説明

バックライト及びそれを用いた液晶表示装置

【課題】液晶表示装置を薄型とし、かつ、画面の輝度の領域制御を行った場合の輝度むらを小さくする。
【解決手段】LEDを用いたバックライトでは、画面の明るい部分のみにおいて、バックライトを点灯し、画面の暗い部分においては、点灯しない、領域制御が行われている。LEDは発光効率の温度変化が大きく、一般にはLEDが高温になると発光効率が低下する。領域制御において、点灯されたLEDは高温となっているので、次の全面グレー画面を表示した場合は、直前に点灯されている部分のLEDの発光効率が下がるので、輝度むらが生ずる。本発明は、LEDの発光効率の温度変化を50℃〜90℃の範囲において、5%以下好ましくは3%以下とすることによって、領域制御方式における画面の輝度むらを解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLEDをバックライトとした液晶表示装置に係り、特に、領域制御をおこなっても輝度むらの生じることが少ないバックライトを有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が設置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置は、薄型、軽量に出来ることから色々な分野に使用されている。液晶は自身では発光しないので、液晶表示パネルの背面にバックライトを配置している。テレビ等、比較的大画面の液晶表示装置には、バックライトとして蛍光管が使用されてきた。しかし、蛍光管は内部に水銀の蒸気が封入されているので地球環境への負荷が大きく、特にヨーロッパ等においては、使用が禁止される傾向にある。
【0004】
そこで、蛍光管に替わってLED(発光ダイオード)をバックライトの光源に使用することが行われ、LED光源を用いた液晶表示装置は、TV等の大型の表示装置においても、年々増加している。液晶表示装置のバックライトは面光源でなければならないが、LEDは点光源である。
したがって、点光源であるLEDによって面光源を形成する光学系が必要である。
【0005】
LEDには、トップビュー型のLEDとサイドビュー型LEDがある。「特許文献1」には、サイドビュー型のLEDパッケージにおける各材料の熱膨張係数の差に起因するストレスの緩和をする構成が記載されている。また、「特許文献1」には、サイドビュー型LEDにおいて、リードフレームを使用せず、導電リードに直接LEDチップを載置する構成が記載されている。
【0006】
「特許文献2」には相対光度の温度特性がほぼフラットなLEDの一例が記載されている。
【0007】
また「特許文献3」には、LEDと、LEDからの光を面光源とするための導光板とを組み合わせたブロックをマトリクス形式で配列し、各ブロックのLEDを個別に制御するバックライトが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−130008号公報
【特許文献2】特開2008−288396号公報
【特許文献3】特開2007−293339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献3のように、LEDと導光板の組であるブロックを複数個配列してバックライトを構成する場合において、温度変化に対する発光効率の変化が大きいLEDを使用すると、例えば全ブロックのLEDに同じ電圧を印加してもバックライトの空間的な光強度にばらつきが生じる、いわゆる輝度むらが発生する。
【0010】
かかる輝度むらについて、温度上昇により発光効率が大きく低下するLEDを使用した場合を考える。この場合において、例えば、あるブロックのLEDを最大輝度で光らせ、かつ他のブロックのLEDを消灯させた状態を所定時間継続した後、全ブロックのLEDを最大輝度で光らせると、上記あるブロックからの光が他のブロックからの光に比べ暗くなる、輝度むらが生じる可能性がある。これは、あるブロックのLEDを最大輝度で光らせたために当該LEDの温度が上昇して発光効率が低下し、他のブロックのLEDは消灯しているためにLEDは温度上昇せず、あるブロックのLEDよりも発光効率の低下が少ないためである。
【0011】
このように、LEDと導光板の組を複数用いて構成したバックライトでは、温度変化に対する発光効率の変化が大きいLEDを用いると輝度むらが生じる可能性がある。従って、このような構成のバックライトでは、温度変化に対する発光効率の変化が小さいLEDを用いることが好ましい。
【0012】
