パウチ、洗剤入りパウチ、及び、洗剤入りパウチの製造方法
【課題】作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができるとともに、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができるパウチを提供すること。
【解決手段】
液体包装用のプラスチックフィルム製袋状パウチであって、上記パウチを平面視した形状は、鋭角部を有する多角形状であり、上記鋭角部を構成する2辺のうちの少なくとも一方の辺には、ヒートシール加工されたシール部が設けられており、上記鋭角部近傍には、印刷処理がされていない無地部が設けられていることを特徴とする、液体包装用のパウチ。
【解決手段】
液体包装用のプラスチックフィルム製袋状パウチであって、上記パウチを平面視した形状は、鋭角部を有する多角形状であり、上記鋭角部を構成する2辺のうちの少なくとも一方の辺には、ヒートシール加工されたシール部が設けられており、上記鋭角部近傍には、印刷処理がされていない無地部が設けられていることを特徴とする、液体包装用のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ、洗剤入りパウチ、及び、洗剤入りパウチの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗い用途などに用いられる洗剤が封入される容器として、プラスチックフィルム製の包装容器が用いられることがある。このような包装容器は、パウチと呼ばれることもある。
特許文献1には、液体包装容器の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−72780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の液体包装容器では、高分子フィルムの縁部がシールされており、隅角部に設けられた切欠部をきっかけに斜め方向に手で引き裂くことで注ぎ口部を形成させ、注ぎ口部から液体を注ぐことができるとされている。
【0005】
特許文献1に記載の液体包装容器のように、高分子フィルムの隅角部を手で引き裂くことで注ぎ口部を形成させる場合には、フィルムの「引き裂き」を容易に行うことができることが望ましい。しかしながら、このような液体包装容器を用いた場合に、隅角部の引き裂きが困難である場合や、引き裂きにかなり強い力を要する場合があった。また、作業者が望む方向に引き裂くことができずに適当な広さの注ぎ口部を開口できない場合があった。
そして、適当な広さの注ぎ口部を開口できなかった場合には、液体を注ぐ際の作業性が低下することがあり、さらに、液体がこぼれて作業者の手等に付着するおそれがあった。
【0006】
また、フィルムの引き裂きに失敗した場合に、液体包装容器の隅角部が完全に切りとられずに残ってしまうこともあった。
そして、完全に切り取られなかった隅角部が液体包装容器から垂れ下がった状態で液体を注ぐ作業を行うと、液体を注ぐ際に隅角部が邪魔になって作業性が低下したり、隅角部を伝って液体がこぼれる場合があった。また、隅角部に付着した液体が作業者の手等に付着するおそれがあった。
【0007】
プラスチックフィルム製のパウチに封入して流通する可能性がある洗剤の一例として、食器洗い用の高濃度アルカリ性洗剤がある。
従来、油汚れ落し用のアルカリ性洗剤は一斗缶(18kg)やボトル(4kg、5kg等)に入れてエンドユーザーに納品されていたが、近年、高濃度アルカリ性洗剤をパウチに封入してエンドユーザーに納品し、エンドユーザーが使用前に4〜5倍程度に希釈して使用するケースが増えていくと予想できる。高濃度アルカリ性洗剤を納品することによって、輸送コストの低減及びCO2の排出の削減を図ることができる。
【0008】
上記高濃度アルカリ性洗剤を封入する用途にパウチを用いる場合には、パウチ内に封入された洗剤を注ぐ際に高濃度アルカリ性洗剤が作業者の手に付着することを避ける必要がある。そのため、作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができること、及び、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができることが特に必要である。
【0009】
本発明は、作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができるとともに、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができるパウチを提供することを目的とする。
また、パウチ内に封入された洗剤を注ぐ際に洗剤が作業者の手に付着することを防止することに適した洗剤入りパウチを提供することを目的とする。また、上記洗剤入りパウチを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、従来用いられていたパウチにおいてフィルムの引き裂きの難易に影響を与えている原因について検討した。その結果、プラスチックフィルムのナイロン層とポリエチレン層の間に施された印刷処理が原因となっている可能性があることを見出した。
通常、プラスチックフィルム製のパウチには、その全面に商品名、ロゴマーク、バーコード、ロットNoなどを示すための印刷処理が施されている。印刷処理は、グラビア印刷等の方法によりなされている。
本発明者らは、印刷処理がなされているプラスチックフィルムと印刷処理がなされていないプラスチックフィルムをそれぞれ引き裂くことを試みたところ、印刷処理がある場合にはフィルムが伸びやすく、引き裂きが困難であることを見出した。
一方、印刷処理がなされていないプラスチックフィルムは、作業者の望む方向に引き裂くことが容易であることを見出した。
そして、本発明者らは、上記知見に基づき、パウチを引き裂く予定の部位に印刷処理を施さないようにすることによって、作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができるとともに、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができるパウチを提供することができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明のパウチは、液体包装用のプラスチックフィルム製袋状パウチであって、
上記パウチを平面視した形状は、鋭角部を有する多角形状であり、
上記鋭角部を構成する2辺のうちの少なくとも一方の辺には、ヒートシール加工されたシール部が設けられており、
上記鋭角部近傍には、印刷処理がされていない無地部が設けられていることを特徴とする、液体包装用のパウチである。
【0012】
本発明のパウチの鋭角部近傍には、印刷処理がされていない無地部が設けられている。
上述したように、印刷処理がされていないプラスチックフィルムは引き裂きが容易であるため、作業者は印刷処理がされていない無地部を引き裂くことによって作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができる。また、無地部は鋭角部近傍に設けられているので隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができる。
【0013】
本発明のパウチにおいて、上記無地部は、上記パウチを平面視した形状において、上記シール部が設けられた上記一方の辺上の1点を始点とし、上記鋭角部を構成する2辺のうちの他方の辺上の1点を終点とする連続した領域に設けられていることが望ましい。
このような部位に無地部が設けられていると、上記一方の辺上の1点から上記他方の辺上の1点までフィルムを確実に引き裂くことができるため、作業者の望む位置で、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができる。
【0014】
本発明のパウチにおいて、上記無地部は、上記パウチを平面視した形状において、上記鋭角部を一つの頂点とした面積40cm2以下の直角三角形内に設けられていることが望ましい。
また、本発明のパウチを平面視した形状において、上記無地部は、上記鋭角部を一つの頂点とし、上記シール部が設けられた上記一方の辺を斜辺とした面積40cm2以下の直角三角形内に設けられていることが望ましい。
【0015】
本発明のパウチにおいては、上記シール部にノッチが設けられていることが望ましい。
また、上記ノッチは上記シール部が設けられた上記一方の辺に対し直角に形成されていることが望ましい。
また、上記ノッチを延長した仮想線を、上記鋭角部を構成する2辺のうちの他方の辺と交わる位置まで引いた際に、上記無地部は、上記ノッチ及び上記仮想線の少なくとも両側5mmずつの領域に設けられていることが望ましい。
シール部にノッチが設けられていると、フィルムを引き裂く際の始点が確実に定まるため、作業者の望む位置から引き裂きを開始することができる。
また、無地部の位置がノッチ及び上記仮想線の少なくとも両側5mmずつの領域に設けられていると、ノッチを始点としてフィルムを引き裂く際にその経路が曲がった場合であっても、引き裂きにくい印刷部に当たった時点でそれ以上引き裂きにくくなるため、引き裂く経路が大きく曲がることが防止される。その結果、作業者が望む好ましい位置でフィルムを引き裂きやすくなる。すなわち、無地部が設けられているパターンがフィルムを引き裂く位置を示すガイドとなる。
【0016】
本発明のパウチを平面視した形状は、一つの鋭角部、一つの鈍角部、及び、二つの直角部を有する台形状であることが望ましい。
また、本発明のパウチを平面視した形状は、平行四辺形状であることが望ましい。
【0017】
本発明のパウチにおいては、上記シール部と一辺を隔てた反対側の辺にもシール部が設けられていることが望ましい。
また、本発明のパウチにおいては、上記鋭角部の角度が45〜75°であることが望ましい。
【0018】
本発明のパウチは、印刷処理がされた印刷部を有することが望ましい。また、上記印刷処理の方法がグラビア印刷であることが望ましい。
また、本発明のパウチにおいては、上記プラスチックフィルムは、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる単層フィルム、又は、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうちの1種類又は複数種類からなる多層フィルムであることが望ましい。
【0019】
本発明の洗剤入りパウチは、本発明のパウチ内に洗剤が封入されており、上記洗剤の20℃における粘度が30〜700mPa・sであることを特徴とする。
