説明

パチンコ遊技機

【課題】不正にメイン制御基板を変更する行為を確実に発見すること。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、ID番号データ(識別情報)を有するメイン制御基板20(主制御部)と、ID番号データを記憶するID番号データ記憶部69(識別情報記憶部)を有した払出制御基板21と、電源遮断時にID番号データ記憶部69に電力を供給するバックアップ電源71(予備電源)とを備える。払出制御基板21は、所定の周期で、メイン制御基板20から識別情報を取得するとともに、識別情報の取得時、識別情報記憶部に識別情報が記憶されていなければ取得した識別情報を識別情報記憶部に記憶する処理を行い、識別情報記憶部に識別情報が記憶されていれば取得した識別情報が識別情報記憶部に記憶されている識別情報と一致するか否かを判定する処理(識別情報判定処理)を行って、識別情報判定処理において一致しないと判定したときは、所定のエラー処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、特に、メイン制御基板(主制御部)を変更する不正行為に対する対策が施されたパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機には、大当たり抽選など主に遊技者の利益に関わる制御を行うメイン制御基板(主制御部)が搭載されているところ、このメイン制御基板を不正な遊技データが書き込まれている基板に変更したり、メイン制御基板に実装されているワンチップマイコンを不正な遊技データが書き込まれたワンチップマイコンに変更したりして、不正に多数の賞球を得る行為が行われている。このようなメイン制御基板を変更する不正行為に対する対策を施したパチンコ遊技機としては、従来より下記特許文献1に示すものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のパチンコ遊技機では、メイン制御基板及び払出制御基板は、それぞれ、停電回数をカウントする停電カウンタを備えて構成されている。メイン制御基板及び払出制御基板は、停電時に電源基板から出力される停電信号に基づいてNMI(最優先)割込処理にて停電時処理を行う。停電時処理では、メイン制御基板及び払出制御基板は、必要最低限のデータのバックアップを行うとともに、それぞれの停電カウンタの値を1加算する。復電時、払出制御基板は、メイン制御基板から停電カウンタの値を受信し、自己の停電カウンタの値と比較する。どちらか一方の基板に対して不正がなされた場合には、両停電カウンタの値に差が生じることとなるので、復電時に両停電カウンタの値に差が生じていれば、払出制御基板は、その差に基づいて不正行為がなされたと判断し、エラーランプやエラーブザーにより異常が発生した旨を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−301408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のパチンコ遊技機では、停電カウンタの値を加算する処理が、電源基板からの停電信号を受けて実行される停電時処理として行われるため、メイン制御基板及び払出制御基板が動作し得る状態で停電信号が入力されなければ、停電カウンタの値が加算されない。すなわち、メイン制御基板や払出制御基板に対して電源基板からの電力を供給している各ケーブルが、メイン制御基板及び払出制御基板から外されてしまった場合には、停電が生じてもメイン制御基板及び払出制御基板は停電時処理を行うことができなくなり、停電カウンタの値が加算されない。そのため、メイン制御基板やそこに実装されているワンチップマイコンが不正に変更された場合であっても、停電カウンタの値に差が生ぜず、このような不正行為を発見することができないことがあった。
【0006】
そこで本発明では、上記事情に鑑み、メイン制御基板やそこに実装されているワンチップマイコンが不正に変更された場合に、このような不正行為を確実に発見可能なパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパチンコ遊技機は、大当たり抽選を行い、抽選の結果大当たりに当選した場合には、遊技者が多数の賞球を獲得可能な大当たり遊技を実行する主制御部と、遊技者への遊技球の払出に関する制御を行う払出制御部と、前記主制御部及び前記払出制御部に対して動作のための電力を供給する電源部とを備え、前記主制御部は、当該主制御部に固有の、又は当該パチンコ遊技機の機種によって定まる識別情報を有し、前記払出制御部は、前記識別情報を記憶する識別情報記憶部を有し、前記電源部は、当該電源部から前記払出制御部への電力の供給が遮断された場合に前記識別情報記憶部に電力を供給可能な予備電源を有しているパチンコ遊技機において、前記払出制御部は、所定の周期で、前記主制御部から前記識別情報を取得するとともに、該識別情報の取得時、前記識別情報記憶部に識別情報が記憶されていなければ、該取得した識別情報を前記識別情報記憶部に記憶する処理を行い、前記識別情報記憶部に識別情報が記憶されていれば、該取得した識別情報が前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報と一致するか否かを判定する処理(以下「識別情報判定処理」という。)を行って、該識別情報判定処理において一致しないと判定したときは、所定のエラー処理を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明のパチンコ遊技機では、前記払出制御部が、前記識別情報判定処理において一致しないと判定しときは、当該不一致の判定をしたときから所定時間経過したときに、前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報を、当該不一致の判定時に取得した識別情報に書き換える構成とすることができる。
【0009】
また、本発明のパチンコ遊技機では、現在時刻を計測可能な現在時刻計測手段を備える構成とし、前記払出制御部が、前記識別情報判定処理において一致しないと判定しときは、前記現在時刻計測手段によって計測される時刻が所定時刻となったときに、前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報を、当該不一致の判定時に取得した識別情報に書き換える構成とすることができる。
【0010】
また、本発明のパチンコ遊技機では、当該パチンコ遊技機での遊技に使用する遊技媒体の貸し出しに伴う金銭を受け付ける台間機と接続される構成とし、前記払出制御部が、前記所定のエラー処理として、前記台間機に対して、前記台間機の動作を停止させる制御信号(以下「動作停止信号」という。)を出力する構成とすることができる。
【0011】
この場合、前記台間機に対して接続確認要求信号を送信するとともに、該接続確認要求信号を受けた前記台間機から接続信号を受信することによって、前記台間機との接続を確認する構成とし、前記台間機に対して前記動作停止信号を出力した後において、前記台間機から再び前記接続信号を受信したときは、前記払出制御部が、前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報を、前記不一致の判定時に取得した識別情報に書き換えるよう構成することが望ましい。
【0012】
また、本発明の不正監視システムは、複数台のパチンコ遊技機と、前記複数台のパチンコ遊技機のそれぞれに対して接続される管理コンピュータと、を備えた不正監視システムであって、前記各パチンコ遊技機は、大当たり抽選を行い、抽選の結果大当たりに当選した場合には、遊技者が多数の賞球を獲得可能な大当たり遊技を実行する主制御部と、遊技者への遊技球の払出に関する制御を行う払出制御部と、前記主制御部及び前記払出制御部に対して動作のための電力を供給する電源部とを備え、前記主制御部は、当該主制御部に固有の、又は当該パチンコ遊技機の機種によって定まる識別情報を有し、前記払出制御部は、前記識別情報を記憶する識別情報記憶部を有し、前記電源部は、当該電源部から前記払出制御部への電力の供給が遮断された場合に前記識別情報記憶部に電力を供給可能な予備電源を有し、前記払出制御部は、所定の周期で、前記主制御部から前記識別情報を取得するとともに、該識別情報の取得時、前記識別情報記憶部に識別情報が記憶されていなければ、該取得した識別情報を前記識別情報記憶部に記憶する処理を行い、前記識別情報記憶部に識別情報が記憶されていれば、該取得した識別情報が前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報と一致するか否かを判定する処理(以下「識別情報判定処理」という。)を行って、該識別情報判定処理における判定結果を、前記管理コンピュータに対して出力するよう構成され、前記管理コンピュータは、前記各パチンコ遊技機から受信した判定結果中、不一致を示す判定結果が所定数であったとき、エラーである旨を報知する処理を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の不正監視システムでは、所定の報知手段を有する報知装置であって、前記複数台のパチンコ遊技機のそれぞれに対応して設けられるとともに前記管理コンピュータに接続される報知装置を備える構成とし、前記管理コンピュータが、前記エラーである旨を報知する処理として、不一致を示す判定結果を出力したパチンコ遊技機に対応する前記報知装置の報知手段を動作させる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパチンコ遊技機によれば、払出制御部は、所定の周期で、常時、主制御部の有する識別情報が変更していないかどうか監視しているため、正規の主制御部が不正に変更された場合には、不正行為があったことを即座に発見することができる。また、予備電源により、停電時であっても払出制御部の識別情報記憶部に記憶された識別情報は消えないので、主制御部及び払出制御部への電力供給を遮断して主制御部を変更した場合でも、不正行為がなされたことを確実に発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】同パチンコ遊技機が設置された遊技店内の構成を示すブロック図である。
