/又は希釈剤、例えば製薬上許容されるデンプン(例えばトウモロコシ、ジャガイモ又は
タピオカデンプン)、糖、人工甘味料、粉末セルロース、例えば結晶性及び微結晶性セル
ロース、小麦粉、ゼラチン、ゴム等、の混合物と組み合わせてもよい。
【0046】
錠剤製剤は、従来の圧縮、湿式造粒又は乾式造粒法によって製造することができ、製薬
上許容される希釈剤(充填剤)、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、懸濁化剤又は安定剤を使用す
ることができ、それらは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル
硫酸ナトリウム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビ
ニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアゴム、キサンタンガム、クエン酸ナト
リウム、複合ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビ
トール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、
塩化ナトリウム、タルク、乾燥デンプン及び粉砂糖を含むが、これらに限定されない。こ
こで使用する経口製剤は、標準的な遅延放出又は持続放出製剤又は徐放剤(spansule)を
使用し得る。坐薬製剤は、坐薬の融点を変化させるためのろうを添加した又は添加しない
ココアバター、及びグリセリンを含む、伝統的な材料から製造することができる。水溶性
坐薬基剤、例えば様々な分子量のポリエチレングリコールも使用し得る。
【0047】
本発明の多形の製剤を製造するのに適する例示的な賦形剤系は、1以上の充填剤、崩壊
剤及び潤滑剤を含む。
【0048】
充填剤成分は、当技術分野で公知の何らかの充填剤成分であり得、ラクトース、微結晶
性セルロース、スクロース、マンニトール、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、粉末セ
ルロース、マルトデキストリン、ソルビトール、デンプン又はキシリトールを含むが、こ
れらに限定されない。
【0049】
本発明の製剤における使用に適する崩壊剤は、プレゼラチン化デンプン及びデンプング
リコール酸ナトリウムを含む、当技術分野で公知のものから選択することができる。他の
有用な崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプン、アルギン
酸、アルギン酸ナトリウム、粘土(例えばビーガム又はキサンタンガム)、セルロースフ
ロック、イオン交換樹脂、又は発泡系、例えば食品酸(例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ
酸、フマル酸、乳酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、エリソルビン酸、
グルタミン酸及びコハク酸)を利用するもの及び炭酸アルカリ成分(例えば重炭酸ナトリ
ウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等)を含む
。ここで有用な崩壊剤は、組成物の約4重量%から約40重量%、好ましくは約15%か
ら約35%、より好ましくは約20%から約35%を構成し得る。
【0050】
医薬製剤はまた、抗酸化剤又は抗酸化剤の混合物、例えばアスコルビン酸を含み得る。
使用できる他の抗酸化剤は、好ましくは一定量のアスコルビン酸と組み合わせた、アスコ
ルビン酸ナトリウム及びパルミチン酸アスコルビルを含む。抗酸化剤についての例示的範
囲は、約0.5重量%から約15重量%、最も好ましくは約0.5重量%から約5重量%
である。
【0051】
例示的な経口製剤は、本発明の多形及び以下の賦形剤系:
a)合わせて総製剤の約5重量%から約82重量%、好ましくは製剤の約30%から約
80%を構成する充填剤及び崩壊剤、但し総製剤の約4重量%から約40重量%は1以上
の製薬上許容される崩壊剤を構成する;及び
b)例えばステアリン酸マグネシウム又は他の金属ステアリン酸塩(例えばステアリン
酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛)、脂肪酸エステル(例えばフマル酸ステアリルナト
リウム)、脂肪酸(例えばステアリン酸)、脂肪アルコール、ベヘン酸グリセリル、鉱物
油、パラフィン、硬化植物油、ロイシン、ポリエチレングリコール、金属ラウリル硫酸塩
及び塩化ナトリウムの群から選択される、組成物の約0.2%から約10%(重量)を構
成する潤滑剤
を含有する。
【0052】
さらなる賦形剤系は、
a)合わせて約5.4重量%から約89重量%又は好ましくは約32.5重量%から約
87重量%を構成する充填剤及び崩壊剤;及び
b)約0.22重量%から約10.9重量%を構成する潤滑剤
を含み得る。
【0053】
賦形剤系はまた、場合により製薬上許容される湿潤剤、流動促進剤及び抗酸化剤を使用
し得る。そのような系は、
a)合わせて総製剤の約5重量%から約82重量%、好ましくは製剤の約30%から約
80%を構成する充填剤及び崩壊剤、但し総製剤の約4重量%から約40重量%は1以上
の製薬上許容される崩壊剤を構成する;
