説明

パケット伝送システムおよびパケット伝送ネットワークの監視制御方法

【課題】パケット伝送ネットワークにおいて、監視制御信号を好適に伝送する。
【解決手段】パケット伝送システム10は、パケット伝送ネットワークを構成する複数のパケット伝送装置A〜Gと、監視制御信号を用いてパケット伝送装置A〜Gの監視制御を行う監視制御装置12とを備える。遠隔監視制御装置12は、パケット伝送装置A〜Gを制御して、パケット伝送ネットワークを伝送される監視制御信号のデータ量に応じて監視制御信号用の帯域を動的に変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット伝送ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来のSDH(Synchronous Digital Hierarchy)ネットワークとともに、パケット伝送ネットワーク(PTN:Packet Transport Network)が、幹線系伝送網にも適用されてきている。
【0003】
従来のSDHでは、DCC(Data Communication Channel)という監視制御用の信号により同一ネットワーク内の装置を監視・制御するとともに、ファイルのダウンロード・転送を行ってきた。SDHにおけるDCC帯域は、主信号データとは別の波長を使用しており、WDM系では150Mbps程度のDCC帯域を有する装置が一般的であった。
【0004】
一方、PTNにおいてSDHと同等の監視制御用の帯域(以下、適宜「監視制御信号帯域」と呼ぶ)を確保しようとすると、波長多重システムではないことから、主信号用の帯域(以下、適宜「主信号用帯域」と呼ぶ)を削る必要が生じる。現状では500kbps〜1Mbps程度の帯域が監視制御用として割り当てられるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。これは主信号帯域を浪費せず、且つ、装置を監視・制御するうえで最低限必要な帯域である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−239312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、PTNにおいては、バックアップデータなどファイルサイズの大きな監視制御用データを監視制御信号を用いて転送する際には、その帯域がボトルネックとなり、データ転送時間が従来のSDHに比して大幅にかかるという問題がある。以下、この点に関してより詳細に説明する。
【0007】
図1は、監視制御信号帯域を説明するための図である。図1に示すパケット伝送システム1は、リング状のパケット伝送ネットワークを構成するパケット伝送装置A〜Eを有する。このようなパケット伝送ネットワークでは、物理帯域(例えば10Gbps)上に主信号帯域とともに監視制御信号帯域を確保することにより、パケット伝送装置間の監視制御を行っている。
【0008】
図1における監視制御信号帯域は、パケット伝送ネットワーク上のパケット伝送装置を最大数遠隔監視した際に、警報や通知の廃棄、制御コマンドの送信・応答の廃棄が起こらない帯域を確保しており、一般的には1Mbps未満である。
【0009】
一方、パケット伝送ネットワークの物理帯域は、Ethernet(登録商標)において一般的に普及している10Gbps(10GBASE−LR/ERなど)で構成されているため、主信号帯域として使用可能な帯域は、計算上9.999Gbpsとなる。物理帯域の1/10,000の帯域を監視制御信号として使用しており、実際のパケット伝送ネットワークにおける占有帯域として問題となることはない。
【0010】
しかしながら、パケット伝送装置のデータベースファイルやログファイル等はファイルサイズが大きく、数十メガバイトサイズの場合もある。これらのファイルを遠隔監視装置に転送する場合、経由するパケット伝送装置の数によって数時間単位の処理時間を要する。
【0011】
図2は、パケット伝送ネットワークにおけるファイル転送を説明するための図である。図2に示すパケット伝送システム2は、リング状のパケット伝送ネットワークを構成するパケット伝送装置A〜Fを有する。パケット伝送装置A〜Fは、パケット伝送装置Aに接続された遠隔監視制御装置3により監視制御される。
【0012】
