説明

バルブ

第1の開口のアレイを形成する第1の部分(401)と第2の開口のアレイを形成する第2の部分(2)とを備えるバルブ(50)であって、第1の部分(401)が、バルブを通る流体の通過を実質上防止するために第1の開口と第2の開口のアレイが一致しない閉鎖構造と、流体を通過させるために第1の開口と第2の開口のアレイが一致する開放構造との間で、第2の部分(2)に対して横方向に移動可能であり、第1および第2の部分(401、2)がバルブ全体にわたる圧力差(50)に応じて、閉鎖構造で係止するように構成されたバルブ。一実施形態では、第1および第2の部分(401、2)が閉鎖構造で係止されると、第1の部分(401)はバルブ全体にわたる圧力差によって第2の部分(2)に押し当てられ封止されるように構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、2つの別個の空間の間の気体および/または液体の流れを制御するバルブに関する。特に、本発明は、個々の空間内のそれぞれにおける圧力が、ある段階では、空間の間に圧力差がなく、別の段階では圧力差があるように変動する可能性のある用途で使用されるバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなバルブは、1つには気体の圧縮および/または膨張の際に適用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、本発明のバルブは、高効率、広バルブ面積、高速バルブ反応、および低圧力損失を必要とする用途での使用に適するであろう。本発明は、エンジン、真空ポンプ、コンプレッサ、エキスパンダ、その他のポンプ、ダクト、およびパイプ流の状況を含むが、それらに限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、第1の開口を形成する第1の部分と第2の開口を形成する第2の部分とを備えるバルブであって、バルブを通る流体の通過を実質上防止するために第1の開口と第2の開口が一致しない閉鎖構造と、流体を通過させるために第1の開口と第2の開口のアレイが一致する開放構造との間で、第1の部分が第2の部分に対して移動可能であるバルブが提供される。
【0005】
一実施形態では、第1および第2の部分がバルブ全体にわたる圧力差に応じてて、閉鎖構造で係止するように構成されている。このように、いったんバルブ全体にわたる圧力差が所定レベル未満に低減すると、第1および第2の部分は閉鎖構造から開放構造に自動的に移動するように付勢することができる。一実施形態では、第1および第2の部分が閉鎖構造で係止されると、さらに第1の部分はバルブ全体にわたる圧力差によって第2の部分に対して封止されるように構成することができる。このように、圧力差は、閉鎖位置にあるときは第1の部分と第2の部分との間の相対運動を防止し、封止力を提供するために使用することができる。
【0006】
バルブ全体にわたる圧力差が所定レベル未満に低下すると、第1および第2の部分は閉鎖構造において解除するように構成することができる。たとえば、バルブ全体にわたる圧力差がほぼゼロに近づくと、第1および第2の部分は、閉鎖構造において解除するように構成することができる。バルブ全体にわたる圧力差がほぼゼロまで下がると、このようなバルブは、係止され封止された構造から自動的に解放される。バルブはバルブが非荷重または軽荷重であり、2つの空間の間に圧力差が全くないあるいはほとんどないときのみに移動するため、摩耗を最小限にとどめられる。つまり、バルブは必要に応じて無潤滑状態にすることができる。
【0007】
第1および第2の部分のうち少なくとも1つは、略プレート状とすることができる。第1および第2の部分は、比較的軽量にすることができる。このように、軽量バルブ部材がバルブ全体にわたる小さな圧力差によっても適所に係止され、小さなエネルギー入力で迅速なバルブ運動を提供するのに使用可能なバルブを提供することができる。
【0008】
閉鎖構造において第1の開口と第2の開口とが一致せず、開放構造において第1の開口と第2の開口とが一致するように、第1の部分は第2の部分に対して横方向に移動可能とすることができる。このように、第1の部分は、第1および第2の部分が開放構造にあるときに気体の流路から外れて保持されるため、振動傾向が回避され、空気はバルブを通る制限されないバルブ通路を有する。
【0009】
