説明

バーナ装置、バーナ燃焼方法及びその制御メモリ

【課題】バーナに供給する燃焼空気の温度が大きく変動する場合でも、省エネ、CO2の削減、更には低NOx化を図れる燃焼制御方法を提供する。
【解決手段】バーナ本体2を同心円状の一次空気用流路3及び二次空気用流路4で形成し、各流路3、4には流量調整用の一次ダンパー5及び二次ダンパー6を備え、各ダンパー5、6の開度に応じて燃焼空気供給ファン7より供給される燃焼空気を各流路3、4に分配供給させる二段燃焼方式とし、供給される燃焼空気の温度範囲毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファン7のインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定したバーナ制御マップのバーナ燃焼制御メモリ11のデータを記憶した制御器12を備え、温度センサ9にて検出される燃焼空気温度を基にバーナ制御マップのデータを利用してバーナ開度、燃焼空気供給ファン7のインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱燃焼分野における、バーナ装置、バーナ燃焼方法及びその制御メモリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、特開2007−321520号公報のようにバイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気をアスファルトプラントに設置されるドライヤのバーナの燃焼空気として供給することで、バーナ燃焼量を減らせて省エネやCO2の削減を図るようにしている。
【0003】
しかし、バイオマス発電施設の稼働状況に応じて加熱する清浄空気の温度、即ちバーナに供給する燃焼空気の温度が大きく変動(常温〜500℃程度)するため、安定したバーナ燃焼を維持するためには工夫を必要とする。また、燃焼空気温度が高くなると、サーマルNOxの生成量も多くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−321520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、バーナに供給する燃焼空気の温度が大きく変動する場合でも柔軟に対応可能で、省エネ、CO2の削減、更には低NOx化を図れるバーナを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、特許請求の範囲の請求項1のように、バーナ本体への燃料供給量を調整する燃料供給弁の弁開度であるバーナ開度と、該燃料供給弁のバーナ開度に連動させて燃焼空気量を調整供給するインバータ制御の燃焼空気供給ファンの周波数と、燃焼空気を供給する一次ダンパー及び二次ダンパーの開度を、供給される被加熱材料の加熱温度に基づいて適正に加熱するためのバーナ燃焼制御メモリであって、前記燃焼空気温度に対して、燃料供給量を調整する燃料供給弁のバーナ開度、該燃焼空気を供給するインバータ制御の燃焼空気供給ファンの周波数、その燃焼空気の供給ダクトの一次ダンパー及び二次ダンパーの開度のバーナ制御マップを作成して、そのバーナ制御マップとしたバーナ燃焼制御メモリのデータを制御器に記憶して、バーナを使用する際に前記バーナ燃焼制御メモリのデータを出力自在に形成したことを特徴とするバーナ燃焼制御メモリを提供するものである。
【0007】
また、請求項2のように、前記燃焼空気温度が常温〜550℃にわたって50〜100℃毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファンの周波数、一次ダンパー及び二次ダンパーの開度のバーナ制御マップとしたバーナ燃焼制御メモリであることを特徴とするバーナ燃焼制御メモリを提供するものである。
【0008】
さらに、請求項3のように、バーナ本体と、バーナ本体への燃料供給量を調整する燃料供給弁と、該燃料供給弁の弁開度であるバーナ開度に連動させて燃焼空気量を調整するインバータ制御の燃焼空気供給ファンとを備え、検出される被加熱材料の加熱温度に基づいて前記燃料供給弁のバーナ開度を調整しながら所定温度まで加熱するバーナ装置であって、バーナ本体は一次空気用流路及び二次空気用流路を同心円状に形成し、各流路には流量調整用の一次ダンパー及び二次ダンパーを備え、各ダンパーの開度に応じて前記燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気を各流路に分配供給させる二段燃焼方式とすると共に、前記燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気の温度を検出する温度センサを備える一方、燃焼空気の温度によってバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定したバーナ制御マップを記憶した制御器を備え、前記温度センサにて検出される燃焼空気温度を基に前記バーナ制御マップにより、検出される燃焼空気の温度範囲に設定されたバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度にて燃焼制御するように構成したことを特徴とするバーナ装置を提供するものである。
【0009】
