説明

バーチャルスライド検査方法およびバーチャルスライド検査装置

【課題】試料の形態的診断に影響を与えることなく、迅速に分子レベルの情報に基づく検査を行う。
【解決手段】試料を複数の部分的な小領域に区画して、各小領域の拡大明視野画像を取得するとともに、取得された各小領域の拡大明視野画像を貼り合わせて全体画像を生成するバーチャルスライドを用いた検査方法において、1以上の拡大明視野画像内の1以上の位置を指定する位置指定ステップS9と、該位置指定ステップS9において指定された位置にレーザ光を入射させて、試料の振動スペクトルを取得する分光ステップS12と、該分光ステップS12において取得された試料の振動スペクトルを解析する解析ステップS13とを含むバーチャルスライド検査方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーチャルスライド検査方法およびバーチャルスライド検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、試料の解析を行う検査方法として、試料を複数の部分的な小領域に区画して、各小領域の拡大明視野画像を取得するとともに、取得された各小領域の前記拡大明視野画像を貼り合わせて全体画像を生成し、試料の形態的な診断を行うバーチャルスライド検査方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、試料の形態的診断を補助/補完する目的で、試料内の分子レベルの情報(例えば、組織または細胞内の遺伝子やタンパク質の発現異常等)に基づく分析を、試料の形態的診断に影響を与えることなく行う方法として、ラマン散乱分光を用いた分析方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−281405号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Nicholas Stone et al,Anal,Bioanalytical,Chem,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バーチャルスライド検査方法において、分子レベルの情報を取得する方法としては、試料を蛍光性の色素で染色し、比較的広範囲にわたる励起光の照射により蛍光画像を短時間で取得可能な蛍光観察方法が一般的である。ラマン散乱分光法は、試料の形態的診断に影響を与えることなく、試料内の分子レベルの情報を取得できる点で蛍光観察方法に対してメリットを有するものの、取得できる信号光が弱いために広範囲にわたって一度に取得することができないため、試料全体を網羅的に検査すると、膨大な時間がかかってしまうという不都合がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、試料の形態的診断に影響を与えることなく、迅速に分子レベルの情報に基づく検査を行うことができるバーチャルスライド検査方法およびバーチャルスライド検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、試料を複数の部分的な小領域に区画して、各小領域の拡大明視野画像を取得するとともに、取得された各小領域の前記拡大明視野画像を貼り合わせて全体画像を生成するバーチャルスライドを用いた検査方法において、1以上の前記拡大明視野画像内の1以上の位置を指定する位置指定ステップと、該位置指定ステップにおいて指定された位置にレーザ光を入射させて、試料の振動スペクトルを取得する分光ステップと、該分光ステップにおいて取得された試料の振動スペクトルを解析する解析ステップとを含むバーチャルスライド検査方法を提供する。
【0008】
本発明によれば、試料を複数の部分的な小領域に区画して、各小領域について拡大明視野画像を取得したバーチャルスライドが得られた状態で、位置指定ステップにおいて1以上の拡大明視野画像内の1以上の位置が指定され、当該指定された位置に分光ステップにおいてレーザ光を入射させることにより試料の振動スペクトルが取得され、取得された振動スペクトルが解析ステップにおいて解析される。これにより、試料の全範囲を網羅的に検査する場合と比較して短時間の内に、試料の形態的診断に影響を与えることなく、分子レベルの情報に基づく検査を行うことができる。
【0009】
上記発明においては、前記位置指定ステップが、解析すべき位置を含む1以上の前記拡大明視野画像を注目領域として設定する注目領域設定ステップと、設定された注目領域内において解析すべき位置を指定する領域内位置指定ステップとを含んでいてもよい。
