説明

パイプの継手構造

【課題】 本発明は、四角パイプまたは丸パイプを段差および偏向傾斜なしに突合わせ接続することのできるパイプの継手構造を新規に提供するものである。
【解決手段】 本発明は、向き合わせた四角パイプをつなぎ角パイプを内にして圧嵌突合わせ接続する継手構造において、該つなぎ角パイプの外面に半球体形をした1乃至複数個の突起を設け、該つなぎ角パイプの一半に一方の四角パイプを圧嵌して溶接止めしたから、該つなぎ角パイプの他半に他方の四角パイプを圧嵌して該半球体突起の四角パイプへの圧接にて両四角パイプ間を段差および偏向傾斜なしに突合わせ接続するようにした四角パイプの継手構造にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の四角パイプ間または丸パイプ間を段差および偏向傾斜なしに突合わせ接続する継手構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2本の四角パイプ間または丸パイプ間を突合わせ接続する構造としては、つなぎパイプを挟んで圧嵌接続する、いわゆるインロー継手の手段が知られている。
【0003】
しかしながら、つなぎパイプを挟んで四角パイプ,丸パイプを圧嵌突合わせ接続する場合は圧嵌ひずみなどによって、図6に示すような段差,偏向傾斜が生ずるという課題がある。
【0004】
この段差などを解消するとした、特開平11−311221号公報は、四角パイプ間を両側に翼片を取付けた変H形をしたつなぎ部材6を挟んで突合わせ接続することを記載している。
【特許文献1】特開平11−311221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、該公報のつなぎ部材6は複雑な形状構造によって製造および接続操作を容易でないものにしているという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、つなぎ角パイプの外面またはつなぎ丸パイプの外周面に四角パイプまたは丸パイプを圧入可能にして圧入後は該パイプに圧接し固定する高さを備えた半球体形をした突起を設けて、該四角パイプ間または丸パイプ間を段差および偏向傾斜なしに突合わせ接続するようにして、かかる課題を解決したのである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、つなぎ角パイプの外面またはつなぎ丸パイプの外周面に設けた半球体形の突起の内面圧接にて四角パイプ間または丸パイプ間を段差および偏向傾斜なしに突合わせ接続するという効果を生ずる。
【0008】
一方の四角パイプまたは丸パイプにつなぎ角パイプまたはつなぎ丸パイプ溶接用の穴を設けたので、他方の四角パイプまたは丸パイプの圧嵌時につなぎ角パイプまたはつなぎ丸パイプがずれ動くことを防止することができるという効果を生ずる。
【0009】
つなぎ角パイプまたはつなぎ丸パイプの中間の開口部が広狭して四角パイプの圧嵌を可能にする効果を生ずる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、向き合いの2本の四角パイプまたは丸パイプを接面する太さのつなぎ角パイプまたは丸パイプを挟んで外嵌突合わせ接続するものにおいて、該つなぎ角パイプの外面または丸パイプの外周面に半球体形をした突起を設け、該つなぎ角パイプまたはつなぎ丸パイプの一半に一方の四角パイプまたは丸パイプを圧嵌して溶接止めしてから、該つなぎ角パイプまたは丸パイプの他半に他方の四角パイプまたは丸パイプを圧嵌して段差および偏向傾斜なしに両四角パイプまたは両丸パイプを突合わせ接続するようにしたのである。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明のつなぎ角パイプ2の1例を示すもので、一側の垂直部の中間に開口部2aを有す角C形にてなり、該つなぎ角パイプ2の長手方向の左右の外面に0.3〜0.4mm程度の高さとする半球体形をした突起3を設ける。突起3は左右とも一面ごとにそれぞれ1乃至2個づつにて周回線状に並ばないようにずらして設けるのである。
【0012】
このように形成したつなぎ角パイプ2の一半に一方の四角パイプ1aを外嵌圧入すると、開口部2aを圧縮しつつ所定幅が入りそして元形に戻り、半球体形をした突起3が四角パイプ1aの内面に圧接することとなる。
【0013】
4a,4bは一方の四角パイプ1aの一面に設けた溶接用の穴で、該穴4a,4bを埋める要領にてつなぎ角パイプ2を熔接5して図3に示すようにつなぎ角パイプ2の他半を突出した状態にて固定してから、つなぎ角パイプ2の他半に他方の四角パイプ1bを外嵌圧入して突合わせるのである。つなぎ角パイプ2の各突起3は最終的に該四角パイプ1bの内面に圧接して、四角パイプ1a,1bを半球体形の突起3にて支え固定して段差および偏向傾斜なしにて突合わせ接続することとなる。なお半球体形の突起3は0.3〜0.4mmの高さがよく、それ以上の高さでは四角パイプの圧入を困難とし、低すぎると四角パイプのガタつきを収めることができないこととなる。
