説明

バリスタ及び発光装置

【課題】電気的接続を確実に行うことが可能なバリスタを提供すること。
【解決手段】バリスタ1は、電圧非直線特性を発現すると共に、対向する第1及び第2の主面10a,10bを有するバリスタ素体10と、バリスタ素体10の一部を挟み込むようにバリスタ素体10内に配置され、第1及び第2の主面10a,10bの対向方向に対向する第1及び第2の内部電極30,35と、第1の主面10aに配置される第1の外部電極20と、第2の主面10bに配置される第2の外部電極25と、第1の内部電極30と第1の外部電極20とを電気的に接続する第1の導体部40と、第2の内部電極35と第2の外部電極25とを電気的に接続する第2の導体部45とを備えている。第1の外部電極20は、第1及び第2の主面10a,10bの対向方向に凹む凹部50を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリスタ及び当該バリスタを備えた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バリスタとして、電圧非直線特性を発現するバリスタ素体と、当該バリスタ素体の一部を間に挟んでバリスタ素体の内部に配置される一対の内部電極と、バリスタ素体の外表面に配置される外部電極とを備えたものが知られている(例えば特許文献1を参照)。このようなバリスタの1つの用途として、従来ツェナーダイオードによって行われていたLEDなどの電子素子のESD(Electrostatic Discharge : 静電気放電)対策(例えば特許文献2を参照)に、これらバリスタを用いることが提案されるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−245367号公報
【特許文献2】特開2001−036140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ESDサージからLEDチップを保護するため、特許文献1に記載のバリスタをLEDチップと同一の基板上にそのまま実装しようとすると、バリスタの長手方向を基板の面方向に沿って配置することになるため、LEDチップを含む発光装置の小型化が難しくなるといった問題があった。一方、バリスタの実装面積を低減するため、このバリスタを基板の面方向に対して仮に垂直に配置しようとすると、LEDチップの発光を妨げてしまう虞があった。
【0005】
そこで、実装面積を小さくできて且つ低背化されたバリスタの登場が望まれているが、バリスタが小さく且つ薄くなるにつれて、バリスタを実装する際のワイヤボンディング等によるバリスタの端子接続が一層難しくなるといった新たな問題が発生してきた。
【0006】
本発明は、電気的接続を確実に行うことができるバリスタ及び当該バリスタを備えた発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバリスタは、電圧非直線特性を発現すると共に、対向する第1及び第2の主面を有するバリスタ素体と、バリスタ素体の一部を挟み込むように当該バリスタ素体内に配置され、第1及び第2の主面の対向方向に対向する第1及び第2の内部電極と、第1の主面に配置される第1の外部電極と、第2の主面に配置される第2の外部電極と、第1の内部電極と第1の外部電極とを電気的に接続する第1の導体部と、第2の内部電極と第2の外部電極とを電気的に接続する第2の導体部とを備えている。このバリスタでは、第1の外部電極は、第1及び第2の主面の対向方向に凹む第1の凹部を有している。
【0008】
本発明に係るバリスタでは、このように、ワイヤボンディング等によって端子接続される第1の主面側に第1の凹部を有している。この場合、ワイヤボンド接続に用いられる金属やはんだ接続に用いられるはんだが溶融された際に、この凹部に溶融物が溜まりやすくなるため、ワイヤボンディング等による端子接続の位置合わせが容易となり、バリスタの電気的接続を確実なものとすることができる。また、ワイヤボンディング等に用いられる金属やはんだがその凹部内に溶融した状態で入り込むため、アンカー効果によってこれらが強固に接続され、バリスタの電気的な接続をより確実なものとすることもできる。
【0009】
