説明

バリアブル印刷方法

【課題】本発明の課題は、容易に、かつ、能率よく選択条件を用いたバリアブル印刷をする方法を提供することである。
【解決手段】割付枠データと選択条件データとを含む文書データを作成して、これを送信する文書データ作成工程と、送信された文書データを受信して、これを用いて、割付枠制御データと選択条件制御データを含む制御データに変換する制御データ変換工程と、印刷データのフィールド項目データを用いて、前記選択条件制御データを参照して、レイヤー特定情報を選択して、前記割付枠制御データの中から、前記レイヤー特定情報を持つ割付枠制御データを抽出する割付枠抽出工程と、前記抽出された割付枠制御データに、印刷データのフィールド項目データを設定してバリアブル印刷物を印刷する印刷工程と、を含んだ手順でなされることを特徴とするバリアブル印刷方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリアブル印刷において、バリアブル印刷文書を編集する方法に関するものである。
【0002】
従来から、DTPシステムを用いて、バリアブル印刷文書の編集作業が行われている。
バリアブル印刷では、文書ごとに印刷する内容を差替える可変印刷部分と、各文書に共通の固定印刷部分を合成した文書を連続して印刷する。たとえば、ダイレクトメールでは、印刷文書の宛先名を変えた文面をバリアブル印刷する。
このバリアブル印刷の特性を生かすことで、文書の内容に応じて文面の編集体裁を変えて印刷することができる。
【背景技術】
【0003】
たとえば、非特許文献1には、富士ゼロックス社製バリアブル印刷装置のページ記述言語(=制御データ)を用いて割付情報や印刷情報を選択する条件を記述することで、選択条件に応じて印刷内容を差替えた文面を、バリアブル印刷する技術が開示されている。
【非特許文献1】富士ゼロックス株式会社著、「VIPP(ブイ・アイ・ピー・ピー)リファレンスガイド(管理番号:ME3449J1−1)」、第1版、富士ゼロックス株式会社、2005年4月、57ページ
【0004】
なお、VIPPとは、Variable data Intelligent PostScript(AdobeSystems社の登録商標) Printwareの略であり、ページ記述言語PostScriptに基づいたバリアブル印刷のデータ形式である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献1の技術を用いるためには、バリアブル印刷装置にて、印刷装置固有のページ記述言語を用いて選択条件を記述しなければならず、そのために、印刷装置の操作担当者にはプログラミング技術と印刷装置固有のページ記述言語の知識が要求されるという問題点があった。また、記述された選択条件の動作確認試験をバリアブル印刷装置で行わなければならないために、印刷装置の生産性が低下するという欠点があった。
【0006】
本発明はこのような従来技術を考慮してなされたものであって、本発明の課題は、容易に、かつ、能率よく選択条件を用いたバリアブル印刷をする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。すなわち、請求項1の発明は、フィールド項目データを含む印刷データ(398)と、レイヤー特定情報とフィールド項目情報を含む割付枠データ(192)と、印刷装置特定情報を有する制御コード対応表(597)と、フィールド項目情報とレイヤー特定情報を含む選択条件データ(194)と、を用いるバリアブル印刷方法であって、割付枠データ(192)と選択条件データ(194)とを含む文書データを作成して送信する文書データ作成工程と、送信された文書データを受信して、使用するバリアブル印刷装置の制御コード対応表(597)を参照して、レイヤー特定情報とフィールド項目情報を持つ割付枠制御データ(592)とフィールド項目情報とレイヤー特定情報を含む選択条件制御データ(594)を含む制御データに変換する制御データ変換工程と、印刷データ(398)のフィールド項目データを用いて、前記変換された制御データに含まれる選択条件制御データ(594)を参照して、対応した選択条件制御データ(594)のレイヤー特定情報を選択して、前記変換された制御データの中から、前記選択されたレイヤー特定情報を持つ割付枠制御データ(592)を抽出する割付枠抽出工程と、前記抽出された割付枠制御データ(592)のフィールド項目情報を用いて、前記印刷データ(398)のフィールド項目データを選択して、これを前記抽出された割付枠制御データ(592)に設定してバリアブル印刷物(798)を印刷する印刷工程と、を含んだ手順でなされることを特徴とするバリアブル印刷方法である。
【0008】
このように、印刷データの内容に応じて割付枠を選択して、バリアブル印刷物を印刷することができる。
【0009】
