説明

バックライトユニット

【課題】消費電力が少なく、液晶表示装置のコントラスト比を高めることができる、希ガス蛍光ランプを備えたバックライトユニットを提供すること。
【解決手段】発光管の外部に管軸に沿って配置された一対の外部電極を有する希ガス蛍光ランプを並列配置し、当該希ガス蛍光ランプを点灯させる駆動回路と、当該駆動回路に調光信号を送出する制御信号発生回路を備えたバックライトユニットにおいて、前記希ガス蛍光ランプの外部電極の少なくとも一方の電極が管軸方向に分割され、その分割された外部電極ごとに別個独立に接続された駆動回路と、当該希ガス蛍光ランプの少なくとも一端に位置する外部電極が形成された管壁の内面に形成された始動電極とを備え、前記制御信号発生回路は、当該駆動回路に対して、当該希ガス蛍光ランプの点灯始動時に当該分割されたすべての外部電極に給電し、一定期間経過後、当該分割された外部電極ごとに調光をする、調光信号を送出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプを備えたバックライトユニットに関し、特に、内部に希ガスが放電ガスとして封入された発光管の外周面に、外部電極が配置された構成の蛍光ランプを備えたバックライトユニット並びにバックライトの点灯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、OA機器の光源や液晶表示装置のバックライト等に使用される蛍光ランプとして、発光管の外表面に一対の帯状の外部電極を配設し、高周波電圧を印加して点灯する方式の希ガス蛍光ランプが知られている。これらの希ガス蛍光ランプを複数並べて点灯する液晶表示装置のバックライトユニットが知られている。
【0003】
図8(a)は、例えば特許文献1記載の従来の希ガス蛍光ランプを示す断面図、図8(b)はZ−Z’線断面図であり、図9は従来の希ガス蛍光ランプを備えたバックライトユニットである。
図8(a)において、希ガス蛍光ランプ8は、透光性の誘電材料よりなる発光管81を備え、発光管81の外表面上に、発光管81を挟んで離間する一対の帯状の外部電極83、84が、発光管81の管軸方向に沿って配設されている。発光管81の内面には蛍光体が全域にわたって塗布されており、内部には、Xeガスなどの希ガスよりなる発光ガスが封入されている。
外部電極83、84間に高周波電圧が印加されると、誘電材料である発光管81を介して放電空間S内にエキシマ放電が発生し、このエキシマ放電により発生した真空紫外光によって蛍光体が励起されて可視光に変換するため、発光管81の外部に可視光が出射される。
【0004】
図9において、バックライトユニット800は、箱状のケーシング95内に複数の希ガス蛍光ランプ8が互いに平行に並んで配置されており、希ガス蛍光ランプ8の背面には反射シート91が設けられている。さらに反射シート91の背面には不図示の電源が配置されており、各々の希ガス蛍光ランプ8に電力を供給できる。
希ガス蛍光ランプ8の光出射側には、光を面状にして出射するための拡散板92と、拡散シート93と、指向性制御シート94とが重ねられて配置される。以上により、希ガス蛍光ランプを備えたバックライトユニットは液晶表示装置に適した面状の可視光源を提供することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−243415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、薄型テレビ等の大型液晶表示装置への省エネルギーの要求が高まり、光源であるバックライトユニットにも消費電力が少ないことが求められている。また、液晶表示装置には、映像を美しく表示させるためにコントラスト比の向上も求められている。
【0007】
ところで、液晶表示装置においては、液晶自体が発光するものではないので、希ガス蛍光ランプや発光ダイオード等のバックライトを要する。これらのバックライトは表示される画面の全面に一定の明るさを供給するものであり、画像の明暗は液晶パネルの動作によって制御される。したがって、画像が暗い場合であっても不必要に照明を提供して電力を消費している。また、液晶パネルによる明暗の調整にも限度があり、バックライトが常に一定に点灯していては明暗のコントラスト比を向上させることは難しい。
ランプごとに点灯状態を制御するとしても、従来の希ガス蛍光ランプや、発光管の内部に電極を有する冷陰極型蛍光ランプ(以下、CCFLと呼ぶ)などを用いたバックライトユニットでは1方向のみの調光しかできない。特にCCFLは管軸方向にのみ放電をするので平面状で2方向の調光をすることは困難である。また、複数のランプを縦横アレイ状に並列させることは、ランプと駆動回路の数が増えて不経済であり、LEDを用いたものも同様である。
