パッド表面状態観察方法およびパッド表面状態観察装置
【課題】研磨時の状態に近いパッドの表面状態を精度よく観察できるパッド表面状態観察方法を提供する。
【解決手段】プリズム10を、接触面10bをパッド12の研磨面に当接させて配置し、プリズム10に所定の押圧力を加えてパッド12の研磨面を接触面10bで押圧し、入光面10aに光を入光させて、屈折光を接触面10bで反射させる際、接触面10bに当接しないパッド12の凹部に対応する接触面12bでは全反射させ、接触面10bに当接するパッド12の凸部に対応する接触面10bでは光を拡散反射させ、プリズム10の観察面10c側から出光する反射光を受光部22で受光し、この受光光の状態により研磨面の表面状態を観察することを特徴とする。
【解決手段】プリズム10を、接触面10bをパッド12の研磨面に当接させて配置し、プリズム10に所定の押圧力を加えてパッド12の研磨面を接触面10bで押圧し、入光面10aに光を入光させて、屈折光を接触面10bで反射させる際、接触面10bに当接しないパッド12の凹部に対応する接触面12bでは全反射させ、接触面10bに当接するパッド12の凸部に対応する接触面10bでは光を拡散反射させ、プリズム10の観察面10c側から出光する反射光を受光部22で受光し、この受光光の状態により研磨面の表面状態を観察することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハ等のワークの研磨装置におけるパッドの表面状態観察方法およびパッド表面状態観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの高性能化に関連した諸要求のレベルが年々高度化する中にあって、デバイスに用いられるシリコンウェーハの高平坦化を達成するための製造工程の一つであるCMP(ポリシング)は不可避的なものとなっている。そして現在においても、安定したポリシングを行うために様々な工夫や取り組みが行われている。
ところで、ポリシングにおいては、使用されるパッド(研磨パッド)の表面性状としての表面粗さが研磨特性に及ぼす影響は大きい。
そこで、パッドの表面粗さを接触式もしくは非接触式の表面粗さ計で計測して、ポリシングにおける研磨特性を調べる技術が開発されている(非特許文献1)。
【非特許文献1】「シリコンウェーハ研磨への研磨パッド表面粗さおよび経常の影響」 2006年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集 503-504頁 松村進一等
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のパッド検査方法には次のような課題がある。
すなわち、接触式粗さ計の場合には、測定範囲が直線状なので「面」の評価ができない。
また、実際の研磨の場合には加工物が押し付けられることにより、パッドが押し潰された状態で研磨作用がなされるが、接触式粗さ計および非接触式粗さ計のいずれも、パッドのこのような押し潰された状態を観察することはできない。
そこで、本発明は上記課題を解消すべくなされ、その目的とするところは、研磨時の状態に近いパッドの表面状態を精度よく観察できるパッド表面状態観察方法およびパッド表面状態観察装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るパッド表面状態観察方法は、研磨装置の定盤に貼付されたパッドの研磨面の表面状態を観察するパッド表面状態観察方法において、接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および観察面を有するプリズムを、前記接触面をパッドの研磨面に当接させて研磨面上に配置し、該研磨面上に配置したプリズムに所定の押圧力を加えてパッドの研磨面を接触面で押圧し、前記入光面に光を入光させて、屈折光を前記接触面で反射させる際、前記接触面に当接しないパッドの凹部に対応する接触面では全反射させ、前記接触面に当接するパッドの凸部に対応する接触面では全反射が崩れることによって発生する反射光を反射させ、前記プリズムの前記観察面側から出光する反射光を受光部で受光し、この受光光の状態により研磨面の表面状態を観察することを特徴とする。
【0005】