請求項2の発明は、前記印刷工程は、印刷データ(398)のフィールド項目データを用いて、前記制御データに含まれる選択条件制御データ(594)を参照して、対応した選択条件が指定するフィールド項目データを印刷データ(398)から選択して、これを前記抽出された割付枠制御データ(592)に設定してバリアブル印刷物(798)を印刷する、ことを特徴とする請求項1に記載のバリアブル印刷方法である。
【0010】
請求項3の発明は、前記選択条件データ(194)は、データフィールド項目データと素材データ(791)をさらに含み、前記印刷工程は、印刷データ(398)のフィールド項目データを用いて、前記制御データに含まれる選択条件制御データ(594)を参照して、成立した選択条件の素材データ(791)を前記抽出された割付枠制御データ(592)に設定してバリアブル印刷物(798)を印刷する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバリアブル印刷方法である。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、
(1)印刷装置固有のページ記述言語の知識を持たずに、DTP装置を用いて選択条件を記述することが可能となる。
(2)印刷装置の操作担当者は、プログラミング技術の習得訓練が不要となる。
(3)選択条件のテストの一部(たとえば、選択条件の構文文法のチェック)は、DTP装置や文書データ変換装置にて実施できるので、バリアブル印刷装置を用いた動作確認試験の負荷が軽減される。たとえば、選択条件記述の文法誤り発見は、DTP装置や文書データ変換装置にても可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について、更に詳しく説明する。
【0013】
図1は、本発明によるバリアブル印刷システムの全体構成図である。本発明によるバリアブル印刷システム1は、文書編集装置100と印刷データ・サーバ装置300と文書データ変換装置500とバリアブル印刷装置700とをネットワーク接続して構成される。
【0014】
文書編集装置100は、文字や画像を割り付ける割付枠を編集して、割付枠や文字・画像を選択する選択条件を設定して、これらを含む文書データ198を文書データ変換装置500に送信する。
【0015】
印刷データ・サーバ装置300は、文字データと画像データを含む印刷データ398を保存する。印刷データ・サーバ装置300は、印刷データ398を、バリアブル印刷装置700に送信する。
【0016】
文書データ変換装置500は、文書編集装置100から受信した文書データ198を、使用するバリアブル印刷装置700の制御データ598に変換して、そのバリアブル印刷装置700に送信する。
【0017】
バリアブル印刷装置700は、印刷データ・サーバ装置300から受信した印刷データ398と、文書データ変換装置500から受信した制御データ598を用いて、バリアブル印刷物798を、作成する。
【0018】
文書編集装置100は、コンピュータプログラムによって制御されるパーソナルコンピュータである。文書編集装置100のコンピュータプログラムは、市販のDTPソフトウエアである。文書編集装置100のコンピュータプログラムに、機能を追加するときには、このコンピュータプログラムが備えるプラグイン機能とC++プログラムを用いて、実現することができる。
【0019】
なお、文書編集装置100で作成する文書データは、割付枠と文字と画像を配置した電子文書であり、印刷データ(=文字データや画像データ)の割付を指定する役割を持つ。従って、文書データから変換された制御データも、印刷データの割付を指定する役割を持つ。
【0020】
文書データ変換装置500は、コンピュータプログラムによって制御されるパーソナルコンピュータである。印刷データ・サーバ装置300は、コンピュータプログラムによって制御されるサーバコンピュータである。印刷データ・サーバ装置300のコンピュータプログラムは、市販のデータ管理ソフトウエアを利用することができる。
【0021】
バリアブル印刷装置700は、レーザプリンタやインクジェットプリンタのようなデジタルプリンタである。
バリアブル印刷装置700においては、制御データと印刷データを用いることによって、文書ごとに異なる文字や画像を所定の位置に割り付けるバリアブル印刷物を印刷することができる。
【0022】
図2は、印刷データ・サーバ装置300の詳細な構成図である。印刷データ・サーバ装置300は、通信部302と印刷データ送信手段330と記憶部390とを備える。記憶部390は、と印刷データ398を記憶する。
【0023】
通信部302はネットワーク接続装置である。
【0024】
印刷データ送信手段330は、前記保存された印刷データ398を文書編集装置100に送信する。
【0025】
