説明

バルブ、例えば超高純度ガスのためのボトル用バルブ

【課題】高純度用途に適したバルブを提供すること
【解決手段】加圧ガスまたは液化ガスのためのバルブは、ガスフローチャンネル(16)を有するバルブ本体(12)と、ショルダー(62)が設けられている自由端(60)を有する開閉要素(32)のための前記チャンネル内に設けられたシールシート(30)とを備える。開閉要素(32)の自由端(60)には環状シール(64)が取り付けられ、この環状シール(64)は、シールシート(30)に向いた前記端面(66)と、開閉本体のショルダー(62)に当接する後方端面(68)を有する。保持リング(70)は、環状シール(64)を円周方向に囲むと共に、前記環状シール(64)の前方端面(66)の外側エッジに当接するラジアルリップ(72)を含む。環状シール(64)は、前方端面のエッジに位置する環状ショルダー(74)を備え、保持リング(70)を有するラジアルリップ(72)は、環状シール(64)の外側環状ショルダー(74)に向いた環状ビード(76)を有する。環状ビード(76)が環状シール(64)の外側環状ショルダー(74)内に軸方向に進入し、環状シール(64)を圧縮するよう、保持リング(70)は、外側のリーク防止円周溶接部(77)によって開閉要素(32)に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガスまたは液化ガスのボトル(またはシリンダ)のためのバルブに関する。このバルブは特に、超高純度ガスに関係する用途に適す。
【背景技術】
【0002】
今日、所定の業界によって必要とされる特殊ガスおよび高レベル純度のガスの使用が広く普及した結果、製品の品質および完全性を改善するために、ガス分配のためのバルブシステム、バルブおよびその他の機器のメーカーにより努力が続けられている。
【0003】
半導体業界、例えば高純度ガスのための分配システムは、既に開発されている。その理由は、ガス内の不純物が存在すると、成分の電気的性質に修復不能な影響が及び、従って製品の歩留まりを低下させることになる。更にこれらガスは高価で、極めて高い反応性があり、腐食性であり、有毒でもあるので、信頼性のある適切な機器であることが不可欠である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら努力にもかかわらず、高純度を必要とする用途で使用されている所定のバルブの構造は、これまで完全に満足できるものとは見なされていない。このタイプのバルブは、例えば内部にシールシート(seat)が配置されたガスフローチャンネルを有するバルブ本体を含む。このバルブの下方ステムの端部は、閉塞(開閉)部材として作動し、この端部は環状溝内に取り付けられたポリマー材料製の環状シールを含む。環状溝は、下方ステムの自由端により内側面に構成されており、外側は保持リングによって構成されている。
【0005】
シールを保持するのに一般に2つのタイプのアセンブリが使用されている。第1のケースでは、保持リングは環状シールに接触する側面に一連の歯を備え、これら歯はシールに進入し、よってシールが力によって環状溝に挿入されるよう、シールを係止する。これとは異なり、第2のケースでは、下方ステムの自由端のまわりに環状シールが位置し、リングがその周辺で環状シールを囲むように下方ステムに螺合または設置することによって、リングが締結されている。この場合、保持リングはポリマーシールの面の外側エッジに当接したラジアルリップを含むことができる
【0006】
上記のように、高純度(HP)および超高純度(UHP)用途は、純度およびガス密性に関して高い条件を必要とする。しかしながら上記構造では、歯が存在することは、シールが摩耗することを意味し、これによって粒子が生じ、デッドスポット(シールによって占有されない容積部)が生じることを意味する。ねじ切りされたリングでは、ネジ部でガス密性を保証できず、ネジ部での摩擦によっても粒子が生じ得る。更に、リングを螺合する際に、この螺合はシールにねじり力を加え、シールを変形させ得る。最後に、クリンプ加工による組み立て時には、ガス密性の組立体を保証できず、環状シールの保持期間を精密に制御することもできない。
【0007】
従って、現在の構造は、純度および超純度のガスを使用する用途に対して望まれないデッドゾーンと、潜在的なリークゾーンを含む。
【0008】
本発明の目的は、HPおよびUHP用途の条件に良好に適合したバルブを提案することにある。本発明によれば、この目的は、請求項1に記載のバルブによって達成される。
