説明

バルク超高純度ヘリウムの供給及び使用のための方法及びシステム

本発明は、高い信頼性で超高純度(UHP)ヘリウム気体を供給するため、及び専用の現場在庫を維持するための方法及び装置に関する。具体的には、複数のISOコンテナを採用し、1つ又は複数のスタンバイISOコンテナ内の気化されたUHPヘリウムが、オンラインISOコンテナ内の圧力を蓄積するために使用される。ISOコンテナの熱遮蔽を使用して、バックアップISOコンテナ内への熱の漏れを減少させることができ、それによりヘリウム気化速度、及び容器の最大許容作業圧力(MAWP)を維持するために引き抜く必要がある気体の量を減少させる。ISOコンテナ内の液体を維持しながら、エコノマイザ弁を使用してUHPヘリウム気体を引き出すことによって、さらに低い供給速度が可能である。これにより、低流量要件からより高い流量要件まで供給速度を効率的に管理でき、また貯蔵容器からのUHPヘリウム引出し速度を最適化できる。さらなる利点は、顧客に送られるUHPヘリウム気体が液体源から直接届くので、より高純度であることである。UHPヘリウム気体は、半導体製造で、例えばウェハ上への薄膜堆積中に堆積チャンバ内に前駆体を導入するためのキャリア・ガスとして使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高純度(UHP)ヘリウム気体を使用現場、例えば半導体製造設備に配送するための方法及びシステムに関する。この方法及びシステムは、広範囲の流量で超高純度ヘリウム気体を供給し、顧客の現場でさらに多くの超高純度ヘリウム気体在庫を維持し、超高純度ヘリウム気体を利用地点に直接供給するのに特に有益である。
【背景技術】
【0002】
現場での生成能力を有さない顧客が、酸素、窒素、アルゴン、又は水素などの気体を大量に要求するとき、一般に、気体は生成現場から使用地点近くの貯蔵タンクに液状で配送される。しかし、安全面での理由から、液化ガスは、大気圧よりも大幅に高い圧力では公道を使って輸送することはできない。ほとんどの気体に関して使用地点で必要とされるより高い圧力は、液化ガスの圧力を高めるために液体ガス・ポンプを使用して液化ガスを輸送車両から貯蔵タンクに移送することによって実現される。液化ガスは、この高圧で貯蔵タンク内に貯蔵され、使用地点からの要求に応じて高圧で気化されて、使用地点に配送される。
【0003】
ヘリウムは、そのような方法に適していない。ヘリウムは気化熱が非常に小さく、したがって、液体ポンプの作用によって液体に加えられる熱により、大量の液体が気化され、それにより失われる。差圧による輸送容器から貯蔵タンクへの移送中でさえ、ヘリウムの過剰な気化及び損失が生じる。これは、低温ヘリウム気体の密度が液体ヘリウムの密度とそれほど異ならず、したがってタンク内部の大量の低温ヘリウム気体が排気されて失われるからである。より高圧では、これらの排気損失はさらに高くなる。したがって、一般的な方法は、真空断熱ISOコンテナ内の液体ヘリウムを分配場所(トランスフィル)に輸送し、液体を気化させ、得られた気体を圧縮して高圧シリンダ及びチューブ・トレーラに入れることである。しかし、これらのコンテナ(すなわちシリンダ及びチューブ・トレーラ)は典型的には容量が小さいので、ヘリウムの需要及び使用の増加により、この形態の供給は実用的でなくなってきている。
【0004】
ヘリウムに関する需要の増加は、主に、新たな半導体製造プロセスでのヘリウムの使用によるものである。集積回路上のフィーチャ幾何形状のサイズが縮小するにつれて、許容範囲内の被膜を堆積するためにより高度なプロセスが必要とされ、これは通常、より大量のヘリウムをより高純度で必要とする。典型的な20本組のシリンダ(総容量150Nm)は、5Nm/時の使用率では30時間しか持たない。同様に、20Nm/時の使用率は、容量2900Nmのチューブ・トレーラが5日未満しか持たないことを意味し、さらに高い使用率ではより頻繁な交換が必要となる。そのような交換は大きな労働力を要し、また切換え中に微量の空気及び水分による汚染の可能性が高まるので、ヘリウム源の頻繁な交換は望ましくない。さらに、トランスフィルの能力が、圧縮及び充填機器の能力として制限因子になることがあり、又は複数のチューブ・トレーラ充填域に関する故障、不動産利用可能性、及びコストも問題となる。
【0005】
したがって、通常動作状態では、大口使用者のためのヘリウム供給のロジスティックスは、網羅的であるが管理することはできる。しかし、異常状態では、チューブ・トレーラ・ヘリウム供給ロジスティッスクは特に予測不能である。異常状態は、例えば世界的なヘリウム供給の長期的な不足時やトランスフィル故障時に生じる。そのような途絶が生じたとき、トランスフィルによってサービス提供される全顧客が、限られた残りの在庫を共有しなければならず、又はヘリウムを供給されない状態になる。ヘリウム市場での厳しい供給状況は、予定されたプラント停止、メンテナンスの混乱、及び機器障害によって引き起こされる遅延により続くことがあると予想される。ヘリウムは天然ガス産出地域から取り出され、天然ガス生成に依存するので、新規のヘリウム・プラントの建設は実行可能な解決策とはならない。これらの要因は、顧客側での枯渇の可能性を高め、それにより顧客の処理能力に大きな悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5386707号
【特許文献2】米国特許第6922144号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、超高純度のヘリウム気体を使用現場に配送するための新規で改良された方法及びシステム、並びに地理的に非常に分散した地域にいる大口使用者への長期在庫の保証が必要である。特に、信頼性の高い超高純度ヘリウム供給を保証する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1つには、超高純度ヘリウム気体を使用現場に配送するための方法であって、
前記方法が低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの一次容器を提供するステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記一次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記一次容器が、一次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を内部容器区室に供給することができ、前記一次容器が、一次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記方法がさらに、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの二次容器を提供するステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記二次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記二次容器が、二次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を前記一次容器の内部容器区室に分配することができ、前記二次容器が、前記一次容器と超高純度ヘリウム気体に関して流体連絡し、前記二次容器が、二次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記方法がさらに、前記一次容器及び/又は前記二次容器から少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場に超高純度ヘリウム気体を任意選択で配送するステップを含み、前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、そこを通る前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の流量を制御するための背圧弁を備え、
前記方法がさらに、前記二次容器から前記一次容器に超高純度ヘリウム流体を入れるステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム気体を含み、前記超高純度ヘリウム気体が、前記一次容器から超高純度ヘリウム液体を放出するのに十分な圧力で前記一次容器内に入れられ、
前記方法がさらに、前記超高純度ヘリウム液体を前記一次容器から少なくとも1つの気化装置に搬送するステップを含み、前記気化装置が、少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して超高純度ヘリウム液体を気化装置に供給することができ、前記気化装置が、少なくとも1つの出口開口を有し、出口開口を通して超高純度ヘリウム気体を気化装置から分配することができ、
前記方法がさらに、前記気化装置内で前記超高純度ヘリウム液体の相転移を行って、超高純度ヘリウム気体を生成するステップを含み、
前記方法がさらに、前記超高純度ヘリウム気体を前記気化装置から前記使用現場に配送するステップを含む
ことを特徴とする方法に関する。
【0009】
また、本発明は、1つには、超高純度ヘリウム気体を使用現場に配送するためのシステムであって、
前記システムが、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの一次容器を備え、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記一次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記一次容器が、一次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を内部容器区室に供給することができ、前記一次容器が、一次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記システムがさらに、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの二次容器を備え、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記二次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記二次容器が、二次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を前記一次容器の内部容器区室に分配することができ、前記二次容器が、前記一次容器と超高純度ヘリウム気体に関して流体連絡し、前記二次容器が、二次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記システムがさらに、二次容器の上部又は上部付近にある少なくとも1つの出口開口から、一次容器の上部又は上部付近にある少なくとも1つの入口開口に外から延びる超高純度ヘリウム気体供給ラインを備え、入口開口を通して超高純度ヘリウム気体を前記一次容器の内部容器区室に分配することができ、超高純度ヘリウム気体供給ラインが、そこを通る超高純度ヘリウム気体の流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウム気体流量制御弁を中に含み、システムがさらに、少なくとも1つのエコノマイザ装置を備え、前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、そこを通る前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の流量を制御するための背圧弁を備え、
