パスワード設定システム及びパスワード設定プログラム
【課題】セキュリティを向上させることができるパスワード設定システム及びパスワード設定プログラムを提供する。
【解決手段】パスワード設定システムにおいて、パソコンは、複合機に設けられたキー操作部を画像化した仮想キー操作部81を液晶ディスプレイに表示し、表示された仮想キー操作部によってパスワードを設定し、設定したパスワードをLANを介して複合機に送信するパスワード設定プログラムと、を有し、複合機は、パソコンからLANを介してパスワードを受信する入出力インターフェースと、キー操作部に入力されたパスワードが、入出力インターフェースが受信したパスワードと一致するか否かを照合するパスワード認証プログラムと、パスワード認証プログラムが、キー操作部に入力されたパスワードが、入出力インターフェースが受信したパスワードと一致すると判断した場合に、特定の機能の実行を許可するパスワード認証プログラムと、を設ける。
【解決手段】パスワード設定システムにおいて、パソコンは、複合機に設けられたキー操作部を画像化した仮想キー操作部81を液晶ディスプレイに表示し、表示された仮想キー操作部によってパスワードを設定し、設定したパスワードをLANを介して複合機に送信するパスワード設定プログラムと、を有し、複合機は、パソコンからLANを介してパスワードを受信する入出力インターフェースと、キー操作部に入力されたパスワードが、入出力インターフェースが受信したパスワードと一致するか否かを照合するパスワード認証プログラムと、パスワード認証プログラムが、キー操作部に入力されたパスワードが、入出力インターフェースが受信したパスワードと一致すると判断した場合に、特定の機能の実行を許可するパスワード認証プログラムと、を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスワードを設定可能なパスワード設定システム及びパスワード設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリンタ、ファクシミリ、コピー、スキャナ等の多機能を有する複合機が、複数のパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という。)に接続されてネットワークを構築している。複数のパソコンが1台の複合機を共有するため、例えば、あるパソコンから複合機に送信した機密データをプリントアウトした機密資料や、複合機でスキャンした機密原稿のスキャンデータなどが、他人の目に晒される危険が高い。また、複数の人が1台の複合機を共有するため、複合機の設定が勝手に変更されると不便である。
【0003】
そこで、近年、複合機には、パスワード設定・認証機能が付与されている。これによれば、例えば、機密データを複合機に送信したユーザが複合機上に設定したパスワードを入力したときに、当該機密データをプリントアウトするようにしたり(セキュアプリント)、パスワードと送信先を設定して機密原稿のスキャンデータを特定のパソコンに送信したりすることができる。また、特定の管理者に複合機の設定変更権限を与え、パスワードを認証できた場合に限り、複合機の設定変更を許可することが行われている。
【0004】
パスワード設定は、数列のみでパスワードを設定すると、数の組み合わせが少なく、セキュリティが低い。かといって、パスワードの文字数を増やすと、パスワードを覚えにくい。一方、複合機は、テンキーの他に、複合機の機能を設定・実行するためのファンクションキーが設けられている。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1に記載された発明は、テンキーとファンクションキーの組によるパスワード設定を行わせ、設定されたパスワードのテンキーとファンクションキーが一致した場合に、複合機を使用許可する。これによれば、パスワードに使用するキーの数を少なくしつつ複雑なパスワードを作成することができ、複合機の不正使用を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−275943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の複合機は、キー操作部の操作を外部から見ることができるため、第三者が、キー操作部を操作するユーザの手の動きからパスワードを盗み、悪用する恐れがあり、セキュリティが低かった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、セキュリティを向上させることができるパスワード設定システム及びパスワード設定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るパスワード設定システムは、次のような構成を有する。
(1)複数の機能を有する複合機と、入力手段から入力されたデータを処理し、表示手段
に表示する情報処理装置と、前記複合機と前記情報処理装置とを通信可能に接続する通信手段と、を有するパスワード設定システムにおいて、前記情報処理装置は、前記複合機に設けられたキー操作部を画像化した仮想キー操作部を前記表示手段に表示する表示制御手段と、前記表示手段に表示された仮想キー操作部によってパスワードを設定する第1パスワード設定手段と、前記第1パスワード設定手段が設定したパスワードを前記通信手段を介して前記複合機に送信するパスワード送信手段と、を有し、前記複合機は、前記情報処理装置から前記通信手段を介して前記パスワードを受信するパスワード受信手段と、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記パスワード受信手段が受信したパスワードと一致するか否かを照合する第1照合手段と、前記第1照合手段が、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記パスワード受信手段が受信したパスワードと一致すると判断した場合に、前記特定の機能の実行を許可する第1実行許可手段と、を有する。
【0010】
(2)(1)に記載の発明において、前記情報処理装置は、前記表示手段に表示された仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを前記機能に応じて制限する使用可能仮想キー制限手段を有し、第1パスワード設定手段は、前記使用可能仮想キー制限手段によって使用可能とされた仮想キーを用いてパスワードを設定する。
【0011】
(3)(1)又は(2)に記載の発明において、前記複合機は、前記キー操作部を操作することにより特定の機能を選択して実行し、前記キー操作部に設けられたキーのうちパスワード設定に使用可能なキーを前記機能に応じて変更する使用可能キー変更手段と、前記使用可能キー変更手段によって使用可能とされたキーを用いてパスワードを設定する第2パスワード設定手段と、前記キー操作部を操作することにより前記特定の機能を選択して実行する場合に、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記第2パスワード設定手段が設定したパスワードと一致するか否かを照合する第2照合手段と、前記第2照合手段が、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記第2パスワード設定手段が設定したパスワードと一致すると判断した場合に、前記特定の機能の実行を許可する第2実行許可手段と、を有する。
【0012】
(4)(1)から(3)のいずれか1つに記載の発明において、前記表示制御手段は、パスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に前記表示手段に表示させる。
【0013】
本発明に係るパスワード設定プログラムは、次のような構成を有する。
(5)複数の機能を有する複合機に対してパスワードを設定するパスワード設定プログラムにおいて、情報処理装置に、前記複合機のキー操作部を画像化した仮想キー操作部を前記情報処理装置の表示手段に表示させ、前記表示手段に表示された仮想キー操作部によって前記パスワードが設定された場合に、前記パスワードを前記複合機に送信させる。
【0014】
(6)(5)に記載の発明において、前記情報処理装置に、前記仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを前記機能に応じて制限させる。
【0015】
(7)(5)又は(6)に記載の発明において、前記情報処理装置に、前記仮想キー操作部を前記表示手段に表示させる場合に、パスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に表示させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のパスワード設定システムは、情報処理装置の表示手段に複合機のキー操作部を画像化した仮想キー操作部を表示し、情報処理装置の表示手段上でパスワードを設定する。そして、設定したパスワードは、情報処理装置から通信手段を介して複合機に送信される。複合機は、通信手段を介して情報処理装置からパスワードを受信する。そして、複合機は、特定の機能を実行する前にキー操作部を操作してパスワードが入力されたときに、
入力されたパスワードを受信したパスワードと照合し、それらが一致する場合に、特定の機能の実行を許可する。よって、本発明のパスワード設定システムは、第三者の目につきにくい情報処理装置から複合機のパスワードを設定するので、第三者にパスワードを盗用されにくく、セキュリティを向上させることができる。
【0017】
また、本発明のパスワード設定システムは、仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを複合機が有する機能に応じて制限する。パスワード設定時には、使用可能な仮想キーを用いてパスワードを設定する。このように本発明のパスワード設定システムは、パスワード設定時に使用できる仮想キー操作部の仮想キーが機能に応じて制限され、複雑であるので、仮想キー操作部に表示された全ての仮想キーを用いてパスワード設定を行う場合と比べてセキュリティが向上する。
【0018】
また、本発明のパスワード設定システムは、複合機のキー操作部に設けられたキーのうちパスワード設定に使用可能なキーを複合機が有する機能に応じて変更する複合機を有する。パスワード設定時には、使用可能なキーを用いてパスワードを設定する。そして、キー操作部を操作することにより特定の機能を選択して実行する場合には、キー操作部に入力されたパスワードと予め設定されたパスワードとを照合し、それらが一致するときに、特定の機能の実行を許可する。このように、本発明のパスワード設定システムは、パスワード設定時に使用できるキー操作部のキーが機能に応じて限定され、複雑であるので、キー操作部に設けられた全てのキーを用いてパスワード設定を行う場合と比べてセキュリティが向上する。
【0019】
また、本発明のパスワード設定システムは、情報処理装置の表示手段に仮想キー操作部を表示するときに、パスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に表示するので、パスワードの設定を情報処理装置上で容易に行うことができる。
【0020】
本発明のパスワード設定プログラムは、複合機のキー操作部を画像化した仮想キー操作部を情報処理装置の表示手段に表示させ、情報表示装置の表示手段に表示された仮想キー操作部によって設定されたパスワードを情報処理装置から複合機に送信させるので、第三者がパスワード設定時にパスワードを盗みにくく、セキュリティを向上させることができる。
【0021】
また、本発明のパスワード設定プログラムは、仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを複合機が有する機能に応じて制限させる。このように本発明のパスワード設定プログラムは、パスワード設定時に使用できる仮想キー操作部の仮想キーが機能に応じて制限され、複雑であるので、仮想キー操作部に表示された全ての仮想キーを用いてパスワード設定を行う場合と比べてセキュリティが向上する。
【0022】
また、本発明のパスワード設定プログラムは、情報処理装置が仮想キー操作部を表示する場合に、仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に表示するので、パスワード設定を情報処理装置上で容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係り、パスワード設定システムの一例を示す概念図である。
【図2】同じく、複合機の内部構造を示す断面図である。
【図3】同じく、図2に示すキー操作部の平面図である。
【図4】同じく、図2に示す制御部の電気ブロック図である。
【図5】同じく、図4に示すパスワード入力プログラムのフローチャートである。
【図6】同じく、図5に示すパスワード列入力処理のサブフローチャートである。
