説明

パイプコンベヤ

【課題】永久磁石を有効に利用して、丸められた搬送ベルトの捩れや潰れを、簡単に、効率よく検出しうるとともに、搬送ベルトの閉止性を向上しうるようにしたパイプコンベヤを提供する。
【解決手段】パイプ状に丸められたときに互いに重合する搬送ベルト3の両側部3a、3bの対向面に、互いに吸着する永久磁石6、7を設け、かつパイプ状に丸められた搬送ベルト3が通過する箇所における固定体に、永久磁石6、7が通過するときの磁力の強さを検出する複数の磁気センサ8を、搬送ベルト3を囲む円周方向に並べて設けるとともに、磁気センサ8により検出した磁力の強さを比較して、ピーク値P1を検出した磁気センサ8の位置により、搬送ベルト3の捩れを判別する捩れ判別手段11を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環走行する無端の帯状搬送ベルトの一部分をパイプ状に丸め、その内部に被搬送物を包み込んで搬送するようにしたパイプコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気浮上式ベルトコンベヤには、樋状をなして走行するようにしたコンベヤベルトの両側部に、永久磁石(磁性体)を設け、かつコンベヤベルトが通過する箇所における固定体に、上記記永久磁石が通過するときの磁力の強さを検出する多数の磁気センサを、コンベヤベルトを囲む円周方向に並べて設け、各磁気センサの出力差に基づいて、コンベヤベルトの蛇行を検出するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−169423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載されているものにおいては、多数の磁気センサを用いなければならないので、それらの支持構造が複雑になるとともに、コストが高くつく。
【0004】
また、搬送ベルトの一部分をパイプ状に丸めて搬送するようにしたパイプコンベヤにおいては、丸められた搬送ベルトの一部が、自重や応力により、内方に潰れることがあるが、特許文献1には、このような搬送ベルトの内方への潰れを検出することに関しては、全く記載されていない。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、丸められた搬送ベルトの捩れや潰れを、簡単に、効率よく検出しうるとともに、搬送ベルトをパイプ状に丸めた際における閉止性の向上をも図ることができるようにしたパイプコンベヤを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1) 循環走行する無端の帯状搬送ベルトの一部分をパイプ状に丸め、その内部に被搬送物を包み込んで搬送するようにしたパイプコンベヤにおいて、パイプ状に丸められたときに互いに重合する前記搬送ベルトの両側部の対向面のいずれか一方に永久磁石を設け、パイプ状に丸められた搬送ベルトが通過する箇所における搬送ベルトの外周の領域を、搬送ベルトの捩れの許容範囲内において、搬送ベルトの両側部の重合部の移動を許容する許容ゾーンと、それ以外の非許容ゾーンとに区分するとともに、パイプ状に丸められた前記搬送ベルトが通過する箇所における固定体に、前記永久磁石が通過するときの磁力の強さを検出する複数の磁気センサを、前記各ゾーン毎に、前記搬送ベルトを囲む円周方向に並べて設け、さらに、前記各磁気センサにより検出した磁力の強さを比較し、非許容ゾーンに配設した磁気センサが磁力のピーク値を検出したとき、前記搬送ベルトの捩れが許容限度を超えたことを判別する捩れ判別手段を設ける。
【0007】
(2) 循環走行する無端の帯状搬送ベルトの一部分をパイプ状に丸め、その内部に被搬送物を包み込んで搬送するようにしたパイプコンベヤにおいて、パイプ状に丸められたときに互いに重合する前記搬送ベルトの両側部の対向面のいずれか一方に永久磁石を設け、かつパイプ状に丸められた前記搬送ベルトが通過する箇所における固定体に、前記両永久磁石が通過するときの磁力の強さを検出する磁気センサを設けるとともに、この磁気センサにより検出した磁力のピーク値の絶対値に基づいて、前記搬送ベルトの重合部が内方に変位したことを判別する潰れ判別手段を設ける。