印刷データ送信手段330は、コンピュータプログラムである。印刷データ398は、コンピュータプログラムが可読なデータである。記憶部390は、半導体メモリや、磁気メモリである。
【0026】
図3は、印刷データ398の形式形式と例を説明する図である。
【0027】
図3の(a)には、印刷データ398の形式が示されている。印刷データ398は、少なくとも1つのフィールド項目データから構成される。
【0028】
図3の(b)には、印刷データ398が例示されている。印刷データ398の1行目は、各フィールド項目情報(たとえば、フィールド項目名称情報)である。2行目以降は、バリアブル印刷するデータ(文字列あるいは画像データ)である。
【0029】
1行目には、名称情報として、第1フィールド項目データ398aには「FLAG」が、第2フィールド項目データ398bには「PLACE」が、第3フィールド項目データ398cには「NICKNAME」が、第4フィールド項目データ398dには「NAME」が、フィールド項目データ398eには「GAZO」が、例示されている。
【0030】
2行目には、バリアブル印刷するデータとして、第1フィールド項目データ398a「FLAG」=「0」と、第2フィールド項目データ398b「PLACE」=「東京都」と、第3フィールド項目データ398c「NICKNAME」=「マルちゃん」と、第4フィールド項目データ398d「NAME」=「鈴木○郎」と、フィールド項目データ398e「GAZO」=「maru.jpg」が例示されている。
【0031】
図4は、本発明による文書編集装置100の詳細な構成図である。文書編集装置100は、通信部102と、表示部180と、記憶部190と、割付枠設定手段110と、フィールド項目対応付手段120と、レイヤー設定手段130と、選択条件設定手段140と、文書作成手段150と、文書送信手段155を備える。
【0032】
通信部102はネットワーク接続装置である。記憶部190は、半導体メモリや、磁気メモリである。記憶部190は、文書データ198を記憶する。
【0033】
表示部180は、LCD表示装置や、CRT表示装置である。表示部180は、文書編集装置100の編集作業を表示して、たとえば、割付枠名称情報を含んだ割付枠を表示したり、割付枠に対応付けたフィールド項目情報やレイヤー特定情報を表示したりする。
【0034】
割付枠設定手段110は、文字や画像を割り付ける割付枠を文書編集領域(=編集ページ)に割り付けする。
フィールド項目対応付手段120は、割り付けされた割付文字枠に、印刷データ398のフィールド項目を対応付ける。レイヤー設定手段130は、割付枠にレイヤー特定情報を対応付ける。
【0035】
選択条件設定手段140は、選択条件データを設定する。(選択条件データの詳細は後述する)このとき、選択条件設定手段140は、選択条件情報の記述文法の正誤を確認する。
【0036】
文書作成手段150は、選択条件情報と、フィールド項目データとレイヤー特定情報を有する割付枠データと、前記設定された選択条件データと、編集タグを含む文書データ198を作成する。
文書送信手段155は、前記作成された文書データ198を文書データ変換装置500に送信する。
【0037】
割付枠設定手段110と、フィールド項目対応付手段120と、レイヤー設定手段130と、選択条件設定手段140と、文書作成手段150と、文書送信手段155と、表示手段180は、コンピュータプログラムである。文書データ198は、コンピュータプログラムが可読なデータである。
【0038】
図5は、XML形式の文書データ198の形式を説明する図である。文書データ198は、選択条件データ194と、割付枠データ192を含んで構成されている。割付枠データ192は、文字割付枠データ192mと画像割付枠データ192iを有する。割付枠データ192には、レイヤー特定情報196が対応付けられている。
【0039】
図6は、XML形式の文書データ198の例を説明する図である。図6には、編集タグを含んだ文書データ198が例示されている。
【0040】
文書データ198の選択条件データ194の例としては、選択条件の編集タグ「<If> </If>」を用いて、選択条件「<Layerset Name=“レイヤーA”> <If>(PLACE)=“東京都”</If> </Layerset>」が示されている。
【0041】
文書データ198の割付枠データ192の文字割付枠192mの例としては、文字割付枠の編集タグ「<Field></Field>」を用いて、「<Field> <Fieldname>名前</Fieldname> <Columnname>guestname</Columnname> <StartX>17</StartX> <StartY>34</StartY> <Font>Mincho-R</Font> <Fontsize>12</Fontsize> <Fontcolor>1 0.7 0 0</Fontcolor> <Position>1</Position> </Field>」が示されている。