洗剤の粘度が30mPa・s以上であると、細かい泡が発生しにくく、また、引き裂きを行う前に無地部を上に向けた際に、洗剤の泡が鋭角部近傍に残留しにくい。そのため、フィルムを無地部で引き裂く作業の際に洗剤が飛び散ることが防止される。
また、切り取った隅角部(鋭角部)に洗剤が残留しにくいため、フィルムを引き裂く作業の際に洗剤が作業者の手等に付着することが防止される。
【0020】
一方、洗剤の粘度が700mPa・s以下であると洗剤の流動性が良く、スムーズに洗剤を注ぐことができる。また、洗剤がフィルムの内面に付着してパウチ内に残留することも防止される。
【0021】
本発明の洗剤入りパウチにおいては、上記洗剤のpHが8〜14であることが望ましい。
中性洗剤に比べてpHが8〜14であるようなアルカリ性洗剤は作業者の手に付着することをより避ける必要があるため、パウチの引き裂き作業を容易にすることができる本発明のパウチにアルカリ性洗剤を封入した場合には、より好ましい効果を得ることができる。
【0022】
本発明の洗剤入りパウチにおいて、上記洗剤の充填量は、上記パウチの内容積の70%以下であることが望ましい。
洗剤の量がパウチの内容積の70%を超えて多くなっていると、フィルムを引き裂いた際に洗剤が飛び散ることがある。
【0023】
本発明の洗剤入りパウチにおいて、上記洗剤は界面活性剤と、溶剤と、アルカリ成分とを含むことが望ましい。
【0024】
本発明の洗剤入りパウチの製造方法は、
印刷処理がされていない無地部が設けられているプラスチックフィルムを準備する工程と、
上記プラスチックフィルムを筒状に巻いてヒートシール加工することによって、両端に開口部を有するプラスチックフィルムの筒状体とする工程と、
上記プラスチックフィルムの筒状体の一端の開口部をヒートシール加工することによってボトムシール部を設ける工程と、
上記プラスチックフィルムの筒状体の中に洗剤を充填する工程と、
上記プラスチックフィルムの筒状体の他端の開口部をヒートシール加工することによってトップシール部を設けるとともに上記洗剤を密封する工程と、
上記プラスチックフィルムの筒状体を上記トップシール部の外側で切断する工程と、を有し、
上記ボトムシール部又は上記トップシール部が、上記鋭角部を構成する2辺のうちの少なくとも一方の辺となっており、
上記プラスチックフィルムにおいて無地部を設ける位置、上記ボトムシール部又は上記トップシール部を設ける位置、及び、上記プラスチックフィルムを切断する位置のそれぞれを、上記無地部が上記鋭角部近傍に位置するように調整することを特徴とする。
このような工程によると、パウチの鋭角部近傍に無地部が設けられ、パウチ内に洗剤が封入された本発明の洗剤入りパウチを製造することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のパウチは、作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができるとともに、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることに適している。
また、本発明の洗剤入りパウチは、パウチに封入された洗剤が作業者の手に付着することなく洗剤を注ぐことに適している。
また、本発明の洗剤入りパウチの製造方法によると、本発明の洗剤入りパウチを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】パウチの一例を模式的に示す平面図である。
【図2】パウチの別の一例を模式的に示す平面図である。
【図3】図1における領域Aを拡大して示す、鋭角部近傍の形態の一例を模式的に示す拡大平面図である。
【図4】鋭角部近傍の形態の別の一例を模式的に示す拡大平面図である。
【図5】鋭角部近傍の形態の別の一例を模式的に示す拡大平面図である。
【図6】洗剤入りパウチの一例を模式的に示す平面図である。
【図7】洗剤入りパウチの製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
【図8】ボトム/トップシーラーの断面を模式的に示す断面図である。
【図9】洗剤入りパウチの使用方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【図10】洗剤入りパウチの使用方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【図11】比較例3における洗剤入りパウチ内の泡の様子を示す写真である。
【図12】参考例1における洗剤入りパウチ内の泡の様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のパウチの実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、パウチの一例を模式的に示す平面図である。
図1に示すパウチ10は、プラスチックフィルム製であり、平面視した形状が平行四辺形状である。そして、図1において上側に位置する辺には、ヒートシール加工されたシール部11(トップシール部11)が設けられており、シール部11と1辺を隔てた反対側の辺にもヒートシール加工されたシール部12(ボトムシール部12)が設けられている。
パウチ10の裏側、中央の縦方向にはヒートシール加工されたセンターシール部13が設けられている。
パウチの材料であるプラスチックフィルムの種類は特に限定されるものではないが、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる単層フィルム、又は、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうちの1種類又は複数種類からなる多層フィルムであることが望ましい。
また、その他の材質のフィルムが含まれた多層フィルムであっても良い。
また、プラスチックフィルムの厚さは特に限定されるものではないが、50〜100μmであることが望ましい。
【0028】
パウチ10の頂点のうち、図1において左上に位置する頂点は鋭角であり、この部位を鋭角部20とする。鋭角部20は、トップシール部11が設けられた辺21と図1において縦方向に伸びる辺22とからなる鋭角であり、その望ましい角度は45°〜75°である。
鋭角部20の近傍には、印刷処理がされていない部位である無地部15が設けられている。
また、シール部11のうち無地部15に該当する部位に、プラスチックフィルムを引き裂く際の始点となる切り込みであるノッチ16が設けられている。
【0029】
無地部15を除くパウチ10の表面の大部分には印刷処理が施されている。図1には、印刷処理が施された部位を印刷部14として示している。
図1では無地部15と印刷部14をハッチングの有無で区別して示している。
印刷処理は、プラスチックフィルムに通常行われる任意の方法、例えば、グラビア印刷等の方法によってなされている。印刷部14と無地部15が設けられている部位はパウチ10の表裏で同じとなっていることが望ましい。フィルムを引き裂く際には表裏がともに無地部となっている部位を引き裂くことが望ましいためである。
【0030】
本発明のパウチの形状は、図1に示す平面視平行四辺形状に限定されるものではなく、鋭角部を有する多角形状であればよい。図2は、パウチの別の一例を模式的に示す平面図である。
図2に示すパウチ110は、平面視した形状が、一つの鋭角部、一つの鈍角部、及び、二つの直角部を有する台形状である。
図2において上側に位置する辺121には、ヒートシール加工されたシール部111(トップシール部111)が設けられており、シール部111と1辺を隔てた反対側の辺にもヒートシール加工されたシール部112(ボトムシール部112)が設けられている。
パウチ110の裏側、中央の縦方向にはヒートシール加工されたセンターシール部113が設けられている。
【0031】
図2の左上には、辺121及び辺122からなる鋭角部120が位置しており、鋭角部120の近傍には無地部115が設けられている。鋭角部120の近傍に設けられた無地部115を除く、パウチ110の表面の大部分は印刷処理が施された印刷部114となっている。
また、シール部111のうち無地部115に該当する部位に、プラスチックフィルムを引き裂く際の始点となるノッチ116が設けられている。
【0032】
図2に示すパウチ110と図1に示すパウチ10とは、その平面視した形状が異なる他は同様の構成を有している。
なお、本発明のパウチは、その平面視した形状が多角形であるが、本発明において「多角形」とは数学的に厳密な意味で多角形という意味ではなく、その頂点部分が丸くなっていたり、辺の一部が曲線となっている場合も含む概念である。
また、本発明のパウチは、その平面視した形状において鋭角部を有するが、本発明において「鋭角」とは数学的に厳密な意味で鋭角という意味ではなく、その頂点部分が曲線状になっている場合や面取りされている場合をも含む概念である。パウチを平面視した形状における2つの辺の交点が鋭角であれば、頂点部分の形状に関わらず本発明における「鋭角」に該当する。
【0033】
以下、本発明のパウチにおいて無地部が設けられる形態を説明する。
図3は、図1における領域Aを拡大して示す、鋭角部近傍の形態の一例を模式的に示す拡大平面図である。
図3に示す鋭角部20の近傍においては、無地部15の形状は、鋭角部20を1つの頂点とし、シール部11が設けられた辺21を斜辺とした直角三角形となっている。
この直角三角形の面積は、40cm2以下であることが望ましい。
また、この直角三角形の面積は、8cm2以上であることが望ましい。
【0034】
シール部11にはノッチ16が設けられており、ノッチ16は、シール部11が設けられた辺21に対し直角に形成されている。そして、ノッチ16を延長した仮想線(図3中で一点鎖線で示す)を辺22まで引いた際に、仮想線は無地部15のみを通り、印刷部14と交わらないようになっている。
ノッチ16及び無地部15の位置関係がこのようになっていると、ノッチを始点としてノッチの方向に合わせてフィルムを真っ直ぐ引き裂いた場合に無地部のみを通るようにしてフィルムを引き裂くことができるため、フィルムの引き裂きを容易に行うことができる。
【0035】
図4は、鋭角部近傍の形態の別の一例を模式的に示す拡大平面図である。
図4には、無地部の形態が図3とは異なるパウチの一例を示している。
図4に示す鋭角部220の近傍では、無地部215の形状は、鋭角部220を1つの頂点とし、シール部211が設けられていない辺222を斜辺とした直角三角形となっている。
この直角三角形の面積は、40cm2以下であることが望ましい。
