説明

バッテリ用電線側端子の仮置き構造

【課題】バッテリから外した電線側端子を簡素な構造で作業性良く簡単に、且つ電線屈曲時の復元力によっても外れないように確実に車両ボディ側に仮置きする。
【解決手段】バッテリ1側の負極端子2にアース用の電線側端子8を接続離脱可能とした構造において、車両ボディ3側に、電線側端子の孔部8aを係合させるピン部4を突設すると共に、電線側端子の裏面を車両ボディ側に接した状態で電線側端子の表面に当接可能な引っ掛け片22を有する係止部5をピン部に隣接して設けた。また、車両ボディ側に、電線側端子の孔部8aを係合させる弾性部材25を配設した。弾性部材をピン部4の外周に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス等で自動車のバッテリからアース用電線を外した際に、電線側端子を車両ボディ側に仮置きするバッテリ用電線側端子の仮置き構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来のバッテリ用電線側端子の仮置き構造の一形態として、バッテリ1の負極端子2からアース用の電線側端子8を離脱させた状態を示すものである。
【0003】
アース用の電線(ワイヤハーネス)9は一端を端子10で導電金属製の車体12に接続され、他端に負極の端子8を有している。負極の端子8はバッテリ1の円柱状の負極の端子(バッテリポスト)2に対応して円形の貫通した孔部8aを有している。
【0004】
例えば車両のメンテナンスや輸送、保管、展示等のために、作業者が電線側端子8を外した際に、例えばバッテリ1の下に配置された絶縁樹脂製のバッテリトレイ11等に電線側端子8を引っ掛けて仮置きすることがしばしば行われている。
【0005】
上記仮置き構造以外に、例えば特許文献1には、電線側端子をバッテリポストに接続する前に、バッテリポストに絶縁キャップを被せることが記載されている(図示せず)。
【0006】
また、特許文献2には、電線側端子を絶縁カバーで覆い、バッテリポストに電線側端子の半円状の接触面を接触させつつ、電線側端子をバッテリ側に係止させることが記載されている(図示せず)。
【0007】
また、特許文献3には、バッテリ用の電線側端子ではないが、ワイヤハーネスの先端のコネクタを相手コネクタとの接続前に車体フロアの切欠孔に引っ掛けて仮置きすることが記載されている。
【特許文献1】特開昭59−1185号公報(第2図)
【特許文献2】特開2002−56838号公報(図1)
【特許文献3】特開2000−102148号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の図5の電線側端子の仮置き構造にあっては、バッテリ接続用の電線9の線径が太く剛性が高いために、バッテリ1から外した電線側端子8を屈曲させつつ、バッテリトレイ11等に引っ掛けて仮置きした際に、電線9に復元力が働いて、電線側端子8がバッテリトレイ11等から外れて、バッテリ側端子2と接触し、機器等の誤作動や故障等を起こしたり、周辺の部品等に強く衝接して、端子8自体や周辺の部品等を傷付け兼ねないという懸念があった。
【0009】
本発明は、上記した点に鑑み、バッテリから外した電線側端子を簡素な構造で作業性良く簡単に、且つ電線屈曲時の復元力によっても外れないように確実に車両ボディ側に仮置きすることのできるバッテリ用電線側端子の仮置き構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るバッテリ用電線側端子の仮置き構造は、バッテリ側の負極端子にアース用の電線側端子を接続離脱可能とした構造において、車両ボディ側に、該電線側端子の孔部を係合させるピン部を突設すると共に、該電線側端子の裏面を該車両ボディ側に接した状態で該電線側端子の表面に当接可能な引っ掛け片を有する係止部を該ピン部に隣接して設けたことを特徴とする。
【0011】
上記構成により、電線側端子の孔部をピン部に挿通係合させ、ピン部を中心に電線側端子を回動させることで、係止部の引っ掛け片の内側に電線側端子の端部が進入係合し、これにより、電線側端子がピン部から抜け出しなく係止される。
【0012】
請求項2に係るバッテリ用電線側端子の仮置き構造は、バッテリ側の負極端子にアース用の電線側端子を接続離脱可能とした構造において、車両ボディ側に、該電線側端子の孔部を係合させる弾性部材を配設したことを特徴とする。
【0013】
上記構成により、電線側端子の孔部を弾性部材に挿通係合させることで、弾性部材の弾性力と高い摩擦抵抗とで電線側端子が弾性部材に抜け出しなくしっかりと係止される。