【図7】同じく、図4に示すパスワード認証プログラムのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係り、パスワード設定システムの一例を示す概略構成図である。
【図9】同じく、図8に示すパスワード設定プログラムのフローチャートである。
【図10】同じく、図9に示すセキュア印刷設定処理のサブフローチャートである。
【図11】同じく、図9に示すパスワード設定プログラム実行時に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図12】同じく、図10に示すセキュア印刷設定処理実行時に表示されるパスワード設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る複合機、パスワード設定システム及びパスワード設定プログラムの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
(第1実施形態)
<パスワード設定システム>
図1は、パスワード設定システム1の一例を示す概念図である。
パスワード設定システム1は、「情報処理装置」の一例であるパソコン2が、「通信手段」の一例であるLAN3を介して複合機10に複数接続し、ネットワークを構築する。
【0026】
パソコン2は、プリンタドライバ(図示せず)を読み込み、複合機10と通信できるようにされている。一方、複合機10は、プリント機能、ファックス機能、コピー機能、スキャナ機能など複数の機能を有し、後述するキー操作部25を操作することにより特定の機能を選択して実行する。
【0027】
<複合機の全体構成>
図2は、複合機10の内部構造を示す図である。
複合機10は、記録用紙に画像を形成するための画像形成ユニット11と、原稿の画像を読み取るための画像読取ユニット21とを上下に積み重ねて配置している。
【0028】
画像形成ユニット11の底部には、複数の記録用紙を積層して収納するための給紙カセット12が、画像形成ユニット11の前面側から着脱可能に取り付けられている。画像形成ユニット11は、給紙部13が給紙トレイ12から記録用紙を1枚ピックアップして画像形成部14へ送り、画像形成部14において記録用紙に画像を形成する。画像形成ユニット11は、排紙トレイ16が上面に設けられており、画像形成された記録用紙を排紙部15から排紙トレイ16に排出する。
【0029】
画像読取ユニット21は、画像形成ユニット11に対して回動自在に連結され、排紙トレイ16に排出された用紙を取り出しやすくしている。画像形成ユニット21は、読取センサ22が移動可能に設けられ、プラテンガラス23に載置された原稿を読み取る。画像形成ユニット21は、原稿自動送り装置24を備え、原稿を自動的にプラテンガラス23上に搬送して読み取ることができる。画像形成ユニット11の前面側には、複合機10を操作するためのキー操作部25が設けられている。
【0030】
<キー操作部>
図3は、図2に示すキー操作部25の平面図である。
キー操作部25は、表面を覆うカバー28から複数のキー27が露出して設けられている。キー操作部25は、液晶パネル26がほぼ中央に配置され、液晶パネル26の周りに各種キー27が配置されている。
【0031】
キー27には、数字を入力するためのテンキー27aの他に、複合機10に動作命令を与えるためのファンクションキーが含まれる。ファンクションキーには、例えば、複合機10の動作を停止・中止させるためのStop/Exitキー27b、複合機10に動作開始を指示するStartキー27c、液晶パネル26の表示を切り換えたり動作命令を選択するための矢印キー27d、操作内容を決定するためのOKキー27e、操作内容を無効にするためのclearキー27f、複合機10に備えられた機能を表示パネル26にメニュー表示させるためのMenuキー27g、登録された電話番号等を短縮番号で管理するための短縮ダイヤルキー27h、プリント機能のみに使用されるPrint専用キー27i、ファックス機能のみに使用されるFAX専用キー27j、コピー機能のみに使用されるCopy専用キー27k、ファックス機能とコピー機能とスキャン機能とを切り換えるモード切替キー27lなどが含まれる。
【0032】
複合機10は、上記給紙部13、画像形成部14、排紙部15、読取センサ22、液晶パネル26、キー27などが制御部30によって制御され、各機能を実行する。
【0033】
<制御部の電気ブロック構成>
図4は、図2に示す制御部30の電気ブロック図である。
制御部30は、周知のコンピュータである。簡単に構成を説明すると、制御部30は、中央演算処理装置(以下「CPU」という。)31にROM32、RAM33、NVRAM34などのメモリが接続している。ROM32には、パスワードの入力を制御するためのパスワード入力プログラム42と、パスワードの認証を行って複合機10に特定の機能を実行させるためのパスワード認証プログラム43とが格納されている。NVRAM34には、設定されたパスワードを記憶するためのパスワード記憶手段41が設けられている。
【0034】
また、CPU31は、入出力インターフェース35がLAN3に接続し、パソコン2などとデータの送受信を行う。CPU31は、入出力インターフェース35が給紙部13、画像形成部14、排紙部15、読取センサ22、原稿自動送り装置24に接続し、読取センサ22が読み取った読取データやパソコン2から送信されてきた画像データなどを記録用紙に印刷する印刷動作を制御する。更に、CPU31は、公衆電話回線網36やインターネット網37に接続し、ネットワーク(パスワード設定システム1)外の装置とファクシミリデータや画像データ等の送受信を行う。
【0035】
<パスワード入力プログラム>
次に、上述したパスワード入力プログラム42について説明する。図5は、図4に示すパスワード入力プログラム42のフローチャートであり、CPU31により実行される。
パスワード入力プログラム42は、キー操作部25のキー27が操作されたときにROM32から読み出されて実行される。パスワード入力プログラム42は、キー操作部25に設けられたキー27のうちパスワード設定に使用可能なキー27を機能に応じて変更し、使用可能なキー27を用いて設定されたパスワードをパスワード記憶部41にするように複合機10を機能させるものである。
【0036】
すなわち、パスワード入力プログラム42は、ステップ11(以下「S11」という。)において、例えば、キー操作部25のPrint専用キー27iやFAX専用キー27j、Copy専用キー27k、モード切替キー27lなどの操作内容を読み取って、現在選択されている機能が何であるかを確認する。
【0037】
例えば、Print専用キー27iが操作されたことを読み取った場合には、現在選択されている機能がプリント機能であると判断する。この場合には(S11:プリント機能)、S12において、キー操作部25に設けられたキー27のうち、テンキー27a、短
縮ダイヤルキー27h、FAX専用キー27j、Copy専用キー27kをパスワード設定に使用可能なキーとして設定する。その後、S16へ進む。
【0038】
例えば、FAX専用キー27jやモード切替キー27lに含まれるFAXキーが操作されたことを読み取った場合には、現在選択されている機能がファックス機能であると判断する。この場合には(S11:ファックス機能)、S13において、キー操作部25に設けられたキー27のうち、テンキー27a、Copy専用キー27kをパスワード設定に使用可能なキーとして設定する。その後、S16へ進む。
【0039】
例えば、Copy専用キー27kやモード切替キー27lに含まれるCopyキーが操作されたことを読み取った場合には、現在選択されている機能がコピー機能であると判断する。この場合には(S11:コピー機能)、S14において、キー操作部25に設けられたキー27のうち、テンキー27a、短縮ダイヤルキー27h、FAX専用キー27jをパスワード設定に使用可能なキーとして設定する。その後、S16へ進む。
【0040】
例えば、モード切替キー27lに含まれるScanキーが操作されたことを読み取った場合には、現在選択されている機能がスキャン機能であると判断する。この場合には(S11:スキャン機能)、S15において、キー操作部25に設けられたキー27のうち、テンキー27a、FAX専用キー27j、Copy専用キー27kをパスワード設定に使用可能なキーとして設定する。その後、S16へ進む。
【0041】
従って、上記S11〜S15に示す処理を実行することにより、機能に応じてパスワード設定に使用可能なキー27が変更される。この意味で、S11〜S15の処理は、「使用可能キー変更手段」の一例になる。
【0042】
現在選択されている機能に応じてパスワード設定に使用可能なキーが設定されたら、S16においてパスワード列入力処理を行う。パスワード列入力処理は、S11〜S15の処理でパスワード設定に使用可能とされたキーを用いてパスワードを設定する。この意味で、S16のパスワード列入力処理は、「第2パスワード設定手段」の一例になる。
【0043】
図6は、図5に示すパスワード列入力処理S16のサブフローチャートである。
パスワード列入力処理は、キー27が一つ押下される毎に実行される。すなわち、S161において、キー操作部25に設けられたキー27の押下を受け付ける。そして、S162において、OKキー27eを押下して、パスワード入力完了の指示があるか、若しくは、Stop/Exitキー27bを押下して、パスワード入力を中止したかを判断する。押下されたキー27が、OKキー27e若しくはStop/Exitキー27bでないと判断した場合には(S162:NO)、S163において、押下されたキー27が図5に示すS12〜S15の処理で使用可能なキー27として設定されたパスワード用キーであるか否かを判断する。
【0044】
押下されたキー27がパスワード設定に使用可能なキーでない場合には(S163:NO)、当該キー操作を無視してS161に戻り、次のキー入力を待つ。
【0045】
一方、押下されたキー27がパスワード設定に使用可能なキーであると判断した場合には(S163:YES)、S164において、押下されたキーをパスワード列に入力する。このとき、液晶パネル26には、第三者が表示を見てパスワードを盗用しないように、入力されたキーの内容を「*」で表示する。その後、S161に戻る。
【0046】
上記のようにして、パスワード設定に使用可能なキー27を操作して所望のパスワードを入力していく。OKキー27eが押下されると(S162:YES、S165:YES
)、パスワード設定が完了したことを認識し、S166において、設定されたパスワードをパスワード記憶部41に記憶してから、図5のS16に戻る。そして、処理を終了する。
【0047】
一方、Stop/Exitキー27bが押下されると(S162:YES、S165:NO)、S167において、それまでに入力したパスワードをクリアしてから、図5のS16に戻る。そして、処理を終了する。
【0048】
<パスワード認証プログラム>
次に、パスワード認証プログラム43について説明する。図7は、パスワード認証プログラム43のフローチャートである。
パスワード認証プログラム43は、パスワードが設定された機能について実行する命令がキー操作部25に入力されたときに、ROM32から読み出されて実行される。
【0049】
パスワード認証プログラム43は、先ずS21において、キー操作部25の操作内容を読み取る。そして、S22において、S21で操作されたキー27が特定の機能の実行を命令するキー27であるか否かを判断する。例えば、テンキー27aなど特定の機能の実行を命令するキー27でないと判断した場合には(S22:NO)、そのまま待機する。
【0050】
一方、特定の機能の実行を命令するキー27であると判断した場合には(S22:YES)、S23において、その特定の機能を実行する場合にパスワードの入力を要するか否かを判断する。例えば、トナー残量を確認するためにキー操作部25を操作した場合には、パスワードの入力が不要であるので(S23:NO)、そのままS28へ進む。
【0051】
これに対して、例えば、プリント機能やスキャン機能などを実行するためにパスワードの入力を要すると判断した場合には(S23:YES)、S24において、例えば、「パスワードを入力して下さい。」とのパスワードの入力を促すメッセージを液晶パネル26に表示する。そして、S25において、キー操作部25で押されたキー27を読み取る。このとき、第三者が液晶パネル26の表示を見てパスワードを盗むことを防止するために、液晶パネル26には、キー操作に連動して「*」が表示される。
【0052】
そして、S26において、キー操作部25から入力されたパスワードが、パスワード記憶部41に記憶されているパスワードと一致するか否かを判断する。換言すれば、キー操作部25を操作することにより特定の機能を選択して実行する場合に、キー操作部25に入力されたパスワードが、図5のパスワード列入力処理において設定されたパスワードと一致するか否かを照合する。この意味で、S26の処理は、「第2照合手段」の一例である。