b)場合により、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエ
チレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ドキュセートナトリウム、第四
級アンモニウム化合物、脂肪酸の糖エステル及び脂肪酸のグリセリドの群から選択される

組成物の約0.2から約5%(重量)を構成する湿潤剤;
c)例えばステアリン酸マグネシウム又は他の金属ステアリン酸塩(例えばステアリン
酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛)、脂肪酸エステル(例えばフマル酸ステアリルナト
リウム)、脂肪酸(例えばステアリン酸)、脂肪アルコール、ベヘン酸グリセリル、鉱物
油、パラフィン、硬化植物油、ロイシン、ポリエチレングリコール、金属ラウリル硫酸塩
及び塩化ナトリウムの群から選択される、組成物の約0.2%から約10%(重量)を構
成する潤滑剤;及び
d)場合により、二酸化ケイ素、タルク、金属ステアリン酸塩、ケイ酸カルシウム又は
金属ラウリル硫酸塩の群を含む、当技術分野で公知のものから選択される、最終組成物の
約0.1%から約10%(重量)を構成する流動促進剤
を含み得る。
【0054】
さらなる賦形剤系は、本発明によれば、重量ベースで、
a)合わせて製剤の約54%から約80%の間を構成する充填剤及び崩壊剤、但しその
中の崩壊剤は製剤全体の約4重量%から約40重量%を構成する;
b)製剤の約0.55%から約2.5%の間を構成する湿潤剤;
c)製剤の約0.2%から約5.5%の間を構成する潤滑剤;及び
d)製剤の約0.1%から約5.0%の間を構成する流動促進剤
を含み得る。
【0055】
上記賦形剤系は、場合により抗酸化剤成分、例えばアスコルビン酸を約0.5重量%か
ら約5.0重量%の濃度で含み得る。
【0056】
本発明のさらなる賦形剤系の中には、
a)重量ベースで、合わせて製剤の約50%から約87%の間を構成する充填剤及び崩
壊剤、但しその中の崩壊剤は製剤の約25%から約35%を構成する;
b)製剤の約0.55%から約2.7%の間を構成する湿潤剤;
c)製剤の約0.2%から約5.5%の間を構成する潤滑剤;
d)製剤の約0.1%から約5.5%の間を構成する流動促進剤;及び
e)約0.5重量%から約5.5重量%の量の、抗酸化剤成分、例えばアスコルビン酸
を含むものがある。
【0057】
充填剤、崩壊剤、潤滑剤及び他の成分に関して上記に列挙したパーセンテージは、最終
医薬組成物に基づく。最終組成物の残りのパーセンテージは、活性薬剤及び場合により、
ここで述べる製薬上許容される表面被膜、例えばコーティング又はカプセルを含む。本発
明のいくつかの実施形態では、活性薬剤は、最終組成物の約0.5重量%から約20重量
%、より好ましくは約1%から約5%を構成し、コーティング又はカプセルは、最終組成
物の約8重量%までを構成する。
【0058】
ここで述べる製剤は、非被覆又は非被包固体形態で使用することができる。いくつかの
実施形態では、医薬組成物は、例えば組成物全体の約0.3から約8重量%を構成する、
フィルムコーティングで被覆される。本発明の製剤に関して有用なフィルムコーティング
は当技術分野において公知であり、一般にポリマー(通常はセルロース系ポリマー)、着
色料及び可塑剤から成る。フィルムコートにある種の特徴を与えるために付加的な成分、
例えば湿潤剤、糖、着香料、油及び潤滑剤をフィルムコーティング製剤に含めてもよい。
ここでの組成物及び製剤はまた、固体として組み合わせて加工し、その後カプセル形態、
例えばゼラチンカプセルに入れてもよい。
【0059】
バゼドキシフェンアセテートの医薬組成物は、ステロイドエストロゲン、例えば抱合エ
ストロゲン、USPと共に製剤することができる。この製剤において使用するバゼドキシ
フェンアセテートの量は、使用する特定多形又は多形の比率、製剤中のステロイドエスト
ロゲンの量及び種類並びに考慮される特定治療適応症に従って調節することができる。一
般に、定義された多形組成物比率のバゼドキシフェンアセテートは、特定エストロゲンの
作用に所望レベルまで拮抗するのに十分な量で使用できる。抱合エストロゲンの用量範囲
は、約0.3mgから約2.5mg、約0.3mgから約1.25mg又は約0.3mg
から約0.625mgであり得る。配合剤におけるバゼドキシフェンアセテートの量の例
示的範囲は、約10mgから約40mgである。ステロイドエストロゲン、メストラノー
ルに関しては、1日用量は約1μGから約150μGであり得、エチニルエストラジオー
ルについては、約1μGから300μGの1日用量が使用できる。いくつかの実施形態で
は、1日用量は約2μGから約150μGの間である。
【0060】
ここで開示する本発明がより効率よく理解され得るように実施例を以下に提供する。こ
れらの実施例は例示だけを目的とし、いかなる意味においても本発明を限定すると解釈さ
れるべきでないことは了解される。
(実施例)
【実施例1】
【0061】
バゼドキシフェンアセテートA形多形の製造
【化2】

攪拌器を備えた2ガロン(gal)の水素化容器に、ヘキサメチレンイミノベンジルオキ
シインドール(250 g、0.3841 mol;製造に関しては米国特許第5,998,402号参
照)、エタノール(5容量%の酢酸エチルで変性)(1578 g、2000 mL)及び10%活性炭に