また、この直角三角形の面積は、8cm2以上であることが望ましい。
【0036】
シール部211にはノッチ216が設けられており、ノッチ216は、シール部211が設けられた辺221に対し直角に形成されている。そして、ノッチ216を延長した仮想線(図4中で一点鎖線で示す)を辺222まで引いた際に、仮想線は無地部215のみを通り、印刷部214と交わらないようになっている。
このような場合であっても、ノッチを始点としてノッチの方向に合わせてフィルムを真っ直ぐ引き裂いた場合に無地部のみを通るようにしてフィルムを引き裂くことができるため、フィルムの引き裂きを容易に行うことができる。
【0037】
図5は、鋭角部近傍の形態の別の一例を模式的に示す拡大平面図である。
図5には、無地部の形態が図3及び図4とは異なるパウチの一例を示している。
図5に示す鋭角部320の近傍では、無地部315の両側に印刷部314a、印刷部314bが設けられている。無地部315と印刷部314aは境界線317aで隔てられており、無地部315と印刷部314bは境界線317bで隔てられている。
【0038】
シール部311にはノッチ316が設けられており、ノッチ316は、シール部311が設けられた辺321に対し直角に形成されている。そして、ノッチ316を延長した仮想線(図5中で一点鎖線で示す)を辺322まで引いた際に、仮想線は無地部315のみを通り、印刷部314a、314bのいずれとも交わらないようになっている。
図5に示すような部位に無地部が設けられる場合には、無地部は、ノッチ及びノッチを延長した仮想線の少なくとも両側5mmずつの領域に設けられていることが望ましい。
言い換えると、ノッチ316及びノッチ316を延長した仮想線と境界線317aとの間隔、及び、ノッチ316及びノッチ316を延長した仮想線と境界線317bとの間隔が、共に5mm以上であることが望ましい。
【0039】
このように、無地部の両側に印刷部が設けられていると、ノッチを始点としてフィルムを引き裂く際にその経路が曲がった場合であっても、引き裂きにくい印刷部に当たった時点でそれ以上引き裂きにくくなるため、引き裂く経路が大きく曲がることが防止される。その結果、作業者が望む好ましい位置でフィルムを引き裂きやすくなる。すなわち、無地部が設けられているパターンがフィルムを引き裂く位置を示すガイドとなる。
【0040】
また、本発明のパウチは、フィルムを引き裂く位置に対応したミシン目を備えていても良い。また、ノッチは必ずしも備えられている必要はない。
また、ノッチとトップシール部が設けられた辺との角度は直角に限定されるものではなく、フィルムを引き裂く予定の方向に合わせて任意の角度とすることができる。
【0041】
続いて、本発明の洗剤入りパウチの実施形態について説明する。
本発明の洗剤入りパウチは、本発明のパウチに洗剤が封入されたものである。
図6は、洗剤入りパウチの一例を模式的に示す平面図である。
図6に示す洗剤入りパウチ1では、図2に示す平面視台形状のパウチ110に洗剤2が封入されている。
洗剤入りパウチに封入される洗剤としては、その20℃における粘度が30〜700mPa・sであるものが用いられる。
洗剤の粘度の測定は、JIS K 7117−2 に準拠し、回転粘度計を用いて行うことができる。
【0042】
洗剤の粘度が30mPa・s未満と低い場合には、洗剤が振動等を受けることにより細かい泡が発生し、フィルムの引き裂きを行う前に無地部を上に向けた際に、洗剤の泡が鋭角部近傍に残留することがある。そして、その状態でフィルムを引き裂くと、洗剤が飛び散ることがある。また、切り取った隅角部(鋭角部)に洗剤が残留して洗剤が作業者の手等に付着することがある。
【0043】
洗剤の粘度が30mPa・s以上であると、細かい泡が発生しにくく、また、引き裂きを行う前に無地部を上に向けた際に、洗剤の泡が鋭角部近傍に残留しにくい。そのため、フィルムを引き裂く際に洗剤が飛び散ることが防止される。
また、切り取った隅角部(鋭角部)に洗剤が残留しにくいため、フィルムを引き裂く際に洗剤が作業者の手等に付着することが防止される。
【0044】
一方、洗剤の粘度が700mPa・s以下であると洗剤の流動性が良く、スムーズに洗剤を注ぐことができるため好ましい。また、洗剤がフィルムの内面に付着してパウチ内に残留することも防止される。
【0045】
パウチに封入する洗剤の種類は特に限定されるものではないが、油汚れ落とし用のアルカリ性洗剤を封入することが望ましい。特に、希釈して使用することを目的とした高濃度アルカリ性洗剤を封入することが望ましい。
中性洗剤に比べると、アルカリ性洗剤は作業者の手に付着することをより避ける必要があるため、引き裂く作業を容易にすることができる本発明のパウチにアルカリ性洗剤を封入した場合により好ましい効果を得ることができる。
【0046】
パウチに封入する洗剤のpHは8〜14であることが望ましい。このようなpHを有する洗剤は、作業者の手に付着することを避けるべき必要性がより高いためである。
また、パウチに封入する洗剤の組成は特に限定されるものではないが、例えば、キッチン用アルカリ洗浄剤、風呂用アルカリ洗浄剤等を含む洗剤等が挙げられる。
アルカリ洗浄剤としては、界面活性剤と、溶剤と、アルカリ成分とを含む洗剤が挙げられる。
【0047】
パウチに封入する洗剤の量は、特に限定されるものではないが、パウチの内容積の
70%以下であることが望ましい。
洗剤の量がパウチの内容積の70%を超えて多くなっていると、フィルムを引き裂いた際に洗剤が飛び散ることがあるためである。
【0048】
続いて、本発明の洗剤入りパウチの製造方法の実施形態について説明する。
図7は、洗剤入りパウチの製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
図7には、洗剤入りパウチの製造装置を示している。洗剤入りパウチの製造装置50は、ローラー51、洗剤投入口52、ローラー53、センターシーラー54、ボトム/トップシーラー55を備えている。
【0049】
本発明の洗剤入りパウチの製造方法では、印刷処理がされていない無地部を有するプラスチックフィルム60を準備し、洗剤入りパウチの製造装置50のローラー51で搬送する。図7においてはプラスチックフィルム60は模式的に透明なフィルムとして示しているが、洗剤入りパウチの製造装置にプラスチックフィルムを投入する前に所定の部位に印刷処理が施されていることが望ましい。
プラスチックフィルム60において印刷処理を施しておく位置は、製造される洗剤入りパウチの形状、並びに、印刷部及び無地部のパターンに応じて予め決めておけばよい。
【0050】
続いて、プラスチックフィルム60を、円筒状の洗剤投入口52に巻き付けて、ローラー53で下方向に搬送させながらセンターシーラー54を用いてヒートシール加工して、両端に開口部を有するプラスチックフィルムの筒状体とする。
【0051】
続いて、ボトム/トップシーラー55を用いて、プラスチックフィルムの筒状体の下端に位置する開口部をヒートシール加工することによってボトムシール部を設ける。
図8は、ボトム/トップシーラーの断面を模式的に示す断面図である。
ボトム/トップシーラー55は、ボトムシーラー55a及びトップシーラー55bがプラスチックフィルム60を挟んで対向しており、ボトムシーラー55a間、トップシーラー55b間でプラスチックフィルム60を挟むことにより同時に2箇所のヒートシール加工を行うことができる。
このような機構であると、前ロットの洗剤入りパウチのトップシール部の形成と後ロットのパウチのボトムシール部の形成を同時に行うことができる。
また、ボトムシーラー55aとトップシーラー55bの間にはカッター55cが設けられており、カッター55cを用いてプラスチックフィルムを切断することによって、2箇所のヒートシール加工、及び、前ロットの洗剤入りパウチと後ロットのパウチの分離を連続的に行うことができる。
【0052】
なお、上記ボトム/トップシーラーではプラスチックフィルムを搬送させることなく2箇所のヒートシール加工及びプラスチックフィルムの切断を行うが、ヒートシール加工及びプラスチックフィルムの切断の態様はこの態様に限定されるものではない。
例えば、2箇所のヒートシール加工の後にフィルムを搬送してプラスチックフィルムの切断を別途行ってもよい。また、前ロットの洗剤入りパウチのトップシール部の形成を行った後にフィルムを搬送して、後ロットのパウチのボトムシール部の形成を行うとともにプラスチックフィルムの切断を行ってもよい。
【0053】
次に、ボトムシール部を設けたプラスチックフィルムの筒状体に、洗剤投入口52から洗剤を投入して、プラスチックフィルムの筒状体の中に洗剤を充填する。
【0054】
次に、洗剤を充填したプラスチックフィルムをさらに下方に搬送し、洗剤が充填されていない部分がトップシーラー55bよりも下方の所定位置に到達した時点で、ボトム/トップシーラー55を用いてプラスチックフィルムの筒状体の開口部にトップシール部を形成する。さらに、プラスチックフィルムの筒状体をトップシール部の外側で切断する。
このような工程により、洗剤がパウチ内に封入された洗剤入りパウチを連続的に製造することができる。
【0055】
洗剤入りパウチの製造方法は、上述したようなパウチの製造と洗剤の封入を同時に行う方法に限定されるものではなく、パウチの製造と洗剤の封入を別々に行う方法によってもよい。
上記工程において、洗剤投入口から洗剤を投入せずにトップシール部を形成すると、洗剤が入っていないパウチを製造することができる。そして、そのパウチに洗剤を封入するための開口を別途形成し、洗剤を封入した後にその開口を閉じることによっても、洗剤入りパウチを製造することができる。
【0056】
次に、洗剤入りパウチの使用方法の一例について説明する。
図9及び図10は、洗剤入りパウチの使用方法の一例を模式的に示す斜視図である。
本発明の洗剤入りパウチを使用する場合は、図9に示すように、洗剤入りパウチを両手で持ち、ノッチ116を始点として、ノッチ116の延長線上に沿って、無地部115のみを通るようにしてフィルムを引き裂いて、隅角部をパウチから切り取り、適当な広さの注ぎ口部を開口する。
フィルムを引き裂く前に、洗剤が全て下方に溜まった状態としておき、無地部に泡などが付着していないようにすることが望ましい。
【0057】
そして、図10に示すように、注ぎ口部を開口した鋭角部を洗剤容器70の洗剤投入口71に差し込む。
鋭角部を洗剤投入口に差し込むようにすると、洗剤が全て自重によって洗剤容器内に注入されるため、洗剤をスムーズに洗剤容器内に注ぐことができる。
このような手順で洗剤容器内に洗剤を注ぐと、パウチに封入された洗剤が作業者の手に付着することを避けることができる。
【実施例】