上記のバリスタにおいて、第1の導体部と第1の凹部とは、第1及び第2の主面の対向方向から見たときに、少なくとも一部が重なるように配置されていることが好ましい。この場合、ワイヤボンディング等によって端子接続を行う際に、バリスタ素体よりも柔軟性の高い第1の導体部で、その接続作業時に加わる機械的負荷を吸収することができるため、バリスタ素体等にクラックが発生してしまうことを防止することができる。
【0010】
上記のバリスタにおいて、第1及び第2の導体部は、第1の主面から第2の主面に向かう方向に径が狭くなるテーパ形状のスルーホール電極を有するようにしてもよい。この場合、導体部の中心がくぼみ易くなり、第1の主面側に第1の凹部を容易に設けることができる。
【0011】
上記のバリスタにおいて、第1及び第2の導体部は、第1及び第2の主面それぞれから第1及び第2の内部電極に向かう方向に径が狭くなるテーパ形状のスルーホール電極を有するようにしてもよい。この場合、バリスタの方向性がなくなるため、使いやすくなる。
【0012】
上記のバリスタにおいて、第1及び第2の導体部の少なくとも一方は、第1及び第2の主面の対向方向に交差する面方向に広がり、且つ、スルーホール電極を連結する中継電極を有するようにしてもよい。この場合、スルーホール電極の連結を確実にすることができる。また、中継電極が面方向に広がることにより放熱効果を高めることもでき、例えば、ESDが投入されてバリスタ内で熱が発生した際の放熱効果を高め、発熱によるバリスタ特性の劣化を抑えることもできる。
【0013】
上記のバリスタにおいて、第2の外部電極は、第1及び第2の主面の対向方向に凹む第2の凹部を有していてもよい。この場合、何れの主面に端子接続を行っても、バリスタの電気的接続を確実に行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る発光装置は、上述した何れかのバリスタと、バリスタに並列接続される発光素子とを備えている。この場合、確実に電気的接続が為されたバリスタを有する発光装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気的接続を確実に行うことが可能なバリスタ及び当該バリスタを備えた発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るバリスタの斜視図である。
【図2】図1に示したバリスタのII-II線断面図である。
【図3】図1に示したバリスタ(外部電極除く)の分解斜視図である。
【図4】図1に示したバリスタの平面図である。
【図5】図1に示したバリスタの外部電極と内部電極と導体部との関係を示す図である。
【図6】図1に示したバリスタを備えた発光装置の側面図である。
【図7】本発明に係るバリスタの変形例の一態様である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態に係るバリスタ1の構成について説明する。バリスタ1は、バリスタ素体10と、第1の外部電極20と、第2の外部電極25と、第1の内部電極30と、第2の内部電極35と、第1の導体部40と、第2の導体部45とを備えている。このような構成を備えたバリスタ1は、全体として略直方体形状を呈しており、本実施形態では、例えば、X軸及びY軸方向の長さが約250μm、Z軸方向の厚みが約150μmといった小型低背化されたバリスタとなっている。
【0019】
バリスタ素体10は、直方体形状であり、第1及び第2の主面10a,10bと、第1及び第2の側面10c,10dと、第3及び第4の側面10e,10fとを有している。第1及び第2の主面10a,10bは、X軸方向及びY軸方向に伸びる辺の長さが共に同じ正方形形状を呈しており、互いに対向している。第1及び第2の側面10c,10dは、第1及び第2の主面10a,10b間を連結するようにX軸方向に伸び且つ互いに対向している。第3及び第4の側面10e,10fは、第1及び第2の主面10a,10b間を連結するようにY軸方向に伸び且つ互いに対向している。
【0020】
