説明

バレニクリンのチューインガム組成物

水不溶性基剤部;水溶性部;及びバレニクリン又はその医薬的に許容可能な塩の治療的に有効量を含むチューインガム組成物。個人の口腔内にバレニクリン又はその医薬的に許容可能な塩の有効量を含有するチューインガム組成物を投与し;そしてバレニクリン又はその医薬的に許容可能な塩をそのチューインガム組成物から個人の口腔内に放出させるべくガム組成物を咀嚼することにより、個人におけるニコチン中毒を減少させ、そしてタバコ製品の使用の中止又は減少を補助するための方法。チューインガム組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は医薬的使用のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
バレニクリン(varenicline)は次の構造を有する。
【化1】

【0003】
バレニクリンは、5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.04,9]-ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン又は7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]-ベンゾアゼピンとしても知られている。バレニクリン及びその医薬的に許容可能な酸付加塩は、1999年7月15日に発行された国際特許公報WO99/35131中に言及されており、その内容は参照によりここに組み込まれる。
【0004】
バレニクリンは、神経細胞ニコチン性アセチルコリン特異的受容体部位に結合し、コリン作動性機能を調節するのに有用である。そのため、この化合物は、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、壊疽性膿皮症及びクローン病等が挙げられるがこれに限定されるものではない)、過敏性大腸症候群、痙攣性ジストニア、慢性疼痛、急性疼痛、セリアック病、嚢炎、血管収縮、不安、パニック障害、うつ病、双極性障害、自閉症、睡眠障害、時差ぼけ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知障害、高血圧、過食症、食欲不振、肥満、心不整脈、胃酸分泌過多、潰瘍、褐色細胞腫、進行性核上性麻痺、薬物依存症及び薬物中毒(例えば、ニコチン(及び/又はタバコ製品)、アルコール、ベンゾジアゼピン類、バルビタール類、オピオイド類、又はコカインに対する依存症又は中毒症)、頭痛、片頭痛、脳卒中、外傷性脳障害(TBI)、強迫性障害(OCD)、精神病、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動亢進、失読症、統合失調症、多発脳梗塞認知症、年齢関連認知低下、小発作欠神癲癇を含む癲癇、アルツハイマー型老人性痴呆(AD)、パーキンソン病(PD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)及びトゥレット症候群を含むがこれに限定されない種々の状態や疾病の治療に有用である。
【0005】
バレニクリンは、高い効き目のある化合物であるので、その剤型は必ず賦形剤で高度に希釈されなければならない。その賦形剤は、十分に安定性のある剤型を与え、且つ薬物の溶解をコントロールする(例えば、2003年9月25日に発行された出願中の米国特許公報第2003-0180360 A1、及び2004年5月18日出願の出願番号第10/848,464(これらの内容は参照によりその全体がここに組み入れられる)に記載された制御された放出システムにおける、速溶解性又は遅溶解性のいずれかのように)、悪い味をマスキングする、及び剤型の製造に適当な性質(例えば、錠剤のための圧縮性)を与えるような所望の性質を付与する。最後に、賦形剤による高度の希釈のために、バレニクリンの希釈剤自体又は希釈剤の微量の不純物(例えば、分解物)との反応性は、特に問題となり得る。
【0006】
バレニクリンをチューインガム組成物の形で投与することには利点がある。例えば、バレニクリンの錠剤やカプセル投与のような経口剤型に比べて、チューインガム組成物を経由すると投与量の一部分が頬側及び舌下経路を通して急速に吸収されることを可能にする。それ以外の投与量は次いで唾液に懸濁され及び/又は溶解されて嚥下され最終的には消化管経路を経て吸収される。バレニクリンのチューインガム組成物は、錠剤、カプセル又は他の固形物を嚥下することが困難な患者による好ましい選択であろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バレニクリンの錠剤型は、ある場合には、患者にあるレベルの吐き気が示される。これらの副作用を減らす必要がある。チューインガム組成物からの場合のようなバレニクリン剤型の緩やかな放出は、吐き気の惹起を減少するために有用であることが判明し、その使用を必要としているより多くの患者にとってその薬の好ましさを増すであろう。
【0008】
したがって、バレニクリンのチューインガム剤型を供給する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、バレニクリン又はその医薬的に許容可能な塩のチューインガム組成物を供給する。バレニクリンの固体剤型は、チューインガム組成物中に存在する。本発明のガム組成物は咀嚼することにより、その薬は徐々に剤型から放出され、それにより遊離した薬の一部が頬側及び舌下経路から吸収されることを可能にし、又はそれは嚥下され消化管経路を経由して全身系に入る。バレニクリン又はその医薬的に許容可能な塩の、本発明によるチューインガム組成物によるこの緩やかな放出は、この薬に付随する吐き気の副作用を減少し又は無くすることができる。
【0010】
本組成物の一態様において、このチューインガムは少なくとも2分間咀嚼される。
【0011】
本組成物の一態様において、このチューインガムはバレニクリン酒石酸塩を含有する。
【0012】
本組成物の別の態様において、チューインガム組成物に入れられる、バレニクリン、好ましくはバレニクリン酒石酸塩の粉の粒子サイズは、その直径が約0.1ミクロンから約200ミクロンであり、より好ましくはその直径が0.1ミクロンから50ミクロンである。
【0013】
本組成物の別の態様において、このチューインガムの各片は約1mgから10mgの純粋なバレニクリン酒石酸塩、及び不溶性のガムベース、及びガムベース、充填剤、テクスチュライザー、軟化剤、乳化剤、甘味料、香味マスキング剤、食用色素及び香味剤を含むリストから選ばれる少なくとも一つの他の成分を含む。
【0014】
本組成物の別の態様において、このチューインガム製品はチューインガムのコア及び活性成分で構成される。
【0015】
