説明

パッケージ型圧縮機。

【課題】本発明は、複数台の圧縮機に冷えた空気が供給されやすいように配置することにより、冷却効率を向上させたパッケージ型圧縮機を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、内部に冷却風を吸込む吸気口と,冷却風を外部に排出する排気口とが設けられたパッケージと、パッケージ内に設けられ空気を吸込んで圧縮する複数の圧縮機本体とを備え、前記複数の圧縮機本体を前記吸気口から前記排気口に向けて複数台配置し、前記圧縮機本体よりも下に冷却風が流通する下部隙間を設けることを特徴とするパッケージ型圧縮機を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば吸込んだ空気を圧縮して吐出する圧縮機を複数台備えたパッケージ型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のパッケージ型流体機械は、複数台の流体機械ユニットを筐体の内部に配置するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−98147
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のパッケージ型流体機械は、縦に積み上げられた複数台の流体機械が2列に配置されている。2列に配置された複数台の流体機械は、間に設けられた吸気通路から冷却風を供給することによって、冷却しているが、それぞれの列に設けられた複数の流体機械へ供給される冷却風の向きが反対方向のため、冷却風が効率よく供給されない。ここで、2列に配置された複数台の流体機械に同じ向きの冷却風を供給しようとすると、冷却風の上流側に配置された流体機械の影となり、下流側に配置された流体機械に冷却風が供給されにくく、下流に配置された流体機械には冷えた空気が供給されにくい。
【0005】
本発明は、複数台の圧縮機に冷えた空気が供給されやすいように配置することにより、冷却効率を向上させたパッケージ型圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明は、内部に冷却風を吸込む吸気口と,冷却風を外部に排出する排気口とが設けられたパッケージと、パッケージ内に設けられ空気を吸込んで圧縮する複数の圧縮機本体とを備え、前記複数の圧縮機本体を前記吸気口から前記排気口に向けて複数台配置し、前記圧縮機本体よりも下に冷却風が流通する下部隙間を設けることを特徴とするパッケージ型圧縮機を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数台の圧縮機に冷えた空気が供給されやすいように配置することにより、冷却効率を向上させたパッケージ型圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】複数台の圧縮機本体を配置したパッケージ型圧縮機を示す全体構成図である。
【図2】本発明の実施例1によるパッケージ型圧縮機を示す全体構成図である。
【図3】本発明の実施例2によるパッケージ型圧縮機を示す全体構成図である。
【図4】本発明の実施例3によるパッケージ型圧縮機を示す全体構成図である。
【図5】本発明の実施例4によるパッケージ型圧縮機を示す全体構成図である。
【図6】本発明の実施例5によるパッケージ型圧縮機を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る各実施例について図面に基づいて説明する。
【0010】
本発明の各実施例におけるパッケージ型圧縮機の全体構成について図1を用いて説明する。
【0011】
パッケージ1は、後述するフレーム2、圧縮機本体3a,3b,3c、タンク5等のパッケージ型圧縮機全体を6方向から覆い、圧縮機本体3a,3b,3cから発生する騒音を遮蔽する。また、冷却風を内部へ吸込む吸気口6と冷却風を外部へ排出する排気口7が設けられている。
【0012】
フレーム2は、後述するタンク5の上に設けられた圧縮機本体3a,3b,3cを支持するものである。
【0013】