バリスタ素体10は、半導体セラミックからなり、電圧非直線特性(バリスタ特性)を発現する焼結体である。バリスタ素体10は、複数のバリスタ層11〜17(図3参照)が積層された積層体として構成されている。実際のバリスタ1では、複数のバリスタ層11〜17は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。バリスタ層11〜17は、主成分として、ZnO(酸化亜鉛)を含み、副成分として、希土類金属元素,Co,IIIb族元素(B,Al,Ga,In),Si,Cr,Mo,アルカリ金属元素(K,Rb,Cs)及びアルカリ土類金属元素(Mg,Ca,Sr,Ba)等の金属単体やこれらの酸化物を含んでいる。バリスタ層11〜17の厚みは、例えば、5〜60μmである。
【0021】
第1の外部電極20は、バリスタ素体10の第1の主面10aの略全面を覆うように第1の主面10aに配置されている。第1の外部電極20は、第1及び第2の主面10a,10bが対向するZ軸方向から見て略正方形形状を呈し、所定の厚みを有している。第1の外部電極20は、多層化されており、バリスタ素体10に接する内側の層には、例えばCu,Ni,Ag−Pdなどが用いられ、外側の層には、例えばNiめっきやAuめっきが施されている。
【0022】
第2の外部電極25は、バリスタ素体10の第2の主面10bの略全面を覆うように第2の主面10bに配置されている。第2の外部電極25は、Z軸方向から見て略正方形形状を呈し、所定の厚みを有している。第2の外部電極25は、バリスタ素体10を間に挟んでZ軸方向に第1の外部電極20と対向するように配置されている。第2の外部電極25は、第1の外部電極20と同様の材料から形成される。第1及び第2の外部電極20,25は、第1及び第2の導体部40,45それぞれに電気的且つ機械的に接続される。
【0023】
第1及び第2の内部電極30,35は、図2及び図3に示されるように、一対の内部電極であり、バリスタ素体10を構成するバリスタ層14を間に挟み込むようにZ軸方向に対向した状態で、バリスタ素体10内に配置されている。第1及び第2の内部電極30,35は、図5に示されるように、一辺の長さがL2である正方形形状を呈しており、第1及び第2の外部電極20,25の平面(一辺の長さがL1)よりもやや小さい面積を有している。
【0024】
すなわち、第1及び第2の内部電極30,35は、外部電極20,25の面積(L1×L1)をAとした場合に、面積Aの20%〜92%の間の面積Bとなるような大きさであることが好ましく、面積Aの50%〜92%の間の面積Bとなるような大きさであることがより好ましい。このように内部電極30,35の面積が広いことにより、静電容量を大きくすることができ、また、クランプ電圧を抑えることが可能となる。また、第1の内部電極30,35は、上述したように、バリスタ層14のみを間に挟む構成となっているため、この構成によっても、静電容量を大きくすることやクランプ電圧を抑えることが可能となる。なお、第1及び第2の内部電極30,35は、Ag,Ag−Pd、Auなどを主成分として形成される。
【0025】
第1の導体部40は、バリスタ素体10内において、第1の外部電極20と第1の内部電極30とを電気的に接続する電極部である。第1の導体部40は、Z方向に伸びるスルーホール電極42と、スルーホール電極42同士を連結する中継電極41とを有している。
【0026】
スルーホール電極42は、バリスタ層11〜13の略中央に設けられたテーパ形状のスルーホール内に充填された電極であり、第1の主面10aから第2の主面10bに向かう方向にその直径が徐々に狭くなる円錐台形状(テーパ形状)を呈している。中継電極41は、Z軸方向に交差するXY面方向に広がる円形形状を呈しており、所定の厚みを有している。スルーホール電極42と中継電極41とは、Z軸方向に沿って交互に配置され、互いに電気的且つ機械的に接続されている。第1の主面10a側の中継電極41は、第1の外部電極20に接続され、第2の主面10b側のスルーホール電極42は、第1の内部電極30に接続される。
【0027】
また、スルーホール電極42と中継電極41とは、Z軸方向から見た場合に、各中心が概ね重なるように配置されている。なお、中継電極41の直径D1(図5参照)は、例えば約50μmであり、スルーホール電極42の直径よりも大きく形成されているため、仮に各スルーホール電極42がXY軸方向に互いにずれてしまった場合であっても、スルーホール電極42の連結に支障がないようになっている。このため、中継電極41により、第1の外部電極20と第1の内部電極30との電気的接続が確実になっている。