【0058】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
プラスチックフィルムとして、ナイロンフィルムとポリエチレンフィルムからなる厚さ75μmの多層(2層)フィルムを用い、図7に示した洗剤入りパウチの製造装置を使用して、図2に記載した形状並びに無地部及び印刷部を有するパウチに洗剤が封入された洗剤入りパウチ(図6参照)を製造した。
なお、印刷部の印刷はグラビア印刷により、ナイロンフィルムとポリエチレンフィルムの間に施した。
洗剤入りパウチ内に封入する洗剤としては、20℃における粘度が50mPa・sのアルカリ性洗剤を用いた。
なお、20℃における洗剤の粘度は、JIS K 7117−2に適合する回転粘度計(東機産業株式会社製、TVE−22H)を用いて測定した。
【0060】
(実施例2)
20℃における粘度が700mPa・sであるアルカリ性洗剤をそれぞれ用いた他は実施例1と同様にして洗剤入りパウチを製造した。
【0061】
(比較例1)
無地部が設けられておらず、プラスチックフィルム表面が全て印刷部である他は実施例1と同様にして洗剤入りパウチを製造した。
【0062】
(比較例2)
20℃における粘度が1000mPa・sであるアルカリ性洗剤を用いた他は実施例1と同様にして洗剤入りパウチを製造した。
【0063】
(比較例3)
印刷部が設けられておらず、プラスチックフィルム表面が全て無地部であるプラスチックフィルムを用い、20℃における粘度が12.5mPa・s以下(粘度計の測定限界以下)であるアルカリ性洗剤を用いた他は実施例1と同様にして洗剤入りパウチを製造した。
【0064】
(参考例1)
印刷部が設けられておらず、プラスチックフィルム表面が全て無地部であるプラスチックフィルムを用いた他は実施例1と同様にして洗剤入りパウチを製造した。
なお、この参考例1の洗剤入りパウチは、実施例1と同様に20℃における粘度が50mPa・sであるアルカリ性洗剤を用いており、実施例1の洗剤入りパウチについて後述する泡立ち性の評価を行いやすくすることを目的として製造したものである。
【0065】
各実施例等で製造した洗剤入りパウチにつき、以下の評価を行った。
(引き裂き性の評価)
各実施例で製造した洗剤入りパウチでは、ノッチを始点として無地部を引き裂くことによって作業者の望む方向にフィルムを引き裂くことができた。そして、隅角部を洗剤入りパウチに残すことなく切り取ることができた。
一方、比較例1で製造した洗剤入りパウチでは、ノッチを始点にして印刷部を引き裂くことを試みたが、フィルムが伸びてしまい作業者の望む方向にフィルムを引き裂けないことがあった。また、隅角部が洗剤入りパウチから切り取られずに残ってしまうこともあった。
【0066】
(洗剤の流動性の評価)
各実施例及び比較例2の洗剤入りパウチにおいて、鋭角部近傍の無地部を引き裂いて注ぎ口部を開口し、図10に示すように注ぎ口部を開口した鋭角部を洗剤容器の洗剤投入口に差し込んで、洗剤を洗剤容器内に注いだ。
【0067】
各実施例の洗剤入りパウチでは、洗剤の粘度が700mPa・s以下であるために洗剤の流動性が良く、スムーズに洗剤を注ぐことができた。
また、フィルムの内面に付着してパウチ内に残留した洗剤は殆どなかった。
一方、比較例2の洗剤入りパウチでは洗剤の粘度が1000mPa・sと大きかったために洗剤の流動性が悪く、洗剤をスムーズに注ぐことができず、洗剤がフィルムの内面に付着してパウチ内に残留してしまった。
【0068】
(泡立ち性の評価)
比較例3、参考例1及び実施例1の洗剤入りパウチを振って洗剤入りパウチ内の洗剤を泡立て、無地部が設けられている鋭角部を上に向けて1分間放置した。その後、洗剤入りパウチ内の泡の様子を観察した。
図11は、比較例3における洗剤入りパウチ内の泡の様子を示す写真であり、図12は参考例1における洗剤入りパウチ内の泡の様子を示す写真である。
【0069】
比較例3の洗剤入りパウチでは、図11に示すように細かい泡が発生して鋭角部近傍に集まっていた。
そこで、鋭角部近傍に付着していた細かい泡を含む洗剤を手でしごいて洗剤の液中へ移動させることを試みたが、細かい泡が鋭角部近傍に向けて再度上昇して鋭角部近傍に洗剤が残留した状態となった。
比較例3で使用した洗剤はその粘度が12.5mPa・s以下と低いため、細かい泡が鋭角部近傍に残留したと考えられる。
この状態で鋭角部近傍の無地部を引き裂くと、洗剤が少量飛び散って作業者の手に付着した。
【0070】
参考例1の洗剤入りパウチでは、図12に示すように泡が鋭角部近傍に集まることはなく、泡は洗剤の液中及び液面に保持されていた。
実施例1の洗剤入りパウチでも泡の発生の様子は同様であった。
また、参考例1及び実施例1の洗剤入りパウチでは、鋭角部近傍に付着していた洗剤を手でしごいて洗剤の液中へ移動させることによって、鋭角部近傍に洗剤が殆ど残留していない状態とすることができた。
この状態で鋭角部近傍の無地部を引き裂くと、洗剤が飛び散ることがなく、作業者の手に洗剤が付着することもなかった。
【0071】
このように、本発明のパウチに洗剤が封入された洗剤入りパウチでは、鋭角部近傍に無地部が設けられているため、ノッチを始点として無地部を引き裂くことによって作業者の望む方向にフィルムを引き裂くことができた。
また、本発明のパウチに洗剤が封入された洗剤入りパウチにおいて、洗剤の粘度が30〜700mPa・sの範囲内であると、鋭角部近傍に洗剤が殆ど残留しないために無地部の引き裂きによって洗剤が飛び散ることを防止することができた。また、洗剤をスムーズに洗剤容器内に注ぐことができた。
すなわち、本発明の洗剤入りパウチは、パウチに封入された洗剤が作業者の手に付着することなく洗剤を注ぐことに適していた。
【符号の説明】
【0072】
1 洗剤入りパウチ
2 洗剤
10、110 パウチ
11、111、211、311 シール部(トップシール部)
12、112 シール部(ボトムシール部)
14、114、214、314 印刷部
15、115、215、315 無地部
16、116、216、316 ノッチ
20、120、220、320 鋭角部
60 プラスチックフィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ、洗剤入りパウチ、及び、洗剤入りパウチの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗い用途などに用いられる洗剤が封入される容器として、プラスチックフィルム製の包装容器が用いられることがある。このような包装容器は、パウチと呼ばれることもある。
特許文献1には、液体包装容器の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−72780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の液体包装容器では、高分子フィルムの縁部がシールされており、隅角部に設けられた切欠部をきっかけに斜め方向に手で引き裂くことで注ぎ口部を形成させ、注ぎ口部から液体を注ぐことができるとされている。
【0005】
特許文献1に記載の液体包装容器のように、高分子フィルムの隅角部を手で引き裂くことで注ぎ口部を形成させる場合には、フィルムの「引き裂き」を容易に行うことができることが望ましい。しかしながら、このような液体包装容器を用いた場合に、隅角部の引き裂きが困難である場合や、引き裂きにかなり強い力を要する場合があった。また、作業者が望む方向に引き裂くことができずに適当な広さの注ぎ口部を開口できない場合があった。
そして、適当な広さの注ぎ口部を開口できなかった場合には、液体を注ぐ際の作業性が低下することがあり、さらに、液体がこぼれて作業者の手等に付着するおそれがあった。
【0006】
また、フィルムの引き裂きに失敗した場合に、液体包装容器の隅角部が完全に切りとられずに残ってしまうこともあった。
そして、完全に切り取られなかった隅角部が液体包装容器から垂れ下がった状態で液体を注ぐ作業を行うと、液体を注ぐ際に隅角部が邪魔になって作業性が低下したり、隅角部を伝って液体がこぼれる場合があった。また、隅角部に付着した液体が作業者の手等に付着するおそれがあった。
【0007】
プラスチックフィルム製のパウチに封入して流通する可能性がある洗剤の一例として、食器洗い用の高濃度アルカリ性洗剤がある。
従来、油汚れ落し用のアルカリ性洗剤は一斗缶(18kg)やボトル(4kg、5kg等)に入れてエンドユーザーに納品されていたが、近年、高濃度アルカリ性洗剤をパウチに封入してエンドユーザーに納品し、エンドユーザーが使用前に4〜5倍程度に希釈して使用するケースが増えていくと予想できる。高濃度アルカリ性洗剤を納品することによって、輸送コストの低減及びCO2の排出の削減を図ることができる。
【0008】
上記高濃度アルカリ性洗剤を封入する用途にパウチを用いる場合には、パウチ内に封入された洗剤を注ぐ際に高濃度アルカリ性洗剤が作業者の手に付着することを避ける必要がある。そのため、作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができること、及び、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができることが特に必要である。
【0009】
本発明は、作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができるとともに、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができるパウチを提供することを目的とする。
また、パウチ内に封入された洗剤を注ぐ際に洗剤が作業者の手に付着することを防止することに適した洗剤入りパウチを提供することを目的とする。また、上記洗剤入りパウチを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、従来用いられていたパウチにおいてフィルムの引き裂きの難易に影響を与えている原因について検討した。その結果、プラスチックフィルムのナイロン層とポリエチレン層の間に施された印刷処理が原因となっている可能性があることを見出した。
通常、プラスチックフィルム製のパウチには、その全面に商品名、ロゴマーク、バーコード、ロットNoなどを示すための印刷処理が施されている。印刷処理は、グラビア印刷等の方法によりなされている。
本発明者らは、印刷処理がなされているプラスチックフィルムと印刷処理がなされていないプラスチックフィルムをそれぞれ引き裂くことを試みたところ、印刷処理がある場合にはフィルムが伸びやすく、引き裂きが困難であることを見出した。