本組成物の別の態様において、このチューインガムは活性成分を有する外部コーティング又はシェルで実質的に囲まれたコアを含むことができる。
【0016】
本組成物の別の態様において、その活性成分を有する圧縮可能な賦形剤は錠剤化され、次いでチューインガム製品を構成するコーティング又はシェルの中に置かれる。
【0017】
本組成物の別の態様において、その活性成分の一部を含む圧縮可能な賦形剤は錠剤化され、次いでチューインガム及び活性成分の残余の部分からなるコーティング又はシェルの中に置かれる。
【0018】
別の態様において、本発明は対象者のニコチン中毒を減少させる、タバコ使用の中止を補助する又はタバコ使用を減らす方法を提供する。
【0019】
一般的に本発明は、バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩の全身的吸収のためのチューインガム組成物及び関連する方法を提供する。
【0020】
本発明は、活性成分としてのバレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩を用いる。バレニクリンは、それ自体で又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物及び/又は水和物の形で使用され得る。バレニクリンの如何なる医薬的に許容可能な塩も本発明との関係で用いることができるが、その薬の塩の形を用いることが望ましい。その薬の特に望ましい塩の形はL−酒石酸塩である。
【0021】
とりわけ、本発明は対象者のニコチン中毒を減少させる、タバコ使用の中止を補助する又はタバコ使用を減らす方法を提供する。この方法は、対象者にニコチン中毒を減少させ、タバコ使用の中止を補助し又はタバコ使用を減らすのに有効量のバレニクリンをその薬のチューインガム剤型の投与を通して投与する段階を含む。
【0022】
本発明は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、壊疽性膿皮症、クローン病、過敏性大腸症候群、痙攣性ジストニア、慢性疼痛、急性疼痛、セリアック病、嚢炎、血管収縮、不安、パニック障害、うつ病、双極性障害、自閉症、睡眠障害、時差ぼけ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知障害、高血圧、過食症、食欲不振、肥満、心不整脈、胃酸分泌過多、潰瘍、褐色細胞腫、進行性核上性麻痺、薬物依存症及び薬物中毒;ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン類、バルビタール類、オピオイド類、又はコカインに対する依存症又は中毒症;頭痛、脳卒中、外傷性脳障害(TBI)、強迫性障害(OCD)、精神病、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動亢進、失読症、統合失調症、多発脳梗塞認知症、年齢関連認知低下、癲癇、小発作欠神癲癇、アルツハイマー型老人性痴呆(AD)、パーキンソン病(PD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群及び当業者に知られた他の如何なる同様な疾病又は状態を含むがこれに限定されない種々の状態や疾病の治療のために用いることができる。
【0023】
ここで用いられる用語「口腔内吸収」は、頬(つまり頬内面)組織を通しての薬吸収のための方法を意味する。
【0024】
ここで用いられる用語「舌下吸収」は、舌下のあらゆる組織を通しての本発明の活性化合物の搬送を意味する。
【0025】
ここで用いられる用語「粘膜経由吸収」は、あらゆる粘膜を通しての本発明の活性化合物の搬送を意味する。
【0026】
ここで用いられる用語「バレニクリン(varenicline)」は、神経細胞ニコチン性アセチルコリン特異的受容体部分に結合する薬を意味し、そしてコリン作動性機能を調節するのに有用である。バレニクリンは、次の一般式を有する。
【化2】

【0027】
バレニクリンは、親医薬及び全ての医薬的に許容可能な塩およびそのプロドラッグを含む。バレニクリンの親医薬は、1999年7月15日に発行された国際特許公報WO99/35131に記載されており、その内容は参照によりその全体がここに組みこまれる。あらゆる態様において、バレニクリン又はその医薬的に許容可能なあらゆる塩、溶媒和物及び/又は水和物を用いることができる。バレニクリンの製造方法は米国特許第6,410,550に記載され、その内容は参照によりその全体がここに組みこまれる。バレニクリンのラセミ混合物の分割はWO01/62736に記載され、その内容も又参照によりその全体がここに組みこまれる。
【0028】
用語「mgA」はこの薬の遊離塩基形態を基にした活性薬のミリグラム数を示す。
ここで用いられる用語「実質的に還元炭水化物を含まない(substantially reducing carbohydrate-free)」 は、還元炭水化物(ラクトースを含むがこれに限定されない)が約20w/w%より少ないことを意味する。好ましくは、本発明によって作られる剤型は、10w/w%より少ない、そして更に好ましくは5w/w%より少ない還元炭水化物を含む。
【0029】
用語「医薬的に許容可能な」は、物質又は組成物が剤型を構成する他の組成物と及び/又はそれにより治療される患者と化学的、物理的及び/又は毒性学的に両立できなければならないことを意味する。
【0030】
用語「医薬的に許容可能な塩」とは、有機酸及び無機酸から導かれる非毒性の酸付加塩を意味する。適当な塩誘導体は、ハロゲン化物、チオシアネート、硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、アリールスルホネート、アリールサルフェート、ホスホン酸塩、モノハイドロゲンホスフェート、ジハイドロゲンホスフェート、メタリン酸塩、ピロホスホン酸塩、アルカノエート、シクロアルキルアルカノエート、アリールアルカノエート、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、フマール酸塩、グルコヘプタノエート、グリセロリン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、ニコチン酸塩、蓚酸塩、パルミチン酸塩、ペクチニン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンフォスルフォネート、ジグルコン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等を含むがこれに限定されない。
【0031】
用語「活性成分」は、治療的に活性な化合物(すなわち、バレニクリン)並びにそのあらゆるプロドラッグ及びこの化合物並びにそのプロドラッグの医薬的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物を意味する。