前記システムがさらに、少なくとも1つの気化装置を備え、前記気化装置が、少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して超高純度ヘリウム液体を気化装置に供給することができ、前記気化装置が、少なくとも1つの出口開口を有し、出口開口を通して超高純度ヘリウム気体を気化装置から分配することができ、
前記システムがさらに、一次容器の底部よりも上方にある少なくとも1つの出口開口から、気化装置の少なくとも1つの入口開口に外から延びる超高純度ヘリウム液体放出ラインを備え、入口開口を通して超高純度ヘリウム液体を気化装置に分配することができ、超高純度ヘリウム液体供給ラインが、そこを通る超高純度ヘリウム液体の流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウム液体流量制御弁を中に含み、
前記システムがさらに、気化装置の少なくとも1つの出口開口から前記使用現場に外から延びる超高純度ヘリウム気体放出ラインを備え、超高純度ヘリウム気体放出ラインが、そこを通る超高純度ヘリウム気体の流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウム気体流量制御弁を中に含む
ことを特徴とするシステムに関する。
【0010】
本発明はさらに、1つには、使用現場への超高純度ヘリウム気体の配送を制御するための方法であって、
前記方法が、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの一次容器を提供するステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記一次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記一次容器が、一次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を内部容器区室に供給することができ、前記一次容器が、一次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記方法がさらに、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの二次容器を提供するステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記二次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記二次容器が、二次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を前記一次容器の内部容器区室に分配することができ、前記二次容器が、前記一次容器と超高純度ヘリウム気体に関して流体連絡し、前記二次容器が、二次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記方法がさらに、前記一次容器及び/又は前記二次容器から少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場に超高純度ヘリウム気体を任意選択で配送するステップを含み、前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、そこを通る前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の流量を制御するための背圧弁を備え、
前記方法がさらに、前記二次容器から前記一次容器に超高純度ヘリウム流体を入れるステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム気体を含み、前記超高純度ヘリウム気体が、前記一次容器から超高純度ヘリウム液体を放出するのに十分な圧力で前記一次容器内に入れられ、
前記方法がさらに、前記超高純度ヘリウム液体を前記一次容器から少なくとも1つの気化装置に搬送するステップを含み、前記気化装置が、少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して超高純度ヘリウム液体を気化装置に供給することができ、前記気化装置が、少なくとも1つの出口開口を有し、出口開口を通して超高純度ヘリウム気体を気化装置から分配することができ、
前記方法がさらに、前記気化装置内で前記超高純度ヘリウム液体の相転移を行って、超高純度ヘリウム気体を生成するステップを含み、
前記方法がさらに、前記超高純度ヘリウム気体を前記気化装置から前記使用現場に配送するステップを含み、
前記方法がさらに、二次容器から前記一次容器の内部容器区室内に供給される前記超高純度ヘリウム気体、前記1つ又は複数の熱遮蔽層、及び/又は少なくとも1つのエコノマイザ装置を利用して、前記使用現場への前記超高純度ヘリウム気体の配送を制御するステップを含む
ことを特徴とする方法に関する。
【0011】
本発明は、いくつかの利点を提供する。本発明は、高い信頼性でUHPヘリウム気体を供給するため、及び専用の現場在庫を維持するための方法及び装置を述べる。具体的には、本発明は、複数のISOコンテナを採用し、それにより、スタンバイISOコンテナの蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層内の気化されたUHPヘリウムが、オンライン上のコンテナ内の圧力を蓄積するために使用される。ISOコンテナの熱遮蔽が、熱の漏れを減少させる助けとなり、それにより、蒸発速度、及び容器の最大許容作業圧力(MAWP)を維持するために引き抜く必要があるUHPヘリウムの量を減少させる。ISOコンテナ内の液体を維持しながら、蒸発されたUHPヘリウム気体を、主ISOコンテナとバックアップISOコンテナの両方の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から(本明細書で説明する)エコノマイザを通して引き出すことによって、さらに低い供給率が可能である。これにより、低流量要件からより高い流量要件まで供給率を効率的に管理できるようになり、また貯蔵容器からのUHPヘリウム引出し速度を最適化できるようになる。さらなる利点は、顧客に送られるUHPヘリウム気体が液体源から直接届くので、より高純度であることである。通常、チューブ・トレーラからの気体ヘリウムは、高純度の気体が必要とされる場合には費用のかかる純化プロセスを必要とする。
【0012】
高価なトランスフィルの拡張、チューブ・トレーラへの大きな投資、高いヘリウム使用率の顧客のために多数回の交換をサポートするための大きな配達及び労働コストは、法外に高くなることがある。概して、UHP液体ヘリウム配送法は、より大量のヘリウムを輸送できるようにするので、より経済的な選択肢である。また、複数のISOコンテナの使用がさらに多くの在庫を提供し、これは不足期間中に特に望ましい。顧客は、任意選択で、高圧気体チューブ・トレーラを使用して液体ISOコンテナをバックアップすることができる。チューブ・トレーラは、供給の途絶時の保護策にはあまりならず、ヘリウムの枯渇により製造設備が停止しなければならない可能性のほうが高い。これは、顧客の操業に大きな悪影響を及ぼすことがある。また、液体源からのヘリウムの本来的に高い純度は、ヘリウムが気体貯蔵容器から引き出されるときにしばしば必要とされる高価な純化システムを不要にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるヘリウム供給システムの概略図である。
【図2】蒸発された気体の供給を含む動作論理を示す流れ図である。
【図3】UHPヘリウム供給及び使用法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用するとき、超高純度(UHP)とは、約100ppb(parts per billion)未満、好ましくは約50ppb未満、より好ましくは約10ppb未満の分子不純物、及び約1000ppt(parts par trillion)未満、好ましくは約500ppt未満、より好ましくは約10ppt未満の金属不純物を有する気体又は液体を意味する。最も好ましくは、UHP気体又は液体は、約10ppb未満の分子不純物及び約10ppt未満の金属不純物を有する。
【0015】
本発明は、10Nm/時以上の使用率の顧客へのUHPヘリウム気体の高信頼性の供給を保証するための方法に関わる。一実施例では、この供給方法は、顧客の現場への複数のバルク液体ヘリウムISOコンテナの直接の運送及び顧客の現場での保守を含む。
【0016】
本発明は、10Nm/時以上の使用率の顧客へのUHPヘリウム気体の信頼性ある供給システムに関する。特に、本発明は、高信頼性のUHPヘリウム気体供給を保証することに関する。本発明は、半導体処理及び他の工業用途における増加するUHPヘリウム気体の使用をサポートするために、小さい容積のシリンダ/チューブ・トレーラ供給から切り換える効果的な手段を提供する。
【0017】
本発明によれば、大口使用者にUHPヘリウム気体を供給する方法であって、顧客に専用のUHPヘリウム気体在庫を与え、ISOコンテナ内のUHP液体ヘリウムを顧客に直接供給し、且つ製造現場で貯蔵体積を維持することを含む方法が提供される。本発明は、ヘリウム・トランスフィル及びチューブ・トレーラを不要にする。本発明の方法は、顧客の観点から見て、本来的に信頼性がより高い。
【0018】
上述したように、本発明は、1つには、超高純度ヘリウム気体を使用現場に配送するための方法であって、