圧縮機本体3a,3b,3cは、それぞれ空気を吸込んで圧縮し、圧縮した空気を後述するタンク5に吐出するもので、例えば、スクロール式圧縮機または、往復動圧縮機として構成されている。往復動圧縮機を例に挙げて説明すれば、圧縮機本体3a,3b,3cは、例えば、モータ、圧縮部(ピストン、シリンダ、シリンダヘッド)などで構成され、モータによって駆動されるピストンがシリンダ内を往復動することにより、吸込み口から吸込まれた空気が圧縮され、圧縮された空気は吐出し口から後述するタンク5へと吐き出される。圧縮機本体3a,3b,3cは、パッケージ1内において、後述する吸気口6から排気口7に向けて吸気口に近いほうから3a,3b,3cの順番で配置される。このような順番で配置されることにより、冷却風を一方向に流すだけで複数の圧縮機本体3a,3b,3cを冷却することができる。また、圧縮機本体3a,3b,3cをそれぞれ、側面から冷却させるようにすれば、冷却効率は上がるが、冷却ファン4、吸気口6、排気口7を多く配置し、それぞれの面積を大きくするか、内部に複雑な形状のダクトを設ける必要があり、コストが大きくなり、騒音も大きくなる。従って、低コスト、低騒音を実現するため、本実施例では、吸気口6から排気口7に向けて吸気口に近いほうから3a,3b,3cの順番で圧縮機本体を配置した。
【0014】
さらに、圧縮機本体3a,3b,3cの吸込み口を吐出し口よりもパッケージ1の吸気口6に近い位置に配置することによって、吸込み口から吸込まれる空気の温度の上昇を低くすることができ、圧縮機本体3a,3b,3cで圧縮され、タンク5へ吐き出される空気の温度の上昇も低くすることができる。これによって、パッケージ1内全体の温度の上昇を低くすることができる。また、圧縮機本体3a,3b,3cの吸込み口をモータ、圧縮部よりもパッケージ1の吸気口6に近い位置に配置することによっても吸込み口から吸込まれる空気の温度の上昇を低くすることができる。
【0015】
冷却ファン4は、パッケージ1内部に配置され、吸気口6から排気口7に向けて冷却風を流通させるものである。本実施例では、排気口7に配置された排気ファンとして構成しているが、吸気ファンとして構成してもよいし、吸気ファンと排気ファンの両者を設けてもよい。
【0016】
タンク5は、フレーム2の下方に配置され、圧縮機本体3a,3b,3cにより圧縮された圧縮空気を貯留するもので、両端が閉塞された円筒状の密閉容器として形成されている。
【0017】
ここで、圧縮機本体3a,3b,3cは、モータの駆動による発熱や圧縮熱の発生により大きく発熱するため、冷却効率を向上させ圧縮機本体3a,3b,3cの信頼性・寿命の向上を図る必要がある。図1のパッケージ型圧縮機は、圧縮機本体3a,3b,3cがフレーム2の上に同じ高さで配置されており、複数台の圧縮機本体3a,3b,3cの空間に冷却風が流れにくくなっている。圧縮機本体を3台以上配置した場合、間に配置された圧縮機本体3bには特に冷却風が供給されにくい。また、圧縮機本体3a,3b,3cは、タンク5の上にフレームを介して直接配置されているため、圧縮機本体3a,3b,3cの下部に冷却風が流れず、冷却効率の向上が図れていない。また、圧縮機本体3a,3b,3cは、それぞれ圧縮するための空気を吸込む吸込み口があるが、吸込み口に冷えた空気が供給されないと、圧縮空気の圧縮熱により圧縮機本体3a,3b,3c、タンク5がさらに高温となる。
【0018】
本発明の各実施例では、上記問題点に鑑み、複数台の圧縮機本体3a,3b,3cに冷えた空気が供給されやすいように配置している。本発明の各実施例について図2−6を用いて説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1について図2を用いて説明する。なお、本実施例において、図1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0020】
本実施例では、圧縮機本体3a,3b,3cとパッケージ1との間に冷却風が流通する上部隙間A,B,Cを設け、圧縮機本体3a,3b,3cよりも下に(圧縮機本体3a,3b,3cとフレーム2との間)に冷却風が流通する下部隙間A',B’,C'を設けた。これにより、圧縮機本体3a,3b,3cの上下に冷却風を供給し、圧縮機本体3a,3b,3cを上下から効率よく冷却することができる。なお、本実施例では、圧縮機本体3a,3b,3cとフレーム2との間に下部隙間A',B’,C'を設けたが、圧縮機本体3a,3b,3cを下側から冷却できる構造であれば、例えば、圧縮機本体3a,3b,3cとフレーム2とを一体として形成し、フレーム2とタンク5との間に下部隙間A',B’,C'を設けてもよい。
【0021】
また、本実施例では、上部隙間と下部隙間との寸法を上部隙間の寸法のほうが大きくなるように(A>A',B>B',C>C')とした。これにより、圧縮機本体3a,3b,3cの上部隙間により多くの冷却風が供給され、上部隙間A,B,Cの流れが冷却風の主流となり、暖められてパッケージ上方へ上がってきた冷却風を効率よく流通させることができる。また、圧縮機本体3a,3bの下部を通過する冷却風が圧縮機3bの両側の空間から圧力が低い上方へ流れる冷却風が発生し,圧縮機3a,3b,3c周りに効率よく冷却風を流すことができる。
【0022】