また、画像割付枠192iの例としては、画像割付枠の編集タグ「<Image> </Image>」を用いて、「<Fieldname>画像</Fieldname> <Columnname>gazo</Columnname> <StartX>70</StartX> <StartY>30</StartY> <Filetype>1</Filetype> <Zoomsize>100.00</Zoomsize> <Turn>0</Turn> <Imageposition>1</Imageposition> </Image>」が示されている。
【0042】
図7は、本発明による文書データ変換装置500の詳細な構成図である。
文書データ変換装置500は、通信部502と記憶部590と文書受信手段520と印刷装置指定手段510と制御コード変換手段530と制御データ送信手段540を備える。
【0043】
通信部502は、ネットワーク接続装置である。
【0044】
記憶部590は、半導体メモリや、磁気メモリである。記憶部590は、制御コード対応表597を記憶する。
【0045】
制御コード対応表597は、印刷装置指定情報を含み、文書データ198の所定のデータ(たとえば、編集タグ)と印刷装置のプリンタ制御コードを対応付けたデータである。
【0046】
文書受信手段520は、文書編集装置100から文書データ198を受信する。印刷装置指定手段510は、印刷装置指定情報の入力を受け付ける。
【0047】
制御コード変換手段530は、前記受け付けられた印刷装置指定情報の制御コード対応表597を選択して、これを用いて、前記受信した文書データ198の所定のデータを、プリンタ制御コードに変換する。
【0048】
制御データ送信手段540は、割付枠データと選択条件データを含む文書データ198と前記変換されたプリンタ制御コードを用いて、割付枠制御データと選択条件制御データを含む制御データ598を作成して、これを送信する。なお、制御データ送信手段540は、文書データ198に含まれる選択条件データの記述文法の正誤を確認してもよい。
【0049】
文書受信手段520と印刷装置指定手段510と制御コード変換手段530と制御データ送信手段540を、コンピュータプログラムである。制御コード対応表597は、コンピュータプログラムが可読なデータである。
【0050】
図8は、制御データ598の形式を説明する図である。制御データ598は、選択条件制御データ594と、割付枠制御データ592を含んで構成されている。割付枠制御データ592は、文字割付枠制御データ592mと画像割付枠制御データ592iを有する。割付枠制御データ592には、レイヤー特定情報596が対応付けられている。
【0051】
図9は、制御データ598の例を説明する図である。図9には、選択条件と割付枠を含む制御データ598が例示されている。
【0052】
選択条件の例としては、選択条件の記述部が「IF PLACE (東京都) eq [」であって、選択条件の終了部が「]ENDIF」であるものが示されている。
【0053】
また、割付枠592の文字割付枠制御データ592mの例として、「/Mincho-R 12.00 SETFONT//フォント [1 0.7 0 0] SETTXC //カラー 17.00 34.00 MOVETO //位置 guestname SHL //テキストを印字」が示されている。
また、画像割付枠制御データ592miの例として、「70.00 30.00 MOVETO //位置 ($$gazo.) VSUB CACHE 1 0 0 SCALL//画像を配置」が示されている。
【0054】
図10は、選択条件でレイヤーを選択してバリアブル印刷する手順を説明する図である。
図10には、印刷データ398のフィールド項目データをバリアブル印刷する時の処理手順が例示されている。
【0055】
印刷データ398の第1フィールド項目データ398aが、「FLAG」=「0」で、第2フィールド項目データ398bが、「PLACE」=「東京都」で、第3フィールド項目データ398dが、「NAME」=「鈴木○郎」で、第4フィールド項目データ398eが、「GAZO」=「maru.jpg」であるときのバリアブル印刷処理手順を説明する。
【0056】
選択条件制御データ594は、「(a)第1フィールド項目398a「FLAG」が「0」ならば、制御データのレイヤー特定情報が「レイヤーA」の割付枠を選択する。(b)第1フィールド項目398a「FLAG」が「1」ならば、制御データのレイヤー特定情報が「レイヤーB」の割付枠を選択する。(c)第1フィールド項目398a「FLAG」が「2」ならば、制御データのレイヤー特定情報が「レイヤーC」の割付枠を選択する。」である。
【0057】
