説明

バッグインボックス用包装袋

【課題】従来の欠点を解消した耐衝撃性及びバリア性を有し、輸送時の包装内容物の漏れ、破袋がなく、酸素透過による包装内容物の劣化を抑えたバッグインボックス用包装袋を提供する。
【解決手段】バッグインボックス用包装袋は、外装材21及び少なくとも一枚の内装材22を重ね合わせた多重体23からなり、外側端部をヒートシールして袋状に形成し、更に注出口28を備えてなるものである。外装材21は、オレフィン系樹脂からなる第1層と、エチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンからなるバリア性樹脂をメイン樹脂として含み、さらにオレフィン系樹脂、ゴム状樹脂及び相溶化剤を含む樹脂組成物からなる第2層と、オレフィン系樹脂からなる第3層を共押出成膜法により積層してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッグインボックス用包装袋に関し、さらに詳しくは耐衝撃性及びバリア性を有し、輸送時の包装内容物の漏れ、破袋がなく、酸素透過による包装内容物の劣化を抑えたバッグインボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
バッグインボックス用包装袋の材料として、ポリエステル、ポリアミド等からなる基材に無機化合物蒸着層を設けた蒸着フィルムの、蒸着面に水溶性高分子と金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む塗液を塗布してなる被覆層を有するバリア材の被覆層側にポリオール−イソシアネート系接着剤でドライラミネート法によりヒートシール性樹脂層を設けた積層材料が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−216325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の積層材料には、バリア材にドライラミネート法によりヒートシール性樹脂層を貼り合わせているので、加工コストがかかり、接着剤や溶剤を用いなければならない、バリア材の伸びがないため裂けの発生が懸念される等の問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、上記の従来の欠点を解消した耐衝撃性及びバリア性を有し、輸送時の包装内容物の漏れ、破袋がなく、酸素透過による包装内容物の劣化を抑えたバッグインボックス用包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、上記の課題を解決するもので、外装材及び少なくとも一枚の内装材を重ね合わせた多重体からなり、外側端部をヒートシールして袋状に形成し、更に注出口を備えてなるバッグインボックス用包装袋において、外装材は、オレフィン系樹脂からなる第1層と、エチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンからなるバリア性樹脂をメイン樹脂として含み、さらにオレフィン系樹脂、ゴム状樹脂及び相溶化剤を含む樹脂組成物からなる第2層と、オレフィン系樹脂からなる第3層を共押出成膜法により積層してなるものであることを特徴とするバッグインボックス用包装袋を要旨とする。
【0005】
本発明において、前記外装材の第2層の樹脂組成物に含まれるオレフィン系樹脂は、好ましくは、第1層及び第3層のオレフィン系樹脂と同一である。
【0006】
本発明において、好ましくは、前記外装材の第1層は第2層に接着性樹脂層を介して積層され、第2層は第3層に接着性樹脂層を介して積層されている。
【0007】
本発明において、前記外装材の第1層は接着性樹脂層の介在なく直接第2層に積層され、第2層は接着性樹脂層の介在なく直接第3層に積層されてもよい。
【0008】
本発明において、前記外装材の第2層の樹脂組成物へのエチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンの配合率は50〜90%である。50%よりも配合率が少ないと極端な酸素バリア性の低下が見られ、一方90%よりも大きくなるとシール層との接着性が悪くなる。
【0009】
前記外装材の第2層の樹脂組成物に含まれる相溶化剤は、バリア性樹脂、オレフィン系樹脂及びゴム成分の相溶化を促進するもので、例えば無水マレイン酸変性のポリエチレン、無水マレイン酸変性のポリプロピレン等からなる相溶化剤を含ませることが望ましい。
【0010】
また、前記外装材の第2層の樹脂組成物に含まれるゴム成分は、前記樹脂組成物からなる層に耐衝撃性を向上させ、柔軟性を付与するために添加されるものである。
【0011】
前記外装材の第2の樹脂組成物において、バリア性樹脂としてEVOHを用いる場合、そのエチレンモル濃度を低下させ、バリア性のポテンシャルを上げることができる。
【0012】
前記外装材は、その第2層が、エチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンからなるバリア性樹脂をメイン樹脂として含み、さらにオレフィン系樹脂、ゴム状樹脂及び相溶化剤を含むことを特徴とする樹脂組成物からなるので、耐衝撃性に優れ、且つ高い酸素バリア性を有する、比較的柔軟なバリア層を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバッグインボックス用包装袋は、外装材及び少なくとも一枚の内装材を重ね合わせた多重体からなり、外側端部をヒートシールして袋状に形成し、更に注出口を備えてなるバッグインボックス用包装袋において、外装材は、オレフィン系樹脂からなる第1層と、エチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンからなるバリア性樹脂をメイン樹脂として含み、さらにオレフィン系樹脂、ゴム状樹脂及び相溶化剤を含む樹脂組成物からなる第2層と、オレフィン系樹脂からなる第3層を共押出成膜法により積層してなるものであるので、耐衝撃性及びバリア性を有し、落下による破袋、屈曲によるピンホールの発生、ダンボール詰め後の輸送中の包装袋の破れ、ピンホールの発生がないという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明のバッグインボックス用包装袋を構成する外装材の第一の実施態様の断面図を示す。
