バッテリの充電システム
【課題】複数のバッテリを充電する充電システムに入力される電力を抑えつつ、バッテリの急速充電を実現する。
【解決手段】第1充電器410および第2充電器420は、第1充電モードおよび第2充電モードの中から選択されたモードで電力を出力する。第1充電モードでは、第1充電器410の出力電力P1と、第2充電器420の出力電力P2とが同じである。第2充電モードでは、第1充電器410の出力電力が増大される。第2充電器420は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから第1充電器410の出力電力P1を減算した電力を出力する。
【解決手段】第1充電器410および第2充電器420は、第1充電モードおよび第2充電モードの中から選択されたモードで電力を出力する。第1充電モードでは、第1充電器410の出力電力P1と、第2充電器420の出力電力P2とが同じである。第2充電モードでは、第1充電器410の出力電力が増大される。第2充電器420は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから第1充電器410の出力電力P1を減算した電力を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの充電システムに関し、特に、複数のバッテリを充電する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電動モータからの駆動力で走行する電気自動車が知られている。一般的に、電気自動車には、電動モータに供給する電力を蓄えるバッテリが搭載されている。バッテリは、たとえば充電ステーションおよび自宅などにおいて、電気自動車の外部から供給される電力により充電される。バッテリの充電には、所定の時間が必要である。急速充電器を用いた場合であっても、ガソリンなどの化石燃料を給油する場合に比べて、充電には長い時間が必要である。そのため、バッテリの充電時間を短縮することが望まれる。しかしながら、バッテリの充電時間を給油時間と同等以下にするためには、克服すべき技術的な課題が未だ多い。
【0003】
そこで、バッテリを充電する代わりに、残存容量が少ないバッテリを満充電されたバッテリと交換するというビジネスモデルが提案されている。インフラとして設置されたバッテリ交換ステーションなどにおいて、電気自動車に搭載されたバッテリが交換される。バッテリ交換ステーションにおいては、満充電されたバッテリの代わりに電気自動車から取外されたバッテリを再度充電する。バッテリ交換ステーションにおいては、不特定多数の電気自動車に対して満充電されたバッテリを用意するために、複数のバッテリを充電する必要がある。したがって、複数のバッテリを充電する充電システムが必要である。
【0004】
特開平9−233710号公報(特許文献1)は、交流電源を整流する充電用整流回路と、この充電用整流回路と逆並列に接続され複数に分割された蓄電池の電気量を交流電源に回生する回生用整流回路と、充電用整流回路と分割された蓄電池との間に設けられた複数の昇降圧コンバータとを備える蓄電池化成用充放電装置を開示する。この公報に記載の蓄電池化成用充放電装置によれば、各昇降圧コンバータが個別に蓄電池の充電又は放電を行うことができる。したがって、複数の蓄電池の充電と放電を同時に行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−233710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数のバッテリを充電するように構成された充電システムにおいては、充電時間を短縮するために大きな電力を各バッテリに供給するように構成した場合、供給電力の総和、すなわち充電システムに入力される電力が非常に大きくなる。そのため、電力会社がバッテリ交換ステーションに供給可能な電力を大きく設定しなければならない。その結果、供給可能な電力が大きいほど電気料金が高くなるように定められる場合には、電気料金が高くなる。また、大きな電力を取り扱うためには、容量が大きい導線および回路などが必要である。そのため、充電システム自体のコストが増大し得る。
【0007】
コストを抑制するために、充電システムに入力される電力が小さくなるようにした場合、各バッテリに供給される電力が小さくなる。そのため、バッテリの充電時間が長くなり得る。その結果、バッテリの交換を所望するドライバに対して、満充電されたバッテリを準備できないこともあり得る。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数のバッテリを充電する充電システムに入力される電力を抑えつつ、バッテリの急速充電を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係るバッテリの充電システムは、複数のバッテリを充電可能なバッテリの充電システムである。この充電システムは、バッテリが接続され、電力を出力する第1の充電器と、第1の充電器に接続されたバッテリとは別のバッテリが接続され、出力可能な最大の電力が、第1の充電器が出力可能な最大の電力よりも小さい第2の充電器とを備える。第1の充電器および第2の充電器は、第1の充電器の出力電力と第2の充電器の出力電力とが同じである第1のモード、および、第1の充電器の出力電力が増大され、第1の充電器が出力可能な最大の電力から第1の充電器の出力電力を減算した電力を第2の充電器が出力する第2のモードの中から選択されたモードで電力を出力する。
【0010】
この構成によると、たとえば、バッテリの急速充電が要求されていない場合には、第1のモードが選択される。第1のモードでは、第1の充電器の出力電力と第2の充電器の出力電力とが同じにされる。これにより、充電時間が短くはないが、複数のバッテリを同時に充電することができる。バッテリの急速充電が要求されている場合には、第2のモードが選択される。第2のモードでは、第1の充電器の出力電力が増大される。比較的容量が大きい第1の充電器から大きな電力をバッテリに供給することによって、第1の充電器に接続されたバッテリの充電時間を短くすることができる。第2の充電器は、第1の充電器が出力可能な最大の電力から第1の充電器の出力電力を減算した電力を出力する。これにより、充電システム全体として入出力する電力を第1の充電器が出力可能な最大の電力以下に制限することができる。そのため、充電システムに入力される電力を抑えつつ、バッテリの急速充電を実現することができる。
【0011】
第2の発明に係るバッテリの充電システムにおいては、第1の発明の構成に加え、第1の充電器は、第2のモードが選択された場合、第1の充電器が出力可能な最大の電力を出力する。
【0012】
この構成によると、第1の充電器に接続されたバッテリをできるだけ速く充電することができる。
【0013】
第3の発明に係るバッテリの充電システムにおいては、第2の発明の構成に加え、第1の充電器は、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が予め定められた上限電圧より低い場合、第1の充電器が出力可能な最大の電力を出力し、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が上限電圧以上である場合、出力電圧を一定にする。第2の充電器は、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が上限電圧より低い場合、電力の出力を停止し、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が上限電圧以上である場合、第1の充電器が出力可能な最大の電力から第1の充電器の出力電力を減算した電力を出力する。
【0014】
この構成によると、第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が低い場合、すなわち残存容量が小さい場合、第1の充電器が出力可能な最大の電力で、バッテリが充電される。この場合、第2の充電器は、電力の出力を停止する。これにより、充電システム全体として入出力する電力を第1の充電器が出力可能な最大の電力以下に制限しつつ、第1の充電器に接続されたバッテリを急速に充電することができる。第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が高い場合、すなわち残存容量が大きい場合、第1の充電器は、出力電圧を一定にする。これにより、バッテリを満充電することができる。また、この場合、第2の充電器は、第1の充電器が出力可能な最大の電力から第1の充電器の出力電力を減算した電力を出力する。これにより、第1の充電器に接続されたバッテリに加えて、第2の充電器に接続されたバッテリを充電することができる。そのため、複数のバッテリを同時に充電することができる。
【0015】
第4の発明に係るバッテリの充電システムにおいては、第3の発明の構成に加え、第2の充電器は、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が上限電圧以上である場合、出力電力を予め定められた値以下に制限する。
【0016】
この構成によると、第2の充電器の容量以上の電力が出力されることを防ぐことができる。
【0017】
第5の発明に係るバッテリの充電システムは、第4の発明の構成に加え、第1の充電器に接続されたバッテリおよび第2の充電器に接続されたバッテリとは別のバッテリが接続され、出力可能な最大の電力が、第2の充電器が出力可能な最大の電力と同じである第3の充電器をさらに備える。第3の充電器は、第1のモードが選択された場合、第1の充電器の出力電力および第2の充電器の出力電力と同じ電力を出力し、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が上限電圧より低い場合、電力の出力を停止し、第2のモードが選択され、かつ第2の充電器の出力電力が予め定められた値である場合、第1の充電器が出力可能な最大の電力から、第1の充電器の出力電力および第2の充電器の出力電力を減算した電力を出力する。
【0018】
この構成によると、第3の充電器により、さらに別のバッテリを充電することができる。
【0019】