【0053】
キー操作部25から入力されたパスワードが、パスワード記憶部41に記憶されているパスワードと一致しない場合には(S26:NO)、S27において、例えば、「パスワードが一致しないため、要求された命令を実行できません。」とのエラーメッセージを液晶パネル26に表示する。そして、特定の機能を実行せずに処理を終了する。
【0054】
一方、キー操作部25から入力されたパスワードが、パスワード記憶部41に記憶されているパスワードと一致する場合には(S26:YES)、S28において、特定の機能を実行する。この意味で、S28の処理は、「第2実行許可手段」の一例である。特定の機能を実行したら、処理を終了する。
【0055】
<動作説明>
次に、上記構成を有する第1実施形態の複合機10、パスワード設定システム1につい
て動作を説明する。
【0056】
最初に、セキュア印刷について説明する。セキュア印刷とは、パソコン2から複合機10に送信した印刷データを記録用紙に直ちに印刷せずに複合機10のRAM33に一時保存しておき、その後、送信者が複合機10のキー操作部25から印刷指令を入力したときに保存したデータを印刷するものである。
【0057】
例えば、機密データを印刷する場合には、ユーザは、印刷を行う前に、複合機10のキー操作部25を操作してセキュア印刷機能を選択する。セキュア印刷機能は、プリント機能に属するので、キー操作部25のうちテンキー27aと短縮ダイヤルキー27hとFAX専用キー27jとCopy専用キー27kとがパスワード設定時に使用可能となる。
【0058】
ユーザは、数字を入力するためのテンキー27aと、ファンクションキーである短縮ダイヤルキー27hとFAX専用キー27jとCopy専用キー27kとを押下することにより、セキュア印刷用のパスワード列(例えば、テンキー27aの「1」、短縮ダイヤルキー27hの「2」、テンキー27aの「3」、FAX専用キー27jの「オンフック」、短縮ダイヤルキー27hの「5」)を設定してからOKキー27eを押し、パスワード列をパスワード記憶部41に記憶させる(図5、図6参照。)。
【0059】
尚、テンキー27aと短縮ダイヤルキー27hとFAX専用キー27jとCopy専用キー27kは、任意に組み合わせることができ、しかも、複数のキーを同時に押下してパスワード列を設定してもよい。
【0060】
その後、ユーザはパソコン2の設置場所へ行き、作成した機密データをパソコン2から複合機10へ送信する。このとき、ユーザは、セキュア印刷する命令を機密データと共に複合機10へ送信する。
【0061】
複合機10は、機密データを受信すると、セキュア印刷する命令を解析し、機密データをRAM33に一時的に記憶しておく。ユーザが、複合機10の設置場所へ行き、Print専用キー27iを操作してセキュア印刷機能を選択すると、パスワード入力が必要と判断して、液晶パネル26にパスワード入力指示画面を表示する(図7のS21,22:YES、S23:YES、S24参照)。ユーザが、キー操作部25によってパスワード列を入力してOKキー27eを押下すると、入力されたパスワード列をパスワード記憶部41に記憶されているパスワード列と一致するか判断する(図7のS25、S26)。
【0062】
例えば、ユーザが、テンキー27aの「1」、短縮ダイヤルキー27hの「2」、テンキー27aの「3」、FAX専用キー27jの「オンフック」、短縮ダイヤルキー27hの「5」を順に押してOKキー27eを押下した場合には、入力されたパスワード列がパスワード記憶部41に記憶されたパスワードと一致するので、RAM33から機密データを読み出して印刷する(図7のS26:YES、S28参照)。
【0063】
これに対して、例えば、ユーザが、短縮ダイヤルキー27hの「1」、短縮ダイヤルキー27hの「2」、テンキー27aの「3」、FAX専用キー27jの「オンフック」、短縮ダイヤルキー27hの「5」を順に押してOKキー27eを押下した場合には、入力された最初のパスワード列(短縮ダイヤルキー27hの「1」)が、パスワード記憶部41に記憶されているパスワード列(テンキー27aの「1」)と異なるため、RAM33に記憶されている機密データを印刷せずに、液晶パネル26にエラーメッセージを表示する(図7のS26:NO、S27参照)。
【0064】
次に、例えば、社外秘の図面をスキャンしてユーザのパソコン2へ送信する場合につい
て説明する。
【0065】
例えば、複合機10には、スキャン機能を使用できるユーザが登録されている。使用権限を有するユーザは、パスワードと自己のパソコン2のアドレスを複合機10に登録しておく。具体的には、ユーザは、複合機10のキー操作部25に設けられたモード切替キー27lのうちScanキーを押下してセキュリティ機能を選択する(図5のS11参照)。
【0066】
スキャン機能の場合、キー操作部25のうちテンキー27aとFAX専用キー27jとCopy専用キー27kとがパスワード設定に使用可能なキーとなる(図5のS11:スキャン機能、S15参照)。そこで、例えば、パスワード列(FAX専用キー27jの「ファックス送信」、Copy専用キー27kの「拡大/縮小」、テンキー27aの「1」)を設定してOKキー27eを押下する。すると、設定されたパスワード列がパスワード記憶部41に記憶される(図5のS16、図6参照)。そして、ユーザが、パソコン2のアドレスをテンキー27aにより登録すると、そのアドレスは、設定されたパスワード列と関連付けてNVRAM34に記憶される。
【0067】
社外秘の図面をスキャンする場合には、ユーザは、モード切替キー27lのScanキーを押下し、実行する機能を特定する(図7のS21、S22:YES参照)。スキャン機能を使えるユーザは予め限定され、パスワードを設定しているため、パスワード入力指示画面を液晶パネル26に表示する(図7のS23:YES、S24参照)。
【0068】
ユーザが、キー操作部25からパスワード列(FAX専用キー27jの「ファックス送信」、Copy専用キー27kの「拡大/縮小」、テンキー27aの「1」)を入力してOKキー27eを押下すると、入力されたパスワード列がパスワード記憶部41に記憶されているパスワードと一致すると判断する(図7のS25、S26:YES)。すると、液晶パネル26に「スキャン可」と表示されてスキャン機能に関するキー操作が有効になる。そこで、ユーザは、社外秘の図面を画像読取ユニット21にセットし、Startキー27cを押下し、スキャンを行う。スキャンデータは、設定されたパスワード列と関連付けられたアドレスに送信される。
【0069】
よって、ユーザは、社外秘の図面のスキャンが完了して自己のパソコン2へ戻ると、スキャンした社外秘の図面をパソコン2上で開いて確認することができる。そのため、他のユーザが、突然、社外秘の図面を受信して作業を中断される不具合や、社外秘の図面が部外者のパソコン2に送られる不具合を回避できる。
【0070】
尚、例えば、スキャン機能の実行権限を有するユーザを追加するなど、複合機10の設定内容を変更する場合にも、設定変更権者が予めキー操作部25から設定したパスワードを入力して権限認証を行うようにすれば、勝手な変更を防止できる。
【0071】
<第1実施形態の作用効果>
よって、第1実施形態の複合機10は、キー操作部25に設けられたキー27のうちパスワード設定に使用可能なキー27を複合機10が有する機能(例えばプリント機能、ファックス機能、コピー機能、スキャン機能)に応じて変更する(図5のS11〜S15参照)。パスワード設定時には、機能に応じて決められた使用可能なキー27を用いてパスワードを設定する(図5のS16、図6のS163:YES、S164参照)。そして、キー操作部25から特定の機能(例えばセキュア印刷機能)を選択して実行する場合には、キー操作部25に入力されたパスワードと、パスワード記憶部41に予め設定されたパスワードとを照合し、それらが一致するときに、特定の機能の実行を許可する(図7のS26:YES、S27参照)。このように、第1実施形態の複合機10は、パスワード設
定時に使用できるキー操作部25のキー27が機能に応じて限定され、複雑であるので、キー操作部25に設けられた全てのキー27を用いてパスワード設定を行う場合と比べてセキュリティが向上する。
【0072】
また、第1実施形態の複合機10は、特定の機能(例えばスキャンtoメール機能)についてパスワード設定を行うときに、スキャン機能を実行するときに使用しないキー27、すなわち、テンキー27aとFAX専用キー27jとCopy専用キー27kとをパスワード設定時に使用可能なキー27とするので、パスワード入力時に誤ってスキャン実行指示を入力し、スキャンデータを他人のパソコン2に送信するなどの誤作動を防止できる。
【0073】
また、本発明の複合機10は、特定の機能がプリント機能であるときに、プリント実行時に操作しない短縮ダイヤルキー27hをパスワード設定時に使用できるようにする。短縮ダイヤルキー27hは、数字列により管理されているため、同じ数字列を示すテンキー27aと一緒に用いることにより、テンキー27aのみを使用する場合と比べて2倍以上のセキュリティを確保することができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、本発明の複合機、パスワード設定システム及びパスワード設定プログラムの第2実施形態について説明する。
【0075】
<パスワード設定システムの全体構成>
図8は、パスワード設定システム1Aの一例を示す概略構成図である。
【0076】
第2実施形態のパスワード設定システム1Aは、パソコン2上でパスワードを設定可能にした点が、複合機10のみでパスワードを設定可能にする第1実施形態と相違する。よって、ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は図面に第1実施形態で用いた符号を付し、説明を適宜省略する。
【0077】
パスワード設定システム1Aは、第1実施形態と同様、LAN3を介して他のパソコン2や複合機10と通信可能に接続されている。パソコン2は、周知のコンピュータであって、パソコン2の動作を司る制御部51と、データ入力を行う「入力手段」の一例であるキーボード57及びマウス58と、データを表示する「表示手段」の一例である液晶ディスプレイ59と、CDなどの記憶媒体61からデータやプログラムを読み取るための読取装置60とを備える。
【0078】
制御部51は、CPU52と、ROM53と、RAM54と、ハードディスクドライブ(以下「HDD」という。)55と、入出力インターフェース56とを有する。HDD55には、パスワード設定プログラム62が格納されている。パスワード設定プログラム62は、記憶媒体61に記憶され、読取装置60に読み取られてHDD55に記憶されている。
【0079】
<パスワード設定プログラム>
図9は、図8に示すパスワード設定プログラム62のフローチャートである。図11は、図9に示すパスワード設定プログラム62の実行時に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
パスワード設定プログラム62は、パソコン2の起動時にHDD55から読み出されて実行される。パスワード設定プログラム62は、パソコン2上のパスワード設定を制御するものである。
【0080】
パスワード設定プログラム62は、先ずS31において、例えば図11に示す印刷設定画面をパソコン2の液晶ディスプレイ59に表示する。図11に示すように、印刷設定画面には、記録用紙のサイズや余白の設定、OKボタン71、キャンセルボタン72など通常印刷に必要な事項を設定する欄73の他、セキュア印刷を設定する欄74が表示される。
【0081】
ユーザがキーボード57やマウス58を操作することにより希望する印刷設定事項を図11に示す印刷設定画面に入力すると、S32において、キーボード57やマウス58の操作を受け付ける。そして、S33において、印刷設定画面のOKボタン71かキャンセルボタン72が操作されたか否かを判断する。OKボタン71かキャンセルボタン72が操作されていないと判断した場合には(S33:NO)、S34において、ユーザがセキュア印刷を設定する欄74を開く操作をしたか否かを判断する。ユーザがセキュア印刷を設定する欄74を開く操作をしていないと判断した場合には(S34:NO)、S35において、セキュア印刷以外の各設定処理を行う。
【0082】
一方、ユーザがセキュア印刷を設定する欄74を開く操作をしたと判断した場合には(S34:YES)、S36において、セキュア印刷設定処理を実行する。
【0083】
図10は、図9に示すセキュア印刷設定処理S36のサブフローチャートである。図12は、図10に示すセキュア印刷設定処理実行時に表示されるパスワード設定画面の一例を示す図である。
【0084】
セキュア印刷設定処理では、S361において、セキュア印刷がオンされたか否かを判断する。具体的には、図11に示すセキュア印刷オン・オフ設定欄75において、「オン」がクリックされたか否かに基づいて判断する。セキュア印刷オン・オフ設定欄75の「オフ」がクリックされたと判断した場合には(S361:NO)、そのまま処理を終了し、図9のS32に戻る。