【0009】
本発明によれば、圧縮ガスまたは液化ガスのためのバルブは、入口と出口との間に延びるガスフローチャンネルが備えられたバルブ本体と、前記ガスフローチャンネル内に設けられた第1シールシートを備える。第1シールシートに結合された閉塞部材は、ショルダーが設けられた自由端を有する。閉塞部材のこの自由端には、ポリマー材料製の環状シールが取り付けられており、この環状シールは、第1シールシートに向いた前方自由端面と、開/閉本体のショルダーに当接する後方端面とを有する。閉塞部材に固定された保持リングが環状シールを円周方向に囲んでおり、この閉塞部材は、前記環状シールの前方端面の外側エッジに当接しているラジアルリップを含む。閉塞部材は、第1シール位置で、第1シートに向かって軸方向に移動することができ、第1シール位置では環状シールがバルブの主要なガス密性(シール)を保証するように、第1シートに対して押圧される。
【0010】
本発明の重要な特徴によれば、前記環状シールは、その前方端面のエッジに外側環状ショルダーを備え、保持リングのラジアルリップは、環状シールのこの外側環状ショルダーに向いた環状ビードを有しており、保持リングは、円周方向外側ガス密溶接部により閉塞部材に固定され、よって前記環状ビード、環状シールの外側環状ショルダー内に軸方向に進入し、この環状シールを圧縮する。
【0011】
従って、本発明に係わるバルブでは、閉塞部材のショルダーの自由端だけでなく、保持リングによっても構成される環状溝内に環状シールが閉じ込められる。このタイプの閉じ込めによって、環状シールがシールシートに圧縮される際に、この環状シールのクリープ/変形を制御することが可能となっている。
【0012】
保持リングのラジアルリップ上に設けられた環状ビードにより、環状シールを環状溝内に圧縮し、空間全体を満たすだけでなく、ガスをトラップし得るデッドスポットを解消することも可能となる。ここで、環状シールおよびキャビティの寸法は、まず最初に環状ビードによって圧縮力が発生するように選択することが好ましいと理解すべきである。従って、保持リングを取り付けると、シールは環状ビードによって圧縮される。この環状ビードの別の利点は、環状シールが重要な圧縮ゾーンを適切に形成し、更にガス密/シールバリアを形成することである。
【0013】
最後に、ガス密状態での、かつ円周全体での溶接による固定は、クリンプ加工または螺合によって影響されることがない環状シールの後方でのガス密性を保証する。実際上、並びに精度および熱管理のため、溶接作業に対しては特にレーザーが好ましい。この溶接は、材料を供給しながら行うことができるし、材料を供給しなくても行うことができる。精密な溶接を実現できる他の溶接技術、例えば電子ビーム溶接も使用できる。溶接で保持リングを固定することによって、環状ビードによって生じる応力とは別に、環状シールに基本的には応力をかけることなく、閉塞部材の本体上にリングの簡単な組み立てを行うことができることにも留意すべきである。
【0014】
一実施形態によれば、閉塞部材の自由端は、環状シールの内側環状ショルダー内に径方向に進入する端部のラジアル突起を含む。閉塞部材の自由端は、ショルダーからラジアル突起に向かってサイズが縮小するような切頭形状とすることができる。端部のこのようなラジアル突起は、次のような2つの目的を有する。すなわち(1)環状シールを組み立てるときに、このラジアル突起が環状シールを所定位置に保持すること、(2)保持リングが一旦溶接されると、この突起が保持リングのリップ上の環状ビードによって得られる効果と同様なガス密バリア効果を発生することである。従って、この変形例では、環状シールの後方に向かってガスが通過するのを防止するよう、入口に2つのガス密バリアを含む環状溝内に環状シールが閉じ込められる。
【0015】
保持リングと閉塞部材との間の円周方向の外側溶接は、ショルダーに対してセットバックすると共に、軸方向に実施することが好ましい。この目的のために、閉塞部材は周辺環状ショルダーを含むことができ、この環状シールは、このショルダーに対して傾斜するが、このショルダーに対して軸方向にセットバックする。次に、閉塞部材の周辺環状ショルダーに保持リングを溶接する。この軸方向のオフセットにより、シールから所定距離で溶接を実行し、よって熱がシールを破損しないことを保証できる。
【0016】
