説明

パウダーコンパクト組成物

【課題】皮膚上への施与のために触れられたとき,軽くかつ柔らかく、機械的衝撃に対するその耐久性を改良したコンパクト化粧料パウダー組成物を提供する。
【解決手段】0.7g/cc以下のバルク密度及び落下試験により評価されて10重量%未満の質量の損失に相当する凝集力を有するコンパクト化粧料パウダー組成物が好適であって、40超の平均アスペクト比を有する少なくとも1のフィラー、少なくとも1の結合剤,及び少なくとも1の柔軟剤を含み,上記フィラーが組成物の合計重量に対して40重量%以上の量で存在する組成物。上記結合剤が、少なくとも1のアクリレートシリコーンコポリマー(ASC)及び/又は少なくとも1の脂肪エステルオイルを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,化粧料組成物,特にコンパクト化粧料パウダー組成物,例えばコンパクトパウダーファンデーションに関し,かつそのような組成物を含むデバイスに関する。
【0002】
コンパクト化粧料パウダー組成物は,皮膚上への施与のために触れられたとき,軽くかつ柔らかいことが要求されている。これは,通常組成物を壊れやすくし,容易に崩壊することをもたらす。
【0003】
その結果,通常,結合剤が該組成物に添加されて,機械的衝撃に対するその耐久性を改良する。
【背景技術】
【0004】
コンパクトファンデーションにワックスを添加することが,機械的強度及び機械的衝撃に対する耐久性を向上させることは,特開平04-18011号公報及び特開2006-69937号公報から公知である。
【0005】
特開2005-289974号公報及び特開2005-306844号公報において,脂肪,脂肪酸,グリセリド,エステル,及び分岐状炭化水素がファンデーションの耐久性を向上されるのに効果的であると言われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし,コンパクトパウダー組成物における結合剤の高すぎる割合は,組成物の高い硬度及びべた付くパウダーによるバルク(bulk)の凝集のために,使用感(sensorial feeling),例えば軽さ,柔軟さ又は施与の間の心地よさの損失をもたらす。さらに,高い割合の結合剤を有する組成物の顔への施与の後,顔は脂っぽくてかる。
【0007】
これらの理由から,結合剤の量は,組成物の合計重量に対して通常は20重量%未満の割合である。発明者の知る限りでは,20%未満の結合剤を有し,同時に機械的衝撃に対して耐久性を示す軽くかつ柔軟なコンパクトパウダーファンデーションは今,市場で入手できない。
【0008】
従って,エアリアルパウダー(aerial powder)組成物のような柔軟でありかつ軽い触感を与えるコンパクトパウダー組成物の需要が存在する。
【0009】
少量の結合剤の存在下においてさえ,満足できる耐久性を有するコンパクトパウダー組成物の需要もまた存在する。
【0010】
本発明はこれらの需要のすべて又は一部を満たすことを意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの特徴に従うと,本発明は,0.7g/cc以下のバルク密度及び落下試験により評価されて10重量%未満の質量の損失に相当する凝集力(cohesion)を有するコンパクト化粧料パウダー組成物において,
40超の平均アスペクト比を有する少なくとも1のフィラー
少なくとも1の結合剤,及び
少なくとも1の柔軟剤
を含み,該フィラーが組成物の合計重量に対して40重量%以上の量で存在する組成物に関する。
【0012】
別の特徴に従うと,本発明は,0.7g/cc以下のバルク密度及び落下試験により評価されて10重量%未満の質量の損失に相当する凝集力を有するコンパクト化粧料パウダー組成物において,
40超の平均アスペクト比を有する少なくとも1のフィラー
少なくとも1の結合剤,及び
少なくとも1の柔軟剤
を含み,該結合剤が少なくとも1のアクリレートシリコーンコポリマー(ASC)を含む組成物に関する。
【0013】
別の特徴に従うと,本発明は,0.7g/cc以下のバルク密度及び落下試験により評価されて10重量%未満の質量の損失に相当する凝集力を有するコンパクト化粧料パウダー組成物において,
40超の平均アスペクト比を有する少なくとも1のフィラー
少なくとも1の結合剤,及び
少なくとも1の柔軟剤
を含み,該結合剤が少なくとも1の脂肪エステルオイルを含む組成物に関する。
【0014】
別の特徴に従うと,本発明は,0.7g/cc以下のバルク密度及び落下試験により評価されて10重量%未満の質量の損失に相当する凝集力を有するコンパクト化粧料パウダー組成物において,
40超の平均アスペクト比を有する少なくとも1のフィラー
少なくとも1の結合剤,及び
少なくとも1の柔軟剤
