説明

バッテリーの過充電防止装置

【課題】バッテリーの過充電時にバッテリーの電源を遮断して、バッテリーの安全性を向上させるバッテリーの過充電防止装置を提供する。
【解決手段】複数のセル11が積層されて構成され、複数のセルが電極端子12を通じて連結されたセルモジュール10と、複数のセルの間に設けられた固定台20と、固定台に設置され、一端が電極端子とセルの連結部分に隣接するように位置され、他端がセルの中心部分に位置され、セルの膨張時に固定台を中心にシーソー回転することで電極端子とセルの連結を切断する加圧板30と、加圧板の他端部側に設けられ、セルが一定圧力以上に膨張した時に加圧板がシーソー回転されるように加圧板に弾性力を付与する弾性部材40と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの過充電防止装置に係り、より詳しくは、バッテリーが過充電された時にバッテリーの電源を遮断するようにしたバッテリーの過充電防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車や燃料電池自動車は、ハイブリッド自動車を含め、車両を駆動する電気エネルギーを供給するために高電圧バッテリーを使用する。
このような高電圧バッテリーは、複数の単位電池またはモジュールを連結して高電圧バッテリーパックを構成し、これを利用して高電圧の電力を発生させる。
【0003】
バッテリーパックとしては、高い集積度で積層することができ、蓄電容量に対す重量比が小さな、角形またはパウチ型電池などが主に使用される。バッテリーパックの単位電池(バッテリーセル)としては、容量に比して高出力であるリチウムイオン電池が多く使用されている。
【0004】
しかし、リチウムイオン電池は根本的に安全性が低いという問題点がある。特にパウチ型電池の場合、電池ケースの機械的剛性が低く、密封部が分離された時に電解液などの発火性物質が漏洩して火事を起こす危険が高いという問題がある。
【0005】
また、セル内部に電解液が封入されているために、バッテリーが過充電されると電圧が上昇し、過熱によってセル内部の電解液が分解し、セル内部に可燃性ガスが発生することで、パウチ自体が膨張するスウェリング現象が起こり、バッテリーの発火及び爆発の危険性が大きくなるという問題がある。
このため、バッテリーの過充電によるスウェリング現象が発生した時に、バッテリーの電源を強制的に遮断する技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0006】
図1は、従来技術によるバッテリー過充電時に電源を遮断する装置を示した構成図である。図1に示すように、従来技術によるバッテリー過充電時の電源遮断装置は、電極端子2の連結部品の一部が物理的に脆弱な構造で形成され、電池セル1がスウェリングして膨張した時に、膨張応力が電池セル1または単位モジュールの電極端子2の連結部品に集中し、スウェリングが所定値以上になった時、電極端子2の連結部品が破壊されて電気的結合が切断される。
【0007】
しかし、前記した従来技術は、電極端子の連結部品が物理的に脆弱な構造で形成されているという特性上、電極端子の連結部品が物理的に弱体化され、電池セルの膨張作用は勿論、予想できない物理的な力や振動などによっても容易に破壊されてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表第2008−544439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述したような従来の問題点を解決するためになされたものであり、バッテリーの過充電時にバッテリーの電源を遮断して、バッテリーの安全性を向上させるバッテリーの過充電防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するための本発明のバッテリーの過充電防止装置は、複数のセルが積層されて構成され、複数のセルが電極端子を通じて連結されたセルモジュールと、複数のセルの間に設けられた固定台と、固定台に設置され、一端が電極端子とセルの連結部分に隣接するように位置され、他端がセルの中心部分に位置され、セルの膨張時に固定台を中心にシーソー回転することで電極端子とセルの連結を切断する加圧板と、加圧板の他端部側に設けられ、セルが一定圧力以上に膨張した時に加圧板がシーソー回転されるように加圧板に弾性力を付与する弾性部材と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、複数のセルがお互いに向い合うように配置され、セルそれぞれの端部に電極端子の一端及び他端それぞれが連結され、セルそれぞれの間に固定台が設置され、固定台の両側に加圧板それぞれがシーソー回転するように設置され、加圧板それぞれの一端部が電極端子の一端及び他端と、セルの連結部分と、にそれぞれ隣接するように設置され、弾性部材が両側の加圧板の間に設置されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、加圧板の一端は、電極端子とセルの連結部分に向けて折曲して形成されることを特徴とする。