担持されたパラジウム(25 g)を入れた。反応物を25 ℃、50 psiで20時間水素化した。
反応の進行をHPLC(カラム:CSC-S ODS 2、25 cm;移動相:20 % 0.02 M NH4H2PO4
TEA/L 2 mL、pH=3)及び80 % MeCN;流速:2 mL/分;検出器:220 nm)によって観測し
た。ヘキサメチレンイミノベンジルオキシインドール(保持時間18.2分)又はそのモノ脱
ベンジル化誘導体(保持時間5.1分)のいずれかの1%未満が検出されたとき反応が完了
したとみなした。
【0062】
カートリッジを通して混合物をろ過し、その後エタノール(5容量%の酢酸エチルで変
性)(2×198 g、2×250 mL)で洗浄した。ろ液を、窒素下でL−アスコルビン酸(2.04
g、0.0116 mol)を入れた攪拌器付き5L多口フラスコに移した。酢酸(34.6 g、0.5762 m
ol)を20℃で攪拌しながら添加した。生じた反応混合物を2時間攪拌した(pHは約5であり
、酢酸の添加から約10分以内に結晶化が始まった)。次に反応混合物を0℃に冷却し、こ
の温度に2時間保持した。生じた固体をブフナー漏斗でのろ過によって収集し、0℃でエ
タノール(5容量%の酢酸エチルで変性)(2×150 g、2×190 mL)によって洗浄した。
【0063】
3L多口フラスコに、ろ過した固体、エタノール(5容量%の酢酸エチルで変性)(110
5 g、1400 mL)及びL−アスコルビン酸(1.73 g、0.01 mol)を入れることによって固体
生成物をさらに精製した。生じた混合物を75℃に加熱し、2時間かけて20℃に冷却した。
生じた懸濁液をさらに0℃に冷却し、この温度に2時間保持した。生じた固体生成物をブ
フナー漏斗でのろ過によって収集し、0℃でエタノール(5容量%の酢酸エチルで変性)(
2×79 g、2×100 mL)によって洗浄した。生成物を真空中60℃、5 mmHgで24時間乾燥して
、バゼドキシフェンアセテートA形151.3 gを得た(収率74.2 %)。
【実施例2】
【0064】
バゼドキシフェンアセテートA形からのB形の製造
エタノール(5 %アセトン及び3 %シクロヘキサンで変性)594 g及び酢酸エチル184 g
の攪拌溶液に、窒素下でバゼドキシフェンアセテートA形400 gを添加した(例えば実施
例1参照)。この不均一混合物を30 ℃に保持し、窒素下で一晩攪拌した。
【0065】
結晶変換の完了をDSC分析によって判定した。混合物を0 ℃に冷却し、窒素下で2時間
攪拌した。生成物をろ過し、上記のような変性エタノールと酢酸エチルの混合物で洗浄し
て、真空下に60 ℃で一晩乾燥し、バゼドキシフェンアセテートB形多形391 gを得た(収
率97.7 %)。
【0066】
無水エタノール又は5 %トルエンで変性したエタノールを使用して実質的に同じ結果を
得た。
【実施例3】
【0067】
X線粉末回折(XRPD)
Cu K α線を用いて(Scintag X2)X線粉末回折計でXRPD分析(例えば図1参照)を実
施した。装置は出力管を備え、アンペア数は45 kV及び40 mAに設定した。発散スリットと
散乱スリットは1°に設定し、受光スリットは0.2 mmに設定した。3°/分(0.4秒/0.0
2°工程)で3から40°2θのθ−2θ連続走査を使用した。
【実施例4】
【0068】
赤外(IR)分光法
以下のようにしてIRスペクトル(例えば図2参照)を得た。試料を臭化カリウム(KB
r)ディスク(又はペレット)として調製した。各々の試料の少量(約3 mg)を、光沢の
ある外観になるまで硬表面乳鉢で摩砕した。KBr 0.5 gを試料に添加し、混合物が十分に
混合されるまで持続的に摩砕した。次に混合物を金型に移し、水圧プレスを用いてディス
クに成形した。
【0069】
図2のIRスペクトルは、4 cm-1の分解能及び400−400 0cm-1間の16スキャンで操作し
たDIGILAB EXCALIBURシリーズFTS-4000 FT-IR分光計を用いて得られた。
【実施例5】
【0070】
示差走査熱量測定(DSC)
Perkin-ElmerからのPyris I DSCを用いて窒素パージ下に25℃から200℃を10℃/分の走
査速度で、密封パンと通気パンの両方においてDSC測定(例えば図3及び4参照)を実
施した。
【0071】
本発明の様々な変形が、ここで述べるものに加えて、上記の説明から当業者には明白で
ある。そのような変形も添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。本出
願の中で引用した各々の参考文献は、その全体が参照してここに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、回折角度(2θ)が0.02°の工程で5°から40°である、バゼドキシフェンアセテートA形多形の粉末X線回折パターンを示す。
【図2】図2は、KBrペレット中のバゼドキシフェンアセテートA形多形のIRスペクトルを示す。
【図3】図3は、バゼドキシフェンアセテートA形多形の示差走査熱量測定(DSC)トレースを示す。
【図4】図4は、比較としてバゼドキシフェンアセテートB形多形のDSCトレースを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2θに関して、約12.7°及び約18.5°の特徴的ピークを含む粉末X線回折パターンを有するバゼドキシフェンアセテートの結晶多形(A形)。