【0015】
図1に示すように、バッグインボックス用包装袋を構成する外装材21は、オレフィン系樹脂からなる第1層1と接着性樹脂層4を介して積層された、エチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンからなるバリア性樹脂をメイン樹脂として含み、さらにオレフィン系樹脂、ゴム状樹脂及び相溶化剤を含む樹脂組成物からなる第2層2と、第2層2に接着性樹脂層4を介して積層されたオレフィン系樹脂層4からなる第3層3からなるものである。
第2層の樹脂組成物に含まれるエチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンはバリア性をするために添加されるものである。エチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンの配合率は50〜90%である。50%よりも配合率が少ないと極端な酸素バリア性の低下が見られ、一方90%よりも大きくなるとシール層との接着性が悪くなる。
【0016】
第1層及び第3層のオレフィン系樹脂及び第2層に含まれるオレフィン系樹脂としては、熱によって溶融し、Tダイから押出可能なオレフィン系樹脂を使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂その他のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂の1種乃至2種以上を使用することができる。
【0017】
次に第2層の樹脂組成物に含まれるゴム成分は、耐衝撃性を向上させるため及び柔軟性を付与するために添加されるものである。
而して、ゴム成分としては、天然ゴム、ブタジエン重合体、ブタジエン−スチレン重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等全て含まれる)、イソプレン重合体、クロロブタジエン重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、チルロールゴム、多加硫ゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム(例えばポリプロピレンオキシド等)、エピクロルヒドリドンゴム等が挙げられる。
【0018】
第2層の樹脂組成物に含まれるオレフィン系樹脂として、第1層及び第3層のオレフィン系樹脂と同じオレフィン系樹脂を用いることが望ましい。
【0019】
第2層に樹脂組成物に含まれる相溶化剤は、バリア性樹脂、オレフィン系樹脂及びゴム成分の相溶化を促進するもので、例えば無水マレイン酸変性のポリエチレン、無水マレイン酸変性のポリプロピレン等からなる相溶化剤を含ませることが望ましい。
【0020】
接着性樹脂層4の樹脂としては、熱により溶融し、上記の樹脂組成物からなる第2層2並びに第1層1及び第3層3に対する密着性を有する樹脂、具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂あるいはポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂その他のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂の1種乃至2種以上が好ましい。
【0021】
図2は、本発明のバッグインボックス用包装袋を構成する外装材の第二の実施態様を示す。
【0022】
図2に示すように、外装材の第二の実施態様は、第1層1、第2層2及び第3層3が、接着性樹脂層を介在させることなく、第1層を直接第2層に接着し、第2層は直接第3層に積層したものである。
【0023】
本発明においては、図3、図4に示すように、外装材の第1層1側にラミネート用接着剤層5を介してバリア性フィルム6を積層してもよい。
【0024】
次に本発明の外装材の製造方法について説明する。
ポリオレフィン系樹脂からなる第1層と、ポリオレフィン系樹脂からなる第1層と、エチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンをメイン樹脂として含み、さらにポリオレフィン系樹脂及びゴム成分を含む樹脂組成物からなる第2層と、オレフィン系樹脂からなる第3層を積層する外装材の製造方法において、第2層の樹脂組成物の混練を、二軸押出機を用いて強制的に行い、樹脂組成物の成分樹脂を微分散させる。
【0025】
二軸押出機は、図5に示すように、スクリュー11を2本並列に用いた押出機である。スクリューが1本しかない単軸押出機に比べると混練効果が増し、樹脂組成物の成分樹脂を微分散させることができるものである。ここに例示するものはスクリュー11が同方向に噛み合う二軸同方向押出機である。尚、図5において7はアダプター(押出機とダイ(図示せず)の間にあり、ダイを押出機に固定、接続すると共に、溶融樹脂の流路になる部分)、8はブレーカプレート(スクリュー先端とダイの間に設ける多数の孔の開いた円板。このブレーカプレートは、溶融ポリマーに背圧をかけて溶融ポリマーの流れを整え、混練効果を上げる。)、9はバレル(スクリューを内蔵する外筒)、10はヒータ、12はフィーダ、13ホッパを示す。この二軸押出機によって、第2層の樹脂組成物の混練を、二軸押出機を用いて強制的に行い、樹脂組成物の成分樹脂を微分散させて、樹脂組成物をブレンドアロイ化し、耐衝撃性に優れ、且つ高い酸素バリア性を有する、比較的柔軟なバリア性樹脂層を形成することができる。
【0026】
次に本発明において、外装材を構成する各層の樹脂組成物について更に詳しく説明する。