【0008】
以上により本発明は、消費電力が少なく、液晶表示装置のコントラスト比を高めることができる、希ガス蛍光ランプを備えたバックライトユニット及びバックライトユニットの点灯方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、発光管の外部に管軸に沿って配置された一対の外部電極を有する希ガス蛍光ランプを並列配置し、当該希ガス蛍光ランプを点灯させる駆動回路と、当該駆動回路に調光信号を送出する制御信号発生回路を備えたバックライトユニットにおいて、前記希ガス蛍光ランプの外部電極の少なくとも一方の電極が管軸方向に分割され、その分割された外部電極ごとに別個独立に接続された駆動回路と、当該希ガス蛍光ランプの少なくとも一端に位置する外部電極が形成された管壁の内面に形成された始動電極とを備え、前記制御信号発生回路は、当該駆動回路に対して、当該希ガス蛍光ランプの点灯始動時に当該分割されたすべての外部電極に給電し、一定期間経過後、当該分割された外部電極ごとに調光をする、調光信号を送出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記制御信号発生回路は、画像信号に基づいて、当該画像信号の各フレーム表示期間の開始時を点灯始動時とし、当該各フレーム表示期間ごとに調光をする、前記調光信号を送出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記調光信号は、前記駆動回路により前記希ガス蛍光ランプ点灯のオン期間、オフ期間のデューティ比を調節するデューティ調光信号であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、希ガス蛍光ランプの管軸方向に分割された、始動電極が形成されない外部電極ごとに点滅・調光をしなければならない場合であっても、始動電極が形成された外部電極と同時に一定期間すべての分割された外部電極について放電開始することにより、速やかに発光管全体で放電が生じ、その後、外部電極ごとに調光をすることができる。すなわち、低電圧から容易に放電開始でき、画面の領域ごとに調光を行うことができるので、消費電力が少なく、コントラスト比を向上させることができる。
【0013】
本発明によれば、画像信号に基づいて、画像信号のフレーム開始のタイミングごとに、一定期間すべての分割された外部電極について始動点灯し、その後調光を行うので、連続して表示される画像のフレームごとに、その画面の領域ごとの調光を行うことができる。
【0014】
本発明によれば、調光方式がデューティ調光であることにより、広い範囲で調光を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明のバックライトユニットに用いる希ガス蛍光ランプの断面図であり、(b)はA−A’線断面図、(c)はB−B’線断面図である。
【図2】(a)は本発明のバックライトユニットに用いる希ガス蛍光ランプの始動部を説明するための部分説明図であり、(b)は視点Cから見た部分説明図である。
【図3】本発明のバックライトユニットを説明するための図である。
【図4】本発明のバックライトユニットの点灯回路を説明するためのブロック図である。
【図5】本発明のバックライトユニットの点灯方法を説明するためのタイミングチャート図である。
【図6】本発明のバックライトユニットの点灯回路を説明するためのブロック図である。
【図7】本発明のバックライトユニットの構成を説明するための図であり、(a)は希ガス蛍光ランプの配置について説明する構成図、(b)はバックライトユニットの全体構成について説明する構成図である。
【図8】(a)従来のバックライトユニットに用いられる希ガス蛍光ランプの断面図であり、(b)はZ−Z’線断面図である。
【図9】従来のバックライトユニットの構成を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照しながら説明する。図1(a)は、本発明の希ガス蛍光ランプの断面図であり、(b)はA−A’線断面図、(c)はB−B’線断面図である。
図1において、希ガス蛍光ランプ1は、ガラスなど透光性の誘電材料よりなる発光管11を備え、発光管11の外表面上に、発光管11を挟んで一対の帯状の外部電極130、131、132、133、および14が発光管11の管軸方向に沿って配設されている。発光管11の内面には可視光を発光する蛍光体が全域にわたって塗布された蛍光体層12が形成されている。
【0017】