また、LEDは動作時は高温になるが、一般的にLEDの効率は高温においては低下する。LEDにはトップビュー型LEDとサイドビュー型LEDが存在する。後で説明するが、トップビュー型LEDは熱放出をしやすい構造とすることが出来るが、直下配置型の薄型バックライトの光源として使用する場合で、特に、高出力のLEDを使用しLEDの数を低減した場合には、表示領域における輝度むらが発生しやすいと言われている。一方、サイドビュー型LEDを用いた場合には、導光板を用いることから、表示領域における輝度むらが発生しにくい構造とすることが出来るが、サイドビュー型LEDは、LEDからの熱放散がしにくい構造となる。
【0013】
近年、省電力の要請とコントラストの向上の要請等から、領域制御といわれる駆動方法が採用されている。図24において、例えば、表示領域を横8、縦6の48個の領域に分割する。各分割領域には、単数あるいは複数のLEDが配置されている。そして、例えば、領域101の部分のみに画像が形成され、他の部分は、黒の場合は、表示領域全面においてバックライトを点灯するのではなく、領域101に対応するLEDのみを点灯する。そうすると、表示領域全面にバックライトを当てる場合に比較して、LEDによる消費電力は1/48となる。
【0014】
しかし、図24における領域101に対応する部分のLEDには電流が流れているので、他の部分のLEDに比べて温度が高くなっている。LEDの発光効率は、温度が高くなると、効率が低下する。このような状態において、画面が変わり、図25に示すような全面グレーのような表示となった場合を想定する。
【0015】
図25において、領域101を除く部分におけるLEDは、グレー表示前は温度が上昇していない。一方、図25における領域101の部分は、グレー表示の前からLEDには電流が流れていたので、LEDの温度は上昇している。LEDは温度が上昇すると発光効率が低下するので、図22における領域101の部分は、他の部分に比較して輝度が小さくなり、画面に輝度むらが生ずる。
【0016】
このため、発光効率の高いLEDを使用したり、LEDからLED実装基板までの熱抵抗を下げてLEDの温度上昇を抑制する方法などの方策がとられているが、LEDの数を減らした場合や高出力のLEDを使用した場合などには輝度むらが発生する場合がある。
【0017】
本発明の目的は、LEDを光源として用いて領域制御を行う場合に、表示領域における輝度むらを低減する構成を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1) LEDと、該LEDからの光を面状にして液晶表示パネルに照射するための導光板とを有する光源ブロックを複数配列して構成され、該光源ブロック毎に光の強度を制御可能なバックライトであって、前記LEDの発光効率の温度変化が、50℃〜90℃の範囲において、5%以下であることを特徴とするバックライト。
【0019】
(2)導光板とLEDを含み、領域制御が可能なバックライトであって、前記導光板は、第1の方向に所定のピッチで配列した凹部の列を有し、前記凹部の列は、前記第1の方向と直角な第2の方向に所定の間隔で配列し、前記LEDは、サイドビュー型LEDであって、前記凹部に収容され、前記LEDの発光効率の温度変化は、50℃〜90℃の範囲において、5%以下であることを特徴とするバックライト。また、より好ましくは3%以下である。
【0020】
(3)LEDは、2個のLEDチップを有し、2個LEDチップは互いに発光効率の温度係数が異なり、前記2個のLEDチップを用いた前記LEDの発光効率が全体として温度範囲50℃〜90℃の範囲において、5%以下、より好ましくは3%以下であることを特徴とする、(1)に記載のバックライト。
【0021】
(4)導光板とLEDを含み、領域制御が可能なバックライトであって、前記導光板は、第1の方向に所定のピッチで配列した凹部の列を有し、前記凹部の列は、前記第1の方向と直角な第2の方向に所定の間隔で配列し、前記LEDは、サイドビュー型LEDであり前記凹部には複数のLEDが収容され、前記複数のLEDの少なくとも1個は他のLEDとは発光効率の温度係数が異なり、前記複数のLEDの全体としての発光効率の温度変化は、50℃〜90℃の範囲において、5%以下であることを特徴とするバックライト。また、より好ましくは、温度変化は3%以下である。
【0022】
また、これらのバックライトを用いることによる、輝度むらの無い領域制御が可能な液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、LEDが発光動作を行う温度範囲において、温度変化に対する発光効率の変化が小さいLEDを用いているので、輝度むらが低減された高画質な映像を表示することができる。