一方、印刷処理がなされていないプラスチックフィルムは、作業者の望む方向に引き裂くことが容易であることを見出した。
そして、本発明者らは、上記知見に基づき、パウチを引き裂く予定の部位に印刷処理を施さないようにすることによって、作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができるとともに、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができるパウチを提供することができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明のパウチは、液体包装用のプラスチックフィルム製袋状パウチであって、
上記パウチを平面視した形状は、鋭角部を有する多角形状であり、
上記鋭角部を構成する2辺のうちの少なくとも一方の辺には、ヒートシール加工されたシール部が設けられており、
上記鋭角部近傍には、印刷処理がされていない無地部が設けられていることを特徴とする、液体包装用のパウチである。
【0012】
本発明のパウチの鋭角部近傍には、印刷処理がされていない無地部が設けられている。
上述したように、印刷処理がされていないプラスチックフィルムは引き裂きが容易であるため、作業者は印刷処理がされていない無地部を引き裂くことによって作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができる。また、無地部は鋭角部近傍に設けられているので隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができる。
【0013】
本発明のパウチにおいて、上記無地部は、上記パウチを平面視した形状において、上記シール部が設けられた上記一方の辺上の1点を始点とし、上記鋭角部を構成する2辺のうちの他方の辺上の1点を終点とする連続した領域に設けられていることが望ましい。
このような部位に無地部が設けられていると、上記一方の辺上の1点から上記他方の辺上の1点までフィルムを確実に引き裂くことができるため、作業者の望む位置で、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることができる。
【0014】
本発明のパウチにおいて、上記無地部は、上記パウチを平面視した形状において、上記鋭角部を一つの頂点とした面積40cm2以下の直角三角形内に設けられていることが望ましい。
また、本発明のパウチを平面視した形状において、上記無地部は、上記鋭角部を一つの頂点とし、上記シール部が設けられた上記一方の辺を斜辺とした面積40cm2以下の直角三角形内に設けられていることが望ましい。
【0015】
本発明のパウチにおいては、上記シール部にノッチが設けられていることが望ましい。
また、上記ノッチは上記シール部が設けられた上記一方の辺に対し直角に形成されていることが望ましい。
また、上記ノッチを延長した仮想線を、上記鋭角部を構成する2辺のうちの他方の辺と交わる位置まで引いた際に、上記無地部は、上記ノッチ及び上記仮想線の少なくとも両側5mmずつの領域に設けられていることが望ましい。
シール部にノッチが設けられていると、フィルムを引き裂く際の始点が確実に定まるため、作業者の望む位置から引き裂きを開始することができる。
また、無地部の位置がノッチ及び上記仮想線の少なくとも両側5mmずつの領域に設けられていると、ノッチを始点としてフィルムを引き裂く際にその経路が曲がった場合であっても、引き裂きにくい印刷部に当たった時点でそれ以上引き裂きにくくなるため、引き裂く経路が大きく曲がることが防止される。その結果、作業者が望む好ましい位置でフィルムを引き裂きやすくなる。すなわち、無地部が設けられているパターンがフィルムを引き裂く位置を示すガイドとなる。
【0016】
本発明のパウチを平面視した形状は、一つの鋭角部、一つの鈍角部、及び、二つの直角部を有する台形状であることが望ましい。
また、本発明のパウチを平面視した形状は、平行四辺形状であることが望ましい。
【0017】
本発明のパウチにおいては、上記シール部と一辺を隔てた反対側の辺にもシール部が設けられていることが望ましい。
また、本発明のパウチにおいては、上記鋭角部の角度が45〜75°であることが望ましい。
【0018】
本発明のパウチは、印刷処理がされた印刷部を有することが望ましい。また、上記印刷処理の方法がグラビア印刷であることが望ましい。
また、本発明のパウチにおいては、上記プラスチックフィルムは、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる単層フィルム、又は、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうちの1種類又は複数種類からなる多層フィルムであることが望ましい。
【0019】
本発明の洗剤入りパウチは、本発明のパウチ内に洗剤が封入されており、上記洗剤の20℃における粘度が30〜700mPa・sであることを特徴とする。
洗剤の粘度が30mPa・s以上であると、細かい泡が発生しにくく、また、引き裂きを行う前に無地部を上に向けた際に、洗剤の泡が鋭角部近傍に残留しにくい。そのため、フィルムを無地部で引き裂く作業の際に洗剤が飛び散ることが防止される。
また、切り取った隅角部(鋭角部)に洗剤が残留しにくいため、フィルムを引き裂く作業の際に洗剤が作業者の手等に付着することが防止される。
【0020】
一方、洗剤の粘度が700mPa・s以下であると洗剤の流動性が良く、スムーズに洗剤を注ぐことができる。また、洗剤がフィルムの内面に付着してパウチ内に残留することも防止される。
【0021】
本発明の洗剤入りパウチにおいては、上記洗剤のpHが8〜14であることが望ましい。
中性洗剤に比べてpHが8〜14であるようなアルカリ性洗剤は作業者の手に付着することをより避ける必要があるため、パウチの引き裂き作業を容易にすることができる本発明のパウチにアルカリ性洗剤を封入した場合には、より好ましい効果を得ることができる。
【0022】
本発明の洗剤入りパウチにおいて、上記洗剤の充填量は、上記パウチの内容積の70%以下であることが望ましい。
洗剤の量がパウチの内容積の70%を超えて多くなっていると、フィルムを引き裂いた際に洗剤が飛び散ることがある。
【0023】
本発明の洗剤入りパウチにおいて、上記洗剤は界面活性剤と、溶剤と、アルカリ成分とを含むことが望ましい。
【0024】
本発明の洗剤入りパウチの製造方法は、
印刷処理がされていない無地部が設けられているプラスチックフィルムを準備する工程と、
上記プラスチックフィルムを筒状に巻いてヒートシール加工することによって、両端に開口部を有するプラスチックフィルムの筒状体とする工程と、
上記プラスチックフィルムの筒状体の一端の開口部をヒートシール加工することによってボトムシール部を設ける工程と、
上記プラスチックフィルムの筒状体の中に洗剤を充填する工程と、
上記プラスチックフィルムの筒状体の他端の開口部をヒートシール加工することによってトップシール部を設けるとともに上記洗剤を密封する工程と、
上記プラスチックフィルムの筒状体を上記トップシール部の外側で切断する工程と、を有し、
上記ボトムシール部又は上記トップシール部が、上記鋭角部を構成する2辺のうちの少なくとも一方の辺となっており、
上記プラスチックフィルムにおいて無地部を設ける位置、上記ボトムシール部又は上記トップシール部を設ける位置、及び、上記プラスチックフィルムを切断する位置のそれぞれを、上記無地部が上記鋭角部近傍に位置するように調整することを特徴とする。
このような工程によると、パウチの鋭角部近傍に無地部が設けられ、パウチ内に洗剤が封入された本発明の洗剤入りパウチを製造することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のパウチは、作業者の望む方向にフィルムを確実に引き裂くことができるとともに、隅角部をパウチに残すことなく切り取ることに適している。
また、本発明の洗剤入りパウチは、パウチに封入された洗剤が作業者の手に付着することなく洗剤を注ぐことに適している。
また、本発明の洗剤入りパウチの製造方法によると、本発明の洗剤入りパウチを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】パウチの一例を模式的に示す平面図である。
【図2】パウチの別の一例を模式的に示す平面図である。
【図3】図1における領域Aを拡大して示す、鋭角部近傍の形態の一例を模式的に示す拡大平面図である。
【図4】鋭角部近傍の形態の別の一例を模式的に示す拡大平面図である。
【図5】鋭角部近傍の形態の別の一例を模式的に示す拡大平面図である。
【図6】洗剤入りパウチの一例を模式的に示す平面図である。
【図7】洗剤入りパウチの製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
【図8】ボトム/トップシーラーの断面を模式的に示す断面図である。
【図9】洗剤入りパウチの使用方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【図10】洗剤入りパウチの使用方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【図11】比較例3における洗剤入りパウチ内の泡の様子を示す写真である。
【図12】参考例1における洗剤入りパウチ内の泡の様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のパウチの実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、パウチの一例を模式的に示す平面図である。
図1に示すパウチ10は、プラスチックフィルム製であり、平面視した形状が平行四辺形状である。そして、図1において上側に位置する辺には、ヒートシール加工されたシール部11(トップシール部11)が設けられており、シール部11と1辺を隔てた反対側の辺にもヒートシール加工されたシール部12(ボトムシール部12)が設けられている。
パウチ10の裏側、中央の縦方向にはヒートシール加工されたセンターシール部13が設けられている。
パウチの材料であるプラスチックフィルムの種類は特に限定されるものではないが、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる単層フィルム、又は、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうちの1種類又は複数種類からなる多層フィルムであることが望ましい。