さらに、上部隙間、下部隙間の寸法の関係をA<B<C,A'>B'>C'となるように吸気口に近い圧縮機本体を吸気口から遠い圧縮機本体よりも上になるように圧縮機本体3a,3b,3cを配置した。これにより、まず、圧縮機本体3a上部を通過した後の流れは,圧縮機本体3a,3bの上部隙間A,BをA<Bとすることで,上部隙間Aを流通した冷却風が圧縮機本体3aと3bの間へ流れ込むのを低減し,上部隙間B側へ効率よく冷却風を供給することができる。圧縮機本体3cに関してもB<Cとすることで圧縮機本体3bと3cの間に流れ込む冷却風を低減できる。上部隙間C側、排気口7側へ効率よく冷却風を供給することができる。
【0023】
以上より、本実施例によれば、冷却風が流れにくい圧縮機本体3a,3b,3c周りにおける淀みや冷却風不足が解消され,圧縮機本体3a,3b,3cの温度低減,吸込み過熱の低減による性能向上が可能となる。
【実施例2】
【0024】
本発明の実施例2について図3を用いて説明する。なお、本実施例において、実施例1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0025】
本実施例では、実施例1の構成に加え,L字型の冷却風ガイド8a,8bをそれぞれ、圧縮機本体3a、3bの間と、圧縮機本体3b、3cとの間に配置したものである。冷却風ガイド8a,8bを吸気口6に近い側にある圧縮機本体に寄せ、圧縮機本体3a,3b,3cの間の空間と上部隙間A,B,Cとの間の一部を遮断するように設置することで,上部隙間A,B,C側の流れが圧縮機本体3a,3b,3cの間に流入する流れを減らすことができ,圧縮機本体3a,3b,3cの間の空間と上部隙間A,B,Cとの間の冷却風を効率よく流すことができる。
【実施例3】
【0026】
本発明の実施例3について図4を用いて説明する。なお、本実施例において、実施例1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0027】
本実施例では、圧縮機本体3a,3b,3cの上部隙間A,B,C側と下部隙間A',B’,Cへ冷却風を効率よく流通させるために,パッケージ入口6の流れをガイド9により分流する。これにより,入口側の圧縮機本体3aに当たって乱れる流れを低減し,圧縮機本体3a,3b,3cの上部隙間A,B,C側と下部隙間A',B’,Cへ上下に効率よく冷却風を流すことができる。
【実施例4】
【0028】
本発明の実施例4について図5を用いて説明する。なお、本実施例において、実施例1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0029】
本実施例では、上部隙間A,B,C側の流れをより効率よく流すために,ダクト10を設置する。これにより、上部隙間A,B,C側の流れが圧縮機本体3a,3b,3cの間に流入する流れを減らすことができ,圧縮機本体3a,3b,3cの間の空間と上部隙間A,B,Cとの間の冷却風を効率よく流すことができる。また、ダクト10の底面には圧縮機本体3a,3b,3cの圧縮部(シリンダヘッド)の部分,圧縮機本体3a,3b,3cの間の部分で開口部を設ける。ダクト10内に圧縮部(シリンダヘッド)が入るようにすることで,稼動時に高温になる圧縮部(シリンダヘッド)の冷却効率を上げることができる。また,圧縮機本体3a,3b,3cの間にも開口部を設けており,実施例1と同様に下部隙間A',B’から圧縮機本体3a,3b,3cへの間の流れを確保することができる。
【実施例5】
【0030】
本発明の実施例5について図6を用いて説明する。なお、本実施例において、実施例1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0031】
本実施例では、ダクト10を圧縮機本体の高さに合わせた構造(ダクト11)にすることで,シリンダヘッドの必要な部分だけを冷却する。ダクト11を圧縮機本体3a,3b,3cの高さ合わせて、ダクト11内の流路を圧縮機本体3aの上から圧縮機本体3b、圧縮機本体3cへと向かうにつれて上下寸法が大きくなるような構造にすることで,実施例2の冷却風ガイド8a,8bがなくても、上部隙間A,B,Cを流通した冷却風と圧縮機本体3a,3b,3cの間を流通した冷却風とが衝突することを防止することにより、効率よく冷却風を流通させることができる。なお、ダクトの底面部には実施例4と同じように開口部を設けることで,実施例1と同様に下部隙間A',B’から圧縮機本体3a,3b,3cへの間の流れを確保することができる。
【0032】
これまで説明してきた実施例によれば、複数ある圧縮機本体の3a,3b,3c冷却が改善され,性能が向上する。また、効率よく冷却風を流すことで,冷却ファン4の小型化や個数削減が可能となる。