先ず、第1層を形成する樹脂組成物としては、熱によって溶融し、Tダイから押出可能なポリオレフィン系樹脂、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂その他のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂の1種乃至2種以上を主成分とし、更に、必要ならば、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗黴性、電気的特性、強度その他を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等の1種乃至2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して第1層の樹脂組成物を調製することができる。
【0027】
次に第2層を形成する、樹脂組成物は、エチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロン空なるバリア性樹脂をメイン樹脂として含み、さらにオレフィン系樹脂、ゴム成分及び相溶化剤を加え、更に、必要ならば、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗黴性、電気的特性、強度その他を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等の1種乃至2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、二軸同方向押出機を用いて、十分に混練して第2層の樹脂組成物を調製することができる。
【0028】
次に第3層を形成する樹脂組成物としては、熱によって溶融し、Tダイから押出可能なオレフィン系樹脂、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂その他のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂の1種乃至2種以上を主成分とし、更に、必要ならば、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗黴性、電気的特性、強度その他を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等の1種乃至2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して第2層の樹脂組成物を調製することができる。
【0029】
更に、第1層乃至第3層に、配合剤や添加剤として、具体的には、それ自身が滑性を有し、且つ、樹脂中における移行が少ない滑剤を使用することができ、例えば、流動パラフィン、白色ワセリン、石油系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類、炭素数が8〜22の高級脂肪酸、または高級脂肪酸アルミニウム、高級脂肪酸カルシウム、高級脂肪酸マグネシウム、高級脂肪酸亜鉛、高級脂肪酸リチウム等の高級脂肪酸またはその金属塩、炭素数が8〜18の直鎖脂肪族1価アルコール、グリセリン、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、トリエチレングリコール等の脂肪族アルコール類、炭素数が4〜22の高級脂肪酸と炭素数が8〜18の直鎖脂肪族1価アルコートとのエステル類、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジ−2エチル−ヘキシル、アゼライン酸−n−ヘキシル、エタンジオールモンタン酸エステル、ポリ(1,3−ブタンジオールアジピン酸)エステル、アセチルリシノール酸メチル、ポリ(1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、アジピン酸オクチルアルコール)エステル、糖アルコールと脂肪酸とのエステル類、水添食用油脂、ヒマシ油、スパームアセチワックス、アセチル化モノグリセライド等のグリセライド類、炭素数が16〜18の、例えばエチレンビスオレイルアミドに代表されるエチレンビス脂肪酸アミド、炭素数が8〜22の高級脂肪酸アミド、ステアリルエルカアミド、エルカ酸アミド、オレイルパルミトアミド等の高級脂肪酸アミド類、その他、メチルヒドロジエンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油やロジンやマレイン酸変性ロジンのグリセリンエステル等の1種乃至2種以上を使用することができる。
尚、本発明において、上記のような滑剤の中でも、特にエルカ酸アミドやエチレンビスオレイルアミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等は、それ自身が滑性を持ち、極めて有効な材料である。
上記した滑剤の添加量としては、ポリオレフィン系樹脂、色素バリア性樹脂層の樹脂、あるいは接着性樹脂100重量部に対し、0.08重量%〜10.0重量%の割合で添加することが好ましい。
【0030】
次に、本発明において、上記のような外装材の各層の樹脂組成物を使用して外装材を製造する方法について説明する。先ず、上記のように外装材の各層の樹脂組成物を調製し、次いでそれらの樹脂組成物を、例えば、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機を使用して、共押出成形して、第1層、接着性樹脂層、第2層、接着性樹脂層、第3層の順に積層した構成からなる5種5層の外装材、或いは接着性樹脂層を介さずに直接第1層、第2層及び第3層を積層した外装材を製造することができる。
【0031】
図3及び図4に示すように、第1層1側にプライマー剤層あるいはラミネート用接着剤層5を介してバリア性フィルム6がドライラミネートして、外装材21を形成してもよい。
【0032】
而して、バリア性フィルム6としては、機械的、物理的、化学的その他において優れた性質を有し、強度、強靭性等に優れ、更に、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、透明性その他に優れた樹脂のフィルムを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂その他の各種の樹脂のフィルムを使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルムの何れも使用することができる。
