説明

バッグインボックス用内装袋

【課題】比較的高粘度で吐出時に酸化による固化などがおきやすい内容物を収納可能なバッグンボックス用の内装袋を提供すること。
【解決手段】内側フィルム(1)と中間フィルム(2)と外側フィルム(3)を三層に重ねたフィルムの周縁をヒートシールして内側フィルムと中間フィルの間に第1収納部(11)を、また、中間フィルムと外側フィルムの間に第2収納部(12)をそれぞれ形成させた内装袋であって、内装袋の内側フィルムには第1収納部と外部を貫通する注入,注出孔(13)が穿設され、内装袋の外側フィルムには第2収納部と外部を貫通する気体送入,排出孔(14)が穿設されたバッグンボックス用内装袋において、第1収納部の中間フィルム側には片面に波形状に凸条(16)が形成された流体通路板(15)が凸条形成面を内容物側に接するようにして嵌め込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にワックス、洗浄剤などの非食品から食品を含む業務用の内容物を収納するバッグインボックス用の内装袋に関するものであり、特には、ワックス等の比較的高粘度で酸化による固化などが起きやすい内容物を収納するバッグインボックス用内装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルな内袋を保形性を有する外箱に収納したバッグインボックスは、使用後、内袋と外箱とを分離することが容易であり、廃棄の問題が少なくリサイクルが可能な容器として注目されている。
【0003】
そしてワックス等の比較的高粘度で酸化による固化などが起きやすい内容物を収納するバッグインボックス用の内装袋としては、袋の内部に細長い流体通路部材やインサート部材を組み込み、注出入口に連通させたりする構造のものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開昭60−99858号公報
【特許文献2】特表昭61−501623号公報。
【0005】
しかし、これらの発明においては、流体通路部材やインサート部材が棒状のため、流体通路部材やインサート部材から離れた位置にある内容液が口栓方向に流れ難いという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ワックス等の比較的高粘度で酸化による固化などが起きやすい内容物を収納するバッグインボックス用の内装袋に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、比較的高粘度で酸化による固化などが起きやすい内容物を収納可能なバッグインボックス用の内装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の発明は、内側フィルムと中間フィルムと外側フィルムを三層に重ねたフィルムの周縁をヒートシールして内側フィルムと中間フィルムの間に第1収納部を、また、中間フィルムと外側フィルムの間に第2収納部をそれぞれ形成させた内装袋であって、前記内装袋の内側フィルムには第1収納部と外部を貫通する注入,注出孔が穿設され、前記内装袋の外側フィルムには第2収納部と外部を貫通する気体送入,排出孔が穿設され、前記注入,注出孔または気体送入,排出孔には、スパウトとキャップまたはスパウトとチューブが取り付けられたバッグインボックス用内装袋において、前記第1収納部の中間フィルム側には、片方の面に波形状に凸条を形成させた流体通路板が凸条形成面を内容物側にして嵌め込まれていることを特徴とする、バッグインボックス用内装袋である。
【0008】
このように請求項1記載の発明によれば、第1収納部の中間フィルム側には、片方の面に波形状に凸条を形成させた流体通路板が凸条形成面を内容物側にして嵌め込まれているので、気体送入,排出口にエアなどの気体を送入して第2収納部を膨らましつつ第1収納
部に収納されているワックスなどの内容物を注入,注出口から吐出させると、内容物は流体通路板の凸条に沿って最後まで容易に吐出される。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記流体通路板の片面に形成される凸条は、注入,注出口に向けて放射状に形成されていることを特徴とする、バッグインボックス用内装袋である。
【0010】
このように請求項2記載の発明によれば、流体通路板の片面に形成される凸条は、注入,注出口に向けて放射状に形成されているので、比較的高粘度で固化し易い内容物であっても残量を少なく吐出させることができる。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記流体通路板は、熱可塑性エラストマーから形成されていることを特徴とする、バッグインボックス用内装袋である。
【0012】
このように請求項3記載の発明によれば、流体通路板が、熱可塑性エラストマーから形成されているので、流体通路板は可撓性があり折り曲げ自在で、内袋を傷つけることなく、また、スムースに内容物を吐出させることができる。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の発明において、前記注入,注出口と気体送入,排出口とは、互いに離れた位置に配置されていることを特徴とする、バッグインボックス用内袋である。
【0014】
このように請求項4記載の発明によれば、注入,注出口と気体送入,排出口とは、互いに離れた位置に配置されているので、互いに過干渉することなく、独立した各々の機能を満足できる。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の袋を内装袋にたバッグインボックスである。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明のバッグインボックス用内袋は、2室構造にすることにより、充填時に内容物を収納しない方の部屋に気体を送り込むことにより内容物を収納した方の部屋の残存エアを少なくすることができ、その結果として内容物の酸化による劣化、固化などを防ぐことができる。
【0017】
また、流体通路板が熱可塑性エラストマーで作製され、凸条を内容物側に向けることで内容物の流れができ、残液が少なくてすむ。なおかつ、エラストマー製なので、可撓性があり内袋を傷つけることがなく、また、スムースに内容物を吐出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明のバッグインボックス用内装袋は、例えば、図1〜図4に示すように、内側フィルム(1)と中間フィルム(2)と外側フィルム(3)を三層に重ねたフィルムの周縁をヒートシールして内側フィルム(1)と中間フィルム(2)の間に第1収納部(11)を、また、中間フィルム(2)と外側フィルム(3)の間に第2収納部(12)をそれぞれ形成させた内装袋であって、前記内装袋の内側フィルムには第1収納部と外部を貫通する注入,注出孔(13)が穿設され、前記内装袋の外側フィルムには第2収納部と外部を貫通する気体送入,排出孔(14)が穿設され、この注入,注出孔(13)または気体送入,排出孔(14)には、スパウトとキャップまたはスパウトとチューブが取り付けられたバ