【0014】
請求項3に係るバッテリ用電線側端子の仮置き構造は、請求項2記載のバッテリ用電線側端子の仮置き構造において、前記弾性部材がピン部の外周に設けられたことを特徴とする。
【0015】
上記構成により、剛性の高いピン部が芯となって外側の弾性部材が補強される。
【0016】
請求項4に係るバッテリ用電線側端子の仮置き構造は、前記電線の屈曲に伴う前記電線側端子の復元力が請求項1記載の引っ掛け片又は請求項2又は3記載の弾性部材に向けて作用するように、該引っ掛け片又は該弾性部材の配設方向が規定されたことを特徴とする。
【0017】
上記構成により、電線の屈曲時の復元力が電線側端子を電線伸長方向に移動させようとするが、その電線側端子の復元力が引っ掛け片に向けて作用することで、電線側端子が引っ掛け片に強く押接し、電線側端子に対する係止力が高められる。また、電線側端子の復元力が弾性部材に向けて作用することで、電線側端子の孔部の内面と弾性部材の外面との密着力(摩擦抵抗)が高まり、孔部の周縁が弾性部材に食い込んで、係止力が高められる。
【0018】
請求項5に係るバッテリ用電線側端子の仮置き構造は、前記電線を接続した車両ボディ側の導電金属製のアースプレートに、請求項1記載のピン部と係止部又は請求項2記載の弾性部材又は請求項3記載のピン部が設けられたことを特徴とする。
【0019】
上記構成により、カーボンやガラス繊維等の絶縁性の車両ボディに対応してアースプレートが用いられ、アースプレートに電線の基端(電線側端子とは反対側の端部)が接続され、そのアースプレートを利用して電線側端子が仮置きされる。アースプレートはピン部と係止部とを備えたユニットとして、あるいは弾性部材やそれを係合させるピン部を備えたユニットとして車両ボディに組み付けられる。
【0020】
請求項6に係るバッテリ用電線側端子の仮置き構造は、請求項1〜5の何れかに記載のバッテリ用電線側端子の仮置き構造において、前記ピン部が雄ねじ部材であることを特徴とする。
【0021】
上記構成により、ピン部の雄ねじ(山谷の凹凸)で電線側端子の孔部の内面に対する摩擦抵抗が高まり、ピン部からの電線側端子の抜け出し阻止力が高まる。また、ピン部の雄ねじ(山谷の凹凸)で弾性部材に対する摩擦抵抗が高まり、ピン部に対する弾性部材の抜け出し阻止力が高まり、ピン部に弾性部材がしっかりと固定される。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、バッテリから外した電線側端子を係止部の引っ掛け片で係止してピン部からの抜け出しを阻止することで、電線側端子を簡素な構造で作業性良く簡単に、且つ電線屈曲時の復元力によっても外れないように確実に車両ボディ側に仮置きすることができる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、バッテリから外した電線側端子を弾性部材の弾性力と高い摩擦抵抗とで抜け出しなくしっかりと保持することができ、これにより、電線側端子を簡素な構造で作業性良く簡単に、且つ電線屈曲時の復元力によっても外れないように確実に車両ボディ側に仮置きすることができる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、ピン部で弾性部材が補強されて、電線屈曲時の復元力に対する電線側端子の保持性が高まると共に、弾性部材に対する電線側端子の着脱作業性が向上する。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、屈曲した電線の復元力で電線側端子が引っ掛け片に強く当接することで、係止力が高まって、請求項1記載の発明の効果が促進される。また、屈曲した電線の復元力で電線側端子が弾性部材に強く接触することで、係止力が高まって、請求項2記載の発明の効果が促進される。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、カーボンやガラス繊維等の絶縁性の車両ボディに対応して、バッテリアースと電線側端子の仮置きとを一つのアースプレートで効率的に行うことができる。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、ピン部の雄ねじ部分で電線側端子を抜け出し難く支持して電線側端子の係止力を高めることができ、また、ピン部の雄ねじ部分で弾性部材をしっかり固定して、弾性部材に対する電線側端子の着脱作業性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1〜図2は、本発明に係るバッテリ用電線側端子の仮置き構造の一実施形態を示すものである。