【0033】
これまで説明してきた実施例において,圧縮機本体の台数は3台に限られず、例えば、2台、4台であっても実施例1−5と同様の設置方法をとることで同じ効果を得ることができる。また、実施例1−5を組み合わせることによって、例えば、冷却風ガイド8、9,ダクト10、11についても同様の効果が得られる。例えば、実施例2,3の組み合わせや,実施例3と4または5の組み合わせで構成することでより冷却効率を上げることが可能である。
【0034】
本説明において,タンク5をパッケージ1内に有する図にて説明を行ったが,タンクの有無は特に限定するものではない。
【0035】
これまで説明してきた実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0036】
簡単な変形例としては、容量制御可能な圧縮機として、台数制御を用い場合においても、同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1:パッケージ
2:フレーム
3a〜c:圧縮機本体
4:ファン
5:タンク
6:パッケージ入口
7:パッケージ出口
8a,b:冷却風ガイド1
9:冷却風ガイド2
10:内部ダクト1
11:内部ダクト2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷却風を吸込む吸気口と,冷却風を外部に排出する排気口とが設けられたパッケージと,
パッケージ内に設けられ空気を吸込んで圧縮する複数の圧縮機本体とを備え、
前記複数の圧縮機本体を前記吸気口から前記排気口に向けて複数台配置し、前記圧縮機本体よりも下に冷却風が流通する下部隙間を設けることを特徴とするパッケージ型圧縮機。
【請求項2】
前記パッケージの上面と前記圧縮機本体との間の上部隙間の寸法が前記下部隙間の寸法よりも大きくなるように配置することを特徴とする請求項1に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項3】
前記吸気口に近い圧縮機本体の方が前記吸気口よりも遠い圧縮機本体よりも上に配置されることを特徴とする請求項2に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項4】
複数台の前記圧縮機本体の間に前期上部隙間と前記圧縮機本体の間の空間の一部を遮断する冷却風ガイドを配置することを特徴とする請求項2に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項5】
複数台の前記圧縮機本体のうち、前記吸気口に最も近い位置にある圧縮機本体と前記吸気口との間に冷却風を前記上部隙間へ向かう冷却風と前記下部隙間へ向かう冷却風へ分流する冷却風ガイドを設けることを特徴とする請求項4に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項6】
前記上部隙間に冷却風を流通させるダクトを設けることを特徴とする請求項2に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項7】
前記ダクトに、複数台の前記圧縮機本体の間の冷却風が流入する開口部を設けることを特徴とする請求項6に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項8】
複数の前記圧縮機本体のうち、吸気口に近い位置に配置された圧縮機本体の上にある前記ダクト内の流路の上下寸法よりも吸気口から遠い位置に配置された圧縮機本体にある前記ダクト内の流路の上下寸法を大きくすることを特徴とする請求項6に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項9】
前記ダクトに前記圧縮機本体の圧縮部の一部が入り込むように開口部を設けることを特徴とする請求項6に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項10】
前記圧縮機本体は空気を吸込む吸込み口と、圧縮された空気を吐き出す吐出し口とを備え、前記吸込み口を前記吐出し口よりも前記パッケージ内の吸気口に近い位置に配置することを特徴とする請求項1に記載のパッケージ型圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−44271(P2013−44271A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182098(P2011−182098)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】