【0085】
一方、セキュア印刷オン・オフ設定欄75の「オン」がクリックされたと判断した場合には(S361:YES)、S362において、図12に示すパスワード設定画面を液晶ディスプレイ59に表示する。図12に示すパスワード設定画面には、複合機10のキー操作部25を画像化した仮想キー操作部81と、仮想キー操作部81を操作することにより入力されたパスワード列を表示するパスワード表示欄82と、パスワード設定完了を知らせるためのOKボタン83と、パスワード設定中止を知らせるための戻るボタン84とが表示される。従って、S363の処理は、「表示制御手段」の一例である。
【0086】
そして、S16において、パスワード列入力処理を実行する。パスワード列入力処理は、第1実施形態において説明した図5のS16及び図6に基づいて行う。但し、第2実施形態では、図12に示す仮想キー操作部81に表示されたキーにカーソル70を位置合わせしてクリックすることにより、パスワード列が入力される。従って、S16の処理は、「第1パスワード設定手段」の一例である。
【0087】
このとき、仮想キー操作部81は、プリント機能においてパスワード設定時に使用可能なテンキー27aと短縮ダイヤルキー27hとファックス専用キー27jとコピー専用キー27kとに対応する仮想キーを赤色で表示するなどして識別可能に表示する。よって、ユーザは、赤色などで識別可能に表示された仮想キーをクリックして、パスワード列を入力する。
【0088】
入力されたパスワード列は、パスワード表示欄82に順次表示されるので、ユーザはパスワード設定内容を簡単に確認できる。パスワード列の設定が完了したら、OKボタン8
3をクリックする。尚、パスワード設定を中止する場合には、戻るボタン84をクリックする。
【0089】
そして、図10のS363において、複合機10がセキュア印刷したい印刷データを他のデータと識別できるようにするために、図11に示すユーザ名表示欄77とジョブ名表示欄78に標準の名前(例えば、印刷データの最初の文字列)を設定する。そして、S364において、ユーザが、キーボード57からユーザ名表示欄77とジョブ名表示欄78にユーザ名とジョブ名を入力したか否かを判断する。ユーザ名とジョブ名が入力されたと判断した場合には(S364:YES)、S365において、S363で設定したユーザ名とジョブ名の標準の名前を、ユーザが入力したユーザ名とジョブ名に変更して設定する。その後、S366へ進む。
【0090】
これに対して、ユーザ名とジョブ名が入力されないと判断した場合には(S364:NO)、ユーザ名とジョブ名を標準の名前に設定したまま、S366へ進む。
S366においては、セキュア印刷の設定をジョブに保存する。その後、図9のS32に戻る。
【0091】
図9に戻り、上記のようにして印刷設定が行い、ユーザが図11に示す印刷設定画面の「OK」ボタン71又は「キャンセル」ボタン72をキーボード57又はマウス58でクリックすると(S33:YES)、S37において、クリックされたのが「OK」ボタン71か否かを判断する。「OK」ボタン71であると判断した場合には(S37:YES)、S38において、入出力インターフェース56からLAN3を介して複合機10にジョブを送信する。従って、S38の処理は、「パスワード送信手段」の一例である。ジョブの送信が完了したら、処理を終了する。
【0092】
一方、クリックされたのが「キャンセル」ボタン72であって、「OK」ボタン71でないと判断した場合には(S37:NO)、ユーザに印刷実行の意志がないので、ジョブを複合機10に送信しないまま処理を終了する。
【0093】
複合機10は、パソコン2からセキュア印刷指示を含むジョブを受信すると、そのジョブに含まれる印刷データをNVRAM34に一時的に記憶させておく。このとき、印刷データには、パソコン2側で設定されたユーザ名、ジョブ名、パスワードと関連付けて記憶されており、他のデータと区別できるようになっている。この受信動作は、「パスワード受信手段」の一例になり得る。
【0094】
セキュア印刷指示を含む印刷データを印刷する処理は、上述した図7と同様である。簡単に説明すると、ユーザは複合機10のキー操作部25を操作することによりユーザ名及びファイル名を特定してセキュア印刷指令を入力する。すると、パスワード入力指示画面が複合機10の液晶パネル26に表示されるので、ユーザはキー操作部25を操作することによりパスワードを入力する。そして、入力されたパスワードがユーザ名及びジョブ名で特定された印刷データに関連付けられたパスワードと一致するか否かを照合し(第1照合手段)、一致すると判断した場合には、特定された印刷データを記録用紙に印刷する(第1実行許可手段)。尚、パスワードが一致しない場合には、特定された印刷データを記録用紙に印刷しない。この場合には、エラーメッセージを液晶パネル26に表示してもよい。
【0095】
<第2実施形態のパスワード設定システム及びパスワード設定プログラムの作用効果>
第1実施形態のパスワード設定システム1Aは、パソコン2の液晶ディスプレイ59に複合機10に設けられたキー操作部25を画像化した仮想キー操作部81を表示し、パソコン2の液晶ディスプレイ59上でパスワードを設定する(図10のS363、S16、
図12参照)。そして、設定したパスワードは、パソコン2からLAN3を介して複合機10に送信される(図9のS38参照)。複合機10は、LAN3を介してパソコン2からパスワードを受信する。そして、複合機10は、特定の機能(例えばセキュア印刷機能)を実行する前にキー操作部25を用いてパスワードが入力されたときに、入力されたパスワードをパソコン2から受信したパスワードと照合し、それらが一致する場合に、セキュア印刷のジョブに含まれる印刷データを記録用紙に印刷する動作を許可する(図7参照)。よって、第2実施形態のパスワード設定システム1Aは、第三者の目につきにくいパソコン2から複合機10のパスワードを設定するので、第三者にパスワードを盗用されにくく、セキュリティを向上させることができる。
【0096】
しかも、複合機10のキー操作部25を画像化した仮想キー操作部81を用いてパスワードを設定するので、複合機10側のキー操作部25によりパスワードを入力するときに、パスワードを思い出して入力しやすい。
【0097】
また、第2実施形態のパスワード設定システム1Aは、複合機10のキー操作部25を画像化した仮想キー操作部81をパソコン2の液晶ディスプレイ59に表示するときに、仮想キー操作部81のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを赤色などで識別可能に表示するので(図12参照)、パスワード設定に使用可能な仮想キーを簡単に判別し、パスワードの設定をパソコン2上で容易に行うことができる。また、機能に応じて使用可能なキーが制限されるので、パスワードを複雑化してセキュリティをより一層向上させることができる。
【0098】
また、第2実施形態のパスワード設定プログラム62は、複合機10のキー操作部25を画像化した仮想キー操作部81をパソコン2の液晶ディスプレイ59に表示させ、仮想キー操作部81によって設定されたパスワードをパソコン2から複合機10に送信させるので(図9のS36、図10、図9のS38参照)、第三者がパスワード設定時にパスワードを盗みにくく、セキュリティを向上させることができる。
【0099】
また、第2実施形態のパスワード設定プログラム62は、仮想キー操作部81を液晶ディスプレイ59に表示する場合に、仮想キー操作部81のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを赤色などで識別可能に表示するので(図12参照)、パスワード設定をパソコン2上で容易に行わせることができる。また、仮想キー操作部81のうちパスワード設定に使用できるキーが制限されるので、パスワードを複雑化してセキュリティを一層向上させることができる。
【0100】
尚、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1A パスワード設定システム
2 パソコン(情報処理端末)
3 LAN(通信手段)
10 複合機
25 キー操作部
27 キー
27h 短縮ダイヤルキー
42 パスワード入力プログラム(使用可能キー変更手段、第2パスワード設定手段)
43 パスワード認証プログラム(第1照合手段、第2照合手段、第1実行許可手段、第2実行許可手段)
56 入出力インターフェース(パスワード受信手段)
57 キーボード(入力手段)
58 マウス(入力手段)
59 液晶ディスプレイ(表示手段)
62 パスワード設定プログラム(表示制御手段、第1パスワード設定手段、パスワード送信手段)
81 仮想キー操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスワードを設定可能なパスワード設定システム及びパスワード設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリンタ、ファクシミリ、コピー、スキャナ等の多機能を有する複合機が、複数のパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という。)に接続されてネットワークを構築している。複数のパソコンが1台の複合機を共有するため、例えば、あるパソコンから複合機に送信した機密データをプリントアウトした機密資料や、複合機でスキャンした機密原稿のスキャンデータなどが、他人の目に晒される危険が高い。また、複数の人が1台の複合機を共有するため、複合機の設定が勝手に変更されると不便である。
【0003】
そこで、近年、複合機には、パスワード設定・認証機能が付与されている。これによれば、例えば、機密データを複合機に送信したユーザが複合機上に設定したパスワードを入力したときに、当該機密データをプリントアウトするようにしたり(セキュアプリント)、パスワードと送信先を設定して機密原稿のスキャンデータを特定のパソコンに送信したりすることができる。また、特定の管理者に複合機の設定変更権限を与え、パスワードを認証できた場合に限り、複合機の設定変更を許可することが行われている。
【0004】
パスワード設定は、数列のみでパスワードを設定すると、数の組み合わせが少なく、セキュリティが低い。かといって、パスワードの文字数を増やすと、パスワードを覚えにくい。一方、複合機は、テンキーの他に、複合機の機能を設定・実行するためのファンクションキーが設けられている。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1に記載された発明は、テンキーとファンクションキーの組によるパスワード設定を行わせ、設定されたパスワードのテンキーとファンクションキーが一致した場合に、複合機を使用許可する。これによれば、パスワードに使用するキーの数を少なくしつつ複雑なパスワードを作成することができ、複合機の不正使用を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−275943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の複合機は、キー操作部の操作を外部から見ることができるため、第三者が、キー操作部を操作するユーザの手の動きからパスワードを盗み、悪用する恐れがあり、セキュリティが低かった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、セキュリティを向上させることができるパスワード設定システム及びパスワード設定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るパスワード設定システムは、次のような構成を有する。
(1)複数の機能を有する複合機と、入力手段から入力されたデータを処理し、表示手段
に表示する情報処理装置と、前記複合機と前記情報処理装置とを通信可能に接続する通信手段と、を有するパスワード設定システムにおいて、前記情報処理装置は、前記複合機に設けられたキー操作部を画像化した仮想キー操作部を前記表示手段に表示する表示制御手段と、前記表示手段に表示された仮想キー操作部によってパスワードを設定する第1パスワード設定手段と、前記第1パスワード設定手段が設定したパスワードを前記通信手段を介して前記複合機に送信するパスワード送信手段と、を有し、前記複合機は、前記情報処理装置から前記通信手段を介して前記パスワードを受信するパスワード受信手段と、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記パスワード受信手段が受信したパスワードと一致するか否かを照合する第1照合手段と、前記第1照合手段が、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記パスワード受信手段が受信したパスワードと一致すると判断した場合に、前記特定の機能の実行を許可する第1実行許可手段と、を有する。