第6の発明に係るバッテリの充電システムにおいては、第5の発明の構成に加え、第1の充電器は、第1の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有する。第2の充電器は、第2の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有する。第3の充電器は、第3の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有する。第1の充電器に接続されたバッテリ、第2の充電器に接続されたバッテリおよび第3の充電器に接続されたバッテリを放電する場合、第1の充電器は出力電圧を制御し、第2の充電器は出力電流を制御し、第3の充電器は出力電流を制御する。
【0020】
この構成によると、バッテリから放電することにより、バッテリを車両以外の電気機器などの電源として用いることができる。そのため、たとえば電力会社から家屋などへの電力供給が遮断された場合に、緊急用の電源としてバッテリを用いることができる。このような場合、電力の容量が最も大きい第1の充電器のみが出力電圧を制御し、その他の充電器が出力電流を制御する。これにより、第1の充電器は、他の充電器から出力される電力に比べて大きな電力を出力することができる。そのため、要求される電力が変動した場合に、容量が大きい第1の充電器により、電力の変動に対応することができる。その結果、電力を安定して供給することができる。
【0021】
第7の発明に係るバッテリの充電システムにおいては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加え、第1の充電器は、第1の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有する。第2の充電器は、第2の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有する。第1の充電器に接続されたバッテリおよび第2の充電器に接続されたバッテリを放電する場合、第1の充電器は出力電圧を制御し、第2の充電器は出力電流を制御する。
【0022】
この構成によると、バッテリから放電することにより、バッテリを車両以外の電気機器の電源として用いることができる。そのため、たとえば電力会社から家屋などへの電力供給が遮断された場合に、緊急用の電源としてバッテリを用いることができる。このような場合、電力の容量が最も大きい第1の充電器のみが出力電圧を制御し、第2の充電器が出力電流を制御する。これにより、第1の充電器は、第2の充電器から出力される電力に比べて大きな電力を出力することができる。そのため、要求される電力が変動した場合に、容量が大きい第1の充電器により、電力の変動に対応することができる。その結果、電力を安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】電気自動車を示す概略構成図である。
【図2】電気自動車の電気システムを示す図である。
【図3】バッテリ交換ステーションを示す図である。
【図4】充電システムを示す図(その1)である。
【図5】充電システムを示す図(その2)である。
【図6】充電器の制御構造を示すフローチャートである。
【図7】第1充電モードを示す図である。
【図8】第2充電モードを示す図(その1)である。
【図9】第2充電モードを示す図(その2)である。
【図10】第2充電モードを示す図(その3)である。
【図11】バッテリから放電するときの充電システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0025】
図1を参照して、電気自動車には、電動モータ100と、バッテリ110と、ECU(Electronic Control Unit)120とが搭載される。電気自動車は、電動モータ100からの駆動力により走行する。すなわち、電動モータ100が駆動源として電気自動車に搭載される。
【0026】
電動モータ100は、たとえば、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを備える、三相交流回転電機である。電動モータ100は、バッテリ110に蓄えられた電力により駆動する。電動モータ100の駆動力は、駆動輪130に伝えられる。
【0027】
電気自動車の回生制動時には、駆動輪130により電動モータ100が駆動され、電動モータ100が発電機として作動する。これにより電動モータ100は、制動エネルギを電力に変換する回生ブレーキとして作動する。電動モータ100により発電された電力は、バッテリ110に蓄えられる。
【0028】
バッテリ110は、複数のバッテリセルを一体化したバッテリモジュールを、さらに複数直列に接続して構成された組電池である。バッテリ110の電圧は、たとえば200V程度である。バッテリ110には、電動モータ100の他、電気自動車の外部の電源から供給される電力が充電される。また、後述するように、バッテリ110は、別のバッテリと交換可能である。
【0029】
図2を参照して、電気自動車の電気システムについてさらに説明する。電気自動車には、コンバータ200と、インバータ210とが設けられる。
【0030】
コンバータ200は、リアクトルと、二つのnpn型トランジスタと、二つダイオードとを含む。リアクトルは、各バッテリの正極側に一端が接続され、2つのnpn型トランジスタの接続点に他端が接続される。
【0031】
2つのnpn型トランジスタは、直列に接続される。npn型トランジスタは、ECU120により制御される。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにダイオードがそれぞれ接続される。
【0032】
なお、npn型トランジスタとして、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。npn型トランジスタに代えて、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いることができる。
【0033】
バッテリ110から放電された電力を電動モータ100に供給する際、電圧がコンバータ200により昇圧される。逆に、電動モータ100により発電された電力をバッテリ110に充電する際、電圧がコンバータ200により降圧される。
【0034】
インバータ210は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは並列に接続される。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、それぞれ、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを有する。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードがそれぞれ接続される。そして、各アームにおける各npn型トランジスタの接続点は、電動モータ100の各コイルの中性点とは異なる端部にそれぞれ接続される。
【0035】
インバータ210は、バッテリ110から供給される直流電流を交流電流に変換し、電動モータ100に供給する。また、インバータ210は、電動モータ100により発電された交流電流を直流電流に変換する。コンバータ200およびインバータ210は、ECU120により制御される。
【0036】
図3を参照して、電気自動車のバッテリを交換するバッテリ交換ステーション300について説明する。バッテリ交換ステーション300では、たとえば残存容量が低下したバッテリ110を、満充電されたバッテリ112と自動で取り替える。なお、手動で取り替えるようにしてもよい。
【0037】
バッテリ交換ステーション300では、不特定多数の電気自動車に対してバッテリを取り替える。したがって、バッテリ交換ステーション300では、不特定多数の電気自動車に対して満充電されたバッテリを用意する必要がある。そこで、図4に示すようにバッテリ交換ステーション300には、複数のバッテリ114,116,118を充電可能な充電システム400が設けられる。なお、図4においては、3つのバッテリ114,116,118を充電可能なシステムを示すが、バッテリの数は3に限定されない。2つのバッテリを充電可能なシステムを設けてもよい。4つ以上のバッテリを充電可能なシステムを設けてもよい。また、複数の充電システムを設けてもよい。
【0038】
充電システム400は、たとえばコンピュータにより制御される。充電システム400は、AC/DC変換回路402と、第1充電器410と、第2充電器420、第3充電器430とを備える。各充電器410,420,430には、別々のバッテリが接続される。より具体的には、第1充電器410には、バッテリ114が接続される。第2充電器420には、第1充電器410に接続されたバッテリ114とは別のバッテリ116が接続される。第3充電器430には、第1充電器410に接続されたバッテリ114および第2充電器420に接続されたバッテリ116とは別のバッテリ118が接続される。なお、図4においては、3つの充電器410,420,430を示すが、2つ、または4つ以上の充電器を設けてもよい。
【0039】
本実施の形態において、第2充電器420が出力可能な最大の電力は、第1充電器410が出力可能な最大の電力よりも小さい。第3充電器430が出力可能な最大の電力は、第2充電器420が出力可能な最大の電力と同じである。
【0040】
図5を参照して、充電システム400についてさらに詳細に説明する。AC/DC変換回路402は、単相ブリッジ回路から成る。AC/DC変換回路402は、たとえば電力会社が所有する施設(発電所、変電所など)から供給された交流電力を直流電力に変換する。また、AC/DC変換回路402は、コイルをリアクトルとして用いることにより電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路としても機能し得る。
【0041】
充電器410,420,430は、AC/DC変換回路402とバッテリとの間に接続される。充電器410,420,430は、バッテリ114,116,118を充電するための電力を出力する。充電器410,420,430は、絶縁トランスを有する絶縁型充電器である。絶縁型の充電器を用いなくてもよい。
【0042】
DC/DCコンバータが充電器410,420,430として用いられる。第1充電器410は、DC/AC変換回路412と、絶縁トランス414と、DC/AC変換回路416とを含む。
【0043】