【0029】
この構造は、自動車のバッテリ1の近傍で車両ボディ3側に、バッテリ用電線側端子8の孔部8aを係合させるボルト(ピン部又は雄ねじ部材)4と、ボルト4に隣接して電線側端子8の端部8bを保持するフック状の係止部5とを設けたものである。
【0030】
本例では自動車の車体3をカーボンやガラス繊維等の絶縁体で形成しており、上記ボルト4と係止部5とは導電金属製のアースプレート6に設けられている。車体3を金属で形成した車両においては、金属製の車両ボディ3に直接、ボルト4と係止部5を設けることが可能である。
【0031】
本例のアースプレート6はクランク状に屈曲し、水平な上板部13と垂直な中間板部14と水平な下板部15とで構成され、上下の板部13,15がボルトとナット16,17で車両ボディ3の水平部18,20に固定され、例えば上下何れか一方の車両ボディ側のボルトがアース線等で金属シャシー等に接続されている。図2の例では中間板部14が車両ボディ3の縦壁19から少し離間しているが、縦壁19に接していても構わない。アースプレート6の形状は車両ボディ3の形状に合わせて適宜設定される。
【0032】
アースプレート6の上板部13にボルト(ピン部)4が垂直に固定されると共に、係止部5が突設固定されている。係止部5は略L字状に屈曲し、上板部13から垂直に立設された立ち上げ片(支持片)21と、立ち上げ片21からボルト4に向けて水平に突出した引っ掛け片22とで構成されている。係止部5はアースプレート6から一体に切り起こし形成することも可能であり、その場合、上板部13から立ち上げ片21が一体に垂設される。
【0033】
アースプレート6の下板部15にアース用電線(ワイヤハーネス)9が基端側の例えば丸形板端子10で接続されている。板端子10は、下板部15に立設されたボルトにナット締めで接続固定される。電線9とアースプレート6との接続は溶着等であってもよい。
【0034】
電線側端子8は既存のものであり、バッテリ1の円柱状の負極端子(ポスト)2に係合する円形の孔部8aを前半に有し、後半に電線接続部8cを有して、略板状に形成されている。孔部8aの周囲は略円形環状に形成され、先端側の部分8bが孔部8aに連通してスリットで分割されて、小ボルト7と小ナットで孔部8aの内面をバッテリ1の負極端子2に締め付け接続可能となっている。バッテリ1の負極端子2がテーパ柱状である場合は、孔部8aもテーパ状に下拡がりに形成される。
【0035】
アースプレート6側のボルト(ピン部)4は電線側端子8の孔部8aよりも小径に形成され、孔部8aをボルト4にスムーズに係合(挿通)可能である。ボルト4の高さは孔部8aの深さよりも大きく設定されて、孔部8aすなわち電線側端子2がボルト4から外れ難くなっている。ボルト4にかわるピン(図示せず)や、係止部5を金属ではなく合成樹脂材で形成することも可能である。この場合、樹脂製のピン(4)や係止部5は金属製のアースプレート6の小孔(図示せず)に熱加締めや接着等で固定される。
【0036】
電線側端子2はボルト4にナット締めする訳ではないので、ボルト4に代えて外周面の滑らかな円柱状や矩形柱状や三角形柱状等のピンを用いることが可能である。ボルト4を用いた場合は、例えばボルト4の頭部(薄板状であることが好ましい)をアースプレート6の上板部13の板厚方向の凹部(図示せず)内に収容することが、車両ボディ13との干渉を避ける上で好ましい。ボルト4は外周にねじ部(山谷の凹凸)を有するので、ねじ部が電線側端子8の孔部8aに対する摩擦抵抗を増して、電線側端子8を抜け出し難くする。
【0037】
電線側端子8の孔部8aをボルト4に挿通係合させ、電線側端子8の下面(裏面)8dをアースプレート6の上側の板部13の上面で支持させた状態で、電線側端子8をボルト4を支点に(中心として)ボルト(孔部)周方向に回動させる(電線側端子8を板部13に沿って回転方向に摺接させる)ことで、電線側端子8の先端部8bが係止部5内に進入係合する。電線側端子8の先端部8bの上面(表面)8eに沿って係止部5の引っ掛け片22の下面が近接ないし接して位置することで、電線側端子8が上方向の移動なく、簡単且つ確実に係止される。
【0038】
図2において、アース用の電線(ワイヤハーネス)9は端子8から下向きに屈曲し(屈曲部を符号9aで示す)、電線9に上向きに復元力(弾性力)が作用しているから、電線側端子8の先端部8bの上面8eが係止部5の引っ掛け片22の下面に電線9の上向きの復元力で強く接触(押接)し、これにより、端子8の係止が確実に行われる。