【0010】
(2)(1)に記載の発明において、前記情報処理装置は、前記表示手段に表示された仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを前記機能に応じて制限する使用可能仮想キー制限手段を有し、第1パスワード設定手段は、前記使用可能仮想キー制限手段によって使用可能とされた仮想キーを用いてパスワードを設定する。
【0011】
(3)(1)又は(2)に記載の発明において、前記複合機は、前記キー操作部を操作することにより特定の機能を選択して実行し、前記キー操作部に設けられたキーのうちパスワード設定に使用可能なキーを前記機能に応じて変更する使用可能キー変更手段と、前記使用可能キー変更手段によって使用可能とされたキーを用いてパスワードを設定する第2パスワード設定手段と、前記キー操作部を操作することにより前記特定の機能を選択して実行する場合に、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記第2パスワード設定手段が設定したパスワードと一致するか否かを照合する第2照合手段と、前記第2照合手段が、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記第2パスワード設定手段が設定したパスワードと一致すると判断した場合に、前記特定の機能の実行を許可する第2実行許可手段と、を有する。
【0012】
(4)(1)から(3)のいずれか1つに記載の発明において、前記表示制御手段は、パスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に前記表示手段に表示させる。
【0013】
本発明に係るパスワード設定プログラムは、次のような構成を有する。
(5)複数の機能を有する複合機に対してパスワードを設定するパスワード設定プログラムにおいて、情報処理装置に、前記複合機のキー操作部を画像化した仮想キー操作部を前記情報処理装置の表示手段に表示させ、前記表示手段に表示された仮想キー操作部によって前記パスワードが設定された場合に、前記パスワードを前記複合機に送信させる。
【0014】
(6)(5)に記載の発明において、前記情報処理装置に、前記仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを前記機能に応じて制限させる。
【0015】
(7)(5)又は(6)に記載の発明において、前記情報処理装置に、前記仮想キー操作部を前記表示手段に表示させる場合に、パスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に表示させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のパスワード設定システムは、情報処理装置の表示手段に複合機のキー操作部を画像化した仮想キー操作部を表示し、情報処理装置の表示手段上でパスワードを設定する。そして、設定したパスワードは、情報処理装置から通信手段を介して複合機に送信される。複合機は、通信手段を介して情報処理装置からパスワードを受信する。そして、複合機は、特定の機能を実行する前にキー操作部を操作してパスワードが入力されたときに、
入力されたパスワードを受信したパスワードと照合し、それらが一致する場合に、特定の機能の実行を許可する。よって、本発明のパスワード設定システムは、第三者の目につきにくい情報処理装置から複合機のパスワードを設定するので、第三者にパスワードを盗用されにくく、セキュリティを向上させることができる。
【0017】
また、本発明のパスワード設定システムは、仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを複合機が有する機能に応じて制限する。パスワード設定時には、使用可能な仮想キーを用いてパスワードを設定する。このように本発明のパスワード設定システムは、パスワード設定時に使用できる仮想キー操作部の仮想キーが機能に応じて制限され、複雑であるので、仮想キー操作部に表示された全ての仮想キーを用いてパスワード設定を行う場合と比べてセキュリティが向上する。
【0018】
また、本発明のパスワード設定システムは、複合機のキー操作部に設けられたキーのうちパスワード設定に使用可能なキーを複合機が有する機能に応じて変更する複合機を有する。パスワード設定時には、使用可能なキーを用いてパスワードを設定する。そして、キー操作部を操作することにより特定の機能を選択して実行する場合には、キー操作部に入力されたパスワードと予め設定されたパスワードとを照合し、それらが一致するときに、特定の機能の実行を許可する。このように、本発明のパスワード設定システムは、パスワード設定時に使用できるキー操作部のキーが機能に応じて限定され、複雑であるので、キー操作部に設けられた全てのキーを用いてパスワード設定を行う場合と比べてセキュリティが向上する。
【0019】
また、本発明のパスワード設定システムは、情報処理装置の表示手段に仮想キー操作部を表示するときに、パスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に表示するので、パスワードの設定を情報処理装置上で容易に行うことができる。
【0020】
本発明のパスワード設定プログラムは、複合機のキー操作部を画像化した仮想キー操作部を情報処理装置の表示手段に表示させ、情報表示装置の表示手段に表示された仮想キー操作部によって設定されたパスワードを情報処理装置から複合機に送信させるので、第三者がパスワード設定時にパスワードを盗みにくく、セキュリティを向上させることができる。
【0021】
また、本発明のパスワード設定プログラムは、仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを複合機が有する機能に応じて制限させる。このように本発明のパスワード設定プログラムは、パスワード設定時に使用できる仮想キー操作部の仮想キーが機能に応じて制限され、複雑であるので、仮想キー操作部に表示された全ての仮想キーを用いてパスワード設定を行う場合と比べてセキュリティが向上する。
【0022】
また、本発明のパスワード設定プログラムは、情報処理装置が仮想キー操作部を表示する場合に、仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に表示するので、パスワード設定を情報処理装置上で容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係り、パスワード設定システムの一例を示す概念図である。
【図2】同じく、複合機の内部構造を示す断面図である。
【図3】同じく、図2に示すキー操作部の平面図である。
【図4】同じく、図2に示す制御部の電気ブロック図である。
【図5】同じく、図4に示すパスワード入力プログラムのフローチャートである。
【図6】同じく、図5に示すパスワード列入力処理のサブフローチャートである。
【図7】同じく、図4に示すパスワード認証プログラムのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係り、パスワード設定システムの一例を示す概略構成図である。
【図9】同じく、図8に示すパスワード設定プログラムのフローチャートである。
【図10】同じく、図9に示すセキュア印刷設定処理のサブフローチャートである。
【図11】同じく、図9に示すパスワード設定プログラム実行時に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図12】同じく、図10に示すセキュア印刷設定処理実行時に表示されるパスワード設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る複合機、パスワード設定システム及びパスワード設定プログラムの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
(第1実施形態)
<パスワード設定システム>
図1は、パスワード設定システム1の一例を示す概念図である。
パスワード設定システム1は、「情報処理装置」の一例であるパソコン2が、「通信手段」の一例であるLAN3を介して複合機10に複数接続し、ネットワークを構築する。
【0026】
パソコン2は、プリンタドライバ(図示せず)を読み込み、複合機10と通信できるようにされている。一方、複合機10は、プリント機能、ファックス機能、コピー機能、スキャナ機能など複数の機能を有し、後述するキー操作部25を操作することにより特定の機能を選択して実行する。
【0027】
<複合機の全体構成>
図2は、複合機10の内部構造を示す図である。
複合機10は、記録用紙に画像を形成するための画像形成ユニット11と、原稿の画像を読み取るための画像読取ユニット21とを上下に積み重ねて配置している。
【0028】
画像形成ユニット11の底部には、複数の記録用紙を積層して収納するための給紙カセット12が、画像形成ユニット11の前面側から着脱可能に取り付けられている。画像形成ユニット11は、給紙部13が給紙トレイ12から記録用紙を1枚ピックアップして画像形成部14へ送り、画像形成部14において記録用紙に画像を形成する。画像形成ユニット11は、排紙トレイ16が上面に設けられており、画像形成された記録用紙を排紙部15から排紙トレイ16に排出する。
【0029】
画像読取ユニット21は、画像形成ユニット11に対して回動自在に連結され、排紙トレイ16に排出された用紙を取り出しやすくしている。画像形成ユニット21は、読取センサ22が移動可能に設けられ、プラテンガラス23に載置された原稿を読み取る。画像形成ユニット21は、原稿自動送り装置24を備え、原稿を自動的にプラテンガラス23上に搬送して読み取ることができる。画像形成ユニット11の前面側には、複合機10を操作するためのキー操作部25が設けられている。
【0030】
<キー操作部>
図3は、図2に示すキー操作部25の平面図である。
キー操作部25は、表面を覆うカバー28から複数のキー27が露出して設けられている。キー操作部25は、液晶パネル26がほぼ中央に配置され、液晶パネル26の周りに各種キー27が配置されている。
【0031】
キー27には、数字を入力するためのテンキー27aの他に、複合機10に動作命令を与えるためのファンクションキーが含まれる。ファンクションキーには、例えば、複合機10の動作を停止・中止させるためのStop/Exitキー27b、複合機10に動作開始を指示するStartキー27c、液晶パネル26の表示を切り換えたり動作命令を選択するための矢印キー27d、操作内容を決定するためのOKキー27e、操作内容を無効にするためのclearキー27f、複合機10に備えられた機能を表示パネル26にメニュー表示させるためのMenuキー27g、登録された電話番号等を短縮番号で管理するための短縮ダイヤルキー27h、プリント機能のみに使用されるPrint専用キー27i、ファックス機能のみに使用されるFAX専用キー27j、コピー機能のみに使用されるCopy専用キー27k、ファックス機能とコピー機能とスキャン機能とを切り換えるモード切替キー27lなどが含まれる。
【0032】
複合機10は、上記給紙部13、画像形成部14、排紙部15、読取センサ22、液晶パネル26、キー27などが制御部30によって制御され、各機能を実行する。
【0033】
<制御部の電気ブロック構成>
図4は、図2に示す制御部30の電気ブロック図である。
制御部30は、周知のコンピュータである。簡単に構成を説明すると、制御部30は、中央演算処理装置(以下「CPU」という。)31にROM32、RAM33、NVRAM34などのメモリが接続している。ROM32には、パスワードの入力を制御するためのパスワード入力プログラム42と、パスワードの認証を行って複合機10に特定の機能を実行させるためのパスワード認証プログラム43とが格納されている。NVRAM34には、設定されたパスワードを記憶するためのパスワード記憶手段41が設けられている。
【0034】
また、CPU31は、入出力インターフェース35がLAN3に接続し、パソコン2などとデータの送受信を行う。CPU31は、入出力インターフェース35が給紙部13、画像形成部14、排紙部15、読取センサ22、原稿自動送り装置24に接続し、読取センサ22が読み取った読取データやパソコン2から送信されてきた画像データなどを記録用紙に印刷する印刷動作を制御する。更に、CPU31は、公衆電話回線網36やインターネット網37に接続し、ネットワーク(パスワード設定システム1)外の装置とファクシミリデータや画像データ等の送受信を行う。
【0035】
<パスワード入力プログラム>
次に、上述したパスワード入力プログラム42について説明する。図5は、図4に示すパスワード入力プログラム42のフローチャートであり、CPU31により実行される。