を含み,該柔軟剤が少なくとも1の芳香族基を含む炭化水素に基づく化学構造を有する組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に従う組成物は,衝撃応力に対して高い耐久性を示す。該耐久性は以下に定義される落下試験により評価され得る。
【0016】
組成物のバルク密度の測定もまた以下に記載される。
【0017】
「平均アスペクト比」は,組成物のパウダー状相に存在する1又は複数のフィラーの粒子の粒子サイズと厚さとの平均比であると定義される。この定義において,用語「サイズ」は,母集団の半分への統計的分布(D50として知られる)により与えられるサイズを意味し,用語「粒子の厚さ」は,母集団の半分に統計的分布により与えられる厚さとして定義される。
【0018】
有利に,本発明に従う組成物は,高い柔軟性を有する空気のような感触(aerial feeling)を表現する。
【0019】
さらに,本発明に従う組成物は,0.65未満,例えば0.55未満,0.53未満でさえあり得るバルクの摩擦係数により,皮膚上への滑らかな感触を与える。
【0020】
有利に,本発明に従う組成物は,20未満,例えば18未満の硬度をもまた有し得る。
【0021】
摩擦係数及び硬度に従う柔軟さを測定するための方法は以下に与えられる。
【0022】
一つの例示的な実施態様において,本発明に従う組成物は,コンパクトパウダーファンデーションであり得る。
【0023】
フィラー
一つの例示的な実施態様において,本発明に従う組成物において使用されるフィラーは無機性であり得る。
【0024】
好ましくは,本発明に従う組成物において使用されるフィラーは,非多孔質である。
【0025】
それらは,例えばマイカ,合成マイカ,セリサイト,タルク,シリケート−コンポジット,粘度,合成粘土,シリカ,酸化アルミニウム,硫酸バリウム,亜硝酸硼素(boron nitrite),二酸化チタン,ハイドロキシアパタイト,及びそれらの誘導体,例えば鉄を含む合成マイカからなる群から選択され得る。
【0026】
前述されたように,フィラーを形成する物質は,40より大きい,特に45より大きい,50さえより大きい平均アスペクト比を有するように選択される。
【0027】
本発明に従う組成物において使用されるフィラーも,約3μm〜約25μmの範囲の粒子サイズを有し得る。
【0028】
本発明に従う組成物に存在するフィラーの少なくともいくらかは,フレークのフィラーの形であり得,フレークのフィラーの形のフィラーの量はバルク組成物の合計重量に対して40重量%超,例えば50重量%超であり得る。
【0029】
特に,本発明に従う組成物は,40超の平均アスペクト比を有するフレークのフィラーの形である少なくともいくらかのフィラーを含み得る。
【0030】
本発明の実施に適するすべてのフィラーの中で,株式会社山口雲母工業所によりフィットパウダーFK-300S,FK-500S,マイカパウダーY-1800,Y-2300,Y-2400,Y-3000,マイカパウダーSA-310,SA-350,マイカパウダーNCC-322,NCF-322,NCR-300,及びマイカパウダーFA-450の商標名で市販されている製品,トピー工業株式会社により合成マイカPDM-5L,PDM-7L,PDM-10L,及びPDM-20Lの商標名で市販されている合成マイカ,及び三信鉱工(株)により販売されている製品セリサイトFSEが,特に挙げられ得る。
【0031】
本発明に従う組成物は,必ずしも40未満の平均アスペクト比に適合しなくてもよい少なくとも1の追加のフィラーをさらに含んでいてもよい。
【0032】
結合剤
本発明に従う組成物は,少なくとも1の結合剤を含む。
【0033】
本発明の目的のために,用語「結合剤」は,それが以下の例により説明される柔軟剤と接触するようになったとき,可塑性及び/又は粘着性(stickiness)の増加を示すことのできる化合物を指す。
【0034】
本発明に従う結合剤は,柔軟剤との接触に置かれたとき,その接着性(adhesiveness)を増加させることができるように選択される。
【0035】
好ましい実施態様に従うと,本発明に従う組成物において使用される結合剤は,アクリレートシリコーンコポリマー(ASC),脂肪エステルオイル及びそれらの混合物から選択される。
【0036】
結合剤がアクリレートシリコーンポリマー(ASC)を含むとき,それは例えば少なくとも1のアルキル(メタ)アクリレート/オルガノポリシロキサン(メタ)アクリレートコポリマーを含み得る。
【0037】
一つの例示的な実施態様において,オルガノポリシロキサン(メタ)アクリレートブロックの少なくとも幾つかは,一般式(I)のモノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリジメチルシロキサンから派生する。
【0038】

