説明

バネ付勢式プラスチックシールの改善及びそれに関連する改善

一対の構成要素間にシールを提供するシールアセンブリは、可撓性プラスチック材料からなるシールリングと、該シールリングの肢から離間した側でそれと同軸に配設されたバックアップリング70とを有する。該バックアップリングは該シールリングの基部の円錐台状の表面に当接し、該円錐台状の表面がバックアップリングの対応する円錐台状の表面74と係合して、該バックアップリングの内周面に半径方向の負荷を加えて、該バックアップリングを内側の構成要素の外周面に向かって付勢し、該シールリングの前記肢が延びる側からの圧力に該シールリングが曝されることにより該シールリングに対して軸方向の負荷が加えられた際に、前記バックアップリングの突部72が、外側の構成要素の軸方向に延びる環状の凹部80の内周面と係合して、該補強リングが半径方向において配置され支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バネ付勢式プラスチックシールに関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の一態様によれば、一対の構成要素間にシールを提供するシールアセンブリは、該構成要素間に同軸に配置された可撓性プラスチック材料からなるシールリングを備えており、該シールリングは、その一方の側から軸方向に延びる一対の肢を有するチャネル部を有しており、内側の肢の内周面が、該シールリングの内部に取り付けられた前記構成要素の表面と係合するためのシール要素を形成し、バネ手段が前記内側の肢の外周面に作用して、該シール要素に、内側の構成要素の表面とシール状態で係合するよう弾性的な負荷を加え、剛性リングが、該シールリングの外側の肢の内周面に当接して、該シールリングの外部に取り付けられた構成要素の表面とシール状態で係合するように該外側の肢を押圧し、弾性的な可撓性プラスチック材料からなるバックアップリングが、前記肢から離間した前記シールリングの側で該シールリングと同軸に配設され、該バックアップリングが、該シールリングの前記チャネル部の基部から離間した端部に内径が増大した部分を有しており、該バックアップリングが、該シールリングの前記基部の円錐台状の表面に当接し、該シールリングの該円錐台状の表面が、該シールリングの前記肢から離間して内径から延びて前記バックアップリングの対応する円錐台状の表面と係合し、及び該バックアップリングの内周面に半径方向の負荷を加えて、該バックアップリングを内側の構成要素の外周面に向かって付勢し、該シールリングの前記肢が延びる側からの圧力に該シールリングが曝されることにより該シールリングに対して軸方向の負荷が加えられた際に、前記バックアップリングの突部が、外側の構成要素の軸方向に延びる環状の凹部の内周面と係合して、該補強リングが半径方向において配置され支持される。
【0003】
本発明によれば、前記シールが、前記肢が延びる側から押圧されると、該肢が外方へ付勢されて、内側の肢上のシール要素と内側の構成要素の表面との間に提供されるシールが強まる。また、シールリングに加えられる軸方向の負荷がバックアップリングの内周面を内方へ付勢して、該バックアップリングと内側の構成要素の表面との間の間隙が閉じられて、シールリングの内側の肢が前記間隙を通って突出するのが防止される。バックアップリングは、内径が増大する部分の内周面と、外側の構成要素の環状凹部の内周面との係合によって、半径方向で支持されて、該バックアップリングの座屈、及び該バックアップリングが内側の構成要素と外側の構成要素との間の間隙内に突出することが防止される。
【発明を実施するための形態】
【0004】
ここで、本発明をその例示のみを目的とした図1に関して説明する。同図は、本発明によるシールを部分的に断面で示す側面図である。
【0005】
図1は、機械的な面シールの支持リング12とハウジング14との間に二次的なシールを提供するためのシールアセンブリ10であり、該支持リング12は、既知の態様で該ハウジングに対して摺動可能な状態で取り付けられている。
【0006】
シールアセンブリ10は、例えばPTFEから作成されたポリマーシールリング20を含む。該シールリング20は、半径方向に延びる基部22と、半径方向に隔置され軸方向に延びる一対の肢24,26とを有する、軸方向に延びるチャネル部を有している。内側の肢24は、その内側の周辺に環状シール構造28を有しており、該環状シール構造28は、ガータースプリング32によって、支持リング12の円筒状の外面30とシール状態で係合するよう付勢される。該ガータースプリング32は、シール構造28の半径方向外方で肢24の外周面に作用し、肢24の自由端で半径方向外方に延びるフランジ構造34によって所定位置に配置される。
【0007】
外側の肢26の自由端に半径方向外方に延びるフランジ構造40が配設され、該フランジ構造40に隣接して該肢26の外周面に環状リブ構造42が配設される。該フランジ構造40及びリブ42は、それぞれ、ハウジング14の円筒面48における対応する環状凹部44,46内に係合する。リング20のチャネル部内に金属リング50が配置され、該金属リングは、肢26の内周面に係合し及び該肢26を円筒面48に対して押圧して、該円筒面48に対してシールを形成する。該金属リング50は、肢26の自由端から半径方向内方へ延びるフランジ構造52によってチャネル部内に配置される。
【0008】
環状突起60は、基部22に対してシールリング20のチャネル部と反対側で該基部22の外周面にわたって軸方向に延びる。該環状突起60の内部で、肢24,26から離間した該基部22の端面は、肢24,26から離間したシールリング20の内径から傾斜した円錐台状の表面62を有している。
【0009】