第1の部分は、第2の部分に対して線形に移動する(すなわち、線形摺動バルブを形成する)ように構成する、あるいは第2の部分に対して回転する(すなわち、回転摺動バルブを形成する)ように構成することができる。第1の部分は、開放構造と閉鎖構造との間の移動中、第2の部分の封止面によって支持することができる。好都合なことに、第2の部分に対する第1の部分の摺動運動は、自己清浄機構として作用する傾向がある。第1の部分は、封止面の表面と平行に移動するように構成することができる。封止面の表面は、平面、単独の湾曲面(たとえば、円筒状面)、または回転面とすることができる。
【0010】
一実施形態では、第1の部分は、第2の部分の封止面の表面にほぼ沿って移動するように制限することができる。
第1および第2の部分は、第1の部分と第2の部分との間の制限摩擦によって、バルブ全体にわたる圧力差が存在するときに閉鎖構造で係止するように構成することができる。制限摩擦に頼ることができない状況下であっても、第1および第2の部分を閉鎖構造に維持するため、圧力差によって係止手段を提供することができる。係止手段は、第1の部分と第2の部分との間の横方向運動に対して追加の抵抗を提供する正圧駆動係止機構(たとえば、ラッチ機構)または静圧始動幾何制約(たとえば、保持突起またはスタッド)を備えることができる。
【0011】
バルブは、第1の部分を閉鎖構造から開放構造に移動させる開放手段と、第1の部分を開放構造から閉鎖構造に移動させる閉鎖手段とを備えることができる。開放手段および閉鎖手段は2つの別個の機構であってもよいし、単独の機構(たとえば、単独の空気式アクチュエータ)を備えていてもよい。
【0012】
一実施形態では、開放手段は、第1の部分が閉鎖構造にあるときに付勢作用を与えるように構成された開放バイアス手段を備えることができ、バルブは、第1の部分が開放構造にあるときに閉鎖手段と選択的に係合するトリガ手段をさらに備えることができる。このように、圧力がバルブをまだ適所に係止している間、開放手段はバルブに付勢力を印加する役割を果たし、圧力差によって生成される係止力(たとえば、摩擦力)を付勢力が超えると、バルブが圧力均等化または略圧力均等化の時点で開放される。
【0013】
閉鎖手段は、開放手段を越えるように構成された閉鎖力生成手段(たとえば、閉鎖バイアス手段)を備えることができる。バルブ全体にわたる圧力差は開放力生成装置の強度とバルブの封止面積とに関係するが、閉鎖力生成装置の強度には関係しない。トリガ手段の動作はバルブ全体にわたる圧力と無関係であってもよい。このようにして、閉鎖またはトリガタイミングは、様々なバルブ閉鎖位置を可能にするように変動させることができる。
【0014】
一実施形態では、閉鎖力生成手段は予荷重力生成装置を備えるため、力生成装置に予加重を与えるのにかかる時間に対して閉鎖事象が速くなる。別の実施形態では、第1の部分と第2の部分のうちの一方が、閉鎖手段を位置決めしてさらにリセットする1つまたは複数の閉鎖ピンを収容する位置スロットを備えることができる。同様に、第1の部分と第2の部分のうちの一方が、1つまたは複数の開放ピンを配置することのできる1つまたは複数の位置穴を備えることができる。
【0015】
閉鎖位置は、閉鎖力生成装置と組み合わせて1つまたは複数の正確に配置されたピンによって制御することができ、可撓プレート状部材はその間でピンと張って保持される。別の実施形態では、開放構造にあるとき、第2の部分に対する第1の部分の横方向位置は、開放バイアス手段と組み合わせて1つまたは複数の正確に配置されたピンによって制御することができ、該プレートはその間でピンと張って保持される。
【0016】
バルブは、第1の部分が圧力差によって閉鎖構造で係止されるときに閉鎖手段を選択的に離脱させるリセット手段をさらに備えることができる。バルブの閉鎖は、サイクル中の選択可能な変動する点で機械的に始動させることができる。
【0017】
開放手段は、開放ハウジング手段、開放ピン手段、および開放バネ手段を備えることができる。閉鎖手段は、閉鎖ハウジング手段、閉鎖ピン手段、トリガ手段、および閉鎖バネ手段を備えることができる。閉鎖バネ手段は、開放バネ手段よりも強力にすることができる。開放手段および閉鎖手段が単独の機構によって提供される場合、開放ピン手段および閉鎖ピン手段は単独のピンを備えることができる。
【0018】
第1の部分は、トリガ手段が始動されて、閉鎖バネ手段が第1の部分を(閉鎖ピン手段を介して)閉鎖構造に移動させるときに開放構造から閉鎖構造に移動するように構成することができる。第1の部分が閉鎖構造に向かって移動するにつれ、閉鎖バネ手段は開放バネ手段よりも強力であるため、開放ピン手段と開放バネ手段とは同時に移動するように構成することができる。
【0019】
