説明

パターン形成法及び印刷機

【課題】素材の機能を発揮させたパターンを作る。又素材の選定により体積を持った構造物を基板面作る。
【解決手段】シリコンゴム製凹版4に機能性素材5を充填し、接着剤6を塗布する。凹版平部23の素材等の残渣を除去し、凹部素材の粘着性、凝集性の確保の後、基板8に転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電機部品等製作の工程の中で望まれている、基板面上へ精度、精細を維持しながら機能性素材を高厚膜で基板上にパターン形成する方法及び印刷機に関するもの。
【背景技術】
【0002】
電器部品等を作るプロセスの中で各種のパターン化技術が使用されている。廉価手法として、印刷法が使われている。その印刷によるパターンの膜厚は厚膜が望まれているものの一般的に数μ以下であり、又機能性素材がインキ化されている為その機能が十分に出せないでいる(図6)。又、寸法精度の悪さ、精細性の悪さなど課題があり、より良いパターンの形成法が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電極の印刷、PDP用のリブなど厚盛の印刷が望まれているが、厚膜形成が可能なシルク印刷では精度や精細性が不足する。
【0004】
現在高精度が求められる比較的厚盛の印刷が可能なグラビヤ法においても得られる膜厚は数μで、要求される膜厚は得られない。本案はグラビヤ印刷並みの高精度、高精細を得つつ、シルク印刷並みの数十μの膜厚を印刷によって得るという課題を解決するために考案したものである。
【課題を解決する為の手段】
【0005】
本案は上記課題を解決する為に考案したもので、
まず、シリコンゴムシート面に求める画像に応じた深度、開口を設け、該シートに精度を待たせるため裏面に剛性板を貼り付シリコンゴム製凹版(4)とする。
【0006】
シリコン製凹版面の凹部に機能性素材を充填する。接着剤を追加充填し該機能性素材を固化及び表面に粘着性を持たせた後に、充填された機能性素材のすべてを基板に転写する。この事により機能性素材を厚膜にしてパターン形成する。
【発明の効果】
【0007】
▲1▼従来の印刷では、機能性素材はべつの樹脂すなわち溶媒や溶剤で包み印刷適正を持たせたインキ化して使用する為、素材が溶媒や溶剤中で分散している為素材の機能が損なわれている(図6−▲6▼)。これに対し、本案では素材そのものをまず接しさせ接着剤で固化する為、素材の密度が高く(図1−▲7▼)、素材の機能が損なわれる事が少ないパターンの形成が出来る。
【0008】
▲2▼凹部に充填した素材のすべてを使用しパターン形成を行う為、凹部の深度、大きさの設定、充填する構造材の形状や大きさを選定する事によって必要な高さ形状の構造体を形成法できる。
【発明を実施する為の最良の形態】
【0009】
シリコンゴムによって作成した凹版の凹部に機能性素材を充填、更に接着剤を充填、接着剤によって機能性素材が半固化し表面に粘着性の発生を待って凹部に充填した素材をすべて基板に転写し、機能性素材によるパターン形成を行う。
【0010】
請求項1についての原理を図1により説明する。
請求項2についての原理を図2により説明する。
【実施例1】
【0011】
図4により請求項1の実施例の説明を行う。図3によって作成したシリコンゴム製凹版(4)を作成、準備する(▲1▼)凹版凹部(11)に、機能性素材(5)をブレードにて充填する(▲2▼−1)。接着剤(6)を全面に塗布する(▲3▼)。
【0012】
接着剤の半硬化(▲4▼)を待って、シリコンゴムシート(21)面で出来たクリ−ニングローラー(20)を圧着し、凹版平部(23)に付いた素材と接着剤のすべてを転写除去する(▲5▼)。凹部内の接着剤の更なる乾燥を待って、基板(8)を圧着(▲6▼)、凹部内の半固化素材と接着剤をすべて基板に転写(▲7▼)。基板の焼成により粉末を完全固化する。これにより銀粉を硬化した輻20μ、高さ10μの導電配線を作成できた。