また本発明に係るパッド表面状態観察方法は、研磨装置の定盤に貼付されたパッドの研磨面の表面状態を観察するパッド表面状態観察方法において、接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および前記接触面からの全反射光が出光する観察面を有するプリズムを、前記接触面をパッドの研磨面に当接させて研磨面上に配置し、該研磨面上に配置したプリズムに所定の押圧力を加えてパッドの研磨面を接触面で押圧し、前記入光面に光を入光させて、屈折光を前記接触面で反射させる際、前記接触面に当接しないパッドの凹部に対応する接触面では全反射させ、前記接触面に当接するパッドの凸部に対応する接触面では全反射が崩れることによって発生する反射光を反射させ、前記プリズムの前記観察面側から出光する前記全反射光を受光部で受光し、この受光光の状態により研磨面の表面状態を観察することを特徴とする。
【0006】
前記プリズムに、光を透過する錘をのせてプリズムを押圧し、該錘を透過する反射光を受光部で受光するようにすることができる。
前記プリズムにダブプリズムを用いることができる。
【0007】
前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データから算出した接触点数を用いて画像診断を行うようにすることができる。
あるいは前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データから算出した接触率を用いて画像診断を行うようにすることができる。
あるいはまた前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データを用いた空間FFT解析結果の半値幅を用いて画像診断を行うようにすることができる。
【0008】
本発明に係るパッド画像観察装置は、ウェーハ等のワークの研磨装置におけるパッドの表面状態を観察する装置であって、接触面、この接触面に光を入光させる入光面および観察面を有し、接触面にてパッドの研磨面に当接してパッド上に載置されるプリズムと、光を透過可能で、前記プリズム上に載置され、プリズムを介してパッドに所定の押圧力を付与する錘と、前記プリズムの入光面に光を投射する光源と、前記プリズムの前記観察面側から出光し、前記錘を透過する反射光を受光する受光部とを具備することを特徴とする。
【0009】
また本発明に係るパッド画像観察装置は、ウェーハ等のワークの研磨装置におけるパッドの表面状態を観察する装置であって、接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および前記接触面からの全反射光が出光する観察面を有し、接触面にてパッドの研磨面に当接してパッド上に載置されるプリズムと、前記プリズム上に載置され、プリズムを介してパッドに所定の押圧力を付与する錘と、前記プリズムの入光面に光を投射する光源と、前記プリズムの前記観察面側から出光する全反射光を受光可能な受光部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、上記のように、研磨面上に配置したプリズムに所定の押圧力を加えてパッドの研磨面を接触面で押圧し、プリズムの入光面に光を入光させて、屈折光を接触面で反射させる際、接触面に当接しないパッドの凹部に対応する接触面では全反射させ、接触面に当接するパッドの凸部に対応する接触面では全反射が崩れることによって発生する反射光を反射させ、プリズムの観察面から出光する反射光を受光部で受光するようにしたので、パッドの実際の研磨時のような押し潰された状態を観察することができ、また鮮明な接触画像が得られ、研磨面の表面状態を良好に観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
ポリシングにおいては、使用されるパッドの表面性状としての表面粗さが研磨特性に及ぼす影響が大であることに加えて、研磨中におけるパッドとウェーハ間の真実接触面積が研磨レートや精度に及ぼす影響も大きい。特にポリシングにおいては、ウェーハ全面の見掛け上の接触面積は大きいものの、実際の研磨中におけるウェーハとパッド相互間の真実接触面積は非常に小さい状態となっている。これは、研磨中のウェーハに対し局部的に高い圧力が作用することを意味する。
【0012】
上記の事情を背景に、ポリシングのさらなる高精度化、および安定した研磨レートの確保を実現するためには、研磨中におけるウェーハとパッド相互間の接触状態を把握する必要がある。また、研磨の進行に伴いパッド表面は劣化し、研磨レートの低下やスクラッチ発生の原因につながることから、ダイヤモンドドレッサを用いてパッド表面の再生を行うことが通例である。しかしながら、現状においてはパッド表面性状を的確に把握しうる方法が明確にされていないばかりか、ドレッサの種類、特に粒度(番手)がパッド表面性状に及ぼす影響に関して明らかにされていないのが実情である。