【図3】同パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】同パチンコ遊技機と台間機との電気的接続を簡素化して示すブロック図である。
【図5】メイン制御基板が行うタイマ割込処理のフローチャートである。
【図6】始動口SW処理のフローチャートである。
【図7】ゲートSW処理のフローチャートである。
【図8】特別図柄処理のフローチャートである。
【図9】大当たり判定処理のフローチャートである。
【図10】普通図柄処理のフローチャートである。
【図11】大入賞口処理のフローチャートである。
【図12】電チュー処理のフローチャートである。
【図13】払出制御基板が行う監視処理のフローチャートである。
【図14】本発明の変更例に係るパチンコ遊技機において、払出制御基板が行う監視処理のフローチャートである。
【図15】他の変更例に係るパチンコ遊技機において、払出制御基板が行う監視処理のフローチャートである。
【図16】さらに他の変更例に係るパチンコ遊技機において、払出制御基板が行う監視処理のフローチャートである。
【図17】ホールコンピュータが行う判定結果管理処理のフローチャートである。
【図18】変更例に係るパチンコ遊技を複数台備えて構成される不正監視システムの構成を示すブロック図である。
【図19】(a)は通常遊技状態又は時短遊技状態における大当たり乱数の判定テーブルを、(b)は確変遊技状態又は潜確遊技状態における大当たり乱数の判定テーブルを、(c)は第1始動口入賞により取得した図柄乱数の判定テーブルを、(d)は第2始動口入賞により取得した図柄乱数の判定テーブルを、それぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、外枠に前面枠10が開閉可能に取り付けられた遊技機枠6を備え、前面枠10の内側には遊技盤2が取り付けられている。前面枠10のパネル部10aには遊技に使用する遊技球を貯留しておく遊技球供給皿11aが設けられている。遊技球供給皿11aは、図示しない払出装置から払い出された賞球を含む遊技球を一時貯留すると共に、遊技球を整列状態として図示しない球送り機構に送る流路となる。前面枠10の右下部には遊技球を発射させる発射ハンドル11bが設けられている。その他、前面枠10には、複数の枠ランプ17及びスピーカ18が配設され、遊技盤2には、盤ランプ19が設けられている。
【0017】
遊技盤2には、発射ハンドル11bの操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール12で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する案内釘(図示せず)が多数突設されている。また、遊技領域3には、液晶表示装置である画像表示器4の表示部4aが配置されている。画像表示器4は、客待ち用のデモ表示、装飾図柄変動演出、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出などを表示部4aに表示する。装飾図柄変動演出は、数字等の装飾図柄と装飾図柄以外の画像とにより構成されて、変動表示を経て停止表示された装飾図柄により、大当たり抽選(即ち、大当たり乱数の取得とその大当たり乱数を用いた判定)の結果を報知する演出である。この装飾図柄変動演出は、特別図柄変動に並行して行われる。また、大当たり抽選は、遊技球の第1始動口51aまたは第2始動口51bへの入賞に対して行われる。
【0018】
遊技領域3の中央部であって画像表示器4の前方には、センター役物装置30が配置されている。センター役物装置30は、表示部4aの周縁部前方に配設された枠体部31を備えている。枠体部31は、上枠部32、下枠部33、左枠部34、および右枠部35により構成されている。左枠部34には、入口から遊技球を流入させ、出口から後述するステージ部41へ遊技球を流出するワープ部40が配設されている。下枠部33には、上面を転動する遊技球を、第1始動口51aへと案内可能なステージ部41が形成されている。
【0019】
また、遊技領域3の左右方向における中央下部には、始動入賞装置5が設けられている。始動入賞装置5は、遊技球の入球し易さが常時変わらない第1始動口51aと、電動チューリップ(以下、「電チュー」という。)52により開閉される第2始動口51bとを備えている。電チュー52は、電チューソレノイド53(図3参照)により駆動される。第2始動口51bは、電チュー52が開いているときのみ遊技球が入賞可能となる。
【0020】
また、遊技領域3には、大入賞装置7が設けられている。大入賞装置7は、始動入賞装置5の下方に配置されており、大入賞口71と、大入賞口ソレノイド72(図3参照)により動作する開閉部材73とを備えている。大入賞口71は、開閉部材73により開閉される。
【0021】
また、遊技領域3には、複数の普通入賞装置9及び遊技球が通過可能なゲート8が設けられている。各普通入賞装置9は、始動入賞装置5の左方及び右方に配置されている。各普通入賞装置9に入った遊技球は、その普通入賞装置9内の普通入賞口90に入賞する。ゲート8は、センター役物装置30の左方に配置されている。
【0022】
遊技領域3の外側には、普通図柄表示器13、第1特別図柄表示器14a、及び、第2特別図柄表示器14bが設けられるとともに、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bがそれぞれ4つ設けられている。
【0023】
第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bは、それぞれ、遊技球の第1始動口51a、第2始動口51bへの入賞を契機として行われる大当たり抽選の結果を、変動表示を経て停止表示された図柄により報知する(これを「特別図柄変動」という)ものである。第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bに停止表示された図柄(特別図柄)が大当たり図柄であれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技が行われる。
【0024】
遊技球が第1始動口51aまたは第2始動口51bに入賞すると、メイン制御基板20(図3参照)は、その入賞に対して取得した大当たり乱数を、第1始動口51aへの入賞であれば第1保留記憶部27a(図3参照)に、第2始動口51bへの入賞であれば第2保留記憶部27b(図3参照)に記憶する。そして、特別図柄変動を実行可能になったとき、即ち、前の入賞に対する特別図柄変動も、大当たり遊技も実行されていない状態になったときに、記憶しておいた大当たり乱数を用いて大当たりか否かの判定を行い、特別図柄変動を実行する。
【0025】
第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bは、それぞれ、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を表示するものである。なお、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶される大当たり乱数は、それぞれ4個が上限とされているため、第1保留記憶部27aに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第1始動口51aに入賞したときや、第2保留記憶部27bに4個の大当たり乱数が記憶されている状態で遊技球が第2始動口51bに入賞したときは、その入賞に対する大当たり乱数の取得は行われない。
【0026】
普通図柄表示器13は、ゲート8への遊技球の通過を契機として行われる普通図柄抽選の結果を、変動表示を経て停止表示される普通図柄により報知するものである。停止表示された普通図柄が当たり図柄であれば、所定時間及び所定回数、電チュー52を開く補助遊技が行われる。
【0027】
普通図柄の変動表示中または補助遊技中に、遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板20(図3参照)は、その通過に対して取得した当たり乱数を記憶する。そして、普通図柄の変動表示を開始可能な状態になったときに、記憶しておいた当たり乱数を用いて当たりか否かの判定を行い、普通図柄の変動表示を開始して、その判定結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留ランプ15は、このように記憶されている当たり乱数の個数を表示するものである。なお、記憶される当たり乱数は4個が上限とされているため、4個の当たり乱数が記憶されている状態で遊技球がゲート8を通過しても、その通過に対する当たり乱数の取得は行われない。
【0028】
次に、電気的構成について説明する。図2は、第1実施形態のパチンコ遊技機1が複数台導入された遊技店(ホール)内全体の電気系統を示す概略ブロック図である。パチンコ遊技機1には、パチンコ遊技機1と一対一に対応づけられて、その対応づけられたパチンコ遊技機1での遊技に使用する遊技媒体(遊技球)を貸し出すための台間機50が接続されている。台間機50は、図示しない貨幣投入口を有し、貨幣投入口から投入された金銭の範囲内において遊技球の貸出しを可能にする。
