説明

パッケージトレイの支持構造

【課題】バックドアを閉める際に、パッケージトレイに負荷がかかることを防止ないし抑制できるパッケージトレイの支持構造を提供する。
【解決手段】パッケージトレイ10を車体側に対して回動可能に支持するパッケージトレイ10の支持構造であって、車室内側に突出し、その上面においてパッケージトレイ10の車両前側端部を支持するガイド部24を備え、ガイド部24の上面は、側面視においてその輪郭がガイド部24の外側に膨らむ円弧状を成す第1の曲面24aを有し、パッケージトレイ10の車両前側端部は、車両の前方側及び後方側に傾くことが可能な状態で第1の曲面24aと当接する当接部10cを有し、パッケージトレイ10は、当接部10cがその傾きを変えながら第1の曲面上24aを車両の前方側及び後方側に移動することで回動可能とされ、パッケージトレイ10の回動の中心となる中心位置Xはガイド部24の直下に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージトレイの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパッケージトレイの支持構造として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。パッケージトレイを支持する車体側には、軸部が設けられており、パッケージトレイ側には、軸部を支持する軸受け部が設けられている。これにより、パッケージトレイは、車体側に対して回動可能に支持されている。このようなパッケージトレイは、シートバックの車両後方側に配置されており、シートバックとバックドアとの隙間を塞ぐことにより、荷室内の荷物を外部から遮蔽することができる。そして、パッケージトレイは、バックドアの開閉動作と連動して軸部を中心に上下方向に回動可能とすることで荷室内への荷物の出し入れを容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−149671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パッケージトレイの設定位置よりも高さを有する荷物を荷室に搭載した場合、パッケージトレイが荷物と干渉して軸部を中心として後方側が上方に傾いた姿勢のまま設定位置に戻らなくなり、閉じたときのバックドアの位置よりも外側にパッケージトレイが突き出た状態となってしまう。このような状態で、バックドアを閉めようとすると、バックドア内壁部(ウインドウ部)がパッケージトレイに干渉することで、パッケージトレイが車両前方に押し込まれるとともに、パッケージトレイに弾性限界を超える負荷がかかることでパッケージトレイが破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みて創作されたものである。本発明は、バックドアを閉める際に、パッケージトレイに負荷がかかることを防止ないし抑制できるパッケージトレイの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される技術は、車両の荷室に設けられたパッケージトレイを車体側に対して回動可能に支持するパッケージトレイの支持構造であって、車室内側に突出し、その上面において前記パッケージトレイの車両前側端部を支持するガイド部を備え、該ガイド部の前記上面は、側面視においてその輪郭が該ガイド部の外側に膨らむ円弧状を成す第1の曲面を有し、前記パッケージトレイの車両前側端部は、車両の前方側及び後方側に傾くことが可能な状態で前記第1の曲面と当接する当接部を有し、前記パッケージトレイは、前記当接部がその傾きを変えながら前記第1の曲面上を車両の前方側及び後方側に移動することで回動可能とされており、前記パッケージトレイの回動の中心となる中心位置が前記ガイド部の直下に存在するパッケージトレイの支持構造に関する。
【0007】
上記のパッケージトレイの支持構造によると、パッケージトレイは、ガイド部の直下に存在する中心位置において支持されない状態で、この中心位置を回動の中心として回動する。そして、パッケージトレイを水平姿勢から前傾姿勢とする際には、パッケージトレイの当接部が第1の曲面上を車両の前方側に移動しながらパッケージトレイが回動するため、パッケージトレイが回動するのにつれてパッケージトレイが車両前方下側に移動する。このため、パッケージトレイの後方側が上方に傾いた姿勢のまま設定位置に戻らない状態となった場合であっても、パッケージトレイは水平姿勢の状態に比して車両前方下側に移動しているため、閉じたときのバックドアがパッケージトレイに干渉することを防止ないし抑制することができる。これにより、バックドアを閉める際に、パッケージトレイに負荷がかかることを防止ないし抑制することができる。