【0024】
また、本発明によれば、導光板の凹部にサイドビュー型LEDを収容することによって、バックライトの厚さを小さくすることが出来、かつ、輝度むらの小さいバックライトを得ることが出来る。また、発光効率の温度変化が50℃〜90℃の範囲において、5%以下、より好ましくは3%以下のサイドビュー型LEDを用いることによって前記バックライトを用いた場合における液晶表示装置において、領域制御を行う場合も輝度むらを抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】液晶表示装置の分解斜視図である。
【図2】本発明による導光板の平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】図2のC−C断面図である。
【図6】LEDを配置した配線基板の平面図である。
【図7】図6のD−D断面図である。
【図8】図6のE−E断面図である。
【図9】導光板と、LEDを配置した配線基板の組立て斜視図である。
【図10】導光板の凹部に収容されたトップビュー型LEDの断面図である。
【図11】導光板の凹部に収容されたサイドビュー型LEDの断面図である。
【図12】実施例1におけるサイドビュー型LED正面図と側面図である。
【図13】図12のA-A断面図である。
【図14】実施例1におけるリードフレームとLEDチップとワイヤの関係を示す模式図である。
【図15】実施例1におけるLEDの発光効率の温度特性を示すグラフである。
【図16】LEDの光束、電流、端子間電圧と温度の関係を示すグラフである。
【図17】実施例2のサイドビュー型LEDの正面図と側面図である。
【図18】図17のB−B断面図である。
【図19】実施例2における2個のLEDの発光効率と温度の関係を示すグラフである。
【図20】実施例2における2個のLEDの個々の温度特性と合計の温度特性の例である。
【図21】実施例2におけるLEDの発光効率と温度の関係を示すグラフである。
【図22】実施例3における配線基板とLEDチップ、および導光板の関係を示す斜視図である。
【図23】実施例3における配線基板上のLEDの配置を示す平面図である。
【図24】表示領域において領域制御を行っている例である。
【図25】表示領域において、領域制御を行ったあと、全面グレーを表示した例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の内容を、実施例を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は本発明による液晶表示装置の分解斜視図である。図1は液晶表示パネル10とバックライトに分かれている。図1において、TFTや画素電極がマトリクス状に配置されたTFT基板11とカラーフィルタ等が形成された対向基板12とが図示しない接着材を介して接着している。TFT基板11と対向基板12との間には図示しない液晶が挟持されている。
【0028】
TFT基板11の下側には下偏光板14が、対向基板12の上側には上偏光板13が貼り付けられている。TFT基板11、対向基板12、下偏光板14、上偏光板13が接着された状態のものを液晶表示パネル10と称する。液晶表示パネル10の背面にはバックライトが配置されている。バックライトは光源部と種々の光学部品とから形成されている。
【0029】
図1において、バックライトは液晶表示パネル10に近い順に光学シート群16、導光板20、LED30が配置された配線基板40から構成されている。本実施例における配線基板40は一体型としているが、複数基板からなる分離型の配線基板でもよい。図1における光学シート群16は、拡散シート15が3枚用いられている。光学シート群16は、いわゆるプリズムシート、レンズシートあるいは反射偏光フィルムを含む場合もある。拡散シート15は1枚の場合もあるし、2枚の場合もある。また異方性の特性を有する拡散シートや拡散板を用いても良い。
【0030】
光学シート群16は、導光板20の上に載置される。導光板20は、多数のLED30からの光を均一な面光源として液晶表示パネル10側に向ける役割を有する。導光板20の形状は薄い平板状である。導光板20の下面には、凹部21が横方向に多数配置し、これが3行にわたって縦方向に配列している。導光板20の各凹部21には、配線基板40に配置されているLED30が挿入される。
【0031】