また、その他の材質のフィルムが含まれた多層フィルムであっても良い。
また、プラスチックフィルムの厚さは特に限定されるものではないが、50〜100μmであることが望ましい。
【0028】
パウチ10の頂点のうち、図1において左上に位置する頂点は鋭角であり、この部位を鋭角部20とする。鋭角部20は、トップシール部11が設けられた辺21と図1において縦方向に伸びる辺22とからなる鋭角であり、その望ましい角度は45°〜75°である。
鋭角部20の近傍には、印刷処理がされていない部位である無地部15が設けられている。
また、シール部11のうち無地部15に該当する部位に、プラスチックフィルムを引き裂く際の始点となる切り込みであるノッチ16が設けられている。
【0029】
無地部15を除くパウチ10の表面の大部分には印刷処理が施されている。図1には、印刷処理が施された部位を印刷部14として示している。
図1では無地部15と印刷部14をハッチングの有無で区別して示している。
印刷処理は、プラスチックフィルムに通常行われる任意の方法、例えば、グラビア印刷等の方法によってなされている。印刷部14と無地部15が設けられている部位はパウチ10の表裏で同じとなっていることが望ましい。フィルムを引き裂く際には表裏がともに無地部となっている部位を引き裂くことが望ましいためである。
【0030】
本発明のパウチの形状は、図1に示す平面視平行四辺形状に限定されるものではなく、鋭角部を有する多角形状であればよい。図2は、パウチの別の一例を模式的に示す平面図である。
図2に示すパウチ110は、平面視した形状が、一つの鋭角部、一つの鈍角部、及び、二つの直角部を有する台形状である。
図2において上側に位置する辺121には、ヒートシール加工されたシール部111(トップシール部111)が設けられており、シール部111と1辺を隔てた反対側の辺にもヒートシール加工されたシール部112(ボトムシール部112)が設けられている。
パウチ110の裏側、中央の縦方向にはヒートシール加工されたセンターシール部113が設けられている。
【0031】
図2の左上には、辺121及び辺122からなる鋭角部120が位置しており、鋭角部120の近傍には無地部115が設けられている。鋭角部120の近傍に設けられた無地部115を除く、パウチ110の表面の大部分は印刷処理が施された印刷部114となっている。
また、シール部111のうち無地部115に該当する部位に、プラスチックフィルムを引き裂く際の始点となるノッチ116が設けられている。
【0032】
図2に示すパウチ110と図1に示すパウチ10とは、その平面視した形状が異なる他は同様の構成を有している。
なお、本発明のパウチは、その平面視した形状が多角形であるが、本発明において「多角形」とは数学的に厳密な意味で多角形という意味ではなく、その頂点部分が丸くなっていたり、辺の一部が曲線となっている場合も含む概念である。
また、本発明のパウチは、その平面視した形状において鋭角部を有するが、本発明において「鋭角」とは数学的に厳密な意味で鋭角という意味ではなく、その頂点部分が曲線状になっている場合や面取りされている場合をも含む概念である。パウチを平面視した形状における2つの辺の交点が鋭角であれば、頂点部分の形状に関わらず本発明における「鋭角」に該当する。
【0033】
以下、本発明のパウチにおいて無地部が設けられる形態を説明する。
図3は、図1における領域Aを拡大して示す、鋭角部近傍の形態の一例を模式的に示す拡大平面図である。
図3に示す鋭角部20の近傍においては、無地部15の形状は、鋭角部20を1つの頂点とし、シール部11が設けられた辺21を斜辺とした直角三角形となっている。
この直角三角形の面積は、40cm2以下であることが望ましい。
また、この直角三角形の面積は、8cm2以上であることが望ましい。
【0034】
シール部11にはノッチ16が設けられており、ノッチ16は、シール部11が設けられた辺21に対し直角に形成されている。そして、ノッチ16を延長した仮想線(図3中で一点鎖線で示す)を辺22まで引いた際に、仮想線は無地部15のみを通り、印刷部14と交わらないようになっている。
ノッチ16及び無地部15の位置関係がこのようになっていると、ノッチを始点としてノッチの方向に合わせてフィルムを真っ直ぐ引き裂いた場合に無地部のみを通るようにしてフィルムを引き裂くことができるため、フィルムの引き裂きを容易に行うことができる。
【0035】
図4は、鋭角部近傍の形態の別の一例を模式的に示す拡大平面図である。
図4には、無地部の形態が図3とは異なるパウチの一例を示している。
図4に示す鋭角部220の近傍では、無地部215の形状は、鋭角部220を1つの頂点とし、シール部211が設けられていない辺222を斜辺とした直角三角形となっている。
この直角三角形の面積は、40cm2以下であることが望ましい。
また、この直角三角形の面積は、8cm2以上であることが望ましい。
【0036】
シール部211にはノッチ216が設けられており、ノッチ216は、シール部211が設けられた辺221に対し直角に形成されている。そして、ノッチ216を延長した仮想線(図4中で一点鎖線で示す)を辺222まで引いた際に、仮想線は無地部215のみを通り、印刷部214と交わらないようになっている。
このような場合であっても、ノッチを始点としてノッチの方向に合わせてフィルムを真っ直ぐ引き裂いた場合に無地部のみを通るようにしてフィルムを引き裂くことができるため、フィルムの引き裂きを容易に行うことができる。
【0037】
図5は、鋭角部近傍の形態の別の一例を模式的に示す拡大平面図である。
図5には、無地部の形態が図3及び図4とは異なるパウチの一例を示している。
図5に示す鋭角部320の近傍では、無地部315の両側に印刷部314a、印刷部314bが設けられている。無地部315と印刷部314aは境界線317aで隔てられており、無地部315と印刷部314bは境界線317bで隔てられている。
【0038】
シール部311にはノッチ316が設けられており、ノッチ316は、シール部311が設けられた辺321に対し直角に形成されている。そして、ノッチ316を延長した仮想線(図5中で一点鎖線で示す)を辺322まで引いた際に、仮想線は無地部315のみを通り、印刷部314a、314bのいずれとも交わらないようになっている。
図5に示すような部位に無地部が設けられる場合には、無地部は、ノッチ及びノッチを延長した仮想線の少なくとも両側5mmずつの領域に設けられていることが望ましい。
言い換えると、ノッチ316及びノッチ316を延長した仮想線と境界線317aとの間隔、及び、ノッチ316及びノッチ316を延長した仮想線と境界線317bとの間隔が、共に5mm以上であることが望ましい。
【0039】
このように、無地部の両側に印刷部が設けられていると、ノッチを始点としてフィルムを引き裂く際にその経路が曲がった場合であっても、引き裂きにくい印刷部に当たった時点でそれ以上引き裂きにくくなるため、引き裂く経路が大きく曲がることが防止される。その結果、作業者が望む好ましい位置でフィルムを引き裂きやすくなる。すなわち、無地部が設けられているパターンがフィルムを引き裂く位置を示すガイドとなる。
【0040】
また、本発明のパウチは、フィルムを引き裂く位置に対応したミシン目を備えていても良い。また、ノッチは必ずしも備えられている必要はない。
また、ノッチとトップシール部が設けられた辺との角度は直角に限定されるものではなく、フィルムを引き裂く予定の方向に合わせて任意の角度とすることができる。
【0041】
続いて、本発明の洗剤入りパウチの実施形態について説明する。
本発明の洗剤入りパウチは、本発明のパウチに洗剤が封入されたものである。
図6は、洗剤入りパウチの一例を模式的に示す平面図である。
図6に示す洗剤入りパウチ1では、図2に示す平面視台形状のパウチ110に洗剤2が封入されている。
洗剤入りパウチに封入される洗剤としては、その20℃における粘度が30〜700mPa・sであるものが用いられる。
洗剤の粘度の測定は、JIS K 7117−2 に準拠し、回転粘度計を用いて行うことができる。
【0042】
洗剤の粘度が30mPa・s未満と低い場合には、洗剤が振動等を受けることにより細かい泡が発生し、フィルムの引き裂きを行う前に無地部を上に向けた際に、洗剤の泡が鋭角部近傍に残留することがある。そして、その状態でフィルムを引き裂くと、洗剤が飛び散ることがある。また、切り取った隅角部(鋭角部)に洗剤が残留して洗剤が作業者の手等に付着することがある。
【0043】
洗剤の粘度が30mPa・s以上であると、細かい泡が発生しにくく、また、引き裂きを行う前に無地部を上に向けた際に、洗剤の泡が鋭角部近傍に残留しにくい。そのため、フィルムを引き裂く際に洗剤が飛び散ることが防止される。
また、切り取った隅角部(鋭角部)に洗剤が残留しにくいため、フィルムを引き裂く際に洗剤が作業者の手等に付着することが防止される。
【0044】
一方、洗剤の粘度が700mPa・s以下であると洗剤の流動性が良く、スムーズに洗剤を注ぐことができるため好ましい。また、洗剤がフィルムの内面に付着してパウチ内に残留することも防止される。
【0045】
パウチに封入する洗剤の種類は特に限定されるものではないが、油汚れ落とし用のアルカリ性洗剤を封入することが望ましい。特に、希釈して使用することを目的とした高濃度アルカリ性洗剤を封入することが望ましい。
中性洗剤に比べると、アルカリ性洗剤は作業者の手に付着することをより避ける必要があるため、引き裂く作業を容易にすることができる本発明のパウチにアルカリ性洗剤を封入した場合により好ましい効果を得ることができる。
【0046】
パウチに封入する洗剤のpHは8〜14であることが望ましい。このようなpHを有する洗剤は、作業者の手に付着することを避けるべき必要性がより高いためである。
また、パウチに封入する洗剤の組成は特に限定されるものではないが、例えば、キッチン用アルカリ洗浄剤、風呂用アルカリ洗浄剤等を含む洗剤等が挙げられる。
アルカリ洗浄剤としては、界面活性剤と、溶剤と、アルカリ成分とを含む洗剤が挙げられる。
【0047】
パウチに封入する洗剤の量は、特に限定されるものではないが、パウチの内容積の
70%以下であることが望ましい。
洗剤の量がパウチの内容積の70%を超えて多くなっていると、フィルムを引き裂いた際に洗剤が飛び散ることがあるためである。
【0048】
続いて、本発明の洗剤入りパウチの製造方法の実施形態について説明する。
図7は、洗剤入りパウチの製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