【0029】
また、パチンコ遊技機1には、パチンコ遊技機1と一対一に対応づけられて、遊技中にホールの従業員を呼び出すための呼出ランプ装置(報知装置に相当する)53が接続されている。この呼出ランプ装置53は、LED等で構成された表示部(報知手段に相当する)54と、表示部54を点灯させるための操作ボタン(図示せず)とを備えており、遊技者は、接続されたパチンコ遊技機1での遊技中、操作ボタンを押下して表示部54を点灯させることにより、ホールの従業員を呼び出すことができる。なお、呼出ランプ装置53には、表示部54以外に、大当たり回数など遊技の経過等をデータとして表示する表示部分を有している。
【0030】
パチンコ遊技機1は、ホール内において、例えば同一機種などのカテゴリー毎に複数台並べて配置されて、一つの遊技島45を構成している。ホール内の各遊技島45には、その遊技島45を管理する2台の中継装置(いわゆる島コンピュータ)55,57が設置されている。遊技島45内のすべての台間機50は、その遊技島45に設置されている一方の中継装置55に接続されている。また、遊技島45内のすべての呼出ランプ装置53は、その遊技島45に設置されている他方の中継装置57に接続されている。
【0031】
さらに、ホール内には、パーソナルコンピュータ等で構成され、主にホール内の各パチンコ遊技機1の出玉に関する情報を管理するホールコンピュータ(管理コンピュータに相当する)56と、主にホール内で使用された金銭に関する情報を管理する管理装置58が設置されている。一方の中継装置55は、ホールコンピュータ56と接続され、他方の中継装置57は、管理装置58と接続されている。なお、管理装置58は、公衆電話回線などの通信回線を介して、ホールの情報を管理している第三者機関(管理会社)のコンピュータ(外部コンピュータ)59とデータ通信可能に接続されている。
【0032】
図3は、第1実施形態のパチンコ遊技機1の電気系統を示すブロック図である。図3に示すように、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技盤2に対してその背面側に取り付けられる、メイン制御基板(遊技制御基板ともいう。主制御部に相当する。)20、及びサブ制御基板25と、遊技機枠6に対して取り付けられる、払出制御基板(払出制御部に相当する)21、及び電源基板(電源部に相当する)70を備えている。サブ制御基板25は、演出制御基板22、画像制御基板23、及び、ランプ制御基板24を備えている。電源基板70を除く各制御基板は、CPU、ROM、RAM等を備えている。
【0033】
払出制御基板21及び演出制御基板22はメイン制御基板20に接続され、画像制御基板23及びランプ制御基板24は演出制御基板22に接続されている。電源基板70はメイン制御基板20及び払出制御基板21に接続されて、動作に必要な電力を供給している。また、電源基板70は、例えば電気二重層コンデンサからなるバックアップ電源(予備電源に相当する)71を有しており、バックアップ電源70は、パチンコ遊技機1の電源が遮断された場合に、メイン制御基板20のRAM63に記憶されている情報、及び、払出制御基板21のRAM68に記憶されている情報が消えないよう、各RAM63,68に電力を供給する。
【0034】
メイン制御基板20は、大当たりの抽選や遊技状態の移行など主に利益に関わる制御を行うものである。メイン制御基板20には、演算処理装置であるCPU61と、CPU61により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM62と、そのROM62内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM63とが、一つのチップに集約されて、いわゆるワンチップマイコン60の形で実装されている。ROM62内には、図4から図12にフローチャートで示すプログラムが制御プログラムの一部として記憶されている。また、ROM62内には、ワンチップマイコン60に固有のID番号データ(識別情報に相当する)が記憶されている。RAM63内には、第1保留記憶部27a及び第2保留記憶部27bを有する保留記憶部27が設けられている。なお、パチンコ遊技機1の電源遮断時には、メイン制御基板20は、RAM63内の所定記憶域に電源遮断前の遊技の状態に関するデータを記憶するが、このデータの記憶はバックアップ電源71によって保持される。
【0035】
また、メイン制御基板20には、第1始動口51a内に設けられて第1始動口51aに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW(スイッチ)54a、第2始動口51b内に設けられて第2始動口51bに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW54b、電チューソレノイド53、ゲート8内に設けられてゲート8を通過した遊技球を検出するゲートSW81、大入賞口71内に設けられて大入賞口71に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW74、大入賞口ソレノイド72、各普通入賞口90内にそれぞれ設けられてその普通入賞口90に入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW91、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16b、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14b、普通図柄表示器13がそれぞれ接続され、図3の矢印で示すように、各スイッチからはメイン制御基板20に信号が入力され、各ソレノイドやランプ等にはメイン制御基板20から信号が出力される。
【0036】
さらに、メイン制御基板20は、払出制御基板21に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板21から信号を受信する。払出制御基板21には、メイン制御基板20と同様、CPU66と、ROM67と、RAM68とが、一つのチップに集約されて、いわゆるワンチップマイコン65の形で実装されている。ROM67内には、図13にフローチャートで示すプログラムが制御プログラムの一部として記憶されている。RAM68内には、メイン制御基板20に実装されたワンチップマイコン60のID番号データを記憶しておくためのID番号データ記憶部(識別情報記憶部に相当する)69が設けられている。なお、パチンコ遊技機1の電源が遮断されて通常時に電源基板70から供給される電力が遮断された時であっても、バックアップ電源71によって、ID番号データ記憶部69に記憶されたID番号データは保存される。
【0037】
また、払出制御基板21には、図示しない払出装置を駆動する払出駆動モータ26が接続され、払出制御基板21は、メイン制御基板20から受信したコマンドに従って払出駆動モータ26を動作させ、賞球の払出を行わせる。
【0038】
さらに、メイン制御基板20は、演出制御基板22に対し各種コマンドを送信し、演出制御基板22は、画像制御基板23との間でコマンドや信号の送受信を行う。画像制御基板23には画像表示器4及びスピーカ18が接続され、画像制御基板23は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、画像表示器4の表示部4aに装飾図柄その他の画像を表示し、スピーカ18から音声を出力する。また、演出制御基板22は、ランプ制御基板24との間でコマンドや信号の送受信を行う。ランプ制御基板24には枠ランプ17及び盤ランプ19が接続され、ランプ制御基板24は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、枠ランプ17や盤ランプ19を点灯・消灯する。
【0039】
図4は、パチンコ遊技機1と台間機50との電気的接続を示す概略ブロック図である。パチンコ遊技機1のメイン制御基板20及び払出制御基板21と、台間機50の動作を制御する台間機制御基板51とは、パチンコ遊技機1と台間機50との通信を制御するインタフェイス基板(図示せず)を介して接続されている。台間機制御基板51とメイン制御基板20及び払出制御基板21との間では、遊技球の貸し出しに関する制御に必要なデータの送受信が行われる。
【0040】
また、図4(A)に示すように、パチンコ遊技機1は、台間機50に対して、AC24Vの交流電流(接続確認要求信号に相当する)を送っている。そして、これを受けた台間機50は、図示しないAC/DCコンバータによりAC24Vの交流電流をDC18Vの直流電流(接続信号に相当する)に変換し、変換したDC18Vの直流電流をパチンコ遊技機1に対して送っている。このDC18Vの直流電流は、パチンコ遊技機1と台間機50とが正常に接続されていることを確認する接続信号としての意味をもつもので、パチンコ遊技機1では、台間機50に送ったAC24Vの交流電流がDC18Vの直流電流に変換されて台間機50から送られてくることによって、台間機50が動作し得る状態で正常に接続されていることを確認している。
【0041】
なお、図示を省略するが、台間機制御基板51には、台間機50に貨幣を投入できるか否かを示すための貨幣投入可否表示ランプ等のランプが接続されており、貨幣投入可否表示ランプ等は、台間機制御基板51からの駆動信号に応じて点灯等する。
【0042】