制御データ598は、レイヤー特定情報「レイヤーA」を有する割付枠制御データ592aと、レイヤー特定情報「レイヤーB」を有する割付枠制御データ592bと、レイヤー特定情報「レイヤーC」を有する割付枠制御データ592cから構成されている。レイヤー特定情報が「レイヤーA」の割付枠592aとしては、割付枠名称が「出身地」と「名前」と「画像」の3つの割付枠があり、それぞれ第2フィールド項目398b「PLACE」と第3フィールド項目398d「NAME」と第4フィールド項目398e「GAZO」が対応付けられている。レイヤー特定情報が「レイヤーB」と「レイヤーC」の割付枠にも同様にフィールド項目が対応付けられている。
【0058】
さて、印刷データ398の第1フィールド項目データ398a「FLAG」が「0」であるので、レイヤー選択条件594の(a)に従って制御データ598のレイヤー特定情報「レイヤーA」を持つ割付枠制御データ592aを選択する(図10(1))。
【0059】
次に、選択した割付枠592aの「出身地」と「名前」と「画像」には、それぞれ対応する印刷データ398の第2フィールド項目データ398b「東京都」と、第4フィールド項目データ398d「鈴木○郎」と、第5フィールド項目データ398e「maru.jpg」を設定して、バリアブル印刷物798を印刷する(同(2))。
【0060】
(実施例1)
次に、実施例を説明する。
【0061】
図11は、選択条件で複数のレイヤーを選択してバリアブル印刷する手順を説明する図である。図11には、選択条件に従って2つのレイヤーを選択してバリアブル印刷する処理手順が例示されている。
【0062】
印刷データ398の第1フィールド項目データ398aが、「FLAG」=「1」で、第2フィールド項目データ398bが、「PLACE」=「北海道」で、第3フィールド項目データ398dが、「NAME」=「山田▽美」で、第4フィールド項目データ398eが、「GAZO」=「san.jpg」であるときのバリアブル印刷処理手順を説明する。
【0063】
選択条件制御データ594は、「(a)第1フィールド項目398a「FLAG」が「1」ならば、制御データのレイヤー特定情報が「レイヤーB」の割付枠を選択する。(b)第1フィールド項目398a「FLAG」が「2」ならば、制御データのレイヤー特定情報が「レイヤーC」の割付枠を選択する。(c)第1フィールド項目398a「FLAG」が「0」または 「1」ならば、制御データのレイヤー特定情報が「レイヤーA」の割付枠を選択する。」である。
【0064】
制御データ598は、レイヤー特定情報「レイヤーA」を有する割付枠制御データ592aと、レイヤー特定情報「レイヤーB」を有する割付枠制御データ592bと、レイヤー特定情報「レイヤーC」を有する割付枠制御データ592cから構成されている。
【0065】
レイヤー特定情報「レイヤーA」の割付枠制御データ592aは、割付枠名称が「名前」で、フィールド項目「NAME」が対応付けられている。レイヤー特定情報が「レイヤーB」の割付枠制御データ592bは、割付枠名称が「出身地」と「画像」で、それぞれ第3フィールド項目データ398d「PLACE」と第4フィールド項目398e「GAZO」が対応付けられている。「レイヤーC」の割付枠も同様にフィールド項目が対応付けられている。
【0066】
さて、印刷データ398のフィールド項目398a「FLAG」が「1」であるので、選択条件594の(a)と(c)に従って、レイヤー特定情報「レイヤーA」の割付枠592aとレイヤー特定情報「レイヤーB」の割付枠592cを選択する(図11(1))。
【0067】
次に、選択されたレイヤー特定情報「レイヤーA」の割付枠592aの「名前」に、対応する第4フィールド項目データ398d「山田▽美」を設定して、選択されたレイヤー特定情報「レイヤーB」の割付枠592cの「出身地」と「画像」に、それぞれ第2フィールド項目データ398b「北海道」と第4フィールド項目データ398e「san.jpg」を設定する(同(2))。
【0068】
フィールド項目データが設定されたレイヤーAとレイヤーBの割付枠を合成してバリアブル印刷物798を印刷する(同(3))。
【0069】
(実施例2)
図12は、選択条件でフィールド項目を選択してバリアブル印刷する手順を説明する図である。図12には、選択条件に従って選択したフィールド項目データ398を割付枠に設定してバリアブル印刷する手順が例示されている。
2つの印刷データ398xと印刷データ398yによるバリアブル印刷の処理手順を示す。
【0070】
印刷データ398xのフィールド項目データは、それぞれ、第1フィールド項目398aが、「FLAG」=「0」で、第2フィールド項目398bが、「PLACE」=「東京都」で、第3フィールド項目398cが、「NICKNAME」=「マルちゃん」で、第4フィールド項目398dが、「NAME」=「鈴木○郎」で、第5フィールド項目398eが、「GAZO」=「maru.jpg」である。