【0013】
本実施の形態では、ポリシングパッドの表面性状観察装置として、次の2種類の研磨装置を用いた。
まず1つは、実験室レベルにおける装置(実験室装置)、もう1つは汎用の実機装置である。この2種類の研磨装置を用いて同一パラメータによるパッド表面性状の観察を行った。
【0014】
実験室装置においては、図1に示すようにしてパッドのドレスを行った。すなわち、直径300mmの定盤2にパッドを貼り付け、それを30rpmで時計方向に回転させた。そして、外径:100mm、内径:82mmのダイヤモンドドレッサ4をオフセット(パッド中心からドレッサ中心までの距離)が125mmとなる位置にセットすると同時に、デッドウエイト方式によってドレス圧力を与えつつ2rpmで時計方向に回転させることによってドレスを行った。
【0015】
なお、ドレッサ4は粒度の異なる4種類(♯80、♯100、♯500、♯1000)のものを用いたが、観察においては、1枚のパッドにおいて、ドレスなしでの観察→♯80でドレス→♯80でのドレス後の観察→♯100でドレス→♯100でのドレス後の観察→♯500でドレス→♯500でのドレス後の観察→♯1000でドレス→♯1000でのドレス後の観察というように、粒度の小さなものから順にドレス・観察を行った。
【0016】
一方、実機装置においては図2に示すようにしてドレスを行った。すなわち、本装置においては、パッドが貼り付けられた直径1000mmの上下定盤6に対して上定盤を時計方向(20rpm)に、下定盤を反時計方向(20rpm)に回転させると同時に、キャリア8に保持された3つのドレッサ4(外径:505mm、内径:475mm)によってドレスを行った。なお、キャリア8は半径50mmの小円運動(自転しない旋回回転運動)(回転速度:12rpm)を行うようになっている。ドレッサ4には粒度の異なる3種類(♯80、♯500、♯1000)のものを用いたが、観察には実験室装置の場合と同様に、1枚のパッドにおいて粒度の小さなものから順にドレス・観察を行った。
【0017】
主な運転条件は表1、2に示すとおりであり、表1が実験室装置の場合、表2が実機装置の場合である。なお、パッドには、実験室装置、実機装置ともにニッタ・ハース株式会社製の型番:MH−S15Aを用いたが、実験室装置では溝無し、実機装置では溝有り(溝間隔:30mm、溝幅:2mm)のものを用いた。また、表面粗さや接触画像による評価はいずれも1条件につき50個のデータを取得し、そのデータ分布における平均値と標準偏差をもって評価した。
【0018】
表1
【0019】
表2
【0020】
本実施の形態では、パッド表面性状を観察する方法としてダブプリズムを用いた観察方法を採用した。ダブプリズムとは光学ガラスの一種であり、像回転プリズムとも称される。ダブプリズム10は、図3に示すように、入光面10aに角度45°で入光した光はプリズム底面10b(接触面)で全反射し、プリズム10を透過するという特徴をもっている。なお、接触点(パッド12との接触点)においては、全反射の条件が崩れて光が拡散反射する。そしてパッド12との接触点以外の部位(非接触点)では全反射する。入光面10aは接触面10bに対して鋭角をなしている。なお、プリズムとして、必ずしも図3に示すような台形状のダブプリズムでなくともよい。
【0021】
本実施の形態では、ダブプリズム10を介してパッド12に所定の圧力を与えつつ、そのときの接触点から拡散反射された反射光を受光部(マイクロスコープ)によって取得することで、パッド12とダブプリズム10相互間の接触画像を取得する。
このマイクロスコープでは、7.3mm×5.5mmの領域における画像を1600pixel×1200pixelで取得することができる。
【0022】
なお、接触画像は接触領域が白く、非接触領域が黒くなる。また、本実施の形態では、安定してダブプリズム10を介してパッド12に所定の圧力を与えるとともに、ダブプリズム10の上面(観察面10c)から出光する反射光をマイクロスコープにより撮影を可能にするため、図4、図5に示す装置を用いた。図4、図5において、10はダブプリズムであり、固定治具14によりその両側を挟持して、固定されるようになっている。ダブプリズム10の上面(観察面10c)には、光を透過する錘16を乗せ、この錘16によりダブプリズム10を介して所定の押圧力をパッド12に付与できるようになっている。錘16の所要箇所には位置決め孔が設けられ、この位置決め孔に固定治具14に設けたピン18が嵌入されることによって、錘16が位置決めされて固定治具14上に載置される。20は光源、22はマイクロスコープである。
