説明

バッテリ状態監視回路及びバッテリ装置

【課題】二次電池の電圧が0V付近まで低下したときにおいても、充電器による充電を確実に制御することのできるバッテリ状態監視回路及びバッテリ装置を提供すること。
【解決手段】バッテリ状態監視回路の最低動作電圧以下であることを検出する最低動作電圧監視回路を備え、バッテリ状態監視回路が最低動作電圧以下のとき、過放電検出回路の出力を過放電検出状態にする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の電圧や異常を検知するバッテリ状態監視回路及びバッテリ装置に関し、特に、二次電池の電圧が0V付近まで低下したときに、充電器による充電を制御することのできるバッテリ状態監視回路及びバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ装置は、二次電池の電圧が極端に低下して0V近くになったときに、充電器が接続されると、二次電池へ充電を許可、もしくは禁止するという機能を備えている(例えば、特許文献1参照)。以下、この機能を0V充電と称する。
【0003】
図3に、従来のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図を示す。従来のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置は、二次電池1と、二次電池1の電圧を監視する充放電制御回路2と、二次電池1の充電と放電を制御するスイッチ回路3と、充電器8または負荷9が接続される外部端子4及び5と、充電スイッチ駆動回路7とを備えている。充電スイッチ駆動回路7は、レベルシフタ回路15と、PMOSトランジスタ16、NMOSトランジスタ17、抵抗18、インバータ回路26と、NOR回路25と、PMOSトランジスタ20とNMOSトランジスタ21とを備えている。スイッチ回路3は放電スイッチ10と充電スイッチ11を備えている。
【0004】
上述したようなバッテリ装置は、以下のように動作して0V充電を許可するように機能する。
【0005】
レベルシフタ回路15は入力信号がハイレベルの時、出力はハイレベルを出力し、入力信号がローレベルの時、出力はローレベルを出力しNOR回路25の入力になる。PMOSトランジスタ16とNMOSトランジスタ17および抵抗素子18で構成された電池電圧検出回路は、二次電池の電圧が低下しPMOSトランジスタ16のしきい値電圧よりも低くなった時、ローレベルを出力しインバータ回路26を介してNOR回路25にハイレベルの信号を入力する。NOR回路25の出力は、PMOSトランジスタ20とNMOSトランジスタ21で構成された反転出力回路を介して、充電スイッチ11を駆動させる。
【0006】
レベルシフタ回路15の出力がローレベルで、電池電圧検出回路の出力がハイレベルである場合には、インバータ回路26の出力はローレベルとなり、NOR回路25の入力は両方ともローレベルとなりNOR回路25の出力はハイレベルとなる。このため充電スイッチ11のゲート電圧がローレベルとなり充電が不可能となる。
【0007】
上記以外の場合は、NOR回路25の出力はローレベルとなるため充電スイッチ11のゲート電圧がハイレベルとなり充電可能となる。従って、二次電池1の電圧が0V近くになったときに、充電スイッチ駆動回路7は充電を許可にする。すなわち、バッテリ装置は、0V充電を許可するように機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-308266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら従来の技術では、上述の充放電制御回路2は二次電池1の電圧で駆動しており、放電制御出力端子12は二次電池の電圧が低い時にハイレベルを出力してしまう可能性があるため、以下に述べるような欠点があった。
【0010】
二次電池1が0V近くの時に充電器8を接続し、NMOSトランジスタ17がオンすると、充電制御出力端子13の電圧がハイレベルとなり、充電スイッチ11はオンする。そして、充電電流が充電器8から二次電池1へと流れる。充放電制御回路2は、二次電池1の電圧で駆動しており、動作可能になるまでは出力信号は不定となり、放電制御出力端子12からハイレベルが出力されてしまう可能性がある。このため充電スイッチ駆動回路7が充電許可している時に、放電制御出力端子12がハイレベルを出力すると、充電スイッチ11はオン、放電スイッチ10もオンし、二次電池1の負極と外部端子5がほぼ同電位となってしまいNMOSトランジスタ17はオフする。NMOSトランジスタ17がオフしてしまうと、充電スイッチ駆動回路17は充電許可を解除してしまう。そのため充電可能、充電禁止を繰り返し発振してしまうという不具合が発生していた。