前記方法が、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの一次容器を提供するステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記一次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記一次容器が、一次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を内部容器区室に供給することができ、前記一次容器が、一次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記方法がさらに、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの二次容器を提供するステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記二次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記二次容器が、二次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を前記一次容器の内部容器区室に分配することができ、前記二次容器が、前記一次容器と超高純度ヘリウム気体に関して流体連絡し、前記二次容器が、二次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記方法がさらに、前記一次容器及び/又は前記二次容器から(例えば、前記一次容器及び/又は前記二次容器の蒸気空間及び/又は熱遮蔽層から)少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場に超高純度ヘリウム気体を配送するステップを任意選択で含み、前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、そこを通る前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の流量を制御するための背圧弁を備え、
前記方法がさらに、前記二次容器から(例えば、前記二次容器の蒸気空間及び/又は熱遮蔽層から)前記一次容器に超高純度ヘリウム流体を入れるステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム気体を含み、前記超高純度ヘリウム気体が、前記一次容器から超高純度ヘリウム液体を放出するのに十分な圧力で前記一次容器内に入れられ、
前記方法がさらに、前記超高純度ヘリウム液体を前記一次容器から少なくとも1つの気化装置に搬送するステップを含み、前記気化装置が、少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して超高純度ヘリウム液体を気化装置に供給することができ、前記気化装置が、少なくとも1つの出口開口を有し、出口開口を通して超高純度ヘリウム気体を気化装置から分配することができ、
前記方法がさらに、前記気化装置内で前記超高純度ヘリウム液体の相転移を行って、超高純度ヘリウム気体を生成するステップを含み、
前記方法がさらに、前記超高純度ヘリウム気体を前記気化装置から前記使用現場に配送するステップを含む
ことを特徴とする方法に関する。
【0019】
上述の方法はさらに、(i)二次容器から前記一次容器の内部容器区室内に供給される超高純度ヘリウム気体、(ii)1つ又は複数の熱遮蔽層、及び/又は(iii)少なくとも1つのエコノマイザ装置を利用して、前記使用現場への前記超高純度ヘリウム気体の配送率を制御するステップを含む。
【0020】
一実施例では、本発明の方法は、超高純度ヘリウム気体を、一次容器及び/又は二次容器の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して使用現場に配送するステップを含む。別の実施例では、本発明の方法は、二次容器の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から一次容器に超高純度ヘリウム気体を入れるステップを含み、超高純度ヘリウム気体は、一次容器から超高純度ヘリウム液体を放出するのに十分な圧力で一次容器内に入れられる。
【0021】
配送率の制御に関し、(i)二次容器から(例えば、二次容器の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から)前記一次容器の内部容器区室内に供給される超高純度ヘリウム気体が、前記少なくとも1つの一次容器から前記少なくとも1つの気化装置への前記超高純度ヘリウム液体の配送率、前記少なくとも1つの気化装置から前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の配送率、及び前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から(例えば、一次容器と二次容器の両方の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から)前記少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の配送率を制御し、(ii)1つ又は複数の熱遮蔽層が、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内の前記超高純度ヘリウム液体の正味蒸発速度を制御し、前記正味蒸発速度が、前記少なくとも1つの一次容器から前記少なくとも1つの気化装置への前記超高純度ヘリウム液体の配送率、及び前記少なくとも1つの気化装置から前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の配送率を制御し、且つ前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から(例えば、一次容器と二次容器の両方の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から)前記少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場への前記超高純度ヘリウム気体の配送率を制御し、(iii)少なくとも1つのエコノマイザ装置が、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内の超高純度ヘリウム液体を維持しながら、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から(例えば、一次容器と二次容器の両方の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から)前記使用現場への前記超高純度ヘリウム気体の配送率を制御する。
【0022】
超高純度ヘリウム気体供給ラインが、二次容器の上部又は上部付近にある少なくとも1つの出口開口から、一次容器の上部又は上部付近にある少なくとも1つの入口開口まで外部を延びることができ、入口開口を通して超高純度ヘリウム気体を前記一次容器の内部容器区室に分配することができ、超高純度ヘリウム気体供給ラインが、そこを通る超高純度ヘリウム気体の流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウム気体流量制御弁を中に含み、システムがさらに、少なくとも1つのエコノマイザ装置を備え、前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、そこを通る前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の流量を制御するための背圧弁を備える。
【0023】
超高純度ヘリウム液体放出ラインが、一次容器の底部よりも上方にある少なくとも1つの出口開口から、気化装置の少なくとも1つの入口開口まで外部を延びることができ、入口開口を通して超高純度ヘリウム液体を気化装置に分配することができ、超高純度ヘリウム液体供給ラインが、そこを通る超高純度ヘリウム液体の流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウム液体流量制御弁を中に含む。
【0024】
超高純度ヘリウム気体放出ラインが、気化装置の少なくとも1つの出口開口から少なくとも1つの使用現場まで外部に延び、超高純度ヘリウム気体放出ラインが、そこを通る超高純度ヘリウム気体の流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウム気体流量制御弁を中に含む。
【0025】
1つ又は複数の熱遮蔽層は、熱遮蔽流体、例えば液体又は気体を保持するために内部区室を有する。一実施例では、熱遮蔽層は、液体窒素(LN)熱遮蔽層及びヘリウム気体熱遮蔽層を備える。
【0026】
熱遮蔽層は、少なくとも1つの一次容器及び少なくとも1つの二次容器内への熱の漏れを減少させることができ、それにより少なくとも1つの一次容器及び少なくとも1つの二次容器内の超高純度ヘリウム液体の正味蒸発速度を減少させる。少なくとも1つの一次容器及び少なくとも1つの二次容器内への熱の漏れを減少し、それにより少なくとも1つの一次容器及び少なくとも1つの二次容器内の超高純度ヘリウム液体の正味蒸発速度を減少させることによって、熱遮蔽層は、少なくとも1つの一次容器及び少なくとも1つの二次容器から引き抜く必要がある超高純度ヘリウム気体の量を減少させて、少なくとも1つの一次容器及び少なくとも1つの二次容器の最大許容作業圧力を維持することができる。一実施例では、気化されたUHPヘリウム気体を二次容器の熱遮蔽層から引き出し、それを少なくとも1つの一次容器の蒸気空間に供給して一次容器内の圧力を生成することによって、少なくとも1つの二次容器への熱の漏れを減少させることができる。
【0027】
本発明による複数のISOコンテナの使用は、いくつかの理由から有益である。例えば、複数のISOコンテナは、広範囲の流量でのヘリウムの供給、顧客現場でのさらに多くの在庫の維持、及び利用現場へのUHPヘリウム気体の直接の供給を可能にする。
【0028】