パスワード入力プログラム42は、キー操作部25のキー27が操作されたときにROM32から読み出されて実行される。パスワード入力プログラム42は、キー操作部25に設けられたキー27のうちパスワード設定に使用可能なキー27を機能に応じて変更し、使用可能なキー27を用いて設定されたパスワードをパスワード記憶部41にするように複合機10を機能させるものである。
【0036】
すなわち、パスワード入力プログラム42は、ステップ11(以下「S11」という。)において、例えば、キー操作部25のPrint専用キー27iやFAX専用キー27j、Copy専用キー27k、モード切替キー27lなどの操作内容を読み取って、現在選択されている機能が何であるかを確認する。
【0037】
例えば、Print専用キー27iが操作されたことを読み取った場合には、現在選択されている機能がプリント機能であると判断する。この場合には(S11:プリント機能)、S12において、キー操作部25に設けられたキー27のうち、テンキー27a、短
縮ダイヤルキー27h、FAX専用キー27j、Copy専用キー27kをパスワード設定に使用可能なキーとして設定する。その後、S16へ進む。
【0038】
例えば、FAX専用キー27jやモード切替キー27lに含まれるFAXキーが操作されたことを読み取った場合には、現在選択されている機能がファックス機能であると判断する。この場合には(S11:ファックス機能)、S13において、キー操作部25に設けられたキー27のうち、テンキー27a、Copy専用キー27kをパスワード設定に使用可能なキーとして設定する。その後、S16へ進む。
【0039】
例えば、Copy専用キー27kやモード切替キー27lに含まれるCopyキーが操作されたことを読み取った場合には、現在選択されている機能がコピー機能であると判断する。この場合には(S11:コピー機能)、S14において、キー操作部25に設けられたキー27のうち、テンキー27a、短縮ダイヤルキー27h、FAX専用キー27jをパスワード設定に使用可能なキーとして設定する。その後、S16へ進む。
【0040】
例えば、モード切替キー27lに含まれるScanキーが操作されたことを読み取った場合には、現在選択されている機能がスキャン機能であると判断する。この場合には(S11:スキャン機能)、S15において、キー操作部25に設けられたキー27のうち、テンキー27a、FAX専用キー27j、Copy専用キー27kをパスワード設定に使用可能なキーとして設定する。その後、S16へ進む。
【0041】
従って、上記S11〜S15に示す処理を実行することにより、機能に応じてパスワード設定に使用可能なキー27が変更される。この意味で、S11〜S15の処理は、「使用可能キー変更手段」の一例になる。
【0042】
現在選択されている機能に応じてパスワード設定に使用可能なキーが設定されたら、S16においてパスワード列入力処理を行う。パスワード列入力処理は、S11〜S15の処理でパスワード設定に使用可能とされたキーを用いてパスワードを設定する。この意味で、S16のパスワード列入力処理は、「第2パスワード設定手段」の一例になる。
【0043】
図6は、図5に示すパスワード列入力処理S16のサブフローチャートである。
パスワード列入力処理は、キー27が一つ押下される毎に実行される。すなわち、S161において、キー操作部25に設けられたキー27の押下を受け付ける。そして、S162において、OKキー27eを押下して、パスワード入力完了の指示があるか、若しくは、Stop/Exitキー27bを押下して、パスワード入力を中止したかを判断する。押下されたキー27が、OKキー27e若しくはStop/Exitキー27bでないと判断した場合には(S162:NO)、S163において、押下されたキー27が図5に示すS12〜S15の処理で使用可能なキー27として設定されたパスワード用キーであるか否かを判断する。
【0044】
押下されたキー27がパスワード設定に使用可能なキーでない場合には(S163:NO)、当該キー操作を無視してS161に戻り、次のキー入力を待つ。
【0045】
一方、押下されたキー27がパスワード設定に使用可能なキーであると判断した場合には(S163:YES)、S164において、押下されたキーをパスワード列に入力する。このとき、液晶パネル26には、第三者が表示を見てパスワードを盗用しないように、入力されたキーの内容を「*」で表示する。その後、S161に戻る。
【0046】
上記のようにして、パスワード設定に使用可能なキー27を操作して所望のパスワードを入力していく。OKキー27eが押下されると(S162:YES、S165:YES
)、パスワード設定が完了したことを認識し、S166において、設定されたパスワードをパスワード記憶部41に記憶してから、図5のS16に戻る。そして、処理を終了する。
【0047】
一方、Stop/Exitキー27bが押下されると(S162:YES、S165:NO)、S167において、それまでに入力したパスワードをクリアしてから、図5のS16に戻る。そして、処理を終了する。
【0048】
<パスワード認証プログラム>
次に、パスワード認証プログラム43について説明する。図7は、パスワード認証プログラム43のフローチャートである。
パスワード認証プログラム43は、パスワードが設定された機能について実行する命令がキー操作部25に入力されたときに、ROM32から読み出されて実行される。
【0049】
パスワード認証プログラム43は、先ずS21において、キー操作部25の操作内容を読み取る。そして、S22において、S21で操作されたキー27が特定の機能の実行を命令するキー27であるか否かを判断する。例えば、テンキー27aなど特定の機能の実行を命令するキー27でないと判断した場合には(S22:NO)、そのまま待機する。
【0050】
一方、特定の機能の実行を命令するキー27であると判断した場合には(S22:YES)、S23において、その特定の機能を実行する場合にパスワードの入力を要するか否かを判断する。例えば、トナー残量を確認するためにキー操作部25を操作した場合には、パスワードの入力が不要であるので(S23:NO)、そのままS28へ進む。
【0051】
これに対して、例えば、プリント機能やスキャン機能などを実行するためにパスワードの入力を要すると判断した場合には(S23:YES)、S24において、例えば、「パスワードを入力して下さい。」とのパスワードの入力を促すメッセージを液晶パネル26に表示する。そして、S25において、キー操作部25で押されたキー27を読み取る。このとき、第三者が液晶パネル26の表示を見てパスワードを盗むことを防止するために、液晶パネル26には、キー操作に連動して「*」が表示される。
【0052】
そして、S26において、キー操作部25から入力されたパスワードが、パスワード記憶部41に記憶されているパスワードと一致するか否かを判断する。換言すれば、キー操作部25を操作することにより特定の機能を選択して実行する場合に、キー操作部25に入力されたパスワードが、図5のパスワード列入力処理において設定されたパスワードと一致するか否かを照合する。この意味で、S26の処理は、「第2照合手段」の一例である。
【0053】
キー操作部25から入力されたパスワードが、パスワード記憶部41に記憶されているパスワードと一致しない場合には(S26:NO)、S27において、例えば、「パスワードが一致しないため、要求された命令を実行できません。」とのエラーメッセージを液晶パネル26に表示する。そして、特定の機能を実行せずに処理を終了する。
【0054】
一方、キー操作部25から入力されたパスワードが、パスワード記憶部41に記憶されているパスワードと一致する場合には(S26:YES)、S28において、特定の機能を実行する。この意味で、S28の処理は、「第2実行許可手段」の一例である。特定の機能を実行したら、処理を終了する。
【0055】
<動作説明>
次に、上記構成を有する第1実施形態の複合機10、パスワード設定システム1につい
て動作を説明する。
【0056】
最初に、セキュア印刷について説明する。セキュア印刷とは、パソコン2から複合機10に送信した印刷データを記録用紙に直ちに印刷せずに複合機10のRAM33に一時保存しておき、その後、送信者が複合機10のキー操作部25から印刷指令を入力したときに保存したデータを印刷するものである。
【0057】
例えば、機密データを印刷する場合には、ユーザは、印刷を行う前に、複合機10のキー操作部25を操作してセキュア印刷機能を選択する。セキュア印刷機能は、プリント機能に属するので、キー操作部25のうちテンキー27aと短縮ダイヤルキー27hとFAX専用キー27jとCopy専用キー27kとがパスワード設定時に使用可能となる。
【0058】
ユーザは、数字を入力するためのテンキー27aと、ファンクションキーである短縮ダイヤルキー27hとFAX専用キー27jとCopy専用キー27kとを押下することにより、セキュア印刷用のパスワード列(例えば、テンキー27aの「1」、短縮ダイヤルキー27hの「2」、テンキー27aの「3」、FAX専用キー27jの「オンフック」、短縮ダイヤルキー27hの「5」)を設定してからOKキー27eを押し、パスワード列をパスワード記憶部41に記憶させる(図5、図6参照。)。
【0059】
尚、テンキー27aと短縮ダイヤルキー27hとFAX専用キー27jとCopy専用キー27kは、任意に組み合わせることができ、しかも、複数のキーを同時に押下してパスワード列を設定してもよい。
【0060】
その後、ユーザはパソコン2の設置場所へ行き、作成した機密データをパソコン2から複合機10へ送信する。このとき、ユーザは、セキュア印刷する命令を機密データと共に複合機10へ送信する。
【0061】
複合機10は、機密データを受信すると、セキュア印刷する命令を解析し、機密データをRAM33に一時的に記憶しておく。ユーザが、複合機10の設置場所へ行き、Print専用キー27iを操作してセキュア印刷機能を選択すると、パスワード入力が必要と判断して、液晶パネル26にパスワード入力指示画面を表示する(図7のS21,22:YES、S23:YES、S24参照)。ユーザが、キー操作部25によってパスワード列を入力してOKキー27eを押下すると、入力されたパスワード列をパスワード記憶部41に記憶されているパスワード列と一致するか判断する(図7のS25、S26)。
【0062】
例えば、ユーザが、テンキー27aの「1」、短縮ダイヤルキー27hの「2」、テンキー27aの「3」、FAX専用キー27jの「オンフック」、短縮ダイヤルキー27hの「5」を順に押してOKキー27eを押下した場合には、入力されたパスワード列がパスワード記憶部41に記憶されたパスワードと一致するので、RAM33から機密データを読み出して印刷する(図7のS26:YES、S28参照)。
【0063】
これに対して、例えば、ユーザが、短縮ダイヤルキー27hの「1」、短縮ダイヤルキー27hの「2」、テンキー27aの「3」、FAX専用キー27jの「オンフック」、短縮ダイヤルキー27hの「5」を順に押してOKキー27eを押下した場合には、入力された最初のパスワード列(短縮ダイヤルキー27hの「1」)が、パスワード記憶部41に記憶されているパスワード列(テンキー27aの「1」)と異なるため、RAM33に記憶されている機密データを印刷せずに、液晶パネル26にエラーメッセージを表示する(図7のS26:NO、S27参照)。
【0064】
次に、例えば、社外秘の図面をスキャンしてユーザのパソコン2へ送信する場合につい
て説明する。
【0065】
例えば、複合機10には、スキャン機能を使用できるユーザが登録されている。使用権限を有するユーザは、パスワードと自己のパソコン2のアドレスを複合機10に登録しておく。具体的には、ユーザは、複合機10のキー操作部25に設けられたモード切替キー27lのうちScanキーを押下してセキュリティ機能を選択する(図5のS11参照)。
【0066】
スキャン機能の場合、キー操作部25のうちテンキー27aとFAX専用キー27jとCopy専用キー27kとがパスワード設定に使用可能なキーとなる(図5のS11:スキャン機能、S15参照)。そこで、例えば、パスワード列(FAX専用キー27jの「ファックス送信」、Copy専用キー27kの「拡大/縮小」、テンキー27aの「1」)を設定してOKキー27eを押下する。すると、設定されたパスワード列がパスワード記憶部41に記憶される(図5のS16、図6参照)。そして、ユーザが、パソコン2のアドレスをテンキー27aにより登録すると、そのアドレスは、設定されたパスワード列と関連付けてNVRAM34に記憶される。
【0067】
社外秘の図面をスキャンする場合には、ユーザは、モード切替キー27lのScanキーを押下し、実行する機能を特定する(図7のS21、S22:YES参照)。スキャン機能を使えるユーザは予め限定され、パスワードを設定しているため、パスワード入力指示画面を液晶パネル26に表示する(図7のS23:YES、S24参照)。
【0068】