導光板20の下には、配線基板40が配置され、配線基板40にはLED30が、導光板20の凹部21に対応して、横方向に3行にわたってインライン状に配置されている。本実施例におけるLED30は白色LED30であることを前提に説明する。しかし、単色LED30を使用する場合も、3色の色の混合に注意すれば、以下の説明による本発明を適用することが出来る。
【0032】
導光板20と配線基板40を重ね合わせると、インライン状に配置されたLED30が、導光板20の下面にインライン状に配置された凹部21にはめ込まれる形になる。この構成によれば液晶表示装置を薄型にすることが出来る。このようなLED30の配置は、従来のサイドライト型のバックライトに比べて、液晶表示装置の表示領域周辺の額縁領域の面積を小さくすることが出来る。また、このような配置とすることによって、画面における明るさの領域制御が可能になる。ここで、領域制御とは、いわゆるエリア制御、またはローカルディミングと呼ばれるものであり、各領域映像に応じてバックライトの各領域(後述する図2において点線で囲まれた領域)に対応するLEDを個別に制御することである。例えば、ある領域に対応する液晶表示パネル10の映像が暗い場合は当該領域のLED30の光強度を低くし、別の領域に対応する液晶表示パネル10の映像が明るい場合は当該領域のLED30の光強度を高くするものである。これによって、映像のコントラストを高めるとともに、バックライトの消費電力を低減する。
【0033】
すなわち、領域とは、上記領域制御によって光強度の制御が行われる最小単位となる。例えば連続或いは隣接する3つのLEDを1つの光源制御の単位として制御するものであれば、その3つのLEDが主に光を照射する部分が一つの領域となる。換言すれば、図2のようにLED30がx方向に一列に複数配列されており、そのLEDの列がy方向に配列され、かつLED列のうち隣接する3つのLEDを1つのLEDグループとすると、x方向についてはLEDグループ間の境界と、LED列間とに囲まれた部分が領域となる。以下、このバックライトの領域を構成する1または複数のLEDと導光板との組合せを、「光源ブロック」と呼ぶ場合もある。
【0034】
図2は図1で使用される導光板20の平面図である。図2において、x方向にインライン状に配置された凹部21がy方向に3行にわたって配列されている。各凹部21にLED30がはめ込まれる。LED30は3個を単位として制御されるので、画面は図2の点線で示すような領域が1つの光源ブロック110となり、に便宜上分割することが出来る。しかし、導光板20には、点線に対応するような区切りは存在していないものとする。本実施例ではLED30は3個単位として制御しているが、これに限定するものではない。制御領域内の輝度むらを抑制できる範囲であれば1個とすることも可能であるし、3個以上とすることもできる。また、図2の点線と対応する部分に、領域を(光学的に)区分するための溝や切込を設けてもよい。
【0035】
このような構成により、光源ブロック110をマトリクス状に配列したバックライトを構成でき、上述したエリア制御により光源ブロックを行うことができる。尚、図2では、上述のように光源ブロックは便宜上区分して示しているが、導光板20を物理的に分割するとも意味ではなく、この例では、各光源ブロック110の導光板は互いに結合されて一体化されている。勿論、光源ブロック110の導光板を互いに物理的に分割するように構成してもよい。
【0036】
図3は図2のA−A断面図である。図3において、導光板20には凹部21が横方向に所定のピッチで配置し、凹部21と凹部21の間は、リブ22となっている。このリブ22は導光板の強度を増すことが主目的であるが、リブを通しても他の領域に光が漏れることが出来る。図4は図2のB−B断面図である。図4において、導光板20にはLED30を収容する凹部21が形成されている。図5は図2のC−C断面図である。図3−図5において、導光板20の下面には反射シート23が貼り付けられている。LED30からの光を効率的に液晶表示パネル10方向に向けるためである。
【0037】
図2に戻り、導光板20の凹部21と凹部21の間に存在するリブ22は、導光板の強度を増すとともに、点線で示す領域間において、光をy方向に侵入させるための役割を有する。すなわち、作業性を考慮すると、導光板20内にLED30を収容する場合、個々のLED30毎に凹部21を形成するよりは、凹部21をx方向に連続にして、溝を形成したほうがよい。しかし、連続した溝を形成すると、導光板の強度が小さくなるとともに、y方向の干渉が生じにくくなるので、個々のLED30毎に導光板20に凹部21を形成し、リブ22を形成できるようにしている。
【0038】