バルブ本体はチャンネルを囲む第2シールシートを備え、閉塞部材は、第1シール位置から第2シール位置に軸方向に移動できることが好ましく、第2シール位置では、前記自由端は、前記第2シートと共に金属シールを作るように、この第2シート上に当接される。この第2シートが存在することは、環状シールが(摩耗または過剰に高い締結力により)破損または変位するか、または(火災により)消失している場合でも、金属製シールによってバルブを閉じることができるので、ガスが爆発性または毒性があることの多いUHP用途に対しては特に重要である。
【0017】
このタイプの第2シールシートは、第1シールシートが第2シールシートを囲むように通常設計され、前記第2シールシートに当接する、自由端の部分は、第2シールシートの高さにある前記ガスフローチャンネルの横断面より大きい横方向横断面を有することが理解できよう。
【0018】
実際の条件では、閉塞部材を前記第1シール位置から前記第2シール位置に切り換えるために必要な軸方向の変位量は、0.3mm未満、好ましくは約0.1mmである。
【0019】
閉塞部材は、通常軸方向制御ステムを含む制御部品によって制御され、軸方向制御ステムは少なくとも1つの軸方向の作動力を閉塞部材に伝え得るようになっている。この制御部品は手動制御タイプまたは自動タイプ(例えば空気圧タイプまたはソレノイドタイプ)とすることができる。
【0020】
一実施形態によれば、閉塞部材は、この閉塞部材を移動させるための軸方向ステム部分を備え、軸方向ステム部分は、制御部品の制御ステムの一体的部分でもよいし、この一体的部分に接続してもよい。制御ステムと前記閉塞部材の前記軸方向ステム部分との間は、使用が容易なことに起因し、分離可能な剛性接続部とすることが好ましい。
【0021】
従って、本発明に係わるバルブは、特にデッド容積部がなくても、閉塞部材のガス密性が良好なことから、特に超高純度用途に好ましいことが分かっている。ガスボトルのバルブとして使用するために、バルブ本体はボトルに固定されるようになっており、フローチャンネルの入口の開口部は一般にボトルの内部に開口する。しかしながら、本バルブを(流体)ガス分配のためのシステムにおける解放バルブ/タップとしても使用できる。この場合、バルブ本体を、ガス分配システムのパイプまたは他の要素に入口開口部および出口開口部に接続できるように変形することが好ましい。
【0022】
添付図面を参照しながら、下記の好ましい実施形態の詳細な説明から、本発明の上記以外の特徴が明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】閉塞部材の基本的なシール位置にある、本発明に係わるバルブの好ましい実施形態の長手方向横断面図である。
【図2】閉塞部材の長手方向横断面図である。
【図3】Aの拡大図である。
【図4】閉塞部材の横断面の分解図である。
【図5】保持リングを用いない閉塞部材の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明のバルブ10の好ましい変形例の長手方向横断面図を示し、このバルブ10は、バルブ本体12と、マニュアル制御部品14とを含む。このバルブ本体12は、ガスボトル(図示せず)に螺合されるようになっており、このバルブ本体はガスの入口18とガスの出口20との間に延びるガスフローチャンネル16を含む。
【0025】
この実施形態では、ガスフローチャンネル16は、入口18をバルブのチャンバ24に接続する入口チャンネル22と、バルブチャンバを出口20に接続する出口チャンネル26とによって形成されている。入口チャンネル22は、ネジ(図示せず)が設けられた本体12の下方部分を貫通しており、ネジによりバルブをボトルに螺合することが可能となっている。出口チャンネル26は、接続部28を形成する部分まで延びている。
【0026】
チャンバ24に到達する入口チャンネル22の端部は、環状ガス密シールを含む第1シールシート30によって囲まれており、閉塞部材32はシールシート30と協働し、閉塞部材32は軸方向位置に応じて流れを出口チャンネル26に向けたり、入口チャンネル22をガス密状態に閉じ、よって通路16を通過する流れを防止したりする。既に説明したように閉塞部材32は、制御部品14の制御ステム34により軸方向に移動し、制御部品14は中間ステム38を介して閉塞部材32のステム36の一部に接続されている。
【0027】