【0008】
前記ガイド部から離間して設けられ、車室内側に突出する浮き防止部をさらに備え、前記ガイド部の前記上面は、前記第1の曲面の車両前側端部から上方に立ち上がる立ち上がり面と、該立ち上がり面の上側端部から車両前側下方に延出し、側面視においてその輪郭が曲線状を成す第2の曲面と、をさらに有し、前記パッケージトレイの車両前側端部は、前記当接部から車両前側に延出する延出部をさらに有し、該延出部は、前記第2の曲面と前記浮き防止部との間にその厚み方向において挟持されており、前記中心位置と前記第2の曲面の車両後側端部と前記浮き防止部の車両後側端部とが側面視において同一直線上に存在してもよい。
この構成によると、パッケージトレイの回動時に、第2の曲面の車両後側端部と浮き防止部とによって、延出部が該延出部の延出する方向と直交する方向において挟持される。このため、パッケージトレイの回動時に延出部が回動方向以外の方向へ移動することを効果的に防止ないし抑制することができ、パッケージトレイの回動時のガタつきを効果的に防止ないし抑制することができる。
【0009】
前記第2の曲面に前記ガイド部の内側に凹む凹部が設けられていてもよい。
この構成によると、パッケージトレイの組み付け時においてパッケージトレイの延出部をガイド部と浮き防止部との間に収容する際に、延出部の先端を凹部に一旦収容させることで、延出部をガイド部と浮き防止部との間に容易に収容させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本明細書で開示されるパッケージトレイの支持構造によると、バックドアを閉める際に、パッケージトレイに負荷がかかることを防止ないし抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】パッケージトレイ10が取り付けられた車両後方の荷室を簡略化した斜視図を示す。
【図2】パッケージトレイ10の幅方向の側縁部前端10bを斜め前方から視た斜視図を示す。
【図3】水平姿勢となったパッケージトレイ10の側縁部前端10bの側面図を示す。
【図4】前傾姿勢となったパッケージトレイ10の側縁部前端10bの側面図を示す。
【図5】パッケージトレイ10の側縁部前端10bの側面図であって、パッケージトレイ10の回動態様を表す図を示す。
【図6】パッケージトレイ10の組み付け態様を表す図を示す。
【図7】水平姿勢となったパッケージトレイ10全体の側面図を示す。
【図8】前傾姿勢となったパッケージトレイ10全体の側面図を示す。
【図9】実施形態2に係るパッケージトレイ110の側縁部前端110bの側面図であって、パッケージトレイ110の回動態様を表す図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
図面を参照して実施形態を説明する。図1は、実施形態1に係るパッケージトレイ10が取り付けられた車両後方の荷室35を簡略化した斜視図を示している。図1に示すように、パッケージトレイ10は、車両における荷室35の上方に配置されている。荷室35の後方には、後部開口33が設けられており、車体側には、後部開口33を上下方向に開閉可能なバックドア38が取り付けられている。パッケージトレイ10は、リヤシート30のシートバックとバックドア38(図7参照)との隙間を塞ぐことにより、荷室35内の荷物を外部から遮蔽する目的で使用される。なお、以下の説明において前方(前側)とは車両前後方向を基準として車両前方のことをいい、後方(後側)とは車両前後方向を基準として車両後方のことをいい、幅方向とは車幅方向のことをいうものとする。
【0013】
パッケージトレイ10は、荷室35側に開口する浅い略箱型状とされ、その前方側を回動中心として、水平姿勢(図1に実線で示したパッケージトレイ10の姿勢)と前傾姿勢(図1にて二点鎖線で示したパッケージトレイ10の姿勢)との間で、その後側端部が上下方向に回動可能とされている。そして、パッケージトレイ10と車体との間に設けた連結部材(図示省略)によりバックドア38を開くと、パッケージトレイ10が前傾姿勢から水平姿勢に回動する。
【0014】