【実施例2】
【0014】
図4はつなぎ角パイプの他の例を示すもので、コ形をした半パイプ部材2b,2cを突合わせてつなぎ角パイプ2dとしたものである。半パイプ部材2b,2cの突き合わせ端が弾力をもって四角パイプの圧嵌を可能にしたのである。
【実施例3】
【0015】
図5は丸パイプ1c,1d間を突合わせ接続する例を示すもので、中間に開口部6aを有すC形をしたつなぎ丸パイプ6の長手方向の左右の外周面の少なくとも三方向以上に散在させて半球体形をした高さ0.3〜0.4mm程度の突起3を複数個設けたのである。つなぎ丸パイプ6の一半に一方の丸パイプ1cを外嵌圧入して溶接用の穴4a,4bを埋める要領にて溶接5し、つなぎ丸パイプ6の他半に他方の丸パイプ1dを外嵌圧入して、突起3の内面圧接による固定にて両丸パイプ1c,1d間を段差および偏向傾斜なしにて突合わせ接続するようにしたほかは前例と同じである。図5(c)は半円形をした半パイプ部材6b,6cの突合わせにてつなぎ丸パイプ6dを形成した例を示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、段差および互いの偏向傾斜することなしに、四角パイプ間または丸パイプ間を突合わせ接続することにより、多数のパイプを継ぐことで組立式の家具,ディスプレイ装置などを優良な形状にて形成する継手として広く利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】つなぎ角パイプの1実施例を示すもので、(a)は断面視矩形の例、(b)は断面視正方形の例の斜視図
【図2】つなぎ角パイプの一半に一方の四角パイプの外嵌圧入と溶接止めした状態を示す斜視図
【図3】つなぎ角パイプの他半に他方の四角パイプを外嵌圧入して段差および偏向傾斜なしに四角パイプ間を突合わせ接続した状態を示す斜視図
【図4】つなぎ角パイプの他の例を示す側面図
【図5】つなぎ丸パイプの実施例を示すもので、(a)つなぎ丸パイプと接続する丸パイプを示す斜視図、(b)は丸パイプ間を突合わせ接続した状態を示す斜視図、(c)はつなぎ丸パイプを半円形をした半パイプ部材の突き合わせにて形成した例を示す側面図
【図6】従来例の接続構造により、四角パイプの突合わせ接続部間に段差が生じた状態および偏向傾斜した状態を示す断面図
【符号の説明】
【0018】
1a,1bは四角パイプ
1c,1dは丸パイプ
2,2dはつなぎ角パイプ
2aは開口部
2b,2cはコ形の半パイプ部材
3は半球体形の突起
4a,4bは溶接用の穴
5は溶接
6,6dはつなぎ丸パイプ
6aは開口部
6b,6cは半円形の半パイプ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
向き合わせた四角パイプをつなぎ角パイプを内にして圧嵌突合わせ接続する継手構造において、該つなぎ角パイプの外面に半球体形をした1乃至複数個の突起を設け、該つなぎ角パイプの一半に一方の四角パイプを圧嵌して溶接止めしてのち、該つなぎ角パイプの他半に他方の四角パイプを圧嵌して該半球体突起の内面圧接にて両四角パイプを段差および偏向傾斜なしに突合わせ接続するようにしたことを特徴とする四角パイプの継手構造。
【請求項2】
向き合わせた丸パイプをつなぎ丸パイプを内にして圧嵌突合わせ接続する継手構造において、該つなぎ丸パイプの外周面に半球体形をした複数個の突起を設け、該つなぎ丸パイプの一半に一方の丸パイプを圧嵌して溶接止めしてのち、該つなぎ丸パイプの他半に他方の丸パイプを圧嵌して該半球体突起の内面圧接にて両丸パイプを段差および偏向傾斜なしに突合わせ接続するようにしたことを特徴とする丸パイプの継手構造。
【請求項3】
一方の四角パイプまたは丸パイプに、つなぎ角パイプまたはつなぎ丸パイプ溶接用の穴を設ける請求項1または2に記載のパイプの継手構造。
【請求項4】
つなぎ四角パイプまたはつなぎ丸パイプは中間に開口部を設ける請求項1乃至3のいずれかに記載のパイプの継手構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−170564(P2007−170564A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370348(P2005−370348)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(597081385)信栄工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】