説明

バーベキューグリル

【目的】 本発明の目的は、持ち運びが便利なように小型軽量化を図ることができるバーベキューグリルを提供する。
【構成】 バーベキューグリルAは、グリル本体100と、このグリル本体100に着脱自在に取り付けられ且つ上面が開放された炭受け部200と、グリル本体100に取り付けられる鉄板300と、炭受け部200内に鉄板300と略平行に中空配置される略矩形状のセラミック板400(断熱部材)とを備えている。このセラミック板400上で炭などが燃焼されることにより、鉄板300上の調理対象物が調理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアウトドアで使用するバーベキューグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバーベキューグリルには、『少なくとも上面部が開放された炭受け部と、この炭受け部が取り付けられるフレームとを具備しており、前記炭受け部は、炭受け部の縁部に形成された下向きの受け溝にフレームの一部が嵌まり込むことでフレームに取り付けられることを特徴とするバーベキューグリル』がある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−61832
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなバーベキューグリルにおいては、持ち運びが便利なように小型軽量化を図ることが要請されている。
【0005】
しかしながら、上記従来例による場合、炭の燃焼エネルギーによる熱的損傷を受けないようにグリル全体に耐熱設計を施すことが必要不可欠であり、この面で小型軽量化を図ることが困難である。また、グリル全体が大型であると、熱効率を高くすることも困難であり、燃料代が高くなるという別の問題もある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて創案されたものであり、小型軽量化を容易に図ることが可能なバーベキューグリルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバーベキューグリルは、グリル本体と、このグリル本体に設けられ且つ少なくとも上面が開放された炭受け部と、この炭受け部の内底部位又は外底部位に配置され且つセラミックその他の遠赤外線放射物質が素材として使用された断熱部材とを具備している。
【0008】
断熱部材については、炭受け部の内底面に接触することなく浮かせて水平に中空支持された形態にすることが望ましい。この場合、炭受け部については、その内底部位に設けられ且つ前記断熱部材の縁部下側に接触可能な支持手段を有したものとすると良い。
【0009】
グリル本体については脚部を有したものを使用することができる。また、前記グリル本体と前記炭受け部とを一体化することも可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るバーベキューグリルは、炭受け部の内底部位又は外底部位に配置され且つセラミックその他の遠赤外線放射物質が素材として使用された断熱部材を備えていることから、炭受け部に入れられた炭等が燃焼して発生した熱が断熱部材により遮蔽され、その分だけ炭受け部又はグリル本体の底部につき熱的影響を受ける度合いが小さくなる。よって、炭受け部又はグリル本体の底部の耐熱処理の軽減したり、炭受け部又はグリル本体の底部と炭等の燃焼箇所との間の空間を小さくしたりすることができ、その結果、炭受け部又はグリル本体の小型軽量化を図ることが可能になる。しかも断熱部材が加熱されるに伴って遠赤外線が放射され、調理対象の肉、魚、野菜等の有機物に吸収される。その結果、調理対象物の加熱エネルギーが大きくなり、その分だけ熱効率が高くなり、燃料代を安くすることが可能になる。よって、断熱部材を用いない場合と比べて、炭等の燃料材を少なくすることができることから、炭受け部又はグリル本体の底部につき熱的影響を受ける度合いを小さくすることができ、この点でも、上述の通り、炭受け部及びグリル本体の小型軽量化を図ることができる。
【0011】
上記バーベキューグリルについて、断熱部材が炭受け部の内底面に接触することなく浮かせて水平に中空支持された構成となっている場合、炭等が燃焼して発生した熱が、断熱部材と、炭受け部の内底面と断熱材との間の空気層との双方により遮蔽され、その結果、熱的遮蔽効果が高くなる。よって、炭受け部の底面につき熱的影響を受ける度合いが小さくなり、これに伴って一層の小型軽量化を図ることが可能になる。
【0012】