図2では、パケット伝送装置Dに保存されたファイルサイズ70Bバイトのデータベースログファイルが、パケット伝送装置C,B,Aを介して遠隔監視制御装置3に転送される場合を示す。この場合、装置間の転送に1Mbpsの監視制御信号帯域では約9分を必要とする。つまり、パケット伝送装置Dから遠隔監視制御装置3にデータベースログファイルを転送するのに約36分かかる。さらに、割り込み処理や、1Mbpsをフルにファイル転送に割り当てられない等の理由により、さらに時間がかかる可能性がある。
【0013】
このようにファイル転送に時間を要する場合、例えば災害時に緊急にパケット伝送装置のデータベースを復旧するなど、緊急性の高い作業に対応できないおそれがある。
【0014】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、パケット伝送ネットワークにおいて、監視制御信号を好適に伝送できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のパケット伝送システムは、パケット伝送ネットワークを構成する複数のパケット伝送装置と、監視制御信号を用いて各パケット伝送装置の監視制御を行う監視制御装置とを備える。監視制御装置は、パケット伝送装置を制御して、パケット伝送ネットワークを伝送される監視制御信号のデータ量に応じて監視制御信号用の帯域を動的に変化させる。
【0016】
監視制御装置は、監視制御信号のデータ量が所定の基準データ量以上の場合に、監視制御信号用の帯域を増加させてもよい。
【0017】
監視制御装置は、所定の基準データ量以上のデータ量を有する監視制御信号の伝送が終了した場合、監視制御信号の帯域を減少させてもよい。
【0018】
監視制御装置は、監視制御信号に割り付けることのできる割付可能帯域を監視し、該割付可能帯域の範囲内で監視制御信号用の帯域を動的に変化させてもよい。
【0019】
割付可能帯域は、物理帯域から主信号用の帯域および監視制御信号用の帯域を引いたものであってもよい。
【0020】
監視制御装置は、割付可能帯域が所定の基準帯域未満の場合、監視制御信号帯域を変化させなくてもよい。
【0021】
監視制御装置は、監視制御信号が伝送されるパケット伝送ネットワーク上のルートに関して、監視制御信号用の帯域を動的に変化させてもよい。
【0022】
監視制御装置は、監視制御信号の伝送が所定の基準時間内で終了するよう監視制御信号帯域を動的に変化させてもよい。
【0023】
本発明の別の態様は、監視制御信号を用いたパケット伝送ネットワークの監視制御方法である。この方法は、パケット伝送ネットワークを伝送される監視制御信号のデータ量を監視するステップと、監視制御信号のデータ量に応じて監視制御信号用の帯域を動的に変化させるステップとを備える。
【0024】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、パケット伝送ネットワークにおいて、監視制御信号を好適に伝送できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】監視制御信号帯域を説明するための図である。
【図2】パケット伝送ネットワークにおけるファイル転送を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係るパケット伝送システムの概略図である。
【図4】遠隔監視制御装置の構成を説明するための図である。
【図5】回線帯域情報格納部に格納される情報の一例を示す図である。
【図6】回線割付情報格納部に格納される情報の一例を示す図である。
【図7】回線再割付情報格納部に格納される情報の一例を示す図である。
【図8】パケット伝送装置の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
図3は、本発明の実施形態に係るパケット伝送システムの概略図である。図3に示すように、パケット伝送システム10は、リング状のパケット伝送ネットワークを構成するよう接続されたパケット伝送装置A〜Gと、パケット伝送装置A〜Gの監視制御を行う遠隔監視制御装置12とを備える。
【0029】
図3に示すように、パケット伝送装置A〜Gは、反時計回りに装置A,B,C,・・・の順でリング状に接続されている。パケット伝送装置A〜Gは、それぞれ、隣接するパケット伝送装置とパケットを伝送可能に構成されている。
【0030】