本発明のUHPヘリウム気体供給方法及びシステムでは、少なくとも2つのISOコンテナ、例えば真空断熱ISOコンテナが使用される。1つのISOコンテナがオンライン状態であり、他のISOコンテナはスタンバイ状態である。スタンバイISOコンテナでの熱の漏れは、UHPヘリウム(正味蒸発速度(NER)の気体)を気化し、それにより容器内の圧力を高める。スタンバイISOコンテナの蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層からのこのNER気体が引き出され、任意選択で圧力生成気化器によって加温され、使用中のISOコンテナに装入されて動作圧力を生成及び維持する。使用中のISOコンテナからのUHP液体ヘリウムは、生成物気化器に供給され、利用地点に送られる。熱の漏れ、したがって発生され引き抜かなければならないNERの量を最小限にするためにISOコンテナの熱遮蔽を使用することによって、より低いヘリウム供給率(供給速度)を実現することができる。貯蔵容器内の液体ヘリウムを維持しながら、エコノマイザを使用して一次容器とバックアップ容器の両方の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から圧力生成気体を抜き出して顧客に送ることによって、さらに低いヘリウム供給率を達成することができる。
【0029】
バルク液体ISOコンテナは、大量のUHP液体又は超臨界ヘリウム、例えば7〜42m(1800〜11000ガロン)のUHP液体ヘリウムを保持することができる。同体積のUHP気体ヘリウムよりも輸送することができる量が多い(分子数で5倍超)ので、UHPヘリウムを液体又は超臨界状態で供給することが有利である。より大きな容積のUHPヘリウム源は、交換の頻度、それに伴う労力、及び汚染の危険を大幅に減少させる。また、本明細書で説明する供給方法の実施は、UHPヘリウム気体使用率の融通性を与え、顧客が長期にわたって在庫を効率的に管理することができるようにする。
【0030】
上述したように、UHPヘリウム流体は、貯蔵容器から直接引き出すことができる。容器内に存在する不純物は、液体又は低温超臨界ヘリウムよりもはるかに高密度であり、したがって主に容器の底面に溜まっているか、又は壁に付着している。UHPヘリウムは、引き抜かれる流体中の不純物の濃度が所定の限度値になる温度以下の温度で引き抜くことができ、この限度は、例えば所望の限度や許容限度である。これは、供給が気体源から得られるときに通常必要とされる高価な純化機器を不要にする。
【0031】
UHP液体ヘリウムの直接供給システムは、複数の機器からなる。図1に示されるように、このシステムは、UHP液体ヘリウム・コンテナ、高圧ホース、ホース・パージ・アセンブリ、圧力調整器、及び生成物供給圧逃がし弁を含む。図1を参照すると、バックアップISOコンテナ102からの気化されたヘリウム(NER気体)は、任意選択で圧力生成気化器202及び201によって加温され、気体接続ライン601を通して使用中のISOコンテナ101に供給されて、動作圧力を生成して維持する。また、必要であれば、任意選択の高圧チューブ・トレーラ103を使用して、使用中のISOコンテナ内の圧力を蓄積することもできる。圧力逃がし弁401及び402を使用して、それぞれISOコンテナ101及び102内で許容範囲内の圧力を維持することができる。圧力逃がし弁403、404、405、及び406を使用して、ISOコンテナ101及び102での気体接続及び液体接続ライン内で許容可能内の圧力を維持する。気体接続ライン601での制御弁300、301、及び304を使用して、ISOコンテナ圧力生成気体、又はエコノマイザ305に直接送られる気体の流れを調整する。
【0032】
流体の流れのための推進力は、容器と利用地点605との圧力差である。主ISOコンテナ101内での増加した圧力を使用して、制御弁501を通して液体接続ライン602に液体ヘリウムを押し流し、気化させて、使用地点に送る。したがって、一次供給容器101内の必要な圧力は、所望のヘリウム使用率及び配送圧力に応じて決まる。引抜きは、容器の底面よりも約1〜30センチメートル上方に位置されたポートから行う。容器101がオンラインであるとき、スタンバイISOコンテナ102の液体配送ラインの出口にある制御弁502は閉じられ、所望の流量に従って制御弁501が作動される。ライン602を通して押し流される液体ヘリウムは、生成物気化器203に送られて、気化され、使用地点605に送られる。気化された生成物の流れは、弁303及び503によって制御される。また、気化された気体は、(下流の機器を保護するために)任意選択の低温圧力保護(LTPP)ユニット306を通過し、次いで(粒子を除去するために)任意選択の濾過スキッド204を通過する。
【0033】
貯蔵容器内のヘリウム蒸発の速度(NER気体)は、熱遮蔽によって制御することができる。熱遮蔽は、液化されたヘリウムを含む内部容器区室に被さる領域である。一般に、複数の交互の真空断熱層と熱遮蔽層があり、それにより、通常であればISOコンテナの内部容器に入る放射エネルギーが熱遮蔽流体によって遮られる。典型的には、少なくとも1つの熱遮蔽層が、窒素などの液化ガスを充填され、少なくとも1つの他の熱遮蔽層が、液化UHPヘリウムを含む内部容器区室から、気化されたUHPヘリウム気体を充填される。数週間かかることがある生成現場から顧客の現場へのISOコンテナの輸送中、気化された遮蔽流体が抜かれる。典型的には、液化ガス熱遮蔽は、最長で約30日持つように十分な液化ガスを保持する。
【0034】
二次容器内での熱の漏れは、超高純度ヘリウム液体を気化させることができ、それにより前記二次容器内の圧力を高める。蒸発されたヘリウム気体は、前記一次容器に搬送されて、前記一次容器から超高純度ヘリウム液体を放出するのに十分な動作圧力を生成して維持する。
【0035】
ヘリウム流体は、出口での温度が不純物の凝固温度未満である限り、特定の用途のために十分に低い不純物濃度で引き抜くことができる。引き抜かれる流体中の不純物がその不純物の蒸気圧により所望の濃度限度又は許容濃度限度に達する又は等しくなる温度以下の温度でヘリウムを引き抜くことによって、さらに低い不純物濃度を実現することができる。ヘリウム中に存在することがある不純物、及び大気圧下で不純物の蒸気圧によりヘリウム流体中でその不純物が5ppmv(parts per million volume)の濃度に達するそれぞれのおおよその温度は、例えばHO(207°K)、CO(111°K)、O(42°K)、Ar(42°K)、及びN(36°K)である。比較として、大気圧下のヘリウム流体中で不純物が1ppmvの濃度に達するそれぞれのおおよその温度は、例えばHO(197°K)、CO(105°K)、O(39°K)、Ar(39°K)、及びN(34°K)である。これらの不純物のうち複数が存在する場合、引抜き温度が、最高の蒸気圧を有する不純物がヘリウム流体中で濃度限度に達する温度以下である限り、ヘリウムを下側のポートから引き抜くことができる。容器からの低い純度での低温ヘリウムの引抜きに関するより詳細な説明は、米国特許第5386707号に記載されており、その開示を参照として本明細書に組み込む。
【0036】
また、現場の供給システムは、エコノマイザ装置、すなわち背圧弁305を装備され、これを使用して圧力生成気体を抜き出して顧客に直接送ることができる。これは、容器内の気体蓄積が顧客の引出し速度よりも大きいときに重要である。容器内の圧力が高まり、エコノマイザ装置、すなわち背圧弁305での設定点に達すると、気体は、図2に示される操作論理を使用してライン603を通して押し進められる。弁305は、容器のMAWPよりも低いが生成物弁303よりも高い圧力に設定される。エコノマイザを通るより高圧の流れは、弁303を閉じたままに保ち、生成物を顧客に供給する。このようにして、システムは、容器内の液体ヘリウムをMAWP未満に維持しながら、非常に低い流量(すなわちすべての容器からのNER)でヘリウムを供給することができる。さらに、本明細書で説明するように、容器の熱遮蔽からUHPヘリウム気体を引き出してエコノマイザに送ることができる。利用可能なときには、気体をバックアップチューブ・トレーラから弁302及びライン604を通して顧客に直接送ることもできる。
【0037】
図1及び図2を参照すると、ISOコンテナ101と102からの合計のNER気体が、顧客が要求するヘリウム使用率よりも大きい場合、エコノマイザ装置、すなわち背圧弁305が開き、制御弁301及び304が開き、ISOコンテナ101及び102からのNER気体が、ライン603を通して使用現場605に直接供給される。ISOコンテナ101及び102からの合計のNER気体が、顧客が要求するヘリウム使用率以下である場合、NER気体がISOコンテナ102からISOコンテナ101に送られて圧力を生成し、液体ヘリウムがISOコンテナ101から弁501を通して気化器203に引き出され、気化器203で気化され、ヘリウム気体が使用現場605に配送される。少なくとも1つの一次容器及び/又は少なくとも1つの二次容器内で超高純度ヘリウム液体を維持しながら、少なくとも1つの一次容器及び/又は少なくとも1つの二次容器から超高純度ヘリウム気体を引き出して使用現場に配送するように少なくとも1つのエコノマイザ装置が制御される。
【0038】
本発明の供給プロセスの具体的態様は、複数のISOコンテナの使用を含むことができる。供給プロセスは、一次コンテナと二次コンテナの様々な組合せを含むことができる。例えば、1つ又は複数の一次コンテナと2つ以上の二次コンテナの組合せ、1つ又は複数の一次コンテナと3つ以上の二次コンテナの組合せ、2つ以上の一次コンテナと2つ以上の二次コンテナの組合せなどである。必要なコンテナの総数は、主にヘリウム使用率に応じて決まる。これは、すべてのコンテナからの総計のNER気体が1日の必要分を超える場合、ISOコンテナのMAWPを維持するためにヘリウムを大気に抜かなければならないからである。また、必要なコンテナの総数を計算するとき、顧客が現場で維持したいと望む在庫のレベルと、顧客と生成設備の間のISOコンテナ移送(運送)時間とを考慮に入れなければならない。供給サイクルの流れ図の概略が図3に示される。任意の時点で、各コンテナはサイクル内の異なる地点にある。そのようなコンテナは、顧客の現場で全部及び/又は一部使用されているコンテナ、補給のために供給業者に輸送して返す途中の空のコンテナ、及び既に補給されて顧客の現場に再び移送中のコンテナを含む。通常動作モードでは、使用中のコンテナが空になる直前に新たなコンテナが顧客の現場に到着する。満杯のISOコンテナが顧客現場に降ろされ、空のトレーラが補給のために引き取られる。計算されたISOコンテナの必要数が整数でない場合、供給システム内での融通性を与えるために最も近い整数に丸めることが推奨される。
【0039】
UHPヘリウム気体は、様々な使用現場、例えば半導体製造現場や他の工業用途の現場に配送することができる。使用現場が半導体製造現場であるとき、超高純度ヘリウム気体は、例えば有機金属前駆体を化学気相成長又は原子層堆積チャンバに導入するためのキャリア・ガスとして使用することができる。また、超高純度ヘリウム気体は、LCDプロセスでのドライ・エッチングのために使用することもできる。さらに、超高純度ヘリウム気体は、シリコン層のエッチング・プロセスの速度及び均一性を制御するために背面冷却で使用することもできる。また、超高純度ヘリウム気体は、漏れ及びライン・パージをチェックするために使用することもできる。