閉鎖手段は、開放手段が係合される前に、機械的にリセットされるように、またトリガ手段は適所に係止されるように構成することができる。開放手段は、開放バネ手段と開放ピン手段とを介して開放構造で第1の部分を付勢するように構成することができる。このようにして、バルブプレートの両側の圧力が均等になる、あるいは略均等になると、第1の部分は閉鎖構造から開放構造に自動的に移動する。
【0020】
開放バイアス手段によって提供される付勢作用の強度は変更可能である。このようにして、様々なバルブ開放速度および開放時間を可能にするために、開放力を変動させることができる。たとえば、バルブをより早く開放させることによって、より速い運転を可能にするように開放力を変動させることができる。一実施形態では、開放バイアス手段によって提供される付勢作用の強度は、バルブ全体にわたるピークサイクル圧力差に応じて変更することができる。
【0021】
開放手段によって提供される開放力は、略非線形とすることができる。たとえば、開放バイアス手段によって提供される付勢作用は、略非線形とすることができる。一実施形態では、開放手段の消費するエネルギーは、少なくとも部分的に回復可能とすることができる。たとえば、開放エネルギーは、バネまたは磁石の使用によって回復させる、あるいは少なくとも部分的に回復させることができる。
【0022】
一実施形態では、開放装置は選択的に係合可能にすることができる。たとえば、開放手段は、バルブ全体にわたる圧力差が所定レベルを下回り、開放力生成手段を作動させるときを判定するセンサ手段を備えることができる。
【0023】
閉鎖手段によって提供される閉鎖作用(たとえば、付勢作用)の強度は変更可能である。このようにして、閉鎖力は様々なバルブ閉鎖速度および閉鎖時間を可能にするように変動させることができる。
【0024】
始動後、閉鎖手段は、第1の部分が閉鎖構造を取るまで閉鎖力を提供するように構成することができる。
一実施形態では、閉鎖エネルギーが回復される、あるいは少なくとも部分的に回復される。たとえば、閉鎖エネルギーは、バネまたは磁石によって回復させる、あるいは少なくとも部分的に回復させることができる。
【0025】
閉鎖事象は通常、第2の部分に対する第1の部分の正の位置を必要とするため、この正の位置を確保するために閉鎖力の一部が閉鎖時に残っていることが好ましい。
閉鎖手段によって生成される閉鎖力は、開放手段によって生成される開放力よりも実質上大きくすることができる。このようにして、閉鎖事象は常に閉鎖を導く。
【0026】
一実施形態では、第1および第2の部分は、第1の部分と第2の部分との間の相対運動(たとえば、振動運動)を制御する相互に係合可能な部分を備える。一実施形態では、相互に係合可能な部分は、1つまたは複数の位置ピンと、1つまたは複数の位置ピンを収容する対応する1つまたは複数のスロットとを備える。このように、第1の部分と第2の部分との間の相対運動をスロットによって形成する通路内で移動するように制限することによって、第1の部分と第2の部分との間の相対運動の方向と距離の両方を制御することができる。
【0027】
一実施形態では、第2の部分に対する第1の部分の運動は、第1の部分が単独の直線または単独の弧上で第2の部分に対して後退または前進し、他の方向への移動が最小限にとどめられるように、2つまたはそれ以上の正確に配置され寸法を調整された位置ピンによって制限される。好都合なことに、このような構造の使用によって、第1の部分と第2の部分との間の運動を、精密な始動機構を設ける必要なく正確に制御することができる。一実施形態では、第1および第2の部分が開放構造または閉鎖構造をとると、第1の部分と第2の部分のうちの一方が他方の部分で誘導ピンと接触する停止ピンをさらに備えることができる。
【0028】
プレート状部材が重心の後ろに位置する点から押される場合、プレート状部材を制して保持するのに必要な正確な誘導が必要となる場合がある。
一実施形態では、第1の部分は第1の開口のアレイを備え、第2の部分は第2の開口のアレイを備える。第1の構造において第1および第2の開口のアレイが一致せず、第2の構造において第1および第2の開口のアレイが一致するように、第1の部分は第2の部分に対して横方向に移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1a】本発明に係る第1のバルブ機構の概略断面図。
【図1b】本発明に係る第1のバルブ機構の概略断面図。
【図1c】本発明に係る第1のバルブ機構の概略断面図。
【図2a】本発明に係る第2のバルブ機構の概略断面図。
【図2b】本発明に係る第2のバルブ機構の概略断面図。
【図2c】本発明に係る第2のバルブ機構の概略断面図。
【図2d】本発明に係る第2のバルブ機構の概略断面図。