【0011】
本発明は、以上のような課題を解決するために考案されたものであり、二次電池の電圧が0V付近まで低下したときにおいても、充電器による充電を確実に制御することのできるバッテリ状態監視回路及びバッテリ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従来の課題を解決するために、本発明のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置は以下のような構成とした。
【0013】
基準電圧回路と、二次電池と基準電圧回路の電圧を比較し二次電池の過放電を検出する過放電検出回路と、過放電検出回路の出力を入力する制御回路と、バッテリ状態監視回路の最低動作電圧を検出する最低動作電圧監視回路とを備え、最低動作電圧監視回路は、二次電池の電圧がバッテリ状態監視回路の最低動作電圧以下であることを検出する第一のトランジスタと、二次電池の電圧がバッテリ状態監視回路の最低動作電圧以下のときに、過放電検出回路の出力を過放電検出状態にする第二のトランジスタと、を備えたことを特徴とするバッテリ状態監視回路。
【発明の効果】
【0014】
本発明のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置によれば、充放電制御回路2が動作可能な電圧になるまでは、放電制御出力端子10がローレベルとなり、充電スイッチ駆動回路7を確実に動作させ、二次電池1を安定的に充電することが出来る。
【0015】
従って、二次電池1の電圧が0V付近まで低下したときにおいても、充電器8による充電を安定して行うことが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一の実施形態のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図である。
【図2】第二の実施形態のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図である。
【図3】従来のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、第一の実施形態のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図である。
【0019】
本実施形態のバッテリ装置は、二次電池1と、基準電圧回路37、過充電検出回路33、過放電検出回路34と、監視回路の動作を制御する制御回路32と、二次電池1の充電と放電を制御するスイッチ回路3と、充電器8または負荷9が接続される外部端子4及び5と、充電スイッチ駆動回路7と、最低動作電圧監視回路31とを備えている。充電スイッチ駆動回路7は、レベルシフタ回路15と、0V充電制御回路35と充電制御端子出力回路36とを備えている。最低動作電圧監視回路31は、NMOSトランジスタ27と、NMOSトランジスタ30と、PMOSトランジスタ28と、インバータ回路29とを備えている。
【0020】
基準電圧回路37、過放電検出回路34、過充電検出回路33、最低動作電圧監視回路31は二次電池1を電源として用いている。二次電池1の両端に接続された基準電圧回路37の出力は、過充電検出回路33の入力端子と過放電検出回路34の入力端子と最低動作電圧監視回路31のNMOS30のゲートに接続される。過充電検出回路33の出力は制御回路32の入力端子110へ接続される。過放電検出回路34の出力は制御回路32の入力端子111へ接続される。制御回路32の入力112は、過電流検出端子14に接続される。制御回路32の出力101は、最低動作電圧監視回路31のPMOSトランジスタ28のゲートに接続される。制御回路32の出力102は、最低動作電圧監視回路31のインバータ回路29の入力に接続される。制御回路32の出力103は、放電制御出力端子12に接続される。制御回路32の出力104は、充電スイッチ駆動回路7のレベルシフタ回路15に接続される。
【0021】
充電スイッチ駆動回路7は正極電源を二次電池1の正極に接続し、負極電源を過電流検出端子14に接続し、過電流検出端子14をグラウンドとして用いている。0V充電制御回路35は、入力は二次電池1の負極に接続され、出力が充電制御端子出力回路36へ接続される。充電制御端子出力回路36は、出力が充電制御出力端子13へ接続される。
【0022】