遠隔監視制御装置12は、パケット伝送装置Aに接続されている。遠隔監視制御装置12は、例えば、各パケット伝送装置に制御コマンドを送信したり、各パケット伝送装置から種々の警報を収集する。また、遠隔監視制御装置12は、各パケット伝送装置にファイルの転送を指示することができる。図3には、遠隔監視制御装置12から指示を受けたパケット伝送装置Dが、データベースログファイルをパケット伝送装置C,B,Aを介して遠隔監視制御装置12に転送する様子が示されている。
【0031】
制御コマンド、警報、データベースログファイルなどのパケット伝送装置の監視・制御に関する信号(監視制御信号)は、主信号用の帯域(主信号帯域)とは別に設けられる監視制御信号用の帯域(監視制御信号帯域)を用いて伝送される。
【0032】
本実施形態に係るパケット伝送システム10において、遠隔監視制御装置12は、パケット伝送ネットワークを伝送される監視制御信号のデータ量を監視している。そして、遠隔監視制御装置12は、パケット伝送装置A〜Gを制御して、該監視制御信号のデータ量に応じて監視制御信号帯域を動的に変化させる。
【0033】
例えば、図3に示すようにデータ量の大きなデータベースログファイルがパケット伝送装置Dから遠隔監視制御装置12まで送信される場合、遠隔監視制御装置12は、ファイルの転送ルート上に位置するパケット伝送装置A〜Cを制御して、このルートの監視制御信号帯域を増加させる。例えば、通常時には1Mbpsの監視制御信号帯域を、1Gbpsに増加させるのである。これにより、データベースログファイルを短時間でパケット伝送装置Dから遠隔監視制御装置12に転送することができる。
【0034】
また、遠隔監視制御装置12は、データ量の大きなファイルの転送終了後、監視制御信号帯域を元の1Mbpsに減少させる。データベースログファイルのようなデータ量の大きなファイルの転送は頻繁に行われるものではなく、通常時に伝送される制御コマンドや警報などは、データ量が小さく、それ程大きな監視制御信号帯域は必要とされない。このように必要に応じて監視制御信号帯域を増減させることにより、主信号用の帯域を圧迫することなく、好適に監視制御信号を伝送できる。
【0035】
図4は、遠隔監視制御装置の構成を説明するための図である。図4に示すように、遠隔監視制御装置12は、保守者指示送信部14と、指示内容保管部16と、装置アドレス管理部18と、受信部20と、転送データ量情報格納部22と、回線帯域情報格納部24と、回線割付算出部26と、回線割付情報格納部28と、回線再割付情報格納部32と、回線割付指示生成部34とを備える。
【0036】
図4には、上述した監視制御信号帯域の変更機能に関係する機能ブロックが図示されている。本明細書において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0037】
ここでは、図3に示すようにパケット伝送装置Dにファイルの転送を指示する場合を例として説明する。この場合、保守者指示送信部14は、指示内容保管部16に登録されているファイル転送の指示内容を読み出す。また、保守者指示送信部14は、装置アドレス管理部18に記録されている管理配下のパケット伝送装置(ここではパケット伝送装置A〜G)のアドレス情報を読み出す。
【0038】
そして、保守者指示送信部14は、ファイル転送の起点となるパケット伝送装置(ここでは、パケット伝送装置D)宛てに、転送するファイルのデータ量を問い合わせを行うためのフレームを送信する。
【0039】
また、保守者指示送信部14は、管理配下の全パケット伝送装置A〜Gに対して、各パケット伝送装置間に設定されている主信号帯域を問い合わせるためのフレームを送信する。
【0040】
受信部20は、ファイル転送の起点となるパケット伝送装置(パケット伝送装置D)から、転送ファイルのデータ量情報を含む応答フレームを受信する。この転送ファイルのデータ量情報は、転送データ量情報格納部22に保管される。
【0041】
また、受信部20は、パケット伝送装置A〜Gから、現在設定されている主信号帯域情報を含む応答フレームを受信する。この主信号帯域情報は、回線帯域情報格納部24に保管される。
【0042】
図5は、回線帯域情報格納部24に格納される情報の一例を示す。図5に示すように、隣接するパケット伝送装置間の伝送区間ごとに主信号帯域が定められている。本実施形態においては、パケット伝送装置A−B間の主信号帯域が5Gbps,パケット伝送装置B−C間の主信号帯域が6Gbps,パケット伝送装置C−D間の主信号帯域が7Gbps,パケット伝送装置D−E間の主信号帯域が8Gbps,パケット伝送装置E−F間の主信号帯域が8Gbps,パケット伝送装置F−G間の主信号帯域が8Gbps,パケット伝送装置G−A間の主信号帯域が8Gbpsに設定されているとする。各伝送区間の物理帯域は、全て10Gbpsである。