【0039】
このように、電線9が太くて高い剛性を有して屈曲時に強い復元力を発揮しても、係止部5で端子8の上向きの移動が阻止されて、ボルト4からの抜け出しが確実に防止される。従って、車両のメンテナンスや輸送、保管、展示等において、電線側端子8をバッテリ1から外した際に、たとえ振動等が加わっても、電線側端子8の仮置きが確実に行われ、不意な仮置き解除やそれに伴う端子8と車両ボディ3や他部品等との衝接や傷付きが防止される。
【0040】
係止部5からの電線側端子8の取り外し(係止解除)は、ボルト4を中心に端子8をアースプレート6の上板部13に沿って正逆(左右)何れかの方向に回動させることで、係止部5から端子8の先端部8bが外れて、そのまま端子8を上向きにボルト4から引き抜くことで、作業性良く簡単に行うことができる。
【0041】
なお、アースプレート6の水平な上板部13ではなく垂直な中間板部14にボルト4を水平ないし斜め上向きに突設すると共に、係止部5をボルト4に隣接して突設することも可能である。この場合、電線側端子8は水平にではなく垂直な姿勢でボルト4と係止部5に仮置きされる。
【0042】
アースプレート6を用いない場合は、金属製の車両ボディに直接、ボルト4や係止部5が突設される。また、金属製の車両ボディに別体のアースプレート6を設けることも可能である。また、電線側端子8の先端部8bではなく、先端部8bから90°方向の側端部を係止部5で係止させるように、係止部5を配置することも可能である(この場合、図1において係止部5はアースプレート6の上板部13の長手方向ではなく一側部に配置される)。
【0043】
図3〜図4は、本発明に係るバッテリ用電線側端子の仮置き構造の他の実施形態を示すものである。
【0044】
この構造は、図1〜図2の実施形態における係止部5を排除し、ボルト(ピン部又は雄ねじ部材)4に円筒状の弾性部材(ゴム、エラストマ等)25を嵌合し、弾性部材25に電線側端子8の孔部8aを弾性的な締め代をもって係合させるものである。その他の構造は上記図1〜図2の構造と同様であるので、図1〜図2の構造と同様の構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
ボルト4はねじ山のないピンに代えることも可能である。本例の弾性部材25は円筒形のゴム部材で、貫通した円孔25aを有するものであるが、有底(天井壁の有る)キャップ状のもの(図示せず)を用いることも可能である。また、材質はゴムに代えて弾性のあるウレタンや軟質塩化ビニル樹脂やポリエチレン等を用いることも可能である。
【0046】
弾性部材25の中心の孔部25aの内径はボルト4の外径よりも小さく設定され、弾性部材25の孔部25aがボルト4に抜け出しなくしっかりと固定される。ボルト4は外周にねじ部(山谷の凹凸)4aを有するので、ねじ部4aが弾性部材25の孔部25aに対する摩擦抵抗を増して、弾性部材25を抜け出し難くする。
【0047】
弾性部材25の外径は電線側端子8の孔部8aの内径と同一に、あるいは孔部8aの内径よりも若干大きく(弾性部材25が容易に圧縮変形できる材質の場合)設定されることが好ましい。弾性部材25の外径は上端側が小さく、下端側が大きいテーパ状になっていることが、電線側端子8の孔部8aへの挿入性を高める上で好ましい。
【0048】
また、弾性部材25は高い摩擦係数を有するので、たとえ弾性部材25の外径を端子8の孔部8aの内径よりも小さく設定した場合でも、端子8の係合後に端子8の孔部8aの内面に対して高い摩擦抵抗を発揮して、端子8の抜け出しを防止する。弾性部材25の高さ(長さ)はボルト4の高さ(長さ)と同程度である。
【0049】
弾性部材25は予めボルト(ピン部)4に一体成形で固定させたり、接着剤で固定させておいてもよい。弾性部材25の強度が高く、アースプレート6に強固に固定できる場合は、ボルト4を省略することも可能である。この場合は、弾性部材25を円筒状ではなく円柱状とすることが好ましい。ボルト4に変わるピンを合成樹脂で形成することも可能である。
【0050】
図3において、弾性部材25をボルト4に嵌合させ、電線側端子8をバッテリ1の負極端子(ポスト)2から外し、図4の如く、弾性部材25に電線側端子8の孔部8aを係合させることで、電線側端子8が弾性部材25の高い摩擦抵抗と弾性力とで抜け出しなく容易に且つ確実に係止(固定)される。電線9は端子8から下向きに屈曲し(屈曲部を符号9aで示す)、屈曲による復元力で端子8の孔部8aが弾性部材25にこじり力をもって係合するから、弾性部材25からの端子8の抜け出し難さが高まる。
【0051】