スイッチ回路3の放電制御スイッチ10は、ゲートは放電制御出力端子12に接続され、ドレインは充電制御スイッチ11のドレインに接続され、ソースは二次電池1の負極に接続される。放電制御スイッチ11は、ゲートは充電制御出力端子13に接続され、ソースは外部端子5に接続される。
【0023】
外部端子5は過電流検出端子14に接続され、外部端子4は二次電池1の正極に接続される。
【0024】
最低動作電圧監視回路31のNMOSトランジスタ27は、ドレインは過放電検出回路34の出力に接続され、ソースは二次電池1の負極に接続され、ゲートはインバータ回路29の出力とPMOSトランジスタ28のドレインに接続される。PMOSトランジスタ28は、ソースは二次電池1の正極に接続され、ゲートは制御回路32の出力101に接続される。インバータ回路29は、入力は制御回路32の出力102に接続され、正極電源は二次電池1の正極に接続され、負極電源はNMOSトランジスタ30のドレインに接続される。NMOSトランジスタ30は、ゲートは基準電圧回路37の出力へ接続され、ソースは二次電池1の負極に接続されている。
【0025】
次に最低動作電圧監視回路31の動作について説明する。最低動作電圧監視回路31は、バッテリ状態監視回路の最低動作電圧を検出する。
【0026】
NMOSトランジスタ27は、制御回路32の出力102の信号で制御され、オンすると過放電検出回路34の出力を強制的にローレベルにし過放電検出状態にする。二次電池1の電圧が低下し0Vに近い電圧である時、基準電圧回路37の出力は0V近辺となるためNMOSトランジスタ30はオフする。するとインバータ回路29は、制御回路32が出力102にハイレベルの信号を出力しても、負極電源を切断されるためローレベルを出力できなくなる。PMOSトランジスタ28は、図示はしないが制御回路32の中のトランジスタとカレントミラーの構成をとっており常に定電流を流している。この定電流は、NMOSトランジスタ27をオンできる程度の電流を流しているので、インバータ回路29の出力をハイレベルにすることができる。インバータ回路29の出力がハイレベルのためNMOSトランジスタ27がオンし、過放電検出回路34の出力はローレベルとなり過放電検出状態となる。
【0027】
過放電検出状態のため制御回路32の出力103は、ローレベルの信号を出力して放電制御スイッチ10をオフさせる。そして充電器8を接続し充電電流が流れた時、充電電流は放電制御スイッチ10の寄生ダイオードを流れる。このことにより、外部端子5の電位は、二次電池1の負極の電位から寄生ダイオードのVf分下がったところで安定する。これにより充電スイッチ駆動回路7は充電許可の信号を出力し、二次電池1を安定的に充電させる。このようにして、二次電池1の電圧が低下しバッテリ状態監視回路の最低動作電圧以下になっても過放電検出状態にすることができ、充電を安定的に行うことができる。
【0028】
ここで、最低動作電圧監視回路31は、最低動作電圧が一番高い基準電圧回路37の出力をモニターしている。従って、2次電池1が低下したときに、確実にバッテリ状態監視回路の最低動作電圧を検出することが出来る。
【0029】
なお、本実施形態のバッテリ監視回路では基準電圧回路37の最低動作電圧が最も高いためこのような構成とおり、他の要素で基準電圧回路37よりも最低動作電圧が高い要素があれば、最低動作電圧監視回路31はその要素の出力をモニターするようにしてもよい。
【0030】
以上に説明したように、本実施形態のバッテリ装置によれば、二次電池1が0V近辺の電圧になったとしても過放電検出することができ、充電スイッチ駆動回路7から充電許可の信号を出力させ二次電池1を安定的に充電することが出来る。
【実施例2】
【0031】
図2は、第二の実施形態のバッテリ状態監視回路を備えたバッテリ装置の回路図である。図1との違いは、最低動作電圧監視回路51を過放電検出回路34がハイレベルで検出状態となる場合に対応させた点である。
【0032】
接続に関しては、最低動作電圧監視回路51のPMOSトランジスタ40は、ドレインは過放電検出回路34の出力に接続され、ソースは二次電池1の正極に接続され、ゲートはインバータ回路38の出力とNMOSトランジスタ39のドレインに接続される。NMOSトランジスタ39は、ソースは二次電池1の負極に接続され、ゲートは制御回路32の出力105に接続される。インバータ回路38は、入力はインバータ回路29の出力に接続される。インバータ回路29は、入力は制御回路32の出力102に接続され、正極電源は二次電池1の正極に接続され、負極電源はNMOSトランジスタ30のドレインに接続される。インバータ回路41は、入力は過放電検出回路34の出力に接続され、出力は制御回路32の入力111に接続される。NMOSトランジスタ30は、ゲートは基準電圧回路37の出力へ接続され、ソースは二次電池1の負極に接続されている。