【0008】
(3) 循環走行する無端の帯状搬送ベルトの一部分をパイプ状に丸め、その内部に被搬送物を包み込んで搬送するようにしたパイプコンベヤにおいて、パイプ状に丸められたときに互いに重合する前記搬送ベルトの両側部の対向面のいずれか一方に永久磁石を設け、パイプ状に丸められた搬送ベルトが通過する箇所における搬送ベルトの外周の領域を、搬送ベルトの捩れの許容範囲内において、搬送ベルトの両側部の重合部の移動を許容する許容ゾーンと、それ以外の非許容ゾーンとに区分するとともに、パイプ状に丸められた前記搬送ベルトが通過する箇所における固定体に、前記永久磁石が通過するときの磁力の強さを検出する複数の磁気センサを、前記各ゾーン毎に、前記搬送ベルトを囲む円周方向に並べて設け、さらに、前記各磁気センサにより検出した磁力の強さを比較し、非許容ゾーンに配設した磁気センサが磁力のピーク値を検出したとき、前記搬送ベルトの捩れが許容限度を超えたことを判別するとともに、前記ピーク値の絶対値に基づいて、前記搬送ベルトの重合部が内方に変位したことを判別する捩れおよび潰れ判別手段を設ける。
【0009】
(4) 上記(1)または(3)項において、許容ゾーンと非許容ゾーンとの間に中間ゾーンを設け、各中間ゾーンにも、磁気センサを配設し、中間ゾーンに配設した磁気センサが磁力のピーク値を検出したとき、捩れ判別手段、または捩れおよび潰れ判別手段が、前記搬送ベルトの捩れが要注意状態となったことを判別するようにする。
【0010】
(5) 上記(1)、(3)、(4)項のいずれかにおいて、互いに隣接するゾーン間に、磁気センサの重合部分を設け、この重合部分に、搬送ベルトに設けた永久磁石が対向して、互いに隣接する磁気センサがほぼ同じ大きさのピーク値を検出したとき、捩れ判別手段、または捩れおよび潰れ判別手段が、前記搬送ベルトの重合部分が、前記互いに隣接するゾーンの境界部分に位置していることを判別するようにする。
【0011】
(6) 上記(1)、(3)〜(5)項のいずれかにおいて、各ゾーンに、それぞれ単一のループコイルよりなる磁気センサをそれぞれ配設する。
【0012】
(7) 上記(2)もしくは(3)項、または(3)項に従属する(4)〜(6)項のいずれかにおいて、潰れ判別手段、または捩れおよび潰れ判別手段を、磁気センサにより検出した磁力のピーク値の絶対値が、予め設定した限界値より低下することにより、搬送ベルトの重合部が内方に変位したことを判別するようにする。
【0013】
(8) 上記(1)〜(7)項のいずれかにおいて、パイプ状に丸められたときに互いに重合する搬送ベルトの両側部の対向面のいずれか一方に永久磁石を設け、かつ他方に、前記永久磁石に吸着しうる磁性体を設ける。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
請求項1記載の発明によると、各ゾーンに磁気センサを1個ずつ設ければよいので、従来のように、多数の磁気センサを設ける必要がなく、丸められた搬送ベルトの捩れを、簡単に、効率よく検出することができる。
また、搬送ベルトの捩れが許容範囲を越えたことを簡単に知ることができ、それによって、警報装置(構成要件外)を作動させたり、またはパイプコンベヤの作動を停止させたり(同上)して、事故の発生を未然に防止することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によると、磁気センサにより検出した磁力のピーク値の絶対値が低下することにより、そのことを潰れ判別手段が判別して、搬送ベルトの重合部が内方に変位したこと、すなわち、丸められた搬送ベルトのパイプ形状が潰れたことを、簡単に、効率よく検出することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によると、永久磁石や磁気センサの数を増やすことなく、上記の請求項1記載の発明の効果と、請求項2記載の発明の効果との両方の効果を奏することができる。