これらの外部電極は、導電性のものであれば特に制限されるものではなく、例えば、金、銀、ニッケル、カーボン、金パラジウム、銀パラジウム、白金、アルミニウムなどを好適に用いることができ、発光管11の外表面にテープ状金属を貼付したり、導電性ペーストをスクリーン印刷して焼成したりすることにより、実現できる。外部電極の給電部以外は、ガラスペーストを焼成した保護膜により被覆されている。
発光管を構成するガラスは、例えばバリウムガラスであり、他にはコバールガラス、タングステンガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノケイ酸ガラスなどを用いてもよい。
発光管11の内部に封入される希ガスは、例えばキセノン、クリプトン、アルゴン、ネオンまたはそれらの混合ガスなどであり、10〜300Torr程度封入される。
【0018】
発光管11の内面に塗布される蛍光体12は、例えば、可視光発光する蛍光体としては、赤色蛍光体がユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y:Eu)または(Y,Gd)BO:Eu、緑色蛍光体がセリウム・テルビウム付活リン酸ランタン蛍光体(LaPO:Ce,Tb)、青色の蛍光体がユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍光体(BaMgAl1017:Eu)である。
外部電極間に高周波電圧が印加されると、誘電材料である発光管11を介して放電空間S内にエキシマ放電が発生し、このエキシマ放電により発生した真空紫外光によって蛍光体が励起されて発光管11の外部に可視光が出射される。
【0019】
外部電極130、131、132、および133はいずれも高電圧側に接続された同極性となる電極であるが、管軸方向で互いに離間するように分割されて配置されている。これに対し異極性となる外部電極14は、外部電極130、131、132、133に対して共有の接地電極である。これらを合せて一対の外部電極と呼ぶ。なお、外部電極14は、管軸方向に複数に分割して配設してもよい。
【0020】
このように、本発明の希ガス蛍光ランプにおいては、一方の電極130、131、132、および133が管軸方向に沿って、複数に分割されて配置されている。この複数の電極の各々に独立に高周波電力を給電可能な駆動回路をそれぞれ別個独立に接続することにより、各電極間に対して異なる給電することができる。
しかも、外部電極131に電圧を印加したときは、外部電極131と外部電極14との間のみで放電が行われるため、外部電極132などの他の電極が配設されている領域では放電が生じない。
すなわち、外部電極対ごとに発光できるので、外部電極131と外部電極14の間で発光させて、外部電極132と外部電極14の間で発光させないということが可能となる。
また、各外部電極間に供給される高周波電圧の位相が互いに同期している倍には、各々の外部電極間での沿面放電を発生しにくくすることができる。
【0021】
図1(b)に示すように、希ガス蛍光ランプ1のA−A’線断面図において、左端の外部電極130が設けられている箇所の管壁の内面側には、例えばカーボンペーストよりなる始動電極21が、発光管11の周方向に半周以上にわたってC字状に形成されている。この始動電極21は、始動性を高めるための種火放電を発生させるものであり、誘電材料である発光管11の管壁を介して外部電極131および14と交差するように設けられ、容量結合されている。これについて次に詳述する。なお、始動電極21は導電材料であり、耐スパッタ性の高い材質であれば、材質を限定されるものではない。
これらの発光管11の端部の、外部電極130、始動電極21が設けられている領域を始動部20とする。また、バックライトとしての主な発光を担うという意味で始動部20以外の領域を発光部22と呼ぶ。
【0022】
図2(a)は本発明のバックライトユニットの希ガス蛍光ランプ1の始動部20について説明するための部分説明図であり、(b)は、視点Cから見た部分説明図である。
図2(a)において、発光管11の内面に始動電極21が形成された箇所の管壁の外表面に配置されている高電圧側の電極130に、外部電極間で放電させるよりも電圧の低い適宜の高周波電圧を印加することにより、外部電極130と外部電極14との間で直接放電を生じさせることなく、外部電極130と始動電極21との間、または外部電極14と始動電極21との間で、小規模な種火放電IDを生じさせることができる。
【0023】
図2(b)に示すように、図2(a)に示した矢印の方向の視点Cよりこの発光管11の内部を観察すると、発光管11の管壁を介して、始動電極21と外部電極14との間で種火放電IDが生じている。