【図3a】本発明に係るバルブ機構を組み込んだ複動ピストンの概略図。
【図3b】図3aに示すピストンのバルブ機構の概略断面図。
【図4a】図3aのピストンのバルブ手段の開放手段の概略図。
【図4b】図3aのピストンのバルブ手段の開放手段の概略図。
【図5a】図3aのピストンのバルブ手段の閉鎖手段の概略図。
【図5b】図3aのピストンのバルブ手段の閉鎖手段の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態を以下の添付図面を参照して例として説明する。
図1a〜図1cは、バルブプレート手段11と、バルブ封止面手段12と、開放ピン手段13と、閉鎖ピン手段14と、閉鎖スロット手段15とを備えるバルブ手段10を示す。バルブ手段10は、バルブ手段10を通って流体を通過させるためにバルブプレート手段11およびバルブ封止面12の対応する開口(図示せず)が一致する開放位置と、バルブ手段10を通る流体の通過を阻むためにバルブプレート手段11およびバルブ封止面12の対応する開口が完全に食い違う閉鎖位置との間で、バルブ封止面手段12に対してバルブプレート手段11を移動させることによって開放または閉鎖させることができる。
【0031】
図1aで、バルブ手段10は開放位置にあるバルブプレート手段11と共に示されている。開放位置をとるため、バルブプレート手段11の開口(図示せず)がバルブ封止面手段12の開口(図示せず)と並ぶように、バルブプレート手段11は開放ピン手段13によって閉鎖位置から開放位置へ移動させられる。
【0032】
開放ピン手段13は、圧力均等化または略圧力均等化の時点でバルブ手段11を第1の位置に移動させるため、プレート接触点手段16に力xを(たとえば、バネによって印加される付勢力の結果として)印加する。バルブプレート手段11は、閉鎖スロット手段15の接触点手段17で閉鎖ピン手段14に近づいて、あるいは接触して停止する。
【0033】
この構造において、バルブプレート手段11の位置は、単純に開放ピン手段13および閉鎖ピン手段14によって制御される。図1bは、バルブ封止面手段12の開口が バルブプレート手段11によって封止して閉鎖されるように、閉鎖位置にあるバルブプレート手段11を示す。
【0034】
開放位置から閉鎖位置へバルブプレート手段11を移動させるため、閉鎖ピン手段14は、接触点16で印加された開放ピン手段13の抵抗力xに打ち勝つように、接触点手段17でバルブプレート手段11に力yを印加している。力yは力xより大きいため、プレートは閉鎖位置に移動する。
【0035】
閉鎖構造において、圧力差Pがバルブ手段10にわたって印加され、バルブプレート手段11をバルブ封止面手段12に押し付けて封止する。この圧力Pは通常動作では、力xと力yよりもかなり大きい。
【0036】
図1cは、係止機構がリセットされた後に閉鎖位置での圧力Pによってバルブ封止面手段12に対して係止されたバルブプレート手段11を示す。
係止機構をリセットするため、閉鎖ピン手段14は、閉鎖スロット手段15の端部に接触しないように、しかもバルブプレート手段11に力を印加しないように閉鎖スロット手段15内で再ロードされ移動されている。開放バネ13は、接触点手段16を介してバルブプレート手段11に力xを印加している。圧力差が圧力均等化または略圧力均等化に至ると、開放ピン手段13はバルブ手段10を開放位置まで戻るように移動させることができる。
【0037】
大きなバルブ面積の場合、小さな圧力差がバルブプレート手段11上に大きな力を生成して該プレート手段を適所に係止し、その力は封止圧を提供するために使用することもできる。開口密度は、必要に応じて単独の開口から任意数の開口まで変動させることができる。小さな開口は、迅速な始動を提供する短い行程につながる。また、所与のプレート材料および厚みに対するより大きな圧力担持能力につながる。このように、開口が小さいほど、より迅速な始動とより低いプレート質量の両方が可能になる。軽量プレートを開放するのに必要な力は封止力に対して非常に小さいため、バルブ全体にわたる圧力差が非常に小さい、あるいは存在しないときはプレートを単に移動させるが、これは圧力均等化または略圧力均等化の時点で生じ、次いでバルブを閉鎖位置から開放位置へ移動させ、その他の力は全く含まれない。
【0038】
開放装置の最初の開放力が増加させられると、バルブプレート手段11が解放する圧力差も増加するが、サイクル圧に対してはまだ低いままであり得る。ただし、より大きな力は通常、より迅速なバルブ開放時間を確保し、多くの用途において有益になり得る。
【0039】