チャンバ24は、可撓性(プラスチックまたは金属製)膜40により、従来のように制御部品14からシールされている。図1および3から分かるように、この膜40はステム34の一部を囲み、チャンバ24の周辺まで延び、この周辺で膜40ははめ込み部42により保持される。はめ込み部42自体は、バルブ本体12のボア46に螺合され、強固に固定されているシールグランド44により保持されている。
【0028】
閉塞部材の作動は従来どおりであるので、この作動については簡単にしか述べない。ステム36の一部は、雄ネジを含み、この雄ネジによってステムは中間ステム38の凹部48の内側面のネジに螺合されている。中間ステム38自体は制御ステムの軸方向の移動と一体的となるが、回転角方向には一体的とならないよう、制御ステム34の下方端部に接続されている。制御ステム34は、シールグランド44内の雌ネジと協働する雄ネジを含む。制御ステム34の上端部にはホイール50が固定されており、このホイールの回転方向に応じて制御ステムはシールグランド44のネジの上で上下に移動し、よって閉塞部材32の軸方向の変位を生じさせ、この変位によって閉塞部材は、シールシート30に接近したり、離間したりする。
【0029】
図2および4を更に詳細に参照する。閉塞部材32は、自由端60とショルダー62とを有する本体33を備えることが理解できよう。この自由端60のまわりにはポリマー材料製の環状シール64(ディスクとも称される)が取り付けられており、環状シール64は、第1シールシート30に向いた前方端面66と、閉塞部材(開/閉本体)32のショルダー62に当接する後方端面68を有する。保持リング70は、環状シール64を円周方向に囲んでおり、この保持リング70は環状シール64の前方端面66の外側エッジに当接するラジアルリップ72を含む。特に環状シール64は、その前方端面66のエッジに外側環状ショルダー74を備え、保持リング70のラジアルリップ72は、環状シール64の外側環状ショルダー74に向いた環状ビード76を有すると認識すべきである。環状ビード76は、環状シール64の外側環状ショルダー74内に軸方向に進入し、このシールを圧縮するように、外側円周ガス密溶接部77によって閉塞部材32に保持リング70が固定されている。
【0030】
従って、閉塞部材32は、環状ディスク64を備え、自由端60、ショルダー62および保持リング70によって構成された環状溝内に閉じ込められており、ディスクは、シールシート30上で圧縮されると、保持リングにより良好に維持でき、よって(第1シール位置における)バルブの主要シールを形成できる。実際に、図3から分かるように、環状シールがシールシート30上に押圧されると、環状シールは、ラジアルリップ72と自由端60との間の環状溝の狭くなった出口に良好に保持される。
【0031】
閉塞部材の構造は、改良されたガス密性を更に保証している。第1に、保持リング70のラジアルリップ72上に設けられた環状ビード76は、環状シール64を環状溝内に圧縮することを可能にし、よって空間全体を満たすことができる。環状シール64および環状溝の寸法は、環状ビード76が所定位置に置かれたときに、この環状ビード76により最初に圧縮力が発生されるように選択することが好ましい。この特徴については図4および5を参照すると、より良好に理解できよう。実際の条件では、環状シールは、基本的には環状溝の形状に対応する初期形状(横方向の横断面)を有し、この初期形状では、環状シールは保持リング70を取り付けた後に環状溝内に閉じ込められる。次に、本体33の自由端60上で環状シールをスリップさせ、この環状シールの裏面の前方面68をショルダー62に当接させる。環状シール64の内側環状ショルダー80内に径方向に進入する端部のラジアル突起78が存在していることが観察される。このラジアル突起の機能の1つは、組み立て中に自由端60のまわりに環状シール64を係止することである。底部に向かう軸方向変位を受ける環状シール64をグリップし、このシールを良好に係止するよう、ラジアル突起78の、より高いシャープなうねが設けられている。
【0032】
次に閉塞部材の本体33に保持リングを位置決めし、溶接する。これを行うには、(図4のレイアウトに示されるように)リングを軸方向上向きに押し、リングを本体33に当接し、よってビード76を環状シール64のショルダー74内に進入させる。リングが所定位置に置かれたときに、このビードによって生じる変形/圧力により、環状溝内でのシール64の過剰圧縮が生じ、シール64全体が溝の内部容積部を占めるようにし、よってデッドスペースを解消する。
【0033】
環状ビード76の別の効果は、このビードが正確に環状シール64と共に重要な圧縮ゾーンを形成し、よってガス密なバリアを形成することである。