ッグインボックス用内装袋(10)である。
【0019】
そして、第1収納部(11)の中間フィルム(2)側には、中間フィルムに接して片方の面に波形状に凸条(16)が形成された片面ダンボール様の流体通路板(15)が凸条形成面を内容物側にして嵌め込まれている。
【0020】
また、流体通路板(15)の片面に形成される凸条(16)は、注入,注出孔(13)に向けて放射状に形成させても良い。
【0021】
流体通路板(15)は、例えば、ペルプレンP40H(東洋紡績株式会社製)のような熱可塑性エラストマーを射出成形法、または押し出し成形法などの公知の成形法を用いて作製することができる。
【0022】
内側フィルム(1)、中間フィルム(2)および外側フィルム(3)は、通常一般的に使用されているバッグインボックス用内装袋用の、例えば、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)、高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)、エチレン/酢酸ビニール共重合体フィルム(EVA)、LDPE/HDPE/LDPE、LDPE/EVA、LDPE/延伸ナイロンフィルム(ONy)、LDPE/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、LDPE/PET上に酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により20〜100nm程度の厚さに設けた無機化合物蒸着PET(VM−PET)、LDPE/VM−PET/LDPE、LDPE/エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)/LDPE、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)/ONy上に酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により20〜100nm程度の厚さに設けた無機化合物蒸着ONy、7〜20μm厚のアルミニウムを積層した複合プラスチックフィルム等の単層フィルムまたは複層フィルムを、収納する内容物により適宜選択して使用することができる。
【0023】
内側フィルム(1)、中間フィルム(2)および外側フィルム(3)は、各々単層フィルムあるいは複層フィルム単独であっても良いが、中間フィルム(2)や外側フィルム(3)を単層フィルムと単層フィルム、あるいは単層フィルムと複層フィルム、複層フィルムと複層フィルムをそれぞれ重ねた二重フィルム構成としても良い。二重フィルム構成とすることにより、特に、内容物を充填した内装袋を外箱に収納して輸送した際などにも内装袋にピンホールが発生せず保管上で好結果を生む。内側フィルムを二重フィルム構成としても良いことはいうまでもない。
【0024】
注入,注出孔(13)や気体送入,排出孔(14)に取り付けるスパウト、キャップやチューブの構成は、一般的にはつぎの通りである。
【0025】
すなわち、スパウトはポリエチレン等の半硬質のプラスチック樹脂から構成され、キャップはポリエステル、ポリプロピレン、合成ゴム等の可撓性材料から構成され、また、チューブは合成ゴム等で構成された弾性チューブである。
【0026】
本発明のバッグインボックス用内装袋は、以上のような構造からなるので、第1収納部(11)に収納された、例えば、液状ワックスのような内容物(L)を内装袋から吐出するには、第2収納部(12)にエアのような気体(G)を送入しつつ内容物(L)を吐出させることで、第1収納部(11)の中間フィルム(2)側は、収納部(12)側から押された状態で、常時残存エアがほとんどない状態を維持しており、内容物は流体通路板(15)の凸条(16)に沿ってほぼ全量が外に吐出される。なお、これらの操作はすべて自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のバッグインボックス用内装袋の一実施例を示す、断面説明図である。
【図2】第1収納部に内容物を収納した状態を示す、図1のA−A’線断面説明図である。
【図3】第2収納部に気体を送り込み、内容物が第1収納部から吐出している状態を示す、図1のA−A’線断面説明図である。
【図4】本発明に使用する流体通路板の一実施例を示す、斜視説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1‥‥内側フィルム
2‥‥中間フィルム
3‥‥外側フィルム
10‥‥バッグインボックス用内装袋
11‥‥第1収納部
12‥‥第2収納部
13‥‥注入,注出孔、スパウト、キャップ
14‥‥気体送入,排出孔、スパウト、チューブ
15‥‥流体通路板
16‥‥凸条
L‥‥内容物
G‥‥気体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側フィルムと中間フィルムと外側フィルムを三層に重ねたフィルムの周縁をヒートシールして内側フィルムと中間フィルムの間に第1収納部を、また、中間フィルムと外側フィルムの間に第2収納部をそれぞれ形成させた内装袋であって、
前記内装袋の内側フィルムには第1収納部と外部を貫通する注入、注出孔が穿設され、前記内装袋の外側フィルムには第2収納部と外部を貫通する気体送入,排出孔が穿設され、
前記注入,注出孔または気体送入,排出孔には、スパウトとキャップまたはスパウトとチューブが取り付けられたバッグインボックス用内装袋において、
前記第1収納部の中間フィルム側には、片方の面に波形状に凸条を形成させた流体通路板が凸条形成面を内容物側にして嵌め込まれていることを特徴とする、バッグインボックス用内装袋。
【請求項2】
前記流体通路板の片面に形成される凸条は、注入,注出孔に向けて放射状に形成されていることを特徴とする、請求項1記載のバッグインボックス用内装袋。
【請求項3】
前記流体通路板は、熱可塑性エラストマーから形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載のバッグインボックス用内装袋。
【請求項4】
前記注入,注出孔と前記気体送入,排出孔とは、互いに離れた位置に配置されていることを特徴とする、請求項1、2又は3記載のバッグインボックス用内装袋。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の袋を内装袋にしたバッグインボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−8223(P2006−8223A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190859(P2004−190859)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】