【0028】
第2の導体部45は、バリスタ素体10内において、第2の外部電極25と第2の内部電極35とを電気的に接続する電極部である。第2の導体部45は、Z方向に伸びるスルーホール電極47と、スルーホール電極47同士を連結する中継電極46とを有している。
【0029】
スルーホール電極47は、バリスタ層15〜17の略中央に設けられたテーパ形状のスルーホール内に充填された電極であり、スルーホール電極42と同様に、第1の主面10aから第2の主面10bに向かう方向にその直径が徐々に狭くなる円錐台形状を呈している。中継電極46は、中継電極41と同様に、Z軸方向に交差するXY面方向に広がる円形形状を呈しており、所定の厚みを有している。スルーホール電極47と中継電極46とは、Z軸方向に沿って交互に配置され、互いに電気的且つ機械的に接続されている。第2の主面10b側の中継電極46は、第2の外部電極25に接続され、第1の主面10a側のスルーホール電極47は、第2の内部電極35に接続される。
【0030】
また、スルーホール電極47と中継電極46とは、第1の導体部40と同様に、Z軸方向から見た場合に、各中心が概ね重なるように配置されている。また、中継電極46の直径がスルーホール電極47の直径よりも大きく形成されているため、仮に各スルーホール電極47がXY軸方向に互いにずれてしまった場合であっても、スルーホール電極47の連結に支障がないようになっている。なお、スルーホール電極42,47や中継電極41,46は、内部電極30等と略同様の材料から形成されている。
【0031】
本実施形態では、第1及び第2の導体部40,45は、3つのスルーホール電極41,46と、3つの中継電極42,47とから構成されているが、バリスタ1の厚みに応じて、その数を増減させてもよく、これらに限定される訳ではない。
【0032】
このような構成を備えたバリスタ1は、図1及び図4に示されるように、第1の外部電極20に、Z軸方向に凹む凹部50を更に有している。凹部50は、逆円錐台形状を呈しており、凹部50の底面の大きさがスルーホール電極42の円形形状に対応しており、凹部50の開口側の表面の大きさが中継電極41の円形形状に対応している。凹部50は、第1の外部電極20の略中央に形成されており、Z軸方向から見た場合に、第1及び第2の導体部40,45と略全体が重なるようになっている。
【0033】
続いて、上述したバリスタ1の製造方法について説明する。
【0034】
まず、バリスタ素体10の各バリスタ層11〜17を構成する主成分であるZnOと、Pr,Co,Cr,Ca,Si、K及びAlの金属又は酸化物等の微量添加物とを所定の割合となるように各々秤量した後、各成分を混合してバリスタ材料を調整する。その後、このバリスタ材料に有機バインダ、有機溶剤、有機可塑剤等を加えて、ボールミル等を用いて20時間程度、混合・粉砕を行ってスラリーを得る。
【0035】
次に、このスラリーを、ドクターブレード法等の公知の方法により、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)からなるフィルム上に塗布して乾燥し、所定の厚みの膜を形成する。次に、この膜の所定の位置に、COレーザ等を用いて、スルーホール電極42,47を充填するためのスルーホールを形成する。COレーザ等を用いてスルーホールを形成する際に、本実施形態では、形成されるスルーホールが、レーザの照射側となる手前の開口が広く奥に向かって徐々に狭くなるテーパ形状となるように加工を行う。こうして得られたスルーホール付きの膜をPETフィルムから剥離し、バリスタ層11〜17に対応するグリーンシートを得る。
【0036】
次に、バリスタ層11〜17に対応するグリーンシートに、図3に示される構成となるように、スルーホール電極42,47や中継電極41,46や内部電極30,35に対応する電極パターンをそれぞれ形成する。これらの電極パターンは、Ag粒子を主成分とする金属粉末に有機バインダ及び有機溶剤を混合した導電性ペーストを、バリスタ層11〜17に対応するグリーンシート上に印刷し、乾燥させることにより形成する。中継電極41,46に対応する電極パターンを印刷する際に、スルーホール電極42,47に対応する電極パターンも一緒に形成される。
【0037】