【0034】
閉塞部材32の本体33への強固でかつガス密な固定を保証するように、保持リング70の円周部全体を溶接する。従って、この溶接によって環状シール64の後方のゾーンをガス密状態に密封できる。このような密封は、リングに螺合したり、リングをクリンプ加工しても、得ることはできない。
【0035】
精度上の理由または熱的な問題から、レーザーによって溶接を実行することが好ましい。溶接中の熱により、環状シールが破壊されるのを防止するために、溶接を軸方向に実行し、ショルダー62に対してセットバックする。図から理解できるように、ショルダー62を囲む本体33の周辺環状ショルダー82で、外側円周方向の溶接を実施するが、ショルダー82は前記ショルダー62に対して軸方向にセットバックしない。
【0036】
最後に、径方向突起78の頂部のシャープなうねも、リング70を一旦所定位置に置いたときにビード76によって得られる効果に類似するガス密バリア効果を生じさせる。
【0037】
このような構造は、閉塞部材32の優れたガス密シールを保証する。その理由は、保持リング70が密に溶接され、2つのガス密バリアによりガスがシール64の後方に向かって流れるのを防止するからである。更にこの構造は、環状溝から前記シールを押し出すように働く環状シール64の後方で、ガス圧力が生じるのを防止できるからである。
【0038】
再度、図3を参照する。閉塞部材を、シール64とシート30との間でシールが実現される第1シール位置から第2シール位置へ軸方向に変位させることにより、チャンネル16を囲む第2シールシート88(図3)に第2シール(金属/金属)が座着されたときに、ラジアル突起78の下方エッジは、この第2シールを形成するよう、好ましくは円錐形の環状シール表面86として設計されていることが理解できよう。第2シールシート88は、第1シート30によって囲まれ、このシート88は丸くなったうねに類似した形状のガス密表面を含むことが理解できよう。
【0039】
閉塞部材を第1シール位置から第2シール位置へ移動させるのに、0.3mm未満、好ましくは約0.1mmの軸方向の変位をするための工夫を行うことができる。
【0040】
この第2シールは、シールが破損するか、または(例えば火災の後で)消滅したときでも、バルブのガス密閉鎖を保証できるとういう点で特に有利であることが判っている。
【0041】
環状シールは、ポリマー材料、好ましくは高圧でのガス透過率が低く、クリープが小さい熱可塑性ポリマーから製造される。特に環状シールは、PCTFE、Vespel(登録商標)(デュポン社)、RULON(登録商標)(サン−ゴバン社)、PVDFから製造できる。
【符号の説明】
【0042】
12−−−バルブ本体
16−−−ガスフローチャンネル
30−−−第1シールシート
32−−−閉塞部材(開閉要素)
60−−−自由端
62−−−ショルダー
64−−−環状シール
70−−−保持リング
72−−−ラジアルリップ
74−−−環状ショルダー
77−−−溶接部
88−−−第2シールシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ、例えば加圧ガスまたは液化ガスのボトルのためのバルブであって、
ガスフローチャンネル(16)を有するバルブ本体(12)と、
前記ガスフローチャンネル(16)内の第1シールシート(30)と、
ショルダー(62)が設けられた自由端を有する閉塞部材(32)と、
前記閉塞部材(32)の前記自由端(60)に取り付けられており、前記第1シート(30)に向いた前方端面(66)および前方閉塞部材(32)の前方ショルダー(62)に当接する後方端面(68)を有する環状シール(64)と、
前方環状シール(64)を円周方向に囲むと共に、前方環状シール(64)の前方前方端面(66)の外側エッジに当接するラジアルリップ(72)を有する保持リング(70)とを備え、前記閉塞部材(32)は、前記環状シール(64)が前記第1シート(30)に押圧され、よって環状シール(64)が前記バルブの主なガス密性を保証する第1シール位置となるように前記第1シート(30)に向かって軸方向に移動できるようになっているバルブにおいて、