また、上記のフィルムは、強度、耐突き刺し性、剛性その他を必要最低限に保持する厚さを有するものでよく、厚すぎると、コストを上昇するという欠点もあり、反対に薄すぎると、強度、耐突き刺し性、剛性その他が低下して好ましくない。
上記のような理由からバリア性フィルムの厚さは、約10μm乃至100μm位、好ましくは約12μm乃至50μm位が最も好ましい。
上記した樹脂のフィルム乃至シートの中でも、特に、厚さ9μm〜30μm位の二軸延伸ポリエステル系フィルム、二軸延伸ポリアミド系フィルム、二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムが好ましい。
【0033】
次にまた、本発明において、バリア性フィルム6としては、例えば、太陽光等の光を遮光する性質、あるいは、水蒸気、水、酸素等のガスを透過しない性質を有する材料を使用することができ、これは単体フィルムのみならず、二種以上の材料を組み合せた複合フィルムも使用することができる。
具体的には、例えばバリア性を有する酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂フィルム、水蒸気、水等のバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルム、ガスバリア性を有するポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、MXD6ナイロン等の樹脂のフィルム、樹脂に顔料等の着色剤その他を混練してフィルム化した遮光性を有する各種の着色樹脂フィルム等を使用することができる。
上記のフィルムの厚さは、通常、5μm乃至300μm位、好ましくは10μm乃至100μmである。
【0034】
更に、蒸着膜を支持する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物フィルムその他を使用することができる。
【0035】
尚、無機酸化物の蒸着層を構成する無機酸化物としては、例えば、珪素酸化物(SiOx)、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等を使用することができる。
更に、無機酸化物として、一酸化珪素と二酸化珪素の混合物、あるいは珪素酸化物と酸化アルミニウムの混合物も使用することができる。
本発明において、無機酸化物の薄膜層を形成する方法としては、イオンビーム法、電子ビーム法等の真空蒸着法、スパッタリング法等を採用することができる。
無機酸化物の薄膜層の厚さは、十分なバリア性を得るために、通常、100Å〜2000Åであることが好ましく、特に本発明においては、200Å〜1500Å位が望ましい。無機酸化物の薄膜層の厚さが1500Åを超えると、特に2000Åを超えると、無機酸化物の蒸着層にクラック等が入りやすくなり、それにより、バリア性が低下するという危険性があると共に、材料コストが高くなるという問題点があるので好ましくなく、また、200Å未満、特に100Å未満の場合、無機酸化物の薄膜層のバリア性効果が認められることが困難になり、好ましくない。
【0036】
本発明において、バリア性フィルム6としては、包装する包装内容物中に含まれる香料成分等の吸着が少なく、保香性に富み、更に、変味、異臭等を生じない性質を有する樹脂のフィルムを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリメタクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂もしくはそのエチレン成分および/またはテレフタレート成分の一部を多価アルコール成分またはジカルボン酸成分で共重合乃至変性した樹脂あるいはポリエチレンナフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂その他の樹脂フィルムを使用することができる。
而して、本発明においては、上記した樹脂のフィルムの中でも、保香性を有すると共に酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性を有する樹脂フィルムを使用することが望ましく、具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリアミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、または、ポリエステル系樹脂等からなる保香性、バリア性等に富む樹脂のフィルムを使用することが望ましい。
【0037】
本発明の外装材の第1層1の上に、あるいはバリア性フィルム6の上に、文字、図形、記号、絵柄等の印刷層を設けることができる。
印刷層としては、具体的に、樹脂等の1種乃至2種以上からなるインキ用ビヒクルを主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤その他の添加剤の1種乃至2種以上を任意に添加し、更に、染料、顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等を加えて十分に混練してインキ組成物を調製し、次いで、このインキ組成物を使用して、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷その他の印刷方式により、外装材の第1層1あるいはバリア性フィルム6の上に文字、図形、記号、絵柄その他の印刷を施すことができる。
【0038】
インキ用ビヒクルとしては、公知のもの、例えば、亜麻仁油、桐油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、フェノール系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴムその他の1種乃至2種以上を使用することができる。
【0039】
次に、ラミネート用接着剤層5について説明する。