このように、電線9が太くて高い剛性を有して屈曲時に強い復元力を発揮しても、弾性部材25で端子8の抜け出しが確実に防止される。従って、車両のメンテナンスや輸送、保管、展示等において、電線側端子8をバッテリ1から外した際に、たとえ振動等が加わっても、電線側端子8の仮置きが確実に行われ、不意な仮置き解除やそれに伴う端子8と車両ボディ3や他部品等との衝接や傷付きが防止される。
【0052】
弾性部材25からの電線側端子8の取り外しは、端子8を上向きに弾性部材25から抜き出すことで、作業性良く簡単に行うことができる。
【0053】
図3,図4で、符号3は絶縁性の車両ボディ、18は上側の水平部、19は垂直部、20は下側の水平部、6はアースプレート、13は上板部、14は中間板部、15は下板部、16,17はアースプレート固定用のナットをそれぞれ示している。
【0054】
なお、アースプレート6の必要のない金属製の車両ボディ(3)を用いた場合は、車両ボディにボルト(ピン部)4が直接立設される。金属製の車両ボディに別体のアースプレート6を設けることも可能である。また、弾性部材25の形状は端子8の孔部8aに対応した断面円形であることが好ましいが、断面矩形状や多角形状とすることも可能である。
【0055】
また、アースプレート6の上板部13ではなく垂直な中間板部14にボルト4を水平に突設し、弾性部材25をボルト外周に水平に嵌合させて、電線側端子8を垂直な姿勢で弾性部材25に係合させることも可能である。端子8の抜け出し難さの点では図3,図4の如く上板部13にボルト4と弾性部材25を垂直に配設することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るバッテリ用電線側端子の仮置き構造の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同じく電線側端子を仮置きした状態を示す正面図である。
【図3】バッテリ用電線側端子の仮置き構造の他の実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】同じく電線側端子を仮置きした状態を示す正面図である。
【図5】従来のバッテリ用電線側端子の仮置き状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 バッテリ
2 負極端子
3 車両ボディ
4 ボルト(ピン部)
5 係止部
6 アースプレート
8 電線側端子
8a 孔部
22 引っ掛け片
25 弾性部材(ゴム、エラストマ等)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ側の負極端子にアース用の電線側端子を接続離脱可能とした構造において、車両ボディ側に、該電線側端子の孔部を係合させるピン部を突設すると共に、該電線側端子の裏面を該車両ボディ側に接した状態で該電線側端子の表面に当接可能な引っ掛け片を有する係止部を該ピン部に隣接して設けたことを特徴とするバッテリ用電線側端子の仮置き構造。
【請求項2】
バッテリ側の負極端子にアース用の電線側端子を接続離脱可能とした構造において、車両ボディ側に、該電線側端子の孔部を係合させる弾性部材を配設したことを特徴とするバッテリ用電線側端子の仮置き構造。
【請求項3】
前記弾性部材がピン部の外周に設けられたことを特徴とする請求項2記載のバッテリ用電線側端子の仮置き構造。
【請求項4】
前記電線の屈曲に伴う前記電線側端子の復元力が請求項1記載の引っ掛け片又は請求項2又は3記載の弾性部材に向けて作用するように、該引っ掛け片又は該弾性部材の配設方向が規定されたことを特徴とするバッテリ用電線側端子の仮置き構造。
【請求項5】
前記電線を接続した車両ボディ側の導電金属製のアースプレートに、請求項1記載のピン部と係止部又は請求項2記載の弾性部材又は請求項3記載のピン部が設けられたことを特徴とするバッテリ用電線側端子の仮置き構造。
【請求項6】
前記ピン部が雄ねじ部材であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のバッテリ用電線側端子の仮置き構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−120492(P2010−120492A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295324(P2008−295324)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】