【実施例2】
【0013】
図5により請求項2の実施例の説明を行う。所定の深さを持ったシリコンゴム製凹版を準備する(▲1▼)。凹版凹部に、機能性素材(5)をブレード(18)にて充填する(▲2▼)。接着剤Aを全面に塗布する(▲3▼)。
【0014】
接着剤の半硬化(▲4▼)を待って、シリコンゴムシート(21)面で出来たクリ−ニングローラー(20)を圧着し、凹版平部(23)に付いた素材残と接着剤のすべてを転写除去する(▲5▼)。凹部内の接着剤の乾燥によって素材の更なる固化(▲6▼)を待って、接着剤B(13)をブレードにより塗布(▲7▼)。
【0015】
基板(8)を圧着、凹部内の固化素材と接着剤(A)接着剤(B)をすべて基板に転写(▲9▼)。基板の焼成により素材を完全固化しパターン形成する。これによりNI粉を硬化した幅180μ、高さ150μの構造物(仕切り板)を作成できた。
【実施例3】
【0016】
請求項3の実施例を図4により説明する。実施例2と同様の工程において、凹版凹部に、揮発性溶剤と混合した機能性素材をブレードにて充填する(▲2▼−2)。以後の工程は実施例2と同じ。
【実施例4】
【0017】
請求項4の実施例を図7に示す。
版胴(29)を設け、シリコンゴム製凹版(4)を貼る。該凹版に接するように接着剤供給機構(27)、機能性素材供給機構(28)、シリコンゴムシート(21)を張ったクリーニングローラー(20)を装備し、基板(8)を乗せて接して動く版定盤(30)を設けてある(▲1▼)。
【0018】
凹版面に機能性素材供給機構により機能性素材を供給し、接着剤供給機構により接着剤を供給する(▲2▼)。凹版表面をクリーニングローラーによってクリーニングする(▲3▼)。凹版画像を基板に転写する(▲4▼)。
【産業上の利用可能性】
【0019】
基板面に機能性のある素材を機能を損なうことなくパターン形成を試みる為に用いる。
高さや幅を求める構造体を基板上にパターン形成する為に用いる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 請求項1の原理説明図 ▲1▼ 図3によって出来たシリコンゴム製凹版(4)の準備の図 ▲2▼ 凹版の凹部に機能性素材(5)を充填する図 ▲3▼ 接着剤(6)を追加充填する図 ▲4▼ 接着剤が半硬化し機能性素材を接着する図 ▲5▼ 基板(8)を圧着する図 ▲6▼ 基板に凹部に充填された機能性素材がすべて転写する図 ▲7▼ 転写されたインキの拡大図;機能性素材が密に接着され、機能性を上げる原因となっている様子の説明図。
【図2】 請求項2の原理説明図 ▲1▼ 図3によって出来たシリコンゴム製凹版の準備の図 ▲2▼ 凹版の凹部(24)に機能性素材(5)を充填する図 ▲3▼ 凹部に接着液A(11)を充填する図 ▲4▼ 接着液Aが硬化し素材が固化する図 ▲5▼ 接着剤B(13)を素材の固化面に塗布する図 ▲6▼ 基板(8)を圧着する図 ▲7▼ 基板に凹部に充填された機能性素材がすべて転写する図
【図3】 シリコンゴム製凹版を作る説明図 ▲1▼ 求める凹版と凹凸を逆にする母型を準備する図 ▲2▼ 母型の表面にシリコンゴム液(2)を塗布する図 ▲3▼ ベース板(3)をゴム液背面に圧着する図 ▲4▼ シリコンゴム硬化後母型から剥離し出来たシリコンゴム製凹版の図
【図4】 請求項1及び請求項3の実施例の説明図 ▲1▼ 図3によって出来たシリコンゴム製凹版(4)の準備の図 ▲2▼−1 凹版の凹部にブレード(18)により機能性素材(5)を充填する図 ▲2▼−2 凹版の凹部にブレード(18)により揮発性溶剤と混合した機能性素材(25)を充填する図 ▲3▼ 接着剤(6)を追加充填する図 ▲4▼ 接着剤が半硬化し機能性素材を接着する図 ▲5▼ シリコンゴムシート(21)面で出来たクリ−ニングローラー(20)を圧着し、凹版平部(23)に付いた素材と接着剤のすべてを転写除去する図 ▲6▼ 基板(8)を圧着する図 ▲7▼ 基板に凹部に充填された機能性素材がすべて転写する図