この最初の開放力は、低圧および/または低速用途において大きさを低減し、高圧および/または高速動作において大きさを増加させるために各種手段によって動作中に変動させることができる。システム内の圧力がバルブの良好な圧力係止を確保するのに十分なほど増加しないとき、この最初の開放力を始動時に低くしておくことが有効であるかもしれない。
【0040】
また、全体の開放力プロファイルをその形状において変動させることができる。包括的ではないが、その組み合わせのいくつかを簡単に挙げると、全体の移動範囲にわたって略一定の力にすることができる、最初は大きく最後は低くすることができる、あるいは、最初は低くして次第に増加させた後、エネルギーの一部を回復するまで逆転させるように非線形とすることができる。
【0041】
開放装置はバルブプレート手段11に力を一定に印加することができる、あるいはサイクルの特定の部分のためだけに現れることができる。とり得る構成は多数あるが、最も単純な構成は、閉鎖位置から開放位置へバルブプレート手段11を移動させるように力を印加するバネを使用することである。開放装置は、略一定の力を印加することができる。
【0042】
開放装置の力は、機械、水圧、空気圧、磁気、電気、またはその他の適切な力の生成手段とすることができる。閉鎖装置の力は、機械、水圧、空気圧、磁気、電気、またはその他の適切な力の生成手段とすることができる。
【0043】
閉鎖装置は、サイクル中の特定の時点で始動させられ、その機能はバルブ手段10を開放位置から閉鎖位置へ移動させることである。これがサイクル中に行われる時点は変動させることができるが、原則的には閉鎖事象は制御された時点で生じる。また、圧力差がバルブプレート手段11をバルブ封止面手段12に対して強制的に押し付ける方向に存在する場合にのみバルブは封止する。バルブ手段10はサイクル中のこの段階で開放され、この事象がサイクル時間に対して迅速であることが重要である。バルブ手段10を通る空気流が閉鎖時点で大きい(たとえば、閉鎖が中間サイクルで起こる場合、この最大値が通常ピストン内で生じる)、圧力差を増加させ、完全に閉鎖される前にバルブプレート手段11を適所に係止することができるが、このことは重大な性能上の問題となる。
【0044】
閉鎖装置はバルブプレート手段11を閉鎖位置に移動させる必要があり、その後で圧力差がバルブプレート手段を適所に係止し、閉鎖力を除去することができる。たとえば、閉鎖装置が機械的にトリガされるバネであって、開放装置が単純なバネである場合、圧力均等化が生じるときに開放装置がバルブプレート手段11を開放することができるように閉鎖装置をリセットすることができる。このリセット事象は、実際のバルブ閉鎖時間よりも遅く起こる。唯一の基準は、リセット事象が、開放装置を「発射させる」必要がある前に起きなければならないことだけである。閉鎖時間は、リセットよりもずっと速くすることができ、閉鎖時間はピストン速度などのその他の変数とは無関係である。
【0045】
閉鎖はカムまたはその他の装置によって駆動させることができるが、可能な場合は、閉鎖が毎回迅速で正確に行われることを確保するため予荷重トリガが利用される。閉鎖がピストン位置とカムとによって駆動される場合、速い閉鎖時間を達成するために、上死点(TDC)または下死点(BDC)近くにおけるバルブ事象がかなり遅いか、あるいはカムの荷重がずっと高いことを意味する。
【0046】
特定の構成では、このバルブで圧力範囲と開放時間との間でトレードオフをすることができる。通常は開放力が強いほど、開放時間が速くなり、バルブを解放する圧力差が大きくなる。従来のバルブと比べると、この圧力差はまだ非常に小さいが、バルブが圧力差によって係止されるので始動時に圧力範囲がない場合(両側とも加圧されていない)にこの圧力差が関係する可能性があり、圧力差がない場合は閉鎖して係止されない。したがって、これが問題となる場合、開放力を2つの空間の間の圧力範囲に関連付けるために使用可能な多くの手段(たとえば、機械式、空気式、磁気式等)がある。つまり、2つの空間の間の圧力範囲が増加するにつれて開放力が増加して、正確な動作とより迅速な運転が可能になることを意味する。
(図2a〜2d)
図2a〜2dは、バルブプレート手段111と、バルブ封止面手段112と、開放ピン手段113と、閉鎖ピン手段114と、位置ピン115および116と、スロット手段117、118、および119とを備えるバルブ手段110を示す。バルブ手段110を通って流体を通過させるためにバルブプレート手段111およびバルブ封止面手段112の対応する開口(図示せず)が一致する開放位置と、バルブ手段110を通る流体の通過を阻むためにバルブプレート手段111およびバルブ封止面112の対応する開口が完全に食い違う閉鎖位置との間で、バルブ封止面手段112に対してバルブプレート手段111を移動させることによって、バルブ手段110を開閉させることができる。