また本発明は、加圧板の他端は、膨張して圧力を加えるセルに向けて折曲して形成されることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、2個のセルが相互に向い合うように配置され、セルそれぞれの一端部に電極端子の一端及び他端それぞれが連結され、セルそれぞれの他端部に他の電極端子の一端及び他端それぞれが連結され、加圧板及び弾性部材が、2個のセル間の中央に設けられた固定台を中心にして両側にそれぞれが対向するように設置されることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、2個のセルが相互に向い合うように配置され、セルそれぞれの一端部に電極端子の一端及び他端それぞれが連結され、セルそれぞれの他端部に他の電極端子の一端及び他端それぞれが連結され、加圧板及び弾性部材が、2個のセル間の中央に設けられた固定台の何れか一側に設置されることを特徴とする。
そして本発明は、弾性部材が、スプリングであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記した課題を解決する手段を通じて本発明のバッテリーの過充電防止装置は、バッテリーの過充電によってセルが膨張した時に、セルの膨張圧力によって加圧板が固定台を中心にシーソー回転されることで、加圧板の一端部が電極端子とセルの連結部分を加圧し、前記連結部分が切れ、これによりバッテリーの電源が遮断される。よって、バッテリー過充電によるバッテリーの爆発及び火事危険が防止され、バッテリーの安全性能が強化される。
【0016】
さらに、本発明のバッテリーの過充電防止装置は、加圧板をセルの両側それぞれに設置できるので、バッテリーが過充電された時に、両側の電極端子とセルの連結部分のうちの少なくとも一つの連結部分が切れて、バッテリーの電源遮断作用が効果的に行われる。
【0017】
また、弾性部材によって、セルが一定圧力以上で膨張した時のみに加圧板がシーソー回転されるように加圧板に弾性力が付与されるので、過充電防止のための器具構造の信頼性を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来技術によるバッテリー過充電時に電源遮断装置を示した構成図である。
【図2】本発明によるバッテリーの過充電防止装置の構成を示した斜視図である。
【図3】単位セルの膨張前後状態を示した図面である。
【図4】本発明によるバッテリーの過充電防止装置の作動状態を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付図面を参照し、本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。
図2は、本発明によるバッテリーの過充電防止装置の構成を示した斜視図である。
図2に示すように、本発明のバッテリー過充電防止装置は、主として、セルモジュール10、固定台20、加圧板30、及び弾性部材40を備える。
【0020】
図3は、単位セルの膨張前後の状態を示した図面であり、図4は、本発明によるバッテリーの過充電防止装置の作動状態を示した概略図である。
図3及び図4に示すように、本発明のバッテリーの過充電防止装置は、複数のセル11が積層されて構成され、電極端子12により連結されたセルモジュール10と、セル11の間に設けられた固定台20と、固定台20に設置され、一端が電極端子12とセル11の連結部分に隣接するように位置され、他端がセル11の中央部分に位置され、セル11が膨張した時に固定台20を中心にシーソー回転されることで電極端子12とセル11の連結を分離させる加圧板30と、加圧板30の他端部側に設けられ、セル11が一定圧力以上に膨張した時に加圧板30がシーソー回転されるように加圧板30に弾性力を付与する弾性部材40と、を含む。
【0021】