ラミネート用接着剤5としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロにトリル、スチレン等の共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等の無機系接着剤その他の接着剤を使用することができる。これらの接着剤の組成系は、水系型、溶剤型、エマルジョン型、分散型等の何れの形態のものでもよい。また、その形状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等の何れの形態のものでもよい。更に、接着機構は、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等の何れの形態のものでもよい。
而して、上記のラミネート用接着剤5は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法その他のコート法あるいは印刷法によって施すことができる。ラミネート用接着剤のコーティング量は、0.1〜10g/m2(乾燥状態)位が望ましい。
【0040】
バリア性フィルム6を、ドライラミネート法に代えて、プライマー層またはアンカーコート層等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等を介してバリア性フィルム6を積層する溶融押出積層方式を採用することもできる。
【0041】
本発明において、プライマー層としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体乃至変性樹脂、セルロース系樹脂その他を主成分とする樹脂組成物を使用してプライマー層を使用することができる。
【0042】
本発明において、アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネート等の有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系その他の水性乃至油性の各種のアンカーコート剤を使用することができる。その場合、アンカーコート剤のコーティング量は、0.1〜5g/m2(乾燥状態)位が望ましい。
【0043】
図6は、本発明のバッグインボックス用包装袋の構成を示す断面図である。図6に示すように、ヒートシール性を有する樹脂、例えば線状低密度ポリエチレンからなる内装材22と外装材21を重ね合わせて多層体23を構成し、次に内装材22、22面が対向するように多重体23を重ね合わせ、その外周端部をヒートシールしてシール部24、24を形成してバッグインボックス用包装袋を形成する。尚、上記のバッグインボックス用包装袋においては、多重体23に開口部26を設け、この開口部26にフランジ部27を有する注出口28を設け、次に注出口28のフランジ部27と多重体23が重なり合う部分をヒートシールしてシール部29、29を形成して、多重体23に注出口28が取り付けられている。図中30は注出口28を密閉する蓋部を示す。また、本発明において多重体とは外装材と少なくとも一枚の内装材を単に重ね合わせた状態のものをいい、外装材と内装材はシール部を除いて互いに接着していないものである。
【0044】
次に本発明について、以下に実施例を挙げて詳細に説明する。
【実施例1】
【0045】
五種五層の上吹きインフレーション共押出製膜を行うにあたり、五層の材料を下記のように調製した。
第一層用樹脂組成物として、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井化学株式会社製エボリューSP2020、密度=0.916g/cm3、MFR=1.5g/10分)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第二層用樹脂組成物として、無水マレイン酸変性接着性ポリエチレン(三井化学株式会社製アドマーNF528)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第三層用樹脂組成物として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ株式会社製エバールF101B、密度=1.19g/cm3、MFR=1.6g/10分、融点=183℃、エチレンモル濃度=32%)56重量部と、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井化学株式会社製エボリューSP2020、密度=0.916g/cm3、MFR=1.5g/10分)22重量部、ゴム成分としてブテン系のブテン−プロピレン−エチレン共重合体(三井化学株式会社製タフマーBL3110、密度=0.910g/cm3、MFR=1.0g/10分)11重量部、相溶化剤として第二層に用いた樹脂と同じ無水マレイン酸変性の接着性ポリエチレン(三井化学株式会社製アドマーNF528)11重量部を、二軸同方向押出機を用いて、十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第四層用樹脂組成物として、無水マレイン酸変性接着性ポリエチレン(三井化学株式会社製アドマーNF528)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第五層用樹脂組成物として、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井化学株式会社製エボリューSP2020、密度=0.916g/cm3、MFR=1.5g/10分)100重量部と合成シリカ0.5重量部、エルカ酸アミド0.05重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
五種五層のインフレーション共押出製膜機を用いて、第一層用樹脂組成物の層30μm、第二層用樹脂組成物の層5μm、第三層用樹脂組成物の層10μm、第四層用樹脂組成物の層5μm及び第五層用樹脂組成物の層30μmからなる五層の総厚80μmの外装材を得た。
得られた外装材と80μmの厚さの線状低密度ポリエチレンからなる内装材を重ね合わせて多層体を構成し、次に内装材面が対向するように多重体を重ね合わせ、その外周端部をヒートシールしてシール部を形成して、袋サイズ450mm×450mmの包装袋を形成し、包装袋に注出口を取り付けてバッグインボックス用包装袋を形成した。