荷室35の幅方向両側を構成する側壁34には、一対の第1ヒンジ20と、一対の第2ヒンジ22(浮き防止部の一例)とがそれぞれ設けられている。一対の第1ヒンジ20は、棚部28とガイド部24とを有しており、互いに対向するように荷室内側に突出している。棚部28は、両側壁34の上部に形成され、側壁34に沿って水平方向に延びている。ガイド部24は、棚部28の前方に棚部28と連続して設けられている。また、棚部28は、図1に示すように、その上面において、水平姿勢となったパッケージトレイ10の幅方向側縁部を支持することが可能とされている。一対の第2ヒンジ22は、パッケージトレイ10の延出部10a(図2参照)とリヤシート30との間に設けられており、互いに対向するように車室内側に突出している。なお、第1ヒンジ20及び第2ヒンジ22は、側壁34と共にポリプロピレン等の合成樹脂材料によって構成されている。そして、棚部28の上方にはリヤピラー32が位置している。
【0015】
図2は、パッケージトレイ10の幅方向の側縁部前端10b(パッケージトレイの車両前側端部の一例)を斜め前方から視た斜視図を示している。図2に示すように、パッケージトレイ10は、その側縁部前端10bの上側の一部が前方に延びて成る延出部10aを有している。延出部10aは、側面視においてその輪郭が円弧状を成すように下方に湾曲しており(図3参照)、ガイド部24と第2ヒンジ22との間に収容され、その先端が第2ヒンジ22の下端とほぼ同じ高さに位置している。また、延出部10aは、パッケージトレイ10の上面10dと連続しており、ガイド部24と第2ヒンジ22との間をパッケージトレイ10の回動方向に沿って移動可能となっている。
【0016】
続いて、第1ヒンジ20及び第2ヒンジ22の構成、パッケージトレイ10の側縁部前端10bの構成について詳しく説明する。図3は、水平姿勢となったパッケージトレイ10の側縁部前端10bの側面図を示している。図4は、前傾姿勢となったパッケージトレイ10の側縁部前端10bの側面図を示している。なお、図4における二点鎖線は、水平姿勢におけるパッケージトレイ10の位置を表している。
【0017】
第1ヒンジ20のガイド部24は、その上面が棚部28の上面よりも上方に突出するように形成されている。第1ヒンジ20のガイド部24の上面には、図3に示すように、第1の曲面24aと、立ち上がり面24bと、第2の曲面24cとが形成されている。第1の曲面24aは、図3及び図4に示すように、棚部28と連続しており、側面視においてその輪郭がガイド部24の外側に膨らむ円弧状を成している。立ち上がり面24bは、第1の曲面24aの前側端部から前側上方に立ち上がっている。立ち上がり面24bは、前方に傾いた傾斜面となっている。第2の曲面24cは、立ち上がり面24bの上側端部から前側下方に延出して形成され、側面視においてその輪郭が波形状の曲線を成している。なお、第2の曲面24cには、その中腹部において、ガイド部24の内側に凹む凹部24c1が設けられている。
【0018】
第2ヒンジ22は、第2の曲面24cの前側上方にガイド部24から離間して設けられている。第2ヒンジ22は、図3に示すように、側面視においてその輪郭が後側上方及び前側下方を長軸とする略楕円状を成すような形状とされ、その一部が第2の曲面24cと対向している。第2ヒンジ22の下端は、第1ヒンジ20のガイド面24aとほぼ同じ高さに位置しており、第2ヒンジ22の上端は、第2の曲面24cの上側端部より上方であってパッケージトレイ10の上面よりやや下方に位置している。
【0019】
パッケージトレイ10の側縁部前端10bには、図3に示すように、パッケージトレイ10を水平姿勢とした際に、第1の曲面24aの後側端部と当接する当接部10cが設けられている。当接部10cは、第1の曲面24aとの当接面が曲面となっており、第1の曲面24aと当接した状態で前後に傾くことが可能となっている。また、側縁部前端10bの先端と第2の曲面24bとの間には空間Hが形成されているから、当接部10c自体もガイド面24aに沿って前方及び後方へ移動することが可能となっている。
【0020】
パッケージトレイ10の延出部10aは、図3に示すように、パッケージトレイ10を水平姿勢とした際に、その上面の一部が第2ヒンジ22の一部と当接点22aにおいて当接しており、その下面の一部が第2の曲面24cの上端24dにおいて当接している。即ち、延出部10aは、パッケージトレイ10を水平姿勢とした際に、その上面の一部と下面の一部とが第2ヒンジ22と第2の曲面24cとにそれぞれ当接することにより、第2の曲面24cと第2ヒンジ22との間にその厚み方向において挟持されている。これにより、パッケージトレイ10の延出部10aが第2の曲面側24c及び第2ヒンジ22側に移動することが抑制されている。なお、このとき、当接点22aにおいては、当接点22aからパッケージトレイ10を後方に押さえつける力F1及び下方に押さえつける力F3が働いている。そして、力F1と力F3とが合わさることにより、パッケージトレイ10を後方下側に押さえつける合力F2が働いている。この合力F2により、パッケージトレイ10は後側下方に押圧される。