したがって、リブ22の幅は所定の値、確保しておく必要がある。図2において、凹部21のx方向のピッチはp、凹部21のx方向の幅はw1、リブ22の幅はw2であり、p=w1+w2である。リブ22の幅は画面単位100当たりのLED30の配置数あるいはLED30のピッチにもよるが、設計上可能であれば、w2/pは、1/3以上であることが望ましい。ただし、導光板20の強度が確保できれば、リブ22はかならずしも必要ではなく、連続した溝であってもよい。
【0039】
図6はLED30が搭載された配線基板40の平面図であり、図7は図6のD−D断面図、図8は図6のE−E断面図である。図6において、インライン状に配置されたLED30が3行にわたって配列されている。各LED30は導光板20の凹部21に挿入される。図6において、LED30は3個を単位として制御される。図6の点線は、3個のLED30によって制御される領域を示すものである。
【0040】
図9は、図2に示す導光板20と図6に示す配線基板40を組み合わせた状態を示す斜視図である。図9において、配線基板40上のLED30が導光板20の凹部21に挿入されている。図9に示すように、配線基板40上のLED30の配置精度、導光板20の凹部21の位置制度、配線基板40と導光板20の組立て精度を考慮して、凹部21の大きさはLED30の大きさよりも大きく形成されている。
【0041】
LED30にはトップビュー型LEDとサイドビュー型LEDがある。図10は、図9における凹部21にトップビュー型LED30を配置した例であり、図11は、サイドビュー型LED30を配置した例である。図10において、配線基板40の一部も凹部21に挿入され、配線基板40に形成された接続端子42の上に、リードフレーム34を有するLED30が配置されている。LED30の樹脂32内にLEDチップ31が配置され、LEDチップ31の上には、波長変換材料33(例えば、蛍光体と透明樹脂を混合したもの)が充填されている。図10に示すトップビュー型LEDの構造は、LEDチップ31から配線基板40における接続端子42までの距離が短いので、熱を放散しやすいという利点がある。しかしながら、次のような問題点を有している。
【0042】
図10において、導光板の凹部21の側面にトップビュー型LED30からの光が入射する。凹部21における配線基板40の上方T部では、光が到達しにくいので、この部分は暗部となる。また、配線基板40は、光を反射しにくいので、特に凹部21における配線基板40の後方Bにおいては、輝度が低い部分になりやすい。このように、トップビュー型LED30は、熱放散をしやすく、LED30の温度変化による効率低下を防止しやすいが、バックライトの輝度むらを生じやすいという問題がある。なお、図10において、凹部に挿入された配線基板40は、固定部材45により、配線基板40と直角をなす方向に固定する配線基板43を配置するとともに、配線基板40の配線41と配線基板43の配線44とを電気的に接続し、LEDチップとバックライトの電源などに接続する。
【0043】
図11は、凹部21にサイドビュー型LED30を挿入した例である。LED30に電源を供給する配線基板40の接続端子42の上にサイドビュー型LED30が配置されている。図11において、L字型リードフレーム34に接してLEDチップ31が配置されている。LEDチップ31全体は樹脂32によって封止され、LEDチップ31の上には、波長変換材料33が充填されている。図11において、配線41は、配線基板40の接続端子42が形成された面と同じ面に形成されている。
【0044】
図11では、凹部21内に配線基板40は存在しないので、図10で説明したような輝度むらは抑制することが出来る。しかし、図11の構成では、LEDチップ31から配線基板40の接続端子42までの距離が大きいために、LED30に発生した熱が放散されにくく、LED30の温度が上昇しやすく、これに伴う、LED30の発光効率の低下が問題となる。なお、図11におけるリードフレーム34と接続端子42を接続する部分の温度をTsとし、LEDチップ31のPNジャンクションの部分の温度をTjと呼ぶ。
【0045】
図12は、サイドビュー型LED30の例を示す正面図である。12(a)において、樹脂32の内部にリードフレーム34が配置され、リードフレーム34は、樹脂32の内部を通過して外側に延在する。図12(b)に示すように、樹脂32の側面を覆って、樹脂32の下部に延在し、図示しない配線基板40の接続端子42と接続する。樹脂32の内側において、LEDチップ31は、一方のリードフレーム34の上に載置され、LEDチップ31の端子は、ワイヤ35によって2個のリードフレーム34と接続している。
【0046】