次に、第1実施形態のパチンコ遊技機1の遊技状態等について説明する。第1実施形態のパチンコ遊技機1は、通常遊技状態、時短遊技状態、確変遊技状態、潜確遊技状態の4つの遊技状態と、大当たり遊技、小当たり遊技とを有している。
【0043】
時短遊技状態とは、通常遊技状態よりも第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、普通図柄変動時間が4秒、電チュー52の開放時間が0.15秒、電チュー52の開放回数が1回であるのに対して、時短遊技状態では、普通図柄変動時間が1.5秒、電チュー52の開放時間が1.80秒、電チュー52の開放回数が3回となっている。
【0044】
確変遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすく、かつ第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいい、通常遊技状態では、大当たり当選確率が約1/300であるのに対して、確変遊技状態では、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、確変遊技状態では、時短遊技状態と同様、普通図柄変動時間が1.5秒、電チュー52の開放時間が1.80秒、電チュー52の開放回数が3回となっている。
【0045】
潜確遊技状態とは、通常遊技状態よりも大当たりに当選しやすい状態をいい、潜確遊技状態では、確変遊技状態と同様、大当たり当選確率が約1/30となっている。また、潜確遊技状態では、通常遊技状態と同様、普通図柄変動時間が4秒、電チュー52の開放時間が0.15秒、電チュー52の開放回数が1回となっている。
【0046】
そして、初期状態では(即ち、電源が投入されて最初の遊技が開始されるときは)通常遊技状態であり、大当たりが発生すれば、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技を経て、その大当たりの種類に応じた遊技状態に遷移する。大当たりの種類には、ほとんど賞球の獲得が望めない短当たりとして、2R(ラウンド)潜確大当たりがあり、多くの賞球を獲得可能な長当たりとして、15R(ラウンド)確変大当たり、15R(ラウンド)通常大当たりがある。また、これら大当たりの他に小当たりがある。なお、ラウンドとは大入賞口71の開放期間を言う。2R潜確大当たりでは、大入賞口71を極短時間2回開放する大当たり遊技を行った後、潜確遊技状態に遷移し、15R確変大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、確変遊技状態に遷移し、15R通常大当たりでは、大入賞口71を15回開放する大当たり遊技を行った後、時短遊技状態に遷移する。また、小当たりは、見かけ上2R潜確大当たりと変わらない動作をするもので、大入賞口71を極短時間2回開放する小当たり遊技を行うが、遊技状態は遷移しない。なお、時短遊技状態において途中で大当たりが発生することなく100回の特別図柄変動が行われたときも、通常遊技状態に遷移する。
【0047】
なお、大当たり及び小当たりの抽選は大当たり乱数を用いて行われ、大当たりに当選した場合に当選した大当たりがいずれの種類の大当たりとなるかの抽選は、大当たり図柄乱数を用いて行われる。大当たり乱数は、図19(a)(b)に示すように、0〜299までの範囲で値をとることとされ、通常遊技状態時又は時短遊技状態時では、大当たりに当選する割合が1/300となるよう大当たりに当選する乱数値が定められるとともに、小当たりに当選する割合が3/300となるよう、小当たりに当選する乱数値が定められている。また、大当たり乱数は、確変遊技状態時又は潜確遊技状態時では、大当たりに当選する割合が10/300となるよう、大当たりに当選する乱数値が定められるとともに、小当たりに当選する割合が3/300となるよう、小当たりに当選する乱数値が定められている。大当たり図柄乱数は、図19(c)(d)に示すように、0〜249までの範囲で値をとることとされ、第1始動口51aへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が75/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が75/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められ、第2始動口51bへの入賞に対しては、15R通常大当たりに当選する割合が100/250となり、15R確変大当たりに当選する割合が125/250となり、2R潜確大当たりに当選する割合が25/250になるよう各大当たりに当選する乱数値が定められており、第1始動口51aへ入賞したときよりも長当たりに当選する割合が高くなっている。
【0048】
次に、図5〜12に基づいてメイン制御基板20の動作について説明し、図13に基づいて払出制御基板21の動作について説明する。なお、後述する各カウンタは、RAMに設けられ、パチンコ遊技機1の電源投入時にゼロクリアされる。
【0049】
[メイン側タイマ割込処理]メイン制御基板20は、図5に示すメイン側タイマ割込処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、メイン制御基板20は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たり図柄の種類を決めるための図柄乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる当たり乱数等を更新する乱数更新処理を行う(ステップS101)。
【0050】
次に、メイン制御基板20は、後述する始動口SW処理(S102)、ゲートSW処理(S103)の他、大入賞口SW処理(S104)及び普通入賞口SW処理(S105)を行う。大入賞口SW処理は、大入賞口SW74がONしていれば、大当たり遊技中又は小当たり遊技中(後述する当たり遊技フラグがON)か否かを判定して、大当たり遊技中又は小当たり遊技中であれば、入賞個数カウンタの値Cに1を加算するとともに、大入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。普通入賞口SW処理は、普通入賞口SW91がONしていれば普通入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。
【0051】
続いて、メイン制御基板20は、後述する特別図柄処理(S106)、普通図柄処理(S107)、大入賞口処理(S108)、及び、電チュー処理(S109)を行う。そして、メイン制御基板20は、大入賞口カウンタの値に応じた数の賞球、及び、普通入賞口カウンタの値に応じた数の賞球を払い出すためのコマンドをセットして、それらのカウンタをゼロクリアする賞球処理(S110)を行い、以上の各処理においてセットしたコマンドを払出制御基板21及び演出制御基板22に出力する出力処理(S111)を行う。
【0052】
[始動口SW処理]図6に示すように、始動口SW処理では、メイン制御基板20は第1始動口SW54aがONしたか否かを判定し(S201)、ONしていなければステップS206に進み、ONしていれば、第1保留記憶部27aに記憶されている大当たり乱数の個数を数える第1始動口保留カウンタの値U1が、上限値の4未満か否かを判定する(S202)。そして、4未満でない場合はステップS206に進み、4未満の場合は、U1に1を加算して(S203)、大当たり乱数を取得して第1保留記憶部27aに格納するとともに、大当たり図柄乱数等を取得して所定記憶域に記憶し(S204)、第1保留数増加コマンドをセットする(S205)。
【0053】
ステップS206では、メイン制御基板20は第2始動口SW54bがONしたか否かを判定し、ONしていなければ始動口SW処理を終え、ONしていれば、第2保留記憶部27bに記憶されている大当たり乱数の個数を数える第2始動口保留カウンタの値U2が、上限値の4未満か否かを判定する(S207)。そして、4未満でない場合は始動口SW処理を終え、4未満の場合は、U2に1を加算して(S208)、大当たり乱数を取得して第2保留記憶部27bに格納するとともに、大当たり図柄乱数等を取得して所定記憶域に記憶し(S209)、第2保留数増加コマンドをセットして(S210)、始動口SW処理を終える。
【0054】
[ゲートSW処理]図7に示すように、ゲートSW処理では、メイン制御基板20はゲートSW81がONしたか否かを判定し(S301)、ONしていなければゲートSW処理を終え、ONしていれば、ゲート保留カウンタの値Gが上限値の4未満か否かを判定する(S302)。そして、4未満でない場合はゲートSW処理を終え、4未満であればGに1を加算して(S303)、普通図柄抽選に用いる当たり乱数を取得して所定記憶域に格納し(S304)、ゲートSW処理を終える。
【0055】
[特別図柄処理]図8に示すように、特別図柄処理では、メイン制御基板20は、当たり遊技中か否かを示す当たり遊技フラグ(即ち、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、又は、短当たり遊技フラグ)がONか否かを判定し(S401)、ONであれば特別図柄処理を終え、ONでなければ特別図柄の変動中か否かを判定する(S402)。そして、変動中であればステップS411に進み、変動中でなければ、第2始動口保留カウンタの値U2又は第1始動口保留カウンタの値U1が1以上か否かを判定する(S403,S405)。そして、U2又はU1が1以上でなければ特別図柄処理を終え、U2又はU1が1以上であればU2又はU1から1を減算して(S404,S406)、ステップS204又はS209で格納しておいた大当たり乱数を用いて大当たり判定処理を行う(S407)。