上記炭受け部について、その内底部位に設けられ且つ前記断熱部材の縁部下側に接触可能な支持手段を有している場合、炭受け部に対して断熱部材を容易に取り外しすることが可能であることから、使い勝手が良いという効果も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係るバーベキューグリルを下記図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係るバーベキューグリルの概略的分解斜視図、図2は本発明の実施の形態に係るバーベキューグリルの概略的側面図である。
【0014】
図1及び図2に示すバーベキューグリルAは、グリル本体100と、このグリル本体100に着脱自在に取り付けられる上面が開放された平面視略矩形状の炭受け部200と、グリル本体100に取り付けられる鉄板300と、炭受け部200内に鉄板300と略平行に中空配置される略矩形状のセラミック板400(断熱部材)とを備えている。以下、各構成部品について詳しく説明する。
【0015】
グリル本体100は、平面視略ロ字形状のベース部110と、このベース部110の両長辺に各々取り付けられた下向き略凹字形状の一対の脚部120と、ベース部110の両長辺に脚部120と共に各々取り付けられた側面視略コ字状の金属板材である一対のガイド部130を有している。
【0016】
ベース部110は、パイプ材を折曲した2つの略凹字形状のベース凹字部材111と、このベース凹字部材111の両端部を各々接続する直線状のパイプ材である2本のベース中間部材112とから構成されている(なお、図1ではベース中間部材112は1本のみが見えている)。ベース凹字部材111の中間部はベース部110の短辺を、ベース凹字部材111の両端部及びベース中間部材112はベース部110の長辺をそれぞれ形成している。
【0017】
各脚部120は、パイプ材を折曲した下向き略凹字形状の脚部凹字部材121と、この脚部凹字部材121の両端部に接続される2本の脚部連結部材122とを有している。
【0018】
各脚部凹字部材121の中間部はベース部材110の両長辺上にガイド部130の上辺部131と共にボルト140で取り付けられる。これにより脚部120がベース部材110に取り付けられる。また、脚部凹字部材121の中間部はベース部110の長辺より若干長く設定されている。このため、脚部凹字部材121の両端部がベース部110に干渉しないようになっている。また、脚部凹字部材121の中間部上には鉄板300が載置され、ボルト140で取り付けられる。なお、鉄板300の周縁部には、ボルト140が嵌まり込む4つの位置決め用の開口310が開設されている。
【0019】
各脚部連結部材122は2本のパイプ材が長さ方向に連結されたものである。この2本のパイプ材は着脱可能になっており、その一方を他方から取り外すことにより又は双方を脚部凹字部材121から取り外すことにより、バーベキューグリルAの高さ調節が可能になっている。具体的には、脚部連結部材122の2本のパイプ材が脚部凹字部材121に連結されている場合には、バーベキューグリルAは立食状態のバーベキューに使用されるハイスタンド型となる。脚部連結部材122の先端側(一方)のパイプ材が基端側(他方)のパイプ材から取り外されている場合には、バーベキューグリルAは、地面等に座った状態で行われるバーベキューに使用されるロースタンド型となる。更に、脚部連結部材112の2本のパイプ材を脚部凹字部材121の両端部から取り外した場合(脚部連結部材112を使用しない場合)には、バーベキューグリルAをテーブル上等に載置して使用される卓上型となる。
【0020】
各ガイド部130は、上辺部131と、下辺部132と、上辺部131と下辺部132との間を連結する中間部133とを有し、上辺部131及び下辺部132が中間部133に対して略直角に同方向に折り曲げられた形状となっている。
【0021】
上辺部131は、脚部120の脚部凹字部材121の中間部とベース部材110の長辺との間に挟まれた状態で、脚部凹字部材121の中間部と共にベース部材110の長辺にボルト140で取り付けられる。
【0022】
中間部133の幅寸法は、ベース部110を構成するパイプ材の直径より大きく設定されている。このため、ガイド部130の下辺部132とベース部110との間には隙間が形成される。
【0023】
下辺部132は炭受け部200のフランジ部210をスライド自在に係止する係止片である。
【0024】
炭受け部200は、金属板材がプレス成型されることにより作成された平面視略矩形状の薄皿体であって、略矩形状の底板230と、この底板230の長さ方向の両端に略直角に立設された逆台形状の両側板220と、底板230の幅方向の両端上に傾斜状態で立設され且つ両側板220の両端同士を各々接続する両傾斜板240と、この両傾斜板240の縁部に各々外側に向けて設けられた一対のフランジ部210とを有している。