【0032】
用語「他の成分」は、バレニクリン又はこの薬の医薬的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物と製剤される、あらゆる賦形剤、希釈剤、結合剤、滑沢剤、滑剤、担体、界面活性剤、充填剤、テクスチュライザー、軟化剤、乳化剤、甘味料、香料、食用色素及びこれらの混合物を意味する。
【0033】
用語「適切な時間」又は「適当な時間」は、所望の効果又は結果を達成するために必要な期間を意味する。例えば、混合物を、ブレンドされた混合物が所与の応用又は使用に許容の範囲となるよう十分な分配が達成されるまで混合することができる。
【0034】
用語「単位ドーズ」、「単位用量」又は「単位剤型」は、所望の治療効果を奏するために計算された所定量の活性成分を含む物理的に分離した単位を意味する。このチューインガム剤型は、錠剤、菱形糖菓(lozenge)、スティック、スラブ(slab)、 ペレット、四角形(squares)、ボール又は他の単位構造、及び当業者に知られた他の形態を含む形であることができるが、これに限られるものではない。
【0035】
ここで用いられる「有効量」は、個人におけるニコチン中毒の減少、タバコ使用の中止又は減量の技術において知られているような考察によって決められる量を意味し、ここにおいて、「有効量」は治療された個人において計ることができる軽減、例えば、これに限定されるものではないないが、より速い回復、症状の改善若しくは排除、又は悪化の減少、ニコチン含有混合物への依存性からの脱却、ニコチン含有混合物への欲求の消失、又は医学分野に精通した者に知られた適切な他の尺度の改善、を与えるのに有効でなければならない。
【0036】
本発明は多数の態様を有する。如何なる態様においても、バレニクリンの薬学的組成物は、望ましくは一日当り約0.1mgAから約6mgA(ここでmgAは薬の遊離塩基形態に基づく活性薬のmgを示す)までの範囲、より好ましくは約0.5から4mgA/日、最も好ましくは一日当たり約1から4mgAの用量で、単回で又は区分された用量で投与され得る。 そのような用量の変更は、しかし、治療される患者の体重と状態により必然的に起きる。個人の反応に応じて、前述の最低限度以下の用量レベルがより好ましいことがあり得るし、一方他の場合においては如何なる有害な副作用を起こすことなくより多くの用量を用いることができる。最終的な薬学組成物は、単回用量形態で製造され、次いで流通のために包装される。製造工程は各別のチューインガム剤型により異なる。当業者は各種の単位剤型の製造に用いられる工程について十分に知識を持っている。
【0037】
本発明の好ましい製剤は、約20質量%よりも少ない還元炭水化物を含有する。還元炭水化物の存在は貯蔵における薬の安定性に有害である。還元炭水化物は、バレニクリンの第2級アミンと反応しうる遊離のアルデヒド又はケトン基を有する糖類又はそれらの誘導体である。還元炭水化物の例は、モノサッカライド、ジサッカライド、ラクトース、グルコース、フルクトース、マルトース及び当業者に知られた他の同様な糖を含むがこれに限定されることはない。
【0038】
本発明は、バレニクリン及びその医薬的に許容可能な塩、ここでは活性成分という、を含有するチューインガム組成物及びそれを個人に投与する方法を供給する。したがって、このチューインガム組成物は少なくとも2分間咀嚼される。活性成分は、徐々に組成物から口腔内の唾液に放出される。継続的な咀嚼中に、大部分の活性成分は約30分の間に唾液に放出される。更に咀嚼する間に、実質的に全ての活性成分が約1時間の間に唾液に放出される。活性成分のある部分は口腔の口内粘膜を通して頬側又は舌下経路を経由して全身循環中に吸収され、薬の吸収の一部は消化管経路を経由して起きる。
【0039】
更に、チューインガム組成物中の活性成分は、このチューインガムから約1時間までの期間に亘り徐々に放出されると考えるのが妥当である。このチューインガム組成物からの活性成分の緩やかな放出は、胃、消化管及び血中において薬が過剰な濃度となることを防止すると考えられ、このことは延いては吐き気の副作用を減少し又は防止する。
【0040】
好ましくは、このチューインガム製剤中に含まれる活性成分の形態はバレニクリン酒石酸塩である。このチューインガム組成物に含まれるバレニクリン酒石酸塩の有効量は、チューインガム一つ当たり純粋バレニクリン酒石酸塩約0.1mgから10mgである。例えば、本発明の典型的なチューインガムの一片の総重量は約1から3グラムの重量であり、純粋なバレニクリン酒石酸塩の約0.1mgから約10mgをこの特定総量の一部として含有する。このようにして、バレニクリン酒石酸塩の一回分は、このチューインガム組成物の一片となる。
【0041】
本発明の活性成分は以下の米国特許文献に記載された各種の異なったチューインガム組成物中に含まれることができ、これらは参照としてここに組み込まれる:US 6,627,234; US 6,586,023; US 6,602518; US 6,592,850; US 6,613,346; US 6,558,692; US 6,531,114; US 6,465,003; US 6,426,090; US 6,355,265; US 6,350,480; US6,322,806; US 6,290,985。
【0042】
このチューインガムは、種々の異なった構造であることができる。例えば、このチューインガムは、単片例えばスティック、スラブ、又は他の単一構造であることができる。
【0043】
一方、このチューインガムは、外部コートされた構成を有することができる。これに関し、もし所望ならば、活性成分は、ガムセンターを実質的に覆うコーティング又はシェルの中に所在させることができる。あるいは、活性成分はガムセンター内に所在させることができる。又は、活性成分は、コーティング又はシェル及びガムセンターの両方に所在させることができる。コーティングは、一態様においてこのチューインガム組成物の約20から約75%からなることができる。活性成分に加えて、コーティングは、活性成分を含むコーティングの味を改善するためのマスキング剤を含むことができる。種々のマスキング剤が用いられ、その例としてはスクラロース(sucralose)、グルコン酸亜鉛、エチルマルトール、グリシン、アセスルファーム−K,アスパルテーム、サッカリン、フルクトース、キシリトール、噴霧乾燥されたカンゾウ根茎、グリチルリチン、デキストロース、ナトリウムグルトネート(sodium glutonate)、グルコノデルタラクトン、エチルバニリン、バニリン、標準及び強力甘味料、種々の適当な香料が挙げられる。活性成分の味をマスキングするために十分なマスキング剤が使われる。所望により、一つより多いマスキング剤が用いられる。
【0044】