【0040】
遠隔監視システムを使用して、移動できる液体貯蔵タンクを監視することができる。この遠隔監視システムは、液体水位及びヘッドスペース圧力データ、並びに全地球位置データを収集する遠隔計測ユニットからなることがある。運送中、このデータは、顧客及び/又は供給業者に無線で伝送される。熱遮蔽及び/又はISOコンテナで圧力及び液体の不良状態(upset conditions)に達した場合、予め設定されたプログラミングに従って蒸気を抜いて、液体水位及び蒸気圧設定点を回復することを試みることができる。また、追跡システムは、供給業者に、運送の遅延、及び輸送中のコンテナに関わる他の問題を警報する。トレーラが目的地に到着した後、顧客は、在庫レベルを監視するため又は他の目的のためにユニットを使用し続けることを選択することができる。顧客が現場で維持することを望むヘリウムの最低量に応じて、顧客は、電話で、又は電子システム(例えば電子メール)を介して新たなトレーラを注文する。この注文が行われるとき、ISOコンテナの移送時間を考慮に入れなければならない。これは、ある期間後に新たなトレーラが顧客に発送されるように自動的にセットアップすることもできる。例えば米国特許第6922144号を参照されたい。その開示を参照として本明細書に組み込む。
【0041】
任意選択で、UHPヘリウム気体配送システムの動作時に制御システム及び方法を利用することができ、この制御システム及び方法は、所望の動作条件又は最適な動作条件を実現するために動作パラメータの自動リアルタイム最適化及び/又は調節を可能にするように構成される。
【0042】
任意選択でコンピュータ実装システムを使用して、NER、供給率、ISOコンテナの加熱及び冷却、背圧弁及び逃がし弁の設定などを制御することができる。コンピュータ制御システムは、顧客現場へのUHPヘリウム気体の配送を最適化する試みにおいて、様々なパラメータを調節することができる機能を有することができる。このシステムは、パラメータを自動的に調節するように実装することができる。UHPヘリウム気体配送システムの制御は、従来のハードウェア又はソフトウェア実装コンピュータ及び/又は電子制御システムを様々な電子センサと共に使用して実現することができる。制御システムは、NER、供給率、ISOコンテナの加熱及び冷却、背圧弁及び逃がし弁の設定などを制御するように構成することができる。
【0043】
UHPヘリウム気体配送システムはさらに、NER、供給率、ISOコンテナの加熱及び冷却、背圧弁及び逃がし弁などいくつかのパラメータを測定するためのセンサを備えることができる。制御ユニットは、それらのセンサに接続することができ、また、測定されたパラメータ値に従ってシステム全体を通してUHPヘリウムを搬送するための入口開口及び出口開口の少なくとも1つに接続することができる。
【0044】
コンピュータ実装システムは、任意選択で、UHPヘリウム気体配送システムの一部にすることができ、又はUHPヘリウム気体配送システムと結合させることができる。コンピュータ実装システムは、UHPヘリウム気体配送システムの動作パラメータを制御及び調節するように、並びに値を分析及び計算するように構成又はプログラムすることができる。コンピュータ実装システムは、UHPヘリウム気体配送システムの動作パラメータを設定及び制御するために制御信号を送受信することができる。コンピュータ実装システムは、UHPヘリウム気体配送システムに対して遠隔に位置させることができる。また、間接又は直接の手段を介して、例えばイーサネット(登録商標)接続やワイヤレス接続を介して、1つ又は複数の遠隔UHPヘリウム気体配送システムからデータを受信するように構成することもできる。制御システムは、例えばインターネットを介して遠隔操作することができる。
【0045】
UHPヘリウム気体配送システムの制御の一部又は全体を、コンピュータなしで達成することもできる。他のタイプの制御は、物理的な制御によって達成することができる。例えば、制御システムは、使用者によって操作される手動システムでよい。別の例では、使用者が、上述した制御システムに入力を与えることができる。適切な圧力計を使用して、供給率(例えばUHPヘリウム気体配送率)を監視することができる。空気圧計が、適切な遮断弁を有することがあり、遮断弁は、速度が所定の値を超える場合に顧客へのUHPヘリウム気体の供給を遮断するように予め設定することができる。
【0046】
異常状態の場合、例えば世界的なヘリウム供給の長期的な不足時やトランスフィル故障時に、本発明の方法は、高信頼性のUHPヘリウム供給を提供することができる。図3を参照すると、供給の途絶時に途絶の種類が識別され、それらは例えば世界的なヘリウム供給不足、ISOコンテナ故障、又は運送遅延などである。世界的なヘリウム供給不足の場合、UHPヘリウムは、現場にあるISOコンテナから引き出すことができ、顧客に割当て状況を通知することができる。ISOコンテナ故障の場合、UHPヘリウムは、現場にある別のISOコンテナから引き出すことができ、残りの在庫が更新される。ヘリウム生成現場に通知が送られ、別のISOコンテナが要求されるべきである。故障しているISOコンテナは、修理のためにヘリウム生成現場に戻されるべきである。運送遅延の場合、UHPヘリウムは、現場にあるISOコンテナから引き出すことができ、顧客及び生成現場に運送遅延が通知される。供給の途絶がない場合、UHPヘリウムは、現場にあるISOコンテナから引き出すことができ、残りの在庫が更新され、移送中のISOコンテナの情報が更新される。
【0047】
別の実施例では、ヘリウム生成プラントにある大きな液体貯蔵体積を顧客のために維持することができる。この貯蔵体積は、UHPヘリウム液化装置に接続された大容積のデュワー瓶(例えば114m(30000ガロン)の容量)の形態でよい。この容積が満たされたとき、気化したUHPヘリウムを非常に効率良く再び液化することができる。デュワー瓶内のUHPヘリウムは、事前に売却済みであり、特定の顧客に専用のものである(詳細は商取引の合意に含まれる)。UHPヘリウム不足の場合、顧客への配送量を補うためにこのデュワー瓶を利用可能である。これは、プラント供給不足時にUHPヘリウム源を管理する特に効果的な方法(「割当て」)となりうる。なぜなら、割当ての事例は、典型的には、運送コンテナの良好な可用性(すなわち、最大量未満の生成物が運送されているときにはコンテナが空いている)と合致するからである。したがって、割当て期間中にこの生成物を顧客に運送することができるように、費用のかかる運送コンテナに予め投資する必要はない。
【0048】
上述したように、本発明は、1つには、使用現場への超高純度ヘリウム気体の配送を制御するための方法であって、
前記方法が、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの一次容器を提供するステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記一次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記一次容器が、一次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を内部容器区室に供給することができ、前記一次容器が、一次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記方法がさらに、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの二次容器を提供するステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記二次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記二次容器が、二次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を前記一次容器の内部容器区室に分配することができ、前記二次容器が、前記一次容器と超高純度ヘリウム気体に関して流体連絡し、前記二次容器が、二次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記方法がさらに、前記一次容器及び/又は前記二次容器から(例えば、前記一次容器及び/又は前記二次容器の蒸気空間及び/又は熱遮蔽層から)少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場に超高純度ヘリウム気体を配送するステップを任意選択で含み、前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、そこを通る前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の流量を制御するための背圧弁を備え、
前記方法がさらに、前記二次容器から(例えば、前記二次容器の蒸気空間及び/又は熱遮蔽層から)前記一次容器に超高純度ヘリウム流体を入れるステップを含み、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム気体を含み、前記超高純度ヘリウム気体が、前記一次容器から超高純度ヘリウム液体を放出するのに十分な圧力で前記一次容器内に入れられ、
前記方法がさらに、前記超高純度ヘリウム液体を前記一次容器から少なくとも1つの気化装置に搬送するステップを含み、前記気化装置が、少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して超高純度ヘリウム液体を気化装置に供給することができ、前記気化装置が、少なくとも1つの出口開口を有し、出口開口を通して超高純度ヘリウム気体を気化装置から分配することができ、
前記方法がさらに、前記気化装置内で前記超高純度ヘリウム液体の相転移を行って、超高純度ヘリウム気体を生成するステップを含み、
前記方法がさらに、前記超高純度ヘリウム気体を前記気化装置から前記使用現場に配送するステップを含み、
前記方法がさらに、二次容器から前記一次容器の内部容器区室内に供給される前記超高純度ヘリウム気体、前記1つ又は複数の熱遮蔽層、及び/又は少なくとも1つのエコノマイザ装置を利用して、前記使用現場への前記超高純度ヘリウム気体の配送を制御するステップを含む
ことを特徴とする方法に関する。
【0049】
一実施例では、本発明の方法は、一次容器及び/又は二次容器の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して使用現場に超高純度ヘリウム気体を配送するステップを含む。別の実施例では、本発明の方法は、二次容器の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から一次容器に超高純度ヘリウム気体を入れるステップを含み、超高純度ヘリウム気体は、一次容器から超高純度ヘリウム液体を放出するのに十分な圧力で一次容器内に入れられる。