DC/AC変換回路412は、単相ブリッジ回路から成る。電力会社から供給された電力を用いてバッテリを充電する場合、DC/AC変換回路412は、直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス414へ出力する。一方、バッテリを放電する場合、DC/AC変換回路412は、絶縁トランス414から出力される交流電力を直流電力に整流する。
【0044】
絶縁トランス414は、磁性材から成るコアと、コアに巻回された一次コイルおよび二次コイルを含む。一次コイルおよび二次コイルは、電気的に絶縁されており、それぞれDC/AC変換回路412およびDC/AC変換回路416に接続される。絶縁トランス414は、DC/AC変換回路412から受ける高周波の交流電力を一次コイルおよび二次コイルの巻数比に応じた電圧レベルに変換してDC/AC変換回路416へ出力する。
【0045】
DC/AC変換回路416は、単相ブリッジ回路から成る。電力会社から供給された電力を用いてバッテリを充電する場合、DC/AC変換回路416は、絶縁トランス414から出力される交流電力を直流電力に整流する。一方、バッテリを放電する場合、DC/AC変換回路416は、直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス414へ出力する。すなわち、第1充電器410は、第1充電器410に接続されたバッテリ114を放電する機能を有する。
【0046】
第1充電器410と同様に、第2充電器420は、DC/AC変換回路422と、絶縁トランス424と、DC/AC変換回路426とを含む。第1充電器410および第2充電器420と同様に、第3充電器430は、DC/AC変換回路432と、絶縁トランス434と、DC/AC変換回路436とを含む。なお、これらの機能は第1充電器410と同じである。そのため、ここではそれらの詳細な説明は繰返さない。また、第1充電器410と同様に、第2充電器420は、第2充電器420に接続されたバッテリ116を放電する機能を有する。第3充電器430は、第3充電器430に接続されたバッテリ118を放電する機能を有する。
【0047】
後述するように、各充電器410,420,430は、第1充電モードおよび第2充電モードの中から選択されたモードで電力を出力する。第1充電モードでは、第1充電器410の出力電力P1と、第2充電器420の出力電力P2と、第3充電器430の出力電力P3とが同じである。したがって、充電システム400全体として入出力される電力は、各充電器410,420,430が第1モードで出力する電力Pcの3倍である。ただし、各バッテリ114,116,118の電圧が予め定められたしきい値以上になると、一定の電圧で各バッテリ114,116,118が充電される。
【0048】
第2充電モードでは、第1充電器410の出力電力が増大される。より具体的には、第1充電器410は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmax(Pmax>Pc)を出力する。第1充電器410は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ114の電圧V1が予め定められた上限電圧より低い場合、第1充電器410が出力可能な最大の電力を出力する。また、第1充電器410は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ114の電圧V1が上限電圧以上である場合、出力電圧を一定にする。
【0049】
第2充電器420は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ116の電圧V1が上限電圧より低い場合、電力の出力を停止する。また、第2充電器420は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ116の電圧V1が上限電圧以上である場合、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから第1充電器410の出力電力P1を減算した電力を出力する。
【0050】
さらに、第2充電器420は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ114の電圧V1が上限電圧以上である場合、出力電力P2を予め定められた値以下に制限する。本実施の形態においては、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pc以下に、第2充電器420の出力電力P2が制限される。
【0051】
第3充電器430は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ114の電圧V1が上限電圧より低い場合、電力の出力を停止する。また、第3充電器430は、第2のモードが選択され、かつ第2充電器420の出力電力P2が予め定められた値(第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pc)である場合、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから、第1充電器410の出力電力P1および第2充電器420の出力電力P2を減算した電力を出力する。
【0052】
また、第1充電器410に接続されたバッテリ114、第2充電器420に接続されたバッテリ116および第3充電器430に接続されたバッテリ118を放電する場合、第1充電器410は出力電圧を制御し、第2充電器420は出力電流を制御し、第3充電器430は出力電流を制御する。すなわち、3つの充電器410,420,430のうち、第1充電器410のみが出力電圧を制御し、その他の充電器420,430は出力電流を制御する。
【0053】
各充電器410,420,430の出力電流I1,I2,I3は、電流センサ451,452,453により検出され、充電システム400を制御するコンピュータに入力される。各バッテリ114,116,118の電圧V1,V2,V3は、電圧センサ461,462,463により検出され、充電システム400を制御するコンピュータに入力される。
【0054】
図6を参照して、充電器410,420,430の制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、バッテリ114,116,118の放電が要求されているか否かが判断される。たとえば、充電システム400に設けられた所定のスイッチを押すなどの予め定められた操作がユーザにより行なわれた場合、バッテリ114,116,118の放電が要求されていると判断される。
【0055】
バッテリ114,116,118の放電が要求されている場合(S100にてYES)、処理はS200に移される。バッテリ114,116,118の放電が要求されていない場合(S100にてNO)、処理はS102に移される。
【0056】
S102にて、バッテリの急速充電が要求されているか否かが判断される。たとえば、充電システム400に設けられた所定のスイッチを押すなどの予め定められた操作がユーザにより行なわれた場合、急速充電が要求されていると判断される。
【0057】
急速充電が要求されている場合(S102にてYES)、処理はS110に移される。急速充電が要求されていないと(S102にてNO)、処理はS104に移される。
【0058】
S104にて、第1充電モードが選択され、第1充電モードでバッテリ114,116,118が充電される。したがって、第1充電器410の出力電力P1、第2充電器420の出力電力P2および第3充電器430の出力電力P3は、電力Pcである。
【0059】
S110にて、第2充電モードが選択されて、第2充電モードでバッテリ114,116,118が充電される。したがって、第1充電器410は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmax(Pmax>Pc)を出力する。第2充電器420および第3充電器430は、電力の出力を停止する。よって、第2充電器420の出力電力P2および第3充電器430の出力電力P3は、「0」である。
【0060】
S112にて、バッテリ114の電圧V1が上限電圧以上であるか否かが判断される。バッテリ114の電圧V1が上限電圧以上であると(S112にてYES)、処理はS114に移される。もしそうでないと(S112にてNO)、処理はS100に戻される。S114にて、第1充電器410は、出力電圧を一定にする。
【0061】
S116にて、第2充電器420は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから第1充電器410の出力電力P1を減算した電力を出力する。
【0062】
S118にて、第2充電器420の出力電力P2が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcより大きいか否かが判断される。第2充電器420の出力電力P2が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcより大きいと(S118にてYES)、処理はS120に移される。もしそうでないと(118にてNO)、処理はS100に戻される。
【0063】
S120にて、第2充電器420が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcと同じ電力を出力するように制御される。したがって、第2充電器420の出力電力P2は、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcと同じである。よって、第2充電器420の出力電力P2が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pc以下に制限される。
【0064】
S122にて、第3充電器430は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから、第1充電器410の出力電力P1および第2充電器420の出力電力P2を減算した電力を出力する。
【0065】
S200にて、バッテリ114,116,118の充電が停止されているか否かが判断される。バッテリ114,116,118の充電が停止されていると(S200にてYES)、処理はS202に移される。もしそうでないと(S200にてNO)、この処理はS100に戻される。
【0066】