【図5】 請求項2の実施例の説明図 ▲1▼ 図3によって出来たシリコンゴム製凹版の準備の図 ▲2▼ 凹版の凹部(24)にブレード(18)により機能性素材(5)を充填する図 ▲3▼ 凹部に接着液A(11)を塗布する図 ▲4▼ 接着液Aが半硬化し素材が半固化する図 ▲5▼ シリコンゴムシート(21)面で出来たクリ−ニングローラー(20)を圧着し、凹版平部(23)に付いた素材と接着剤Aのすべてを転写除去する図 ▲6▼ 接着液Aが硬化し素材が固化する図 ▲7▼ 接着剤B(13)を素材の固化面に塗布する図 ▲8▼ 基板(8)を圧着する図 ▲9▼ 基板に凹部に充填された機能性素材がすべて転写する図
【図6】 機能性素材をインキ化して使う従来技術の説明図。 ▲1▼ 図3によって出来たシリコンゴム製凹版の準備の図 ▲2▼ 凹版の凹部にインキ化された機能性素材を充填する図 ▲3▼ インキが半乾燥する図 ▲4▼ 基板を圧着する図 ▲5▼ 基板に凹部に充填されたインキがすべて転写する図 ▲6▼ 転写されたインキの拡大図;機能性素材が溶媒で独立して包まれ、素材の密度低下及び機能性を落とす原因となっている様子の説明図。
【図7】 本案実施の為の複数の供給機構を持った印刷機の例の図 ▲1▼ 本機全体説明図 ▲2▼ 版面に機能性素材の供給と接着剤の充填を行っている図 ▲3▼ 充填された版の表面をクリーニングしている図 ▲4▼ 版面から画像を基板に転写している図
【符号の説明】
1、母型 2、シリコンゴム液 3、ベース板
4、シリコンゴム製凹版 5、機能性素材 6、接着剤
7、接着している機能性素材 8、基板
9、基板に転写した機能性素材
10、所定の凹部を持った凹版 11、接着剤A
12、硬化した接着剤A 13、接着剤B 14、溶媒+溶剤
15、インキ化された機能性素材 16、溶剤が減り半硬化したインキ
17 基板に転写したインキ
18、ブレード 19、半硬化した接着剤
20、クリーニングローラー
21、シリコンゴムシート 22、転写した凹版平部のインキ
23、凹版平部 24、凹部
25、揮発性溶剤と混合した機能性素材 26、溶媒
27、接着剤供給機構 28、機能性素材供給機構 29、版胴
30、版定盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンゴム製凹版(4)の凹部(24)にインキを充填し、半乾燥後該インキを100%基板に転写する画像の形成法において、シリコンゴム製凹版の凹部に、第1に機能性素材(5)を充填し、第2に接着剤(6)を充填し該機能性素材を半固化した後、すべて基板に転写する事を特徴とするパターン形成法。
【請求項2】
シリコンゴム製凹版(4)の凹部(24)に、第1に機能性素材を充填し、第2に接着剤A(11)を充填し該素材を凹部内部で接着固体化し、第3に接着剤B(13)を充填し、機能性素材をすべて基板に転写する事を特徴とするパターン形成法。
【請求項3】
凹部に充填する機能性素材が揮発性溶剤と混合してある事を特徴とする請求項1及び2.
【請求項4】
凹版の凹部に複数の異なった素材をそれぞれ供給する複数の供給機構(27)(28)を備えた印刷機(図7)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−239101(P2010−239101A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103405(P2009−103405)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(503113463)
【Fターム(参考)】