図13は、図12のA−A断面図である。図13において、樹脂32はバスタブ状の窪みを有し、内部にリードフレーム34とLEDチップ31が配置されている。LEDチップ31とリードフレーム34とはワイヤ35によって接続している。樹脂32のバスタブ状部には、波長変換材料33が充填されている。
【0047】
図14は、図12および図13で説明したLED30において、リードフレーム34の形状とLEDチップ31およびワイヤ35のみを記載した斜視図である。LEDチップ31で発生した熱は、リードフレーム34を通して、図示しない配線基板40に伝導する。図14において、リードフレーム34の側部341の高さHが側部の幅Wよりも大きいと、熱がリードフレーム34の底部342に伝わりにくくなる。しかし、サイドビュー型LED30では、リードフレーム34はこのような構成になりやすい。本発明は、このような、LEDチップから接続端子42に熱が伝わりにくい構造のサイドビュー型LEDを用いる場合に特に有効である。
【0048】
図15は、従来のバックライトに用いられていたサイドビュー型LEDと、本発明の実施例1で用いられているサイドビュー型LEDにおける発光効率と温度の関係である。LED30の温度を示す指標として、LED30のPNジャンクション部の温度Tjと配線基板40の接続端子42におけるリードフレーム34の温度Tsがあるが、TjのほうがTsよりも温度が高い。TjとTsの関係は、
Tj=Rth(j−s)W+Ts
である。ここで、Rth(j−s)はリードフレーム34のLED30接続部から接続端子42までの熱抵抗、Wは投入電力である。
【0049】
図15の横軸は、Tsである。従来例で用いられていたLED30の発光効率の温度変化は大きく、LED30の使用温度をTsで、50℃〜90℃とした場合、温度50℃での効率76ルーメン/Wを基準とすると、(76−65)/76=14.4%となる。一方、本発明において、用いられるLED30の発光効率の温度変化は小さく、温度50℃での効率74.5ルーメン/Wを基準とすると、(74.5−73.5)/73.5=1.3%となる。
【0050】
このように、発光効率の温度変化の小さなLED30を使用することによって、領域制御をおこなった場合に、前の画像の影響を受けて輝度むらが劣化するということは無い。領域制御において、このような輝度むらを発生させない範囲は、実験によれば、Tsによる温度範囲50℃から90℃において、5%以下、好ましくは3%以下である。このようなLED30は、例えば、昭和電工製GM2QT450G、等として商品化されている。また、相対光度のみの記載ではあるが、温度安定性に優れた青色LED特性として、特許文献2に記載されている。
【0051】
図15は、LED30の発光効率の温度系係数が正の場合であるが、値が小さければ、LED30の発光効率の温度系係数が負の場合であっても、領域制御を行った場合における、前の画像の影響によって、輝度むらが発生することを防止することが出来る。この場合も、発光効率の温度変化は、Tsによる温度範囲50℃から90℃において、5%以下、好ましくは3%以下である。この場合の5%あるいは3%は、絶対値での値である。
【0052】
なお、LED30は高温で使用されることが多いので、LED30の発光効率の温度係数は正であると有利である。すなわち、LED30の発光効率の変化の係数が正であるか、負であるかは、領域制御には大きな影響を持たないが、画面全体の輝度向上には有利であるということである。
【0053】
発光効率Eは、LED30からの光束をφとし、投入電力をWとすると、E=φ/Wで表すことが出来る。また、WはLED30の電流をIf、LED30端子間の電圧をVfとするとW=If×Vfで表すことが出来る。LEDは電流駆動であることからIf=一定とする。図16は温度係数が正の場合の、LED30の電流If、端子間電圧Vf、LED30からの光束φの温度Tsとの関係を記載したものである。電流If一定とした時、光束の温度係数も負となるが、発光効率の温度係数が正であるということは、LED30の端子間電圧Vfの温度係数の絶対値が、光束の温度係数の絶対値よりも大きくなることである。
【実施例2】
【0054】
図17(a)は、本発明の実施例2で使用されるLED30の正面図、図17(b)は側面図である。本実施例においては、LED30が直列に2個接続されている。図17(a)において、片方のリードフレーム34の上にLEDチップ31が2個配置され、各々のLED30は、ワイヤ35によって直列に接続している。その他の構造は、実施例1における図12(a)と同様である。図17(b)は、図17(a)の側面図であるが、実施例1の図12(b)と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