すなわち、丸められた搬送ベルトの捩れと潰れとを、簡単に、効率よく検出することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によると、搬送ベルトの捩れの程度を、より細かく正確に判別することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によると、磁気センサの数を増加することなく、搬送ベルトの捩れの程度を、より細かく正確に判別することができる。
【0019】
請求項6記載の発明によると、各ゾーンに、それぞれ単一のループコイルよりなる磁気センサをそれぞれ配設するだけで、多くの磁気センサを設けることなく、必要十分な情報を正確に得ることができる。
【0020】
請求項7記載の発明によると、潰れ判別手段、または捩れおよび潰れ判別手段を、磁気センサにより検出した磁力のピーク値の絶対値が、予め設定した限界値より低下することにより、搬送ベルトの重合部が内方に変位したことを判別するようにしてあるので、搬送ベルトが潰れたか否かを、単純かつ明確に知ることができる。
【0021】
請求項8記載の発明によると、搬送ベルトの両側部の対向面のいずれか一方に設けた永久磁石が、他方に設けた磁性体に吸着することにより、丸められた搬送ベルトの両側部が互いに開くのを防止し、その内部の閉止性の向上を図ることができ、被搬送物の飛散を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1および図2は、本発明の第1の実施形態を示す。
図1に示すように、このパイプコンベヤは、前部プーリ(1)と後部プーリ(2)とに、無端帯状の搬送ベルト(3)を掛け回し、前部プーリ(1)と後部プーリ(2)とのいずれか一方を、モータ等の駆動手段(図示略)により回転させることによって、搬送ベルト(3)を循環走行させ、搬送ベルト(3)の上側走行部分であるキャリヤ側と、下側走行部分であるリターン側の中間部を、複数の案内ローラをほぼ環状または樋状に配設してなる多数の案内枠(いずれも図示略)の内部を通過させることにより、搬送ベルト(3)を、その一方の側部(3a)の表面(搬送面)が、他方の側部(3b)の裏面に接触するようにして、両側部(3a)(3b)が互いに重合するパイプ状に丸め、その中に、後部プーリ(2)寄りの上方に配設したホッパー(4)から供給された被搬送物(5)を、包み込んで搬送するようになっている。
【0023】
パイプ状に丸められたときに互いに重合する搬送ベルト(3)の一方の側部(3a)の表面と、他方の側部(3b)の裏面との対向面には、それぞれが磁性吸着体をなす複数の永久磁石(6)(7)が、搬送ベルト(3)の長手方向に適宜の間隔をもって、また互いの対向面の極性が異なるようにして、埋設されている。
【0024】
第1の実施形態では、図2に示すように、パイプ状に丸めたときの搬送ベルト(3)の両側部(3a)(3b)に設けられたすべての永久磁石(6)の上面がN極、下面がS極となるようにしてある。
しかし、この極性をすべて逆にしたり、搬送ベルト(3)の長手方向に沿って、1個ごとに極性が逆になるようにしてもよい。また、永久磁石(6)(7)のうち、いずれか一方を、鉄板等の磁性体により形成してもよい。
また、この例では、図1および図2に示すように、両永久磁石(6)(7)は、搬送ベルト(3)を丸めたときに、搬送ベルト(3)の重合部において互いに重なり合うような配置としてあるが、例えば、搬送ベルト(3)の長手方向に互いに位置をずらして、交互に並べたり、またはさらに、丸めた搬送ベルト(3)の円周方向にも位置をずらして、千鳥状の配置としたりしてもよい。
【0025】
パイプ状に丸められた搬送ベルト(3)が通過する領域の適所に設けた固定体(図示略)には、図2に示すように、永久磁石(6)(7)が通過するときの磁力の強さを検出する複数の磁気センサ(8)が、搬送ベルト(3)に近設して、かつ搬送ベルト(3)を囲む円周方向に並べて設けられている。
【0026】
この例では、磁気センサ(8)は、8個のループコイル(8-1)〜(8-8)としてある。
また、パイプ状に丸められた搬送ベルト(3)が通過する箇所における搬送ベルト(3)の外周の領域を、搬送ベルト(3)の両側部(3a)(3b)の重合部(3c)が捩れて移動する際の許容ゾーン(A)と、それ以外の非許容ゾーン(B)とに区分し、許容ゾーン(A)には、真上と、その両側部との3個のループコイル(8-4)(8-5)(8-6)が、また非許容ゾーン(B)には、それ以外の5個の(8-1)〜(8-3)(8-7)(8-8)が配設されている。
【0027】
各ループコイル(8-1)〜(8-8)(以下、特定のものを指すとき以外は、磁気センサ(8)という)は、判別手段(捩れおよび潰れ判別手段)(9)にそれぞれ接続されており、それらによって検出された磁力の強さは、判別手段(9)に接続されたデイスプレイ(10)に、各ループコイル(8-1)〜(8-8)に対応させて表示されるようになっている。
【0028】
判別手段(9)は、捩れ判別手段(11)と潰れ判別手段(12)とを備えている。
捩れ判別手段(11)は、磁気センサ(8)により検出した磁力の強さを比較して、ピーク値を検出した磁気センサ(8)の位置により、搬送ベルト(3)の捩れを判別する。
【0029】
すなわち、図2に実線で示す捩れがない状態では、搬送ベルト(3)の重合部(3c)は真上に位置し、永久磁石(6)(7)がループコイル(8-5)に近設して通過するので、デイスプレイ(10)上には、図2に実線で示すように、ループコイル(8-5)に対応する第5番目の線に、ピーク値(P1)が生じる。他のループコイル(8-1)〜(8-4)、(8-6)〜(8-8)は、永久磁石(6)(7)から離れているので、それらに対応するデイスプレイ(10)上の第1〜4番目、および第6〜8番目の線は、凹凸の少ないほぼ直線をなす。
【0030】
ピーク値(P1)が、ループコイル(8-5)の検出値に生じたことを捩れ判別手段(11)が検出することにより、搬送ベルト(3)の重合部(3c)が、ループコイル(8-5)に対向する範囲内に位置していること、すなわち搬送ベルト(3)にほとんど捩れが生じていないことがわかる。
【0031】
搬送ベルト(3)に捩れが生じ、例えば搬送ベルト(3)の重合部(3c)が、図2に想像線で示すように、実線示の状態から、ほぼ90度左方に変位した状態で通過すると、そのときの重合部(3c)に対向するループコイル(8-3)の検出値に、ピーク値(P2)(図2のデイスプレイ(10)内の表示参照)が生じ、そのことを捩れ判別手段(11)が検出することにより、搬送ベルト(3)の重合部(3c)が、ループコイル(8-3)に対向する範囲内に位置していること、すなわち搬送ベルト(3)の捩れが、許容限度を超えたことを判別することができる。
【0032】
また、搬送ベルト(3)の重合部(3c)が、ループコイル(8-4)または(8-6)に対向する位置まで搬送ベルト(3)が捩れ、ループコイル(8-4)または(8-6)がピーク値を検出したときは、搬送ベルト(3)が、許容範囲内ではあるが、ある程度捩れていることを判別することもできる。
【0033】
捩れ判別手段(11)が、搬送ベルト(3)の捩れが許容範囲を超えたことを検出したときは、判別手段(9)に接続された警報装置(13)を作動させたり、またはパイプコンベヤ全体の作動を停止させる作動停止装置(14)を作動させたりするようにしておくのがよい。
【0034】
潰れ判別手段(12)は、磁気センサ(8)により検出した磁力のピーク値(P1)の絶対値に基づいて、搬送ベルト(3)の重合部(3c)が、径方向の内方に変位したこと、すなわちパイプ形状に潰れが生じたことを判別する。
この例では、磁気センサ(8)により検出した磁力のピーク値(P1)の絶対値(図2のデイスプレイ(10)内の表示においては、ピーク値(P1)の振幅)が、予め設定した限界値(D)より低下することにより、搬送ベルト(3)の重合部(3c)が内方に変位したことを判別するようにしてある。
【0035】
この潰れ判別手段(12)が、搬送ベルト(3)に潰れが生じたことを検知したときは、捩れ判別手段(11)が、搬送ベルト(3)の捩れを検出したときと同様に、判別手段(9)に接続された警報装置(13)を作動させたり、またはパイプコンベヤ全体の作動を停止させる作動停止装置(14)を作動させたりするようにしておくのがよい。
【0036】
第1の実施形態によると、搬送ベルト(3)の両側部(3a)(3b)に設けられた永久磁石(6)(7)(そのいずれか一方のみでもよい)を有効に利用して、丸められた搬送ベルト(3)の捩れを、簡単に、効率よく検出することができる。また、専用のセンサ等を付加することなく、丸められた搬送ベルト(3)の重合部(3c)が内方に変位したこと、すなわち、搬送ベルト(3)の潰れをも検出することができる。
しかも、第1の実施形態においては、搬送ベルト(3)をパイプ状に丸めたとき、搬送ベルト(3)の両側部(3a)(3b)に設けた永久磁石(6)(7)が互いに重なり合って、吸着し合うようにしてあるので、丸められた搬送ベルト(3)の両側部(3a)(3b)が互いに開くのを防止し、その内部の閉止性の向上を図ることができ、被搬送物(5)の飛散を防止することができる。
【0037】
また、搬送ベルト(3)の外周の領域を、許容ゾーン(A)と非許容ゾーン(B)とに区分し、各ゾーン(A)(B)に磁気センサ(8)を配設してあるので、搬送ベルト(3)の捩れが許容範囲を越えたことを簡単に知ることができ、それによって、警報装置(13)を作動させたり、またはパイプコンベヤの作動を停止させる作動停止装置(14)を作動させたりして、事故の発生を未然に防止することができる。
【0038】
図3は、本発明の第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態におけるのと同一の部材には、同一の符号を付して図示するに止め、それについての詳細な説明は省略する(第3の実施形態においても同様とする)。
【0039】
この例では、上述の許容ゾーン(A)と非許容ゾーン(B)との間に、中間ゾーン(C)(C)を設け、非許容ゾーン(B)、中間ゾーン(C)、許容ゾーン(A)、中間ゾーン(C)の順に、それぞれ単一のループコイル(8-1)(8-2)(8-3)(8-4)よりなる磁気センサ(8)を配設し、中間ゾーン(C)に配設したループコイル(8-2)(8-4)が磁力のピーク値を検出したとき、捩れ判別手段(11)が、搬送ベルト(3)の捩れが要注意状態となったことを判別するようにしてある。
【0040】
また、この例では、警報装置(13)が、青色ランプ(13a)と黄色ランプ(13b)と赤色ランプ(13c)とを備えており、判別手段(11)が、搬送ベルト(3)の捩れが許容範囲内にあること(許容ゾーン(A))を判別しているときは、青色ランプ(13a)が点灯し、搬送ベルト(3)の捩れが要注意状態となっていること(中間ゾーン(C))を判別しているときは、黄色ランプ(13b)が点灯または点滅し、搬送ベルト(3)の捩れが許容範囲を超えて、危険状態となっていること(非許容ゾーン(B))を判別しているときは、赤色ランプ(13c)が点灯または点滅するようにしてある。
【0041】
このような構成とすると、許容ゾーン(A)と非許容ゾーン(B)との2つのゾーンしかないものより、搬送ベルト(3)の捩れの程度を、より細かく正確に判別することができる。
【0042】
図4は、本発明の第3の実施形態を示す。
この例では、パイプ状に丸められた搬送ベルト(3)が通過する箇所における搬送ベルト(3)の外周の領域を、許容ゾーン(A)と非許容ゾーン(B)との2つのゾーンに区分し、各ゾーン(A)(B)に、単一のループコイル(8-1)(8-2)よりなる磁気センサ(8)を配設するとともに、互いに隣接するゾーン(A)(B)間に、磁気センサ(8)の重合部分(20)を設け、この重合部分(20)に、搬送ベルト(3)に設けた永久磁石(6)(7)が対向して、互いに隣接する磁気センサ(8)(8)がほぼ同じ大きさのピーク値(P1)(P2)(図4のデイスプレイ(10)内の表示参照)を検出したとき、捩れ判別手段(11)が、搬送ベルト(3)の重合部(3c)が、互いに隣接するゾーン(A)(B)の境界部分に位置する要注意状態を判別するようにしてある。
【0043】
このような構成とすると、わずか2個の磁気センサ(8)のみで、実質的に、4個の磁気センサ(8)を用いた第2の実施形態におけるのと同様の細かさで、搬送ベルト(3)の捩れの程度を、正確に判別することができる。
【0044】
なお、上述の第2の実施形態においても、互いに隣接するゾーン(A)(B)、(B)(C)、(C)(D)、(D)(A)間に、磁気センサ(8)の重合部分(20)を設け、この重合部分(20)に、搬送ベルト(3)に設けた永久磁石(6)(7)が対向して、互いに隣接する磁気センサ(8)(8)がほぼ同じ大きさのピーク値を検出したとき、捩れ判別手段(11)が、搬送ベルト(3)の重合部分(3c)が、互いに隣接するゾーンの境界部分に位置していることを判別するようにすると、搬送ベルト(3)の捩れの程度を、さらに細かく、正確に判別することができる。
【0045】
以上、本発明の3つの実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
例えば、判別手段(9)における捩れ判別手段(11)と潰れ判別手段(12)とのいずれか一方を、省略して実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態の概要を示す斜視図である。
【図2】同じく要部の拡大縦断面と判別手段等のブロック図とを示す概略説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態における、図2と同様の概略説明図である。
【図4】本発明の第3の実施形態における、図2と同様の概略説明図である。
【符号の説明】
【0047】
(A)許容ゾーン
(B)非許容ゾーン
(C)中間ゾーン
(1)前部プーリ
(2)後部プーリ
(3)搬送ベルト
(3a)(3b)側部
(3c)重合部
(4)ホッパ
(5)被搬送物
(6)(7)永久磁石(磁性吸着体)
(8)磁気センサ
(8-1)〜(8-8)ループコイル
(9)判別手段
(10)ディスプレイ
(11)捩れ判別手段
(12)潰れ判別手段
(13)警報装置
(13a)青色ランプ
(13b)黄色ランプ
(13c)赤色ランプ
(14)作動停止装置
(20)重合部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環走行する無端の帯状搬送ベルトの一部分をパイプ状に丸め、その内部に被搬送物を包み込んで搬送するようにしたパイプコンベヤにおいて、
パイプ状に丸められたときに互いに重合する前記搬送ベルトの両側部の対向面のいずれか一方に永久磁石を設け、パイプ状に丸められた搬送ベルトが通過する箇所における搬送ベルトの外周の領域を、搬送ベルトの捩れの許容範囲内において、搬送ベルトの両側部の重合部の移動を許容する許容ゾーンと、それ以外の非許容ゾーンとに区分するとともに、パイプ状に丸められた前記搬送ベルトが通過する箇所における固定体に、前記永久磁石が通過するときの磁力の強さを検出する複数の磁気センサを、前記各ゾーン毎に、前記搬送ベルトを囲む円周方向に並べて設け、さらに、前記各磁気センサにより検出した磁力の強さを比較し、非許容ゾーンに配設した磁気センサが磁力のピーク値を検出したとき、前記搬送ベルトの捩れが許容限度を超えたことを判別する捩れ判別手段を設けたことを特徴とするパイプコンベヤ。
【請求項2】
循環走行する無端の帯状搬送ベルトの一部分をパイプ状に丸め、その内部に被搬送物を包み込んで搬送するようにしたパイプコンベヤにおいて、
パイプ状に丸められたときに互いに重合する前記搬送ベルトの両側部の対向面のいずれか一方に永久磁石を設け、かつパイプ状に丸められた前記搬送ベルトが通過する箇所における固定体に、前記両永久磁石が通過するときの磁力の強さを検出する磁気センサを設けるとともに、この磁気センサにより検出した磁力のピーク値の絶対値に基づいて、前記搬送ベルトの重合部が内方に変位したことを判別する潰れ判別手段を設けたことを特徴とするパイプコンベヤ。
【請求項3】
循環走行する無端の帯状搬送ベルトの一部分をパイプ状に丸め、その内部に被搬送物を包み込んで搬送するようにしたパイプコンベヤにおいて、
パイプ状に丸められたときに互いに重合する前記搬送ベルトの両側部の対向面のいずれか一方に永久磁石を設け、パイプ状に丸められた搬送ベルトが通過する箇所における搬送ベルトの外周の領域を、搬送ベルトの捩れの許容範囲内において、搬送ベルトの両側部の重合部の移動を許容する許容ゾーンと、それ以外の非許容ゾーンとに区分するとともに、パイプ状に丸められた前記搬送ベルトが通過する箇所における固定体に、前記永久磁石が通過するときの磁力の強さを検出する複数の磁気センサを、前記各ゾーン毎に、前記搬送ベルトを囲む円周方向に並べて設け、さらに、前記各磁気センサにより検出した磁力の強さを比較し、非許容ゾーンに配設した磁気センサが磁力のピーク値を検出したとき、前記搬送ベルトの捩れが許容限度を超えたことを判別するとともに、前記ピーク値の絶対値に基づいて、前記搬送ベルトの重合部が内方に変位したことを判別する捩れおよび潰れ判別手段を設けたことを特徴とするパイプコンベヤ。
【請求項4】
許容ゾーンと非許容ゾーンとの間に中間ゾーンを設け、各中間ゾーンにも、磁気センサを配設し、中間ゾーンに配設した磁気センサが磁力のピーク値を検出したとき、捩れ判別手段、または捩れおよび潰れ判別手段が、前記搬送ベルトの捩れが要注意状態となったことを判別するようにしたことを特徴とする請求項1または3記載のパイプコンベヤ。
【請求項5】
互いに隣接するゾーン間に、磁気センサの重合部分を設け、この重合部分に、搬送ベルトに設けた永久磁石が対向して、互いに隣接する磁気センサがほぼ同じ大きさのピーク値を検出したとき、捩れ判別手段、または捩れおよび潰れ判別手段が、前記搬送ベルトの重合部分が、前記互いに隣接するゾーンの境界部分に位置していることを判別するようにしたことを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載のパイプコンベヤ。
【請求項6】
各ゾーンに、それぞれ単一のループコイルよりなる磁気センサをそれぞれ配設した請求項1、3〜5のいずれかに記載のパイプコンベヤ。
【請求項7】
潰れ判別手段、または捩れおよび潰れ判別手段を、磁気センサにより検出した磁力のピーク値の絶対値が、予め設定した限界値より低下することにより、搬送ベルトの重合部が内方に変位したことを判別するようにしたものとした請求項2もしくは3、または3に従属する請求項4〜6のいずれかに記載のパイプコンベヤ。
【請求項8】
パイプ状に丸められたときに互いに重合する搬送ベルトの両側部の対向面のいずれか一方に永久磁石を設け、かつ他方に、前記永久磁石に吸着しうる磁性体を設けた請求項1〜7のいずれかに記載のパイプコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−91356(P2007−91356A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279287(P2005−279287)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】