即ち、図3(b)及び図4(b)に示すように、バッテリーの過充電によってセル11が膨張すると、セル11の膨張圧力によって加圧板30の他端部が押されて、加圧板30が固定台20を中心にシーソー回転される。これによって加圧板30の一端部が電極端子12とセル11との連結部分を加圧し、セル11と電極端子12との連結を分離させ、これによりバッテリー電源を遮断することができる。
【0022】
ここで、セルモジュール10の外側には、セルモジュール10をカバーすることができるセルモジュールハウジング(図示しない)を設置することができ、またセルモジュール10を複数個連結して、バッテリーパックを構成することができる。
図4(a)に示すように、本発明のバッテリー過充電防止装置は、複数個の加圧板30をセル11の間に設置して構成することができる。
【0023】
好適には、複数のセル11が、お互いに向い合うように配置され、隣接する各セル11、11の端部に電極端子12の一端および他端それぞれが連結され、両側のセル11、11の間に固定台20が設置される。そして、固定台20の両側に設けられた2個の加圧板30、30がそれぞれシーソー回転するように設置され、加圧板30、30の一端部が電極端子12の一端及び他端と、セル11、11と、の連結部分に隣接するように設置される。また、弾性部材40が両側の加圧板30、30の間に設置される。
【0024】
すなわち、固定台20が両側のセル11、11の間に設置され、
固定台20を中心に固定台20の両側に加圧板30、30が設置され、
加圧板30、30は両端部がセル11、11の中心部分と、電極端子12及びセル11の連結部分と、に接触して固定台20を中心にしてシーソー回転可能に設置され、
弾性部材40、40は両側の加圧板30、30の間に付勢された状態で設置される。
【0025】
図4(b)に示すように、セル11が膨張した場合、両側のセル11、11の間に位置した加圧板30、30の他端部が相互に近接する方向に押され、加圧板30、30が固定台20を中心にシーソー回転される。これによって電源端子12に接した加圧板30の一端部は、お互いに離反した方向に押され、加圧板30、30の一端部が、電極端子12の両端とセル11、11との連結部分それぞれを加圧する。これにより電極端子12の両端とセル11、11の連結の少なくとも一つ以上が切断される。これによりバッテリーの電源が遮断される。
【0026】
加圧板30の一端は、電極端子12とセル11との連結部分に向けて折曲形成される。すなわち、電極端子12と、セル11の連結部分を加圧する加圧板30の端部と、を連結部分に対して垂直に折曲形成することで、電極端子12とセル11の連結部分を更に確実に加圧することができる。
【0027】
また、加圧板30の他端は、膨張して圧力を加えるセル11に向けて折曲形成される。すなわち、セル11の膨張圧力によって加圧される加圧板30の他端部分をセル11に向けて折曲形成する。これによって、セル11の表面に加圧板30の他端が安定して接触し、セル11の膨張によって発生したシーソー回転の回転力が加圧板30の一端部に確実に伝達され、電極端子12とセル11との連結の遮断に対する信頼性が向上する。
【0028】
2個のセル11、11が相互に向き合うように配置され、各セル11、11の一端部に電極端子12の一端と他端とのそれぞれが連結され、各セル11、11の他端部に他の電極端子12の一端と他端とのそれぞれが連結され、加圧板30及び弾性部材40が、セル11、11間の中央をに設けられた固定台20を中心にして両側にそれぞれ対向するように設置される。
【0029】
2個のセル11、11が相互に向き合うように配置され、各セル11、11の一端部に電極端子12の一端と他端とのそれぞれが連結され、各セル11、11の他端部に他の電極端子12の一端と他端とのそれぞれが連結され、加圧板30及び弾性部材40が、セル11、11の間の中央に設けられた固定台20の何れか一側に設置される。
【0030】
すなわち、二つのセル11、11の両側に電極端子12がそれぞれ連結され、加圧板30、30がセル11両側に設置されるか、又は何れか一側に設置されることで、過充電によってセル11が膨張すれば、加圧板30がシーソー回転して、両側の電極端子12とセル11との連結部分のうちの少なくとも一つの連結を切断する。これによって、バッテリーの電源を遮断して発火及び爆発の危険を防止する。
【0031】
弾性部材40は、スプリングを使用することができ、またスプリングと同一または類似の弾性力を有する他の弾性部材を使用することができる。
弾性部材40は、加圧板30、30の間に付勢された状態で挿入される。セル11が一定圧力以下の圧力で膨張した場合、スプリングによる付勢力がセル11の膨張圧力より大きい場合は、加圧板30のシーソー回転作用は起きない。