S202にて、各バッテリ114,116,118を放電するように、各充電器410,420,430が制御される。この場合、第1充電器410は出力電圧を制御する。第2充電器420は出力電流を制御する。第3充電器430は出力電流を制御する。
【0067】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る充電システム400の機能について説明する。
【0068】
バッテリ114,116,118の放電が要求されておらず(S100にてNO)、かつ、急速充電が要求されていないと(S102にてNO)、図7に示すように、第1充電モードが選択され、第1充電モードでバッテリ114,116,118が充電される(S104)。したがって、第1充電器410の出力電力P1、第2充電器420の出力電力P2および第3充電器430の出力電力P3は、電力Pcである。各バッテリ114,116,118の電圧が予め定められたしきい値以上になると、一定の電圧で各バッテリ114,116,118が充電される。これにより、複数のバッテリ114,116,118を同時に充電することができる。
【0069】
ところで、バッテリ交換ステーション300に満充電されたバッテリが1つもない場合は、できるだけ早くバッテリを充電することが望ましい。そこで、急速充電が要求されている場合(S102にてYES)、図8に示すように、第2充電モードが選択されて、第2充電モードでバッテリ114,116,118が充電される(S110)。したがって、第1充電器410は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxを出力する。これにより、第1充電器410に接続されたバッテリ114に供給される電力を大きくすることができる。第2充電器420および第3充電器430は、電力の出力を停止する。これにより、充電システム全体として入出力する電力Psを、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmax以下に制限することができる。そのため、複数のバッテリ114,116,118を同時に急速充電することはできないが、第1充電器410に接続されたバッテリ114の充電時間を短くすることができる。その結果、充電システムに入力される電力Psを抑えつつ、バッテリ114の急速充電を実現することができる。
【0070】
バッテリ114の電圧V1が上限電圧以上であると(S112にてYES)、バッテリ114を正確に満充電するために、第1充電器410は、出力電圧を一定にする(S114)。図9に示すように、第2充電器420は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから第1充電器410の出力電力P1を減算した電力を出力する(S116)。これにより、第1充電器410に接続されたバッテリ114に加えて、第2充電器420に接続されたバッテリ116を充電することができる。
【0071】
第1充電器410に接続されたバッテリ114の残存容量が大きくなると、バッテリ114の電圧が高くなる。その結果、第1充電器410の出力電力が低下するとともに、第2充電器420の出力電力P2が増大する。第2充電器420の出力電力P2が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcより大きいと(S118にてYES)、第2充電器420の出力電力P2が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcに制限される(S120)。これにより、第2充電器420の出力電力P2を、第2充電器420の容量以下に制限することができる。
【0072】
図10に示すように、第3充電器430は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから、第1充電器410の出力電力P1および第2充電器420の出力電力P2を減算した電力を出力する(S122)。これにより、第1充電器410に接続されたバッテリ114および第2充電器420に接続されたバッテリ116に加えて、第3充電器430に接続されたバッテリ118を充電することができる。4個以上の充電器が設けられた場合にも、同様の動作が行なわれる。
【0073】
ところで、何等かの理由により、電力会社から家屋等への電力供給が遮断された場合においては、バッテリ交換ステーション300のバッテリを電源として利用することが考えられる。
【0074】
そこで、バッテリ114,116,118の放電が要求され(S100にてYES)、かつ、バッテリ114,116,118の充電が停止されていると(S200にてYES)、各バッテリ114,116,118を放電するように、各充電器410,420,430が制御される(S202)。図11に示すように、第1充電器410は出力電圧を制御する。第2充電器420は出力電流を制御する。第3充電器430は出力電流を制御する。これにより、3つの充電器410,420,430が発電器として作動し、連動して発電制御(放電制御)を実現することができる。そのため、要求される電力が変動した場合に、容量が大きい第1充電器410により、電力の変動に対応することができる。その結果、電力を安定して供給することができる。
【0075】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
100 電動モータ、110,112,114,116,118 バッテリ、200 コンバータ、210 インバータ、300 バッテリ交換ステーション、400 充電システム、402 AC/DC変換回路、410 第1充電器、412,416 DC/AC変換回路、414 絶縁トランス、420 第2充電器、422,426 DC/AC変換回路、424 絶縁トランス、430 第3充電器、432,436 DC/AC変換回路、434 絶縁トランス、451,452,453 電流センサ、461,462,463 電圧センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの充電システムに関し、特に、複数のバッテリを充電する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電動モータからの駆動力で走行する電気自動車が知られている。一般的に、電気自動車には、電動モータに供給する電力を蓄えるバッテリが搭載されている。バッテリは、たとえば充電ステーションおよび自宅などにおいて、電気自動車の外部から供給される電力により充電される。バッテリの充電には、所定の時間が必要である。急速充電器を用いた場合であっても、ガソリンなどの化石燃料を給油する場合に比べて、充電には長い時間が必要である。そのため、バッテリの充電時間を短縮することが望まれる。しかしながら、バッテリの充電時間を給油時間と同等以下にするためには、克服すべき技術的な課題が未だ多い。
【0003】
そこで、バッテリを充電する代わりに、残存容量が少ないバッテリを満充電されたバッテリと交換するというビジネスモデルが提案されている。インフラとして設置されたバッテリ交換ステーションなどにおいて、電気自動車に搭載されたバッテリが交換される。バッテリ交換ステーションにおいては、満充電されたバッテリの代わりに電気自動車から取外されたバッテリを再度充電する。バッテリ交換ステーションにおいては、不特定多数の電気自動車に対して満充電されたバッテリを用意するために、複数のバッテリを充電する必要がある。したがって、複数のバッテリを充電する充電システムが必要である。
【0004】
特開平9−233710号公報(特許文献1)は、交流電源を整流する充電用整流回路と、この充電用整流回路と逆並列に接続され複数に分割された蓄電池の電気量を交流電源に回生する回生用整流回路と、充電用整流回路と分割された蓄電池との間に設けられた複数の昇降圧コンバータとを備える蓄電池化成用充放電装置を開示する。この公報に記載の蓄電池化成用充放電装置によれば、各昇降圧コンバータが個別に蓄電池の充電又は放電を行うことができる。したがって、複数の蓄電池の充電と放電を同時に行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−233710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数のバッテリを充電するように構成された充電システムにおいては、充電時間を短縮するために大きな電力を各バッテリに供給するように構成した場合、供給電力の総和、すなわち充電システムに入力される電力が非常に大きくなる。そのため、電力会社がバッテリ交換ステーションに供給可能な電力を大きく設定しなければならない。その結果、供給可能な電力が大きいほど電気料金が高くなるように定められる場合には、電気料金が高くなる。また、大きな電力を取り扱うためには、容量が大きい導線および回路などが必要である。そのため、充電システム自体のコストが増大し得る。
【0007】
コストを抑制するために、充電システムに入力される電力が小さくなるようにした場合、各バッテリに供給される電力が小さくなる。そのため、バッテリの充電時間が長くなり得る。その結果、バッテリの交換を所望するドライバに対して、満充電されたバッテリを準備できないこともあり得る。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数のバッテリを充電する充電システムに入力される電力を抑えつつ、バッテリの急速充電を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係るバッテリの充電システムは、複数のバッテリを充電可能なバッテリの充電システムである。この充電システムは、バッテリが接続され、電力を出力する第1の充電器と、第1の充電器に接続されたバッテリとは別のバッテリが接続され、出力可能な最大の電力が、第1の充電器が出力可能な最大の電力よりも小さい第2の充電器とを備える。第1の充電器および第2の充電器は、第1の充電器の出力電力と第2の充電器の出力電力とが同じである第1のモード、および、第1の充電器の出力電力が増大され、第1の充電器が出力可能な最大の電力から第1の充電器の出力電力を減算した電力を第2の充電器が出力する第2のモードの中から選択されたモードで電力を出力する。
【0010】
