説明

パケット伝送システム、障害回復方法及びプログラム

【課題】複数のパケット伝送パスで同時に障害が発生している状態でも、高速にパケット伝送パスの障害を回復する方法を提供する。
【解決手段】本発明のパケット伝送網の障害回復方法は、現用パケット伝送パスの終端ノードが、障害が発生していない場合には、1:1転送モードで受信パケットを転送する。終端ノードが、障害を検出した場合には、終端ノードが障害通知情報をブロードキャストで各ノードへ送信する。障害通知情報を受信した終端ノードは、1:1転送モードから1+1転送モードに転送モードを切り替える。1+1転送モードでパケットを受信している終端ノードが、複数のパケット伝送パスを経由して到着した受信パケットから、いずれか1つのパケット伝送パスからの受信パケットを選択して次のノードにパケットを転送する。終端ノードが、1+1転送モード解消パケットを送信後、転送モードを1+1転送モードから1:1転送モードに切り替えることによってパケット伝送網の障害を回復する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット伝送網の障害回復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現用パケット伝送パスと、障害発生時に利用される予備パケット伝送パスを備えたパケット伝送網において、障害の発生時に、パケット伝送網にできるだけ負荷を掛けずに、高速にパケット伝送パスの切り替え動作を行うことにより障害を回復し、パケット伝送網の信頼性を確保する技術が必要とされている。
【0003】
パケット伝送網における障害回復方式として、ITU−T G.8032勧告(非特許文献1)に、リニア障害回復方式が記載されている。リニア障害回復方式には、パケット伝送パスの終端ノードが、障害検出と障害回復を同時に行う障害検出/切替一括方式と、パケット伝送パスを中継するノードが障害を検出し、パケット伝送パスの終端ノードに障害通知を行って、その障害通知を受信したパケット伝送パスの終端ノードが切替を行う障害検出/切替分離方式とがある。一般的には、障害検出/切替分離方式が用いられている。
【0004】
従来技術の一例として、障害検出/切替分離方式について説明する。図1は、従来技術の障害検出/切替分離方式を説明するためのパケット伝送網100である。パケット伝送網100は、ノード11〜ノード18で構成されている。ノード11とノード12は、ノード17を介して接続されており、現用パケット伝送パス110が設定されている。また、ノード11とノード12は、ノード16を介しても接続されており、現用パケット伝送パス110に対する予備パケット伝送パス120が設定されている。ノード13とノード14は、直接接続されており、現用パケット伝送パス111が設定されている。また、ノード13とノード14は、ノード16を介しても接続されており、現用パケット伝送パス111に対する予備パケット伝送パス121が設定されている。
【0005】
パケット伝送網100に障害が無い場合は、現用パケット伝送パス110、現用パケット伝送パス111を利用してパケット伝送が行われているとする。各ノードは、隣接するノードに対して、continuity check message(以下、CCM)を定期的に送信している。各ノードは、定期的にCCMを受信することで隣接ノードの死活を管理している。
【0006】
パケット伝送網100で障害が発生した場合について説明する。ここでは、ノード12とノード17の間で障害が発生した場合を想定する。ノード12は、ノード17からのCCMを受信しないことにより、ノード12とノード17の間で障害が発生したことを検出する。同様に、ノード17は、ノード12からのCCMを受信しないことにより、ノード12とノード17の間で障害が発生したことを検出する。ノード17は、パケット伝送パス110の終端ノードであるノード11に対して、現用パケットパス110で障害が発生したことを示す障害通知情報を発行する。障害通知情報を受信したノード11と、ノード17からのCCMを受信しないことにより、現用パケットパス110の障害を検出したノード12は、現用パケット伝送パス110から予備パケット伝送パス120に切り替える。このようにして、パケット伝送パスの障害回復を実現している。
【0007】
次に、パケット伝送網100において、従来技術の障害検出/切替分離方式を実現しているノードの内部構成について説明する。各ノード11〜ノード18の内部構成は同一であるため、ノード11についてのみ説明する。
【0008】
図2A、図2Bは、図1のパケット伝送網100を構成するノード11のブロック図である。ノード11は、ラインカード201−1、ラインカード201−2及びパケットスイッチ230を備える。ラインカード201−1とラインカード201−2の内部構成は、同一のため、ラインカード201−1についてのみ説明する。
【0009】
ラインカード201−1は、外部受信部210−1、内部転送部211−1、内部受信部212−1、外部転送部213−1、FDB214−1(Forwarding Database)、現用/予備パス切替部215−1及びパス単位障害通知処理部216−1を備える。
【0010】
外部受信部210−1は、パケット受信部217−1及び障害検出部218−1を備える。内部転送部211−1は、多重部219−1及びパケット転送部220−1を備える。内部受信部212−1は、パケット受信部221−1及び障害通知情報処理部222−1を備える。外部転送部213−1は、パケット転送部223−1を備える。
【0011】
FDB214−1は、受信したパケットを転送する際に、次の転送先となるノードのMACアドレスや、転送するパケットの宛先となるネットワークへ接続されているポート等、パケットを転送するために必要な転送先の情報を所持しているテーブルである。
【0012】
現用/予備パス切替部215−1は、FDB214−1を参照して、受信したパケットを次の転送先ノードへ向けて転送する。現用パケット伝送パス、予備パケット伝送パスのどちらを利用して受信したパケットを転送するかの決定は、障害通知情報処理部222−1が、現用/予備パス切替部215−1に通知することによって行われる。
【0013】
パス単位障害通知処理部216−1は、FDB214−1を参照することにより、障害区間を経由するパケット伝送パスを特定して、パケット伝送パス単位に障害通知情報を生成する。パス単位障害通知処理部216−1は、作成した障害通知情報を多重部219−1に転送する。