このような種火放電IDが生じていると、始動部20に隣接する発光部22は種火放電IDを予備電離放電として、低い電圧から容易に放電開始することができる。
本発明のように、外部電極が管軸方向で分割されたランプの場合には、発光部22を構成する外部電極に始動電極21のような易始動手段を設けると出射する光を妨げるため、その代替として始動部20が設けられる。これにより、易始動手段を備えない外部電極131、132、133、134であっても低い電圧から放電を開始することができる。
しかも、この種火放電IDは、図に示したような狭小な領域でのみ発生する程度のものであるので、放電維持していても消費電力は非常に少ない。
始動部20は発光管11の端部に設けられることが好ましい。また、始動部20を発光管の両端に設けてもよい。両端からの始動により、より始動性が高められるためである。
始動電極21は図示のように、蛍光体が塗布されていない管壁の内面に設けられている。したがって、種火放電IDによる発光は変換されずにそのまま出射されるので、表示される画像に影響を与えないように、後述する光遮蔽手段によって遮蔽される。
【0024】
図3は図1に示した本発明の希ガス蛍光ランプの動作について説明するための説明図である。
図3において、希ガス蛍光ランプ1に設けられた外部電極131、132、133、134と外部電極14間には、それぞれ独立に不図示の高周波電圧を給電可能な駆動回路が接続され、各電極に対して独自に給電される。前述したように、高周波電源から供給される電圧やタイミングを調節することで、各外部電極が設けられた領域ごとに点滅させたり、発光量を調節したりすることが出来る。
この独自に調光、点滅できる領域を、点灯領域LD1、LD2、LD3、LD4とし、その箇所を図3に示してある。
希ガス蛍光ランプをバックライトとして画像または映像が映し出される画面200に対して、希ガス蛍光ランプ1における点灯領域LD1、LD2、LD3、LD4からの発光は、画面200について図示したLD1、LD2、LD3、LD4の領域の明るさとして反映される。
すなわち、画面に表示される画像または映像のうち、暗い領域については発光量を30%に、明るい領域については発光量70%にする、というような調光をすることができる。
これにより、画面中の全領域に対して一定の発光量を出力する場合に比して、表示される画像または映像のそれぞれの領域で必要とされる輝度に応じて必要な分だけの光を出力するので、消費電力を節約することができる。
また、液晶画像装置のバックライトである場合には、画面中の暗い部分と明るい部分を液晶パネルによる光透過率の制御のみによらず作り出すことができるので、画像のコントラスト比を向上させることができる。
【0025】
ここで、図3に示したように希ガス蛍光ランプおよびバックライトを点灯する時の始動点灯について説明する。
上述したように、本発明の希ガス蛍光ランプ1においては、少なくとも一方の外部電極を管軸方向で離間するよう配設して、分割された外部電極の一つ一つは図1に示した始動電極21のような易始動部をもたないために、単独では容易に放電開始することができない。それゆえ始動性改善のために発光管の端部には、発光管11内面に始動電極21を有する始動部20が設けられる。
しかし、始動部20と点灯すべき点灯領域が離間しており、かつ両者の間にある点灯領域で放電が生じていない場合には、始動が困難になってしまう。この問題を解決するために以下に示す点灯回路と点灯方法が用いられる。
【0026】
本発明のバックライトユニットの点灯回路と点灯方法について説明する。
図4は、本発明のバックライトユニットの点灯回路を説明するためのブロック図であり、図5は点灯方法を説明するためのタイミングチャート図である。また、図6は複数の希ガス蛍光ランプを用いた場合のバックライトユニットの点灯回路の一例である。
図4において、希ガス蛍光ランプ1は図1に示した希ガス蛍光ランプ1と同様であるので説明を省略する。発光管の外部に設けられた外部電極14は接地電極であり、高電圧側の電極として外部電極130、131、132、133および134が管軸方向に離間して設けられる。外部電極130が設けられた位置の発光管の内壁には始動電極(不図示)が設けられ、始動部20を構成している。
各外部電極131、132、133、および134と外部電極14間での放電により発光する点灯領域LD1、LD2、LD3、LD4ごとに別個独立の駆動回路が接続される。また、始動部20についても別の駆動回路が接続される。