【0021】
続いて、パッケージトレイ10の回動態様について説明する。図5は、パッケージトレイ10の側縁部前端10bの側面図であって、パッケージトレイ10の回動態様を表す図を示している。パッケージトレイ10が水平姿勢(図5に二点鎖線で示したパッケージトレイ10の姿勢)となっている状態から、パッケージトレイ10の後側を上方へ持ち上げると、当接部10cが第1の曲面24a上を前方に移動する(図5の矢印A参照)。このとき、当接部10c自体も前方へ傾きながら、第1の曲面24a上を移動する。なお、第2ヒンジ22によってパッケージトレイ10が後側下方へ押圧されるので、当接部10cが第1の曲面24a上を移動する際に当接部10cが第1の曲面24aから離れてしまうことはない。
【0022】
一方、延出部10aは、当接部10cが前方に移動するのに伴って、その上面が図5の回動中心Xを中心とする第1円C1上に沿って、その下面が図5の回動中心Xを中心とする第2円C2上に沿って、移動する(図5の矢印B参照)。従って、パッケージトレイ10は、全体として、回動中心Xを中心として回動する。ここで、回動中心Xは、仮想点であり、第1の曲面24aの直下(本実施形態では、第1の曲面24aの前側端部の下方であって第1ヒンジ20の下面20a近傍)に存在する。ここで、本明細書でいうガイド部24の直下とは、ガイド部24の下方であって、第1の曲面24aの前側端部と後側端部との間の範囲内をいう。
【0023】
当接部10cが第1の曲面24a上を前方に移動して、第1の曲面24aの前側端部に到達すると(図5の実線の状態)、パッケージトレイ10は前傾姿勢(図5に実線で示したパッケージトレイ10の姿勢)となる。この状態では、立ち上がり面10bによって当接部10cはさらに前方へ移動することはできないため、パッケージトレイ10がさらに前方に傾くことはない。なお、パッケージトレイ10の延出部10aは、パッケージトレイ10が回動して前傾姿勢となることによって、第1ヒンジ20の下面20aより下方まで移動する(図5の矢印B参照)。
【0024】
このように、当接部10cが第1の曲面24a上を前方へと移動するため、パッケージトレイ10が水平姿勢から前傾姿勢へと移行する際に、パッケージトレイ10全体が前方へと移動する。さらに、当接部10cが前方に傾きながら移動することで、延出部10aの先端が第1ヒンジ20の下面20aより下方へ大きく移動するため、パッケージトレイ10が水平姿勢から前傾姿勢へと移行する際に、パッケージトレイ10全体が下方にも移動する。即ち、パッケージトレイ10は、水平姿勢から前傾姿勢へと移行する際に、前方下側へと移動する。
【0025】
パッケージトレイ10を前傾姿勢から水平姿勢とする際には、上記とは逆の動作でパッケージトレイ10が移動する。即ち、パッケージトレイ10が前傾姿勢となっている状態から、パッケージトレイ10の後側を下方へ下ろすと、当接部10cが第1の曲面24a上を後方に移動する。このとき、当接部10c自体も後方へ傾きながら、第1の曲面24a上を移動する。また、延出部10aは、当接部10cが後方に移動するのに伴い、その上面が図5の回動中心Xを中心とする第1円C1上に沿って、その下面が図5の回動中心Xを中心とする第2円C2上に沿って、移動する。
【0026】
ここで、第2ヒンジ22は第1ヒンジ20に比して車室内側にわずかに突出している(図1参照)ため、パッケージトレイ10を水平姿勢から前傾姿勢へとする際に、第2の曲面24cが延出部10aの下面と当接する面積に比して第2ヒンジ22がパッケージトレイ10の上面と当接する面積が大きいものとされる。これにより、パッケージトレイ10を水平姿勢から前傾姿勢へとする際に、延出部10が上方に浮き上がって第2ヒンジ22と第2の曲面24cとの間から抜けることでパッケージトレイ10が第1ヒンジ20及び第2ヒンジ22から外れてしまうことが効果的に抑制されている。
【0027】