ユーザが、キー操作部25からパスワード列(FAX専用キー27jの「ファックス送信」、Copy専用キー27kの「拡大/縮小」、テンキー27aの「1」)を入力してOKキー27eを押下すると、入力されたパスワード列がパスワード記憶部41に記憶されているパスワードと一致すると判断する(図7のS25、S26:YES)。すると、液晶パネル26に「スキャン可」と表示されてスキャン機能に関するキー操作が有効になる。そこで、ユーザは、社外秘の図面を画像読取ユニット21にセットし、Startキー27cを押下し、スキャンを行う。スキャンデータは、設定されたパスワード列と関連付けられたアドレスに送信される。
【0069】
よって、ユーザは、社外秘の図面のスキャンが完了して自己のパソコン2へ戻ると、スキャンした社外秘の図面をパソコン2上で開いて確認することができる。そのため、他のユーザが、突然、社外秘の図面を受信して作業を中断される不具合や、社外秘の図面が部外者のパソコン2に送られる不具合を回避できる。
【0070】
尚、例えば、スキャン機能の実行権限を有するユーザを追加するなど、複合機10の設定内容を変更する場合にも、設定変更権者が予めキー操作部25から設定したパスワードを入力して権限認証を行うようにすれば、勝手な変更を防止できる。
【0071】
<第1実施形態の作用効果>
よって、第1実施形態の複合機10は、キー操作部25に設けられたキー27のうちパスワード設定に使用可能なキー27を複合機10が有する機能(例えばプリント機能、ファックス機能、コピー機能、スキャン機能)に応じて変更する(図5のS11〜S15参照)。パスワード設定時には、機能に応じて決められた使用可能なキー27を用いてパスワードを設定する(図5のS16、図6のS163:YES、S164参照)。そして、キー操作部25から特定の機能(例えばセキュア印刷機能)を選択して実行する場合には、キー操作部25に入力されたパスワードと、パスワード記憶部41に予め設定されたパスワードとを照合し、それらが一致するときに、特定の機能の実行を許可する(図7のS26:YES、S27参照)。このように、第1実施形態の複合機10は、パスワード設
定時に使用できるキー操作部25のキー27が機能に応じて限定され、複雑であるので、キー操作部25に設けられた全てのキー27を用いてパスワード設定を行う場合と比べてセキュリティが向上する。
【0072】
また、第1実施形態の複合機10は、特定の機能(例えばスキャンtoメール機能)についてパスワード設定を行うときに、スキャン機能を実行するときに使用しないキー27、すなわち、テンキー27aとFAX専用キー27jとCopy専用キー27kとをパスワード設定時に使用可能なキー27とするので、パスワード入力時に誤ってスキャン実行指示を入力し、スキャンデータを他人のパソコン2に送信するなどの誤作動を防止できる。
【0073】
また、本発明の複合機10は、特定の機能がプリント機能であるときに、プリント実行時に操作しない短縮ダイヤルキー27hをパスワード設定時に使用できるようにする。短縮ダイヤルキー27hは、数字列により管理されているため、同じ数字列を示すテンキー27aと一緒に用いることにより、テンキー27aのみを使用する場合と比べて2倍以上のセキュリティを確保することができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、本発明の複合機、パスワード設定システム及びパスワード設定プログラムの第2実施形態について説明する。
【0075】
<パスワード設定システムの全体構成>
図8は、パスワード設定システム1Aの一例を示す概略構成図である。
【0076】
第2実施形態のパスワード設定システム1Aは、パソコン2上でパスワードを設定可能にした点が、複合機10のみでパスワードを設定可能にする第1実施形態と相違する。よって、ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は図面に第1実施形態で用いた符号を付し、説明を適宜省略する。
【0077】
パスワード設定システム1Aは、第1実施形態と同様、LAN3を介して他のパソコン2や複合機10と通信可能に接続されている。パソコン2は、周知のコンピュータであって、パソコン2の動作を司る制御部51と、データ入力を行う「入力手段」の一例であるキーボード57及びマウス58と、データを表示する「表示手段」の一例である液晶ディスプレイ59と、CDなどの記憶媒体61からデータやプログラムを読み取るための読取装置60とを備える。
【0078】
制御部51は、CPU52と、ROM53と、RAM54と、ハードディスクドライブ(以下「HDD」という。)55と、入出力インターフェース56とを有する。HDD55には、パスワード設定プログラム62が格納されている。パスワード設定プログラム62は、記憶媒体61に記憶され、読取装置60に読み取られてHDD55に記憶されている。
【0079】
<パスワード設定プログラム>
図9は、図8に示すパスワード設定プログラム62のフローチャートである。図11は、図9に示すパスワード設定プログラム62の実行時に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
パスワード設定プログラム62は、パソコン2の起動時にHDD55から読み出されて実行される。パスワード設定プログラム62は、パソコン2上のパスワード設定を制御するものである。
【0080】
パスワード設定プログラム62は、先ずS31において、例えば図11に示す印刷設定画面をパソコン2の液晶ディスプレイ59に表示する。図11に示すように、印刷設定画面には、記録用紙のサイズや余白の設定、OKボタン71、キャンセルボタン72など通常印刷に必要な事項を設定する欄73の他、セキュア印刷を設定する欄74が表示される。
【0081】
ユーザがキーボード57やマウス58を操作することにより希望する印刷設定事項を図11に示す印刷設定画面に入力すると、S32において、キーボード57やマウス58の操作を受け付ける。そして、S33において、印刷設定画面のOKボタン71かキャンセルボタン72が操作されたか否かを判断する。OKボタン71かキャンセルボタン72が操作されていないと判断した場合には(S33:NO)、S34において、ユーザがセキュア印刷を設定する欄74を開く操作をしたか否かを判断する。ユーザがセキュア印刷を設定する欄74を開く操作をしていないと判断した場合には(S34:NO)、S35において、セキュア印刷以外の各設定処理を行う。
【0082】
一方、ユーザがセキュア印刷を設定する欄74を開く操作をしたと判断した場合には(S34:YES)、S36において、セキュア印刷設定処理を実行する。
【0083】
図10は、図9に示すセキュア印刷設定処理S36のサブフローチャートである。図12は、図10に示すセキュア印刷設定処理実行時に表示されるパスワード設定画面の一例を示す図である。
【0084】
セキュア印刷設定処理では、S361において、セキュア印刷がオンされたか否かを判断する。具体的には、図11に示すセキュア印刷オン・オフ設定欄75において、「オン」がクリックされたか否かに基づいて判断する。セキュア印刷オン・オフ設定欄75の「オフ」がクリックされたと判断した場合には(S361:NO)、そのまま処理を終了し、図9のS32に戻る。
【0085】
一方、セキュア印刷オン・オフ設定欄75の「オン」がクリックされたと判断した場合には(S361:YES)、S362において、図12に示すパスワード設定画面を液晶ディスプレイ59に表示する。図12に示すパスワード設定画面には、複合機10のキー操作部25を画像化した仮想キー操作部81と、仮想キー操作部81を操作することにより入力されたパスワード列を表示するパスワード表示欄82と、パスワード設定完了を知らせるためのOKボタン83と、パスワード設定中止を知らせるための戻るボタン84とが表示される。従って、S363の処理は、「表示制御手段」の一例である。
【0086】
そして、S16において、パスワード列入力処理を実行する。パスワード列入力処理は、第1実施形態において説明した図5のS16及び図6に基づいて行う。但し、第2実施形態では、図12に示す仮想キー操作部81に表示されたキーにカーソル70を位置合わせしてクリックすることにより、パスワード列が入力される。従って、S16の処理は、「第1パスワード設定手段」の一例である。
【0087】
このとき、仮想キー操作部81は、プリント機能においてパスワード設定時に使用可能なテンキー27aと短縮ダイヤルキー27hとファックス専用キー27jとコピー専用キー27kとに対応する仮想キーを赤色で表示するなどして識別可能に表示する。よって、ユーザは、赤色などで識別可能に表示された仮想キーをクリックして、パスワード列を入力する。
【0088】
入力されたパスワード列は、パスワード表示欄82に順次表示されるので、ユーザはパスワード設定内容を簡単に確認できる。パスワード列の設定が完了したら、OKボタン8
3をクリックする。尚、パスワード設定を中止する場合には、戻るボタン84をクリックする。
【0089】
そして、図10のS363において、複合機10がセキュア印刷したい印刷データを他のデータと識別できるようにするために、図11に示すユーザ名表示欄77とジョブ名表示欄78に標準の名前(例えば、印刷データの最初の文字列)を設定する。そして、S364において、ユーザが、キーボード57からユーザ名表示欄77とジョブ名表示欄78にユーザ名とジョブ名を入力したか否かを判断する。ユーザ名とジョブ名が入力されたと判断した場合には(S364:YES)、S365において、S363で設定したユーザ名とジョブ名の標準の名前を、ユーザが入力したユーザ名とジョブ名に変更して設定する。その後、S366へ進む。
【0090】
これに対して、ユーザ名とジョブ名が入力されないと判断した場合には(S364:NO)、ユーザ名とジョブ名を標準の名前に設定したまま、S366へ進む。
S366においては、セキュア印刷の設定をジョブに保存する。その後、図9のS32に戻る。
【0091】
図9に戻り、上記のようにして印刷設定が行い、ユーザが図11に示す印刷設定画面の「OK」ボタン71又は「キャンセル」ボタン72をキーボード57又はマウス58でクリックすると(S33:YES)、S37において、クリックされたのが「OK」ボタン71か否かを判断する。「OK」ボタン71であると判断した場合には(S37:YES)、S38において、入出力インターフェース56からLAN3を介して複合機10にジョブを送信する。従って、S38の処理は、「パスワード送信手段」の一例である。ジョブの送信が完了したら、処理を終了する。
【0092】
一方、クリックされたのが「キャンセル」ボタン72であって、「OK」ボタン71でないと判断した場合には(S37:NO)、ユーザに印刷実行の意志がないので、ジョブを複合機10に送信しないまま処理を終了する。
【0093】
複合機10は、パソコン2からセキュア印刷指示を含むジョブを受信すると、そのジョブに含まれる印刷データをNVRAM34に一時的に記憶させておく。このとき、印刷データには、パソコン2側で設定されたユーザ名、ジョブ名、パスワードと関連付けて記憶されており、他のデータと区別できるようになっている。この受信動作は、「パスワード受信手段」の一例になり得る。
【0094】
セキュア印刷指示を含む印刷データを印刷する処理は、上述した図7と同様である。簡単に説明すると、ユーザは複合機10のキー操作部25を操作することによりユーザ名及びファイル名を特定してセキュア印刷指令を入力する。すると、パスワード入力指示画面が複合機10の液晶パネル26に表示されるので、ユーザはキー操作部25を操作することによりパスワードを入力する。そして、入力されたパスワードがユーザ名及びジョブ名で特定された印刷データに関連付けられたパスワードと一致するか否かを照合し(第1照合手段)、一致すると判断した場合には、特定された印刷データを記録用紙に印刷する(第1実行許可手段)。尚、パスワードが一致しない場合には、特定された印刷データを記録用紙に印刷しない。この場合には、エラーメッセージを液晶パネル26に表示してもよい。
【0095】
<第2実施形態のパスワード設定システム及びパスワード設定プログラムの作用効果>
第1実施形態のパスワード設定システム1Aは、パソコン2の液晶ディスプレイ59に複合機10に設けられたキー操作部25を画像化した仮想キー操作部81を表示し、パソコン2の液晶ディスプレイ59上でパスワードを設定する(図10のS363、S16、
図12参照)。そして、設定したパスワードは、パソコン2からLAN3を介して複合機10に送信される(図9のS38参照)。複合機10は、LAN3を介してパソコン2からパスワードを受信する。そして、複合機10は、特定の機能(例えばセキュア印刷機能)を実行する前にキー操作部25を用いてパスワードが入力されたときに、入力されたパスワードをパソコン2から受信したパスワードと照合し、それらが一致する場合に、セキュア印刷のジョブに含まれる印刷データを記録用紙に印刷する動作を許可する(図7参照)。よって、第2実施形態のパスワード設定システム1Aは、第三者の目につきにくいパソコン2から複合機10のパスワードを設定するので、第三者にパスワードを盗用されにくく、セキュリティを向上させることができる。
【0096】
しかも、複合機10のキー操作部25を画像化した仮想キー操作部81を用いてパスワードを設定するので、複合機10側のキー操作部25によりパスワードを入力するときに、パスワードを思い出して入力しやすい。
【0097】
また、第2実施形態のパスワード設定システム1Aは、複合機10のキー操作部25を画像化した仮想キー操作部81をパソコン2の液晶ディスプレイ59に表示するときに、仮想キー操作部81のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを赤色などで識別可能に表示するので(図12参照)、パスワード設定に使用可能な仮想キーを簡単に判別し、パスワードの設定をパソコン2上で容易に行うことができる。また、機能に応じて使用可能なキーが制限されるので、パスワードを複雑化してセキュリティをより一層向上させることができる。
【0098】
また、第2実施形態のパスワード設定プログラム62は、複合機10のキー操作部25を画像化した仮想キー操作部81をパソコン2の液晶ディスプレイ59に表示させ、仮想キー操作部81によって設定されたパスワードをパソコン2から複合機10に送信させるので(図9のS36、図10、図9のS38参照)、第三者がパスワード設定時にパスワードを盗みにくく、セキュリティを向上させることができる。
【0099】
また、第2実施形態のパスワード設定プログラム62は、仮想キー操作部81を液晶ディスプレイ59に表示する場合に、仮想キー操作部81のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを赤色などで識別可能に表示するので(図12参照)、パスワード設定をパソコン2上で容易に行わせることができる。また、仮想キー操作部81のうちパスワード設定に使用できるキーが制限されるので、パスワードを複雑化してセキュリティを一層向上させることができる。
【0100】
尚、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1A パスワード設定システム
2 パソコン(情報処理端末)
3 LAN(通信手段)
10 複合機
25 キー操作部
27 キー
27h 短縮ダイヤルキー
42 パスワード入力プログラム(使用可能キー変更手段、第2パスワード設定手段)
43 パスワード認証プログラム(第1照合手段、第2照合手段、第1実行許可手段、第2実行許可手段)
56 入出力インターフェース(パスワード受信手段)
57 キーボード(入力手段)
58 マウス(入力手段)
59 液晶ディスプレイ(表示手段)
62 パスワード設定プログラム(表示制御手段、第1パスワード設定手段、パスワード送信手段)
81 仮想キー操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能を有する複合機と、入力手段から入力されたデータを処理し、表示手段に表示する情報処理装置と、前記複合機と前記情報処理装置とを通信可能に接続する通信手段と、を有するパスワード設定システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記複合機に設けられたキー操作部を画像化した仮想キー操作部を前記表示手段に表示する表示制御手段と、
前記表示手段に表示された仮想キー操作部によってパスワードを設定する第1パスワード設定手段と、
前記第1パスワード設定手段が設定したパスワードを前記通信手段を介して前記複合機に送信するパスワード送信手段と、を有し、
前記複合機は、
前記情報処理装置から前記通信手段を介して前記パスワードを受信するパスワード受信手段と、
前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記パスワード受信手段が受信したパスワードと一致するか否かを照合する第1照合手段と、
前記第1照合手段が、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記パスワード受信手段が受信したパスワードと一致すると判断した場合に、前記特定の機能の実行を許可する第1実行許可手段と、
を有することを特徴とするパスワード設定システム。
【請求項2】
請求項1に記載するパスワード設定システムにおいて、
前記情報処理装置は、前記表示手段に表示された仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを前記機能に応じて制限する使用可能仮想キー制限手段を有し、
第1パスワード設定手段は、前記使用可能仮想キー制限手段によって使用可能とされた仮想キーを用いてパスワードを設定する
ことを特徴とするパスワード設定システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するパスワード設定システムにおいて、
前記複合機は、
前記キー操作部を操作することにより特定の機能を選択して実行し、
前記キー操作部に設けられたキーのうちパスワード設定に使用可能なキーを前記機能に応じて変更する使用可能キー変更手段と、
前記使用可能キー変更手段によって使用可能とされたキーを用いてパスワードを設定する第2パスワード設定手段と、
前記キー操作部を操作することにより前記特定の機能を選択して実行する場合に、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記第2パスワード設定手段が設定したパスワードと一致するか否かを照合する第2照合手段と、
前記第2照合手段が、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記第2パスワード設定手段が設定したパスワードと一致すると判断した場合に、前記特定の機能の実行を許可する第2実行許可手段と、
を有することを特徴とするパスワード設定システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載するパスワード設定システムにおいて、
前記表示制御手段は、パスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に前記表示手段に表示させる
ことを特徴とするパスワード設定システム。
【請求項5】
複数の機能を有する複合機に対してパスワードを設定するパスワード設定プログラムに
おいて、
情報処理装置に、前記複合機のキー操作部を画像化した仮想キー操作部を前記情報処理装置の表示手段に表示させ、前記表示手段に表示された仮想キー操作部によって前記パスワードが設定された場合に、前記パスワードを前記複合機に送信させる
ことを特徴とするパスワード設定プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載するパスワード設定プログラムにおいて、
前記情報処理装置に、前記仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを前記機能に応じて制限させる
ことを特徴とするパスワード設定プログラム。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載するパスワード設定プログラムにおいて、
前記情報処理装置に、前記仮想キー操作部を前記表示手段に表示させる場合に、パスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に表示させる
ことを特徴とするパスワード設定プログラム。
【請求項1】
複数の機能を有する複合機と、入力手段から入力されたデータを処理し、表示手段に表示する情報処理装置と、前記複合機と前記情報処理装置とを通信可能に接続する通信手段と、を有するパスワード設定システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記複合機に設けられたキー操作部を画像化した仮想キー操作部を前記表示手段に表示する表示制御手段と、
前記表示手段に表示された仮想キー操作部によってパスワードを設定する第1パスワード設定手段と、
前記第1パスワード設定手段が設定したパスワードを前記通信手段を介して前記複合機に送信するパスワード送信手段と、を有し、
前記複合機は、
前記情報処理装置から前記通信手段を介して前記パスワードを受信するパスワード受信手段と、
前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記パスワード受信手段が受信したパスワードと一致するか否かを照合する第1照合手段と、
前記第1照合手段が、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記パスワード受信手段が受信したパスワードと一致すると判断した場合に、前記特定の機能の実行を許可する第1実行許可手段と、
を有することを特徴とするパスワード設定システム。
【請求項2】
請求項1に記載するパスワード設定システムにおいて、
前記情報処理装置は、前記表示手段に表示された仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを前記機能に応じて制限する使用可能仮想キー制限手段を有し、
第1パスワード設定手段は、前記使用可能仮想キー制限手段によって使用可能とされた仮想キーを用いてパスワードを設定する
ことを特徴とするパスワード設定システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するパスワード設定システムにおいて、
前記複合機は、
前記キー操作部を操作することにより特定の機能を選択して実行し、
前記キー操作部に設けられたキーのうちパスワード設定に使用可能なキーを前記機能に応じて変更する使用可能キー変更手段と、
前記使用可能キー変更手段によって使用可能とされたキーを用いてパスワードを設定する第2パスワード設定手段と、
前記キー操作部を操作することにより前記特定の機能を選択して実行する場合に、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記第2パスワード設定手段が設定したパスワードと一致するか否かを照合する第2照合手段と、
前記第2照合手段が、前記キー操作部に入力されたパスワードが、前記第2パスワード設定手段が設定したパスワードと一致すると判断した場合に、前記特定の機能の実行を許可する第2実行許可手段と、
を有することを特徴とするパスワード設定システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載するパスワード設定システムにおいて、
前記表示制御手段は、パスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に前記表示手段に表示させる
ことを特徴とするパスワード設定システム。
【請求項5】
複数の機能を有する複合機に対してパスワードを設定するパスワード設定プログラムに
おいて、
情報処理装置に、前記複合機のキー操作部を画像化した仮想キー操作部を前記情報処理装置の表示手段に表示させ、前記表示手段に表示された仮想キー操作部によって前記パスワードが設定された場合に、前記パスワードを前記複合機に送信させる
ことを特徴とするパスワード設定プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載するパスワード設定プログラムにおいて、
前記情報処理装置に、前記仮想キー操作部のうちパスワード設定に使用可能な仮想キーを前記機能に応じて制限させる
ことを特徴とするパスワード設定プログラム。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載するパスワード設定プログラムにおいて、
前記情報処理装置に、前記仮想キー操作部を前記表示手段に表示させる場合に、パスワード設定に使用可能な仮想キーを識別可能に表示させる
ことを特徴とするパスワード設定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−199603(P2009−199603A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89827(P2009−89827)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【分割の表示】特願2007−39205(P2007−39205)の分割
【原出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【分割の表示】特願2007−39205(P2007−39205)の分割
【原出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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