図18は、図17(a)のB−B断面図である。図18において、一方のリードフレーム34の上に、LEDチップ31が2個直列にワイヤ35によって接続している。その他の構造は、実施例1における図13と同様であるので、説明を省略する。
【0056】
本実施例においては、第1のLEDチップ31と第2のLEDチップ31の発光効率の温度係数の符号が異なっている。例えば、第1のLEDチップ31の発光効率の温度係数は正であり、第2のLEDチップ31の温度係数は負である。そして、2つのLEDチップ31によって、発光効率の温度特性を相殺することによって、LED30全体において、発光効率の温度変化をほぼゼロに近づけている。
【0057】
図19は、本実施例における、2つのLEDチップ31の電流Ifと光束φの関係を示す。図19に示すように、2つのLEDチップ31の電流Ifと光束φの関係は一致することが望ましい。但し、完全に一致する必要はなく、領域制御を行う上での輝度むらを生じさせない範囲でよい。
【0058】
図20は、本実施例における温度Tsと光束φの関係を示すグラフである。図20において、LEDチップ(LED1)は、正の発光効率の温度特性を持つので、温度が上昇するとともに、光束φも上昇する。一方、LEDチップ(LED2)は、負の発光効率の温度特性を持つので、温度が上昇するとともに、光束φは小さくなる。その結果LEDチップ(LED1)とLEDチップ(LED2)の合計の発光効率の温度変化をほぼゼロにすることが出来る。
【0059】
図21は、LED30の発光効率の温度依存性を従来例で使用されていたLED30、実施例1で使用されたLED30、および、実施例2で使用されたLED30について示したグラフである。図21の横軸はTsであり、縦軸は発光効率である。図21における点線Aは、従来例であり、実線Bは、実施例1の例であり、実線Cは本実施例における場合である。図21でわかるように本実施例における発行効率の温度特性は実施例1よりもさらに改善されている。
【0060】
図21における2個のLED30を合計した場合の発光効率の温度特性は、ほぼ、ゼロであるが、かならずしもゼロである必要はなく、Tsで50℃から90℃までの範囲において、発光効率の温度依存性は、5%以下、好ましくは3%以下であることが望ましい。なお、5%以下あるいは3%以下という場合は、絶対値を言う。また、実施例1で述べたように、2個の合計のLED30の発光効率の温度特性が5%以下、好ましくは3%以下の正の値であると、LED30は高温で使用されるので、輝度特性に対して有利である。
【実施例3】
【0061】
図22は、実施例3における導光板と配線基板40と導光板の凹部21に挿入されたLED30を示す斜視図である。図22において、導光板の凹部21には、2個のLED30が配置されている。2個のLED30がペアになって所定の領域の照明を行っている。2個のLED30の発光効率の温度特性の符号は互いに逆である。例えば、第1のLED30の発光効率の温度特性が図20に示すLED(LED1)と同様であり、第2のLED30の発光効率の温度特性が図20に示すLED(LED2)と同様である。LED30をこのような組み合わせとすることによって、発光効率の温度特性を相互に相殺し、発光効率の温度変化をほぼゼロにすることが出来る。
【0062】
図23は、配線基板40上にLED30を2個ペアで配置した状態を示す平面図である。各2個のペアのLED30に対して導光板の凹部21が対応する。図22および図23は、LED30を2個のペアで配置したが、凹部21長さを大きくして各凹部21に3個あるいは、4個以上のLED30を配置することによっても発光効率の温度特性を小さく抑えることが出来る。LED30が3個の場合は、例えば、正の発光効率を1個のLED30に対して、他の2個のLEDの発光効率の係数が負の発光効率をもち、他の1個のLED30の半分であるような構成とすることによって全体として発光効率の温度変化を小さくすることが出来る。
【0063】
本実施例における複数のLED30を組で使用することによって、発光効率の温度特性を小さくする場合の発光効率の温度特性は、実施例1あるいは実施例2と同様に50℃〜90℃の範囲において絶対値で5%以下、好ましくは3%以下である。また、この場合のLED30の組としての温度特性が正であると、LED30は高温において使用されるので、輝度特性に有利である。
【0064】