この構成によると、たとえば、バッテリの急速充電が要求されていない場合には、第1のモードが選択される。第1のモードでは、第1の充電器の出力電力と第2の充電器の出力電力とが同じにされる。これにより、充電時間が短くはないが、複数のバッテリを同時に充電することができる。バッテリの急速充電が要求されている場合には、第2のモードが選択される。第2のモードでは、第1の充電器の出力電力が増大される。比較的容量が大きい第1の充電器から大きな電力をバッテリに供給することによって、第1の充電器に接続されたバッテリの充電時間を短くすることができる。第2の充電器は、第1の充電器が出力可能な最大の電力から第1の充電器の出力電力を減算した電力を出力する。これにより、充電システム全体として入出力する電力を第1の充電器が出力可能な最大の電力以下に制限することができる。そのため、充電システムに入力される電力を抑えつつ、バッテリの急速充電を実現することができる。
【0011】
第2の発明に係るバッテリの充電システムにおいては、第1の発明の構成に加え、第1の充電器は、第2のモードが選択された場合、第1の充電器が出力可能な最大の電力を出力する。
【0012】
この構成によると、第1の充電器に接続されたバッテリをできるだけ速く充電することができる。
【0013】
第3の発明に係るバッテリの充電システムにおいては、第2の発明の構成に加え、第1の充電器は、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が予め定められた上限電圧より低い場合、第1の充電器が出力可能な最大の電力を出力し、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が上限電圧以上である場合、出力電圧を一定にする。第2の充電器は、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が上限電圧より低い場合、電力の出力を停止し、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が上限電圧以上である場合、第1の充電器が出力可能な最大の電力から第1の充電器の出力電力を減算した電力を出力する。
【0014】
この構成によると、第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が低い場合、すなわち残存容量が小さい場合、第1の充電器が出力可能な最大の電力で、バッテリが充電される。この場合、第2の充電器は、電力の出力を停止する。これにより、充電システム全体として入出力する電力を第1の充電器が出力可能な最大の電力以下に制限しつつ、第1の充電器に接続されたバッテリを急速に充電することができる。第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が高い場合、すなわち残存容量が大きい場合、第1の充電器は、出力電圧を一定にする。これにより、バッテリを満充電することができる。また、この場合、第2の充電器は、第1の充電器が出力可能な最大の電力から第1の充電器の出力電力を減算した電力を出力する。これにより、第1の充電器に接続されたバッテリに加えて、第2の充電器に接続されたバッテリを充電することができる。そのため、複数のバッテリを同時に充電することができる。
【0015】
第4の発明に係るバッテリの充電システムにおいては、第3の発明の構成に加え、第2の充電器は、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が上限電圧以上である場合、出力電力を予め定められた値以下に制限する。
【0016】
この構成によると、第2の充電器の容量以上の電力が出力されることを防ぐことができる。
【0017】
第5の発明に係るバッテリの充電システムは、第4の発明の構成に加え、第1の充電器に接続されたバッテリおよび第2の充電器に接続されたバッテリとは別のバッテリが接続され、出力可能な最大の電力が、第2の充電器が出力可能な最大の電力と同じである第3の充電器をさらに備える。第3の充電器は、第1のモードが選択された場合、第1の充電器の出力電力および第2の充電器の出力電力と同じ電力を出力し、第2のモードが選択され、かつ第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が上限電圧より低い場合、電力の出力を停止し、第2のモードが選択され、かつ第2の充電器の出力電力が予め定められた値である場合、第1の充電器が出力可能な最大の電力から、第1の充電器の出力電力および第2の充電器の出力電力を減算した電力を出力する。
【0018】
この構成によると、第3の充電器により、さらに別のバッテリを充電することができる。
【0019】
第6の発明に係るバッテリの充電システムにおいては、第5の発明の構成に加え、第1の充電器は、第1の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有する。第2の充電器は、第2の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有する。第3の充電器は、第3の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有する。第1の充電器に接続されたバッテリ、第2の充電器に接続されたバッテリおよび第3の充電器に接続されたバッテリを放電する場合、第1の充電器は出力電圧を制御し、第2の充電器は出力電流を制御し、第3の充電器は出力電流を制御する。
【0020】
この構成によると、バッテリから放電することにより、バッテリを車両以外の電気機器などの電源として用いることができる。そのため、たとえば電力会社から家屋などへの電力供給が遮断された場合に、緊急用の電源としてバッテリを用いることができる。このような場合、電力の容量が最も大きい第1の充電器のみが出力電圧を制御し、その他の充電器が出力電流を制御する。これにより、第1の充電器は、他の充電器から出力される電力に比べて大きな電力を出力することができる。そのため、要求される電力が変動した場合に、容量が大きい第1の充電器により、電力の変動に対応することができる。その結果、電力を安定して供給することができる。
【0021】
第7の発明に係るバッテリの充電システムにおいては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加え、第1の充電器は、第1の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有する。第2の充電器は、第2の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有する。第1の充電器に接続されたバッテリおよび第2の充電器に接続されたバッテリを放電する場合、第1の充電器は出力電圧を制御し、第2の充電器は出力電流を制御する。
【0022】
この構成によると、バッテリから放電することにより、バッテリを車両以外の電気機器の電源として用いることができる。そのため、たとえば電力会社から家屋などへの電力供給が遮断された場合に、緊急用の電源としてバッテリを用いることができる。このような場合、電力の容量が最も大きい第1の充電器のみが出力電圧を制御し、第2の充電器が出力電流を制御する。これにより、第1の充電器は、第2の充電器から出力される電力に比べて大きな電力を出力することができる。そのため、要求される電力が変動した場合に、容量が大きい第1の充電器により、電力の変動に対応することができる。その結果、電力を安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】電気自動車を示す概略構成図である。
【図2】電気自動車の電気システムを示す図である。
【図3】バッテリ交換ステーションを示す図である。
【図4】充電システムを示す図(その1)である。
【図5】充電システムを示す図(その2)である。
【図6】充電器の制御構造を示すフローチャートである。
【図7】第1充電モードを示す図である。
【図8】第2充電モードを示す図(その1)である。
【図9】第2充電モードを示す図(その2)である。
【図10】第2充電モードを示す図(その3)である。
【図11】バッテリから放電するときの充電システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0025】
図1を参照して、電気自動車には、電動モータ100と、バッテリ110と、ECU(Electronic Control Unit)120とが搭載される。電気自動車は、電動モータ100からの駆動力により走行する。すなわち、電動モータ100が駆動源として電気自動車に搭載される。
【0026】
電動モータ100は、たとえば、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを備える、三相交流回転電機である。電動モータ100は、バッテリ110に蓄えられた電力により駆動する。電動モータ100の駆動力は、駆動輪130に伝えられる。
【0027】
電気自動車の回生制動時には、駆動輪130により電動モータ100が駆動され、電動モータ100が発電機として作動する。これにより電動モータ100は、制動エネルギを電力に変換する回生ブレーキとして作動する。電動モータ100により発電された電力は、バッテリ110に蓄えられる。
【0028】
バッテリ110は、複数のバッテリセルを一体化したバッテリモジュールを、さらに複数直列に接続して構成された組電池である。バッテリ110の電圧は、たとえば200V程度である。バッテリ110には、電動モータ100の他、電気自動車の外部の電源から供給される電力が充電される。また、後述するように、バッテリ110は、別のバッテリと交換可能である。
【0029】
図2を参照して、電気自動車の電気システムについてさらに説明する。電気自動車には、コンバータ200と、インバータ210とが設けられる。
【0030】
コンバータ200は、リアクトルと、二つのnpn型トランジスタと、二つダイオードとを含む。リアクトルは、各バッテリの正極側に一端が接続され、2つのnpn型トランジスタの接続点に他端が接続される。
【0031】
2つのnpn型トランジスタは、直列に接続される。npn型トランジスタは、ECU120により制御される。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにダイオードがそれぞれ接続される。
【0032】
なお、npn型トランジスタとして、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。npn型トランジスタに代えて、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いることができる。