可撓性プラスチック材料からなるバックアップリング70が環状突起60の内部に取り付けられ、シールリング20のチャネル部の基部22から離間した該バックアップリング70の端部72は、拡大された内径を有する。シールリング20のチャネル部の基部22に隣接するバックアップリング70の面は、該シールリング20の円錐台状の表面62に対応し及び該表面62に係合する円錐台状の表面74を有している。シールリング20から離間したバックアップリング70の一層小さな内径の部分の内周面76は、外方へテーパー付けされている。
【0010】
突起60とバックアップリング70の一層大きな内径の部分72は、ハウジング14の軸方向に延びる凹部80内に配置される。該凹部80は、シールリング20、バックアップリング70、及び支持リング12をハウジング14の軸方向で配置する働きをする。
【0011】
動作時、該シールアセンブリは、チャネル部が機械的な面シールの押圧側に向かって開口した状態でハウジング14と支持リング12との間に取り付けられる。サービス流体の圧力が結果的に内側の肢24を内方へ付勢して、ガータースプリング32により加えられる半径方向の負荷を補強し、支持リング12とのシールを確実にする。更に、流体圧力により加えられる軸方向の負荷が、シールリング20の円錐台状の表面62をバックアップリング70の円錐台状の表面74に押しつけてバックアップリング70に半径方向の負荷を加え、該バックアップリング70を変形させて支持リング12の円筒形状の表面との間隙を閉鎖させて、ハウジング14と支持リング12との間の間隙を介した肢24の突出を防止する。バックアップリング70の一層直径の大きな部分72の内周面と凹部80の内周面との係合により、該シールリングにより加えられる負荷の下で、該バックアップリング70が座屈すること及び該バックアップリング70がハウジング14と支持リング12との間の間隙内に突出することが防止される。
【0012】
金属リング50はまた、シールリング20の外径の熱成長差に適応するものとなる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の構成要素間にシールを提供するシールアセンブリであって、該構成要素間に同軸に配置された可撓性プラスチック材料からなるシールリングを備えており、該シールリングが、その一方の側から軸方向に延びる一対の肢を有するチャネル部を有しており、内側の肢の内周面が、該シールリングの内部に取り付けられた前記構成要素の表面と係合するためのシール要素を形成し、バネ手段が前記内側の肢の外周面に作用して、該シール要素に、内側の構成要素の表面とシール状態で係合するよう弾性的な負荷を加え、剛性リングが、該シールリングの外側の肢の内周面に当接して、該シールリングの外部に取り付けられた構成要素の表面とシール状態で係合するように該外側の肢を押圧し、弾性的な可撓性プラスチック材料からなるバックアップリングが、前記肢から離間した前記シールリングの側で該シールリングと同軸に配設され、該バックアップリングが、該シールリングの前記チャネル部の基部から離間した端部に内径が増大した部分を有しており、該バックアップリングが、該シールリングの前記基部の円錐台状の表面に当接し、該シールリングの該円錐台状の表面が、該シールリングの前記肢から離間して内径から延びて前記バックアップリングの対応する円錐台状の表面と係合し、及び該バックアップリングの内周面に半径方向の負荷を加えて、該バックアップリングを内側の構成要素の外周面に向かって付勢し、該シールリングの前記肢が延びる側からの圧力に該シールリングが曝されることにより該シールリングに対して軸方向の負荷が加えられた際に、前記バックアップリングの突部が、外側の構成要素の軸方向に延びる環状の凹部の内周面と係合して、該バックアップリングが半径方向において配置され支持される、シールアセンブリ。
【請求項2】
軸方向の環状突起が、前記肢と離間した側で前記シールリングの前記チャネル部の基部から延びており、該環状突起が、前記シールリングの前記基部の前記円錐台状の表面の半径方向外方にあり、及び前記バックアップリングの外周面と係合する、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項3】
前記シールリングが低摩擦ポリマー材料からなる、請求項1又は請求項2に記載のシールアセンブリ。
【請求項4】
前記シールリングがPTFEからなる、請求項3に記載のシールアセンブリ。
【請求項5】
前記シールリングの内側の肢が、その内周側に環状シール構造を有しており、該環状シール構造が、該内側の肢の自由端に隣接している、請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載のシールアセンブリ。
【請求項6】
ガータースプリングが、前記シールリングの内側の肢の外周面に作用して、該内側の肢に、前記内側の構成要素とシール状態で係合するよう弾性的な負荷を加える、請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載のシールアセンブリ。
【請求項7】
前記剛性リングが金属からなる、請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載のシールアセンブリ。
【請求項8】
実質的に図1に関して本書で説明し及び同図に示したシールアセンブリ。、

【公表番号】特表2011−530686(P2011−530686A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522546(P2011−522546)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001942
【国際公開番号】WO2010/018364
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(501077664)ジョン・クレーン・ユーケイ・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】