【0071】
次に、印刷データ398yのフィールド項目データは、第1フィールド項目398a「FLAG」=「0」と、第2フィールド項目398b「PLACE」=「神奈川県」と、第3フィールド項目398c「NICKNAME」=「ぺけ」、第4フィールド項目398d「NAME」=「高橋×夫」と、第5フィールド項目398e「GAZO」=「null」である。
【0072】
選択条件制御データ594は、「(a)印刷データの第1フィールド項目398a「FLAG」が「0」または 「1」または 「2」ならば、レイヤーAの割付枠を選択する。(d)印刷データの第1フィールド項目「PLACE」のデータが「東京都」の場合には、割付枠「名前」には第3フィールド項目「NICKNAME」のデータを設定して、第2フィールド項目398b「PLACE」のデータが「東京都」でない場合には、割付枠「名前」には第4フィールド項目398d「NAME」のデータを設定する。」である。
【0073】
制御データ598は、レイヤー特定情報「レイヤーA」を有する割付枠制御データ592aから構成されている。レイヤー特定情報「レイヤーA」の割付枠制御データ592aは、割付枠名称が「名前」で、第4フィールド項目398d「NAME」が対応付けられている。
【0074】
さて、印刷データ398xの第1フィールド項目398a「FLAG」が「0」であるので、選択条件594の(a)に従ってレイヤー特定情報「レイヤーA」の割付枠制御データ592a「名前」を選択する(図12(1))。
【0075】
印刷データ398xの第2フィールド項目398b「PLACE」が「東京都」であるので、選択条件594の(d)に従って、第3フィールド項目398c「NICKNAME」の「マルちゃん」を、選択された割付枠制御データ592a「名前」に設定して、バリアブル印刷物798を印刷する(同(2))。
【0076】
次に、印刷データ398yの第1フィールド項目398a「FLAG」が「0」であるので、選択条件594の(a)に従ってレイヤーAを選択する(同(3))。
印刷データ398yの第2フィールド項目398b「PLACE」のデータが“東京都”でないので、選択条件594の(d)に従って、第4フィールド項目398d「NAME」の「高橋×夫」を割付枠制御データ592a「名前」に設定して、バリアブル印刷物798を印刷する(同(4))。
【0077】
(実施例3)
図13は、選択条件でフィールド項目データが存在しないときのバリアブル印刷の手順を説明する図である。図13には、選択条件に従って存在しないフィールド項目データの代わりに素材データ791を割付枠に設定してバリアブル印刷する手順が例示されている。
【0078】
印刷データ398のフィールド項目データは、第1フィールド項目398a「FLAG」=「0」と、第2フィールド項目398b「PLACE」=「神奈川県」と、第3フィールド項目398c「NICKNAME」=「ぺけ」、第4フィールド項目398d「NAME」=「高橋×夫」と、第5フィールド項目398e「GAZO」=「null」である。
【0079】
選択条件制御データ594は、「(a)印刷データの第1フィールド項目398a「FLAG」が「1」ならば、制御データのレイヤーBの割付枠を選択する。(b)印刷データの第1フィールド項目398a「FLAG」が「2」ならば、制御データのレイヤーCの割付枠を選択する。(c)印刷データのフィールド項目398a「FLAG」が「0」ならば、制御データのレイヤーAの割付枠を選択する。(e)印刷データのフィールド項目398e「GAZO」にデータがなければ、選択されたレイヤーの割付枠の[画像」に、所定の素材データ791(=画像データ)を設定する。」である。
【0080】
制御データ598は、図10の制御データ598と同じである。
【0081】
印刷データ398の第1フィールド項目398a「FLAG」が「0」であるので、選択条件594の(c)に従ってレイヤー特定情報「レイヤーA」の割付枠592aを選択する(図13(1))。
【0082】
印刷データ398の第5レイヤー項目398e「 GAZO 」に画像データが存在しないので、選択条件594の(e)に従い、レイヤー特定情報「レイヤーA」の割付枠1592a「画像」に素材データ791を設定する(同(2))。
【0083】
なお、素材データ791は、印刷データ・サーバ装置300から、印刷データ398と一緒に受信すればよい。
【0084】
(実施例4)
図14は、多様な選択条件で割り付けるデータを選択してバリアブル印刷する処理の手順を説明する図である。図14には、実施例1から実施例3で説明した選択条件の組み合わせによりバリアブル印刷する手順が例示されている。
【0085】