得られたバッグインボックス用包装袋内に醤油10Lを入れ、バッグインボックス用包装袋を段ボール箱に詰め、2000kmの路線混載便で輸送テストを行ったが、醤油の漏れ、変質等は認められなかった。
【実施例2】
【0046】
五種五層の上吹きインフレーション共押出製膜を行うにあたり、五層の材料を下記のように調製した。
第一層用樹脂組成物として、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井化学株式会社製エボリューSP2020、密度=0.916g/cm3、MFR=1.5g/10分)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第二層用樹脂組成物として、無水マレイン酸変性の接着性ポリエチレン(三井化学株式会社製アドマーNF528)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第三層用樹脂組成物として、MXD−6メタキシリレンジアミン(MXナイロン)(三菱ガス化学株式会社製MXナイロンS6007、密度=1.22g/cm3、MFR=2.0g/10分)56重量部と、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井化学株式会社製エボリューSP2020、密度=0.916/cm2、MFR=1.0g/10分)22重量部、ゴム成分としてブテン系のブテン−プロピレン−エチレン共重合体(三井化学株式会社製タフマーBL3110、密度=0.910g/cm3、MFR=1.0g/10分)11重量部、相溶化剤として第二層に用いた樹脂と同じ無水マレイン酸変性の接着性ポリエチレン(三井化学株式会社製アドマーNF528)11重量部を、二軸同方向押出機を用いて、十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第四層用樹脂組成物として、無水マレイン酸変性の接着性ポリエチレン(三井化学株式会社製アドマーNF528)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第五層用樹脂組成物として、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井化学株式会社製エボリューSP2020、密度=0.916g/cm3、MFR=1.5g/10分)100重量部と合成シリカ0.5重量部、エルカ酸アミド0.05重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
五種五層のインフレーション共押出製膜機を用いて、第一層用樹脂組成物の層30μm、第2層用樹脂組成物の層5μm、第3層用樹脂組成物の層10μm、第4層用樹脂組成物の層5μm及び第5層用樹脂組成物の層30μmからなる五層の総厚80μmの外装材を得た。
得られた外装材と80μmの厚さの線状低密度ポリエチレンからなる内装材を重ね合わせて多層体を構成し、次に内装材面が対向するように多重体を重ね合わせ、その外周端部をヒートシールしてシール部を形成して、袋サイズ450mm×450mmの包装袋を形成し、包装袋に注出口を取り付けてバッグインボックス用包装袋を形成した。
得られたバッグインボックス用包装袋内に醤油10Lを入れ、バッグインボックス用包装袋を段ボール箱に詰め、2000kmの路線混載便で輸送テストを行ったが、醤油の漏れ、変質等は認められなかった。
【実施例3】
【0047】
三種三層の上吹きインフレーション共押出製膜を行うにあたり、三層の材料を下記のように調製した。
第一層用樹脂組成物として、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井化学株式会社製エボリューSP2020、密度=0.916g/cm3、MFR=1.5g/10分)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第二層用樹脂組成物として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ株式会社製エバールF101B、密度=1.19g/cm3、MFR=1.6g/10分、融点=183℃、エチレンモル濃度=32%)56重量部と、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井化学株式会社製エボリューSP2020、密度=0.916g/cm3、MFR=1.5g/10分)22重量部、ゴム成分としてブテン系のブテン−プロピレン−エチレン共重合体(三井化学株式会社製タフマーBL3110、密度=0.910g/cm3、MFR=1.0g/10分)11重量部、相溶化剤として無水マレイン酸変性の接着性ポリエチレン(三井化学株式会社製アドマーNF528)11重量部を、二軸同方向押出機を用いて、十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第三層用樹脂組成物として、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(三井化学株式会社製エボリューSP2020、密度=0.916g/cm3、MFR=1.5g/10分)100重量部と合成シリカ0.5重量部、エルカ酸アミド0.05重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部、帯電防止剤3.0重量部を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
三種三層のインフレーション共押出製膜機を用いて、第一層用樹脂組成物の層35μm、第二層用樹脂組成物の層10μm、第三層用樹脂組成物の層35μmからなる三層の総厚80μmの外装材を得た。
得られた外装材と80μmの厚さの線状低密度ポリエチレンからなる内装材を重ね合わせて多層体を構成し、次に内装材面が対向するように多重体を重ね合わせ、その外周端部をヒートシールしてシール部を形成して、袋サイズ450mm×450mmの包装袋を形成し、包装袋に注出口を取り付けてバッグインボックス用包装袋を形成した。