各駆動回路を構成するのは、トランス40、41、42、43および44、DC電源30、31、32、33および34、スイッチング素子回路50、51、52、53、および54、スイッチング動作信号生成回路60、61、62、63および64である。スイッチング素子回路はプッシュプル回路方式、ハーフブリッジ回路方式、フルブリッジ回路方式などで構成され、例えばハーフブリッジ回路方式である。
各駆動回路には制御信号発生回路70が接続され、制御信号発生回路70には画像信号処理回路71が接続されている。
【0027】
DC電源から供給される直流電圧は、スイッチング素子回路によって交流電圧に変換され、トランスによって昇圧されて各外部電極へ点灯電力として供給される。スイッチング動作信号生成回路はスイッチング素子回路のスイッチング素子をオン、オフ制御するためのPWM信号を生成する。
各駆動回路の動作について、点灯領域LD1を発光させるための外部電極131に接続されるトランス41、スイッチング素子回路51、DC電源31、スイッチング動作信号生成回路61、制御信号発生回路70、画像信号処理回路71を用いて説明する。
画像信号処理回路71が画像信号を受け取ると、信号処理して制御信号発生回路70より、この画像信号に基づいて決定された、外部電極131、14間での放電を行う調光信号がスイッチング動作信号生成回路61に送出される。
スイッチング動作信号生成回路61は調光信号を受け取ると、この調光信号に基づいてスイッチング素子回路51を動作させるための動作信号を送出し、DC電源31より供給される直流電圧をスイッチング素子回路51により交流電圧に変換してランプを点灯させる。
このような動作は、各点灯領域LD2、LD3、LD4についても同様になされる。
調光は、希ガス蛍光ランプを点灯する期間をオン、消灯する期間をオフとする、オン期間、オフ期間のデューティ比を調整することによる。詳しくは次に述べる。
【0028】
図5は、図4に示した本発明のバックライトユニットの点灯方法を説明するためのタイミングチャート図である。(a)は画像信号のフレーム、(b)は始動電極、(c)は点灯領域LD1、(d)は点灯領域LD2、(e)は点灯領域LD3、(f)は点灯領域LD4についての、オン/オフのスイッチング素子動作信号である。
例えば動画を表示する液晶表示装置などにおいては、画面に表示される画像を周期的(たとえば1/60秒など)に書き換えて動画を表示する。ここで、図5(a)に示したフレーム表示期間Tは、フレーム信号がオンとなり、1枚の画像が表示される期間を示す。すなわち、次のフレーム表示期間Tが開始されると、異なる画像が表示される(当然ながら画像が変わらない場合もある)。
図5(b)は、例えば図4においては始動部20を構成する外部電極130へ印加する高周波電圧についてのスイッチング素子動作信号(以下、単に動作信号と呼ぶ。)であり、外部電極130と容量結合された始動電極20(図1に記載)へ実質的に供給することとなるので、始動電極の動作信号として示す。また、それぞれの点灯領域LD1、LD2、LD3、LD4の動作信号がオンとなると、対応する位置に設けられた外部電極に高周波電圧が印加され、その点灯領域が発光する。明るさについては前述のとおり、フレーム表示期間内の動作信号のオン、オフ制御によりデューティ比を変化させて調光を行うので、暗くする場合にはデューティ比を大きく、明るくする場合にはデューティ比を小さくする。
【0029】
まず、フレーム信号がオン、すなわちフレーム表示期間が開始される前に、始動電極の動作信号がオンとなり、各点灯領域での始動を容易にする種火放電を発生させる。
始動電極の動作信号がオンになると同時、またはその後少なくともフレーム表示開始前に各点灯領域LD1、LD2、LD3、LD4のすべての点灯領域の動作信号についても同時にオンとし、放電を開始する。このように始動電極による種火放電が同時に発生、またはすでに発生していることにより、始動部に隣接する点灯領域から順に放電が広がり、速やかに発光管全体で放電を発生させることができる。発光管全体に放電が広がった後は、始動電極についてはオフとすることにより消費電力を節約することができる。
この、始動電極の動作信号をオンとし、放電が発光管全体に広がった後オフとするまでの任意の一定期間を始動期間Tとする。すなわち、フレーム表示期間開始時以後、始動電極と各点灯領域LD1、LD2、LD3、LD4は少なくとも同時に一定期間動作信号がオンとなる。
このように、フレーム表示期間開始時に同期して、始動電極とすべての点灯領域についてある一定期間同時に動作信号をオンとすることにより、始動電極から離れた点灯領域においても速やかに放電を開始することができる。
また、始動期間Tはすべての外部電極で放電が発生するまでの非常に短い期間でよく、すべての外部電極で放電させたとしても、その後に調光を行うによりコントラスト比が低下することもない。