コートされたチューインガムを製造するには種々の方法を用いることができる。例えば、コーティングはチューインガムセンターに3段階で施され得る。最初の段階で、シロップ及び活性成分の粗コーティングがセンターに施される。これに続いて完了コーティングと称される第2段階が行われ、ここでは滑らかな完了品を製造するために細かい粉末を用いより長く回転させる。最後にセラッキング(shellacking)及び光沢化の第3段階が行われ、高度に光沢があり滑らかな完成品が作られる。所望に応じ、第2及び第3の段階は省略できる。コーティングは、以下に述べる種々のタイプのガムセンター組成物を被覆する。
【0045】
本発明の他の態様においては、圧縮可能な賦形剤が錠剤化され、次いで活性成分を含むチューインガム製品で被覆される。錠剤化された賦形剤は、例えば、デキストロース、蔗糖、又は他のサッカライド、ソルビトール、マンニトール、イソマリトール(isomalitol)、他の圧縮可能な糖アルコール又はこれらの組み合わせを含むことができるがこれに限定されるものではない。錠剤化された圧縮可能な賦形剤は実質的にガムコーティングにより覆われる。このコーティングは活性成分を含み、そして一態様において、そのコーティングは製品の少なくとも50質量%を占める。このコーティングは味マスキング剤、不透明化剤を含むことができる。
【0046】
あるいは、圧縮可能な賦形剤及び活性成分の混合物が錠剤化され、次いで場合により活性成分を含んでも良いチューインガム製品でコートされる。錠剤化された賦形剤は、例えばデキストロース、蔗糖、又は他のサッカライド、ソルビトール、マンニトール、イソマリトール(isomalitol)、他の圧縮可能な糖アルコール又はその組み合わせを含むことができるが、これに限定されるものではない。錠剤化された圧縮可能な賦形剤は実質的にガムコーティングにより覆われる。このコーティングは活性成分を含み、そして一態様において、製品の少なくとも50質量%を占める。追加的に、このコーティングは味マスキング剤、不透明化剤を含むことができる。本発明のこのチューインガムに関し、このチューインガムは低湿性又は高湿性、シュガー入り又はシュガーレス、ワックス含有又はワックス不含、低カロリー(ハイベース又は低カロリーバルク剤により)であることができ、及び/又は他の歯科用及び/又は医療用薬剤を含むことができる。
【0047】
一般的に、チューインガムは典型的に水溶性バルク部、水不溶性チュワブルガムベース部、及びフレーバリング剤を含む。水溶性部分は咀嚼時にフレーバリング剤の部分とともに消失する。ガムベース部は咀嚼の間口中に残る。チューインガムという用語はその一般的な観念においてチューインガムと風船ガムの両方を意味する。
【0048】
不溶性のガムベースは、一般的にエラストマー、樹脂、脂肪及び油脂、軟化剤及び無機充填剤を含む。ガムベースはワックスを含んでも良いし含まなくても良い。不溶性ガムベースは、チューインガムのほぼ5質量%から約95質量%を構成し、より一般的にはガムベースはガムの10%から約50%を占め、そしてある好ましい態様においてはチューインガムのほぼ15質量%から約35質量%である。
【0049】
一態様において、本発明のチューインガムベースは、約20質量%から約60質量%の合成エラストマー、約0質量%から約30質量%の天然エラストマー、約5質量%から約55質量%のエラストマー可塑剤、約4質量%から約35質量%に充填剤、約5質量%から約35質量%の軟化剤、及び必要に応じ少量(約1質量%又はそれ以下)の他のいろいろな成分例えば食用色素、抗酸化剤、香味料等を含む。エラストマーはガムの弾性、粘着結合性を与え、その弾性、粘着結合性はこの成分の化学構造及びそれが他の成分とどのように調合されるかによって変化する。
【0050】
合成エラストマーは、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレン共重合体(ブチルゴム)、スチレン−ブタジエン比率が約1:3から約3:1を有するスチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート、共重合体中のビニルラウレート含量が約5質量%から約50質量%のビニルアセテート ビニルラウレート共重合体、及びその組み合わせを含むがこれに限定されない。天然エラストマーは、スモークされた又は液体ラテックス及びグアユールゴムのような天然ゴム、またジェルトン(jelutong)、レチカプシ(lechi caspi)、ペリロ(perillo)、ソルバ(sorva)、マッサランジュババラタ(massaranduba balata)、マッサランジュバチョコレート(massaranduba chocolate)、ニスペロ(nispero)、ロジンジンハ(rosindinha)、チクル、グッタハンカン(gutta hang kang)のような天然ガム、及びこれらの組み合わせを含むことができる。好ましい合成エラストマー及び天然エラストマー濃度は、このベースが使われているチューインガムが、粘着性であるか又は在来型であるか、風船ガムか通常のガムかによって異なる。好ましい天然エラストマーは、ジェルトン(jelutong)、チクル、ソルバ(sorva)、及びマッサランジュババラタ(massaranduba balata)を含む。
【0051】
エラストマー可塑剤は、ロジンのグリセロールエステル、ロジンのメチルエステル、ロジンのペンタエリスリトールエステルのようなロジンエステル、アルファ−ピネン、ベータ−ピネン、及び/又はd−リモネンから誘導されるテルペン樹脂、及びこれらの適当なあらゆる組み合わせを含むことができるがこれに限定されるものではない。樹脂粘着付与剤は、最終製品ガムの粘着結合性及び粘着性を調節する。好ましいエラストマー可塑剤は特定の応用、及び用いたエラストマーのタイプによっても異なる。
【0052】
充填剤/テキスチュライザーは、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、粉砕ライムストーン、珪酸マグネシウム及び珪酸アルミニウムのような珪酸塩タイプ、クレー、アルミナ、タルク、酸化チタン、モノ−、ジ−及びトリ−リン酸カルシウム、木材のようなセルロースポリマー、及びそれらの組み合わせを含むことができる。充填剤は、ガムベースのテクスチャーを調節する。充填剤は、またポリエチレン、オート麦繊維、木材繊維、りんご繊維、ゼイン、グルテン、グリアジン、カゼイン等のような有機性の粉末であり得る。活性成分粉末は、より良い封入を達成するためにベース製造中に充填剤として加えることができ、これにより活性成分のより長い放出をもたらすことができる。
【0053】
