説明

パチンコ遊技台用台間玉貸し機

【課題】 顧客にとって利便性があり、より低コストで美観を向上させ得る新規なICタグ使用方式のパチンコ遊技台用台間玉貸し機を提供する。
【解決手段】
パチンコ遊技台の側部ないし台間に設置される台間玉貸し機において、前面にコイン状のICタグと硬貨の共通投入口1を設けてその背後に該ICタグと硬貨の種分け機構2を設け、更に種分けされたICタグを受け入れるICタグへの書込み/読出し機構3と硬貨を受け入れる硬貨識別機構4を設けて、該硬貨識別機構4で識別された投入硬貨の金額を該ICタグへの書込み/読出し機構3に伝達し課金するためのコンピュータ機構5を余剰スペース内に収める。
またこうして生じた余剰スペース箇所に、紙幣挿入口6及びその背後の紙幣識別機構7を設け、この紙幣識別機構7と前記の硬貨識別機構4で識別された投入硬貨及び投入紙幣の金額をそれぞれ該ICタグへの書込み/読出機構3に伝達し課金するためのコンピュータ機構5を余剰スペース内に収める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ遊技台の側部ないし台間に設置される台間玉貸し機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日におけるパチンコ遊技台(単にパチンコ機又はパチンコ台などとも言う)のほとんどにはその側部ないし台間に幅狭の玉貸し機構が備え付けられている。そして顧客は予め店内で購入したプリペイドカードやプリペイドされたコイン状のICタグをその台間玉貸し機構(本願ではパチンコ遊技台用台間玉貸し機と称する)に設けられた投入口に投入して課金させ、その残高範囲内で随時所定数ずつの貸し玉を押しボタン等によりパチンコ遊技台の受皿に搬出させて遊技することができるが、この貸し玉現物の搬出機構は本発明でいう台間玉貸し機の外部に備え付けられているのが通例である。
【0003】
現在のところ台間玉貸し機で最も多く使われているのがプリペイドカード使用型のものであり、これを遊技台本体の台間(側部)に設置した外観を示せば図3のようになる。左側の縦長幅狭の箇所が本発明の対象となる台間玉貸し機で通称CRユニットとも呼ばれており、その中央部にあるスリットがプリペイドカードの挿入口である。また上部には別の硬貨投入口が設けられているが、これは顧客が遊技中に緊急追加課金をしなければならなくなった場合に備えて是非とも必要なものである。
【0004】
また最近急速に採用されつつあるのが、カード状のプリペイドカードに替えてコイン状のICタグを使用させるタイプの台間玉貸し機であり、その前面の外観を図4に示す。この場合もコイン状のICタグを投入するICタグ投入口Aの他に硬貨投入口Bが設けられており、他にもエラー表示ランプC、残高表示ランプD、ICタグ入中ランプE、返却口F、取外し鍵Gなどが設けられ、上半部の背後には制御等のコンピュータ機構が、返却口Fの背後にはICタグや硬貨の回収箱Hが、取外し鍵Gの背後には電源部Iがそれぞれ収容されている。
【0005】
なお、ICタグの概念図を図5に示す。これの左側の部分を平たく圧縮形成してコイン状にしたものが、現在普及しつつあるコイン状のICタグであり、その寸法は、直径約25mm、厚さ約2mmであって、非接触型ICカードとしてISO認定されているものである。
【0006】
またその概念図の右側の部分に相当する機構は、現在のICタグ採用型台間玉貸し機に収められているコンピュータ機構(マイクロコンピュータ回路基板)に組み込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように最近普及が広がりつつあるICタグ使用タイプの台間玉貸し機においては、いずれもICタグ投入口Aの他に硬貨投入口Bを設けることを余儀なくされており、それに伴い、前面とその背後の余剰スペースはほとんど無く、これが一層の利便性や美感等の向上をはかるうえでの制約となっていた。本発明はかかる問題点を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
パチンコ遊技台の側部ないし台間に設置される台間玉貸し機において、前面にコイン状のICタグと硬貨の共通投入口1を設けてその背後に該ICタグと硬貨の種分け機構2を設け、更に種分けされたICタグを受け入れるICタグへの書込み/読出し機構3と硬貨を受け入れる硬貨識別機構4を設けて、該硬貨識別機構4で識別された投入硬貨の金額を該ICタグへの書込み/読出し機構3に伝達し課金するためのコンピュータ機構5を余剰スペース内に収めるものとする。
【0009】
またこのように在来のような硬貨専用の投入穴口及びその背後の識別機構を無くしたことにより生じた余剰スペース箇所に、図面にあるような紙幣挿入口6及びその背後の紙幣識別機構7を設け、この紙幣識別機構7と前記の硬貨識別機構4で識別された投入硬貨及び投入紙幣の金額をそれぞれ該ICタグへの書込み/読出し機構3に伝達し課金するためのコンピュータ機構5を余剰スペース内に収めて、遊技中に追加課金する場合に紙幣も使えるようにする。
【0010】
ここにおいて用いられるコイン状ICタグと硬貨(100円玉と500円玉)の種分け機構2は、これら3種それぞれの形状は似ているものの寸法と材質が異なるから、通常公知の技術手段で容易に実現できる。また種分けされたICタグへの書込み/読出し機構3は既に使われているものを使用すれば良く、これに種分けされた硬貨の硬貨識別機構4で得られた金額情報、或いは紙幣識別機構7で得られた金額情報を、該コンピュータ機構5を介して無線伝達し、書込まれ課金された結果の残高は読出されて別箇所にディスプレイ表示される。