【0039】
ここでR1は,水素原子又はメチル基を表す;R2は,1〜10の炭素原子を有し,任意的に1又は2のエーテル結合-O-を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す;R3は,1〜10の炭素原子,特に2〜8の炭素原子を有するアルキル基を表す;nは1〜300、特に3〜200,より特に5〜100の範囲の整数を表す。
【0040】
結合剤が脂肪エステルオイルを含むとき,該脂肪エステルオイルは少なくとも15の酸価を有し得る。特に脂肪エステルオイルの酸価は,15〜100の範囲であり得る。
【0041】
それは例えば,少なくとも12の炭素原子を有する1以上のアルコールを,1〜36の炭素原子を有する1以上のカルボン酸で部分的にエステル化することにより得られることのできる,少なくとも16の炭素原子を有するエステル化合物を含む脂肪エステルオイルであり得る。
【0042】
使用され得る少なくとも12の炭素原子を有するアルコールは,1価の直鎖アルコール,1価の分岐状アルコール,1価の不飽和アルコール及び2価又はより高次価のアルコールを含む。
【0043】
一つの例示的な実施態様に従うと,少なくとも1のアルコールは,12〜25の炭素原子,好ましくは15〜20の炭素原子を有するモノ又はポリアルコールである。
【0044】
アルコールは,例えばイソステアリルアルコールであり得る。
【0045】
1〜36の炭素原子を有するカルボン酸(n=1〜3)としては,飽和,不飽和,ヒドロキシ,芳香族タイプ等の任意のそのようなカルボン酸が使用され得る。
【0046】
1つの例示的な実施態様に従うと,少なくとも1のカルボン酸は,5〜15の炭素原子を有するモノ又はポリ酸,好ましくは10の炭素原子を有する二酸である。
【0047】
カルボン酸は,例えばセバシン酸であり得る。
【0048】
一つの例示的な実施態様において,脂肪エステルオイルは,少なくとも1のセバシン酸イソステアリルを含む。
【0049】
本発明に従う結合剤及びフィラーは,本発明に従う組成物中に遊離の形でそれぞれ存在し得る。
【0050】
好ましい実施態様に従うと,結合剤の少なくとも一部は,フィラーの少なくとも一部との複合体を形成し得,該フィラーは,40超の平均アスペクト比を有している又は有しておらず,好ましくは40超の平均アスペクト比を有する。
【0051】
即ち,フィラーの少なくとも一部はいくらかの結合剤により被覆され得る。
【0052】
一つの例示的な実施態様において,結合剤のすべてはフィラーの少なくとも一部,好ましくは40超の平均アスペクト比を有するフィラーの少なくとも一部のコーティングの形で存在する。
【0053】
そのような表面処理されたフィラーは例えばアクリレート/ジメチコーンコポリマーで被覆されたセリサイトFSE(「ASC-セリサイトFSE」と呼ばれる)又は脂肪エステルオイル例えば植物性アミノ酸を有するセバシン酸イソステアリル(isostearyl sebacate with vegetable amino acid)で被覆された合成マイカ(「NHS−合成マイカ」と呼ばれる)であり得る。それらは市販入手可能である。
【0054】
明らかな理由から,結合剤の量は,フィラーの化学的性質及び量に関してかなり変動し得る。一般的に,最終組成物に十分な凝集力を与えるのに十分な量である。