【0050】
前記使用現場への前記超高純度ヘリウム気体の配送の制御に関し、(i)二次容器から(例えば、二次容器の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から)前記一次容器の内部容器区室内に供給される超高純度ヘリウム気体が、前記少なくとも1つの一次容器から前記少なくとも1つの気化装置への前記超高純度ヘリウム液体の配送率、前記少なくとも1つの気化装置から前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の配送率、及び前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から(例えば、一次容器と二次容器の両方の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から)前記少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の配送率を制御し、(ii)1つ又は複数の熱遮蔽層が、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内の前記超高純度ヘリウム液体の正味蒸発速度を制御し、前記正味蒸発速度が、前記少なくとも1つの一次容器から前記少なくとも1つの気化装置への前記超高純度ヘリウム液体の配送率、及び前記少なくとも1つの気化装置から前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の配送率を制御し、且つ前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から(例えば、一次容器と二次容器の両方の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から)前記少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場への前記超高純度ヘリウム気体の配送率を制御し、(iii)少なくとも1つのエコノマイザ装置が、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内の超高純度ヘリウム液体を維持しながら、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から(例えば、一次容器と二次容器の両方の蒸気空間及び/又はヘリウム気体熱遮蔽層から)前記使用現場への前記超高純度ヘリウム気体の配送率を制御する。
【0051】
上述のように、本発明は、1つには、超高純度ヘリウム気体を使用現場に配送するためのシステムであって、
前記システムが、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの一次容器を備え、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記一次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記一次容器が、一次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を内部容器区室に供給することができ、前記一次容器が、一次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記システムがさらに、低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの二次容器を備え、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液体及び気体を含み、前記二次容器が、前記超高純度ヘリウム液体及び気体を保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を備え、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層と、1つ又は複数の熱遮蔽層とを有し、真空断熱層と熱遮蔽層が、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して位置合わせされ、前記二次容器が、二次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、超高純度ヘリウム気体を前記一次容器の内部容器区室に分配することができ、前記二次容器が、前記一次容器と超高純度ヘリウム気体に関して流体連絡し、前記二次容器が、二次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、その出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液体を内部容器区室から分配することができ、
前記システムがさらに、二次容器の上部又は上部付近にある少なくとも1つの出口開口から、一次容器の上部又は上部付近にある少なくとも1つの入口開口に外から延びる超高純度ヘリウム気体供給ラインを備え、入口開口を通して超高純度ヘリウム気体を前記一次容器の内部容器区室に分配することができ、超高純度ヘリウム気体供給ラインが、そこを通る超高純度ヘリウム気体の流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウム気体流量制御弁を中に含み、システムがさらに、少なくとも1つのエコノマイザ装置を備え、前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、そこを通る前記使用現場への超高純度ヘリウム気体の流量を制御するための背圧弁を備え、
前記システムがさらに、少なくとも1つの気化装置を備え、前記気化装置が、少なくとも1つの入口開口を有し、入口開口を通して超高純度ヘリウム液体を気化装置に供給することができ、前記気化装置が、少なくとも1つの出口開口を有し、出口開口を通して超高純度ヘリウム気体を気化装置から分配することができ、
前記システムがさらに、一次容器の底部よりも上方にある少なくとも1つの出口開口から、気化装置の少なくとも1つの入口開口に外から延びる超高純度ヘリウム液体放出ラインを備え、入口開口を通して超高純度ヘリウム液体を気化装置に分配することができ、超高純度ヘリウム液体供給ラインが、そこを通る超高純度ヘリウム液体の流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウム液体流量制御弁を中に含み、
前記システムがさらに、気化装置の少なくとも1つの出口開口から前記使用現場に外から延びる超高純度ヘリウム気体放出ラインを備え、超高純度ヘリウム気体放出ラインが、そこを通る超高純度ヘリウム気体の流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウム気体流量制御弁を中に含む
ことを特徴とするシステムに関する。
【0052】
現場の供給システムには、エコノマイザ装置、すなわち背圧弁305を装備することができ、図2に示される動作論理を用いて、背圧弁305を使用して、ライン603を通して圧力生成気体を抜き出して顧客に直接送ることができる。また現場のシステムには、(下流の機器を保護するための)低温圧力保護(LTPP)ユニット306、及び濾過装置204、例えば濾過スキッドを装備することもでき、超高純度ヘリウム気体を使用現場に配送する前に超高純度ヘリウム気体がそこを通ることができる。濾過スキッドは、粒子を除去するために使用される。
【0053】
本発明の実施において複数のISOコンテナを使用することが推奨されるが、小口使用者は、組込式の圧力生成コイル(加圧コイル)を備えるコンテナを1つだけ使用してもよい。これは、外部気体を使用することなく容器内で圧力を生成することを可能にする。この方法は、チューブ・トレーラよりもかなり高い専用の現場在庫レベルを提供する。また、小口使用の顧客は、より低いNERを有するより小さいISOコンテナを使用することによって本発明から利益を得ることができる。また、上述の開示はエレクトロニクス分野の大口顧客に焦点を当てているが、この供給方法は、他の業界でのヘリウムの大口使用者に提供することもできる。
【0054】
本発明の様々な修正形態及び変形形態が当業者には明らかであり、そのような修正形態及び変形形態を本出願の範囲並びに特許請求の範囲の精神及び範囲内に含めることができることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超高純度ヘリウムガスを使用現場に配送するための方法において、
極低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの一次容器を提供するステップであって、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液及びガスを含み、前記一次容器が、前記超高純度ヘリウム液及びガスを保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を有し、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層、および1つ又は複数の熱遮蔽層を有し、前記真空断熱層及び前記熱遮蔽層は、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して並べられ、前記一次容器が、前記一次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの入口開口を有し、前記入口開口を通して、超高純度ヘリウムガスを前記内部容器区室に供給することができ、前記一次容器が、前記一次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液を前記内部容器区室から分配することができるステップと、