【0056】
大当たり判定処理(S407)では、図9に示すように、メイン制御基板20は、大当たり判定用テーブルを用いてステップS204又はS209で格納した大当たり乱数が大当たりか否かの判定を行い(S501)、大当たりであれば大当たり図柄乱数がどの大当たり図柄を示すものかを判定して、その大当たり図柄をセットし(S502でYES,S503,S504)、小当たりであれば小当たり図柄をセットし(S502でNO,S505でYES,S506)、大当たりでも小当たりでもなければハズレ図柄をセットする(S505でNO,S507)。なお、大当たり図柄によって、大当たりの種類が決まる(図19(c)(d)参照)。
【0057】
続いて、メイン制御基板20は、図8に示すように、変動パターン選択処理を行う(S408)。変動パターン選択処理では、直前の大当たり判定処理において大当たりと判定していれば、乱数値と変動パターンとの対応を示す変動パターンテーブルとして大当たり用テーブルを参照し、小当たりと判定していれば小当たり用テーブルを参照し、大当たりでも小当たりでもないと判定していればハズレ用テーブルを参照して、ステップS204又はS209で格納しておいた変動パターン乱数がいずれの変動パターンを示すかの判定を行い、変動パターンをセットする。なお、変動パターンには変動時間を示す情報が含まれている。
【0058】
その後、メイン制御基板20は、第1特別図柄表示器14aまたは第2特別図柄表示器14bにおいて特別図柄の変動を開始し(S409)、変動開始コマンドをセットして(S410)、ステップS411に進む。ステップS411では、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ特別図柄処理を終えるが、経過していれば特別図柄の変動を停止して、大当たり判定処理でセットされた図柄で特別図柄を確定表示し(S412)、変動停止コマンドをセットする(S413)。そして、停止中処理(S414)として、各種遊技フラグ(時短遊技フラグ、確変遊技フラグ、潜確遊技フラグ、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、短当たり遊技フラグ)のON/OFFに関する処理をし、大当たり又は小当たりであれば、オープニングを開始するとともに、オープニングコマンドをセットして、特別図柄処理を終える。
【0059】
[普通図柄処理]図10に示すように、普通図柄処理では、メイン制御基板20は、補助遊技中か否かを示す補助遊技フラグがONか否かを判定し(S601)、ONであれば普通図柄処理を終え、ONでなければ普通図柄の変動中か否かを判定する(S602)。そして、変動中の場合にはステップS609に進み、変動中でない場合には、ゲート保留カウンタの値Gが1以上か否かを判定し(S603)、Gが1以上でなければ普通図柄処理を終え、Gが1以上であればGから1を減算して(S604)、ステップS304で格納しておいた当たり乱数が当たりか否かを判定して(S605)、停止図柄を選択する(S606)。そして、遊技状態に応じた変動時間(本実施形態では、通常遊技状態または潜確遊技状態であれば4秒、時短遊技状態または確変遊技状態であれば1.5秒)を選択し(S607)、普通図柄の変動を開始して(S608)、ステップS609に進む。
【0060】
ステップS609では、メイン制御基板20は、変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ普通図柄処理を終えるが、経過していれば、普通図柄の変動を停止して停止図柄を表示する(S610)。そして、停止図柄が当たりを示す図柄であれば(S611でYES)、補助遊技フラグをONし(S612)、ハズレを示す図柄であれば(S611でNO)、普通図柄処理を終える。
【0061】
[大入賞口処理]図11に示すように、大入賞口処理では、メイン制御基板20は、まず、当たり遊技フラグがONか否かを判定し(S701)、ONでなければ大入賞口処理を終えるが、ONであれば、オープニング中であるか否かを判定する(S702)。オープニングとは、大当たり遊技の開始から第1ラウンドの開始までの期間をいう。メイン制御基板20は、オープニング中と判定した場合には、オープニング時間が経過したか否かを判定し(S703)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば、大当たりの種類に応じた最大R数(ラウンド数)と作動パターンとを設定する(S704)。そして、入賞個数カウンタの値Cをゼロクリアし(S705)、ラウンドカウンタの値Rに1を加算し(S706)、大入賞口71の作動(開放)を開始する(S707)。
【0062】
次に、メイン制御基板20は、大入賞口71の作動時間(開放時間。例えば、長当たりであれば29.5秒、短当たりまたは小当たりであれば0.1秒等)が経過したか否かを判定し(S708)、経過していれば大入賞口71を閉口し(S710)、経過していなければ、入賞個数カウンタの値Cが規定個数であるか否かを判定して(S709)、規定個数でなければ大入賞口処理を終え、規定個数であれば大入賞口71を閉口する(S710)。
【0063】
そして、メイン制御基板20は、ラウンドカウンタの値Rが最大R数であるか否かを判定し(S711)、最大R数でなければ大入賞口処理を終え、最大R数であれば、エンディングを開始して(S712)、エンディングコマンドをセットし(S713)、ラウンドカウンタの値Rをゼロクリアする(S714)。なお、エンディングとは、最終ラウンドの終了から大当たり遊技の終了までの期間をいう。次に、メイン制御基板20は、エンディング時間が経過したか否かを判定し(S717)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば遊技状態設定処理を行って(S718)、当たり遊技フラグをOFFする(S719)。遊技状態設定処理では、メイン制御基板20は、今終了した当たり遊技が、小当たりであれば、遊技状態を遷移させないので遊技状態設定処理を終え、15R通常大当たりであれば、時短遊技状態に遷移させるため時短遊技フラグをONし、15R確変大当たりであれば、確変遊技状態に遷移させるため確変遊技フラグをONし、2R潜確大当たりであれば、潜確遊技状態に遷移させるため潜確遊技フラグをONする。
【0064】
一方、メイン制御基板20は、ステップS702においてオープニング中でないと判定したときは、大入賞口71がエンディング中であるか否かを判定し(S715)、エンディング中であればステップS717に移行し、エンディング中でなければ大入賞口71の作動中か否かを判定する(S716)。そして、作動中でなければステップS705に移行し、作動中であればステップS708に移行する。
【0065】
[電チュー処理]図12に示すように、電チュー処理では、メイン制御基板20は、補助遊技フラグがONか否かを判定し(S801)、ONでないと判定すれば電チュー処理を終える。一方、ONと判定すれば、電チュー52が作動中か否かを判定し(S802)、作動中でなければ、現在の遊技状態に応じた電チュー52の作動パターン(本実施形態では、通常遊技状態または潜確遊技状態であれば0.15秒の開放を1回、時短遊技状態または確変遊技状態であれば1.80秒の開放を3回)を選択して(S803)、その作動パターンに則った作動を開始する(S804)。次に、メイン制御基板20は、作動時間(複数の開放を含む作動パターンでは、開放間のインターバル時間を含む。)が経過したか否かを判定し(S805)、経過していなければ電チュー処理を終え、経過していれば補助遊技フラグをOFFして(S806)、電チュー処理を終える。
【0066】
[監視処理]以上のメイン制御基板20における処理と並行して、払出制御基板21は、図13に示す監視処理を所定の短時間毎(例えば1〜数百msec毎。実施形態では、4msec毎とする。)に繰り返す。
【0067】
監視処理では、払出制御基板21は、まず、RAM68内のID番号データ記憶部69にメイン制御基板20に実装されているワンチップマイコン60のID番号データが記憶されているか否か判定する(S901)。パチンコ遊技機1の最初の電源投入時には、ID番号データ記憶部69にID番号データは記憶されていないため、ステップS901の判定結果はNOとなる。よって、払出制御基板21は、メイン制御基板20からID番号データを取得するとともに、取得したID番号データをID番号データ記憶部69に記憶して(S902)、監視処理を終える。ホールが新しい遊技盤2を導入し、最初にパチンコ遊技機1の電源を投入する時には、メイン制御基板20に対して不正はなされていないため、ここでは正規のメイン制御基板20におけるID番号データがID番号データ記憶部69に記憶される。
【0068】
一度ID番号データ記憶部69にID番号データが記憶された後は、パチンコ遊技機1の電源が遮断されてもバックアップ電源71によりID番号データの記憶が保持されるため、次回の監視処理からはステップS901の判定結果はYESとなる。ステップS901の判定結果がYESの場合、払出制御基板21は、メイン制御基板20からID番号データを取得し(S903)、取得したID番号データがID番号データ記憶部69に記憶されているID番号データと一致するか否か判定する処理(識別情報判定処理に相当する)を行う(S904)。識別情報判定処理(S904)においてID番号データが一致する場合は、メイン制御基板20やそこに実装されているワンチップマイコン60が変更されていないので、この場合は監視処理を終える(S904でYES)。一方、識別情報判定処理(S904)においてID番号データが一致しない場合は、メイン制御基板20やそこに実装されているワンチップマイコン60が変更されているので、この場合はエラー処理を行い(S905)、少なくともホールの管理者に対してメイン制御基板20が変更されている旨を報知する。