【0047】
図2aでは、バルブプレート手段111は開放ピン手段113によって閉鎖位置から開放位置に移動させられているため、バルブプレート手段111の開口はバルブ封止面手段112の対応する開口と揃っている。
【0048】
開放ピン手段113は、圧力均等化または略圧力均等化の時点でバルブプレート手段111を開放位置に移動させるためにプレート接触点手段120でプレートに力xを印加している。バルブプレート手段111は、接触点手段121を介して位置ピン116によって停止させられる。位置ピン手段115と閉鎖ピン手段114は好ましくは、スロット手段117および118の端部と接触しない。ただし、該プレートを正しく整列させておくのを助けるため、スロット手段115および119の側部は位置ピン115および116と接触していることが好ましい。
【0049】
この構造において、バルブプレート手段111の位置は好ましくは、位置ピン手段116によりピンと張った状態で保持されているバルブプレート手段111によって単に制御され、そこで位置ピン手段116は正確な停止位置を有効に提供する。バルブが開放されているとき、バルブ全体にわたる圧力差は存在しない。
【0050】
図2bは、閉鎖位置にあるバルブプレート手段111を示す。バルブ手段110は閉鎖ピン手段114によって開放位置から閉鎖位置に移動させられているため、バルブ封止面手段112内のポートはバルブプレート手段111によって閉鎖され封止されている。
【0051】
閉鎖ピン手段114はトリガによって始動され、開放ピン手段113の抵抗力xに打ち勝つためプレート接触点手段123に力yを印加する。yはxより大きいため、バルブプレート手段111は接触点手段122を介して位置ピン手段115と接触するまで移動する。
【0052】
この構造において、圧力差Pがバルブ手段110全体にわたり印加され、バルブプレート手段111をバルブ封止面手段112に押し付けて係止する。この圧力Pは通常動作では、開放力xと閉鎖力yの大きさよりもかなり大きい。
【0053】
位置ピン手段116は好ましくは、スロット手段119の端部と接触していない。ただし、該プレートを正しく整列させておくのを助けるため、スロット手段115および119の側部は位置ピン115および116と接触していることが好ましい 。
【0054】
この構造において、バルブプレート手段111の最初の位置は好ましくは、位置ピン手段115によりピンと張った状態で保持されているバルブプレート手段111によって単に制御され、そこで位置ピン手段115は正確な停止位置を有効に提供する。ただし、いったん圧力差Pが印加されれば、バルブプレート手段111は圧力が圧力均等化または略圧力均等化の時点で低下するまで移動しない。
【0055】
図2cは、係止機構がリセットされた後に閉鎖位置で圧力Pによってバルブ封止面手段112に押し付けられて係止されたバルブプレート手段111を示す。
バルブプレート手段111は圧力によって適所に係止されているため、スロット手段118の対向端部と非常に軽くだけ接触する、あるいは好ましくは該端部と接触しないように、スロット手段118の該端部の方に閉鎖ピン手段114を移動させることができる。この位置で、バルブプレート手段111は、閉鎖ピン114をスロット手段118の端部と実際に接触させないで開放位置まで移動することができる。このように、閉鎖機構は有効に「リセット」されている。バルブプレート手段111は圧力差Pのため移動できない。
【0056】
図2dは、圧力均等化または略圧力均等化の時点で、図2aに示す開放位置まで移動したバルブプレート111を示す。
(図3a)
図3aは、複数の封止ポート60を含むピストン面手段2と、保持プレート手段402と、バルブプレート手段401と、開放手段100と、閉鎖手段200とを有するバルブ手段50を備える複動ピストン手段1の概略図である。
(図3b)
図3bは、開放バネ手段101、開放ピン手段102、および開放ハウジング手段103を備える開放手段100と、閉鎖バネ手段201、閉鎖ハウジング手段203、トリガ手段204、および閉鎖ピン手段202、トリガスロット手段205およびリセットローラ206を有する閉鎖シャフト手段207を備える閉鎖手段200と、駆動シャフト手段250と、リセットカム手段301およびトリガ停止手段302を備える定置制御ロッド手段300と、バルブ封止面手段400と、バルブプレート手段401と、保持プレート手段402と、位置ピン手段403および404と、を備えるバルブ手段50を示す。