印刷データ398のフィールド項目データは、第1フィールド項目398a「FLAG」=「2」と、第2フィールド項目398b「PLACE」=「沖縄県」と、第3フィールド項目398c「NICKNAME」=「うえ」、第4フィールド項目398d「NAME」=「上野☆子」と、第5フィールド項目398e「GAZO」=「null」である。
【0086】
選択条件制御データ594は、「(a)印刷データの第1フィールド項目398a「FLAG」が「1」ならば、レイヤーBを選択する。(b)印刷データの第1フィールド項目398a「FLAG」が「2」ならば、レイヤーCを選択する。(c)印刷データの第1フィールド項目398a「FLAG」が「0」または 「1」または 「2」ならば、レイヤーAを選択する。(d)印刷データの第2フィールド項目398b「PLACE」が“東京都”の場合には、レイヤーAの「名前」には第3フィールド項目398c「NICKNAME」のデータを設定して、第2フィールド項目「PLACE」が“東京都”でない場合には、レイヤーAの「名前」には第4フィールド項目398d「NAME」のデータを設定する。(e)印刷データの第5フィールド項目398e「GAZO」にデータが存在しなければ、選択されたレイヤーの割付枠の「画像」に、素材データを設定する。」である。
【0087】
制御データ598は、レイヤー特定情報「レイヤーA」を有する割付枠制御データ592aと、レイヤー特定情報「レイヤーB」を有する割付枠592b制御データと、レイヤー特定情報「レイヤーC」を有する割付枠制御データ592cから構成されている。レイヤー特定情報「レイヤーA」の割付枠制御データ592aは、割付枠名称が「名前」で、第4フィールド項目398d「NAME」が対応付けられている。レイヤー特定情報が「レイヤーC」の割付枠制御データ592cは、割付枠名称が「出身地」と「画像」で、それぞれ第2フィールド項目398b「PLACE」と第5フィールド項目398e「GAZO」が対応付けられている。「レイヤーB」の割付枠も同様にフィールド項目が対応付けられている。
【0088】
さて、第1フィールド項目398a「FLAG」が「2」であるので、選択条件594の(b)に従って、レイヤー特定情報「レイヤーC」の割付枠592cを選択して、この選択された割付枠592cに対応するフィールド項目データを設定する。このとき、「出身地」には、対応する第2フィールド項目データ398b「沖縄県」を設定する。また、印刷データ398の第5レイヤー項目398e「 GAZO 」には画像データが存在しないので、選択条件の(e)に従い、選択された割付枠592cの「画像」には素材データ791を設定する(図14(1))。
【0089】
次に、第1フィールド項目398a「FLAG」が「2」であるので、選択条件の(c)に従って、レイヤー特定情報「レイヤーA」の割付枠592aを選択して、この選択された割付枠592aに対応するフィールド項目データを設定する。第2フィールド項目398b「PLACE」のデータが“東京都”ではないので、選択条件の(d)に従って、選択された割付枠592aの「名前」には、対応する第4フィールド項目592d「NAME」のデータ「上野☆子」を設定する(同(2))。
【0090】
フィールド項目データが設定されたレイヤーAとレイヤーCの割付枠を合成してバリアブル印刷物798を印刷する(同(3))。
【0091】
図15は、バリアブル印刷の処理フローである。
(1)文書編集装置100の文書送信手段155は、文書データ198を文書データ変換装置500に送信する。(ステップS1)
(2)文書データ変換装置500の文書受信手段520は、文書編集装置100から文書データ198を受信する。(ステップS2)
(3)文書データ変換装置500の制御コード変換手段530は、指定された印刷装置の制御コード対応表597を用いて、文書データ198の編集タグを制御コードに変換して(ステップS3)制御データ598を作成する。(ステップS4)
(4)文書データ変換装置500の制御データ送信手段540は、制御データ598をバリアブル印刷装置700に送信する。(ステップS5)
(5)バリアブル印刷装置700は、送信された制御データ598を受信する。(ステップS6)
(6)印刷データ・サーバ装置300は、文字データや画像データを含む印刷データ398をバリアブル印刷装置700に送信する。(ステップS7)
(7)バリアブル印刷装置700は、送信された印刷データ398を受信する。(ステップS8)
(8)バリアブル印刷装置700は、前記受信された制御データ598と印刷データ398とを用いて、バリアブル印刷して、バリアブル印刷物799を作成する。(ステップS9)
【0092】
(変形例)
次に、変形例を説明する。
【0093】
選択条件の変形例を説明する。
印刷データのフィールド項目に文字データが存在しない場合に、フィールド項目に対応する文字割付枠に、所定の素材データ791(この場合には、文字データ)を設定するように、選択条件を設けてもよい。