【0043】
回線割付情報格納部28は、現在設定されている伝送区間ごとの監視制御信号帯域情報と、監視制御信号に割り付けることのできる割付可能帯域情報を格納している。図6は、回線割付情報格納部28に格納される情報の一例を示す。本実施形態においては、全ての伝送区間において、通常時の監視制御信号帯域が1Mbpsに設定されている。
【0044】
割付可能帯域は、物理帯域から現在設定されている主信号帯域および監視制御信号帯域を引いたものである。例えば、パケット伝送装置A−B間の伝送区間においては、物理帯域が10Gbps、主信号帯域が5Gbps、監視制御信号帯域が1Mbpsであるので、割付可能帯域は、4.999Gbpsである。同様にして、パケット伝送装置B−C間の割付可能帯域が3.999Gbps,パケット伝送装置C−D間の割付可能帯域が2.999Gbps,パケット伝送装置D−E間の割付可能帯域が1.999Gbps,パケット伝送装置E−F間の割付可能帯域が1.999Gbps,パケット伝送装置F−G間の割付可能帯域が1.999Gbps,パケット伝送装置G−A間の割付可能帯域が1.999Gbpsとなる。
【0045】
回線割付算出部26は、転送データ量情報格納部22、回線帯域情報格納部24および回線割付情報格納部28を参照して、転送するファイルのルート選定、監視制御信号帯域の再割付、および転送時間を算出する。
【0046】
図3に示すように、パケット伝送装置から遠隔監視制御装置12までの転送ルートは、パケット伝送装置D→C→B→Aという第1ルートと、パケット伝送装置D→E→F→G→Aという第2ルートがある。回線割付算出部26は、中継するパケット伝送装置の数や伝送距離に基づいて、ルート選択を行う。本例では、中継するパケット伝送装置の数が少ない第1ルートが選択されている。
【0047】
ルートを選択後、回線割付算出部26は、監視制御信号の再割付、すなわち、監視制御信号帯域の変更を行うか否か決定する。具体的には、回線割付算出部26は、転送ファイルのデータ量が所定の基準データ量以上の場合に、監視制御信号の再割付を行う決定をする。基準データ量は、通常時の監視制御信号帯域によって変わるが、例えば10Mバイト程度であってよい。
【0048】
監視制御信号の再割付を行う場合、回線割付算出部26は、上述の第1ルートに含まれる伝送区間の監視制御信号帯域を増加させる。監視制御信号帯域の増加量は、転送ファイルのデータ量に応じて定めてもよい。例えば、転送ファイルが大きいほど、監視制御信号帯域を増加させてもよい。あるいは、回線割付算出部26は、ファイルの転送が所定の基準時間内で終了するよう監視制御信号帯域の増加量を定めてもよい。
【0049】
但し、監視制御信号帯域を無制限に増加させた場合、主信号帯域を圧迫するおそれがある。そこで、回線割付算出部26は、割付可能帯域の範囲内で監視制御信号用の帯域を増加させる。これにより、主信号帯域を圧迫することなく、監視制御信号帯域を増加させることができる。
【0050】
また、回線割付算出部26は、割付可能帯域が所定の基準帯域未満の場合(例えば1Gbps未満)、監視制御信号帯域を増加させない。このように若干の利用可能帯域を残しておくことにより、予期せぬ緊急時の監視・制御に備えることができる。
【0051】
監視制御信号の再割付後、回線割付算出部26は、各伝送区間ごとにファイルの転送時間を算出する。そして、回線割付算出部26は、算出された転送時間に基づいて、監視制御信号帯域を変化させる時間を決定する。この監視制御信号帯域変更時間は、算出された転送時間にある程度のマージンを加えた値に設定される。
【0052】
回線割付算出部26により算出または設定されたルート、再割付後の監視制御信号帯域、および監視制御信号帯域変更時間は、回線再割付情報格納部32に格納される。
【0053】
図7は、回線再割付情報格納部32に格納される情報の一例を示す。図7に示すように、ファイルが転送される第1ルートに含まれるパケット伝送装置A−B間、B−C間、C−D間の監視制御信号帯域が1Mbpsから1Gbpsに増加している。一方、ファイルが転送されない第2ルートに含まれるパケット伝送装置D−E間、E−F間、F−G間、G−A間の監視制御信号帯域は、1Mbpsのままとなっている。