【0033】
バッテリ110から放電された電力を電動モータ100に供給する際、電圧がコンバータ200により昇圧される。逆に、電動モータ100により発電された電力をバッテリ110に充電する際、電圧がコンバータ200により降圧される。
【0034】
インバータ210は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは並列に接続される。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、それぞれ、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを有する。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードがそれぞれ接続される。そして、各アームにおける各npn型トランジスタの接続点は、電動モータ100の各コイルの中性点とは異なる端部にそれぞれ接続される。
【0035】
インバータ210は、バッテリ110から供給される直流電流を交流電流に変換し、電動モータ100に供給する。また、インバータ210は、電動モータ100により発電された交流電流を直流電流に変換する。コンバータ200およびインバータ210は、ECU120により制御される。
【0036】
図3を参照して、電気自動車のバッテリを交換するバッテリ交換ステーション300について説明する。バッテリ交換ステーション300では、たとえば残存容量が低下したバッテリ110を、満充電されたバッテリ112と自動で取り替える。なお、手動で取り替えるようにしてもよい。
【0037】
バッテリ交換ステーション300では、不特定多数の電気自動車に対してバッテリを取り替える。したがって、バッテリ交換ステーション300では、不特定多数の電気自動車に対して満充電されたバッテリを用意する必要がある。そこで、図4に示すようにバッテリ交換ステーション300には、複数のバッテリ114,116,118を充電可能な充電システム400が設けられる。なお、図4においては、3つのバッテリ114,116,118を充電可能なシステムを示すが、バッテリの数は3に限定されない。2つのバッテリを充電可能なシステムを設けてもよい。4つ以上のバッテリを充電可能なシステムを設けてもよい。また、複数の充電システムを設けてもよい。
【0038】
充電システム400は、たとえばコンピュータにより制御される。充電システム400は、AC/DC変換回路402と、第1充電器410と、第2充電器420、第3充電器430とを備える。各充電器410,420,430には、別々のバッテリが接続される。より具体的には、第1充電器410には、バッテリ114が接続される。第2充電器420には、第1充電器410に接続されたバッテリ114とは別のバッテリ116が接続される。第3充電器430には、第1充電器410に接続されたバッテリ114および第2充電器420に接続されたバッテリ116とは別のバッテリ118が接続される。なお、図4においては、3つの充電器410,420,430を示すが、2つ、または4つ以上の充電器を設けてもよい。
【0039】
本実施の形態において、第2充電器420が出力可能な最大の電力は、第1充電器410が出力可能な最大の電力よりも小さい。第3充電器430が出力可能な最大の電力は、第2充電器420が出力可能な最大の電力と同じである。
【0040】
図5を参照して、充電システム400についてさらに詳細に説明する。AC/DC変換回路402は、単相ブリッジ回路から成る。AC/DC変換回路402は、たとえば電力会社が所有する施設(発電所、変電所など)から供給された交流電力を直流電力に変換する。また、AC/DC変換回路402は、コイルをリアクトルとして用いることにより電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路としても機能し得る。
【0041】
充電器410,420,430は、AC/DC変換回路402とバッテリとの間に接続される。充電器410,420,430は、バッテリ114,116,118を充電するための電力を出力する。充電器410,420,430は、絶縁トランスを有する絶縁型充電器である。絶縁型の充電器を用いなくてもよい。
【0042】
DC/DCコンバータが充電器410,420,430として用いられる。第1充電器410は、DC/AC変換回路412と、絶縁トランス414と、DC/AC変換回路416とを含む。
【0043】
DC/AC変換回路412は、単相ブリッジ回路から成る。電力会社から供給された電力を用いてバッテリを充電する場合、DC/AC変換回路412は、直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス414へ出力する。一方、バッテリを放電する場合、DC/AC変換回路412は、絶縁トランス414から出力される交流電力を直流電力に整流する。
【0044】
絶縁トランス414は、磁性材から成るコアと、コアに巻回された一次コイルおよび二次コイルを含む。一次コイルおよび二次コイルは、電気的に絶縁されており、それぞれDC/AC変換回路412およびDC/AC変換回路416に接続される。絶縁トランス414は、DC/AC変換回路412から受ける高周波の交流電力を一次コイルおよび二次コイルの巻数比に応じた電圧レベルに変換してDC/AC変換回路416へ出力する。
【0045】
DC/AC変換回路416は、単相ブリッジ回路から成る。電力会社から供給された電力を用いてバッテリを充電する場合、DC/AC変換回路416は、絶縁トランス414から出力される交流電力を直流電力に整流する。一方、バッテリを放電する場合、DC/AC変換回路416は、直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス414へ出力する。すなわち、第1充電器410は、第1充電器410に接続されたバッテリ114を放電する機能を有する。
【0046】
第1充電器410と同様に、第2充電器420は、DC/AC変換回路422と、絶縁トランス424と、DC/AC変換回路426とを含む。第1充電器410および第2充電器420と同様に、第3充電器430は、DC/AC変換回路432と、絶縁トランス434と、DC/AC変換回路436とを含む。なお、これらの機能は第1充電器410と同じである。そのため、ここではそれらの詳細な説明は繰返さない。また、第1充電器410と同様に、第2充電器420は、第2充電器420に接続されたバッテリ116を放電する機能を有する。第3充電器430は、第3充電器430に接続されたバッテリ118を放電する機能を有する。
【0047】
後述するように、各充電器410,420,430は、第1充電モードおよび第2充電モードの中から選択されたモードで電力を出力する。第1充電モードでは、第1充電器410の出力電力P1と、第2充電器420の出力電力P2と、第3充電器430の出力電力P3とが同じである。したがって、充電システム400全体として入出力される電力は、各充電器410,420,430が第1モードで出力する電力Pcの3倍である。ただし、各バッテリ114,116,118の電圧が予め定められたしきい値以上になると、一定の電圧で各バッテリ114,116,118が充電される。
【0048】
第2充電モードでは、第1充電器410の出力電力が増大される。より具体的には、第1充電器410は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmax(Pmax>Pc)を出力する。第1充電器410は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ114の電圧V1が予め定められた上限電圧より低い場合、第1充電器410が出力可能な最大の電力を出力する。また、第1充電器410は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ114の電圧V1が上限電圧以上である場合、出力電圧を一定にする。
【0049】
第2充電器420は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ116の電圧V1が上限電圧より低い場合、電力の出力を停止する。また、第2充電器420は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ116の電圧V1が上限電圧以上である場合、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから第1充電器410の出力電力P1を減算した電力を出力する。
【0050】
さらに、第2充電器420は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ114の電圧V1が上限電圧以上である場合、出力電力P2を予め定められた値以下に制限する。本実施の形態においては、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pc以下に、第2充電器420の出力電力P2が制限される。
【0051】
第3充電器430は、第2充電モードが選択され、かつ第1充電器410に接続されたバッテリ114の電圧V1が上限電圧より低い場合、電力の出力を停止する。また、第3充電器430は、第2のモードが選択され、かつ第2充電器420の出力電力P2が予め定められた値(第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pc)である場合、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから、第1充電器410の出力電力P1および第2充電器420の出力電力P2を減算した電力を出力する。
【0052】
また、第1充電器410に接続されたバッテリ114、第2充電器420に接続されたバッテリ116および第3充電器430に接続されたバッテリ118を放電する場合、第1充電器410は出力電圧を制御し、第2充電器420は出力電流を制御し、第3充電器430は出力電流を制御する。すなわち、3つの充電器410,420,430のうち、第1充電器410のみが出力電圧を制御し、その他の充電器420,430は出力電流を制御する。
【0053】