【0094】
以上詳しく説明したように、本願発明によれば、バリアブル印刷における印刷体裁の確認を、簡便に確実に行うことが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明によるバリアブル印刷システムの全体構成図
【図2】印刷データ・サーバ装置300の詳細な構成図
【図3】印刷データ398の形式と例
【図4】本発明による文書編集装置100の詳細な構成図
【図5】XML形式の文書データ198の形式を説明する図
【図6】XML形式の文書データ198の例
【図7】本発明による文書データ変換装置500の詳細な構成図
【図8】制御データ598の形式
【図9】制御データ598の例
【図10】選択条件でレイヤーを選択してバリアブル印刷する手順
【図11】(実施例1)選択条件で複数のレイヤーを選択してバリアブル印刷する手順
【図12】(実施例2)選択条件でフィールド項目を選択してバリアブル印刷する手順
【図13】(実施例3)選択条件でフィールド項目データが不在のときのバリアブル印刷の手順
【図14】(実施例4)多様な選択条件で割り付けるデータを選択してバリアブル印刷する処理の手順
【図15】バリアブル印刷処理フロー
【符号の説明】
【0096】
1 本発明によるバリアブル印刷システム
100 文書編集装置
110 割付枠設定手段
120 フィールド項目対応手段
130 レイヤー設定手段
140 選択条件設定手段
150 文書作成手段
155 文書送信手段
180 表示部
190 記憶部
192 割付枠データ
194 選択条件データ
198 文書データ
300 印刷データ・サーバ装置
330 印刷データ送信手段
390 記憶部
398 印刷データ
398a/b/c/d/e フィールド項目データ
500 文書データ変換装置
510 印刷装置指定手段
520 文書受信手段
530 制御コード変換手段
540 制御データ送信手段
590 記憶部
592 割付枠制御データ
594 選択条件制御データ
597 制御コード対応表
598 制御データ
700 バリアブル印刷装置
791 素材データ
798 バリアブル印刷物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールド項目データを含む印刷データと、
レイヤー特定情報とフィールド項目情報を含む割付枠データと、
印刷装置特定情報を有する制御コード対応表と、
フィールド項目情報とレイヤー特定情報を含む選択条件データと、
を用いるバリアブル印刷方法であって、
割付枠データと選択条件データとを含む文書データを作成して送信する文書データ作成工程と、
送信された文書データを受信して、使用するバリアブル印刷装置の制御コード対応表を参照して、レイヤー特定情報とフィールド項目情報を持つ割付枠制御データとフィールド項目情報とレイヤー特定情報を含む選択条件制御データを含む制御データに変換する制御データ変換工程と、
印刷データのフィールド項目データを用いて、前記変換された制御データに含まれる選択条件制御データを参照して、対応した選択条件制御データのレイヤー特定情報を選択して、前記変換された制御データの中から、前記選択されたレイヤー特定情報を持つ割付枠制御データを抽出する割付枠抽出工程と、
前記抽出された割付枠制御データのフィールド項目情報を用いて、前記印刷データのフィールド項目データを選択して、これを前記抽出された割付枠制御データに設定してバリアブル印刷物を印刷する印刷工程と、
を含んだ手順でなされることを特徴とするバリアブル印刷方法。
【請求項2】
前記印刷工程は、印刷データのフィールド項目データを用いて、前記制御データに含まれる選択条件制御データを参照して、対応した選択条件が指定するフィールド項目データを印刷データから選択して、これを前記抽出された割付枠制御データに設定してバリアブル印刷物を印刷する、
ことを特徴とする請求項1に記載のバリアブル印刷方法。
【請求項3】
前記選択条件データは、データフィールド項目データと素材データをさらに含み、
前記印刷工程は、
印刷データのフィールド項目データを用いて、前記制御データに含まれる選択条件制御データを参照して、成立した選択条件の素材データを前記抽出された割付枠制御データに設定してバリアブル印刷物を印刷する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバリアブル印刷方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−165374(P2008−165374A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352364(P2006−352364)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】