得られたバッグインボックス用包装袋内に醤油10Lを入れ、バッグインボックス用包装袋を段ボール箱に詰め、2000kmの路線混載便で輸送テストを行ったが、醤油の漏れ、変質等は認められなかった。
【実施例4】
【0048】
五種五層の上吹きインフレーション共押出製膜を行うにあたり、五層の材料を下記のように調製した。
第一層用樹脂組成物として、機能性ポリプロピレンブロックコポリマー(サンアロマー株式会社製PC380A、密度=0.9g/cm3、MFR=1.0g/10分)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第二層用樹脂組成物として、無水マレイン酸変性の接着性ポリプロピレン(三菱化学株式会社製モディックAP−P604V)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第三層用樹脂組成物として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ株式会社製エバールF101B、密度=1.19g/cm3、MFR=1.6g/10分、融点=183℃、エチレンモル濃度=32%)56重量部と、機能性ポリプロピレンブロックコポリマー(サンアロマー株式会社製PC380A、密度=0.9g/cm3、MFR=1.0g/10分)22重量部、ゴム成分としてブテン系のブテン−プロピレン−エチレン共重合体(三井化学株式会社製タフマーBL3110、密度=0.910g/cm3、MFR=1.0g/10分)11重量部、相溶化剤として第二層に用いた樹脂と同じ無水マレイン酸変性の接着性ポリプロピレン(三菱化学株式会社製モディックAP−P604V)11重量部を、二軸同方向押出機を用いて、十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第四層用樹脂組成物として、無水マレイン酸変性の接着性ポリプロピレン(三菱化学株式会社製モディックAP−P604V)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第五層用樹脂組成物として、機能性ポリプロピレンブロックコポリマー(サンアロマー株式会社製PC380A、密度=0.9g/cm3、MFR=1.0g/10分)100重量部と合成シリカ0.5重量部、エルカ酸アミド0.05重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
五種五層のインフレーション共押出製膜機を用いて、第一層用樹脂組成物の層30μm、第二層用樹脂組成物の層5μm、第三層用樹脂組成物の層10μm、第四層用樹脂組成物の層5μm及び第五層用樹脂組成物の層30μmからなる五層の総厚80μmの外装材を得た。
得られた外装材と80μmの厚さの線状低密度ポリエチレンからなる内装材を重ね合わせて多層体を構成し、次に内装材面が対向するように多重体を重ね合わせ、その外周端部をヒートシールしてシール部を形成して、袋サイズ450mm×450mmの包装袋を形成し、包装袋に注出口を取り付けてバッグインボックス用包装袋を形成した。
得られたバッグインボックス用包装袋内に醤油10Lを入れ、バッグインボックス用包装袋を段ボール箱に詰め、2000kmの路線混載便で輸送テストを行ったが、醤油の漏れ、変質等は認められなかった。
【実施例5】
【0049】
五種五層の上吹きインフレーション共押出製膜を行うにあたり、五層の材料を下記のように調製した。
第一層用樹脂組成物として、機能性ポリプロピレンブロックコポリマー(サンアロマー株式会社製PC380A、密度=0.9g/cm3、MFR=1.0g/10分)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第二層用樹脂組成物として、無水マレイン酸変性の接着性ポリプロピレン(三菱化学株式会社製モディックAP−P604V)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第三層用樹脂組成物として、MXD−6ナイロン(三菱ガス化学株式会社製MXナイロンS6007、密度=1.22g/cm3、MFR=2.0g/10分)56重量部と、機能性ポリプロピレンブロックコポリマー(サンアロマー株式会社製PC380A、密度=0.9g/cm3、MFR=1.0g/10分)22重量部、ゴム成分としてブテン系のブテン−プロピレン−エチレン共重合体(三井化学株式会社製タフマーBL3110、密度=0.910g/cm3、MFR=1.0g/10分)11重量部、相溶化剤として第二層に用いた樹脂と同じ無水マレイン酸変性の接着性ポリプロピレン(三菱化学株式会社製モディックAP−P604V)11重量部を、二軸同方向押出機を用いて、十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第四層用樹脂組成物として、無水マレイン酸変性の接着性ポリプロピレン(三井化学株式会社製モディックAP−P604V)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第五層用樹脂組成物として、機能性ポリプロピレンブロックコポリマー(サンアロマー株式会社製PC380A、密度=0.9g/cm3、MFR=1.0g/10分)100重量部と合成シリカ0.5重量部、エルカ酸アミド0.05重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
五種五層のインフレーション共押出製膜機を用いて、第一層用樹脂組成物の層30μm、第二層用樹脂組成物の層5μm、第三層用樹脂組成物の層10μm、第四層用樹脂組成物の層5μm及び第五層用樹脂組成物の層30μmからなる五層の総厚60μmの外装材を得た。
得られた外装材と80μmの厚さの線状低密度ポリエチレンからなる内装材を重ね合わせて多層体を構成し、次に内装材面が対向するように多重体を重ね合わせ、その外周端部をヒートシールしてシール部を形成して、袋サイズ450mm×450mmの包装袋を形成し、包装袋に注出口を取り付けてバッグインボックス用包装袋を形成した。