次に、中継電極41及びスルーホール電極42に対応する電極パターンが形成されたバリスタ層11〜13用のグリーンシートと、内部電極30,35に対応する電極パターンが形成されたバリスタ層14〜15用のグリーンシートと、中継電極46及びスルーホール電極47に対応する電極パターンが形成されたバリスタ層16〜17用のグリーンシートとを、図3に示される順序で重ねて、シート積層体を形成する。そして、得られたシート積層体をチップ単位に切断し、分割された複数のグリーン体を得る。
【0038】
次に、分割されたグリーン体に、180〜400℃の温度で0.5〜24時間程度の加熱処理を実施して脱バインダを行う。その後、更に、850〜1400℃の温度で0.5〜8時間程度の焼成を行う。これにより、バリスタ素体10,第1及び第2の内部電極30,35,第1及び第2の導体部40,45からなる焼結積層体が得られることとなる。なお、上述した加熱処理や焼成の際に、テーパ形状のスルーホールに充填されたスルーホール電極42,47用の導電性ペースト等が熱収縮してテーパの下方に少し引っ張られる状態となり、焼結積層体上に凹部50に対応する凹み部分が形成される。
【0039】
次に、このバリスタ素体10の第1及び第2の主面10a,10bに、各主面10a,10bそれぞれの略全体を覆うようにCu等の導電性ペーストを塗布する。その後、塗布した導電性ペーストを焼付け、更に、NiめっきやAuめっきを施すことにより、第1及び第2の外部電極20,25が形成される。焼結積層体上に凹み部分が既に形成されているため、上述した導電性ペーストの塗布を行うことで、凹部50も形成される。以上により、凹部50を有するバリスタ1が完成する。
【0040】
以上のように、本実施形態に係るバリスタ1では、ワイヤボンディング等によって端子接続される第1の主面10a側に凹部50を有している。このため、ワイヤボンド接続に用いられる金属やはんだ接続に用いられるはんだが溶融された際に、この凹部50に溶融物が溜まりやすくなり、ワイヤボンディング等による端子接続の位置合わせが容易となり、バリスタ1の電気的接続を確実なものとすることができる。
【0041】
また、ワイヤボンディング等に用いられる金属やはんだがその凹部50内に溶融した状態で入り込むため、アンカー効果によってこれらが強固に接続され、バリスタ1の電気的な接続をより確実なものとすることもできる。
【0042】
また、バリスタ1において、第1の導体部40と凹部50とは、Z軸方向から見たときに、略全体が重なるように配置されている。このため、ワイヤボンディング等によって端子接続を行う際に、バリスタ素体10よりも柔軟性の高い第1の導体部40で、その接続作業時に加わる機械的負荷を吸収することができ、これにより、バリスタ素体10等にクラックが発生してしまうことを防止することができる。
【0043】
また、バリスタ1において、第1及び第2の導体部40,45は、第1の主面10aから第2の主面10bに向かう方向に径が狭くなるテーパ形状のスルーホール電極42,47を有している。このため、導体部40,45の中心がくぼみ易くなり、これを利用して、第1の主面10a側に凹部50を容易に設けることができる。
【0044】
また、バリスタ1において、第1及び第2の導体部40,45は、Z軸方向に交差するXY面方向に広がり、スルーホール電極42,47を連結する中継電極41,46を有している。このため、スルーホール電極42,47の連結を確実にすることができる。また、中継電極41,46が面方向に広がることにより、バリスタ1の放熱効果を高めることもでき、例えば、ESDが投入されてバリスタ1内で熱が発生した際の放熱効果を高め、発熱によるバリスタ特性の劣化を抑えることもできる。
【0045】