【請求項2】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、約16.0°、約20.7°及び約22.3°の特徴的ピークをさらに含む、請求項1に記載の多形。
【請求項3】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、約9.8°、約12.7°、約15.2°、約16.0°、約17.1°、約17.4°、約18.5°、約18.8°、約19.6°、約20.4°、約20.7°、約22.3°、約23.5°、約24.9°、約25.6°、約26.1°、約27.4°、約28.0°、約28.7°、約29.6°、約29.9°及び約30.7°から選択される少なくとも5の特徴的ピークを含む、請求項1に記載の多形。
【請求項4】
実質的に図1に示す粉末X線回折パターンを有する、請求項1に記載の多形。
【請求項5】
約1511、約1467及び約1242cm-1から選択される1以上の特徴的ピークを
含むKBrにおける赤外スペクトルを有する、請求項1に記載の多形。
【請求項6】
実質的に図2に示すKBrにおける赤外スペクトルを有する、請求項1に記載の多形。
【請求項7】
約176℃で最大値を示す示差走査熱量測定トレースを有する、請求項1に記載の多形

【請求項8】
実質的に図3に示す示差走査熱量測定トレースを有する、請求項1に記載の多形。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の多形を含む組成物。
【請求項10】
前記組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの50重量%から99.9重量%が前記多形として存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の前記多形(A形)及びB形を含有する組成物。
【請求項12】
約70から約90重量%のA形及び約10から約30重量%のB形を含有する、請求項
11に記載の組成物。
【請求項13】
約75から約85重量%のA形及び約15から約25重量%のB形を含有する、請求項
11に記載の組成物。
【請求項14】
約78から約92重量%のA形及び約18から約22重量%のB形を含有する、請求項
11に記載の組成物。
【請求項15】
約80重量%のA形及び約20重量%のB形を含有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約70から約90重量%が請求項1に記載
の多形(A形)として存在し、及び前記組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約1
0から約30重量%がB形として存在する、バゼドキシフェンアセテートを含有する前記
組成物。
【請求項17】
組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約75から約85重量%が請求項1に記載
の多形(A形)として存在し、及び前記組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約1
5から約25重量%がB形として存在する、バゼドキシフェンアセテートを含有する前記
組成物。
【請求項18】
組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約78から約82重量%が請求項1に記載
の多形(A形)として存在し、及び前記組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約1
8から約22重量%がB形として存在する、バゼドキシフェンアセテートを含有する前記
組成物。
【請求項19】
組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約80重量%が請求項1に記載の多形(A
形)として存在し、及び前記組成物中の総バゼドキシフェンアセテートの約20重量%が
B形として存在する、バゼドキシフェンアセテートを含有する前記組成物。
【請求項20】
請求項1から8のいずれか一項に記載の多形及び製薬上許容される担体を含有する組成
物。
【請求項21】
バゼドキシフェンアセテートの95重量%から99.9重量%が、請求項1から8のいずれか一項に記載の多形として組成物中に存在する、基本的に前記バゼドキシフェンアセテートから成る前記組成物。
【請求項22】
請求項1から8のいずれか一項に記載の多形及び1以上のステロイドエストロゲンを含
有する組成物。
【請求項23】
前記ステロイドエストロゲン成分が抱合エストロゲンを含む、請求項22に記載の組成
物。
【請求項24】
a)溶媒中及び場合により水素化触媒の存在下で、バゼドキシフェン遊離塩基を含む反
応混合物を形成するのに適した時間及び条件下で、ヘキサメチレンイミノベンジルオキシ
インドールを水素化試薬と反応させること;
b)前記反応混合物を、バゼドキシフェンアセテート多形A形を形成するのに適した時
間及び条件下で酢酸によって処理すること
を含む、バゼドキシフェンアセテート多形A形を製造する方法。
【請求項25】