このようにすることで、注目領域設定ステップにより、バーチャルスライドを構成する拡大明視野画像が注目領域として設定され、領域内位置指定ステップにより、設定された注目領域内において解析すべき位置が指定される。
注目領域設定ステップによる注目領域の設定は、試料全体のマクロ画像から拡大明視野画像単位で簡易に設定することができ、解析すべき位置の指定は、設定された拡大明視野画像を拡大して精密に行うことができる。
【0010】
また、上記発明においては、前記分光ステップが、自発ラマン散乱分光(非共鳴ラマン散乱および共鳴ラマン散乱)、非線形ラマン散乱分光の少なくとも1つを行ってもよい。 ここで、非線形ラマン散乱分光としては、例えば、SRS(誘導ラマン散乱法)、CARS(コヒーレントアンチストークスラマン散乱法)、CSRS(コヒーレントストークスラマン散乱法)、ISRS(インパルシブ誘導ラマン散乱法)、RIKES(ラマン誘起カー効果分光法)、MISRS(マルチパルスインパルシブ誘導ラマン散乱法)あるいはこれらの検出法を包含する形態としての四光波混合過程にもとづく振動分光法が挙げられる。
【0011】
また、本発明は、試料を複数の部分的な小領域に区画して、各小領域の拡大明視野画像を取得するとともに、取得された各小領域の前記拡大明視野画像を貼り合わせて全体画像を生成可能なバーチャルスライドの1以上の前記拡大明視野画像において、解析すべき領域を抽出する解析領域抽出部と、該解析領域抽出部により抽出された解析すべき領域内においてレーザ光を照射する位置を設定する照射位置設定部と、該照射位置設定部により設定された位置にレーザ光を入射させて、試料の振動スペクトルを取得する分光部と、該分光部により取得された試料の振動スペクトルを解析する解析部とを備えるバーチャルスライド検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、試料の形態的診断に影響を与えることなく、迅速に分子レベルの情報に基づく検査を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るバーチャルスライド検査装置を示すブロック図である。
【図2】図1のバーチャルスライド検査装置により取得されたバーチャルスライドとしてのマクロ画像の一例を示す図である。
【図3】図2のマクロ画像において注目領域の設定を説明する図である。
【図4】図3の注目領域内に設定された測定点を示す図である。
【図5】図1のバーチャルスライド検査装置を用いたバーチャルスライド検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係るバーチャルスライド検査装置1およびバーチャルスライド検査方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るバーチャルスライド検査装置1は、図1に示されるように、顕微鏡装置2と、画像処理部3と、表示部4と、解析部5と、入力部6と、記憶部7と、これらを制御する制御部8とを備えている。
【0015】
顕微鏡装置2は、試料Aを複数の部分的な小領域に区画して各小領域の拡大明視野画像G1を取得するとともに、試料Aの指定された測定点にレーザ光を入射して分子の振動スペクトルを取得するようになっている。
画像処理部3は、顕微鏡装置2によって取得された複数の拡大明視野画像G1をつなぎ合わせて、図2に示されるように、マクロ画像G2を生成するようになっている。また、画像処理部3は、指定された拡大明視野画像G1を画像処理して、その形態的特徴に基づいて、後述する測定点Pの位置を指定するようになっている。
【0016】
画像処理部3による測定点Pの指定は、例えば、試料Aが細胞である場合に、細胞の核の中心にレーザ光が入射されるように行われる。すなわち、画像処理部3は、拡大明視野画像G1内に含まれる核の輪郭形状を抽出し、抽出された輪郭形状から、例えば、その重心位置を、図4に示されるように、測定点Pとして指定するようになっている。
【0017】
表示部4は、画像処理部3により生成されたマクロ画像G2等の情報を表示するようになっている。
解析部5は、顕微鏡装置2によって取得された振動スペクトルを用いて、試料Aの解析を行うようになっている。解析結果は、マクロ画像G2と共に表示部4に表示されるようになっている。
【0018】