極低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの二次容器を提供するステップであって、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液及びガスを含み、前記二次容器が、前記超高純度ヘリウム液及びガスを保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を有し、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層、及び1つ又は複数の熱遮蔽層を有し、前記真空断熱層及び前記熱遮蔽層は、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して並べられ、前記二次容器が、前記二次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、超高純度ヘリウムガスを前記一次容器の前記内部容器区室に分配することができ、前記二次容器は、前記一次容器と超高純度ヘリウムガスの流れが連絡し、前記二次容器が、前記二次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液を前記内部容器区室から分配することができるステップと、
任意選択で、前記一次容器及び/又は前記二次容器から少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場に超高純度ヘリウムガスを配送するステップであって、前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、前記使用現場への超高純度ヘリウムガスの流量を制御するための背圧弁を有しているステップと、
前記二次容器から前記一次容器に超高純度ヘリウム流体を入れるステップであって、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウムガスを含み、前記超高純度ヘリウムガスが、前記一次容器から超高純度ヘリウム液を放出するのに十分な圧力で前記一次容器内に入れられるステップと、
前記超高純度ヘリウム液を前記一次容器から少なくとも1つの気化装置に搬送するステップであって、前記気化装置が、少なくとも1つの入口開口を有し、前記入口開口を通して超高純度ヘリウム液を前記気化装置に供給することができ、前記気化装置が、少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して超高純度ヘリウムガスを前記気化装置から分配することができるステップと、
前記気化装置内で前記超高純度ヘリウム液の相転移を行って、超高純度ヘリウムガスを生成するステップと、
前記超高純度ヘリウムガスを前記気化装置から前記使用現場に配送するステップと
を含む方法。
【請求項2】
(i)前記二次容器から前記一次容器の前記内部容器区室内に供給される前記超高純度ヘリウムガス、(ii)前記1つ又は複数の熱遮蔽層、及び/又は(iii)少なくとも1つのエコノマイザ装置を利用して、前記使用現場への前記超高純度ヘリウムガスの配送速度を制御するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)前記二次容器から前記一次容器の前記内部容器区室内に供給される前記超高純度ヘリウムガスが、前記少なくとも1つの一次容器から前記少なくとも1つの気化装置への前記超高純度ヘリウム液の配送速度、前記少なくとも1つの気化装置から前記使用現場への超高純度ヘリウムガスの配送速度、及び前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から前記少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場への超高純度ヘリウムガスの配送速度を制御し、(ii)前記1つ又は複数の熱遮蔽層が、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内の前記超高純度ヘリウム液の正味蒸発速度を制御し、前記正味蒸発速度が、前記少なくとも1つの一次容器から前記少なくとも1つの気化装置への前記超高純度ヘリウム液の配送速度、及び前記少なくとも1つの気化装置から前記使用現場への超高純度ヘリウムガスの配送速度を制御し、且つ前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から前記少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場への前記超高純度ヘリウムガスの配送速度を制御し、(iii)前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内の超高純度ヘリウム液を維持しながら、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から前記使用現場への前記超高純度ヘリウムガスの配送速度を制御する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数の熱遮蔽層が、熱遮蔽流体を保持するために内部区室を有し、前記熱遮蔽流体が液体又はガスを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の熱遮蔽層が、液体窒素(LN)熱遮蔽層及びヘリウムガス熱遮蔽層を有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(i)前記一次容器及び/又は前記二次容器の蒸気空間及び/又は熱遮蔽層から、少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場に超高純度ヘリウムガスを配送するステップと、(ii)前記二次容器の蒸気空間及び/又は熱遮蔽層から、前記一次容器に超高純度ヘリウムガスを入れるステップであって、前記超高純度ヘリウムガスが、前記一次容器から超高純度ヘリウム液を放出するのに十分な圧力で前記一次容器内に入れられるステップとの少なくとも一方を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱遮蔽層が、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内への熱の漏れを減少し、それによって前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内の前記超高純度ヘリウム液の正味蒸発速度を減少させる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記熱遮蔽層が、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内への熱の漏れを減少し、それによって前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内の前記超高純度ヘリウム液の正味蒸発速度を減少させ、またそれによって前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から引き抜く必要がある超高純度ヘリウムガスの量を減少させて、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器の最大許容作業圧力を維持する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの一次容器及び/又は前記少なくとも1つの二次容器内の超高純度ヘリウム液を維持しながら、前記少なくとも1つの一次容器及び/又は前記少なくとも1つの二次容器から超高純度ヘリウムガスを引き出して前記使用現場に配送するように前記少なくとも1つのエコノマイザ装置を制御するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器がISOコンテナを有する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記超高純度ヘリウムガスが、前記使用現場で少なくとも約10Nm/時の使用速度で使用される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記使用現場が半導体製造現場である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
(i)前記超高純度ヘリウムガスが、堆積チャンバ内に前駆体を導入するためのキャリア・ガスとして使用され、(ii)前記超高純度ヘリウムガスが、LCDプロセスでのドライ・エッチングのために使用され、(iii)前記超高純度ヘリウムガスが、シリコン層のエッチング・プロセスの速度及び均一性を制御するために背面冷却で使用され、又は(iv)前記超高純度ヘリウムガスが、漏れ及びライン・パージの検査のために使用される請求項1に記載の方法。
【請求項14】
引き抜かれる前記超高純度ヘリウム液中の少なくとも1つの不純物の濃度が所定の限度値になる温度以下の温度で、前記一次容器から超高純度ヘリウム液を引き抜くステップをさらに含み、前記少なくとも1つの不純物が、水、二酸化炭素、酸素、アルゴン、及び窒素から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記超高純度ヘリウムガスを前記使用現場に配送する前に、前記超高純度ヘリウムガスを低温圧力保護(LTPP)ユニット及び濾過装置に通すステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
超高純度ヘリウムガスを使用現場に配送するためのシステムにおいて、
極低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの一次容器であって、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液及びガスを含み、前記一次容器が、前記超高純度ヘリウム液及びガスを保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を有し、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層、及び1つ又は複数の熱遮蔽層を有し、前記真空断熱層及び前記熱遮蔽層は、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して並べられ、前記一次容器が、前記一次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの入口開口を有し、前記入口開口を通して、超高純度ヘリウムガスを前記内部容器区室に供給することができ、前記一次容器が、前記一次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液を前記内部容器区室から分配することができる一次容器と、