前記溶媒がアルコールを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アルコールがエタノールを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記溶媒が酢酸エチルをさらに含む、請求項24又は請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記水素化試薬がH2である、請求項24から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記水素化触媒がPd/Cである、請求項24から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記工程b)の処理を抗酸化剤の存在下で実施する、請求項24から29のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗酸化剤がアスコルビン酸である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記工程b)の処理を約25℃以下の温度で実施する、請求項24から31のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項33】
工程b)の反応混合物を約−20℃から約20℃までの温度に少なくとも約2時間保持
することをさらに含む、請求項24から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
工程b)の反応混合物を約20℃の温度に少なくとも約2時間保持することをさらに含
む、請求項24から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
工程b)の反応混合物を約0℃の温度に少なくとも約2時間保持することをさらに含む
、請求項24から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
アルコールを含む溶液から、その溶液を約20℃以下の温度に保持して、バゼドキシフ
ェンアセテートを結晶化することを含む、バゼドキシフェンアセテート多形A形を製造す
る方法。
【請求項37】
前記溶液を約10℃以下の温度に保持する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記アルコールがエタノールを含む、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
請求項1から8のいずれか一項に記載の多形の治療有効量を哺乳動物に投与することに
よって、エストロゲン欠乏又はエストロゲン過剰に関連する疾患又は症候群を有する当該
哺乳動物を治療するための医薬組成物。
【請求項40】
請求項1から8のいずれか一項に記載の多形の治療有効量を哺乳動物に投与することに
よって、子宮内膜組織の増殖又は異常発達に関連する疾患又は障害を有する当該哺乳動物
を治療するための医薬組成物。
【請求項41】
請求項1から8のいずれか一項に記載の多形の治療有効量を哺乳動物に投与することに
よって、当該哺乳動物においてコレステロールを低下させるための医薬組成物。
【請求項42】
請求項1から8のいずれか一項に記載の多形の治療有効量を哺乳動物に投与することに
よって、当該哺乳動物において骨量減少を抑制するための医薬組成物。
【請求項43】
請求項1から8のいずれか一項に記載の多形の治療有効量を哺乳動物に投与することに
よって、当該哺乳動物において乳癌を治療するための医薬組成物。
【請求項44】
請求項1から8のいずれか一項に記載の多形の治療有効量を閉経後女性に投与すること
によって、1以上の血管運動障害に関して当該閉経後女性を治療するための医薬組成物。
【請求項45】
血管運動障害が顔面潮紅である、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
請求項24から35のいずれか一項に記載の方法によって製造されるバゼドキシフェン
アセテートの結晶多形A形。
【請求項47】
a)溶媒中及び場合により水素化触媒の存在下で、バゼドキシフェン遊離塩基を含む反
応混合物を形成するのに適した時間及び条件下で、ヘキサメチレンイミノベンジルオキシ
インドールを水素化試薬と反応させること;
b)前記反応混合物を、バゼドキシフェンアセテート多形A形を形成するのに適した時
間及び条件下で酢酸によって処理すること
を含む方法によって製造される、請求項1から8のいずれか一項に記載の多形。
【請求項48】
アルコールを含む溶液を約20℃以下の温度に保持し、前記溶液からバゼドキシフェン
アセテートを結晶化することを含む方法によって製造される、請求項1から8のいずれか
一項に記載の多形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−35535(P2009−35535A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171135(P2008−171135)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【分割の表示】特願2007−507487(P2007−507487)の分割
【原出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】