なお、図5における直線L1は、回動の中心位置Xと第2ヒンジ22の上端部に位置する当接点22aとを結ぶ直線を示しており、直線L2は、回動の中心位置Xと第2の曲面24cの上端24dとを結ぶ直線を示している。また、角度Dは、直線L1と直線L2との成す角度を示している。この角度Dが小さくなるほど、延出部10aと第2ヒンジ22との当接点と、延出部10aと第2の曲面24cとの当接点との距離が小さくなるので、第2の曲面24cと第2ヒンジ22とによってより効果的に延出部が挟持されることとなる。
【0028】
続いて、パッケージトレイ10を第1ヒンジ20及び第2ヒンジ22に対して組み付ける際の組み付け態様について説明する。図6は、パッケージトレイ10の組み付け態様を表す図を示している。図6において、一点鎖線で表したパッケージトレイ10sは、組み付けの途中におけるパッケージトレイ10sを示している。また、二点鎖線で表したパッケージトレイ10tは、組み付けが完了した状態のパッケージトレイ10tを示している。パッケージトレイ10を第1ヒンジ20及び第2ヒンジ22に対して組み付ける際には、まず、図6の実線で示すパッケージトレイ10のように、延出部10aの先端をガイド部24と第2ヒンジ22との間に収容する。次いで、図6の一点鎖線で示すパッケージトレイ10sのように、延出部10aの先端を、ガイド部24と第2ヒンジ22との間から凹部24c1内に収容する。次いで、この状態から、パッケージトレイ10sの後側を下方に下ろしながら、パッケージトレイ10sをやや前方へ押し込むこととにより、パッケージトレイ10sを水平姿勢へとすることができる(パッケージトレイ10tの状態)。以上の組み付け態様により、パッケージトレイ10を第1ヒンジ20及び第2ヒンジ22に対して容易に組み付けることができる。
【0029】
続いて、パッケージトレイ10の後部側壁10eの構成及びパッケージトレイ10を開閉したときのバックドア38のウインドウ部38aとの位置関係について説明する。図7は、水平姿勢となったパッケージトレイ10全体の側面図を示している。図7に示すように、パッケージトレイ10の後部側壁10eには、パッケージトレイ10が水平姿勢の状態においてバックドア38に向かって突出するゴムクッション11が設けられている。ゴムクッション11は弾性体で形成され、パッケージトレイ10が水平姿勢の状態においてバックドア38を閉めた際に、その先端がバックドア38と当接するように配されている。このため、パッケージトレイ10が水平姿勢の状態では、パッケージトレイ10は、バックドア38によってゴムクッション11を介して前方へ押圧される。
【0030】
図8は、前傾姿勢となったパッケージトレイ10全体の側面図を示している。図8に示す鎖線のうち一点鎖線10xは、パッケージトレイ10が水平姿勢から前傾姿勢へと移行する際の、パッケージトレイ10の後側端部の軌道を示している。また、図8に示す鎖線のうち二点鎖線10yは、パッケージトレイ10が、ガイド部24上に存在する第2の中心位置Yを仮想的な回動の中心として、水平姿勢から前傾姿勢へと移行する際の、パッケージトレイ10の後側端部の仮想的な軌道を示している。図8に示すように、パッケージトレイ10の回動の中心位置がガイド部の直下に存在せず、ガイド部24上に存在する場合(第2の中心位置Yを回動の中心とした場合)、パッケージトレイ10は、その当接部が前方に移動することなく回動することが可能となる。この場合、パッケージトレイ10は、水平姿勢から前傾姿勢とする際に前方下側に移動することがない。このため、パッケージトレイ10の後側端部は、二点鎖線10yに示すような軌道を描いて移動し、バックドア38のウインドウ部38aと干渉する。一方、本実施形態では、パッケージトレイ10の回動の中心位置Xがガイド部24の直下に存在するので、パッケージトレイ10が水平姿勢から前傾姿勢とする際に、パッケージトレイ10全体が前方下側に移動し(図8の一点鎖線10x参照)、パッケージトレイ10がバックドア38のウインドウ部38aと干渉することが回避される。
【0031】
以上のように本実施形態に係るパッケージトレイ10の支持構造では、パッケージトレイ10は、ガイド部24の直下に存在する中心位置Xにおいて支持されない状態で、この中心位置Xを回動の中心として回動する。そして、パッケージトレイ10を水平姿勢から前傾姿勢とする際には、パッケージトレイ10の当接部10cが第1の曲面24a上を車両の前方側に移動しながらパッケージトレイ10が回動するため、パッケージトレイ10が回動するのにつれてパッケージトレイ10が車両前方下側に移動する。このため、パッケージトレイ10の後方側が上方に傾いた姿勢のまま設定位置に戻らない状態となった場合であっても、パッケージトレイ10は水平姿勢の状態に比して車両前方下側に移動しているため、閉じたときのバックドア38のウインドウ部38aがパッケージトレイ10に干渉することを防止ないし抑制することができる。これにより、バックドア38を閉める際に、パッケージトレイ10に負荷がかかることを防止ないし抑制することができる。