【0014】
パケット受信部217−1は、ノード11の隣接ノードが、ノード11のラインカード201−1に搭載しているポートへ送信したパケットを受信する。
【0015】
障害検出部218−1は、ラインカード201−1に搭載されているポートに接続されているノードから、CCMを受信しているか確認する。ある一定の時間CCMの受信が確認できなかった場合には、障害検出部218−1は、障害が発生したことを検出し、パス単位障害通知処理部216−1に障害検出通知を送信する。障害検出部218−1は、CCM以外のパケットを現用/予備パス切替部215−1に転送する。
【0016】
多重部219−1は、現用/予備パス切替部215−1又はパス単位障害通知処理部216−1から転送されてきたパケットを多重する。
【0017】
パケット転送部220−1は、ラインカード201−1で受信したパケットを、次の転送先ノードが接続されているポートを搭載しているラインカードへ向けて転送する。
【0018】
パケット受信部221−1は、ノード11のいずれかのラインカードに搭載されているポートで受信したパケットを、パケットスイッチ230を介して受信する。
【0019】
障害通知情報処理部222−1は、受信した障害通知情報とFDB214−1を参照して、切替指示すべきパケット伝送パスを決定し、現用/予備パス切替部215−1に現用パケット伝送パスから予備パケット伝送パスへの切替を指示する。
【0020】
パケット転送部223−1は、ノード11に隣接する次の転送先のノードが接続されているポートから、ノード11の外部へパケットを送出する。
【0021】
パケットスイッチ230は、ノード11が、いずれかのラインカードに搭載されているポートで受信したパケットを、転送先のノードが接続されているポートが搭載されているラインカードに転送する。
【0022】
この従来技術の障害検出/切替分離方式では、パケット伝送パスを構成するノード間の障害が発生すると、パケット伝送パスの終端ノードが、障害が発生したパケット伝送パスを特定する情報を含む障害通知情報を作成する。この障害通知情報は、パケット伝送パスの終端ノードに向けて、ユニキャストで送信される。障害通知情報を受信した終端ノードは、現用パケット伝送パスから予備パケット伝送パスへパケット伝送パスを切り替える。この際、切替後の予備パケット伝送パスを構成するノード間でも、障害が発生している箇所がある場合がある。この場合、再度、切替後のパケット伝送パスの終端ノードに対して、障害通知情報が送信され、再度パケット伝送パスの切替を行う。このように、従来技術の障害検出/切替分離方式では、複数の箇所に同時に障害が発生すると、パケット伝送パスを逐次的に切り替えることになる場合が想定され、切替時間が延びてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector) G.8032 イーサネットリングプロテクション方式
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、複数のパケット伝送パスで同時に障害が発生している状態でも、高速にパケット伝送パスの障害を回復することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明のパケット伝送システムは、複数のノードがパケット伝送パスで接続され、パケット伝送パスは、障害が発生していない場合に使用される現用パケット伝送パス、又は、障害が発生した場合に使用される予備パケット伝送パスとして使用される。ノードは、受信したパケットを、受信したパケットの宛先ノードへ転送する際の転送モードを、1:1転送モード又は1+1転送モードに切り替える転送モード切替部と、転送モード切替部に、転送モードの切り替えを指示するパスコントローラと、パケット伝送網に障害が発生していない場合には、1:1転送モードで受信したパケットを転送するパケット転送部と、受信したパケットを、1+1転送モードで受信した場合には、いずれか1つの前記パケット伝送パスから受信したパケットを選択する受信パス選択部を備える。
【0026】
本発明の障害回復方法は、現用パケット伝送パスと予備パケット伝送パスとを備えるパケット伝送網において、現用パケット伝送パスの終端ノードのパケット転送部が、障害が発生していない場合には、1:1転送モードで受信パケットを転送するステップと、終端ノードの障害検出部が、現用パケット伝送パスを構成するノード間の障害を検出するステップと、終端ノードのパケット転送部が、障害通知情報をブロードキャストで各ノードへ送信するステップと、障害通知情報を受信したノードのパケット転送部が、隣接ノードに障害通知情報を転送するステップと、障害通知情報を受信した、いずれかのパケット伝送パスの終端ノードのパケット転送部が、1+1転送モード切替パケットを送信するステップと、1+1転送モード切替パケットを送信した終端ノードの転送モード切替部が、1:1転送モードから1+1転送モードに切り替えるステップと、1+1転送モードでパケットを受信している終端ノードの受信パス選択部が、複数のパケット伝送パスを経由して到着した受信パケットから、いずれか1つのパケット伝送パスからの受信パケットを選択するステップと、1+1転送モードでパケットを受信している終端ノードのパケット転送部が、受信パケットを選択するステップで選択したパケット伝送パスの受信パケットを、次の転送先ノードに転送するステップと、1+1転送モードでパケットを転送している終端ノードのパケット転送部が、1+1転送モード解消パケットを送信するステップと、1+1転送モード解消パケットを送信した終端ノードの転送モード切替部が、1+1転送モードから、いずれか1つのパケット伝送パスを利用した1:1転送モードに切り替えるステップとを含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数のパケット伝送パスで同時に障害が発生している状態でも、高速にパケット伝送パスの障害を回復することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、従来技術の障害検出/切替分離方式を説明するためのパケット伝送網100である。
【図2A】図2Aは、図1のパケット伝送網100を構成するノード11のブロック図である。