またさらに、請求項4のように、前記バーナ制御マップ中の一次ダンパー開度及び二次ダンパー開度は、一次ダンパーを通過する燃焼空気による一次燃焼では理論空気比より少量の空気を供給して還元燃焼させる一方、二次ダンパーを通過する燃焼空気による二次燃焼では理論空気比を充足させる量の空気を供給して酸化燃焼させるようにダンパー開度を設定したことを特徴とするバーナ装置を提供するものである。
【0010】
さらにまた、請求項5のように、バーナ本体と、バーナ本体への燃料供給量を調整する燃料供給弁と、該燃料供給弁の弁開度であるバーナ開度に連動させて燃焼空気量を調整するインバータ制御の燃焼空気供給ファンとを備え、検出される被加熱材料の加熱温度に基づいて前記燃料供給弁のバーナ開度を調整しながら所定温度まで加熱するバーナ燃焼方法であって、バーナ本体は一次空気用流路及び二次空気用流路を形成して各流路には流量調整用の一次ダンパー及び二次ダンパーで開閉調整するようにし、各ダンパーの開度に応じて前記燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気を各流路に分配供給させる二段燃焼とすると共に、前記燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気の温度を温度センサで検出して、燃焼空気の温度範囲毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定したバーナ制御マップを記憶した制御器のバーナ制御マップのデータを利用して前記温度センサにて検出される燃焼空気温度を基に、検出される燃焼空気の温度範囲に設定されたバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度にて燃焼制御することを特徴とするバーナ燃焼方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1のようにバーナの燃焼制御メモリによって、バーナに供給する燃焼空気の温度が大きく変動しても柔軟に対応して適正に燃焼調整させることができ、予熱された燃焼空気を利用して省エネ、CO2の削減を実現できる。特に、燃焼空気温度が高い範囲ではNOxの生成量が多くなるが、燃焼空気温度が高い範囲では、一次ダンパー開度を絞り、二次ダンパー開度を大きくするようにバーナ制御マップを介して、燃焼空気温度が高い範囲でのバーナ燃焼時に火炎温度を低下させることができてサーマルNOxの生成量の低減を図れる。
【0012】
また、請求項2のようにバーナの燃焼制御メモリによって、燃焼空気の温度が常温〜550℃にわたって50〜100℃毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファンの周波数、一次ダンパー及び二次ダンパーの開度のバーナ制御マップで、上記したようにバーナに供給する燃焼空気の温度が大きく変動しても柔軟に対応して適正に燃焼調整させることができ、予熱された燃焼空気を利用して省エネ、CO2の削減、サーマルNOxの生成量の低減を図れる。
【0013】
さらに、請求項3のように、燃焼空気の温度によってバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定したバーナ制御マップで、温度センサにて検出される燃焼空気温度を基に前記バーナ制御マップのデータによりバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度にて燃焼制御することができて、バーナに供給する燃焼空気の温度が大きく変動しても適正に燃焼調整させることができ、上記のように省エネ、CO2の削減、サーマルNOxの生成量の低減を図れる。
【0014】
また、請求項4のように、バーナ制御マップ中の一次ダンパー開度及び二次ダンパー開度は、一次ダンパーを通過する燃焼空気による一次燃焼では理論空気比より少量の空気を供給して還元燃焼させる一方、二次ダンパーを通過する燃焼空気による二次燃焼では理論空気比を充足させる量の空気を供給して酸化燃焼させるようにダンパー開度を設定しておくことで、バーナ燃焼時には火炎温度を低下させることができてサーマルNOxの生成量を効果的に低減できる。
【0015】
さらにまた、請求項5のように、バーナ燃焼方法によって、燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気の温度を温度センサで検出して、燃焼空気の温度範囲毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定したバーナ制御マップを記憶した制御器のバーナ制御マップを介して、上記したようにバーナに供給する燃焼空気の温度が大きく変動しても適正に燃焼調整させることができ、省エネ、CO2の削減、サーマルNOxの生成量の低減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例のバーナ装置部の概要説明用図、
【図2】同上の燃焼制御ブロック図、
【図3】同上のバーナ制御マップの説明用図、
【図4】予熱空気温度とNOx関係説明用図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の燃焼制御メモリは、バーナ本体への燃料供給量を調整する燃料供給弁の弁開度であるバーナ開度と、該燃料供給弁のバーナ開度に連動させて燃焼空気量を調整供給するインバータ制御の燃焼空気供給ファンの周波数と、燃焼空気を供給する一次ダンパー及び二次ダンパーの開度を、供給される被加熱材料の加熱温度に基づいて適正に加熱するためのバーナ燃焼制御メモリであって、前記燃焼空気温度に対して、燃料供給量を調整する燃料供給弁のバーナ開度、該燃焼空気を供給するインバータ制御の燃焼空気供給ファンの周波数、その燃焼空気の供給ダクトの一次ダンパー及び二次ダンパーの開度のバーナ燃焼制御マップを作成して、そのバーナ燃焼制御マップとしたバーナ燃焼制御メモリのデータを制御器に記憶して、バーナを使用する際に前記バーナ燃焼制御メモリのデータを出力自在に形成したことを特徴としている。
【0018】
また、本発明のバーナ装置及びその燃焼方法は、バーナ本体と、バーナ本体への燃料供給量を調整する燃料供給弁と、該燃料供給弁の弁開度であるバーナ開度に連動させて燃焼空気量を調整するインバータ制御の燃焼空気供給ファンとを備え、検出される被加熱材料の加熱温度に基づいて前記燃料供給弁のバーナ開度を調整しながら所定温度まで加熱するバーナ燃焼方法であって、バーナ本体は一次空気用流路及び二次空気用流路を形成して各流路には流量調整用の一次ダンパー及び二次ダンパーで開閉調整するようにし、各ダンパーの開度に応じて前記燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気を各流路に分配供給させる二段燃焼とすると共に、前記燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気の温度を温度センサで検出して、燃焼空気の温度範囲毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定したバーナ制御マップを記憶した制御器のバーナ制御マップのデータを利用して前記温度センサにて検出される燃焼空気温度を基に、検出される燃焼空気の温度範囲に設定されたバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度にて燃焼制御することを特徴としている。
【0019】
バーナ装置1は、図1のようにバーナ本体2を同心円状の二重筒状体として、その内筒側に一次空気用流路3を接続し、外筒側に二次空気用流路4を接続し、これらの各流路3、4には流量調整用の一次ダンパー5及び二次ダンパー6を備え、燃焼空気供給ファン7より送給される予熱された燃焼空気を各ダンパー5、6の開度に応じて流量調整して分配供給する二段燃焼方式としている。
【0020】
前記燃焼空気供給ファン7より燃焼空気が供給される燃焼空気流路8には、燃焼空気の温度を検出する温度センサ9を備える一方、燃焼空気の温度毎や温度範囲毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファン7のインバータ10の周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定したバーナ制御マップのバーナ燃焼制御メモリ11のデータを記憶するようにした制御器12を備え、前記温度センサ9にて検出される燃焼空気温度を基に、図2のように前記バーナ燃焼制御メモリ11のバーナ制御マップ13によって、検出される燃焼空気の温度、または温度範囲に設定されたバーナ開度、燃焼空気供給ファン7のインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度にて燃焼制御するようにしている。
【0021】

上記バーナ本体2には、図1のように中央部に燃料噴射ノズル14を配設して燃料供給管15を接続して燃料供給弁16を配設し、該燃料供給弁16の弁開度であるバーナ開度の開度調整用のコントロールモータ17を介して開閉制御するようにしているもので、図1、図2のように加熱材料の温度信号値、燃焼空気の温度センサ9の検出値を制御器12の入力部18にて取り込み、バーナ制御マップ13を参照しながら燃焼量制御部19、燃焼空気供給フアン制御部20、一次・二次ダンパー開度制御部21を介して出力部22に出力して、燃料供給弁開度調整用のコントロールモータ17、燃焼空気供給ファン7のインバータ10、一次ダンパー5、二次ダンパー6を制御するようにしている。23はパイロットノズル、24は保炎板である。
【0022】
【表1】

【0023】
バーナ装置1については、前記したようにバイオマス発電施設から供給される燃焼空気の温度が大きく変動するため、理論式のみで燃焼制御することは難しい。そのため、例えば、表1のように、予め燃焼空気の温度毎または温度範囲毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファン7のインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を理論式や実験結果等によって対応させて設定しておき、この設定したバーナ開度、燃焼空気供給ファン7のインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度のデータを「バーナ制御マップ」としてバーナ燃焼制御メモリ11に設定登録しておく。
【0024】
その設定に際しては、燃焼空気温度が高くなるほど、燃焼空気供給ファン7のインバータ周波数を上昇させて燃焼空気を多く供給する。燃焼空気温度が高いほど保有熱量が大きくなるので、火炎温度を一定に維持するとすれば、燃焼空気の保有熱量(エア熱量)分だけバーナ開度を低下させて燃焼量(燃料熱量)を抑えることができて省エネルギー化がはかれる。すわなち、燃焼空気温度が高くなるほど(「バーナ制御マップ」中、下欄に向かうほど)、燃焼空気が保有している熱量が多くなるため、燃焼量(バーナ開度)は次第に小さく、燃焼空気供給量(ファンインバータ周波数)は次第に大きくするように設定する。
【0025】
また、一次ダンパー5を通過する燃焼空気(一次空気)による一次燃焼では、理論空気比より少量の空気(空気比0.8程度)を供給して還元燃焼させる一方、二次ダンパー6を通過する燃焼空気(二次空気)による二次燃焼では、理論空気比を充足させる量の空気(空気比0.5程度以上)を供給して酸化燃焼させるように各ダンパー開度を設定登録すると、バーナ燃焼時の火炎温度を低下させることができてサーマルNOxの生成量を効果的に低減することが可能となる。
【0026】
したがって、一次ダンパー5を閉側に調整して一次空気を理論空気比より抑えることにより、図1に示しているように低酸素下での緩慢燃焼(還元燃焼)となってサーマルNOxの生成を抑えられる。その際、酸素不足により不完全燃焼となってCOが多量に生成されるが、二次ダンパー6からの適宜量の二次空気によって完全燃焼(酸化燃焼)させる、二段燃焼方式としている。
【0027】

ちなみに、一次ダンパー5を開側に調整して一次空気を理論空気比程度以上に供給すると、高酸素下での燃焼(酸化燃焼)となって完全燃焼されてCOの生成は抑えられるものの、サーマルNOxの生成が助長される。例えば、図4に示すように、燃焼空気温度が400℃を超える高温となると、バーナ燃焼でのサーマルNOx生成量が急激に増加することが分かっており、特にこの温度範囲(400℃程度以上)の燃焼空気を供給する場合には、一次ダンパー5を極力閉側に調整してサーマルNOxの生成量を抑え、低NOx化をはかるようにしている。
【0028】
また、表1の「バーナ制御マップ」では、縦列に並ぶ各枠内のトータル熱量(燃料熱量+エア熱量)は全て略同等となるように設定している。例えば、マップ中の斜線にて囲った縦枠内に示される、500℃に予熱した燃焼空気でのバーナ開度54%、ファンインバータ周波数36Hzのトータル熱量は、常温の燃焼空気でのバーナ開度70%、ファンインバータ周波数27Hzのトータル熱量と略同等である。また、常温の燃焼空気供給時における空気比は約1.3としているが、予熱された燃焼空気の空気比はそれより大に設定しており(例えば、燃焼空気温度が500℃の場合、空気比は約1.77に設定)、予熱燃焼空気の保有熱をできるだけ有効利用するようにしている。
【0029】
したがって、運転時は、被加熱材料の温度を定期的に検出し、検出される被加熱材料の加熱温度に基づいて前記燃料供給弁16の弁開度であるバーナ開度を調整すると共に、バーナ開度に連動させて所定の空気比となるように燃焼空気供給ファン7の回転数をインバータ制御するようにしている。
【0030】
そして、運転中に、燃焼空気の検出用温度センサ9にて検出される燃焼空気の温度が予め設定した温度範囲から外れる程度の変動を生じたとき、例えば燃焼空気温度が20℃程度の常温から500℃に変動したときには、バーナ制御マップを参照し、例えばマップ中の斜線で囲った範囲であるバーナ開度70%の場合であれば、その同列下欄の500℃のバーナ開度54%に変更すると共に、ファンインバータ周波数を27Hzから36Hzへ、一次ダンパー開度を49%から15%へ、二次ダンパー開度を0%から34%へとそれぞれ変更する。
【0031】
図3は、このときの各変更内容を視覚的にあらわしたものであり、図中の点線にて示される常温時の制御パターンから実線にて示される500℃時の制御パターンへとそれぞれ変更する。これからも分かるように、燃焼空気温度が上がれば、その保有熱を有効利用するためファンインバータ周波数を上げる一方、その分だけバーナ開度を落として省エネを図りつつ、サーマルNOxの生成を抑制するため一次ダンパー開度を閉側に、かつ二次ダンパー開度は開側に調整する設定としている。
【0032】
このようにして、燃焼空気供給ファン7より供給される燃焼空気の温度を温度センサ9で検出して、燃焼空気の温度範囲毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファン7のインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定したバーナ制御マップ13を記憶した制御器12のバーナ制御マップを介して、上記したようにバーナに供給する燃焼空気の温度が大きく変動しても適正に燃焼調整させることができ、省エネ、CO2の削減、サーマルNOxの生成量の低減を図ることができる。
【0033】
なお、表1のバーナ制御マップのように、バーナ開度、ファンインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度の対応関係を、例えば常温のバーナ開度10%ピッチ毎のデータとして設定している場合には、バーナ開度表示のないものに対しては必要に応じて補間計算を行い、バーナ開度、ファンインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を決定できる。
【0034】
上記のように、バーナ制御マップとして、バーナ開度10%ピッチ毎にデータを設定したり、必要に応じて補間計算を行うようにしたが、所定の燃焼空気の温度毎等にバーナ開度、ファンインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定することもできるもので、上記した本発明の趣旨にもとづいて適宜に変形態様を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、燃料処理分野における、アスファルトプラント、発電プラント、製鉄プラント、冶金プラント等の加熱、乾燥システムの燃焼用に広く利用できる。
【符号の説明】
【0036】
1…バーナ装置 2…バーナ本体 3…一次空気用流路 4…二次空気用流路
5…一次ダンパー 6…二次ダンパー 7…燃焼空気供給ファン 9…温度センサ
10…インバータ 11…バーナ燃焼制御メモリ 12…制御器
13…バーナ制御マップ 16…燃料供給弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ本体への燃料供給量を調整する燃料供給弁の弁開度であるバーナ開度と、該燃料供給弁のバーナ開度に連動させて燃焼空気量を調整供給するインバータ制御の燃焼空気供給ファンの周波数と、燃焼空気を供給する一次ダンパー及び二次ダンパーの開度を、供給される被加熱材料の加熱温度に基づいて適正に加熱するためのバーナ燃焼制御メモリであって、
前記燃焼空気温度に対して、燃料供給量を調整する燃料供給弁のバーナ開度、該燃焼空気を供給するインバータ制御の燃焼空気供給ファンの周波数、その燃焼空気の供給ダクトの一次ダンパー及び二次ダンパーの開度のバーナ制御マップを作成して、そのバーナ制御マップとしたバーナ燃焼制御メモリのデータを制御器に記憶して、バーナを使用する際に前記バーナ燃焼制御メモリのデータを出力自在に形成したことを特徴とするバーナ燃焼制御メモリ。
【請求項2】
前記燃焼空気温度が常温〜550℃にわたって50〜100℃毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファンの周波数、一次ダンパー及び二次ダンパーの開度のバーナ制御マップとしたバーナ燃焼制御メモリであることを特徴とする請求項1記載のバーナ燃焼制御メモリ。
【請求項3】
バーナ本体と、バーナ本体への燃料供給量を調整する燃料供給弁と、該燃料供給弁の弁開度であるバーナ開度に連動させて燃焼空気量を調整するインバータ制御の燃焼空気供給ファンとを備え、検出される被加熱材料の加熱温度に基づいて前記燃料供給弁のバーナ開度を調整しながら所定温度まで加熱するバーナ装置であって、
バーナ本体は一次空気用流路及び二次空気用流路を同心円状に形成し、各流路には流量調整用の一次ダンパー及び二次ダンパーを備え、各ダンパーの開度に応じて前記燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気を各流路に分配供給させる二段燃焼方式とすると共に、前記燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気の温度を検出する温度センサを備える一方、燃焼空気の温度によってバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定したバーナ制御マップを記憶した制御器を備え、前記温度センサにて検出される燃焼空気温度を基に前記バーナ制御マップにより、検出される燃焼空気の温度範囲に設定されたバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度にて燃焼制御するように構成したことを特徴とするバーナ装置。
【請求項4】
前記バーナ制御マップ中の一次ダンパー開度及び二次ダンパー開度は、一次ダンパーを通過する燃焼空気による一次燃焼では理論空気比より少量の空気を供給して還元燃焼させる一方、二次ダンパーを通過する燃焼空気による二次燃焼では理論空気比を充足させる量の空気を供給して酸化燃焼させるようにダンパー開度を設定したことを特徴とする請求項3記載のバーナ装置。
【請求項5】
バーナ本体と、バーナ本体への燃料供給量を調整する燃料供給弁と、該燃料供給弁の弁開度であるバーナ開度に連動させて燃焼空気量を調整するインバータ制御の燃焼空気供給ファンとを備え、検出される被加熱材料の加熱温度に基づいて前記燃料供給弁のバーナ開度を調整しながら所定温度まで加熱するバーナ燃焼方法であって、
バーナ本体は一次空気用流路及び二次空気用流路を形成して各流路には流量調整用の一次ダンパー及び二次ダンパーで開閉調整するようにし、各ダンパーの開度に応じて前記燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気を各流路に分配供給させる二段燃焼とすると共に、前記燃焼空気供給ファンより供給される燃焼空気の温度を温度センサで検出して、燃焼空気の温度範囲毎にバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度を設定したバーナ制御マップを記憶した制御器のバーナ制御マップのデータを利用して前記温度センサにて検出される燃焼空気温度を基に、検出される燃焼空気の温度範囲に設定されたバーナ開度、燃焼空気供給ファンのインバータ周波数、一次ダンパー開度、二次ダンパー開度にて燃焼制御することを特徴とするバーナ燃焼方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−252666(P2011−252666A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127375(P2010−127375)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000201515)前田道路株式会社 (61)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】