【0032】
本実施形態に係るパッケージトレイ10の支持構造では、従来技術のように回動の中心位置にパッケージトレイが回動可能に固定された構成とするのではなく、さらに、回動の中心位置Xがガイド部24の直下に存在するような構成とすることで、パッケージトレイ10が水平姿勢から前傾姿勢へと移行する際に、パッケージトレイ10が前方下側へと移動する構成を実現している。
【0033】
また、本実施形態に係るパッケージトレイ10の支持構造では、パッケージトレイ10が水平姿勢とされている際に、パッケージトレイ10の延出部10aが第2ヒンジ22によって後側下方へ押圧され、その一方でパッケージトレイ10の後部側壁10eに設けられたゴムクッション11がバックドア38によって前方へ押圧される。このように、パッケージトレイ10が水平姿勢とされている際に、パッケージトレイ10が前方と後方とから押圧されることで、車両走行中の振動等によってパッケージトレイ10がガタつくことを防止ないし抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態に係るパッケージトレイ10の支持構造では、従来の、軸部と軸部を支持する軸受け部とが設けられたパッケージトレイとを備えるパッケージトレイの支持構造に比して、軸部等を設ける必要がないため、製造コストを低減することができる。
【0035】
また、本実施形態に係るパッケージトレイ10の支持構造では、パッケージトレイ10は水平姿勢から前傾姿勢とする際に、パッケージトレイ10が前方下側へ移動するので、バックドア38のウインドウ部38aが前方へ大きく傾いて配されている場合であっても、バックドア38を閉じるときにバックドア38のウインドウ部38aとパッケージトレイ10とが干渉することを防止ないし抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態に係るパッケージトレイ10の支持構造では、延出部10aが第2の曲面24cと第2ヒンジ22との間にその厚み方向において挟持されている。このため、パッケージトレイ10の回動時に延出部10aが回動方向以外の方向へ移動することを防止ないし抑制することができ、パッケージトレイ10の回動時のガタつきを防止ないし抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態に係るパッケージトレイ10の支持構造では、第2の曲面24cにガイド部24の内側に凹む凹部24c1が設けられている。このため、パッケージトレイ10の組み付け時においてパッケージトレイ10の延出部10aをガイド部24と第2ヒンジ22との間に収容する際に、延出部10aの先端を凹部に24c1一旦収容させることで、延出部10aをガイド部24と第2ヒンジ22との間に容易に収容させることができる。
【0038】
<実施形態2>
図面を参照して実施形態2を説明する。図9は、実施形態2に係るパッケージトレイ110の側縁部前端110bの側面図であって、パッケージトレイ110の回動態様を表す図を示している。実施形態2は、ガイド部124の立ち上がり面124bの配置及び第2ヒンジ122の配置が、実施形態1のものと異なっている。その他の構成については実施形態1と同じであるため、構造、作用、および効果の説明は省略する。なお、図9は、実施形態1における図5と対応しており、図9において、図5の参照符号に数字100を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。
【0039】
実施形態2に係るパッケージトレイ110の支持構造では、回動の中心位置Xと、第2の曲面124cの上端124dと、第2ヒンジ122の上端部に位置する当接点122aとが同一直線L3上に存在するようにそれぞれ設けられている。即ち、実施形態1に係るパッケージトレイ10の支持構造において、回動の中心位置Xと第2ヒンジ22の上端部に位置する当接点22aとを結ぶ直線L1と、回動の中心位置Xと第2の曲面24cの上端24dとを結ぶ直線L2との成す角度Dが0°とされた構成となっている。
【0040】