軟化剤/乳化剤は、タロー、水素化タロー、水素化及び部分水素化植物油、カカオバター、モノステアリン酸モノグリセロール、トリ酢酸グリセロール、レシチン、綿実、大豆、パーム、パームカーネル、ココナツ及びサフラワー起源の非−水素化、部分水素化及び完全水素化モノ−、ジ−及びトリ−グリセライド、及び他の中鎖トリグリセライド、アセチル化モノグリセライド、脂肪酸(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸及びリノール酸)及びその組み合わせを含むことができる。このような軟化剤/乳化剤は、咀嚼中のシャープな溶融変化をもたらしてガムベースのテキスチャーを調節する。
【0054】
食用色素及び白化剤は、FD&C−タイプの色素及びレーキ、果実及び植物抽出物、二酸化チタン、及びこれらの組み合わせを含むことができる。食用色素は特色を与え、チューインガム処方物中の好ましくない特徴を除去したりマスクしたりする。
【0055】
ガムベースは、ワックスを含んでも含まなくても良い。ワックスを含まないガムベースの例は、米国特許第5,286,500に記載されており、この記載はここに参照として組み込まれる。ワックスは、ガムベースの硬化を助け、そして貯蔵期間及びガムの最終製品のテクスチャーを改善するのに役立つ。ワックス結晶は又最終製品からの香料の放出を改善する。
【0056】
そのようなガムベースは、典型的には約50°Fから約240°Fの温度に保っている予備加熱されたシグマブレードミキサーに、一定量のエラストマー、樹脂、粘着付与剤又は軟化剤及び充填剤を加えて製造される。不溶性ガムベースの最初の塊を含む成分の最初の量は、適当な均一性を達成するための混合釜の作業能力によって、またエラストマーを粉砕し軟化するため望まれる混合の度合によってきめることができる。混合時間が長ければ長いほど又ガムベース成分の分子量が小さいもの又は軟化点が低いものを使うほど、最終ガムベースの粘度と硬さは低くなる。
【0057】
水不溶性のガムベース部分に加えて、典型的なチューインガム組成物は水溶性のバルク部分及び1又はそれ以上のフレーバリング剤を含む。水溶性の部分は、バルク甘味料、強力甘味料、フレーバリン剤、軟化剤、乳化剤、色素、酸味料、充填剤、抗酸化剤及び必要とされる性質を付与する他の成分を含むことができる。
【0058】
軟化剤はガムの咀嚼性及び口中感を良くするためにチューインガムに加えられる。可塑剤及び流動化剤としても知られている軟化剤は、一般的にチューインガムの約0.5質量%から約25質量%の間を構成する。軟化剤は、グリセリン、レシチン、及びその組み合わせを含むことができる。ソルビトール、水素化された澱粉加水分解物、コーンシロップ及びその組み合わせを含むもののような水溶性甘味剤溶液もまたチューインガムにおいて軟化剤及び結合剤として使うことができる。
【0059】
バルク甘味料は糖質及びシュガーレス成分の両方を含む。バルク甘味料は典型的にはチューインガムの約5質量%から約95質量%、もっと典型的には、約20質量%から約80質量%、そしてもっと一般的にはガムの約30質量%から約60質量%である。糖質甘味料は、一般的にチューインガム技術においてよく知られたサッカライド含有成分、例えば蔗糖、デキストロース、マルトース、デキストリン、乾燥された転化糖、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ固体等の単独又は組み合わせを含むがこれに限定されない。シュガーレス甘味料は、糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール、水素化された澱粉加水分解物、マルチトール等の単独又は組み合わせを含むがこれに限定されない。
【0060】
強力人工甘味料も単独で又は上記のものと組み合わせて使用しうる。好ましい甘味料は、スクラロース(sucralose)、アスパルテーム、アセスルファームの塩、アルチテーム(altitame)、サッカリン及びその塩、シクラミン酸及びその塩、グリセリチネート(glycerrhizinate)、ジヒドロカルコン、タウマチン、モネリン、等の単独又は組み合わせを含むがこれに限定されない。チューインガム製剤中におけるこれらの甘味料の範囲は、典型的にはアリテーム(alitame)、タウマチン及びジヒドロカルコンでは約0.02から約0.10質量%、アスパルテーム、スクラロース(sucralose)、アセスルファーム及びサッカリンでは約0.1から約0.2質量%の範囲であり得る。
【0061】
長続きする甘味及び風味感覚を与えるため、人工甘味料の少なくとも一部をカプセル化するか又は別な方法でその放出をコントロールすることが望ましい。湿式顆粒化、ワックス顆粒化、スプレードライ、スプレーチリング(spray chilling)、流動床コーティング、コアセルベーション、及びファイバーエクステンション(fiber extension)のような技術が好ましい放出特性を達成するために用いられ得る。
【0062】
糖質及び/又はシューガーレス甘味料の組み合わせがこのチューインガムにおいて用いられ得る。さらに、軟化剤もまた水溶性糖質溶液によるように追加的な甘味を与える。
低カロリーガムが望まれる場合は、低カロリーバルク剤が用いられ得る。低カロリーバルク剤の例は、ポリデキストロース;ラフチロース(Raftilose(R))、ラフチリン(Raftiline(R)) (両者はベルギー、チーネン(Tienen)のオラフチ(Orafti)グループから入手できる);フルクトオリゴサッカライド(ニュトラフロラ(NutraFlora(R))、GTC Nutrition LLC, Golden, COから入手できる) ;パラチノースオリゴサッカライド;グアーガム加水分解物(サンファイバー(Sun Fiber));又は難消化性デキストリン(ファイバーゾル−2(Fibersol(R)-2)日本、兵庫、松谷化学社より入手できる)を含むがこれに限定されない。しかし、他の低カロリーバルク剤もまた使用され得る。
【0063】
種々のフレーバリング剤が所望により使用され得る。食用色素のようなフレーバリング剤は、チューインガム組成物において特徴を与え、又好ましくない性質を除いたりマスクしたりするために有用である。特に本発明のフレーバリング剤は、活性成分に付随する不快な味感覚をマスクできるものでなければならない。そうして、フレーバリング剤は、本発明のチューインガム組成物の口腔内における接触時間を増加する。そうして、このチューインガム組成物は、活性成分の吸収とバイオアベイラビリティーを促進し、又このチューインガム組成物からの薬剤の緩やかな放出によって薬の治療効果を長期化する。
【0064】
香料はガムの約0.1質量%から約15質量%、好ましくは約0.2質量%から約5質量%の量で使われ得る。フレーバリング剤は精油、合成香料又はそれらの混合物を含むことができ、例えば植物及び果実からの油例えばかんきつ油、果実精、はっか油、スペアミント油、他のミント油、クローブ油、ウインターグリーンの油、アニス等が挙げられるがこれに限定されない。人工フレーバリング剤及び成分もまた使用され得る。天然及び人工フレーバリング剤、例えばカカオ粉末及び熱変性アミノ酸は、本発明におけるフレーバリング剤として使用することができ、又どのような感覚的に許容可能な様式で組み合され得る。