【図2B】図2Bは、図1のパケット伝送網100を構成するノード11のブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態における障害が発生していないパケット伝送網300である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態における障害発生時のパケット伝送網300である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態における1+1転送モード時のパケット伝送網300である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態における1+1転送モード解消時のパケット伝送網300である。
【図7A】図7Aは、図3のパケット伝送網300を構成するノードのブロック図である。
【図7B】図7Bは、図3のパケット伝送網300を構成するノードのブロック図である。
【図7C】図7Cは、図3のパケット伝送網300を構成するノードのブロック図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態におけるパケット転送モードの切替契機を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付図面を参照して、本発明の本発明の実施の形態による障害回復方法を以下に説明する。
【0030】
[構成の説明]
はじめに、本発明の実施の形態におけるノードの内部構成の説明を行う。図7A、図7B、図7Cは、図3のパケット伝送網300を構成するノードのブロック図である。
【0031】
ノードは、複数のラインカード501とパケットスイッチ530とから構成される。図7A、図7B、図7Cに記載のノードは、ラインカード501−1、ラインカード501−2及びラインカード501−3の3枚のラインカードで構成されているが、搭載するラインカードの枚数は、制御するパケット伝送網の規模、環境等に合わせて、適宜、変更されうる。
【0032】
ラインカード501−1は、外部受信部510−1、内部転送部511−1、内部受信部512−1、外部転送部513−1、FDB514−1、転送モード切替部515−1、ブロードキャスト障害通知処理部516−1及びパスコントローラ517−1を備える。
【0033】
外部受信部510−1は、パケット受信部518−1及び障害検出部519−1を備える。内部転送部511−1は、多重部520−1及びパケット転送部521−1を備える。内部受信部512−1は、パケット受信部522−1及びパス制御情報抽出部523−1を備える。外部転送部513−1は、受信パス選択部524−1及びパケット転送部525−1を備える。
【0034】
ラインカード501−2、ラインカード501−3については、ラインカード501−1と同様の構成であるため、以下、ラインカード501−1を例にして、各処理部の説明を行う。
【0035】
FDB514−1は、受信したパケットを転送する際に、次の転送先となるノードのMACアドレスや、転送するパケットの宛先となるネットワークへ接続されているポート等、パケットを転送するために必要な転送先の情報を所持しているテーブルである。
【0036】
転送モード切替部515−1は、ラインカード501−1で受信したパケットの転送モードを、1:1転送モード又は1+1転送モードへ切り替える。
【0037】
1:1転送モードとは、現用パケット伝送パス310、現用パケット伝送パス311を使用してパケットが転送され、予備パケット伝送パス320、予備パケット伝送パス321は、使用されていない場合の転送状態をいう。
【0038】
1+1転送モードとは、現用パケット伝送パス310、現用パケット伝送パス311に加えて、予備パケット伝送パス320、予備パケット伝送パス321にもパケットが転送されている転送状態をいう。1+1転送モードでは、現用パケット伝送パス310と、対応する予備パケット伝送パス320には同一のパケットが転送される。同様に、現用パケット伝送パス311と、対応する予備パケット伝送パス321には同一のパケットが転送される。
【0039】
転送モード切替部515−1は、FDB514−1を参照して、ラインカード501−1で受信したパケットを、次の転送先ノードへ送信するために、次の転送先ノードのMACアドレスや、次の転送先ノードが接続されているノード31のポートの番号等、パケットを転送するために必要となる情報を得る。転送モード切替部515−1は、転送モードが1:1転送モードの場合には、受信したパケットを現用パケット伝送パス又は予備パケット伝送パスから、いずれか1つのパケット伝送パスを使用して転送する。転送モード切替部515−1は、転送モードが1+1転送モードの場合には、受信したパケットを現用パケット伝送パスと、予備パケット伝送パスを使用して転送する。予備パケット伝送パスは、パケット伝送網の構成によっては、1つの現用パケット伝送パスに対して、複数の予備パケット伝送パスが対応する場合がある。
【0040】
転送モード切替部515−1は、1:1転送モードの場合には、FDB514−1を参照して、現用パケット伝送パスを使用した場合の次の転送先ノードの情報、又は予備パケット伝送パスを使用した場合の次の転送先ノードの情報を得る。
【0041】
転送モード切替部515−1は、1+1転送モードの場合には、FDB514−1を参照して、現用パケット伝送パスを使用した場合の次の転送先ノードの情報と、予備パケット伝送パスを使用した場合の次の転送先ノードの情報を得る。
【0042】
転送モード切替部515−1は、1:1転送モードから1+1転送モードに切り替える際には、1+1転送モード切替パケットを現用パケット伝送パスと、予備パケット伝送パスに送信する。逆に、1+1転送モードから1:1転送モードに切り替える際には、転送モード切替部515−1は、1+1転送モード解消パケットを現用パケット伝送パスと予備パケット伝送パスに転送する。転送モード切替部515−1に対する1+1転送モード、1:1転送モード切替の指示制御はパスコントローラ517−1によって行われる。
【0043】
ブロードキャスト障害通知処理部516−1は、障害検出部519−1から障害の発生通知を受信すると、ブロードキャストで送信される障害通知情報を作成する。障害通知情報は、現用パケット伝送パスで障害を検出したことを示す情報が含まれるが、障害が発生した現用パケット伝送パスを特定する情報は必須ではない。ブロードキャスト障害通知処理部516−1は、作成したブロードキャスト障害通知情報を多重部520−1に転送する。障害通知情報の送信は、障害が発生している間、定期的に送信する方法や、障害が発生した直後に数回送信する方法等が考えられる。