入力部6は、表示部4により表示されたマクロ画像G2上において移動させるカーソルを操作するためのマウスやキーボード等により構成されている。カーソルを操作して振動スペクトルを取得するための注目領域G3を選択することができるようになっている(図3参照。)。注目領域G3の選択は、表示部4に表示されたマクロ画像G2を見たユーザが、例えば、高輝度領域G4上のいずれかの位置にカーソルを配置して指定することにより、その指定位置を含む拡大明視野画像G1単位で行われるようになっている。
【0019】
記憶部7は、顕微鏡装置2により取得された拡大明視野画像G1をその位置情報と共に記憶するようになっている。
また、記憶部7は、入力部6によって注目領域G3として選択された拡大明視野画像G1の情報を記憶するようになっている。拡大明視野画像G1の情報としては、拡大明視野画像G1に番地やシリアル番号を付した場合にはそれらの情報を記憶すればよい。
【0020】
さらに、記憶部7は、画像処理部3によって指定された測定点Pの位置情報を記憶するようになっている。
また、記憶部7は、解析部5によって行われた解析結果を記憶するようになっている。
【0021】
制御部8は、以下のようにして、顕微鏡装置2、画像処理部3、表示部4および解析部5を制御するようになっている。
すなわち、制御部8は、顕微鏡装置2を制御して試料Aの各部の拡大明視野画像G1を取得し、その位置情報と共に記憶部7に記憶させるようになっている。また、制御部8は、記憶部7に記憶された拡大明視野画像G1と位置情報とを画像処理部3に送り、マクロ画像G2を生成させるようになっている。
【0022】
また、制御部8は、画像処理部3により生成されたマクロ画像G2を受け取って記憶部7に記憶するとともに、表示部4に表示させるようになっている。そして、制御部8は、ユーザによる入力部6からの注目領域G3の入力を待って、入力部6から注目領域G3が入力されたときには、該注目領域G3としての拡大明視野画像G1の情報を記憶部7に記憶させるようになっている。
【0023】
その後、制御部8は、注目領域G3として指定された拡大明視野画像G1を画像処理部3に送り、振動スペクトルを取得する測定点Pの位置情報を算出させるようになっている。そして、制御部8は、画像処理部3により算出された測定点Pの位置情報を受け取って記憶部7に記憶させるようになっている
【0024】
さらに、制御部8は、画像処理部3により算出された測定点Pの位置情報を記憶部7から受け取って、顕微鏡装置2に送り、各測定点Pにおける試料Aの振動スペクトルを取得させるようになっている。そして、制御部8は、取得された各測定点Pにおける試料Aの振動スペクトルを解析部5に送り、解析させるようになっている。
【0025】
制御部8は、解析部5から受け取った試料Aの各測定点Pにおける解析結果を記憶部7に記憶させるようになっている。そして、制御部8は、記憶部7に記憶された試料Aの解析結果を画像処理部3において生成されたマクロ画像G2とともに表示部4に表示するようになっている。
【0026】
このように構成された本実施形態に係るバーチャルスライド検査装置1を用いたバーチャルスライド検査方法について以下に説明する。
本実施形態に係るバーチャルスライド検査装置1を用いて試料Aの振動スペクトル解析を行うには、図5に示されるように、まず、制御部8が、顕微鏡装置2を作動させて試料A各部の拡大明視野画像G1を取得し(ステップS1)、記憶部7に記憶させる(ステップS2)。
【0027】
次いで、制御部8は、記憶部7に記憶された複数の拡大明視野画像G1を画像処理部3に送り、これら複数の拡大明視野画像G1をつなぎ合わせたマクロ画像G2を生成させる(ステップS3)。生成されたマクロ画像は、記憶部7に記憶され(ステップS4)、表示部4に送られて表示される(ステップS5)。表示部4に表示されたマクロ画像G2を見ることで、ユーザが試料Aの広範囲の形態的特徴を一度に観察することができるようになる。
ユーザは表示部4に表示されたマクロ画像G2において、試料Aの広範囲の形態的特徴から、入力部6を操作して振動スペクトル解析を行うための注目領域G3の設定を行う(ステップS6)。
【0028】
注目領域G3の設定は、マクロ画像G2を構成している拡大明視野画像G1の単位で行われる。すなわち、ユーザは、入力部6の操作によって、表示部4に表示されているマクロ画像G2上においてカーソルを移動させ、試料Aの形態的特徴から振動スペクトルを取得することが望まれる位置近傍において画面をクリックすることにより、当該位置を含む拡大明視野画像G1が注目領域G3として選択される。選択された注目領域G3の情報は、記憶部7に記憶される(ステップS7)。
【0029】