前記環状シール(64)は、このシールの前方端面を囲む外側環状ショルダー(74)を備え、前記保持リング(70)の前方ラジアルリップ(72)は、前方環状シール(64)の前記外側環状ショルダー(74)に向いた環状ビード(76)を支持しており、前記保持リング(70)は、円周方向外側ガス密溶接部(77)により前記閉塞部材(32)に固定され、よって前記環状ビード(76)は、前記環状シール(64)の前記外側環状ショルダー(74)内に軸方向に進入し、この環状シール(64)を圧縮するようになっているバルブ。
【請求項2】
前記閉塞部材(32)の前記自由端(60)は、前記環状シール(64)の内側環状ショルダー(80)内に径方向に進入するラジアル端部突起(78)を備え、前記閉塞部材(32)の前記自由端(60)には、前記ショルダー(62)から前記ラジアル突起(78)の方向に狭くなるようなテーパがついている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記保持リング(70)と前記閉塞部材(32)との間の前記円周方向の外側ガス密溶接部(77)は、前記閉塞部材の前記ショルダー(62)に対して軸方向にセットバックしている、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記閉塞部材(32)は、前記ショルダー(62)を囲むが、前記ショルダーに対して軸方向にセットバックしている周辺環状ショルダー(82)を備え、前記保持リング(70)は、閉塞部材(32)に対してこの周辺環状ショルダー(82)に溶接されている、請求項3に記載のバルブ。
【請求項5】
前記円周方向の外側ガス密溶接部(77)は、レーザーによって形成されている、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項6】
前記バルブ本体(12)は、前記チャンネル(16)を囲む第2シールシート(88)を備え、前記閉塞部材(32)は、前記第1シール位置から第2シール位置に軸方向に移動でき、第2シール位置では前記自由端(60)は、前記第2シート(88)に当接し、よって前記第2シートにより金属シールが形成される、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項7】
前記第1シールシート(30)は、第2シールシート(88)を囲む、請求項6に記載のバルブ。
【請求項8】
前記第2シールシート(88)に当接する、前記自由端(60)の部分(86)は、前記第2シールシートの高さにある前記ガスフローチャンネルの横断面より大きい横方向横断面を有する、請求項6または7に記載のバルブ。
【請求項9】
前記閉塞部材(32)を前記第1シール位置から前記第2シール位置に切り換えるために必要な軸方向の変位量は0.3mm未満、好ましくは約0.1mmである、請求項6、7または8に記載のバルブ。
【請求項10】
前記バルブ本体(12)に取り付けられており、少なくとも1つの軸方向の作動力を前記閉塞部材(32)に伝えるための軸方向の制御ステム(34)を備える制御ヘッド(14)を特徴とする、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項11】
前記閉塞部材(32)は、閉塞部材が移動するための軸方向のステム部分(36)を備える、請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項12】
前記制御ステム(34)と前記閉塞部材(32)の前記軸方向ステム部分(36)との間の分離可能な剛性結合を特徴とする、請求項10および11に記載のバルブ。
【請求項13】
例えば超高純度ガスに対して使用するための、ボトル用バルブとして、またはガス分配チャンネル内のフローバルブとしての、請求項1〜12のうちのいずれか1項に記載のバルブの使用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−505073(P2010−505073A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529711(P2009−529711)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060294
【国際公開番号】WO2008/037786
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(503391430)ルクセンブルグ・パテント・カンパニー・ソシエテ・アノニマ (3)
【氏名又は名称原語表記】LUXEMBOURG PATENT COMPANY S.A.
【Fターム(参考)】