各充電器410,420,430の出力電流I1,I2,I3は、電流センサ451,452,453により検出され、充電システム400を制御するコンピュータに入力される。各バッテリ114,116,118の電圧V1,V2,V3は、電圧センサ461,462,463により検出され、充電システム400を制御するコンピュータに入力される。
【0054】
図6を参照して、充電器410,420,430の制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、バッテリ114,116,118の放電が要求されているか否かが判断される。たとえば、充電システム400に設けられた所定のスイッチを押すなどの予め定められた操作がユーザにより行なわれた場合、バッテリ114,116,118の放電が要求されていると判断される。
【0055】
バッテリ114,116,118の放電が要求されている場合(S100にてYES)、処理はS200に移される。バッテリ114,116,118の放電が要求されていない場合(S100にてNO)、処理はS102に移される。
【0056】
S102にて、バッテリの急速充電が要求されているか否かが判断される。たとえば、充電システム400に設けられた所定のスイッチを押すなどの予め定められた操作がユーザにより行なわれた場合、急速充電が要求されていると判断される。
【0057】
急速充電が要求されている場合(S102にてYES)、処理はS110に移される。急速充電が要求されていないと(S102にてNO)、処理はS104に移される。
【0058】
S104にて、第1充電モードが選択され、第1充電モードでバッテリ114,116,118が充電される。したがって、第1充電器410の出力電力P1、第2充電器420の出力電力P2および第3充電器430の出力電力P3は、電力Pcである。
【0059】
S110にて、第2充電モードが選択されて、第2充電モードでバッテリ114,116,118が充電される。したがって、第1充電器410は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmax(Pmax>Pc)を出力する。第2充電器420および第3充電器430は、電力の出力を停止する。よって、第2充電器420の出力電力P2および第3充電器430の出力電力P3は、「0」である。
【0060】
S112にて、バッテリ114の電圧V1が上限電圧以上であるか否かが判断される。バッテリ114の電圧V1が上限電圧以上であると(S112にてYES)、処理はS114に移される。もしそうでないと(S112にてNO)、処理はS100に戻される。S114にて、第1充電器410は、出力電圧を一定にする。
【0061】
S116にて、第2充電器420は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから第1充電器410の出力電力P1を減算した電力を出力する。
【0062】
S118にて、第2充電器420の出力電力P2が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcより大きいか否かが判断される。第2充電器420の出力電力P2が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcより大きいと(S118にてYES)、処理はS120に移される。もしそうでないと(118にてNO)、処理はS100に戻される。
【0063】
S120にて、第2充電器420が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcと同じ電力を出力するように制御される。したがって、第2充電器420の出力電力P2は、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcと同じである。よって、第2充電器420の出力電力P2が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pc以下に制限される。
【0064】
S122にて、第3充電器430は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから、第1充電器410の出力電力P1および第2充電器420の出力電力P2を減算した電力を出力する。
【0065】
S200にて、バッテリ114,116,118の充電が停止されているか否かが判断される。バッテリ114,116,118の充電が停止されていると(S200にてYES)、処理はS202に移される。もしそうでないと(S200にてNO)、この処理はS100に戻される。
【0066】
S202にて、各バッテリ114,116,118を放電するように、各充電器410,420,430が制御される。この場合、第1充電器410は出力電圧を制御する。第2充電器420は出力電流を制御する。第3充電器430は出力電流を制御する。
【0067】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る充電システム400の機能について説明する。
【0068】
バッテリ114,116,118の放電が要求されておらず(S100にてNO)、かつ、急速充電が要求されていないと(S102にてNO)、図7に示すように、第1充電モードが選択され、第1充電モードでバッテリ114,116,118が充電される(S104)。したがって、第1充電器410の出力電力P1、第2充電器420の出力電力P2および第3充電器430の出力電力P3は、電力Pcである。各バッテリ114,116,118の電圧が予め定められたしきい値以上になると、一定の電圧で各バッテリ114,116,118が充電される。これにより、複数のバッテリ114,116,118を同時に充電することができる。
【0069】
ところで、バッテリ交換ステーション300に満充電されたバッテリが1つもない場合は、できるだけ早くバッテリを充電することが望ましい。そこで、急速充電が要求されている場合(S102にてYES)、図8に示すように、第2充電モードが選択されて、第2充電モードでバッテリ114,116,118が充電される(S110)。したがって、第1充電器410は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxを出力する。これにより、第1充電器410に接続されたバッテリ114に供給される電力を大きくすることができる。第2充電器420および第3充電器430は、電力の出力を停止する。これにより、充電システム全体として入出力する電力Psを、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmax以下に制限することができる。そのため、複数のバッテリ114,116,118を同時に急速充電することはできないが、第1充電器410に接続されたバッテリ114の充電時間を短くすることができる。その結果、充電システムに入力される電力Psを抑えつつ、バッテリ114の急速充電を実現することができる。
【0070】
バッテリ114の電圧V1が上限電圧以上であると(S112にてYES)、バッテリ114を正確に満充電するために、第1充電器410は、出力電圧を一定にする(S114)。図9に示すように、第2充電器420は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから第1充電器410の出力電力P1を減算した電力を出力する(S116)。これにより、第1充電器410に接続されたバッテリ114に加えて、第2充電器420に接続されたバッテリ116を充電することができる。
【0071】
第1充電器410に接続されたバッテリ114の残存容量が大きくなると、バッテリ114の電圧が高くなる。その結果、第1充電器410の出力電力が低下するとともに、第2充電器420の出力電力P2が増大する。第2充電器420の出力電力P2が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcより大きいと(S118にてYES)、第2充電器420の出力電力P2が、第1充電モードで第2充電器420が出力する電力Pcに制限される(S120)。これにより、第2充電器420の出力電力P2を、第2充電器420の容量以下に制限することができる。
【0072】
図10に示すように、第3充電器430は、第1充電器410が出力可能な最大の電力Pmaxから、第1充電器410の出力電力P1および第2充電器420の出力電力P2を減算した電力を出力する(S122)。これにより、第1充電器410に接続されたバッテリ114および第2充電器420に接続されたバッテリ116に加えて、第3充電器430に接続されたバッテリ118を充電することができる。4個以上の充電器が設けられた場合にも、同様の動作が行なわれる。
【0073】
ところで、何等かの理由により、電力会社から家屋等への電力供給が遮断された場合においては、バッテリ交換ステーション300のバッテリを電源として利用することが考えられる。
【0074】
そこで、バッテリ114,116,118の放電が要求され(S100にてYES)、かつ、バッテリ114,116,118の充電が停止されていると(S200にてYES)、各バッテリ114,116,118を放電するように、各充電器410,420,430が制御される(S202)。図11に示すように、第1充電器410は出力電圧を制御する。第2充電器420は出力電流を制御する。第3充電器430は出力電流を制御する。これにより、3つの充電器410,420,430が発電器として作動し、連動して発電制御(放電制御)を実現することができる。そのため、要求される電力が変動した場合に、容量が大きい第1充電器410により、電力の変動に対応することができる。その結果、電力を安定して供給することができる。
【0075】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
100 電動モータ、110,112,114,116,118 バッテリ、200 コンバータ、210 インバータ、300 バッテリ交換ステーション、400 充電システム、402 AC/DC変換回路、410 第1充電器、412,416 DC/AC変換回路、414 絶縁トランス、420 第2充電器、422,426 DC/AC変換回路、424 絶縁トランス、430 第3充電器、432,436 DC/AC変換回路、434 絶縁トランス、451,452,453 電流センサ、461,462,463 電圧センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリを充電可能なバッテリの充電システムであって、