極低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの二次容器であって、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液及びガスを含み、前記二次容器が、前記超高純度ヘリウム液及びガスを保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を有し、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層、及び1つ又は複数の熱遮蔽層を有し、前記真空断熱層及び前記熱遮蔽層は、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して並べられ、前記二次容器が、前記二次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、超高純度ヘリウムガスを前記一次容器の前記内部容器区室に分配することができ、前記二次容器は、前記一次容器と超高純度ヘリウムガスの流れが連絡し、前記二次容器が、前記二次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液を前記内部容器区室から分配することができる二次容器と、
前記二次容器の上部又は上部付近にある少なくとも1つの出口開口から、前記一次容器の上部又は上部付近にある前記少なくとも1つの入口開口に外から延びる超高純度ヘリウムガス供給ラインであって、前記入口開口を通して超高純度ヘリウムガスを前記一次容器の前記内部容器区室に分配することができ、前記超高純度ヘリウムガス供給ラインが、前記超高純度ヘリウムガスの流量を制御するための少なくとも1つの超高純度ヘリウムガス流量制御弁、及び少なくとも1つのエコノマイザ装置を有し、前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、前記使用現場への超高純度ヘリウムガスの流量を制御するための背圧弁を有している超高純度ヘリウムガス供給ラインと、
少なくとも1つの気化装置であって、前記気化装置が、少なくとも1つの入口開口を有し、前記入口開口を通して超高純度ヘリウム液を前記気化装置に供給することができ、前記気化装置が、少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して超高純度ヘリウムガスを前記気化装置から分配することができる気化装置と、
前記一次容器の底部よりも上方にある少なくとも1つの出口開口から、前記気化装置の前記少なくとも1つの入口開口まで外部に延びる超高純度ヘリウム液放出ラインであって、前記入口開口を通して超高純度ヘリウム液を前記気化装置に分配することができ、前記超高純度ヘリウム液供給ラインが、前記超高純度ヘリウム液の流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウム液流量制御弁を内部に含む超高純度ヘリウム液放出ラインと、
前記気化装置の少なくとも1つの出口開口から前記使用現場まで外部に延びる超高純度ヘリウムガス放出ラインであって、前記超高純度ヘリウムガス放出ラインが、前記超高純度ヘリウムガスの流量を制御するために少なくとも1つの超高純度ヘリウムガス流量制御弁を内部に含む超高純度ヘリウムガス放出ラインと
を有するシステム。
【請求項17】
前記超高純度ヘリウムガス放出ラインが、低温圧力保護(LTPP)ユニット及び濾過装置を含む請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
使用現場への超高純度ヘリウムガスの配送を制御するための方法において、
極低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの一次容器を提供するステップであって、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液及びガスを含み、前記一次容器が、前記超高純度ヘリウム液及びガスを保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を有し、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層、及び1つ又は複数の熱遮蔽層を有し、前記真空断熱層及び前記熱遮蔽層は、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して並べられ、前記一次容器が、前記一次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの入口開口を有し、前記入口開口を通して、超高純度ヘリウムガスを前記内部容器区室に供給することができ、前記一次容器が、前記一次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液を前記内部容器区室から分配することができるステップと、
極低温超高純度ヘリウム流体を含む少なくとも1つの二次容器を提供するステップであって、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウム液及びガスを含み、前記二次容器が、前記超高純度ヘリウム液及びガスを保持するために内部容器区室を形成するように構成された1つ又は複数の壁部材を有し、前記内部容器区室が、1つ又は複数の真空断熱層、及び1つ又は複数の熱遮蔽層を有し、前記真空断熱層及び前記熱遮蔽層は、前記1つ又は複数の壁部材に隣接する前記内部容器区室の周縁部で互いに隣接して並べられ、前記二次容器が、前記二次容器の上部又は上部付近に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、超高純度ヘリウムガスを前記一次容器の前記内部容器区室に分配することができ、前記二次容器は、前記一次容器と超高純度ヘリウムガスの流れが連絡し、前記二次容器が、前記二次容器の底部よりも上方に少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して、前記超高純度ヘリウム液を前記内部容器区室から分配することができるステップと、
任意選択で、前記一次容器及び/又は前記二次容器から少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場に超高純度ヘリウムガスを配送するステップであって、前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、前記使用現場への超高純度ヘリウムガスの流量を制御するための背圧弁を有しているステップと、
前記二次容器から前記一次容器に超高純度ヘリウム流体を入れるステップであって、前記超高純度ヘリウム流体が、超高純度ヘリウムガスを含み、前記超高純度ヘリウムガスが、前記一次容器から超高純度ヘリウム液を放出するのに十分な圧力で前記一次容器内に入れられるステップと、
前記超高純度ヘリウム液を前記一次容器から少なくとも1つの気化装置に搬送するステップであって、前記気化装置が、少なくとも1つの入口開口を有し、前記入口開口を通して超高純度ヘリウム液を前記気化装置に供給することができ、前記気化装置が、少なくとも1つの出口開口を有し、前記出口開口を通して超高純度ヘリウムガスを前記気化装置から分配することができるステップと、
前記気化装置内で前記超高純度ヘリウム液の相転移を行って、超高純度ヘリウムガスを生成するステップと、
前記超高純度ヘリウムガスを前記気化装置から前記使用現場に配送するステップと、
前記二次容器から前記一次容器の前記内部容器区室内に供給される前記超高純度ヘリウムガス、前記1つ又は複数の熱遮蔽層、及び/又は少なくとも1つのエコノマイザ装置を利用して、前記使用現場への前記超高純度ヘリウムガスの配送を制御するステップと
を含む方法。
【請求項19】
(i)前記二次容器から前記一次容器の前記内部容器区室内に供給される前記超高純度ヘリウムガスが、前記少なくとも1つの一次容器から前記少なくとも1つの気化装置への前記超高純度ヘリウム液の配送速度、前記少なくとも1つの気化装置から前記使用現場への超高純度ヘリウムガスの配送速度、及び前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から前記少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場への超高純度ヘリウムガスの配送速度を制御し、(ii)前記1つ又は複数の熱遮蔽層が、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内の前記超高純度ヘリウム液の正味蒸発速度を制御し、前記正味蒸発速度が、前記少なくとも1つの一次容器から前記少なくとも1つの気化装置への前記超高純度ヘリウム液の配送速度、及び前記少なくとも1つの気化装置から前記使用現場への超高純度ヘリウムガスの配送速度を制御し、且つ前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から前記少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場への前記超高純度ヘリウムガスの配送速度を制御し、(iii)前記少なくとも1つのエコノマイザ装置が、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器内の超高純度ヘリウム液を維持しながら、前記少なくとも1つの一次容器及び前記少なくとも1つの二次容器から前記使用現場への前記超高純度ヘリウムガスの配送速度を制御する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(i)前記一次容器及び/又は前記二次容器の蒸気空間及び/又は熱遮蔽層から少なくとも1つのエコノマイザ装置を通して前記使用現場に超高純度ヘリウムガスを配送するステップと、(ii)前記二次容器の蒸気空間及び/又は熱遮蔽層から前記一次容器に超高純度ヘリウムガスを入れるステップであって、前記超高純度ヘリウムガスが、前記一次容器から超高純度ヘリウム液を放出するのに十分な圧力で前記一次容器内に入れられるステップとの少なくとも一方を含む請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−500454(P2013−500454A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522885(P2012−522885)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/042276
【国際公開番号】WO2011/014373
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(392032409)プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】