そして、全ての注目領域G3の設定が行われた否かが判断され(ステップS8)、終了していない場合にはステップS6,S7が繰り返される。一方、全ての注目領域G3の設定が終了した場合には、画像処理部3が、設定された注目領域G3について画像処理を行い、顕微鏡装置2における測定点Pの位置情報が設定される(ステップS9)。例えば、試料Aが細胞や組織である場合に、ステップS6において設定された拡大明視野画像G1の輝度情報に基づいて核が抽出され、抽出された核の重心位置が、レーザ光を入射する位置として設定される。拡大明視野画像G1内に複数の核が存在する場合には、そのすべてについて重心位置が設定され、設定された重心位置の座標が記憶部7に記憶される(ステップS10)。
【0030】
次に、設定された全ての注目領域G3について測定点Pが設定されたか否かが判定され(ステップS11)、設定が終了していない場合にはステップS9,S10が繰り返される。一方、設定が終了した場合には、設定された測定点Pの位置情報が顕微鏡装置2に送られる。顕微鏡装置2においては、試料A内の分子を振動させる周波数差の2つのレーザ光が、ステップS9において設定された測定点Pに順次入射され、CARS光が取得される。周波数差を変更しながらCARS光を取得することで、試料A内の分子の振動スペクトルを取得することができる(ステップS12)。
【0031】
各位置において取得された振動スペクトルは、解析部5に送られることにより、分子レベル情報の解析が行われ(ステップS13)、解析結果は記憶部7に記憶される(ステップS14)。スペクトルの解析の際には、試料作成に必要な化学処理によって試料に付着している化学物質の振動スペクトルデータを予め備えておくようにすれば、必要に応じて差スペクトルの算出のような単純演算もしくは後述のケモメトリックス解析によって、観測スペクトルへのそれら物質の寄与を除去することができる。分子レベル情報の解析の手法としては、多変量解析(ケモメトリックス)の任意の手法を適用することができる。行うべき解析に応じて、適用する多変量解析の手法を選択する。例えば、得られた振動スペクトルに対して主成分分析(Principle Component Analysis, 以下、PCAという。)を適用し、主成分のスコアプロット(PCAスコアプロット)の分布から試料の状態を分類することが可能である。
【0032】
また、予め試料に含まれる分子の検量線を作成しておくことで、試料に含まれる成分の濃度を推定することとしてもよい。多変量解析では検量線は検量行列を算出することで作成さる。検量行列を算出するアルゴリズムとして、PCAの結果を使用しないCLS(Classical Least Square Fitting)、ILS(Inverse Least Squares Fitting)法と、PCA結果(PCAスコア値)に準拠するPCR(Principle Component Regression)、PLS(Partial Least Squares Fitting)法を適用しても良い。
【0033】
そして、振動スペクトル測定および解析が終了したか否かが判定され(ステップS15)、終了していない場合には、ステップS12〜S14が繰り返される。一方、振動スペクトル測定および解析が終了した場合には、解析結果がマクロ画像G2と共に表示部4に表示される(ステップS16)。
【0034】
このように、本実施形態に係るバーチャルスライド検査装置1およびバーチャルスライド検査方法によれば、取得された全ての拡大明視野画像G1について網羅的に試料Aの分析を行うのではなく、分析されるべき注目領域G3のみ、さらには、注目領域G3内の所定の測定点Pのみの振動スペクトルを測定するので、迅速に分子レベルの情報に基づく検査を行うことができるという利点がある。特に、CARS光観察によって分子レベルの情報に基づく検査を行うので、試料Aに蛍光染色を施さずに済み、高精度の分析を行うことができるという利点がある。
【0035】
なお、本実施形態においては、注目領域G3を設定するステップS6において、表示部4に表示されたマクロ画像G2をユーザが確認しながら、ユーザの判断によって注目領域G3を設定することとしたが、これに代えて、画像処理部3において、マクロ画像G2から注目領域G3を自動抽出することにしてもよい。
【0036】
また、測定点Pを設定するステップS9において、画像処理部3が、設定された注目領域G3について画像処理を行い、細胞の核の中心を自動抽出して測定点Pとして設定することとしたが、これに代えて、設定された注目領域G3内に所定の間隔で正方配列された複数の測定点Pを自動的に設定することにしてもよい。
【0037】