得られたバッグインボックス用包装袋内に醤油10Lを入れ、バッグインボックス用包装袋を段ボール箱に詰め、2000kmの路線混載便で輸送テストを行ったが、醤油の漏れ、変質等は認められなかった。
【実施例6】
【0050】
三種三層の上吹きインフレーション共押出製膜を行うにあたり、三層の材料を下記のように調製した。
第一層用樹脂組成物として、機能性ポリプロピレンブロックコポリマー(サンアロマー株式会社製PC380A、密度=0.9g/cm3、MFR=1.0g/10分)を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第二層用樹脂組成物として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ株式会社製エバールF101B、密度=1.19g/cm3、MFR=1.6g/10分、融点=183℃、エチレンモル濃度=32%)56重量部と、機能性ポリプロピレンブロックコポリマー(サンアロマー株式会社製PC380A、密度=0.9g/cm3、MFR=1.0g/10分)22重量部、ゴム成分としてブテン系のブテン−プロピレン−エチレン共重合体(三井化学株式会社製タフマーBL3110、密度=0.910g/cm3、MFR=1.0g/10分)11重量部、相溶化剤として無水マレイン酸変性の接着性ポリプロピレン(三菱化学株式会社製モディックAP−P604V)11重量部を、二軸同方向押出機を用いて、十分に混練して樹脂組成物を調製した。
第三層樹脂組成物として、機能性ポリプロピレンブロックコポリマー(サンアロマー株式会社製PC380A、密度=0.9g/cm3、MFR=1.0g/10分)100重量部と合成シリカ0.5重量部、エルカ酸アミド0.05重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
三種三層のインフレーション共押出製膜機を用いて、第一層用樹脂組成物の層35μm、第二層用樹脂組成物の層10μm、第三層用樹脂組成物の層35μmからなる三層の総厚80μmの外装材を得た。
得られた外装材と80μmの厚さの線状低密度ポリエチレンからなる内装材を重ね合わせて多層体を構成し、次に内装材面が対向するように多重体を重ね合わせ、その外周端部をヒートシールしてシール部を形成して、袋サイズ450mm×450mmの包装袋を形成し、包装袋に注出口を取り付けてバッグインボックス用包装袋を形成した。
得られたバッグインボックス用包装袋内に醤油10Lを入れ、バッグインボックス用包装袋を段ボール箱に詰め、2000kmの路線混載便で輸送テストを行ったが、醤油の漏れ、変質等は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の外装材を用いて製造したバッグインボックス用包装用袋は、特に、飲食品、果汁、ジュース、飲料水、酒、液体スープのほか、ボディーシャンプー、柔軟仕上げ剤、試薬、薬品の包装に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の外装材の第1の実施の形態の断面図である。
【図2】本発明の外装材の第2の実施の形態の断面図である。遮蔽
【図3】図1の外装材にバリア性フィルムを積層した積層フィルムの断面図である。
【図4】図2の外装材にバリア性フィルムを積層した積層フィルムの断面図である。
【図5】二軸押出機の説明図である。
【図6】本発明のバッグインボックス用包装袋の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 (外装材)の第1層
2 (外装材)の第2層
3 (外装材)の第3層
4 接着性樹脂層
5 ラミネート用接着剤層
6 バリア性フィルム
7 (二軸押出機の)アダプター
8 (二軸押出機の)ブレーカプレート
9 (二軸押出機の)バレル
10 (二軸押出機の)ヒータ
12 (二軸押出機の)フィーダ
13 (二軸押出機の)ホッパ
21 外装材
22 内装材
23 多重体
24 シール部
26 開口部
27 フランジ部
28 注出口
29 シール部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装材及び少なくとも一枚の内装材を重ね合わせた多重体からなり、外側端部をヒートシールして袋状に形成し、更に注出口を備えてなるバッグインボックス用包装袋において、外装材は、オレフィン系樹脂からなる第1層と、エチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンからなるバリア性樹脂をメイン樹脂として含み、さらにオレフィン系樹脂、ゴム状樹脂及び相溶化剤を含む樹脂組成物からなる第2層と、オレフィン系樹脂からなる第3層を共押出成膜法により積層してなるものであることを特徴とするバッグインボックス用包装袋。
【請求項2】
バリア性シーラントフィルムの第2層の樹脂組成物に含まれるオレフィン系樹脂は第1層及び第3層のオレフィン系樹脂と同一であることを特徴とする請求項1に記載のバッグインボックス用包装袋。
【請求項3】
バリア性シーラントフィルムの第1層は第2層に接着性樹脂層を介して積層され、第2層は第3層に接着性樹脂層を介して積層されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッグインボックス用包装袋。
【請求項4】
バリア性シーラントフィルムの第1層は接着性樹脂層の介在なく直接第2層に積層され、第2層は接着性樹脂層の介在なく直接第3層に積層されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッグインボックス用包装袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−150095(P2008−150095A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342064(P2006−342064)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】