図7には、洗剤入りパウチの製造装置を示している。洗剤入りパウチの製造装置50は、ローラー51、洗剤投入口52、ローラー53、センターシーラー54、ボトム/トップシーラー55を備えている。
【0049】
本発明の洗剤入りパウチの製造方法では、印刷処理がされていない無地部を有するプラスチックフィルム60を準備し、洗剤入りパウチの製造装置50のローラー51で搬送する。図7においてはプラスチックフィルム60は模式的に透明なフィルムとして示しているが、洗剤入りパウチの製造装置にプラスチックフィルムを投入する前に所定の部位に印刷処理が施されていることが望ましい。
プラスチックフィルム60において印刷処理を施しておく位置は、製造される洗剤入りパウチの形状、並びに、印刷部及び無地部のパターンに応じて予め決めておけばよい。
【0050】
続いて、プラスチックフィルム60を、円筒状の洗剤投入口52に巻き付けて、ローラー53で下方向に搬送させながらセンターシーラー54を用いてヒートシール加工して、両端に開口部を有するプラスチックフィルムの筒状体とする。
【0051】
続いて、ボトム/トップシーラー55を用いて、プラスチックフィルムの筒状体の下端に位置する開口部をヒートシール加工することによってボトムシール部を設ける。
図8は、ボトム/トップシーラーの断面を模式的に示す断面図である。
ボトム/トップシーラー55は、ボトムシーラー55a及びトップシーラー55bがプラスチックフィルム60を挟んで対向しており、ボトムシーラー55a間、トップシーラー55b間でプラスチックフィルム60を挟むことにより同時に2箇所のヒートシール加工を行うことができる。
このような機構であると、前ロットの洗剤入りパウチのトップシール部の形成と後ロットのパウチのボトムシール部の形成を同時に行うことができる。
また、ボトムシーラー55aとトップシーラー55bの間にはカッター55cが設けられており、カッター55cを用いてプラスチックフィルムを切断することによって、2箇所のヒートシール加工、及び、前ロットの洗剤入りパウチと後ロットのパウチの分離を連続的に行うことができる。
【0052】
なお、上記ボトム/トップシーラーではプラスチックフィルムを搬送させることなく2箇所のヒートシール加工及びプラスチックフィルムの切断を行うが、ヒートシール加工及びプラスチックフィルムの切断の態様はこの態様に限定されるものではない。
例えば、2箇所のヒートシール加工の後にフィルムを搬送してプラスチックフィルムの切断を別途行ってもよい。また、前ロットの洗剤入りパウチのトップシール部の形成を行った後にフィルムを搬送して、後ロットのパウチのボトムシール部の形成を行うとともにプラスチックフィルムの切断を行ってもよい。
【0053】
次に、ボトムシール部を設けたプラスチックフィルムの筒状体に、洗剤投入口52から洗剤を投入して、プラスチックフィルムの筒状体の中に洗剤を充填する。
【0054】
次に、洗剤を充填したプラスチックフィルムをさらに下方に搬送し、洗剤が充填されていない部分がトップシーラー55bよりも下方の所定位置に到達した時点で、ボトム/トップシーラー55を用いてプラスチックフィルムの筒状体の開口部にトップシール部を形成する。さらに、プラスチックフィルムの筒状体をトップシール部の外側で切断する。
このような工程により、洗剤がパウチ内に封入された洗剤入りパウチを連続的に製造することができる。
【0055】
洗剤入りパウチの製造方法は、上述したようなパウチの製造と洗剤の封入を同時に行う方法に限定されるものではなく、パウチの製造と洗剤の封入を別々に行う方法によってもよい。
上記工程において、洗剤投入口から洗剤を投入せずにトップシール部を形成すると、洗剤が入っていないパウチを製造することができる。そして、そのパウチに洗剤を封入するための開口を別途形成し、洗剤を封入した後にその開口を閉じることによっても、洗剤入りパウチを製造することができる。
【0056】
次に、洗剤入りパウチの使用方法の一例について説明する。
図9及び図10は、洗剤入りパウチの使用方法の一例を模式的に示す斜視図である。
本発明の洗剤入りパウチを使用する場合は、図9に示すように、洗剤入りパウチを両手で持ち、ノッチ116を始点として、ノッチ116の延長線上に沿って、無地部115のみを通るようにしてフィルムを引き裂いて、隅角部をパウチから切り取り、適当な広さの注ぎ口部を開口する。
フィルムを引き裂く前に、洗剤が全て下方に溜まった状態としておき、無地部に泡などが付着していないようにすることが望ましい。
【0057】
そして、図10に示すように、注ぎ口部を開口した鋭角部を洗剤容器70の洗剤投入口71に差し込む。
鋭角部を洗剤投入口に差し込むようにすると、洗剤が全て自重によって洗剤容器内に注入されるため、洗剤をスムーズに洗剤容器内に注ぐことができる。
このような手順で洗剤容器内に洗剤を注ぐと、パウチに封入された洗剤が作業者の手に付着することを避けることができる。
【実施例】
【0058】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
プラスチックフィルムとして、ナイロンフィルムとポリエチレンフィルムからなる厚さ75μmの多層(2層)フィルムを用い、図7に示した洗剤入りパウチの製造装置を使用して、図2に記載した形状並びに無地部及び印刷部を有するパウチに洗剤が封入された洗剤入りパウチ(図6参照)を製造した。
なお、印刷部の印刷はグラビア印刷により、ナイロンフィルムとポリエチレンフィルムの間に施した。
洗剤入りパウチ内に封入する洗剤としては、20℃における粘度が50mPa・sのアルカリ性洗剤を用いた。
なお、20℃における洗剤の粘度は、JIS K 7117−2に適合する回転粘度計(東機産業株式会社製、TVE−22H)を用いて測定した。
【0060】
(実施例2)
20℃における粘度が700mPa・sであるアルカリ性洗剤をそれぞれ用いた他は実施例1と同様にして洗剤入りパウチを製造した。
【0061】
(比較例1)
無地部が設けられておらず、プラスチックフィルム表面が全て印刷部である他は実施例1と同様にして洗剤入りパウチを製造した。
【0062】
(比較例2)
20℃における粘度が1000mPa・sであるアルカリ性洗剤を用いた他は実施例1と同様にして洗剤入りパウチを製造した。
【0063】
(比較例3)
印刷部が設けられておらず、プラスチックフィルム表面が全て無地部であるプラスチックフィルムを用い、20℃における粘度が12.5mPa・s以下(粘度計の測定限界以下)であるアルカリ性洗剤を用いた他は実施例1と同様にして洗剤入りパウチを製造した。
【0064】
(参考例1)
印刷部が設けられておらず、プラスチックフィルム表面が全て無地部であるプラスチックフィルムを用いた他は実施例1と同様にして洗剤入りパウチを製造した。
なお、この参考例1の洗剤入りパウチは、実施例1と同様に20℃における粘度が50mPa・sであるアルカリ性洗剤を用いており、実施例1の洗剤入りパウチについて後述する泡立ち性の評価を行いやすくすることを目的として製造したものである。
【0065】
各実施例等で製造した洗剤入りパウチにつき、以下の評価を行った。
(引き裂き性の評価)
各実施例で製造した洗剤入りパウチでは、ノッチを始点として無地部を引き裂くことによって作業者の望む方向にフィルムを引き裂くことができた。そして、隅角部を洗剤入りパウチに残すことなく切り取ることができた。
一方、比較例1で製造した洗剤入りパウチでは、ノッチを始点にして印刷部を引き裂くことを試みたが、フィルムが伸びてしまい作業者の望む方向にフィルムを引き裂けないことがあった。また、隅角部が洗剤入りパウチから切り取られずに残ってしまうこともあった。
【0066】
(洗剤の流動性の評価)
各実施例及び比較例2の洗剤入りパウチにおいて、鋭角部近傍の無地部を引き裂いて注ぎ口部を開口し、図10に示すように注ぎ口部を開口した鋭角部を洗剤容器の洗剤投入口に差し込んで、洗剤を洗剤容器内に注いだ。
【0067】
各実施例の洗剤入りパウチでは、洗剤の粘度が700mPa・s以下であるために洗剤の流動性が良く、スムーズに洗剤を注ぐことができた。
また、フィルムの内面に付着してパウチ内に残留した洗剤は殆どなかった。
一方、比較例2の洗剤入りパウチでは洗剤の粘度が1000mPa・sと大きかったために洗剤の流動性が悪く、洗剤をスムーズに注ぐことができず、洗剤がフィルムの内面に付着してパウチ内に残留してしまった。
【0068】
(泡立ち性の評価)
比較例3、参考例1及び実施例1の洗剤入りパウチを振って洗剤入りパウチ内の洗剤を泡立て、無地部が設けられている鋭角部を上に向けて1分間放置した。その後、洗剤入りパウチ内の泡の様子を観察した。
図11は、比較例3における洗剤入りパウチ内の泡の様子を示す写真であり、図12は参考例1における洗剤入りパウチ内の泡の様子を示す写真である。
【0069】
比較例3の洗剤入りパウチでは、図11に示すように細かい泡が発生して鋭角部近傍に集まっていた。
そこで、鋭角部近傍に付着していた細かい泡を含む洗剤を手でしごいて洗剤の液中へ移動させることを試みたが、細かい泡が鋭角部近傍に向けて再度上昇して鋭角部近傍に洗剤が残留した状態となった。
比較例3で使用した洗剤はその粘度が12.5mPa・s以下と低いため、細かい泡が鋭角部近傍に残留したと考えられる。
この状態で鋭角部近傍の無地部を引き裂くと、洗剤が少量飛び散って作業者の手に付着した。
【0070】
参考例1の洗剤入りパウチでは、図12に示すように泡が鋭角部近傍に集まることはなく、泡は洗剤の液中及び液面に保持されていた。
実施例1の洗剤入りパウチでも泡の発生の様子は同様であった。
また、参考例1及び実施例1の洗剤入りパウチでは、鋭角部近傍に付着していた洗剤を手でしごいて洗剤の液中へ移動させることによって、鋭角部近傍に洗剤が殆ど残留していない状態とすることができた。
この状態で鋭角部近傍の無地部を引き裂くと、洗剤が飛び散ることがなく、作業者の手に洗剤が付着することもなかった。
【0071】
このように、本発明のパウチに洗剤が封入された洗剤入りパウチでは、鋭角部近傍に無地部が設けられているため、ノッチを始点として無地部を引き裂くことによって作業者の望む方向にフィルムを引き裂くことができた。
また、本発明のパウチに洗剤が封入された洗剤入りパウチにおいて、洗剤の粘度が30〜700mPa・sの範囲内であると、鋭角部近傍に洗剤が殆ど残留しないために無地部の引き裂きによって洗剤が飛び散ることを防止することができた。また、洗剤をスムーズに洗剤容器内に注ぐことができた。
すなわち、本発明の洗剤入りパウチは、パウチに封入された洗剤が作業者の手に付着することなく洗剤を注ぐことに適していた。
【符号の説明】
【0072】
1 洗剤入りパウチ
2 洗剤
10、110 パウチ