【0055】
例えば,結合剤の量は,組成物の合計重量に対して0.1〜10重量%,特に0.5〜5重量%の範囲であり得る。
【0056】
ASC化合物の特定の場合には,この量は組成物の合計重量に対して0.1〜5重量%,特に0.2〜2重量%の範囲であり得る。
【0057】
対比により,脂肪エステルオイルの場合,この量は組成物の合計重量に対して0.1〜10重量%,特に1〜5重量%の範囲であり得る。
【0058】
柔軟剤
本発明に従う組成物は少なくとも1の柔軟剤を含む。
【0059】
本発明の目的のために,用語「柔軟剤」は,可塑性及び/又は粘着性の増加を付与する結合剤と相互作用できる化合物を意味することが意図される。
【0060】
本発明に従う柔軟剤は,例えばポリマーの柔軟剤又はポリマーの可塑性増強剤を含み得る。
【0061】
本発明に従う組成物において使用される柔軟剤は,少なくとも1の芳香族基を含む炭化水素に基づく化学構造,特にケイ素原子を含まない、を有し得る。該化学構造は特にC6芳香族基及び直鎖又は分岐状の,飽和又は不飽和の,2〜120の炭素原子を含む炭化水素鎖を含み得る。
【0062】
特に,柔軟剤は,親水性基で置換されたベンゼン核を有し得る。該親水性基は,直鎖又は分岐状の,飽和又は不飽和のC2〜C50,例えばC6〜C50のアルキル基であって任意的に少なくとも1の酸素原子及び/又はカルボキシル基で中断されていてもよいアルキル基であり得る。
【0063】
特に,柔軟剤は少なくとも1のシンナメート基(cinnamaterest)又はベンゾエート基(benzoate rest)を含む化学構造を有し得る。
【0064】
例えば約120g/mol〜約3000g/molの範囲の分子量を有し得る。
【0065】
本発明に従う組成物において使用される柔軟剤は,2-エチルヘキシル4-メトキシシンナメート,オクチル-パラメトキシシンナメート,t-ブチルメトキシシンナメート,トリメトキシメチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソベンジルシンナメート,イソアミル-パラメトキシシンナメート,テトラブチルペンタエリスリチルヒドロキシヒドロシンナメート,エチルヘキシル-パラ-ジメチルアミノベンゾエート,メチル-パラ-ジメチルアミノベンゾエート,ネオペンチル-グリコールジベンゾエート,ペンタエリスリチルテトラベンゾエート,オクチルドデシルベンゾエート,ベヘニルベンゾエート,C12〜15アルキルベンゾエート,ステアリルベンゾエート,セチルベンゾエート,カテロイルベンゾエート,デナトニウムベンゾエート,コレステリルベンゾエート,コレステリルジクロロベンゾエート,及び2,3-ビス-[{4-2-エチルヘキシルオキシ}-2-ヒドロキシ]-フェニル-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0066】
一つの例示的な実施態様において,柔軟剤はオクチル-パラメトキシシンナメート(「OMC」とよばれる)を含み得る。
【0067】
オクチル-パラメトキシシンナメート(「OMC」)は,以下2-エチルヘキシル4-メチルシンナメートとして示される、フタル酸タイプの変性された構造を有する。
【0068】