なお、始動電極については、始動期間T終了後もオンとして放電維持してもよいが、その場合は種火放電の光が画像に影響を及ぼさないように遮蔽する必要がある。放電維持したとしても始動期間Tの間は必ず動作信号がオンとなる。
【0030】
始動期間Tの後、各点灯領域LD1、LD2、LD3、LD4はそのまま点灯維持するよう、画面中の各領域で必要な輝度に応じて動作信号がオンとなる。いわば始動期間Tの後は、調光期間に移行して、それぞれの点灯領域に応じてオン/オフ期間によりデューティ調光が行われる。
このデューティ調光のための動作信号がオンとなる期間を調光期間Tとする。各点灯領域ごとの調光期間Tは、画像信号に基づいて決定される。これにより、各点灯領域の調光は各フレームごとに行われる。
例えば図5に示した1フレーム目においては、点灯領域LD1と点灯領域LD2とでは、点灯領域LD1の方が調光期間Tが長いため、明るくなる。また、同フレームの点灯領域LD3のように調光期間T期間が全く存在しなくとも良い。
【0031】
以上のように、希ガス蛍光ランプの点灯始動時には、始動電極と、各点灯領域に対応する、管軸方向に分割された全ての外部電極に、同時に任意の一定期間だけ動作信号をオンとすることにより発光管全体で放電を発生させ、その後、分割された各点灯領域の外部電極ごとに調光信号に合せた点灯を行う。
これにより、管軸方向に分割されて、それぞれに始動電極が設けられていない外部電極に対応する点灯領域であっても、低電圧から速やかに放電をすることができ、かつ画面中の領域ごとに調光を行うことができる。そのため、画面全体に対して一定に照明を提供する場合に比して、領域ごとに必要に応じた照明を提供することができるので、消費電力が少なく、かつコントラスト比を向上させることができる。
【0032】
さらに、画像信号の各フレーム開始のタイミングに同期して上記点灯方法を行うことにより、連続して表示される画像のフレームごとに上記調光を行うことができる。
【0033】
また、上記調光方式はデューティ調光であることにより、広範囲な調光ができ、コントラスト比を向上させることができる。
【0034】
図6は、本発明のバックライトユニットについて、1つの点灯領域を複数の希ガス蛍光ランプを用いて構成した場合の点灯回路を説明するためのブロック図である。
なお、図6は図4と希ガス蛍光ランプの本数が異なる点以外は構成が同様であるから説明を省略する。
図6においては、複数の希ガス蛍光ランプ1、2、3の、管軸方向で分割された外部電極の、管軸方向で同じ位置に対応する外部電極どうしが1つの点灯領域を構成している。すなわち、外部電極131、231、331は同一のトランス41を介してスイッチング素子回路51に接続されており、点灯時には同じ動作をするので、外部電極131、231、331が設けられた領域は1つの点灯領域LD1とみなすことができる。同様に、点灯領域LD2は、外部電極132、232、332によって、点灯領域LD3は外部電極133、233、333によって、点灯領域LD4は、外部電極134、234、334によって構成されている。
また、希ガス蛍光ランプ1、2、3の発光管外表面には接地された外部電極14が設けられている。このように外部電極14を管軸方向に分割して設けてもよい。
【0035】
図6に示したバックライトの点灯方法は、上記の図4、5によって説明したものと同様であるから説明を省略する。
【0036】
このように複数の希ガス蛍光ランプを並列配置して、隣接するランプの、管軸方向で同じ位置に対応する、分割された外部電極どうしを合せて1つの点灯領域とすれば、調光を行う単位である1つの点灯領域を任意のサイズで構成することができる。
さらに、始動電極が設けられていない領域においても、始動部の効果により低電圧から容易に放電開始することができるので、複数のランプが並べられていても、隣接するランプの外部電極と外部電極の間で不所望な放電が生じることがない。
【0037】
なお、希ガス蛍光ランプの端部に位置し始動部となる外部電極130、230、330は、前述のように点灯時に一斉に放電するため、すべて同一の駆動回路より駆動してもよい。
【0038】
なお、このように隣接する複数のランプの、管軸方向で同じ位置に対応する、複数の分割された外部電極に一の駆動回路を接続する場合でも、動作が同じであるから、分割された外部電極ごとに別個独立に駆動回路を接続するものと同義である。
【0039】
図7は、本発明の希ガス蛍光ランプを備えるバックライトユニットの構成図であり、(a)はランプの配置を示す構成図、(b)はケーシングも含めたバックライトユニットの全体構成図である。希ガス蛍光ランプ1については図1で説明したものと同様のものであるから説明を省略する。