【0069】
エラー処理(S905)では、払出制御基板21は、種々の措置を行うことによって、ホールの管理者等に対して、識別情報判定処理(S904)の判定結果が不一致であることを報知する。
【0070】
具体的には、エラー処理(S905参照)として、払出制御基板21は、識別情報判定処理(S904)の判定結果が不一致であることを伝える信号を、ホールコンピュータ56に対して送信して、識別情報判定処理(S904)の判定結果が不一致であることをホールの管理者に報知する。なお、実施形態では、ホールの管理者にのみ異常の発生を知らせることができるようこの処理のみを行う。
【0071】
なお、払出制御基板21は、エラー処理(S905参照)として、上記のような処理に代えて、又は、上記のような処理とともに、パチンコ遊技機1が備える盤ランプ18、枠ランプ17、又は、呼出ランプ装置53の表示部54を点灯点滅させたり、スピーカ18から警告音を鳴らしたり、画像表示器4の表示部4aに異常発生の文字を表示したりして、異常が検出されたことをホールの管理者等に報知してもよい。
【0072】
また、払出制御基板21は、上記のような処理に代えて、又は、上記のような処理とともに、以後メイン制御基板20が外部からの信号(例えば始動口SW54a,54bからの信号など)を受け付けることができないよう(すなわち入力される外部からの信号を全て無効とするよう)制御してもよい。
【0073】
エラー処理を行った後、払出制御基板21は、識別情報判定処理(S904)において最初に判定結果が不一致となった時点から所定時間(実施形態では、14時間)が経過したか否かを判定する(S906)。ステップS906の判定結果がNOであれば、監視処理を終える。一方、ステップS906の判定結果がYESであれば、払出制御基板21は、ID番号データ記憶部69に書き込まれているID番号データを、新しく取得したID番号データ(識別情報判定処理において最初に不一致と判定したときに取得したID番号データ)に書き換える(S907)。
【0074】
ここで、ステップS906,S907において、所定時間経過したことによってID番号データ記憶部69に記憶されているID番号データを記憶されているID番号データと一致しないID番号データに書き換えることとしているのは、ステップS905においてホールの管理者に対して不一致を報知したにもかかわらずホールの管理者が所定時間何もしないのは、正規のメイン制御基板20の変更(例えば、新台入替)によるメイン制御基板20の変更がなされたと判断できるためである。このように、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、正規のメイン制御基板20の変更の場合には、ホールの管理者によって何らかの措置が取られなくても、ID番号データ記憶部69の記憶が変更されて、ホールの管理者への報知が止むことになる。なお、ステップS906における所定時間は、不正の報知にホールの管理者が必ず気付ける程度の時間の余裕をもって設定することが望ましい。第1実施形態のパチンコ遊技機1では、午前9時から午後11まで営業するホールを想定し、1日分の営業時間である14時間が経過したときに書き換えることとしている。このように設定すれば、不正によるメイン制御基板20の変更は、ホールの営業が終了した後であって次の営業が開始されるまでの間に行われることが多いところ、ホールの管理者が不正の報知(S905)に気付くための時間としてホールの営業時間に対応した十分な時間が確保されるから、ホールの管理者は不正の報知に十分気付くことができる。なお、本明細書中、メイン制御基板20の変更には、メイン制御基板20を他のメイン制御基板に取り換える行為(メイン制御基板20の全部の変更)のほか、メイン制御基板20に実装されているワンチップマイコン60のみを他のワンチップマイコンに取り換える行為(メイン制御基板20の一部の変更)も含まれるものとする。
【0075】
次に、上記のように構成されるパチンコ遊技機1について、正規のメイン制御基板20が不正なメイン制御基板20に変更された場合のパチンコ遊技機1の動作の流れの例を説明する。
【0076】
(A)正規のメイン制御基板20に基づく動作
まず、パチンコ遊技機1が、正規のメイン制御基板20に基づいて動作する場合を説明する。パチンコ遊技機1の電源が投入されると、払出制御基板21は、まず、監視処理(図13参照)のステップS901において、メイン制御基板20に実装されたワンチップマイコン60のID番号データを取得し、ID番号データ記憶部69に記憶する(S902)。その後、払出制御基板21は、所定の周期ごとに、メイン制御基板20に実装されたワンチップマイコン60のID番号データを取得し(S903)、ID番号データ記憶部69に記憶されているID番号データと比較する(S904)。いまは、パチンコ遊技機1は正常なメイン制御基板20に基づいて動作しているので、ステップS904の判定結果はYESとなるため、払出制御基板21がエラー処理(S905)を実行することはない。
【0077】
(B)メイン制御基板20が変更された場合の動作
このように動作しているパチンコ遊技機1に対して、正規のメイン制御基板20が不正なメイン制御基板に変更された場合には、払出制御基板21は以下のように動作する。なお、不正なメイン制御基板への変更時に、パチンコ遊技機1の電源が遮断されても、バックアップ電源71により、払出制御基板21のID番号データ記憶部69に記憶されているID番号データは、ID番号データ記憶部69に記憶された状態に保たれる。
【0078】
払出制御基板21は、ID番号データ記憶部69にはID番号データが記憶されているので(S901でYES)、不正なメイン制御基板に実装されたワンチップマイコンのID番号データを取得し(S903)、ID番号データ記憶部69に記憶されている正規のメイン制御基板20のID番号データと比較する(S904)。メイン制御基板20は正規のメイン制御基板20から不正なメイン制御基板に変更されており、ステップS904の判定結果はNOとなるから、払出制御基板21は、上述のエラー処理を行い、ホールの管理者等に対してID番号データが不一致である旨を報知する(S905)。
【0079】
このように、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、払出制御基板21が、所定の周期で常時、メイン制御基板20に実装されたワンチップマイコン60のID番号データが変更していないかどうか監視しているため、正規のメイン制御基板20が不正に変更された場合には、不正行為があったことを即座に発見することができる。また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、パチンコ遊技機1の電源が遮断された場合であっても、バックアップ電源71によって払出制御基板21のID番号データ記憶部69に記憶されているID番号データは消えずに保持されるから、不正によるメイン制御基板の変更時にパチンコ遊技機1の電源が遮断された場合でも、不正によるメイン制御基板の変更を発見することができる。
【0080】
(C)新台入替等によって正規のメイン制御基板20から他の正規なメイン制御基板に変更された場合の動作
新台入替等によって、正規のメイン制御基板20から他の正規なメイン制御基板に変更された場合も、上記(b)の場合と同様、パチンコ遊技機1の電源投入時に、監視処理(図13参照)におけるステップS904の判定結果がNOとなるので、払出制御基板21は、上述のエラー処理を行い(S905)、ホールの管理者等に対してID番号データが不一致である旨を報知する。
【0081】
しかし、新台入替のような場合であれば、ホールの管理者等は、メイン制御基板20を他のメイン制御基板に変更したことを知っているので、ID番号データが不一致である旨が報知されても、不一致を知らせているパチンコ遊技機1をそのまま放置する。そして、最初に不一致の判定をしたときから(新台入替後、最初にパチンコ遊技機1の電源を投入したときから)所定時間(実施形態では14時間)が経過したときは、払出制御基板21は、ID番号データ記憶部69に記憶されているID番号データを、新しく取得したID番号データ(入れ替えたパチンコ遊技機のメイン制御基板に実装されたワンチップマイコンのID番号データ)に書き換える(S906でYES,S907)。
【0082】
このように、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、新台入替のようにホールがメイン制御基板20を変更した場合には、ホールの従業員等が何らかの措置をしなくても、ID番号データ記憶部69に記憶されているID番号データが新しいメイン制御基板のID番号データに書き換えられる。そして、ID番号データが新しいメイン制御基板のID番号データに書き換えられた後は、監視処理におけるステップS904の判定結果がYESになるから、払出制御基板21はエラー処理(S905)を行わなくなる。従って、第1実施形態のパチンコ遊技機1によれば、ホールの従業員等が何らの措置をしなくとも判定結果が不一致である旨の報知が終了するため、ホールの従業員等の作業負担がない。
【0083】