【0032】
一方、セル11が一定圧力以上の圧力で膨張する場合、セル11の膨張圧力がスプリングの付勢力より大きくなると、加圧板30のシーソー回転作用が起きる。ここで、一定圧力とは、セル11の膨張によってバッテリー電源の遮断が必要な水準の圧力である。
【0033】
したがって、バッテリー電源の遮断が必要な程度の大きい膨張圧力でセル11が膨張した時に電極端子12の接続が切断され、それより小さい膨張圧力でセル11が膨張した時には、電極端子12の接続が切断されない。これによって、過充電防止のための器具の信頼性をいっそう高めることができる。
【0034】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0035】
10 セルモジュール
11 セル
12 電極端子
20 固定台
30 加圧板
40 弾性部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセル(11)が積層されて構成され、複数の前記セル(11)が電極端子(12)を通じて連結されたセルモジュール(10)と、
複数の前記セル(11)の間に設けられた固定台(20)と、
前記固定台(20)に設置され、一端が電極端子(12)とセル(11)の連結部分に隣接するように位置され、他端が前記セル(11)の中心部分に位置され、前記セル(11)の膨張時に前記固定台(20)を中心にシーソー回転することで前記電極端子(12)と前記セル(11)の連結を切断する加圧板(30)と、
前記加圧板(30)の他端部側に設けられ、前記セル(11)が一定圧力以上に膨張した時に前記加圧板(30)がシーソー回転するように前記加圧板(30)に弾性力を付与する弾性部材(40)と、を含むことを特徴とするバッテリーの過充電防止装置。
【請求項2】
複数の前記セル(11)がお互いに向い合うように配置され、前記セル(11)それぞれの端部に電極端子(12)の一端及び他端それぞれが連結され、前記セル(11)それぞれの間に前記固定台(20)が設置され、前記固定台(20)の両側に前記加圧板(30)それぞれがシーソー回転するように設置され、前記加圧板(30)それぞれの一端部が、前記電極端子(12)の一端及び他端と、前記セル(11)と、の連結部分それぞれに隣接するように設置され、前記弾性部材(40)が両側の前記加圧板(30)の間に設置されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの過充電防止装置。
【請求項3】
前記加圧板(30)の一端は、前記電極端子(12)とセル(11)の連結部分に向けて折曲して形成されることを特徴とする請求項2に記載のバッテリーの過充電防止装置。
【請求項4】
前記加圧板(30)の他端は、膨張して圧力を加えるセル(11)に向けて折曲して形成されることを特徴とする請求項2に記載のバッテリーの過充電防止装置。
【請求項5】
2個の前記セル(11)が相互に向い合うように配置され、前記セル(11)それぞれの一端部に前記電極端子(12)の一端及び他端それぞれが連結され、前記セル(11)それぞれの他端部に他の電極端子(12)の一端及び他端それぞれが連結され、前記加圧板(30)及び前記弾性部材(40)が、2個の前記セル(11)間の中央に設けられた前記固定台(20)を中心にして両側にそれぞれが対向するように設置されることを特徴とする請求項2に記載のバッテリーの過充電防止装置。
【請求項6】
2個の前記セル(11)が相互に向い合うように配置され、前記セル(11)それぞれの一端部に前記電極端子(12)の一端及び他端それぞれが連結され、前記セル(11)それぞれの他端部に他の電極端子(12)の一端及び他端それぞれが連結され、前記加圧板(30)及び前記弾性部材(40)が、2個の前記セル(11)間の中央に設けられた前記固定台(20)の何れか一側に設置されることを特徴とする請求項2に記載のバッテリーの過充電防止装置。
【請求項7】
前記弾性部材(40)は、スプリングであることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの過充電防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−73930(P2013−73930A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248589(P2011−248589)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】