【0069】
本発明に従う柔軟剤は,以下に与えられる可塑剤,その誘導体又は関連化合物の少なくとも1つを含み得る。
【0070】
本発明の目的のために,用語「可塑剤」は,Hoy(K.L. Hoy:J. Paint Technol., 第42巻,76ページ(1970年))及びSmall(P.A. Small:J. Appl. Chem.,第3巻,71ページ(1953年))により報告されているように,溶解度パラメーター(SP)の値により通常定義される。
【0071】
一般的に,可塑剤のうちほとんどのものは8.0〜9.5の範囲の溶解度パラメーターを有する。
【0072】
先行技術において公知である可塑剤の中で,特に以下のタイプの典型的な可塑剤が挙げられ得る(以下「MW」は「分子量」を意味する)。
【0073】
フタル酸誘導体;例えばフタル酸ジヘプチル(MW:363,SP:9.0),フタル酸ジイソノニル(MW:418.6,SP:8.5) フタル酸ジブチル(MW:278.3,SP:9.41) ,

ROOC(R’) -COOR;例えばアジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(MW:370.6SP:8.5),アジピン酸ジイソデシル,セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル(MW:426.7,SP:8.4) ,

トリメリット酸誘導体;例えばトリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル(MW:547,SP:8.86) ,

リン酸エステル誘導体;例えばリン酸トリエチル(MW:182,SP:8.7) ,

ポリエステル誘導体; R3-(R1-R2)-R1-R3
1)ここでR1はカルボキシレート残基,R2はグリコール残基,及びR3はアルコール残基を意味する。
2)ここでR1はグリコール残基−残基,R2はジカルボキシレート残基,及びR3はカルボキシレート残基を意味する。例えばAdecaizer-PN-160(SP:8.9)(株式会社アデカにより製造されている),及び
エポキシ群;例えばオクチルエポキシステアリレート(MW:410,SP:8.5)。

【0074】
本発明に従う組成物において,柔軟剤及び結合剤の量の合計は,組成物の合計重量に対して約3重量%〜約15重量%の範囲,例えば組成物の合計重量に対して5重量%〜12重量%であり得る。
【0075】
デバイス
本発明は,その別の特徴において,上で定義された組成物を収容するための容器を含むデバイスをもまた提供する。
【0076】
本発明に従うデバイスは,該組成物を施与するためのアプリケーター(例えば房にされていてもよい(flocked)フォーム)をさらに含み得る。
【0077】
試験
バルク密度の測定
バルク密度は,体積により除された重量に相当し,以下の方法に従って測定される。
【0078】
3gのパウダーが直径18mmの目盛付試験間に注がれる。該パウダーは3cmの高さから200回,タップされる。タッピングの後,バルク密度が3gの重量により除された体積から測定される。
【0079】
コンパクトパウダーファンデーションの場合,ファンデーションは皿状の容器にプレスされたのち,回収され,1分間挽かれ,篩にかけられてそのバルクパウダー(bulk powder)を製造する。
【0080】
落下試験
落下試験に関して,そのプロトコルは以下の通りである。
【0081】
皿状の容器(直径57mm;高さ4.7mm)に入れられたコンパクトを,30mmの厚さの砂岩の床タイルの上への30cmの高さの標準化された落下に10回付すことからなる;皿状容器の底は,砂岩の床タイルの受取るための表面の方に向けられる。
【0082】
次に,製品の質量の損失が測定され,その後,パウダーの質量の百分率損失が決定される。
【0083】
有利に,本発明に従う組成物は10重量%未満,特に8重量%未満,5重量%未満さえの落下試験における質量の損失を有し得,これは良好な凝集性を反映する。
【0084】
摩擦係数
摩擦係数は,2つの物体の間の摩擦の力の比及びそれらを押し付けあう力を示す。
【0085】
コンパクトパウダー組成物,例えばコンパクトパウダーファンデーションのバルク(bulk)の滑らかさが摩擦計により比較される。各コンパクトパウダーファンデーションは,スポンジによる取り上げられ,各バルクを保持するスポンジは摩擦プローブに固定され,プラスチックの皮膚上を5回滑る。
【0086】
プラスチックの皮膚の上を滑る平均摩擦係数(MIU)は,摩擦計(カトーテック株式会社により市販されている)の使用により測定される。「MIU」は,2cmの移動の間の平均摩擦係数の値である。
【0087】
硬度試験
コンパクトファンデーションの硬度は,硬度試験機の使用により測定される(丸菱科学機械製作所(Marubishi Kagaku Kikai Seisakusho Co. Ltd)により市販されているHS-180A型)。
【0088】
この測定はJIS K-6301により標準化された値を与える。
【0089】
官能性試験(空気のような触感(aerial feeling))
皮膚上の触感はブラインドユーザー試験により分析される。市販品を含む7タイプのコンパクトパウダーファンデーションについて60名の女性パネリストからの結果が比較される。パネリストの反応は,顔の上での軽く柔らかい空気のような触感に関して、非常に感じるに3点,良く感じるに2点,悪くないには1点,及び嫌いには0点において得点を与えられ平均される。
【0090】
実施例
本発明に従う実施例の2つのタイプ及び比較例の2つのタイプが以下のように製造される。量は組成物の合計重量に対する重さである。