【0033】
次に、第二の実施形態の最低動作電圧監視回路51の動作について説明する。
【0034】
PMOSトランジスタ40は、制御回路32の出力102の信号で制御され、オンすると過放電検出回路34の出力を強制的にハイレベルにし検出状態にする。二次電池1の電圧が低下し0Vに近い電圧である時、基準電圧回路37の出力は0V近辺となるためNMOSトランジスタ30はオフする。するとインバータ回路29は負極電源を切断されるため、ローレベルを出力できなくなる。NMOSトランジスタ30は、図示はしないが制御回路32の中のトランジスタとカレントミラーの構成をとっており常に定電流を流している。この定電流は、PMOSトランジスタ40をオンできる程度の電流を流しているので、インバータ回路38の出力をローレベルにすることができる。インバータ回路38の出力がローレベルのためPMOSトランジスタ40がオンし、過放電検出回路34の出力はハイレベルとなり過放電検出状態となる。
【0035】
ここで、最低動作電圧監視回路51は、最低動作電圧が一番高い基準電圧回路37の出力をモニターしている。従って、2次電池1が低下したときに、確実にバッテリ状態監視回路の最低動作電圧を検出することが出来る。
【0036】
なお、本実施形態のバッテリ監視回路では基準電圧回路37の最低動作電圧が最も高いためこのような構成とおり、他の要素で基準電圧回路37よりも最低動作電圧が高い要素があれば、最低動作電圧監視回路51はその要素の出力をモニターするようにしてもよい。
【0037】
以上に説明したように、本実施形態のバッテリ装置によれば、二次電池1が0V近辺の電圧になったとしても過放電検出することができ、充電スイッチ駆動回路7から充電許可の信号を出力させ二次電池1を安定的に充電することが出来る。
【符号の説明】
【0038】
1 二次電池
2 充放電制御回路
3 スイッチ回路
4、5 外部端子
7 充電スイッチ駆動回路
8 充電器
9 負荷
10 放電制御スイッチ
11 充電制御スイッチ
12 放電制御出力端子
13 充電制御出力端子
14 過電流検出端子
15 レベルシフタ回路
31、51 最低動作電圧監視回路
32 制御回路
33 過充電検出回路
34 過放電検出回路
35 0V充電制御回路
36 充電制御端子出力回路
37 基準電圧回路
110、111、112 制御入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の充放電を制御するバッテリ状態監視回路であって、
基準電圧回路と、
前記二次電池と前記基準電圧回路の電圧を比較し、前記二次電池の過放電を検出する過放電検出回路と、
前記過放電検出回路の出力を入力する制御回路と、
前記バッテリ状態監視回路の最低動作電圧を検出する最低動作電圧監視回路と、を備え、
前記最低動作電圧監視回路は、
前記二次電池の電圧が前記バッテリ状態監視回路の最低動作電圧以下であることを検出する第一のトランジスタと、
前記二次電池の電圧が前記バッテリ状態監視回路の最低動作電圧以下のときに、前記過放電検出回路の出力を過放電検出状態にする第二のトランジスタと、
を備えたことを特徴とするバッテリ状態監視回路。
【請求項2】
前記最低動作電圧監視回路は、前記第二のトランジスタのゲートをプルアップもしくはプルダウンする第三のトランジスタを備えたことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ状態監視回路。
【請求項3】
前記第一のトランジスタは、前記基準電圧回路の出力がゲートに接続されたことを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリ状態監視回路。
【請求項4】
充放電が可能な二次電池と、
前記二次電池の充放電経路に設けられた充放電制御スイッチと、
前記二次電池の電圧を監視し、前記充放電制御スイッチを開閉することによって前記二次電池の充放電を制御する請求項1から3のいずれかに記載のバッテリ状態監視回路と、を備えたバッテリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−125165(P2011−125165A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282136(P2009−282136)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】