【0065】
本発明のチューインガム組成物は、チューインガム業界において知られた製造方法を用いて製造される。一般的に、チューインガムは商業的に入手可能な業界で公知のミキサーに各種のチューインガム成分を順に加えることにより製造される。最初の成分が十分に混合された後、ガムの塊はミキサーから取り出され、例えばシート状にロールがけしスティックにカットすることにより、チャンクに押し出されることにより、又はペレットやボールに成形することによって希望の形に成形される。
【0066】
一般的に最初にガムベースを溶融しそれを運転中のミキサーに加えることによって成分は混合される。ベースはミキサー自体の中で溶融することもできる。着色料又は乳化剤もこの時に加え得る。グリセリンのような軟化剤もこの時に、シロップ及びバルク剤/甘味料の部分と一緒に加え得る。バルク剤/甘味料の更なる部分は、その後ミキサーに加え得る。フレーバリング剤は典型的にはバルク剤/甘味料の最終部分と共に加えられる。強力甘味料は、好ましくはバルク剤/甘味料及び香料の最終部分が加えられた後に加えられる。
【0067】
全体の混合工程は典型的には5から15分行われるが、より長い混合時間が場合により必要とされる。熟練者は上述の工程の多くの変更が行われ得ることを認識するであろう。
【0068】
特に本発明のチューインガム組成物の製造においては、活性成分はガムベース、甘味料又は甘味料混合物、及びフレーバリング剤と混合される。好ましくは、活性成分はミックスの中に初期に加えられる。用いられる活性成分がより少ないときは、特定の成分がガムのバッチ全体に均一に分布するよう事前混合しておくことがより必要となる。
【0069】
事前混合が用いられるか用いられないかに関わらず、好ましい態様においては、薬剤又は活性成分は攪拌の最初の5分以内に加えられるべきである。本発明のチューインガム組成物は、水不溶性ベースを含有するので、それは活性成分の組成物から口腔内への徐々の又は制御された放出を促進する。このようにして、本発明のチューインガム組成物は咀嚼されるにしたがい、活性成分は甘味料及び香料とともに咀嚼中に徐々に消散する。
【0070】
本発明の活性成分を最初に細粒の中にすり潰し、ガムベースと混合される前に粉末を形成することもまた好ましい。活性成分の粒子サイズは、好ましくは直径約0.1ミクロンから約200ミクロン、より好ましくは直径約1ミクロンから約50ミクロンである。
【0071】
加えて、活性成分粉末がガムベースと混合される前に、細粒は好ましくは水不溶性である液体又は液体混合物中に好ましくは溶解される。これは薬物がガムベースの中に組み込まれることを容易にするため、及びそれがチューインガム組成物の全体に亘って均一に分布されるのを促進するために行われる。本発明において使用することが適当な液体又は液体混合物の例は、例えばアルコール、可食油、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、トリブチリングリセロールモノ−又はジ−ステアレート、ココナツオイルのアセチル化されたモノ−グリセライド、その組み合わせ、及び他の同様な物質であるが、これに限定されることはない。活性成分粉末は、溶融された又は軟化したガムベースに直接混合されることができ、又はそれはガムベース成分例えばポリビニルアセテート、ロジンエステル、ポリテルペン、ワックス、脂肪等と事前混合され得る。
【0072】
本発明において、活性成分はペレットチューインガムのコーティング/パンニング(panning)中に用いられる。ペレット又はボールガムは、通常のチューインガムのように製造されるが、枕形のペレット又はボールに成形される。そのペレット/ボールは次いで通常のパン処理技術(panning techniques)により糖質コート又はパン処理されることができ、均質にコートされたペレットガムを作る。活性薬物は香料中に溶解性であることができ、又は通常のパンニング工程のあるタイプにおいてしばしば使われる他の粉末とブレンドされることもできる。活性成分はチューインガムからの放出率を調節する他のガム成分から分離される。コーティングの重量は、完成品の約20質量%から約50質量%であり得るが、全ガム製品の約75%まで多くても良い。活性成分は1又は2ペレットに対する用量に基づいている。
【0073】
通常のパン処理工程は一般的に蔗糖でコートするが、最近のパン処理における進歩は蔗糖の代わりに使われるべき他の炭水化物物質の使用を可能とした。これらの成分のいくつかには、デキストロース、マルトース、パラチノース、キシリトール、ラクチトール、水素化されたイソマルチュロース、エリスリトール、マルチトール、及び他の新しいアルジトール又はその組み合わせを含むがそれに限定されない。これらの物質はパンニング調節剤とブレンドされうる。パンニング調節剤には、例えばアラビアゴム、マルトデキストリン、コーンシロップ、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシメチルセルロースのようなセルロースタイプの物質、澱粉及び化工澱粉、アルギン酸塩のような植物ガム、イナゴマメガム、グアーガム、及びトラガカントガム、炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウムのような不溶性炭酸塩及びタルクを含むがこれに限定されない。付着防止剤もまた、パンニング調節剤として添加されることができ、これは新しいパンされた又はコートされたガム製品の開発に用いられる種々の炭水化物及び糖アルコールの使用を可能とする。香料は糖質コーティング又はシュガーレスコーティングと共に及び特徴ある製品の性質を与える活性成分と共に添加することができる。この活性成分はエタノール又は他の適当な溶媒中に可溶化されそしてフィルムのこのタイプと共に添加される。
【0074】
あるフィルムポリマー類は、フィルムコーティングにおいて水を溶媒として用いることができる。
【0075】
ポリマー研究及びフィルムコーティング技術における最近の進歩は、コーティングにおける溶媒の使用に関連する問題を解消するもので、これらの進歩は、ペレット又はチューインガム製品に水溶性フィルムを応用することを可能にしている。活性成分はこの水溶性フィルムに添加することができる。このフィルムは、ポリマー及び可塑剤と共に香料をも含むことができる。活性成分は水溶性又は非水溶性溶媒に溶解することができ、そして水溶性フィルムで表面上にコートされ得る。ある場合においてはフィルム及び糖質又はポリオールコーティングの組み合わせは有用であり、特に活性成分がフィルムコーティング材料と共に添加される場合にはそうである。フィルムコーティングはまたコーティング工程の初期、中期又は後期に適用され得る。