【0044】
パスコントローラ517−1は、転送モード切替部515−1に1+1転送モードへの切り替えを指示する。パスコントローラ517−1は、パス制御情報抽出部523−1からのパケット伝送パス選択情報を受信すると、予め決められた方法で一意のパケット伝送パスに決定し、決定したパケット伝送パスを識別する情報が含まれるパケット伝送パス選択合意情報を多重部520−1に転送する。パケット伝送パス選択情報には、使用するパケット伝送パスを選択するための情報が含まれる。例えば、パケット伝送パスのビットレートやパケットロス率等のパケット受信状態の情報が含まれる。
【0045】
また、パスコントローラ517−1には、受信パス選択部524−1で行ったパケット伝送パスの品質監視結果が転送される。
【0046】
パケット受信部518−1は、隣接ノードが、ラインカード501−1に搭載しているポートへ送信したパケットを受信する。
【0047】
障害検出部519−1は、ラインカード501−1に搭載されたポートに接続されている隣接ノードからCCMが受信されているか監視し、予め決められた時間内にCCMが到着しない場合には、障害が発生したことを検出する。障害検出部519−1は、障害の発生を検出すると、障害が発生したことをブロードキャスト障害通知処理部516−1へ通知する。
【0048】
多重部520−1は、ブロードキャスト障害通知処理部516−1、転送モード切替器515−1又はパスコントローラ517−1からのパケットを多重する。
【0049】
パケット転送部521−1は、ラインカード501−1で受信したパケットを、次の転送先ノードが接続されているポートを搭載しているラインカードへ向けて転送する。
【0050】
パケット受信部522−1は、ノードのいずれかのラインカードに搭載されているポートで受信したパケットを、パケットスイッチ530を介して受信する。
【0051】
パス制御情報抽出部523−1は、パケットスイッチ530から転送されてきたパケットのうち、障害通知情報、自インターフェースが切り替え対象となるパケット伝送パスのパケット伝送パス選択情報をパスコントローラ515−7に転送する。また、パス制御情報抽出部523−1は、CCMを生成し、隣接するノードに転送する。
【0052】
受信パス選択部524−1は、1+1転送モードで受信したパケットに対して、パケット伝送パスの品質監視を行うことにより、現用パケット伝送パス、又は予備パケット伝送パスのいずれか1つのパケット伝送パスから受信したパケットを選択する。受信パス選択部524−1は、ラインカード501−1から、選択した受信パケットを次の転送先ノードに向けて転送する。受信パス選択部524−1は、1:1転送モードで受信したパケットに対しては、受信したパケットの選択処理を行わずに、受信したパケットを次の転送先ノードに向けて転送する。受信したパケットの選択処理の詳細については、[動作方法の説明]で説明する。
【0053】
パケット転送部525−1は、次の転送先のノードが接続されているポートから、ノード外部へパケットを送出する。
【0054】
パケットスイッチ530は、パケットを受信したラインカードから、パケットを受け取ると、転送先のノードが接続されているポートが搭載されているラインカードにパケットを転送する。
【0055】
[動作方法の説明]
次に、本発明の実施の形態におけるパケット伝送網300の障害回復方法について説明する。
【0056】
まず、パケット伝送網300に障害が発生していない場合の通信状態について説明する。図3は、本発明の実施の形態における障害が発生していないパケット伝送網300である。パケット伝送網300は、ノード31〜ノード38で構成されている。ノード31とノード32は、ノード37を介して接続されており、現用パケット伝送パス310が設定されている。また、ノード31とノード32は、ノード36を介しても接続されており、現用パケット伝送パス310に対する予備パケット伝送パス320が設定されている。ノード33とノード34は、直接接続されており、現用パケット伝送パス311が設定されている。また、ノード33とノード34は、ノード36を介しても接続されており、現用パケット伝送パス311に対する予備パケット伝送パス321が設定されている。パケット伝送網300に障害が無い場合は、現用パケット伝送パス310、現用パケット伝送パス311を使用してパケット伝送が行われているとする。
【0057】
ノード31〜ノード38は、それぞれノードが、隣接ノードから定期的に送信されるCCMを受信し、隣接ノード間のパケット伝送パスの死活を監視している。
【0058】
パケット伝送網300に障害が発生していない場合においては、現用パケット伝送パス310、現用パケット伝送パス311を使用してパケットが転送され、予備パケット伝送パス320、予備パケット伝送パス321は、使用されていない(1:1転送モード)。
【0059】
はじめに、図3、図7A、図7B、図7Cを用いて、ノード31を例にして、1:1転送モード時の動作について説明する。例として、ラインカード501−1に搭載されたポートで受信したパケットを転送する場合について説明する。ラインカード501−2に搭載されているポートには、現用パケット伝送パス310を使用してパケットを転送する場合に、次の転送先ノードとなるノード37が接続されているとする。ラインカード501−3に搭載されているポートには、予備パケット伝送パス320を使用してパケットを転送する場合に、次の転送先ノードとなるノード36が接続されているとする。
【0060】
外部受信部510−1のパケット受信部518−1で受信したパケットは、障害検出部519−1を経由して、転送モード切替部515−1に転送される。転送状態が1:1転送モードであるため、転送モード切替部515−1は、現用パケット伝送パス310を使用した場合に次の転送先ノードとなるノード37のみにパケットを転送する。受信したパケットは、ノード31の内部で、多重部520−1、パケット転送部521−1、パケットスイッチ530、パケット受信部522−2、パス制御情報抽出部523−2、受信パス選択部524−2、パケット転送部525−2の順に転送され、ノード31からノード37へ向けて転送される。
【0061】