このような構成とされていることにより、実施形態2に係るパッケージトレイ110の支持構造では、パッケージトレイ110の回動時に、第2の曲面124cの車両後側端部と第2ヒンジ122とによって、延出部110aが、延出部110aの延出する方向と直交する方向において挟持される。即ち、延出部110aと第2の曲面124cとの当接点と、延出部110aと第2ヒンジ122との当接点との距離が最短となる。このため、パッケージトレイ110の回動時に延出部110aが回動方向以外の方向へ移動することを効果的に防止ないし抑制することができ、パッケージトレイ110の回動時のガタつきを効果的に防止ないし抑制することができる。
【0041】
上記の各実施形態の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施形態では、回動の中心位置Xが第1の曲面の前側端部の下方であって第1ヒンジの下面近傍に存在する構成を採用したが、回動の中心位置の存在箇所は限定されない。回動の中心位置Xがガイド部の直下に存在する構成であればよい。
【0042】
(2)上記の各実施形態では、第2の曲面に凹部が設けられた構成を採用しているが、第2の曲面に凹部が設けられておらず、例えば第2の曲面が側面視においてガイド部の外側に膨らむ円弧状とされている構成を採用してもよい。
【0043】
(3)上記の各実施形態以外にも、第1ヒンジ、第2ヒンジの形状及び配置については、適宜に変更可能である。
【0044】
(4)上記の各実施形態以外にも、パッケージトレイの形状等については、適宜に変更可能である。
【0045】
以上、本発明の各実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0046】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0047】
10:パッケージトレイ、10a:延出部、10b:(パッケージトレイの)側縁部前端、10c:当接部、20:第1ヒンジ、22:第2ヒンジ、24:ガイド部、24a:第1の曲面、24b:立ち上がり面、24c:第2の曲面、24c1:凹部、30:リヤシート、32:リヤピラー、34:側壁、35:荷室、38:バックドア、X:中心位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室に設けられたパッケージトレイを車体側に対して回動可能に支持するパッケージトレイの支持構造であって、
車室内側に突出し、その上面において前記パッケージトレイの車両前側端部を支持するガイド部を備え、
該ガイド部の前記上面は、側面視においてその輪郭が該ガイド部の外側に膨らむ円弧状を成す第1の曲面を有し、
前記パッケージトレイの車両前側端部は、車両の前方側及び後方側に傾くことが可能な状態で前記第1の曲面と当接する当接部を有し、
前記パッケージトレイは、前記当接部がその傾きを変えながら前記第1の曲面上を車両の前方側及び後方側に移動することで回動可能とされており、
前記パッケージトレイの回動の中心となる中心位置が前記ガイド部の直下に存在することを特徴とするパッケージトレイの支持構造。
【請求項2】
前記ガイド部から離間して設けられ、車室内側に突出する浮き防止部をさらに備え、
前記ガイド部の前記上面は、前記第1の曲面の車両前側端部から上方に立ち上がる立ち上がり面と、該立ち上がり面の上側端部から車両前側下方に延出し、側面視においてその輪郭が曲線状を成す第2の曲面と、をさらに有し、
前記パッケージトレイの車両前側端部は、前記当接部から車両前側に延出する延出部をさらに有し、
該延出部は、前記第2の曲面と前記浮き防止部との間にその厚み方向において挟持されており、
前記中心位置と前記第2の曲面の車両後側端部と前記浮き防止部の車両後側端部とが側面視において同一直線上に存在することを特徴とする請求項1に記載のパッケージトレイの支持構造。
【請求項3】
前記第2の曲面に前記ガイド部の内側に凹む凹部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のパッケージトレイの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−116317(P2012−116317A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267433(P2010−267433)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000133065)株式会社タケヒロ (16)
【Fターム(参考)】