【0011】
またここで使われるコンピュータ機構5には、基本的に在来同様のマイクロコンピュータ回路基板が用いられ、硬貨識別機構4及び紙幣識別機構7と有線で接続され、ICタグへの書込み/読出し機構3に伝達するには無線発信機能を有する既存のものを用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては顧客にコイン状ICタグを硬貨と同様、共通の投入口に投入させ、その背後に種分け機構を配置することにより、別場所に硬貨投入口とその硬貨識別機構を設ける必要がなくなるため、当該玉貸し機の曲面とその背後に大きな余剰スペースを生むことになる。これはコスト低下につながるばかりか美観向上をはかるために有利であり、顧客にとっても代金投入先が統一されて利便性が大いに向上する。
【0013】
更に、前面の余剰スペース部分を広告や装飾、娯楽等のために活用したり、或いは紙幣挿入口をその箇所に設けて紙幣による入金も可能にできるなど、甚大な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
在来と同様の縦長幅狭の台間玉貸し機において、前面の最上部にLEDのエラー表示ランプCを設け、その下に紙幣挿入口6を設けてその背後に在来の紙幣識別機構7、及び紙幣の皺や波打ちを伸ばし回収・搬送部に移行させるための紙幣中継機8を収容する。その紙幣中継機8の一例として、断面略漏斗状のスリット筒状通路を形成したものが考えられる。
【0015】
該前面の更に下には、ICタグの残高をデジタル表示する残高表示ランプDとICタグ及び硬貨の共通投入口1、及びICタグが中に残留中に点灯するICタグ入中ランプEと、ICタグ及び硬貨の返却口Fが設けられる。共通投入口1の背後には前記のように種分け機構2、ICタグへの書込み/読出し機構3、及び硬貨識別機構4が収められるが、これらの上部にはマイクロコンピュータ回路基板からなるコンピュータ機構5が有線で接続されて収容され、紙幣識別機構7と硬貨識別機構4からの投入硬貨及び投入紙幤の金額情報をそれぞれ該ICタグへの書込み/読出し機構3に無線伝達する。こうしてICタグに課金された残高を該機構3が読出し、残高表示ランプDに伝達してデジタル表示する。
【0016】
その他の諸機構は基本的に在来のものを踏襲するが、本発明の最良の実施形態ないし実施例は上記に限られるものではなく、様々な派生ないし変形形態があり得ることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0017】
既に述べたように、本発明に用いられる様々な機構は在来の部品等を採用して確実に実現できるものであり、そのコストと量産性はむしろ向上し、ユーザーに対するメリットも大きいから、産業上の利用可能性は十分であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明一例の正面図
【図2】本発明一例を概念的に示す側断面図
【図3】従来のパチンコ遊技台及び台間玉貸し機の外観の正面図
【図4】従来のICタグ採用型台間玉貸し機の正面図
【図5】ICタグの概念図
【符号の説明】
【0019】
1……共通投入口 2……ICタグと硬貨の種分け機構
3……ICタグへの書込み/読出し機構 4……硬貨識別機構
5……コンピュータ機構 6……紙幣挿入口
7……紙幣識別機構 8……紙幣中継機
A……ICタグ投入口 B……硬貨投入口
C……エラー表示ランプ D……残高表示ランプ
E……ICタグ入中ランプ F……返却口
G……取外し鍵 H……ICタグと硬貨の回収箱
I……電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ遊技台の側部ないし台間に設置される台間玉貸し機において、前面にコイン状のICタグと硬貨の共通投入口を設けてその背後に該ICタグと硬貨の種分け機構を設け、更に種分けされたICタグを受け入れるICタグへの書込み/読出し機構と硬貨を受け入れる硬貨識別機構を設けて、該硬貨識別機構で識別された投入硬貨の金額を該ICタグへの書込み/読出し機構に伝達し課金するためのコンピュータ機構を余剰スペース内に収めたことを特徴とするパチンコ遊技台用台間玉貸し機。
【請求項2】
パチンコ遊技台の側部ないし台間に設置される台間玉貸し機において、前面にコイン状のICタグと硬貨の共通投入口を設けてその背後に該ICタグと硬貨の種分け機構を設け、更に種分けされたICタグを受け入れるICタグへの書込み/読出し機構と硬貨を受け入れる硬貨識別機構を設け、更に当該玉貸し機前面における別位置に紙幣挿入口とその背後に紙幣識別機構を設け、硬貨識別機構と紙幣識別機構で識別された投入硬貨及び投入紙幣の金額を該ICタグへの書込み/読出し機構に伝達し課金するためのコンピュータ機構を余剰スペース内に収めたことを特徴とするパチンコ遊技台用台間玉貸し機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−15095(P2006−15095A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220947(P2004−220947)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(504288395)エム・ケイシステムズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】