【0057】
バルブ全体にわたる圧力差がないときにバルブプレート手段401がバルブ封止面手段400と平行な方向に自由に摺動できるように、バルブ封止面手段400と保持プレート手段402はその間にバルブプレート手段401を挟む。
【0058】
開放手段100と閉鎖手段200はどちらも保持プレート手段402上に配置される。開放ピン手段102と閉鎖ピン手段202はバルブプレート手段401を通過して、バルブ封止面手段400のスロットに入る。位置ピン手段403および404は、バルブ封止面手段400の凹部に位置する。
【0059】
これらのアイテムはすべて、上下に移動可能な駆動シャフト手段に装着される。定置制御ロッド手段300は、駆動シャフト手段250内に配置される。制御ロッド手段300上には、リセットカム手段301とトリガ停止手段302が配置される。これらのアイテムはすべて定置式であり、駆動シャフト手段250および装着構造はこれらの部品を超えて上下に移動する。
【0060】
開放ピン手段102が開放バネ手段101を圧縮する方向に移動させられると、開放バネ手段101は、バルブ全体にわたる圧力差が圧力均等化または略圧力均等化にあるときに開放ピン手段102を介してプレートバルブ手段401を開放するために利用可能な抵抗力を提供する。
【0061】
リセットローラ手段206はリセットカム手段301に沿って移動すると、閉鎖バネ手段201が圧縮されてトリガ手段204がトリガスロット手段205内に落下するように、閉鎖シャフト手段207を閉鎖ハウジング手段203内に押し込む。リセットローラ手段206はリセットカム手段301を超えて移動し、閉鎖バネ手段201はトリガスロット手段205を介して閉鎖シャフト手段207をトリガ手段204に押し付ける。この位置において、開放手段は、圧力均等化または略圧力均等化で、バルブ手段を第2の位置から第1の位置へ移動させることができる。
【0062】
トリガ手段204はトリガ停止手段302に接触すると、トリガ手段204をトリガスロット手段205の外へ持ち上げ、閉鎖バネ手段201は、閉鎖ピン手段202に装着されたバルブ手段が第1の位置から第2の位置に移動するように、閉鎖シャフト手段207を介して閉鎖ピン手段202を移動させる。
【0063】
バルブ手段の第1の位置から第2の位置への移動が圧縮によって開放バネ手段を「再ロード」するように、閉鎖バネ手段201は開放バネ手段101より強力である。
(図4aおよび図4b)
図4aおよび図4bは、開放バネ手段101と、開放ピン手段102と、開放ハウジング手段103とを備える開放手段100を示す。
【0064】
開放バネピン手段102が開放バネ手段101を圧縮する方向に移動すると、開放バネ手段101は、バルブ全体にわたる圧力差が圧力均等化または略圧力均等化にあるときに開放ピン手段102を介してバルブ手段(図示せず)を開放するために利用可能な抵抗力を提供する。
(図5aおよび図5b)
図5aおよび図5bは、閉鎖バネ手段201と、閉鎖ハウジング手段203と、トリガ手段204と、閉鎖ピン手段202、トリガスロット手段205、およびリセットローラ206を有する閉鎖シャフト手段207とを備える閉鎖手段200を示す。
【0065】
リセットローラ手段206はリセットカム手段(図示せず)に沿って進むと、閉鎖バネ手段201が圧縮され、トリガ手段204がトリガスロット手段205内に落下するように、閉鎖シャフト手段207を閉鎖ハウジング手段203内に押し込む。リセットローラ手段206はリセットカム手段(図示せず)を超えて移動し、閉鎖バネ手段201はトリガスロット手段205を介して閉鎖シャフト手段207をトリガ手段204に押し付ける。この位置において、開放手段は、圧力均等化または略圧力均等化で、バルブ手段を第2の位置から第1の位置へ移動させることができる。
【0066】
トリガ手段204はトリガ停止手段(図示せず)に接触すると、トリガ手段204をトリガスロット手段205の外へ持ち上げ、閉鎖バネ手段201は、閉鎖ピン手段202に装着されたバルブ手段が第1の位置から第2の位置に移動するように、閉鎖シャフト手段207を介して閉鎖ピン手段202を移動させる。
【0067】
バルブ手段の第1の位置から第2の位置への移動が圧縮によって開放バネ手段を「再ロード」するように、閉鎖バネ手段201は開放バネ手段(図示せず)より強力である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口を形成する第1の部分と第2の開口を形成する第2の部分とを備えるバルブであって、