11、111、211、311 シール部(トップシール部)
12、112 シール部(ボトムシール部)
14、114、214、314 印刷部
15、115、215、315 無地部
16、116、216、316 ノッチ
20、120、220、320 鋭角部
60 プラスチックフィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体包装用のプラスチックフィルム製袋状パウチであって、
前記パウチを平面視した形状は、鋭角部を有する多角形状であり、
前記鋭角部を構成する2辺のうちの少なくとも一方の辺には、ヒートシール加工されたシール部が設けられており、
前記鋭角部近傍には、印刷処理がされていない無地部が設けられていることを特徴とする、液体包装用のパウチ。
【請求項2】
前記無地部は、前記パウチを平面視した形状において、前記シール部が設けられた前記一方の辺上の1点を始点とし、前記鋭角部を構成する2辺のうちの他方の辺上の1点を終点とする連続した領域に設けられている請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記無地部は、前記パウチを平面視した形状において、前記鋭角部を一つの頂点とした面積40cm2以下の直角三角形内に設けられている請求項1又は2に記載のパウチ。
【請求項4】
前記パウチを平面視した形状において、前記無地部は、前記鋭角部を一つの頂点とし、前記シール部が設けられた前記一方の辺を斜辺とした面積40cm2以下の直角三角形内に設けられている請求項3に記載のパウチ。
【請求項5】
前記シール部にノッチが設けられている請求項1〜4のいずれかに記載のパウチ。
【請求項6】
前記ノッチは前記シール部が設けられた前記一方の辺に対し直角に形成されている請求項1〜5のいずれかに記載のパウチ。
【請求項7】
前記ノッチを延長した仮想線を、前記鋭角部を構成する2辺のうちの他方の辺と交わる位置まで引いた際に、前記無地部は、前記ノッチ及び前記仮想線の少なくとも両側5mmずつの領域に設けられている請求項5又は6に記載のパウチ。
【請求項8】
前記パウチを平面視した形状が、一つの鋭角部、一つの鈍角部、及び、二つの直角部を有する台形状である請求項1〜7のいずれかに記載のパウチ。
【請求項9】
前記パウチを平面視した形状が、平行四辺形状である請求項1〜7のいずれかに記載のパウチ。
【請求項10】
前記シール部と一辺を隔てた反対側の辺にもシール部が設けられている請求項8又は9に記載のパウチ。
【請求項11】
前記鋭角部の角度が45〜75°である請求項1〜10のいずれかに記載のパウチ。
【請求項12】
印刷処理がされた印刷部を有する請求項1〜11のいずれかに記載のパウチ。
【請求項13】
前記印刷処理の方法がグラビア印刷である請求項12に記載のパウチ。
【請求項14】
前記プラスチックフィルムは、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる単層フィルム、又は、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうちの1種類又は複数種類からなる多層フィルムである請求項1〜13のいずれかに記載のパウチ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載されたパウチ内に洗剤が封入されており、
前記洗剤の20℃における粘度が30〜700mPa・sであることを特徴とする洗剤入りパウチ。
【請求項16】
前記洗剤のpHが8〜14である請求項15に記載の洗剤入りパウチ。
【請求項17】
前記洗剤の充填量は、前記パウチの内容積の70%以下である請求項15又は16に記載の洗剤入りパウチ。
【請求項18】
前記洗剤は、界面活性剤と、溶剤と、アルカリ成分とを含む請求項15〜17のいずれかに記載の洗剤入りパウチ。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれかに記載の洗剤入りパウチの製造方法であって、
印刷処理がされていない無地部が設けられているプラスチックフィルムを準備する工程と、
前記プラスチックフィルムを筒状に巻いてヒートシール加工することによって、両端に開口部を有するプラスチックフィルムの筒状体とする工程と、
前記プラスチックフィルムの筒状体の一端の開口部をヒートシール加工することによってボトムシール部を設ける工程と、
前記プラスチックフィルムの筒状体の中に洗剤を充填する工程と、
前記プラスチックフィルムの筒状体の他端の開口部をヒートシール加工することによってトップシール部を設けるとともに前記洗剤を密封する工程と、
前記プラスチックフィルムの筒状体を前記トップシール部の外側で切断する工程と、を有し、
前記ボトムシール部又は前記トップシール部が、前記鋭角部を構成する2辺のうちの少なくとも一方の辺となっており、
前記プラスチックフィルムにおいて無地部を設ける位置、前記ボトムシール部又は前記トップシール部を設ける位置、及び、前記プラスチックフィルムを切断する位置のそれぞれを、前記無地部が前記鋭角部近傍に位置するように調整することを特徴とする、洗剤入りパウチの製造方法。
【請求項1】
液体包装用のプラスチックフィルム製袋状パウチであって、
前記パウチを平面視した形状は、鋭角部を有する多角形状であり、
前記鋭角部を構成する2辺のうちの少なくとも一方の辺には、ヒートシール加工されたシール部が設けられており、
前記鋭角部近傍には、印刷処理がされていない無地部が設けられていることを特徴とする、液体包装用のパウチ。
【請求項2】
前記無地部は、前記パウチを平面視した形状において、前記シール部が設けられた前記一方の辺上の1点を始点とし、前記鋭角部を構成する2辺のうちの他方の辺上の1点を終点とする連続した領域に設けられている請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記無地部は、前記パウチを平面視した形状において、前記鋭角部を一つの頂点とした面積40cm2以下の直角三角形内に設けられている請求項1又は2に記載のパウチ。
【請求項4】
前記パウチを平面視した形状において、前記無地部は、前記鋭角部を一つの頂点とし、前記シール部が設けられた前記一方の辺を斜辺とした面積40cm2以下の直角三角形内に設けられている請求項3に記載のパウチ。
【請求項5】
前記シール部にノッチが設けられている請求項1〜4のいずれかに記載のパウチ。
【請求項6】
前記ノッチは前記シール部が設けられた前記一方の辺に対し直角に形成されている請求項1〜5のいずれかに記載のパウチ。
【請求項7】
前記ノッチを延長した仮想線を、前記鋭角部を構成する2辺のうちの他方の辺と交わる位置まで引いた際に、前記無地部は、前記ノッチ及び前記仮想線の少なくとも両側5mmずつの領域に設けられている請求項5又は6に記載のパウチ。
【請求項8】
前記パウチを平面視した形状が、一つの鋭角部、一つの鈍角部、及び、二つの直角部を有する台形状である請求項1〜7のいずれかに記載のパウチ。
【請求項9】
前記パウチを平面視した形状が、平行四辺形状である請求項1〜7のいずれかに記載のパウチ。
【請求項10】
前記シール部と一辺を隔てた反対側の辺にもシール部が設けられている請求項8又は9に記載のパウチ。
【請求項11】
前記鋭角部の角度が45〜75°である請求項1〜10のいずれかに記載のパウチ。
【請求項12】
印刷処理がされた印刷部を有する請求項1〜11のいずれかに記載のパウチ。
【請求項13】
前記印刷処理の方法がグラビア印刷である請求項12に記載のパウチ。
【請求項14】
前記プラスチックフィルムは、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる単層フィルム、又は、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうちの1種類又は複数種類からなる多層フィルムである請求項1〜13のいずれかに記載のパウチ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載されたパウチ内に洗剤が封入されており、
前記洗剤の20℃における粘度が30〜700mPa・sであることを特徴とする洗剤入りパウチ。
【請求項16】
前記洗剤のpHが8〜14である請求項15に記載の洗剤入りパウチ。
【請求項17】
前記洗剤の充填量は、前記パウチの内容積の70%以下である請求項15又は16に記載の洗剤入りパウチ。
【請求項18】
前記洗剤は、界面活性剤と、溶剤と、アルカリ成分とを含む請求項15〜17のいずれかに記載の洗剤入りパウチ。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれかに記載の洗剤入りパウチの製造方法であって、
印刷処理がされていない無地部が設けられているプラスチックフィルムを準備する工程と、
前記プラスチックフィルムを筒状に巻いてヒートシール加工することによって、両端に開口部を有するプラスチックフィルムの筒状体とする工程と、
前記プラスチックフィルムの筒状体の一端の開口部をヒートシール加工することによってボトムシール部を設ける工程と、
前記プラスチックフィルムの筒状体の中に洗剤を充填する工程と、
前記プラスチックフィルムの筒状体の他端の開口部をヒートシール加工することによってトップシール部を設けるとともに前記洗剤を密封する工程と、
前記プラスチックフィルムの筒状体を前記トップシール部の外側で切断する工程と、を有し、
前記ボトムシール部又は前記トップシール部が、前記鋭角部を構成する2辺のうちの少なくとも一方の辺となっており、
前記プラスチックフィルムにおいて無地部を設ける位置、前記ボトムシール部又は前記トップシール部を設ける位置、及び、前記プラスチックフィルムを切断する位置のそれぞれを、前記無地部が前記鋭角部近傍に位置するように調整することを特徴とする、洗剤入りパウチの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−79529(P2011−79529A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230739(P2009−230739)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000190736)株式会社ニイタカ (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000190736)株式会社ニイタカ (33)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]