ここで、上述したバリスタ1を備えた発光装置60について簡単に説明する。図6に示されるように、この発光装置60は、LEDチップ61(発光素子)と、上述したバリスタ1とを備え、LEDチップ61とバリスタ1とをアルミナ基板62に実装した構成となっている。この発光装置60では、LEDチップ61とバリスタ1とが電気的に並列に接続されているため、ESDサージからLEDチップを保護することができると共に、バリスタ1の小型低背化が図られているため、LEDチップの発光を妨げてしまうこともない。しかも、上述したように、バリスタ1をワイヤW等によって接続しようとした場合、バリスタ1の凹部50を利用してワイヤWの先端部の位置決めを容易に行えるため、バリスタ1の電気的接続を確実にすることもできる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、第1及び第2の導体部40,45を構成するスルーホール電極42,47のテーパ方向が同じであったが、図7に示されるように、第2の導体部45aのスルーホール電極47aのテーパ方向を逆にして、第1及び第2の導体部40,45aが、第1及び第2の主面10a,10bそれぞれから第1及び第2の内部電極30,35に向かう方向に径が狭くなるテーパ形状のスルーホール電極42,45aを有するようにしてもよい。
【0047】
そして、スルーホール電極42,45aをこのような配置にすると、バリスタ1aの第2の外部電極25がZ軸方向に凹む凹部52を有する構成とすることが簡単にできる。このように第1及び第2の外部電極20,25の何れにも凹部50,52を設けることにより、何れの外部電極20,25に端子接続を行ったとしても、バリスタ1aの電気的接続を確実に行うことができるため、バリスタ1aの取り扱いが容易となる。
【符号の説明】
【0048】
1,1a…バリスタ、10…バリスタ素体、20,25…外部電極、30,35…内部電極、40,45,45a…導体部、41,46…中継電極、42,47,47a…スルーホール電極、50,52…凹部、60…発光装置、61…LEDチップ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧非直線特性を発現すると共に、対向する第1及び第2の主面を有するバリスタ素体と、
前記バリスタ素体の一部を挟み込むように当該バリスタ素体内に配置され、前記第1及び第2の主面の対向方向に対向する第1及び第2の内部電極と、
前記第1の主面に配置される第1の外部電極と、
前記第2の主面に配置される第2の外部電極と、
前記第1の内部電極と前記第1の外部電極とを電気的に接続する第1の導体部と、
前記第2の内部電極と前記第2の外部電極とを電気的に接続する第2の導体部と、を備え、
前記第1の外部電極は、前記第1及び第2の主面の対向方向に凹む第1の凹部を有していることを特徴とするバリスタ。
【請求項2】
前記第1の導体部と前記第1の凹部とは、前記第1及び第2の主面の対向方向から見たときに、少なくとも一部が重なるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のバリスタ。
【請求項3】
前記第1及び第2の導体部は、前記第1の主面から前記第2の主面に向かう方向に径が狭くなるテーパ形状のスルーホール電極を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリスタ。
【請求項4】
前記第1及び第2の導体部は、前記第1及び第2の主面それぞれから前記第1及び第2の内部電極に向かう方向に径が狭くなるテーパ形状のスルーホール電極を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリスタ。
【請求項5】
前記第1及び第2の導体部の少なくとも一方は、前記第1及び第2の主面の対向方向に交差する面方向に広がり、且つ、前記スルーホール電極を連結する中継電極を有していることを特徴とする請求項3又は4に記載のバリスタ。
【請求項6】
前記第2の外部電極は、前記第1及び第2の主面の対向方向に凹む第2の凹部を有していることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のバリスタ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のバリスタと、前記バリスタに並列接続される発光素子とを備えた発光装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−38223(P2013−38223A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173082(P2011−173082)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】