【0054】
回線再割付情報格納部32には再割付後の割付可能帯域も格納されている。図7に示すように、監視制御信号帯域の変更されたパケット伝送装置A−B間、B−C間、C−D間の割付可能帯域が、それぞれ4Gbps、3Gbps、2Gbpsに変更されている。監視制御信号帯域の変更されていないパケット伝送装置D−E間、E−F間、F−G間、G−A間の割付可能帯域は、1.999Gbpsのままである。
【0055】
また、図7に示すように、ファイルが転送されるルートに含まれる伝送区間には、「○」印が記載され、ルートに含まれない伝送区間には、「×」印が格納されている。
【0056】
また、回線再割付情報格納部32には監視制御信号帯域変更時間が格納されている。図7に示す例では、ファイルが転送されるルートに含まれる伝送区間の監視制御信号帯域変更時間が60秒に設定されている。
【0057】
図4に戻り、回線割付指示生成部34は、回線再割付情報格納部32に格納された情報に基づいて、監視制御信号帯域の再割付の対象となっているパケット伝送装置に対する指示フレームを生成する。例えば、回線割付指示生成部34は、監視制御信号帯域の再割付の対象となっているパケット伝送装置A〜Dに対して、パケット伝送装置A−B間、B−C間、C−D間の監視制御信号帯域を1Gbpsに変更し、その変更時間を60秒とする指示フレームを生成する。この指示フレームは、保守者指示送信部14により、パケット伝送装置A〜Dに対して送信される。
【0058】
図8は、パケット伝送装置の構成を説明するための図である。図8に示すパケット伝送装置40は、図3に示すパケット伝送装置A〜Gに対応しており、監視制御信号帯域の変更機能に関係する機能ブロックが図示されている。
【0059】
図8に示すように、パケット伝送装置40は、受信部42と、指示解析部44と、回線再割付設定部46と、タイマ部48と、回線割付復帰設定部50と、回線割付情報格納部52と、ファイル送信生成部54と、ファイル管理部56と、指示応答部60と、アドレス管理部62と、送信部64とを備える。
【0060】
受信部42は、遠隔監視制御装置12から送られてくるフレームを受信する。指示解析部44は、受信したフレームに含まれる指示内容を解析する。上述したように、遠隔監視制御装置12から送信されるフレームとしては、転送ファイルのデータ量を問い合わせるためのフレーム、設定されている主信号帯域を問い合わせるためのフレーム、および監視制御信号帯域の再割付の指示フレームがある。
【0061】
遠隔監視制御装置12から転送ファイルの問い合わせフレームを受信した場合(図3の例の場合はパケット伝送装置Dが該当)、指示応答部60は、転送すべきファイルのデータ量を収集し、応答フレームを生成する。また、遠隔監視制御装置12から主信号帯域の問い合わせフレームを受信した場合(図3の例の場合は全パケット伝送装置A〜Gが該当)、指示応答部60は、設定されている主信号帯域情報を収集し、応答フレームを生成する。指示応答部60により生成された応答フレームは、送信部64により遠隔監視制御装置12に送信される。
【0062】
遠隔監視制御装置12から再割付の指示フレームを受信した場合(図3の例の場合は全パケット伝送装置A〜Dが該当)、回線再割付設定部46は、遠隔監視制御装置12からの指示に基づいて監視制御信号帯域の再設定を行う。例えば図7に示すような監視制御信号帯域の変更指示を受けた場合、回線再割付設定部46は、監視制御信号帯域を1Mbpsから1Gbpsに変更する。
【0063】
ファイル送信生成部54は、ファイル管理部56から転送するファイルを取り込み、転送用のフレームを生成する。送信部64は、アドレス管理部62に記録されたアドレス情報を参照して、ファイル送信生成部54により生成された転送ファイルのフレームを遠隔監視制御装置12宛てに送信する。
【0064】
タイマ部48は、指示フレームに含まれる監視制御信号帯域変更時間に基づいて、監視制御信号帯域を増加させる時間をカウントする。例えば60秒の監視制御信号帯域変更時間が指示されている場合、タイマ部48は、送信部64からファイル転送を開始したときから60秒をカウントする。
【0065】
回線割付復帰設定部50は、回線割付復帰設定部50により60秒がカウントされた後、回線割付情報格納部52を参照して監視制御信号帯域を元の監視制御信号帯域に戻す。ここでは、監視制御信号帯域を1Gbpsから1Mbpsに戻す。
【0066】