図7(a)に示すように、例えば、9本の希ガス蛍光ランプ1を並列配置し、外部電極を管軸方向に4分割(始動電極が設けられた外部電極を除く)して、3本のランプごとに、管軸方向で同じ位置に対応する外部電極どうしを合せて1つの点灯領域を構成し、給電する。したがって、この場合は横4分割×縦3分割で画面を12分割して、この12の点灯領域LD11、LD12、LD13、LD14、LD21、LD22、LD23、LD24、LD31、LD32、LD33、およびLD34について個々に、縦横2方向に対して、独立な点滅・調光を行うことができる。
なお、点灯領域の数は図示した数に限定されるものではなく、分割された外部電極の数と駆動回路の数に応じて適宜設定することができる。
【0040】

図7(b)においてバックライトユニット100は、1つの面が光出射面として開口した箱状のケーシング95内に、互いに平行に位置して1列に並べられた複数の希ガス蛍光ランプ1が収納されている。バックライトユニット100の光は、ケーシング95の開口する面側に向かって出射される。各々の希ガス蛍光ランプ1は、その光出射部の向きが一致するよう正面に向けて揃えて配置される。ケーシング95の背面には不図示の複数の駆動回路が設置されている。
ケーシング95には、希ガス蛍光ランプ1に設けられた始動部20の、種火放電による発光を遮蔽するための光遮蔽部96が設けられる。これにより、ランプ点灯中、種火放電が維持される場合でもその発光が漏れることは無い。
希ガス蛍光ランプの分割された外部電極に設けられた不図示の給電端子から導出されたリード線は、ケーシング95の背面に設けられた小孔を通して背面側に導入され、コネクタに接続されて駆動回路に接続される。
希ガス蛍光ランプ1とケーシング95との間には、反射シート91が設けられる。希ガス蛍光ランプ1の光出射側には、光を面状にして出射するための拡散板92と、拡散シート93と、指向性制御シート94とが重ねられて配置される。
【符号の説明】
【0041】
1 希ガス蛍光ランプ
11 発光管
12 蛍光体層
130 外部電極
131 外部電極
132 外部電極
133 外部電極
12 蛍光体層
14 外部電極
15 保護膜
20 始動部
21 始動電極
22 発光部
31 DC電源
41 トランス
51 スイッチング素子回路
61 スイッチング動作信号生成回路
70 制御信号発生回路
71 画像信号処理回路
8 希ガス蛍光ランプ
81 発光管
82 蛍光体層
83 外部電極
84 外部電極
85 保護膜
78 駆動回路
91 反射シート
92 拡散板
93 拡散シート
94 指向性制御シート
95 ケーシング
96 光遮蔽部
200 画面
LD1 点灯領域
LD11 点灯領域
ID 種火放電
TF フレーム表示期間
始動期間
調光期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管の外部に管軸に沿って配置された一対の外部電極を有する希ガス蛍光ランプを並列配置し、当該希ガス蛍光ランプを点灯させる駆動回路と、当該駆動回路に調光信号を送出する制御信号発生回路を備えたバックライトユニットにおいて、
前記希ガス蛍光ランプの外部電極の少なくとも一方の電極が管軸方向に分割され、
その分割された外部電極ごとに別個独立に接続された駆動回路と、
当該希ガス蛍光ランプの少なくとも一端に位置する外部電極が形成された管壁の内面に形成された始動電極とを備え、
前記制御信号発生回路は、当該駆動回路に対して、当該希ガス蛍光ランプの点灯始動時に当該分割されたすべての外部電極に給電し、一定期間経過後、当該分割された外部電極ごとに調光をする、調光信号を送出することを特徴とするバックライトユニット。
【請求項2】
前記制御信号発生回路は、画像信号に基づいて、当該画像信号の各フレーム表示期間の開始時を点灯始動時とし、当該各フレーム表示期間ごとに調光をする、前記調光信号を送出することを特徴とする請求項1に記載のバックライトユニット。
【請求項3】
前記調光信号は、前記駆動回路により前記希ガス蛍光ランプ点灯のオン期間、オフ期間のデューティ比を調節するデューティ調光信号であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバックライトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−182531(P2010−182531A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24950(P2009−24950)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】