また、バーチャルスライド検査装置は、複数の試料を格納する格納部(図示略)と、該格納部に対して試料を出し入れするアーム(図示略)とを備えていて、制御部が、アームを作動させて、格納部内に収容されている試料を1つずつ取り出して、バーチャルスライドの作成および解析を行うことにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、バーチャルスライドを構成する拡大明視野画像G1の取得および試料の分析を行うための振動スペクトルの取得を同一の顕微鏡装置2によって行うこととしたが、別個の装置によって行うことにしてもよい。
このようにすることで、1の試料の拡大明視野画像G1の取得中に、他の試料の振動スペクトルの取得を行うことができ、効率的に検査することができるという利点がある。
【0039】
また、本実施形態においては、CARS光を検出することにより振動スペクトルを取得したが、振動スペクトルを取得する手段としてはCARSに限定されるものではなく、自発ラマン散乱分光、非線形ラマン散乱分光(SRS,CSRS,ISRS,RIKES,MISRS、その他四光波混合過程にもとづく振動分光法)を採用してもよい。非線形ラマン散乱分光を利用することで、自発ラマン散乱分光と比べて散乱効率を向上することができる。また、生体組織を構成する分子情報をスペクトルとして迅速かつ高感度に取得することができたり、ラマン散乱励起の際に試料から発せられる自家蛍光および試料に付着する化学物質由来の蛍光や、レイリー散乱光がスペクトルの質を著しく劣化させることを回避できたりするという利点がある。
【0040】
さらには、非線形ラマン散乱分光法の種類によっては、ラマン散乱分光法と比較して、得られる分子レベル情報を多様化でき、試料の分析能を向上することができる。
また、ラマン散乱分光法と非線形ラマン散乱分光法とを組み合わせることで、得られる分子情報を多様化させることができる。これにより、振動スペクトルに基づく分析性能および精度を向上することができるという利点がある。
【符号の説明】
【0041】
G1 拡大明視野画像
G2 マクロ画像(全体画像)
G3 注目領域
S6 注目領域設定ステップ(位置指定ステップ)
S9 領域内位置指定ステップ(位置指定ステップ)
S12 分光ステップ
S13 解析ステップ
1 バーチャルスライド検査装置
2 顕微鏡装置(分光部)
3 画像処理部(解析領域抽出部、照射位置設定部)
5 解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を複数の部分的な小領域に区画して、各小領域の拡大明視野画像を取得するとともに、取得された各小領域の前記拡大明視野画像を貼り合わせて全体画像を生成するバーチャルスライドを用いた検査方法において、
1以上の前記拡大明視野画像内の1以上の位置を指定する位置指定ステップと、
該位置指定ステップにおいて指定された位置にレーザ光を入射させて、試料の振動スペクトルを取得する分光ステップと、
該分光ステップにおいて取得された試料の振動スペクトルを解析する解析ステップとを含むバーチャルスライド検査方法。
【請求項2】
前記位置指定ステップが、解析すべき位置を含む1以上の前記拡大明視野画像を注目領域として設定する注目領域設定ステップと、設定された注目領域内において解析すべき位置を指定する領域内位置指定ステップとを含む請求項1に記載のバーチャルスライド検査方法。
【請求項3】
前記分光ステップが、自発ラマン散乱分光および非線形ラマン散乱分光の少なくとも1つを行う請求項1または請求項2に記載のバーチャルスライド検査方法。
【請求項4】
試料を複数の部分的な小領域に区画して、各小領域の拡大明視野画像を取得するとともに、取得された各小領域の前記拡大明視野画像を貼り合わせて全体画像を生成可能なバーチャルスライドの1以上の前記拡大明視野画像において、解析すべき領域を抽出する解析領域抽出部と、
該解析領域抽出部により抽出された解析すべき領域内においてレーザ光を照射する位置を設定する照射位置設定部と、
該照射位置設定部により設定された位置にレーザ光を入射させて、試料の振動スペクトルを取得する分光部と、
該分光部により取得された試料の振動スペクトルを解析する解析部とを備えるバーチャルスライド検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−196853(P2011−196853A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64694(P2010−64694)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】