次に、パケット伝送網300に障害が発生した場合について説明する。パケット伝送網300に障害が発生した場合には、現用パケット伝送パス310、予備パケット伝送パス320の切替は、終端ノードとなるノード31とノード32が行う。同様に、現用パケット伝送パス311、予備パケット伝送パス321の切替は、終端ノードとなるノード33とノード34が行う。
【0062】
図4は、本発明の実施の形態における障害発生時のパケット伝送網300である。図4では、ノード32とノード37の間で障害が発生したことを想定している。ノード32は、ノード37からのCCMが、所定の時間内に受信できないため、ノード32とノード37の間で障害が発生したことを検出する。同様に、ノード37は、ノード32からのCCMが、所定の時間内に受信できないため、ノード32とノード37の間で障害が発生したことを検出する。
【0063】
ノード32とノード37は、障害を検出したため、障害通知情報を作成して、ブロードキャストで隣接ノードへ送信する。障害通知情報を受信したノード31〜ノード38は、隣接ノードに障害通知情報を転送する。障害通知情報を受信したノードが、既に障害通知情報を受信していた場合には、隣接ノードに障害通知情報を転送しない。
【0064】
障害通知情報を受信したノードが、いずれかのパケット伝送パスの終端ノードとなっている場合には、現用パケット伝送パスに加えて、予備パケット伝送パスにもパケット伝送を開始する。この動作により、現用パケット伝送パスと予備パケット伝送パスに同一のパケットが転送される(1+1転送モード)。図5は、本発明の実施の形態における1+1転送モード時のパケット伝送網300である。図5では、ノード31とノード32は、現用パケット伝送パス310の終端ノードとなっており、ノード33とノード34は、現用パケット伝送パス311の終端ノードとなっている。障害通知情報を受信したノード31とノード32は、現用パケット伝送パス310に加えて、予備パケット伝送パス320にもパケット伝送を開始する。同様に、障害通知情報を受信したノード33とノード34は、現用パケット伝送パス311に加えて、予備パケット伝送パス321にもパケット伝送を開始する。現用パケット伝送パス311では、障害が発生していないが、障害通知情報を受信したノード33とノード34は、ノード33とノード34の間の転送状態を1:1転送モードから1+1転送モードに切り替える。
【0065】
ノード31とノード32は、1+1転送モードに切り替わった後、現用パケット伝送パス310と予備パケット伝送パス320の品質監視を行う。品質監視は、該当のパケット伝送パスから受信するパケットのビットレート等を算出することにより行う。現用パケット伝送パス310は障害が発生しており、パケットを受信できないため、品質の高いパケット伝送パスは予備パケット伝送パス320となる。ノード31とノード32は、品質の高い予備パケット伝送パス320から受信したパケットを次の転送先のノードへ転送する。
【0066】
同様に、ノード33とノード34は、1+1転送モードに切り替わった後、現用パケット伝送パス311と予備パケット伝送パス321の品質監視を行う。現用パケット伝送パス311には障害が発生していないため、パケットの送受信が可能な状態にある。ノード31とノード32は、現用パケット伝送パスと予備パケット伝送パスのどちらも同様の品質で使用できる場合には、予備パケット伝送パスに切り替える必要性がないため、現用パケット伝送パス311を選択する。
【0067】
図6は、本発明の実施の形態における1+1転送モード解消時のパケット伝送路300である。ノード31とノード32は、受信したパケットの転送に使用するパケット伝送パスを予備パケット伝送パス320に決定した後、現用パケット伝送パス310を使用したパケットの転送を停止し、1+1転送モードから、予備パケット伝送パスを使用した1:1転送モードに移行する。ノード33とノード34は、受信したパケットの転送に使用するパケット伝送パスを現用パケット伝送パス311に決定した後、予備パケット伝送パス321を使用したパケットの転送を停止し、1+1転送モードから、現用パケット伝送パス311を使用した1:1転送モードに移行する。
【0068】
以上のように、本発明の実施の形態では、障害を検出したノードが障害通知情報を1つ作成して、ブロードキャストで他のノードへ送信する。障害通知情報を受信したノードが、いずれかのパケット伝送パスの終端ノードである場合には、パケット伝送パスの障害有無に関わらず、障害が発生したことを擬制して、一律に1+1転送モードに切り替える。その後、いずれか1つのパケット伝送パスを選択し、1+1転送モードから1:1転送モードに移行する。障害通知情報はパケット伝送パス単位に作成しないため、パケット伝送パスを特定する情報を処理する必要がなく、その処理量は従来よりも削減できるため、パケット伝送パスの帯域を圧迫する問題、障害通知情報の生成が遅延する問題等が発生しない。また、障害発生時、特に、複数のパケット伝送パスで同時に障害が発生した場合に、すべてのパケット伝送パスが一元的な動作となっている本実施形態における障害回復方法では、パケット伝送パスの障害回復時の処理遅延が発生しない。
【0069】
次に、パケット転送モードの切替契機の動作の詳細について説明する。図8は、本発明の実施の形態におけるパケット転送モードの切替契機の動作を説明するための図である。図8は、ノード33からノード34間の現用パケット伝送パス311と予備パケット伝送パス321へのパケット転送状態を示している。以下、ノード33からノード34への片方向のパケットの転送を例にして、パケット転送モードの切替契機の動作について説明する。
【0070】
ノード33は、障害通知情報を隣接ノードから受信すると、1+1転送モード切替パケットを現用パケット伝送パス311と予備パケット伝送パス321に同時に送信する。その後、現用パケット伝送パス311と予備パケット伝送パス321にノード33で受信したパケットを同時に転送し、1+1転送モードに移行する。
【0071】
図8(a)は、ノード33が、1+1転送モード切替パケット410をノード34へ送信する前後の動作を説明するための図である。図8(a)では、ノード33とノード34の間のパケット転送状態は、現用パケット伝送パス311を使用した1:1転送モードから、1+1転送モード切替パケットを送信後に、現用パケット伝送パス311と予備パケット伝送パス321を使用した1+1転送モードに移行している。
【0072】