【0025】
フランジ部210はガイド部130の下辺部132上に載置され、係止される。これにより炭受け部200がグリル本体100にスライド可能に取り付けられる。
【0026】
両傾斜板240には一対の段差部241が各々設けられている。この段差部241がセラミック板400の縁部を下側から支持する。これにより、セラミック板400が炭受け部200内で中空支持される。
【0027】
底板230の中心部にはガード棒150が取り付けられている。このガード棒150の高さ寸法は、底板230の面上からベース凹字部材111までの垂直距離よりも大きく、底板230の面上から脚部凹字部材121の中間部上の鉄板300の下面までの垂直距離よりも小さくなっている。このため、炭受け部200がグリル本体100から引き出されると、ガード棒150がベース部110のベース凹字部材111に当接し、炭受け部200の移動をストップさせる。このため、炭受け部200を引き出しすぎて落下するという事故を未然に防止することができる。
【0028】
セラミック板400は厚さ5mm〜20mmのセラミック板を用いている。このセラミック板400にはガード棒150が挿入される挿入孔410が開設されている。
【0029】
このような構成のバーベキューグリルAは、炭受け部200の段差部241上に載置され、当該炭受け部200内に中空支持されたセラミック板400上に炭を載せた状態で、バーベキューが行われる。そして、炭を追加する場合には、炭受け部200のフランジ部210をガイド部130の下辺部132に沿ってスライドさせ、炭受け部200を鉄板300の下から引き出す。この状態で炭を追加する。炭が追加できたならば、炭受け部200を元の位置、すなわち鉄板300の下にスライドして戻す。
【0030】
なお、使用後の洗浄等のために炭受け部200をガイド部130から完全に引き出すときには、炭受け部200を引き出しながら斜め上方向に傾けて、ガード棒150とベース凹字部材111との接触を回避させることで行う。
【0031】
上述したバーベキューグリルAによる場合、セラミック板400が炭置きとして炭受け部200内に鉄板300と略平行に中空配置されている。このため、炭の燃焼により発生する熱がセラミック板400及びセラミック板400と炭受け部200の底板230との間に形成される空気層により遮断され、その分だけ炭受け部200の底板230に対する熱的影響を受ける度合いが小さくなる。よって、炭置きであるセラミック板400と炭受け部200の底板230との距離を小さくすることができ、炭受け部200の薄型化を図ることができ、その結果、コンパクトで持ち運びが容易なバーベキューグリルAを得ることができる。
【0032】
しかも、セラミック板400上で炭を燃焼させることにより、当該セラミック板400から遠赤外線が放射され、鉄板300上の調理対象の肉、魚、野菜等の有機物に吸収される。その結果、調理対象物の加熱エネルギーが大きくなり、その分だけ熱効率が高くなるため、セラミック板400を設置しない場合と比べて、少ない炭で調理対象物を調理することができる。また、炭の量を減らすことができることから、当該炭の燃焼により発生する熱が炭受け部200の底板230に与える熱的影響を低減することができる。よって、この点でも、上述の通り、炭受け部200の薄型化を図ることができる。
【0033】
なお、上述したバーベキューグリルは、特許請求の範囲の趣旨に適う限り任意に設計変更することが可能である。以下、各構成部品について詳しく述べる。
【0034】
セラミック板400は、セラミックその他の遠赤外線放射物質が素材として使用された断熱部材である限りどのようなものを用いても構わない。前記素材としては、耐熱性を有し且つ表面温度を高くすることにより遠赤外線エネルギーが多く放射される天然又は人工のセラミック類であることが好ましいが、これに限定されるものではない。前記素材の他の例としては、ガラス類等がある。また、この断熱部材は、板状体に限定されるものではなく、例えば、セラミック繊維織布や網状のセラミック板等を用いることができる。
【0035】
また、上記実施例では、セラミック板400は炭受け部200内に中空支持されるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、セラミック板400を炭受け部200の底板230上に設置するようにしても良い。この場合、炭受け部200に段差部241等の支持手段を設ける必要がないので、炭受け部200の構成を簡単化することができる。
【0036】