以上、本発明の実施形態に係るパケット伝送システム10について説明した。本実施形態に係るパケット伝送システム10によれば、パケット伝送ネットワークを伝送される監視制御信号(ファイル等)のデータ量に応じて、監視制御信号帯域を動的に変更(増加または減少)させることにより、監視制御信号を好適に伝送することができる。その結果、例えば災害時に緊急にパケット伝送装置のデータベースを復旧するなど、緊急性の高い作業に対応できる。
【0067】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せによりいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0068】
10 パケット伝送システム、 12 遠隔監視制御装置、 14 保守者指示送信部、 16 指示内容保管部、 18 装置アドレス管理部、 20 受信部、 22 転送データ量情報格納部、 24 回線帯域情報格納部、 26 回線割付算出部、 28 回線割付情報格納部、 32 回線再割付情報格納部、 34 回線割付指示生成部、 40 パケット伝送装置、 42 受信部、 44 指示解析部、 46 回線再割付設定部、 48 タイマ部、 50 回線割付復帰設定部、 52 回線割付情報格納部、 54 ファイル送信生成部、 56 ファイル管理部、 60 指示応答部、 62 アドレス管理部、 64 送信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット伝送ネットワークを構成する複数のパケット伝送装置と、監視制御信号を用いて各パケット伝送装置の監視制御を行う監視制御装置と、を備えるパケット伝送システムであって、
前記監視制御装置は、前記パケット伝送装置を制御して、パケット伝送ネットワークを伝送される監視制御信号のデータ量に応じて監視制御信号用の帯域を動的に変化させることを特徴とするパケット伝送システム。
【請求項2】
前記監視制御装置は、監視制御信号のデータ量が所定の基準データ量以上の場合に、監視制御信号用の帯域を増加させることを特徴とする請求項1に記載のパケット伝送システム。
【請求項3】
前記監視制御装置は、所定の基準データ量以上のデータ量を有する監視制御信号の伝送が終了した場合、監視制御信号の帯域を減少させることを特徴とする請求項2に記載のパケット伝送システム。
【請求項4】
前記監視制御装置は、監視制御信号に割り付けることのできる割付可能帯域を監視し、該割付可能帯域の範囲内で監視制御信号用の帯域を動的に変化させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のパケット伝送システム。
【請求項5】
割付可能帯域は、物理帯域から主信号用の帯域および監視制御信号用の帯域を引いたものであることを特徴とする請求項4に記載のパケット伝送システム。
【請求項6】
前記監視制御装置は、割付可能帯域が所定の基準帯域未満の場合、監視制御信号帯域を変化させないことを特徴とする請求項4または5に記載のパケット伝送システム。
【請求項7】
前記監視制御装置は、監視制御信号が伝送されるパケット伝送ネットワーク上のルートに関して、監視制御信号用の帯域を動的に変化させることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のパケット伝送システム。
【請求項8】
前記監視制御装置は、監視制御信号の伝送が所定の基準時間内で終了するよう監視制御信号帯域を動的に変化させることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のパケット伝送システム。
【請求項9】
監視制御信号を用いたパケット伝送ネットワークの監視制御方法であって、
パケット伝送ネットワークを伝送される監視制御信号のデータ量を監視するステップと、 監視制御信号のデータ量に応じて監視制御信号用の帯域を動的に変化させるステップと、
を備えることを特徴とする方法。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−106177(P2013−106177A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248563(P2011−248563)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】