図8(b)は、ノード34が、1+1転送モード切替パケット410を受信した際の動作を説明するための図である。ノード33とノード34の間のパケット転送状態は、パケット伝送パス311とパケット伝送パス321を使用した1:1転送モードとなっている。ノード34は、1+1転送モード切替パケットを受信すると、現用パケット伝送パス311と予備パケット伝送パス321の品質監視を開始する。品質監視は、ビットレート等を計算することにより行う。品質の高い方のパケット伝送パスから受信したパケットを、次の転送先ノードに向けて転送する。ノード34は、品質監視中に受信したパケットを、品質監視が終わるまでは、次の転送先ノードへ転送せず、パケット転送用のバッファ等に保持しておく。
【0073】
図8(c)は、ノード33が、1+1転送モード解消パケット411をノード34へ送信する前後の動作を説明するための図である。図8(c)では、ノード33とノード34の間のパケット転送状態は、現用パケット伝送パス311と予備パケット伝送パス321を使用した1+1転送モードから、1+1転送モード解消パケットを送信後に、現用パケット伝送パス311を使用した1:1転送モードに移行している。
【0074】
1:1転送モードで使用するパケット伝送パスの決定は、ノード33とノード34が、パケット伝送パス選択情報の交換によって行った結果に基づいて決定しても良いし、図8(b)で説明した1+1転送モード中の品質監視の結果、決定されたパケット伝送パスに決定しても良い。また、1+1転送モード切替パケットを一番早く受信させたパケット伝送パスを優先する、現用パケット伝送パスを優先する、予備パケット伝送パスを優先する等のパケット伝送パス選択方法も考えられる。
【0075】
図8(c)では、1:1転送モードで使用するパケット伝送パスが、1+1転送モードに移行する前に使用していたパケット伝送パスである現用パケット伝送パス311に決定されている。このような場合は、現用パケット伝送パスに障害が発生していない状態で、ノード33が、障害通知情報を受信した場合が想定される。現用パケット伝送パスに障害が発生していない等の理由で、ノード33とノード34で、現用パケット伝送パスが相互で品質高と判断された場合は、予備パケット伝送パスへの不必要な切替動作を防ぐため、現用パケット伝送パスを使用することが望ましい。
【0076】
1+1転送モード解消パケットの送信契機は、1+1転送モード移行後、一定時間経過後とする方法や、受信側の終端ノードが1+1転送モード中の品質監視によって、パケット伝送パスを決定後、送信側ノードに対して選択を完了した旨を表すパケットを送信し、このパケットの受信契機とする方法等が考えられる。
【0077】
本発明の実施の形態では、送信側のノードが、1+1転送モード解消パケット送信契機にパケット転送モードを1+1転送モードから1:1転送モードに切り替えている。そのため、1+1転送モード中の品質監視により選択したパケット伝送パスと、1:1転送モードへ移行時に対向ノード間で選択合意したパケット伝送パスが異なる場合であっても、パケット伝送パスの切替で、同一パケットの二重送信や、パケット送信順序の逆転や、パケットロス等の問題を防ぐことができる。
【0078】
次に、本発明の実施の形態における障害発生時のノードの内部動作について説明する。まず、自ノードが障害を検出した場合について説明する。例として、図4、図7A、図7B、図7Cを用いて、ノード32とノード37の間で障害が発生した場合に、ノード31とノード32の間のパケット伝送パスの転送モードが切り替わる場合についてのノード32の内部動作について説明する。ノード32と他のノードとの接続状態は、ノード32のラインカード501−1に搭載されているポートがノード36と接続され、ノード32のラインカード501−2に搭載されているポートがノード37と接続され、ノード32のラインカード501−3に搭載されているポートがノード38と接続されているものとする。
【0079】
ノード32の障害検出部519−2は、予め決められた時間内に、ノード37からのCCMの受信が確認できないため、障害が発生したことを検出する。ノード32の障害検出部519−2は、ブロードキャスト障害通知処理部516−2に障害検出通知を送信する。
【0080】
ブロードキャスト障害通知処理部516−2は、障害通知情報を1つ作成する。ブロードキャスト障害通知処理部516−2は、障害通知情報を多重部520−2、パケット転送部521−2を経由させて、パケットスイッチ530へ転送する。
【0081】
パケットスイッチ530は、ノード32が搭載しているすべてのラインカード501−1〜501−3に障害通知情報を転送する。パケットスイッチ530から障害通知情報を受信した際の動作は、どのラインカードでも同様であるため、以下、ラインカード501−3を例にして説明する。
【0082】
ラインカード501−3は、障害通知情報を、内部受信部512−3のパケット受信部522−3で受信する。パケット受信部522−3は、障害通知情報をパス制御情報抽出部523−3に転送する。パス制御情報抽出部523−3は、パスコントローラ517−3と受信パス選択部524−3に、障害通知情報を転送する。受信パス選択部524−3は、障害通知情報をパケット転送部525−3に転送する。パケット転送部525−3は、障害通知情報を隣接ノードへ向けて送信する。
【0083】
パスコントローラ517−3は、パス制御情報検出部523−3から障害通知情報を受信すると、転送モード切替部515−3に対して、転送モードを1+1転送モードに切り替える指示を行う。
【0084】
転送モード切替部515−3は、パスコントローラ517−3から切替指示を受けると、1+1転送モード切替パケットを生成する。転送モード切替部515−3は、FDB514−3を参照して、ノード32のラインカード501−3に搭載されているポートと接続されているすべてのパケット伝送パスを検出する。転送モード切替部515−3は、検出したパケット伝送パスの終端ノードに1+1転送モード切替パケットを転送するため、内部転送部511−3の多重部520−3へ1+1転送モード切替パケットを転送する。その後、転送モード切替部515−3は、ラインカード501−3に搭載されているポートで受信したパケットを複製し、現用パケット伝送パスと、予備パケット伝送パスを使用して、受信したパケットを転送する。図4の例では、ノード32において、ノード38から受信したパケットをノード31へ送信する場合には、外部受信部510−3のパケット受信部518−3で受信したパケットは、転送モード切替部515−3で複製される。転送モード切替部515−3は、FDB514−3を参照して、パケット伝送パス310とパケット伝送パス320の両方を使用して、ノード31へパケットを送信する。