また、セラミック板400は炭置きであるとしたが、これに限定されるものではない。従って、セラミック板400の上方に網等の炭置きを配置することも可能であるし、セラミック板400は底板230の下側に取り付けることも可能である。特に、グリル本体が炭受け部200を収容するボックス形状である場合には、セラミック板400を底板230の下側に取り付けることによって、セラミック板400により炭の燃焼により発生する熱を遮断し、炭受け部200下のグリル本体の底部に与える熱的影響を低減することができ、その結果、当該グリル本体の薄型化を図ることができる。
【0037】
炭受け部200については、炭の他に薪等の燃料材を入れることができる箱状体である限り、任意に設計変更することが可能である。
【0038】
上記実施例では、セラミック板400等の断熱部材を支持する支持手段として、炭受け部200に段差部241が設けられているとしたが、これに限定されるものではない。即ち、前記支持手段としては断熱部材を支持し得るものである限り任意に設計変更することが可能である。例えば、炭受け部200の両傾斜板240又は両側板220の一部をカットし、内側に折り曲げることにより作成された係止片とすることも可能である。また、断熱部材が上述したセラミック繊維織布である場合には、ビスなどを用いて炭受け部200に貼付することも可能である。
【0039】
グリル本体100については、炭受け部200が設置可能なものである限り任意に設計変更することが可能である。従って、グリル本体は炭受け部200を収容するボックス形状とすることができる。また、グリル本体と炭受け部とを一体化し、炭などの燃料材が入れられる箱状体とすることが可能である。この一体化したものに脚部を設けるか否かは任意に選択設定可能である。
【0040】
また、ガイド部130については、下辺部132同士を連結して板状体とすることにより、炭受け部200からの熱を遮断することができる。また、前記板状体上に凹状の水溜部を形成することにより、熱遮断性を向上させることもできる。
【0041】
鉄板300は網等の食材を載せることができる調理具に置換可能である。
【0042】
なお、本発明は、ハイスタンド型のバーベキューグリルだけでなく、ロースタンド型や卓上型等のバーベキューグリルに適用可能である。なお、各構成部品の形状や数については同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係るバーベキューグリルの概略的分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るバーベキューグリルの概略的側面図である。
【符号の説明】
【0044】
100 グリル本体
120 脚部
200 炭受け部
230 底板
241 段差部(支持手段)
400 セラミック板(断熱部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル本体と、このグリル本体に設けられ且つ少なくとも上面が開放された炭受け部と、この炭受け部の内底部位又は外底部位に配置され且つセラミックその他の遠赤外線放射物質が素材として使用された断熱部材とを具備したことを特徴とするバーベキューグリル。
【請求項2】
前記断熱部材が前記炭受け部の内底部位に配置される場合の請求項1記載のバーベキューグリルにおいて、前記断熱部材が前記炭受け部の内底面に接触することなく浮かせて水平に中空支持されていることを特徴とするバーベキューグリル。
【請求項3】
請求項2記載のバーベキューグリルにおいて、前記炭受け部は、その内底部位に設けられ且つ前記断熱部材の縁部下側に接触可能な支持手段を有していることを特徴とするバーベキューグリル。
【請求項4】
請求項1記載のバーベキューグリルにおいて、前記グリル本体は脚部を有していることを特徴とするバーベキューグリル。
【請求項5】
請求項1記載のバーベキューグリルにおいて、前記グリル本体と前記炭受け部とが一体化されていることを特徴とするバーベキューグリル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−12044(P2010−12044A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174885(P2008−174885)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【特許番号】特許第4388584号(P4388584)
【特許公報発行日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(391036404)株式会社ロゴスコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】