【0076】
コーティングフィルムが活性成分と共にチューインガム製品に適用された後、硬質シェル糖質又はポリオールコーティングが次いでフィルムコートされた製品上に適用することができる。ある場合においては、軟質シェル糖質又はポリオールコーティングがフィルムコートされた製品上に用いられ得る。ペッレトガムに適用されるフィルムコーティングの量は一般的にガム製品の約0.5%から約3%でありうる。硬質又は軟質シェルのオーバーコーティングの量は、約20%から約75%でありうる。活性成分がフィルムコーティングと共に添加され、糖質/ポリオールコーティングと共に添加されない場合には、製品中の活性成分量のより良いコントロールが得られ得る。加えて、糖質/ポリオールオーバーコーティングは製品中の活性成分に対する改善された安定性を与えることができる。
【0077】
コーティングは、前述のコーティング成分の約30%から約80%又は85%及び水のような溶媒の約15%又は20%から約70%を含有する液体シロップとして最初に存在する。一般にコーティング工程は回転パン中で行われる。
【0078】
コートされる糖質又はシュガーレスガムのセンタータブレットは回転中のパンに入れられ移動する集団を形成する。
【0079】
結局はコーティングを形成することになる材料又はシロップは、ガムセンタータブレット上に適用されるか散布される。フレーバリング剤は、シロップをガムセンターに適用する前、適用中又は適用後に添加され得る。コーティングが一旦乾燥して硬質表面を形成した後、複数コーティング又は硬質コーティングの複数層を形成するため追加のシロップ添加をすることができる。
【0080】
硬質コーティングパン処理工程では、シロップは約100°Fから約240°Fの間の温度でガムセンタータブレットに添加される。大体において、シロップ中のポリオール又は糖質が結晶することを避けるため、この工程の間中シロップ温度は約130°Fから約200°Fである。
【0081】
このシロップは当業者に知られたいずれかの方法によってガムセンタータブレットに混合されるか、散布されるか、注ぎかけられるか又は添加される。
【0082】
一般的に複層は、単一コートを適用し、その層を乾燥させ次いでその工程を繰り返すことにより得られる。各コーティング工程により添加される固体の量は主としてコーティングシロップの濃度に依存する。何層のコートでもガムセンタータブレットに適用することができる。
【0083】
一般に、ガムセンタータブレットには約75−100より多くないコートが適用される。本発明は、約10%から約75%のコーティングを含有するコートされた食品を与えるために十分なシロップ量を適用することを意図している。活性薬剤のより高い用量が必要とされるときは、最終製品は75%コーティングより多いことができる。
【0084】
複数のコート層を得るためには、コーティングシロップの複数の事前計量されたコーティングシロップのアリコートがガムセンタータブレットに適用され得ることを当業者は理解するであろう。しかし、ガムセンタータブレットに適用されるシロップのアリコートの容量は、コーティング工程を通じて変わり得ることが意図されている。
【0085】
一旦シロップのコーティングがガムセンタータブレットに適用されると、本発明は湿ったシロップを不活性媒体中で乾燥することを意図している。好ましい乾燥媒体は空気である。強制された乾燥用空気は湿ったシロップコーティングと約70°F から約115°Fの範囲の温度で接触する。
【0086】
一般的に、乾燥用空気は約80°Fから約100°Fの範囲内の温度である。発明は、乾燥用空気が15%よりも少ない相対湿度を有することを意図している。好ましくは乾燥用空気の相対湿度は約8%より少ない。乾燥用空気は、当業者に良く知られたいずれかの方法によって、シロップコートされたガムセンター上を通過し又それと混合される。一般的に乾燥用空気は、大規模操業においては1分当たり約2800立方フィートの流量でシロップコートされたガムセンターの床上、床周辺におよび床を通して吹きかけられる。
【0087】
少量の材料が処理されるとき又はより小さい装置が用いられる場合は、より少ない流量が用いられる。ここに述べた好ましい態様に対する種々の変更及び改変は、当業者にとって明らかであることが理解されなければならない。そのような変更や改変は本発明の精神と範囲から離れることなくそしてその意図された利点を損なうことなしになされ得る。したがって、そのような変更や改変は添付された特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0088】
香料はガムの全体のフレーバーを向上させるためにペレットガムの糖質コーティングに添加される。これらの香料は、スペアミントの香り、ペパーミントの香り、ウンターグリーンの香り、及び果実の香りを含む。これらの香料は一般的にコーティングシロップをコアに適用する直前にコーティングシロップに事前混合されるか、又はコアを含む回転中のパン中で一もしくはそれ以上のコーティングにおいてコアに一緒に加えられる。一般的に、コーティングシロップは約130°Fから200°Fと非常に熱いので、香料はコーティングシロップにあまりに早く予備混合すると蒸発してしまう。
【0089】
濃縮されたコーティングシロップは、ガムコアに熱い液体として適用され、糖質又はポリオールは結晶化され、コーティングは次いで暖かい乾燥した空気で乾燥される。これは、約40%から75%の重量増加した硬質シェルコート製品を得るために約30から100回繰り返される。香料は、これらのコーティング工程の1、2、3又は4回又はそれ以上にも適用される。香料が添加される毎に、香料を含まないコーティングを数回繰り返し、次の香料コートが適用される前に香料を覆う。これがコーティング工程中の香料の揮散を防止する。
【実施例】
【0090】
次の本発明の実施例及び比較例は、説明及び例示として示される。
実施例1〜6:バレニクリン酒石酸塩は、種々のペレットガム処方物上のコーティング組成に用いられ得る。次の表はいくつかの糖質タイプのものを示す。
【表1】

【0091】
上記の処方物は、糖質とアラビアゴムを煮沸しながら約75%固体の溶液に溶解してシロップを作り、二酸化チタン又は炭酸カルシウムをこのシロップに懸濁させて作製した。バレニクリン酒石酸塩は水に溶解されうるが熱いシロップとは混合されないでコーティングの間に添加されるか、又はそれは熱シロップに添加されそしてコーティングの早い段階で使用されるか又はコーティング工程の間中で使用される。
【0092】