前記第1の部分が、前記バルブを通る流体の通過を実質上防止するために前記第1の開口と前記第2の開口が一致しない閉鎖構造と、流体を通過させるために前記第1の開口と前記第2の開口が一致する開放構造との間で、前記第2の部分に対して横方向に移動可能であり、
前記第1および第2の部分が、前記バルブ全体にわたる圧力差に応じて前記閉鎖構造で係止するように構成されているバルブ。
【請求項2】
請求項1記載のバルブにおいて、
前記第1および第2の部分が前記閉鎖構造で係止されると、前記第1の部分が、前記バルブ全体にわたる圧力差により前記第2の部分に対して封止されるように構成されているバルブ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のバルブにおいて、
前記第1および第2の部分のうち1つまたは複数が略プレート状であるバルブ。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のバルブにおいて、
前記バルブ全体にわたる前記圧力差がほぼゼロになると、前記第1および第2の部分が、前記閉鎖構造において解除されるように構成されているバルブ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブは、更に、
前記第1の部分を前記閉鎖構造から前記開放構造へ移動させる開放手段と、
前記第1の部分を前記開放構造から前記閉鎖構造へ移動させる閉鎖手段とを備えるバルブ。
【請求項6】
請求項5記載のバルブにおいて、
前記開放手段は、前記第1の部分が前記閉鎖構造にあるときに付勢作用を与えるように構成された開放バイアス手段を備え、前記バルブは、更に、前記第1の部分が前記開放構造にあるときに前記閉鎖手段と選択的に係合するためのトリガ手段を備えるバルブ。
【請求項7】
請求項6記載のバルブにおいて、
前記閉鎖手段は、前記開放バイアス手段を越えるように構成された閉鎖力生成手段を備えるバルブ。
【請求項8】
請求項6又は7記載のバルブにおいて、
前記トリガ手段が、前記バルブ全体にわたる圧力とは関係なく動作可能であるバルブ。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載のバルブは、更に、
前記第1の部分が前記閉鎖構造にあるときに前記閉鎖手段を選択的に離脱させるリセット手段を備えるバルブ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のバルブにおいて、
前記第1の部分が、前記第2の部分の封止面によって形成される平面内で実質的に移動するように制限されるバルブ。
【請求項11】
請求項6記載のバルブにおいて、
前記開放バイアス手段によって提供される前記付勢作用の強度が変更可能であるバルブ。
【請求項12】
請求項11記載のバルブにおいて、
前記開放バイアス手段によって提供される前記付勢作用の強度が、前記バルブ全体にわたる圧力差に応じて変更されるバルブ。
【請求項13】
請求項6記載のバルブにおいて、
前記開放バイアス手段によって提供される前記付勢作用が略非線形であるバルブ。
【請求項14】
請求項13記載のバルブにおいて、
前記開放バイアス手段によって消費されるエネルギーが少なくとも部分的に回復可能であるバルブ。
【請求項15】
請求項6記載のバルブにおいて、
前記開放装置が選択的に係合可能であるバルブ。
【請求項16】
請求項7記載のバルブにおいて、
前記閉鎖バイアス手段によって提供される前記付勢作用の強度が変更可能であるバルブ。
【請求項17】
請求項5記載のバルブにおいて、
始動後、前記閉鎖手段は、前記第1の部分が前記閉鎖構造にある間は閉鎖力を提供するように構成されているバルブ。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2011−506873(P2011−506873A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537512(P2010−537512)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004092
【国際公開番号】WO2009/074803
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(510093314)アイゼントロピック リミテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】ISENTROPIC LIMITED
【Fターム(参考)】