さらに、以上説明した第1実施形態のパチンコ遊技機1は、上述の効果に加えて次の効果を奏する。一般的にパチンコ遊技機においてメイン制御基板は遊技盤に取り付けられ、払出制御基板は遊技盤以外の部分に取り付けられるが、第1実施形態のパチンコ遊技機1においても、同様に、メイン制御基板20は遊技盤2に取り付けられ、払出制御基板21は遊技盤2以外の部分(遊技機枠6)に取り付けられている。このため、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、不正の発生を監視している払出制御基板21が、遊技盤2の取り替え(新台入替)に伴ってその度に交換されることがない。そのため、遊技機枠6に比べると頻繁に取り替えられる遊技盤2に取り付けられているメイン制御基板20などの基板に、不正監視のためのプログラムを格納しておく必要がなくなるので、不正対策に関するコストを抑えることができるとともに、メイン制御基板20のROM62の使用領域を減らすことができる。また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、払出制御基板21によって不正の発生を監視しているので、不正の対象となるメイン制御基板20を変更されてもその影響を受けずに、確実に不正の発生を発見することができる。また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、不正の発生を監視している払出制御基板21が、ホールコンピュータ56や管理装置58などパチンコ遊技機1の外部の機器と接続されているので、不正が発生したことを広く報知することができる。
【0084】
以下、第2〜第4実施形態について説明する。なお、第2〜第4実施形態の説明において、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
【0085】
[第2実施形態]第1実施形態のパチンコ遊技機1では、払出制御基板21は、監視処理において最初の不一致判定から所定時間経過したときに、ID番号データ記憶部69に記憶されたID番号データを書き換えることとしたが(図13に示すステップS906参照)、第2実施形態のパチンコ遊技機では、図14に示すように、所定時刻になった場合に、ID番号データ記憶部69に記憶されたID番号データを書き換えるよう構成する(S906B参照)。この場合、払出制御基板21には、図3に二点鎖線で示すように、現在の時刻を計測するためのRTC(リアルタイムクロック)80を実装する。RTC80は、特許請求の範囲に記載の現在時刻計測手段に相当する。なお、所定時刻としては、例えば、ホールの営業が終了する時刻などを設定する。このように時刻を設定すれば、不正によるメイン制御基板20の変更はホールの営業が終了した後であって次の営業が開始されるまでの間に行われることが多いところ、不正によるメイン制御基板20の変更がなされた場合に、ホールの管理者がID番号データの不一致の報知(S905)に気付くための時間として一日分の営業時間が確保されることになるから、不一致の判定結果を見逃してしまうおそれを低減できる。
【0086】
[第3実施形態]第1実施形態のパチンコ遊技機1では、払出制御基板21は、エラー処理としてホールコンピュータ56に不一致の結果を知らせる信号を送信することとしたが(図13に示すステップS905参照)、第3実施形態のパチンコ遊技機では、図15に示すように、取得したID番号データがID番号データ記憶部69に記憶されているID番号データと一致しない場合には(S904でNO)、エラー処理としてパチンコ遊技機1に接続された台間機50の動作を停止させるための動作停止信号を台間機50に対して出力するよう構成する(S905C)。このように構成すれば、台間機50は、払出制御基板21から動作停止信号を受けると動作を停止し、金銭を受け付けなくなったり遊技球の貸し出しをしなくなったりするので、ホールの管理者等は、このように台間機50の動作が停止したことをもってメイン制御基板20が変更されたことを発見することができる。
【0087】
また、台間機50が払出制御基板21から動作停止信号を受けて動作を停止すると、図4(B)に示すように、台間機50がパチンコ遊技機1に対して送っていたDC18Vの直流電流(接続信号)は、パチンコ遊技機1に送られなくなる。そして、この接続信号は、ホールの管理者によって台間機50が動作状態に復帰されたときに再びパチンコ遊技機1に送られることになる。台間機50の復帰は、ホールの管理者がリモコンを操作することによって、又は管理装置58を操作することによって行われる。そこで、第3実施形態のパチンコ遊技機では、払出制御基板21は、図15に示すように、台間機50に対して動作停止信号を出力した後、再び台間機50から接続信号を受信したときに(S906CでYES)、ID番号データ記憶部69に記憶されているID番号データを新しいID番号データに書き換えることとしている(S907)。これによれば、新台入替のように正規のメイン制御基板20から他の正規のメイン制御基板に変更した場合には、ホールの管理者がリモコン操作等をして台間機50の動作を再開させることによって、ID番号データ記憶部69のID番号データが、入れ替えた遊技盤に取り付けられている新しいメイン制御基板に応じたID番号データに書き換えられるため、不正によるメイン制御基板20の変更でないのに台間機50の動作が停止された状態のままであることを速やかに解消できる。すなわち、第3実施形態のパチンコ遊技機によれば、不正によるメイン制御基板20の変更の時には、台間機50の動作が停止するのでホールの管理者等は速やかに不正を発見できるとともに、新台入替に伴う正常なメイン制御基板の変更の時には、ホールの管理者が台間機50の動作を復帰させる措置をすることによってID番号データ記憶部69に記憶されたID番号データが新しいID番号データに書き換えられるので、払出制御基板21がID番号データの不一致を報知している状態を速やかに解消できる。
【0088】
[第4実施形態]第1実施形態のパチンコ遊技機1では、払出制御基板21は、エラー処理としてホールコンピュータ56に不一致の結果を知らせる信号を送信することとしたが(図13に示すS905参照)、第4実施形態のパチンコ遊技機1Dでは、図16に示すように、ステップS904においてID番号データが一致する場合も一致しない場合も、ホールコンピュータ56に対して判定結果を出力する(S905D、S908D参照)よう構成する。
【0089】
そして、このように構成したパチンコ遊技機1Dを複数台用いて図18に示したホール全体を構成し、さらにホールコンピュータ56が図17に示す判定結果管理処理を行うようにすれば、ホール全体として、メイン制御基板20の変更が不正によるものか、それとも新台入替等による正常なものであるかを判断可能な不正監視システム90を構成することができる。
【0090】
図17に示す判定結果管理処理を説明すれば、判定結果管理処理では、ホールコンピュータ56は、まず、一つの遊技島45内にある複数台のパチンコ遊技機1Dから受信したID番号データが一致するか否かの判定結果中に(ステップS904の判定結果中に)、不一致である旨の判定結果が所定数(実施形態では一つ)であるか否かを判定する(S1001)。そして、不一致である旨の判定結果が所定数(一つ)でない場合には、判定結果管理処理を終え、不一致である旨の判定結果が所定数(一つ)であった場合には、不一致である旨の判定結果を出力しているパチンコ遊技機1Dに対応して接続されている呼出ランプ装置53の表示部54を激しく点灯させるなど作動させて、不正がなされた旨(エラーである旨)をホールの従業員等や遊技者に知らせる(S1002)。
【0091】
ここで、不一致である旨の判定結果が所定数(一つ)であった場合に、不正と判断し、不一致である旨の判定結果が所定数(一つ)でない場合、すなわち、不一致である旨の判定結果が二つ以上又は零の場合に、不正ではないと判断しているのは、次の理由による。通常ホールでは、複数台の同一機種を隣接させて一つの遊技島45を構成しており、例えば図18に示すように5台のパチンコ遊技機1Dで一つの遊技島45を構成している場合に、この遊技島45のパチンコ遊技機1Dの入れ替えを行うときは、5台のパチンコ遊技機1D全てを入れ替えることが多い。そして、このような入れ替えを行った場合には、入れ替えた全てのパチンコ遊技機から不一致の判定結果がホールコンピュータ56に対して出力されるため、ホールコンピュータ56が受信する不一致の判定結果の数は5となる。すなわち、新台入替に伴うメイン制御基板20の変更であれば、通常、ホールコンピュータ56は不一致の判定結果を複数(入れ替えた台数分)受信することになるから、このような場合には不正によるメイン制御基板20の変更ではないと判断できる。また、何らメイン制御基板20の変更がなされていない場合には、ホールコンピュータ56が受信する不一致の判定結果は零であるから、このような場合も不正によるメイン制御基板20の変更はないと判断できる。一方、不正によってメイン制御基板20が変更される場合には、通常一台のパチンコ遊技機1Dのメイン制御基板20が変更されるので、ホールコンピュータ56が受信する不一致の判定結果の数は1となる。従って、一台のパチンコ遊技機1Dのみから不一致の判定結果が出力された場合には、不正によるメイン制御基板20の変更が行われたと判断することができる。
【0092】
このように、第4実施形態のパチンコ遊技機1Dを用いた不正監視システム90では、ホールコンピュータ56は、受信した不一致の判定結果の数に基づいて、メイン制御基板20の変更が不正行為によるものか、新台入替などの正常な理由によるものかをシステム的に判断するため、不一致の報知が不正行為によるものであるか否かについてホールの管理者の判断を必要としない点で、ホールの管理者の負担を軽減することができる。そして、不正行為と判断した場合には、呼出ランプ装置53の表示部54を用いてホールの従業員等に不正行為がなされていることを報知するため、ホールの従業員等は、速やかに不正行為の発生を発見できる。