*10%のASC及び90%のマイカ(マイカのアスペクト比:45)を含む混合物
**50に等しいアスペクト比
***45に等しいアスペクト比
****7%のNHS(水酸化アルミニウム及びステアロイルグルタメート二ナトリウムとのセバシン酸イソステアリル(isostearyl sebacate with aluminum hydroxide and disodium stearoyl glutamate))及び93%のマイカ(マイカのアスペクト比:37)を含む混合物
【0091】
比較例は本発明に従う柔軟剤を有しない。
【0092】
以下の表1は,3つの例についてされた種々の試験の結果をまとめる。

【0093】
実施例1及び2(本発明に従う組成物)は,比較例の組成物と異なり,落下試験を通過した。
【0094】
実施例1及び2において「20未満」により,硬度試験により与えられた組成物の柔軟さは,これまでの市販品に比較して非常に並外れたレベルである。比較のために,比較例は20超の硬度を有し,満足できるものではない。
【0095】
実施例1及び2の場合のバルクの摩擦係数は,0.7未満であり,皮膚の上で滑らかな感触をもたらす。
【0096】
実施例1及び2の場合の空気のような触感は,官能試験が2点を与えるのみの比較例に比較して,非常に良好である「3」点が与えられた。
【0097】
用語「1つの〜を含む」は,それとは反対に特定されない限り,「少なくとも1の〜を含む」と同義語であると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.7g/cc以下のバルク密度,及び落下試験により評価されて10重量%未満の質量の損失に相当する凝集力を有するコンパクト化粧料パウダー組成物において,
40超の平均アスペクト比を有する少なくとも1のフィラー
少なくとも1の結合剤,及び
少なくとも1の柔軟剤
を含み,上記フィラーが組成物の合計重量に対して40重量%以上の量で存在する組成物。
【請求項2】
上記結合剤が、少なくとも1のアクリレートシリコーンコポリマー(ASC)及び/又は少なくとも1の脂肪エステルオイルを含む,請求項1に記載の組成物
【請求項3】
柔軟剤が,少なくとも1の芳香族基、及び2〜120の炭素原子を含む直鎖又は分岐状,飽和又は不飽和の炭化水素鎖を含む炭化水素に基づく化学構造を有する,請求項1又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
結合剤が少なくとも1のアルキル(メタ)アクリレート/オルガノポリシロキサン(メタ)アクリレートコポリマーを含む,請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
上記脂肪エステルオイルが15〜100の酸価を有する,請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
上記脂肪エステルオイルが少なくとも1のセバシン酸イソステアリルを含む,請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
フィラーが3μm〜25μmの範囲の粒子サイズを有する,請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
フィラーが,マイカ,合成マイカ,セリサイト,タルク,シリケートコンポジット,粘土,合成粘土,シリカ,酸化アルミニウム,硫酸バリウム,窒化硼素,二酸化チタン,ハイドロキシアパタイト,及びそれらの誘導体からなる群から選択される,請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
結合剤の少なくとも一部が,フィラーの少なくとも一部との複合体を形成する,請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
上記複合体が,アクリレート/ジメチコーンコポリマーで被覆されたセリサイトFSE又は脂肪エステルオイルで被覆された合成マイカである,請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
柔軟剤が少なくとも1のシンナメート基又は少なくとも1のベンゾエート基を含む化学構造を有する,請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
柔軟剤がオクチル-パラメトキシシンナメートを含む,請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物がコンパクトパウダーファンデーションである,請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物を収容するための容器、及び該組成物を施与するためのアプリケーターを含むデバイス。

【公開番号】特開2008−120813(P2008−120813A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294744(P2007−294744)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】