【0085】
次に、1+1転送モードで受信したパケットを次の転送先ノードへ転送する場合について説明する。ノード32において、現用パケット伝送パス310と予備パケット伝送パス320から受信したパケットをノード38へ転送する場合を例にして説明する。1+1転送モードに切り替わった後、ノード32の受信パス選択部524−3は、現用パケット伝送パス310と、予備パケット伝送パス320から受信したパケット状態の品質監視を行う。現用パケット伝送パス310は障害が発生しており、パケットを受信できないため、品質の高いパケット伝送パスは予備パケット伝送パス320となる。受信パス選択部524−3は、予備パケット伝送パス320から受信したパケットを次の転送先ノードへ転送する。
【0086】
次に、1+1転送モードから1:1転送モードへ転送モードを切り替える場合について説明する。ノード32は、ノード31からパケット伝送パス選択情報を受信する。パケット伝送パス選択情報は、現用パケット伝送パス310、予備パケット伝送パス320のいずれか一方又は両方のパケット伝送パスを使用して転送される。図4の例では、現用パケット伝送パス310で障害が発生しているため、ノード32が、予備パケット伝送パス320からパケット伝送パス選択情報を受信した場合について説明する。ノード32は、ラインカード501−1のパス制御情報抽出部523−1で、パケット伝送パス選択情報を抽出し、パスコントローラ517−1へ転送する。パスコントローラ517−1は、パケット伝送パス選択情報を参照して、パケット伝送パスを一意に決定する。パスコントローラ517−1は、一意に決定したパケット伝送パスを識別する情報が含まれるパケット伝送パス選択合意情報を多重部520−1へ転送し、ノード31へ向けて送信する。その後、転送モード切替部515−1に1+1転送モードから1:1転送モードへの切替を指示する。
【0087】
転送モード切替部515−1は、1+1転送モード解消パケットを現用パケット伝送パス310、予備パケット伝送パス320に転送する。転送モード切替部515−1は、1+1転送モード解消パケット送信後は、一意に決定した予備パケット伝送パス320のみにパケットを送信する。
【0088】
以上が自ノードで障害を検出した場合の、ノードの内部動作の説明である。
【0089】
次に、他ノードが障害を検出し、他ノードが作成した障害通知情報を受信した場合の動作について説明する。例えば、ノード31のラインカード501−2から障害通知情報を受信した場合は、ラインカード501−2で受信した障害通知情報は、パケットスイッチ530を介して、ラインカード501−1〜501−3に転送される。以降の処理は、自ノードで障害を検出して、障害通知情報を生成した場合の処理と同様となる。
【0090】
以上のように、本実施形態では、パケット伝送網300のノードが障害を検出した場合に、障害を検出したノードが、個別のパケット伝送パス単位に障害通知情報を生成しないため、各パケット伝送パスのノードごとに、個別の障害通知情報を処理することがない。本実施形態では、障害を検出したノードが、ブロードキャスト向けの障害通知情報を1つ生成する。障害通知情報を受信したパケット伝送パスの終端ノードは、パケット伝送パスに障害が発生していない場合でも、障害が発生したと擬制して、一律に1+1転送モードへ移行し、その後、1:1転送モードへ移行する。本実施形態の障害回復方法では、複数のパケット伝送パスに同時に障害が発生した場合でも、切替後のパケット伝送パスで障害を検出することによるパケット伝送パスの逐次的な切り替えが発生することがない。そのため、切替時間が延びることがなく、高速にパケット伝送パスの障害を回復することができる。
【0091】
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0092】
11〜18 ノード
100 パケット伝送網
110,111 現用パケット伝送パス
120,121 予備パケット伝送パス
201−1,2 ラインカード
210−1,2 外部受信部
211−1,2 内部転送部
212−1,2 内部受信部
213−1,2 外部転送部
214−1,2 FDB(Forwarding Database)
215−1,2 現用/予備パス切替部
216−1,2 パス単位障害通知処理部
217−1,2 パケット受信部
218−1,2 障害検出部
219−1,2 多重部
220−1,2 パケット転送部
221−1,2 パケット受信部
222−1,2 障害通知情報処理部
223−1,2 パケット転送部
230 パケットスイッチ
31〜38 ノード
300 パケット伝送網
310,311 現用パケット伝送パス
320,321 予備パケット伝送パス
310−1〜8 障害通知情報
410 1+1転送モード切替パケット
411 1+1転送モード解消パケット
501−1〜3 ラインカード
510−1〜3 外部受信部
511−1〜3 内部転送部
512−1〜3 内部受信部
513−1〜3 外部転送部
514−1〜3 FDB(Forwarding Database)
515−1〜3 転送モード切替部
516−1〜3 ブロードキャスト障害通知処理部
517−1〜3 パスコントローラ
518−1〜3 パケット受信部
519−1〜3 障害検出部
520−1〜3 多重部
521−1〜3 パケット転送部
522−1〜3 パケット受信部
523−1〜3 パス制御情報抽出部
524−1〜3 受信パス選択部
525−1〜3 パケット転送部
530 パケットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノードが、パケット伝送パスで接続されたパケット伝送システムにおいて、ここで、前記パケット伝送パスは、障害が発生していない場合に使用される現用パケット伝送パス、又は、障害が発生した場合に使用される予備パケット伝送パスとして使用され、
前記ノードは、受信したパケットを、前記受信したパケットの宛先ノードへ転送する際の転送モードを、1:1転送モード又は1+1転送モードに切り替える転送モード切替部と、ここで、前記1:1転送モードとは、現用パケット伝送パスを使用してパケットを転送し、予備パケット伝送パスは使用しない転送状態を示し、前記1+1転送モードとは、同一のパケットを、現用パケット伝送パスと予備パケット伝送パスを使用して転送する転送状態を示し、