【0093】
なお、ホールの従業員等に対する不正発生の報知は、呼出ランプ装置53の表示部54を用いて行わず、ホールコンピュータ56と接続されたディスプレイにおいて不正が発生した旨を表示することによって行なってもよい。このように構成すれば、遊技者に知られることなく、ホールの管理者に対してのみ不正の発生を報知することができる。また、この実施形態では、図17のステップS1001における所定数を1として設定したが、不正報知の契機となる不一致の判定結果の数は、ホールの構成に応じて自由に変更可能である。例えば、一つの遊技島が10台のパチンコ遊技機で構成されており、パチンコ遊技機を入れ替える際はこの遊技島にある全ての台を入れ替えるようなホールでは、図17のステップS1001における所定数を1〜9(零を除く、入れ替えるパチンコ遊技機の台数未満の数)として設定すれば、新台入替でなく不正の可能性がある場合に報知可能な不正監視システムを構成できる。なお、通常ホールには複数の遊技島が形成されているが、図17のステップS1001における所定数は遊技島毎に異なる値に設定することができる。例えば、ホールに、同一機種10台で構成された遊技島Aと同一機種5台で構成された遊技島Bがある場合、遊技島Aに対する所定数を1に設定し、遊技島Bに対する所定数を2に設定することができる。
【0094】
以上実施形態のパチンコ遊技機について説明したが、本発明のパチンコ遊技機は特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、実施形態では、識別情報として、メイン制御基板20に実装されたワンチップマイコン60に固有のID番号データを用いて、メイン制御基板20が不正に変更されていないか判断するよう構成したが、パチンコ遊技機の機種によって定まる識別情報(例えば、パチンコ遊技機がCRぱちんこたぬ吉くん(商標)という機種であった場合に、CRぱちんこたぬ吉くん(商標)であることによって一つの値に定まる識別情報)を用いて、メイン制御基板20が不正に変更されていないか判断するよう構成してもよい。パチンコ遊技機の機種によって定まる識別情報としては、例えば、機種を特定するために機種毎に割り付けられている機種コードや、メイン制御基板20のROM62に記録されているデータのチェックサムの値を用いることができる。なお、機種コードは、メイン制御基板20のROM62内に記憶されている。このようなパチンコ遊技機の機種によって定まる識別情報は、ID番号データのようにパチンコ遊技機一台一台に固有の識別情報ではないものの、不正行為者が自由に取得できる情報ではなく解析も困難なものであるので、不正によるメイン制御基板20の変更を監視するための識別情報として十分機能する。
【0095】
また、実施形態では、ID番号データ記憶部69にID番号データが記憶されている場合に、識別情報判定処理(S904)の判定結果が一致するときは、ID番号データ記憶部69に記憶されているID番号データを取得したID番号データに書き換えない構成としたが、逐次取得したID番号データに書き換えていくよう構成してもよい。なお、この場合も、識別情報判定処理(S904)の結果が不一致の場合は、所定の条件を満たしたとき(図13のS906でYES)のみ、取得したID番号データに書き換えるよう構成する。
【符号の説明】
【0096】
1…パチンコ遊技機
2…遊技盤
6…遊技機枠
20…メイン制御基板(主制御部)
21…払出制御基板(払出制御部)
50…台間機
53…報知装置(呼出ランプ装置)
54…報知手段(表示部)
56…ホールコンピュータ(管理コンピュータ)
69…ID番号データ記憶部(識別情報記憶部)
70…電源基板(電源部)
71…バックアップ電源(予備電源)
80…RTC(現在時刻計測手段)
90…不正監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大当たり抽選を行い、抽選の結果大当たりに当選した場合には、遊技者が多数の賞球を獲得可能な大当たり遊技を実行する主制御部と、
遊技者への遊技球の払出に関する制御を行う払出制御部と、
前記主制御部及び前記払出制御部に対して動作のための電力を供給する電源部とを備え、
前記主制御部は、当該主制御部に固有の、又は当該パチンコ遊技機の機種によって定まる識別情報を有し、
前記払出制御部は、前記識別情報を記憶する識別情報記憶部を有し、
前記電源部は、当該電源部から前記払出制御部への電力の供給が遮断された場合に前記識別情報記憶部に電力を供給可能な予備電源を有しているパチンコ遊技機において、
前記払出制御部は、
所定の周期で、前記主制御部から前記識別情報を取得するとともに、該識別情報の取得時、前記識別情報記憶部に識別情報が記憶されていなければ、該取得した識別情報を前記識別情報記憶部に記憶する処理を行い、前記識別情報記憶部に識別情報が記憶されていれば、該取得した識別情報が前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報と一致するか否かを判定する処理(以下「識別情報判定処理」という。)を行って、
該識別情報判定処理において一致しないと判定したときは、所定のエラー処理を行うことを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記払出制御部は、前記識別情報判定処理において一致しないと判定しときは、当該不一致の判定をしたときから所定時間経過したときに、前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報を、当該不一致の判定時に取得した識別情報に書き換えることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
現在時刻を計測可能な現在時刻計測手段を備えて構成され、
前記払出制御部は、前記識別情報判定処理において一致しないと判定しときは、前記現在時刻計測手段によって計測される時刻が所定時刻となったときに、前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報を、当該不一致の判定時に取得した識別情報に書き換えることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
当該パチンコ遊技機での遊技に使用する遊技媒体の貸し出しに伴う金銭を受け付ける台間機と接続される請求項1に記載のパチンコ遊技機であって、
前記払出制御部は、前記所定のエラー処理として、前記台間機に対して、前記台間機の動作を停止させる制御信号(以下「動作停止信号」という。)を出力することを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項5】
前記台間機に対して接続確認要求信号を送信するとともに、該接続確認要求信号を受けた前記台間機から接続信号を受信することによって、前記台間機との接続を確認するよう構成された請求項4に記載のパチンコ遊技機であって、
前記台間機に対して前記動作停止信号を出力した後において、前記台間機から再び前記接続信号を受信したときは、前記払出制御部は、前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報を、前記不一致の判定時に取得した識別情報に書き換えることを特徴とする請求項4に記載のパチンコ遊技機。
【請求項6】
複数台のパチンコ遊技機と、
前記複数台のパチンコ遊技機のそれぞれに対して接続される管理コンピュータと、を備えた不正監視システムであって、
前記各パチンコ遊技機は、
大当たり抽選を行い、抽選の結果大当たりに当選した場合には、遊技者が多数の賞球を獲得可能な大当たり遊技を実行する主制御部と、
遊技者への遊技球の払出に関する制御を行う払出制御部と、
前記主制御部及び前記払出制御部に対して動作のための電力を供給する電源部とを備え、
前記主制御部は、当該主制御部に固有の、又は当該パチンコ遊技機の機種によって定まる識別情報を有し、
前記払出制御部は、前記識別情報を記憶する識別情報記憶部を有し、
前記電源部は、当該電源部から前記払出制御部への電力の供給が遮断された場合に前記識別情報記憶部に電力を供給可能な予備電源を有し、
前記払出制御部は、
所定の周期で、前記主制御部から前記識別情報を取得するとともに、該識別情報の取得時、前記識別情報記憶部に識別情報が記憶されていなければ、該取得した識別情報を前記識別情報記憶部に記憶する処理を行い、前記識別情報記憶部に識別情報が記憶されていれば、該取得した識別情報が前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報と一致するか否かを判定する処理(以下「識別情報判定処理」という。)を行って、
該識別情報判定処理における判定結果を、前記管理コンピュータに対して出力するよう構成され、
前記管理コンピュータは、
前記各パチンコ遊技機から受信した判定結果中、不一致を示す判定結果が所定数であったとき、エラーである旨を報知する処理を行う
ことを特徴とする不正監視システム。
【請求項7】
所定の報知手段を有する報知装置であって、前記複数台のパチンコ遊技機のそれぞれに対応して設けられるとともに前記管理コンピュータに接続される報知装置を備え、
前記管理コンピュータは、前記エラーである旨を報知する処理として、不一致を示す判定結果を出力したパチンコ遊技機に対応する前記報知装置の報知手段を動作させることを特徴とする請求項6に記載の不正監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate