説明

パターン形成方法および半導体デバイスの製造方法

【課題】インプリントリソグラフィを用いてパターン形成する際のレイヤ間の位置合わせを精度良く行なうパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】実施の形態によれば、第1のテンプレート作製ステップは、光露光装置によってショット毎に所定の位置ずれ分布を与えて第1の基板上パターンを形成し、その後、前記第1の基板上パターンを前記ショット毎に切り出して第1のテンプレートを作製する。第2のテンプレート作製ステップは、前記第1のテンプレートのパターンを転写して第2のテンプレートを作製する。パターン形成ステップは、第2の基板に既に形成されている下層側パターンとの間の位置ずれ量が所定の基準値以下となる第2のテンプレートのパターンを転写して前記第2の基板上に第2の基板上パターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、パターン形成方法および半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化に伴って、リソグラフィに要求される微細化が厳しくなってきている。リソグラフィを用いた半導体デバイスの微細化方法の1つに、ナノインプリントリソグラフィを用いたプロセスがある。ナノインプリントリソグラフィは、微細な凹凸を有したテンプレートのパターンを、モールドを押し付ける要領でウエハ上の転写用レジストに転写する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−194142号公報
【特許文献2】特開2001−68411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来技術においては、インプリントリソグラフィを用いてパターン形成する際のレイヤ間の位置合わせを精度良く行なうことが望まれている。
【0005】
本発明の実施の形態は、インプリントリソグラフィを用いてパターン形成する際のレイヤ間の位置合わせを精度良く行なうパターン形成方法および半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態によれば、第1のテンプレート作製ステップと、第2のテンプレート作製ステップと、パターン形成ステップと、を含んでいる。第1のテンプレート作製ステップは、第1の光露光装置によって第1の基板上のショット毎に所定の位置ずれ分布を与えて第1の基板上パターンを形成し、その後、前記第1の基板上パターンを前記ショット毎に前記第1の基板から切り出して第1のテンプレートを作製する。第2のテンプレート作製ステップは、前記第1のテンプレートのテンプレートパターンを、第1のインプリント技術によってテンプレート基板に転写することで、第2のテンプレートを作製する。パターン形成ステップは、第2の基板に既に形成されている下層側パターンと、前記第2の基板上に形成する上層側パターンと、の間の位置ずれ量である層間位置ずれ量が所定の基準値以下となる第2のテンプレートを用いて、当該第2のテンプレートのテンプレートパターンを、第2のインプリント技術によって前記第2の基板に転写することで、前記第2の基板上に前記上層側パターンとしての第2の基板上パターンを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施の形態に係るパターン形成方法を説明するための図である。
【図2】図2は、マスターマスクの作製処理手順を示す図である。
【図3】図3は、テンプレート用ウエハに形成するパターンのショット毎の位置ずれ分布を示す図である。
【図4】図4は、光露光装置が行なう位置ずれ補正の例を示す図である。
【図5】図5は、子テンプレートの作製処理手順を示す図である。
【図6】図6は、ウエハ上パターンの形成処理手順を示す図である。
【図7】図7は、側壁プロセスのプロセスフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係るパターン形成方法および半導体デバイスの製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係るパターン形成方法を説明するための図である。図1は、実施の形態に係るパターン形成方法の処理手順を示している。本実施の形態では、製品ウエハなどの半導体基板上に半導体集積回路パターンなどのパターンを形成する場合について説明する。
【0010】
製品ウエハW2上にパターンを形成する際には、マスターマスクの作製処理(ST1)と、ウエハテンプレートの作製処理(ST2)と、子テンプレートの作製処理(ST3)と、子テンプレートを用いたウエハ上パターンの形成処理(ST4)と、が行なわれる。本実施の形態では、作製するデバイスが要求性能を満たすことができるよう、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)によって製品ウエハW2上に形成するパターンを、製品ウエハW2の下層側に形成されているパターンに対して精度良く位置合わせする。
【0011】
(マスターマスクの作製処理手順)
マスターマスクの作製処理は、電子線描画装置21を用いてマスターマスクM1を作製する処理である。マスターマスクM1は、テンプレート用ウエハW1上に、親テンプレート(ウエハテンプレート)T1を形成する際に用いる光露光用のフォトマスクである。
【0012】
図2は、マスターマスクの作製処理手順を示す図である。図2の(a)〜(c)では、マスク基板1AやマスターマスクM1などの断面図を示している。マスターマスクM1の作製工程は、図2の(a)に示すEBレジストパターニング工程と、図2の(b)に示すハードマスク(HM)エッチング工程と、図2の(c)に示す基板エッチング工程と、を含んでいる。
【0013】
フォトマスクとなるマスターマスクM1の作製には、図2の(a)に示すように、ブランクス基板(石英基板)であるマスク基板1Aが用いられる。マスターマスクM1の作製工程では、マスク基板1A上にパターン転写用のハードマスクとなるCr膜やMoSi膜などの被加工膜2A(マスターマスクM1の加工に用いるHM)を成膜するとともに、被加工膜2A上にEBレジスト(電子線描画用レジスト)を塗布する。
【0014】
そして、半導体集積回路パターンの設計パターンに対応するマスク描画用のデータを用いて、電子線描画装置21でEBレジストにEB描画を実施する。EBレジストは、EB描画された後、必要に応じてベークされ、現像工程を経て、EBレジストパターン3Bとなる。
【0015】
EBレジストパターン3Bがマスク基板1A上に形成された後、EBレジストパターン3Bをマスク材として、マスク基板1A上の被加工膜2Aをエッチングする。これにより、パターニングされた被加工膜2Bが形成される(図2の(b))。
【0016】
この後、レジスト残りをアッシングし、その後、マスク基板1Aを洗浄する。そして、パターニングされた被加工膜2Bをマスクにしてマスク基板1Aをエッチングする。その後、被加工膜2Bを剥離することによって、マスク基板1A上に凹凸パターンを形成する。これにより、パターニングされたマスターマスクM1が作製される(図2の(c))。なお、マスターマスクM1の作製プロセスは、図2に示した以外の方法を用いてもよい。
【0017】
(ウエハテンプレートの作製処理手順)
つぎに、ウエハテンプレートの作製処理手順について説明する。テンプレート用ウエハW1の被加工膜上にレジストが塗布される。ここでのテンプレート用ウエハW1は、親テンプレート(マスターテンプレート)T1〜Tnが形成されるシリコン基板などである。また、親テンプレートT1〜Tn(nは自然数)は、子テンプレートD1〜Dnの作製に用いるテンプレートである。なお、以下では、子テンプレートD1〜Dnを子テンプレートDxという場合がある。また、親テンプレートT1〜Tnを親テンプレートTxという場合がある。
【0018】
レジストが塗布されたテンプレート用ウエハW1へは、マスターマスクM1と光露光装置22と、を用いて、露光処理が行われる。このとき、本実施の形態では、親テンプレートTxの候補となるショットパターン(親テンプレートT1〜Tn)がテンプレート用ウエハW1上に形成される。各ショットパターンには、1〜複数のチップが配置されている。
【0019】
インプリント工程で形成されるパターンが位置合わせを行なうパターンは、後述する下層側パターン7である。下層側パターン7は、所定の光露光条件で形成されており、本実施の形態では、この露光条件に応じた位置ずれ分布でインプリント工程を行なう。
【0020】
このため、露光条件に応じた位置ずれ分布でインプリント工程を行なえるよう、種々の位置ずれ分布を有した子テンプレートD1〜Dnを作製しておく。そして、下層側パターン7の位置ずれ分布に応じた子テンプレートDxを選択して上層側のパターン形成を行なう。
【0021】
本実施の形態では、種々の位置ずれ分布を有した子テンプレートDxを作製しておくために、種々の露光条件でテンプレート用ウエハW1上の各ショットを露光する。具体的には、ショット毎にショット内でのパターン配置(位置ずれ分布)を変えながら、各ショットの露光処理を行なう。換言すると、ショット毎にパターン配置(image placement)が異なるような露光をテンプレート用ウエハW1に行う。
【0022】
図3は、テンプレート用ウエハに形成するパターンのショット毎の位置ずれ分布を示す図である。ここでは、光露光条件が、光露光装置と、マスクとの組み合わせである場合について説明する。製品やロットによって光露光装置やマスクが異なる場合、それぞれの「光露光装置+マスク」の組み合わせ毎に種々の位置ずれ分布を有したパターンが形成される。
【0023】
本実施の形態では、光露光装置やマスクに応じた位置ずれ分布で形成された下層側パターン7の上層側に、位置ずれ分布を正確に補正したパターンを、NIL工程を用いて形成する。このため、ショット毎に種々の位置ずれ分布を与えてテンプレート用ウエハW1へのパターン形成を行なっておく。
【0024】
テンプレート用ウエハW1上へは、例えば、テンプレートパターンの回転方向の位置ずれ成分と、テンプレートパターンのひずみ成分とを、ショット毎に種々変化させて、テンプレートパターンを形成しておく。
【0025】
図3では、テンプレート用ウエハW1の横方向のショット位置(ショット座標)に対して、位置ずれの回転成分を変化させ、テンプレート用ウエハW1の縦方向のショット位置に対して、位置ずれのひずみ成分を変化させてテンプレートパターンを形成する場合を示している。
【0026】
例えば、テンプレート用ウエハW1の各ショットは、光露光装置とマスクとの組み合わせで下層側パターン7を露光した場合に生じる位置ずれ分布と同じ位置ずれ分布を有するよう露光しておく。換言すると、光露光装置とマスクとの種々の組み合わせで生じる位置ずれ分布を補正できるよう、種々の位置ずれ分布でテンプレート用ウエハW1の各ショットを露光しておく。
【0027】
例えば、光露光装置30Aとマスクm1との組み合わせで下層側パターン7を露光した場合に生じる位置ずれの回転成分が第1の回転成分で、位置ずれのひずみ成分が第1のひずみ成分であるとする。この場合、テンプレート用ウエハW1上に形成されるパターンが第1の回転成分および第1のひずみ成分を有した位置ずれとなるよう、例えば第1のショットを露光しておく。
【0028】
また、光露光装置30Aとマスクm2との組み合わせで下層側パターン7を露光した場合に生じる位置ずれの回転成分が第1の回転成分で、位置ずれのひずみ成分が第2のひずみ成分であるとする。この場合、テンプレート用ウエハW1上に形成されるパターンが第1の回転成分および第2のひずみ成分を有した位置ずれとなるよう、例えば第2のショットを露光しておく。
【0029】
また、光露光装置30Bとマスクm3との組み合わせで下層側パターン7を露光した場合に生じる位置ずれの回転成分が第2の回転成分で、位置ずれのひずみ成分が第3のひずみ成分であるとする。この場合、テンプレート用ウエハW1上に形成されるパターンが第2の回転成分および第3のひずみ成分を有した位置ずれとなるよう、例えば第nのショットを露光しておく。
【0030】
これにより、第1のショットからは、子テンプレートD1が形成され、第2のショットからは、子テンプレートD2が形成され、第nのショットからは、子テンプレートDnが形成される。このように、下層側パターン7の位置ずれ分布に応じた上層側のパターンを形成できるよう、テンプレート用ウエハW1へは、種々の光露光条件に応じた種々の位置ずれ分布で露光しておくので、下層側パターン7の位置ずれ分布に応じた親テンプレートTxを選択することが可能となる。
【0031】
なお、図3では、ショット座標の横方向に位置ずれの回転成分を変化させ、ショット座標の縦方向に位置ずれのひずみ成分を変化させた場合について説明したが、変化させる位置ずれのパラメータは、光露光装置22が位置合わせ補正に用いるものの中から、任意に選んでもよい。
【0032】
図4は、光露光装置が行なう位置ずれ補正の例を示す図である。図4では、光露光装置22が、テンプレート用ウエハW1への露光を行う際に用いる、ショット毎の位置ずれ補正方法を示している。位置ずれ分布としては、線形成分の位置ずれ(Linear error)と高次の非線形成分(高次成分)の位置ずれ(High order error)がある。
【0033】
線形成分の位置ずれ補正としては、ショット全体の位置を平行移動させる補正(Offset XY)41、ショット全体の位置を回転移動させる補正(Rot)42、ショット全体の倍率を変える補正(MagXY)43、ショット全体を斜め方向に歪める補正(Skew)44などがある。
【0034】
また、高次成分の位置ずれ補正としては、ショット内のX座標が小さくなるに従って露光領域を狭め、ショット内のX座標が大きくなるに従って露光領域を広げる補正(second Order)45がある。なお、ショット内のX座標が小さくなるに従って露光領域を広め、ショット内のX座標が大きくなるに従って露光領域を狭めてもよい。また、補正45を、Y方向に適用してもよい。
【0035】
また、高次成分の位置ずれ補正としては、ショットの全体をX方向に対して弓形に曲げる補正(BowY)46、ショットの全体をY方向に対して弓形に曲げる補正(BowX)47がある。また、高次成分の位置ずれ補正としては、ショット内のX方向またはY方向の座標毎に露光領域を所定の割合で狭める又は広げる補正(third order)48がある。また、高次成分の位置ずれ補正としては、ショットの全体を波形に曲げる補正(Snake)49がある。上述した補正のうち、補正44〜49がひずみ成分の補正である。
【0036】
光露光装置22によって、テンプレート用ウエハW1の各ショットが露光された後、テンプレート用ウエハW1が現像され、これにより、テンプレート用ウエハW1の被加工膜上にレジストパターンが形成される。このレジストパターン上から被加工膜をエッチングすることで、テンプレート用ウエハW1上に親テンプレートT1〜Tnのパターンが形成される。なお、ここでの光露光装置22には、MUV(中間紫外線)、KrF、ArF、F2、EUV(Extreme Ultraviolet)などの、何れの光源を用いてもよい。
【0037】
テンプレート用ウエハW1上に形成されたパターンが、テンプレート用ウエハW1からショット毎に切りだされることによって、親テンプレートT1〜Tnが作製される。この後、親テンプレートT1〜Tnをテンプレート基板上のインプリント樹脂にインプリントすることによって、子テンプレート(Daughterテンプレート)D1〜Dnが作製される。
【0038】
(子テンプレートの作製処理手順)
図5は、子テンプレートの作製処理手順を示す図である。図5の(a)、(b)では、親テンプレートTx、テンプレート基板1C、子テンプレートDxなどの断面図を示している。子テンプレートDxの作製工程は、NIL(ナノインプリントリソグラフィ)工程を含んでいる。
【0039】
子テンプレートDxは、インプリント装置23Aと親テンプレートTxとを用いて作製される。子テンプレートDxの作製には、ブランクス基板(石英基板)であるテンプレート基板1Cが用いられる。
【0040】
子テンプレートDxの作製工程では、テンプレート基板1C上にハードマスクとなる被加工膜2C(子テンプレートDxの加工に用いるHM)を成膜するとともに、被加工膜2C上に光硬化性または熱硬化性の樹脂としてレジスト6A(ウエハNILレジスト)を塗布する。
【0041】
レジスト6Aは、親テンプレートT1が押し付けられた状態で光照射されることによって、パターニングされる(図5の(a))。具体的には、テンプレート基板1Cの上部に親テンプレートTxを近づけて押し付ける。これにより、レジスト6Aが親テンプレートTxの凹部にしみこむ。レジスト6Aが光硬化型の場合、レジスト6Aが凹部に完全にしみこんだ後、光が照射される。これにより、レジスト6Aが硬化する。この後、テンプレート基板1Cから親テンプレートTxが引き剥がされる(離型)。離型後にレジスト残膜(レジストパターンの下部に残る薄膜)が除去された後、パターニングされたレジスト6Aをマスクとして被加工膜2Cがエッチングされ、これにより、被加工膜2Cがパターニングされる。
【0042】
この後、被加工膜2C上のレジスト残りがアッシングされ、その後、テンプレート基板1Cが洗浄される。そして、パターニングされた被加工膜2Cをマスクにして、テンプレート基板1Cがエッチングされる。これにより、親テンプレートTxのパターンが転写された子テンプレートDxが作製される(図5の(b))。子テンプレートD1〜Dnのテンプレートパターンは、それぞれ親テンプレートT1〜Tnのパターンを反転させてコピーしたパターンである。
【0043】
(ウエハ上パターンの形成処理手順)
つぎに、ウエハ上パターンの形成処理手順について説明する。子テンプレートDxが作製された後、この子テンプレートDxを用いたNILを行なうことによって、製品ウエハW2上の被加工膜にウエハ上パターン(後述のウエハ上パターン5B)が形成される。ウエハ上パターン5Bを形成する際には、形成するウエハ上パターン5Bよりも下層側に形成されているパターンであって、形成するウエハ上パターン5Bの位置合わせ(重ね合わせ)に用いるパターン(下層側パターン7)の位置ずれに応じた親テンプレートTx(子テンプレートDx)が選択される。
【0044】
例えば、下層側パターン7の各ショットが回転成分の位置ずれを有している場合、図3で説明した補正42によって位置ずれ補正されたショットに対応する親テンプレートTxが選択される。そして、この親テンプレートTxを用いて作製された子テンプレートDxを用いてウエハ上パターン5Bが形成される。これにより、下層側パターン7と、下層側パターン7よりも上層側に形成されるウエハ上パターン5Bと、の間(レイヤ間)でパターンの位置合わせを正確に行なうことが可能となる。
【0045】
なお、親テンプレートTxを選ぶ際には、親テンプレートTx毎に、下層側パターン7(下地)との間の位置合わせがどの程度になるかを測定する。この測定(下層側パターン7との間の位置合わせ測定)は、例えば、親テンプレートTxのテンプレートパターンに対応するレジストパターンをテンプレート用ウエハW1上に形成した後に行なう。なお、前記測定は、テンプレートパターンに対応するレジストパターンで被加工膜をエッチングした後に行ってもよいし、テンプレート用ウエハW1から親テンプレートTxを切り出した後に行ってもよい。また、前記測定は、親テンプレートTxを用いて子テンプレートDxを作製した後に、子テンプレートDxを用いて行ってもよい。
【0046】
子テンプレートDxを用いて前記測定を行うことによって正確な位置合わせ量を測定することが可能となる。また、パターン形成工程の早い段階(上流工程)で前記測定を行うことによって前記測定までに手間をかけることなく容易に位置合わせ量を測定することが可能となる。
【0047】
また、前記測定は、全ての親テンプレートTxに対して行ってもよいし、一部の親テンプレートTxに対して行ってもよい。前記測定を一部の親テンプレートTxに対して行なう場合、位置ずれ量が所望範囲に入りそうな親テンプレートTxを選択して前記測定を行う。
【0048】
同様に、前記測定は、テンプレート用ウエハW1上の全ショットに対して行ってもよいし、一部のショットに対して行ってもよい。前記測定を一部のショットに対して行なう場合、位置ずれ量が所望範囲に入りそうなショット(親テンプレートTx)を選択して前記測定を行う。
【0049】
また、前記測定は、全ての子テンプレートDxに対して行ってもよいし、一部の子テンプレートDxに対して行ってもよい。前記測定を一部の子テンプレートDxに対して行なう場合、位置ずれ量が所望範囲に入りそうな子テンプレートDxを選択して前記測定を行う。
【0050】
テンプレート用ウエハW1上のパターンや親テンプレートTxに対して前記測定を行う場合、測定結果に基づいて選択されたテンプレート用ウエハW1上のショットや親テンプレートTxに対応する子テンプレートDxのみを作製してもよい。
【0051】
また、前記測定の測定方法としては、(1)子テンプレートDx、親テンプレートTx、テンプレート用ウエハW1のパターン位置の絶対値を測定する方法、(2)基準となるウエハ上パターンまたは石英テンプレートのテンプレートパターンを準備しておき、これらのパターンに対する子テンプレートDx、親テンプレートTx、テンプレート用ウエハW1の相対位置を測定する方法などがある。
【0052】
これらの(1)、(2)の測定方法を用いた測定結果に基づいて、下層側パターン7との間の位置ずれ量が所定の基準値以下となる子テンプレートDxや親テンプレートTxが選択される。これにより、NILにおける位置合わせ精度を向上させることができる。
【0053】
図6は、ウエハ上パターンの形成処理手順を示す図である。図6の(a)、(b)では、子テンプレートDxや製品ウエハW2などの断面図を示している。ウエハ上パターン5Bの作製工程は、NIL工程を含んでいる。ウエハ上パターン5Bは、インプリント装置23Bと子テンプレートDxとを用いて、製品ウエハW2上に形成される。製品ウエハW2は、子テンプレートDxに形成されたパターンをNIL工程によって転写するためのプロセス基板(シリコン基板など)である。
【0054】
製品ウエハW2上には、予めウエハ上パターン5Bとの間で位置合わせが行なわれる下層側のパターン(下層側パターン7)を形成しておく。さらに、下層側パターン7上には、ウエハ上パターン5Bの形成に用いるパターン形成用膜(加工対象膜)5Aが成膜されている。さらに、パターン形成用膜5A上には、ハードマスクとなる被加工膜(パターン形成用膜5Aの加工に用いるHM)2Dが成膜され、被加工膜2D上には光硬化性や熱硬化性のレジスト(ウエハNILレジスト)6Bが塗布されている。
【0055】
レジスト6Bは、子テンプレートDxが押し付けられた状態で光照射されることによって、パターニングされる(図6の(a))。この後、製品ウエハW2から子テンプレートDxが引き離される(離型)。離型後にレジスト残膜が除去された後、パターニングされたレジスト6Bをマスクとして被加工膜2Dがエッチングされ、これにより被加工膜2Dがパターニングされる。
【0056】
この後、被加工膜2D上のレジスト残りがアッシングされ、その後、製品ウエハW2が洗浄される。そして、パターニングされた被加工膜2Dをマスクにして、パターン形成用膜5Aがエッチングされる。これにより、子テンプレートDxのパターンがパターン形成用膜5Aに転写されて、ウエハ上パターン5Bが製品ウエハW2上に形成される(図6の(b))。
【0057】
なお、本実施の形態では、下層側パターン7が光露光装置(フォトリソグラフィ)を用いて形成される場合について説明したが、下層側パターン7は、NILを用いて形成されたパターンであってもよい。また、子テンプレートDxを用いたパターン形成は、何れのレイヤで行ってもよい。例えば、製品ウエハW2上の全レイヤまたは一部のレイヤで子テンプレートDxを用いたパターン形成処理が行なわれる。製品ウエハW2上の全レイヤで子テンプレートDxを用いたパターン形成処理を行う場合、上述したマスターマスクの作製処理、親テンプレートTxの作製処理、子テンプレートDxの作製処理、子テンプレートDxを用いた製品ウエハW2上へのパターン形成処理がレイヤ毎に繰り返される。これにより、製品ウエハW2上に半導体デバイス(半導体集積回路)が製造される。
【0058】
また、マスターマスクM1、テンプレート用ウエハW1、親テンプレートTx、子テンプレートDxは、何れのタイミングで作製してもよい。例えば、マスターマスクM1、テンプレート用ウエハW1、親テンプレートTx、子テンプレートDxは、下層側パターン7を形成する前に作製してもよいし、下層側パターン7を形成した後に作製してもよい。
【0059】
また、親テンプレートTxを作製する際に側壁プロセスを用いてもよい。図7は、側壁プロセスのプロセスフローを示す図である。側壁プロセス(側壁ライン転写プロセス)は、側壁パターンを下層側に転写することによって側壁パターンと同じラインパターンを形成するプロセスである。図7に示す各処理(s1)〜(s7)の上段側がパターン形成の際の上面図(最上層のみ)であり、下段側がパターン形成の際の断面図である。
【0060】
側壁ライン転写プロセスでは、基板の上層に、パターン形成の対象となるパターン形成層51Aと、このパターン形成層51Aの上層に芯材を形成させる芯材層52Aと、を形成しておく。そして、ショット毎に種々の露光条件で露光処理を行って芯材層52Aの上層に最小加工幅2Hのレジストパターン53Aを形成する(s1)。
【0061】
この後、RIE(Reactive Ion Etching)法などによってレジストパターン53Aをマスクとして芯材層52Aをエッチングし、芯材パターン52Bを形成する(s2)。そして、この芯材パターン52Bをスリミング加工することによって、スリミングパターン52Cを形成する(s3)。なお、レジストパターンを下地(図示せず)に転写することによって形成した膜パターンをスリミング加工することによって、スリミングパターン52Cを形成してもよい。
【0062】
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって基板上に窒化膜などの側壁デポジット膜54Aを堆積させる(s4)。この後、RIEなどの異方性エッチングによって側壁デポジット膜54Aをエッチバックし、側壁デポジット膜54Aから側壁パターン54Bを形成する(s5)。
【0063】
そして、スリミングパターン52Cをウエットエッチングすることによってスリミングパターン52Cを除去し、パターン形成層51A上に側壁パターン54Bのみを残す(s6)。この後、側壁パターン54Bをマスクとして、RIEなどによってパターン形成層51Aをエッチングし、ラインパターン51Bを形成する(s7)。これにより、ライン幅Hのラインパターン51Bを形成することが可能となる。このラインパターン51Bが、親テンプレートTxのテンプレートパターンとなる。
【0064】
なお、側壁プロセスは、前述した側壁ライン転写プロセスに限らず、側壁スペース転写プロセスであってもよい。側壁スペース転写プロセスは、側壁パターンを下層側に転写することによって側壁パターンと同じスペースパターンを形成するプロセスである。
【0065】
このように実施の形態によれば、種々の位置ずれを有した親テンプレートTxを、光露光装置22の位置ずれ補正機能を用いて作製しているので、下層側パターン7の位置ずれに応じた子テンプレートDxを選択することができる。したがって、下層側パターン7の上層側にNILでパターン形成を行う際に、下層側と上層側との間を精度良く位置合わせして上層側のパターンを形成することが可能となる。換言すると、NILを用いてパターン形成する際のレイヤ間の位置合わせを精度良く行なうことが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
5B…ウエハ上パターン、7…下層側パターン、22…光露光装置、23A,23B…インプリント装置、D1〜Dn,Dx…子テンプレート、T1〜Tn,Tx…親テンプレート、W1…テンプレート用ウエハ、W2…製品ウエハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光露光装置によって第1の基板上のショット毎に所定の位置ずれ分布を与えて第1の基板上パターンを形成し、その後、前記第1の基板上パターンを前記ショット毎に前記第1の基板から切り出して第1のテンプレートを作製する第1のテンプレート作製ステップと、
前記第1のテンプレートのテンプレートパターンを、第1のインプリント技術によってテンプレート基板に転写することで、第2のテンプレートを作製する第2のテンプレート作製ステップと、
第2の基板に既に形成されている下層側パターンと、前記第2の基板上に形成する上層側パターンと、の間の位置ずれ量である層間位置ずれ量が所定の基準値以下となる第2のテンプレートを用いて、当該第2のテンプレートのテンプレートパターンを、第2のインプリント技術によって前記第2の基板に転写することで、前記第2の基板上に前記上層側パターンとしての第2の基板上パターンを形成するパターン形成ステップと、
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記層間位置ずれ量は、前記第2のテンプレートを作製する際に測定されるとともに、測定結果に基づいて、前記第2のテンプレートの中から前記第2の基板上パターンの形成に用いる第2のテンプレートが選択されることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記層間位置ずれ量は、前記第1のテンプレートを作製する際に測定されるとともに、測定結果に基づいて、前記第1のテンプレートの中から前記第2のテンプレートの作製に用いる第1のテンプレートが選択されることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記光露光装置は、前記第1の基板上パターンの位置ずれ分布を変化させるパラメータを変化させることで、前記第1の基板上のショット毎に位置ずれ分布を与えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
【請求項5】
半導体基板上にフォトリソグラフィ技術またはインプリント技術によって下層側パターンを形成する工程と、前記下層側パターン上にパターン形成用膜を形成する工程と、前記パターン形成用膜をエッチングして上層側パターンを形成する工程とを備えた半導体デバイスの製造方法であって、
前記上層側パターンを形成する工程は、
光露光装置によって第1の基板上のショット毎に所定の位置ずれ分布を与えて第1の基板上パターンを形成し、その後、前記第1の基板上パターンを前記ショット毎に前記第1の基板から切り出して第1のテンプレートを作製する第1のテンプレート作製ステップと、
前記第1のテンプレートのテンプレートパターンを、第1のインプリント技術によってテンプレート基板に転写することで、第2のテンプレートを作製する第2のテンプレート作製ステップと、
前記半導体基板上に形成する上層側パターンと、既に形成されている下層側パターンと、の間の位置ずれ量である層間位置ずれ量が所定の基準値以下となる第2のテンプレートを用いて、当該第2のテンプレートのテンプレートパターンを、第2のインプリント技術によって前記パターン形成用膜の上方に塗布したレジストに転写することで、前記レジストをパターニングするパターン形成ステップと、
を含むことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−258605(P2011−258605A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129292(P2010−129292)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】