前記転送モード切替部に、前記転送モードの切り替えを指示するパスコントローラと、
前記パケット伝送網に障害が発生していない場合には、前記1:1転送モードで前記受信したパケットを転送するパケット転送部と、
前記受信したパケットを、前記1+1転送モードで受信した場合には、いずれか1つの前記パケット伝送パスから受信したパケットを選択する受信パス選択部
を備えるパケット伝送システム。
【請求項2】
請求項1に記載のパケット伝送システムにおいて、
前記ノードは、隣接ノードと自ノード間の障害を検出する障害検出部と、
前記障害検出部から障害検出通知を受けて、宛先をブロードキャストに設定した障害通知情報のパケットを生成するブロードキャスト障害通知処理部と、ここで、障害通知情報は、現用パケット伝送パスで前記障害を検出したことを示す情報を含み、
前記受信したパケットから、前記障害通知情報のパケットを抽出して前記パスコントローラへ通知するパス制御情報抽出部を更に備え、
前記パケット転送部は、前記障害通知情報のパケットを転送する機能を更に備え、
前記パスコントローラは、前記障害通知情報を受信すると、自ノードが終端ノードとなる前記現用パケット伝送パスでは障害を検出していない場合であっても、前記転送モード切替部に、前記パケットの転送状態を1+1転送モードへ切り替えるように指示する機能を更に備える
パケット伝送システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパケット伝送システムにおいて、
前記ノードの前記パスコントローラは、
前記1+1転送モードから前記1:1転送モードへ転送モードを切り替える際に、前記パケット伝送パスの対向の終端ノードから、前記現用パケット伝送パスのパケット受信状態と前記予備パケット伝送パスのパケット受信状態を含むパケット伝送パス選択情報を含むパケットを受信し、
前記現用パケット伝送パスのパケット受信状態と前記予備パケット伝送パスのパケット受信状態を比較し、
前記比較した結果に基づいて、前記1:1転送モードで使用するパケット伝送パスを決定する機能を更に備える
請求項1又は2に記載のパケット伝送システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパケット伝送システムにおいて、
前記ノードの前記パスコントローラは、
前記1+1転送モードから前記1:1転送モードへ転送モードを切り替える際に、現用パケット伝送パスが選択可能であれば、現用パケット伝送パスを優先して選択する機能を更に備える
パケット伝送システム。
【請求項5】
障害が発生していない場合に使用される現用パケット伝送パスと、
障害が発生した場合に使用される複数の予備パケット伝送パスと
を備えるパケット伝送網において、
前記現用パケット伝送パスの終端ノードのパケット転送部が、障害が発生していない場合には、1:1転送モードで受信パケットを転送するステップと、ここで、前記1:1転送モードは、前記終端ノードが、現用パケット伝送パスのみを使用して前記受信パケットを転送する転送状態を示し、
前記終端ノードの障害検出部が、前記現用パケット伝送パスを構成するノード間の障害を検出するステップと、
前記終端ノードのパケット転送部が、障害通知情報を含むパケットをブロードキャストで各ノードへ送信するステップと、ここで、前記障害通知情報は、現用パケット伝送パスで前記障害を検出したことを示す情報を含み、
前記障害通知情報を受信したノードのパケット転送部が、隣接ノードに前記障害通知情報を転送するステップと、
前記障害通知情報を受信した、いずれかのパケット伝送パスの終端ノードのパケット転送部が、1+1転送モード切替パケットを送信するステップと、
前記1+1転送モード切替パケットを送信した前記終端ノードの転送モード切替部が、前記1:1転送モードから1+1転送モードに切り替えるステップと、ここで、前記1+1転送モードは、前記ノードが、前記現用パケット伝送パスと、前記複数の予備パケット伝送パスを使用して、受信したパケットを転送する転送状態を示し、
前記1+1転送モードでパケットを受信している前記終端ノードの受信パス選択部が、前記現用パケット伝送パスと、前記複数の予備パケット伝送パスを経由して到着した受信パケットから、いずれか1つのパケット伝送パスからの受信パケットを選択するステップと、
前記1+1転送モードでパケットを受信している前記終端ノードのパケット転送部が、前期受信パケットを選択するステップで選択した前記パケット伝送パスの前記受信パケットを、次の転送先ノードに転送するステップと
を含む障害回復方法。
【請求項6】
前記1+1転送モードでパケットを転送している前記終端ノードのパケット転送部が、1+1転送モード解消パケットを送信するステップと、
前記1+1転送モード解消パケットを送信した前記終端ノードの転送モード切替部が、前記1+1転送モードから、前記いずれか1つのパケット伝送パスを使用した前記1:1転送モードに切り替えるステップと
を更に含む請求項5に記載の障害回復方法。
【請求項7】
前記障害通知情報を転送するステップは、前記障害通知情報を受信したノードが、既に前記障害通知情報を受信していた場合には、隣接ノードに前記障害通知情報を転送しない
請求項5又は6に記載の障害回復方法。
【請求項8】
前記いずれか1つのパケット伝送パスからの受信パケットを選択するステップは、
最も早く前記1+1転送モード切替パケットを受信させたパケット伝送パスを選択する
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の障害回復方法。
【請求項9】
前記いずれか1つのパケット伝送パスからの受信パケットを選択するステップは、
前記受信パケットが使用した前記現用パケット伝送パスと前記複数の予備パケット伝送パス、それぞれの品質監視を行って、最も品質の高いいずれか1つのパケット伝送パスを選択する
請求項5乃至8のいずれか1項に記載の障害回復方法。
【請求項10】
請求項5乃至9のいずれか1項に記載の障害回復方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−49968(P2012−49968A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192255(P2010−192255)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】