本実施例においては、1つの凹部に特性の異なるLEDを組として配置したが、異なる凹部の同一の制御領域内に異なる特性のLEDを配置しても良いし、凹部が連続した溝の場合には、同一の制御領域内の溝に異なる特性のLEDを配置しても良い。
【0065】
以上のように、本実施形態を使用することによって、領域制御をおこなった場合でも、輝度むらが発生することを防止することが出来る。
【0066】
上述した実施形態では、導光板に凹部を設けその凹部にLEDを配置した構成を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば特許文献3のように、導光板の端部側面にLEDを配列したものでも同様に本実施形態を適用できることは言うまでも無い。また上述した実施形態では、サイドビュー型LEDを例にして説明したが、温度変化に対する発光効率の変化が小さいものであればトップビュー型のLEDを用いてもよい。更にまた、導光板を用いずに、トップビュー型のLEDを液晶表示パネルに背面にマトリクス状に配列し、各ビュー型のLEDもしくは複数個のLED群を個別に制御して領域制御を行う、いわゆる直下型のLEDにも適用できる。
【符号の説明】
【0067】
10…液晶表示パネル、 11…TFT基板、 12…対向基板、 13…上偏光板、 14…下偏光板、 15…拡散シート、 16…光学シート群、 20…導光板、 21…凹部、 22…リブ、 23…反射シート、 25…カップリング樹脂、 30…LED、 31…LEDチップ、 32…樹脂、 33…波長変換材料、 34…リードフレーム、 35…ワイヤ、 40…配線基板、 41…配線、 101…領域、 341…リードフレーム側部、 342…リードフレーム底部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDと、該LEDからの光を面状にして液晶表示パネルに照射するための導光板とを有する光源ブロックを複数配列して構成され、該光源ブロック毎に光の強度を制御可能なバックライトであって、
前記LEDの発光効率の温度変化が、50℃〜90℃の範囲において、5%以下であることを特徴とするバックライト。
【請求項2】
導光板とLEDを含み領域制御が可能なバックライトであって、
前記導光板は、第1の方向に所定のピッチで配列した凹部の列を有し、前記凹部の列は、前記第1の方向と直角な第2の方向に所定の間隔で配列し、
前記LEDは、サイドビュー型LEDであって、前記凹部に収容され、
前記LEDの発光効率の温度変化は、50℃〜90℃の範囲において、5%以下であることを特徴とするバックライト。
【請求項3】
前記LEDの発光効率の温度変化は、50℃〜90℃の範囲において、3%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のバックライト。
【請求項4】
前記LEDは、2個のLEDチップを有し、前記2個LEDチップは互いに発光効率の温度係数の符号が異なり、前記LEDの発光効率の温度変化は、前記2個のLEDチップを用いた前記LEDの発光効率であることを特徴とする請求項1または2に記載のバックライト。
【請求項5】
導光板とLEDを含み、領域制御が可能なバックライトであって、
前記導光板は、第1の方向に所定のピッチで配列した凹部の列を有し、前記凹部の列は、前記第1の方向と直角な第2の方向に所定の間隔で配列し、
前記LEDは、サイドビュー型LEDであり
前記凹部には複数のLEDが収容され、前記複数のLEDの少なくとも1個は他のLEDとは発光効率の温度係数の符号が異なり、
前記複数のLEDの全体としての発光効率の温度変化は、50℃〜90℃の範囲において、5%以下であることを特徴とするバックライト。
【請求項6】
前記複数のLEDの全体としての発光効率の温度変化は、50℃〜90℃の範囲において、3%以下であることを特徴とする請求項5に記載のバックライト。
【請求項7】
前記複数は2個であることを特徴とする請求項5または6に記載のバックライト。
【請求項8】
液晶表示パネルの背面に、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のバックライトを有する領域制御が可能な液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−231083(P2012−231083A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99739(P2011−99739)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】