バッテリが接続され、電力を出力する第1の充電器と、
前記第1の充電器に接続されたバッテリとは別のバッテリが接続され、出力可能な最大の電力が、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力よりも小さい第2の充電器とを備え、
前記第1の充電器および前記第2の充電器は、前記第1の充電器の出力電力と前記第2の充電器の出力電力とが同じである第1のモード、および、前記第1の充電器の出力電力が増大され、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力から前記第1の充電器の出力電力を減算した電力を前記第2の充電器が出力する第2のモードの中から選択されたモードで電力を出力する、バッテリの充電システム。
【請求項2】
前記第1の充電器は、前記第2のモードが選択された場合、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力を出力する、請求項1に記載のバッテリの充電システム。
【請求項3】
前記第1の充電器は、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が予め定められた上限電圧より低い場合、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力を出力し、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が前記上限電圧以上である場合、出力電圧を一定にし、
前記第2の充電器は、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が前記上限電圧より低い場合、電力の出力を停止し、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が前記上限電圧以上である場合、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力から前記第1の充電器の出力電力を減算した電力を出力する、請求項2に記載のバッテリの充電システム。
【請求項4】
前記第2の充電器は、前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が前記上限電圧以上である場合、出力電力を予め定められた値以下に制限する、請求項3に記載のバッテリの充電システム。
【請求項5】
前記充電システムは、前記第1の充電器に接続されたバッテリおよび前記第2の充電器に接続されたバッテリとは別のバッテリが接続され、出力可能な最大の電力が、前記第2の充電器が出力可能な最大の電力と同じである第3の充電器をさらに備え、
前記第3の充電器は、
前記第1のモードが選択された場合、前記第1の充電器の出力電力および前記第2の充電器の出力電力と同じ電力を出力し、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が前記上限電圧より低い場合、電力の出力を停止し、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第2の充電器の出力電力が前記予め定められた値である場合、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力から、前記第1の充電器の出力電力および前記第2の充電器の出力電力を減算した電力を出力する、請求項4に記載のバッテリの充電システム。
【請求項6】
前記第1の充電器は、前記第1の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有し、
前記第2の充電器は、前記第2の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有し、
前記第3の充電器は、前記第3の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有し、
前記第1の充電器に接続されたバッテリ、前記第2の充電器に接続されたバッテリおよび前記第3の充電器に接続されたバッテリを放電する場合、前記第1の充電器は出力電圧を制御し、前記第2の充電器は出力電流を制御し、前記第3の充電器は出力電流を制御する、請求項5に記載のバッテリの充電システム。
【請求項7】
前記第1の充電器は、前記第1の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有し、
前記第2の充電器は、前記第2の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有し、
前記第1の充電器に接続されたバッテリおよび前記第2の充電器に接続されたバッテリを放電する場合、前記第1の充電器は出力電圧を制御し、前記第2の充電器は出力電流を制御する、請求項1〜4のいずれかに記載のバッテリの充電システム。
【請求項1】
複数のバッテリを充電可能なバッテリの充電システムであって、
バッテリが接続され、電力を出力する第1の充電器と、
前記第1の充電器に接続されたバッテリとは別のバッテリが接続され、出力可能な最大の電力が、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力よりも小さい第2の充電器とを備え、
前記第1の充電器および前記第2の充電器は、前記第1の充電器の出力電力と前記第2の充電器の出力電力とが同じである第1のモード、および、前記第1の充電器の出力電力が増大され、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力から前記第1の充電器の出力電力を減算した電力を前記第2の充電器が出力する第2のモードの中から選択されたモードで電力を出力する、バッテリの充電システム。
【請求項2】
前記第1の充電器は、前記第2のモードが選択された場合、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力を出力する、請求項1に記載のバッテリの充電システム。
【請求項3】
前記第1の充電器は、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が予め定められた上限電圧より低い場合、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力を出力し、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が前記上限電圧以上である場合、出力電圧を一定にし、
前記第2の充電器は、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が前記上限電圧より低い場合、電力の出力を停止し、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が前記上限電圧以上である場合、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力から前記第1の充電器の出力電力を減算した電力を出力する、請求項2に記載のバッテリの充電システム。
【請求項4】
前記第2の充電器は、前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が前記上限電圧以上である場合、出力電力を予め定められた値以下に制限する、請求項3に記載のバッテリの充電システム。
【請求項5】
前記充電システムは、前記第1の充電器に接続されたバッテリおよび前記第2の充電器に接続されたバッテリとは別のバッテリが接続され、出力可能な最大の電力が、前記第2の充電器が出力可能な最大の電力と同じである第3の充電器をさらに備え、
前記第3の充電器は、
前記第1のモードが選択された場合、前記第1の充電器の出力電力および前記第2の充電器の出力電力と同じ電力を出力し、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第1の充電器に接続されたバッテリの電圧が前記上限電圧より低い場合、電力の出力を停止し、
前記第2のモードが選択され、かつ前記第2の充電器の出力電力が前記予め定められた値である場合、前記第1の充電器が出力可能な最大の電力から、前記第1の充電器の出力電力および前記第2の充電器の出力電力を減算した電力を出力する、請求項4に記載のバッテリの充電システム。
【請求項6】
前記第1の充電器は、前記第1の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有し、
前記第2の充電器は、前記第2の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有し、
前記第3の充電器は、前記第3の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有し、
前記第1の充電器に接続されたバッテリ、前記第2の充電器に接続されたバッテリおよび前記第3の充電器に接続されたバッテリを放電する場合、前記第1の充電器は出力電圧を制御し、前記第2の充電器は出力電流を制御し、前記第3の充電器は出力電流を制御する、請求項5に記載のバッテリの充電システム。
【請求項7】
前記第1の充電器は、前記第1の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有し、
前記第2の充電器は、前記第2の充電器に接続されたバッテリを放電する機能を有し、
前記第1の充電器に接続されたバッテリおよび前記第2の充電器に接続されたバッテリを放電する場合、前記第1の充電器は出力電圧を制御し、前記第2の充電器は出力電流を制御する、請求項1〜4のいずれかに記載のバッテリの充電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−155737(P2011−155737A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14318(P2010−14318)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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