香料は熱シロップに混合されないで低レベルで一又はそれ以上のコートに添加される。バレニクリン酒石酸塩は香料中に溶解されてコーティングに添加され得る。最終コートが適用され乾燥された後に、ワックスを適用して滑らかな光沢を与える。バレニクリン酒石酸塩0.5w/w%を含む1.5グラムのガム片は遊離塩基としての薬4.4mgを含有する。
【0093】
実施例7〜10:バレニクリン酒石酸塩は、シュガーレスガムセンターのコーティングにも使用され得る。糖質ガムセンターのように、ベース処方物はセンターに適用されるコーティング量に比例して増加され得る。バレニクリン酒石酸塩を含み及び含まない低湿性及び高湿性ガムの処方物はガムセンターを作るために使用される。一般的にベースレベルは30−46%に増加され他の成分が比例的に減少される。いくつかの典型的なガム処方物が表2に示されている。
【表2】

【0094】
上記のセンター処方物において、用いられた強力甘味料はアスパルテームである。しかし、他の強力甘味料、例えば、アリテーム(alitame)、アセスルファームK、アセスルファームの塩、シクラミン酸とその塩、サッカリンとその塩、ネオターム(neotame)、スクラロース(sucralose)、タウマチン、モネリン、ジヒドロカルコン、ステビオシド、グリチルリチン及びその組み合わせは甘味料の調節されたレベルで何れの例においても使用され得る。
【0095】
リカシン(lycasin)及び他のポリオール例えばマルチトール、キシリトール、ラクチトール及び水素化されたイソマルチュロースもまた種々のレベルでガムセンター処方物中で用いることができる。テキスチャーはグリセリン又は液体ソルビトールを変更して調節され得る。センター処方物の甘さも、強力甘味料のレベルを変えることによって調節することができる。バレニクリン酒石酸塩0.2w/w%を含有する1.5グラムのガム片は遊離塩基として1.7mgのこの薬物を含有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水不溶性の基剤部;該水不溶性基剤部と組み合わせた水溶性部;及びチューインガム組成物を形成するために該水不溶性基剤部及び該水溶性部と組み合わせた有効量のバレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む、チューインガム組成物。
【請求項2】
水不溶性基剤部がエラストマー、樹脂、脂肪、油脂、軟化剤、無機充填剤、有機充填剤、ワックス、エラストマー可塑剤、テキスチュライザー、乳化剤、食用色素、白化剤、及びその組み合わせからなる群から選ばれた成分を含む請求項1に記載のチューインガム組成物。
【請求項3】
水溶性部が甘味料、バルク甘味料、強力甘味料、低カロリーバルク剤、バルク剤、フレーバリング剤、軟化剤、乳化剤、食用色素、酸味料、充填剤、抗酸化剤、医薬及びその組み合わせからなる群から選ばれた成分を含む請求項1に記載のチューインガム組成物。
【請求項4】
バレニクリン又はその医薬的に許容可能な塩が約0.1mgから約10mgのバレニクリン酒石酸塩を含む請求項1に記載のチューインガム組成物。
【請求項5】
バレニクリン又はその医薬的に許容可能な塩が約0.1ミクロンから約200ミクロンの粒子径を有する粒子からなる請求項1に記載のチューインガム組成物。
【請求項6】
チューインガム組成物が、単一片、スティック、スラブ、ペレット、ボール、いずれかの単位構造、及びガムセンターを覆うオーバーコートされた処方物からなる群から選ばれた形態である請求項1に記載のチューインガム組成物。
【請求項7】
バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩の即時放出形態の有効量を含有するチューインガム組成物を個体の口腔に投与する段階;及びバレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩をこのチューインガム組成物から個体の口腔内に放出させるべくこのチューインガムを咀嚼する段階からなる、個体におけるニコチン中毒を減少させ、またタバコ使用の中止又は減少を助けるための方法。
【請求項8】
その咀嚼する段階が少なくとも2分間の咀嚼として定義される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
その咀嚼する段階が少なくとも30分間の咀嚼として定義される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
その咀嚼する段階が少なくとも60分間の咀嚼として定義される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
バレニクリン酒石酸塩をほぼ0.1ミクロンから約200ミクロンの粒子径を有する細粉に粉砕する工程、
バレニクリン酒石酸塩粉末を液体と混合して組み込み媒体を形成する工程、及び
この組み込み媒体をチューインガム担体と混合してチューインガム組成物を形成する工程
を含む、バレニクリン酒石酸塩の治療的に有効な量を含有するチューインガム組成物の製造法。
【請求項12】
更にこのチューインガム組成物をバレニクリン酒石酸塩を含むコーティングでコーティングする工程を含む請求項11に記載のチューインガム組成物。
【請求項13】
圧縮可能な賦形剤タブレット;及びバレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩の有効量を含むコーティングを含み、該コーティングが該圧縮可能な賦形剤タブレットを実質的に覆っているチューインガム組成物。
【請求項14】
バレニクリンまたはその医薬的に許容可能な塩の有効量を含有する圧縮可能な賦形剤タブレット及びチューインガムコーティングを含み、該コーティングが該圧縮可能な賦形剤タブレットを実質的に覆っているチューインガム組成物。
【請求項15】
圧縮可能な賦形剤タブレットがデキストロース、蔗糖、サッカライド、ソルビトール、マンニトール、イソマリトール、圧縮可能な糖アルコール、エラストマー、樹脂、脂肪、軟化剤、無機充填剤、有機充填剤、ワックス、エラストマー可塑剤、テキスチュライザー、乳化剤、食用色素、白化剤、甘味料、バルク甘味料、強力甘味料、低カロリーバルク剤、バルク剤、フレーバリング剤、軟化剤、食用色素、酸味料、抗酸化剤、医薬、及びその組み合わせよりなる群から選ばれた成分を含む請求項13に記載のチューインガム組成物。

【公表番号】特表2008−533194(P2008−533194A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502511(P2008−502511)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際出願番号】PCT/IB2006/000735
【国際公開番号】WO2006/100595
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】