【0023】
測定場所としては図6に示すとおりとした。すなわち、実験室装置では、図6(a)のとおり、ドレスした部位の全体をランダムに50箇所測定した。一方、実機装置では、パッド直径が1000mmと大きいこともあり、図6(b)に示すようにパッド半径方向でほぼ中心となる部位を測定した。
なお、受光部はマイクロスコープに限られず、たとえばCCDカメラのような受光部であってもよい。また、受光部でえた画像を表示部(図示せず)で表示するようにしてもよい。
また錘16は、穴あき錘として、拡散反射光をこの穴を通過させてマイクロスコープ22に受光させるようにしてもよい。
【0024】
図7〜図11は、マイクロスコープ20で測定した、パッドの表面性状の代表的な接触画像を示す。図7はドレス前のもの、図8は♯80によるドレッサでドレスした後の接触画像、図9は♯100によるドレッサでドレスした後の接触画像、図10は♯500によるドレッサでドレスした後の接触画像、図11は♯1000によるドレッサでドレスした後の接触画像である。
【0025】
1)接触点数をパラメータとした評価
接触点数とは取得される接触画像の中において、接触領域を表す白く光る部分の数を意味する。接触点数を算出するには、図示しない演算部により、受光部22により検出した接触画像領域における各画素を白黒いずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データから算出するようにする。図12はドレス条件と接触点数の関係であり、白プロットが実機装置、黒プロットが実験室装置での結果である。なお、プロットが平均値であり、エラーバーの長さは標準偏差を表している。以後の図においても、プロットとエラーバーの意味合いは同様である。図12より、実機装置、並びに実験室装置のいずれの場合にあってもドレッサ粒度を増加させることによって粒度♯100まではドレス無しの場合と大差ないものの、♯500、♯1000と粒度を増加させることによって接触点数は増大する傾向にあることがわかる。この拡散反射光による接触画像は鮮明であり、パッドの表面性状を精度よく観察できる。接触点数と研磨レート等の研磨状況との関係の評価法は今後の検討が待たれる。
【0026】
2)接触率をパラメータとした評価
接触率とは、取得される接触画像の中における真実接触面積(接触画像内に観測される接触領域の面積の計)と見かけ上の接触面積((観測される接触画像の面積)の比率である。接触率を算出するには、図示しない演算部により、受光部22により検出した接触画像領域における各画素を白黒いずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データの白黒の比率を算出して行う。図13は、ドレス条件と接触率の関係であり、白プロットが実機装置、黒プロットが実験室装置での結果である。図13より、実機装置、ならびに実験室装置のいずれの場合にあっても、ドレッサ粒度を増加させることによって粒度♯100までは接触率の減少がみられる。一方、♯500、♯1000と粒度を増加させることによって接触率は増大する傾向にあることがわかる。接触率と研磨レート等の研磨状況との関係の評価法は今後の検討に待たれる。
【0027】
3)接触画像の空間FFT解析結果の半値幅をパラメータとした評価
FFTとは高速フーリエ変換の略であり、通常は時間軸に対して変動する信号の周波数成分を知る際に用いられる。一方、空間FFTとは、対象とする画像がどのような空間周波数成分を含んでいるかを知るための解析である。すなわち、ドレス条件の違いによって取得した接触画像中に存在する接触点同士の間隔を定量的に評価できる一手法として考えることができる。すなわち、一例として接触点同士の間隔が大きい場合にはその空間周波数は小さいことを意味する。その結果、空間FFT解析で得られるスペクトルは中心波数(=0)に集中することから、当該スペクトル波数の半値幅は小さいものとなる。したがって、その逆数で与えられる空間波長は大きいこととなる。この半値幅も、演算部により、受光部22により検出した接触画像領域における各画素を白黒いずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データをもとに空間FFT解析をして得られる。
【0028】
図14〜図18は、実験室装置で得た接触画像に対して空間FFT解析を行った際に得られたスペクトルの最大値を基準(=0dB)として正規化し、−30dBから0dBまでの間を3dB間隔で等高線表記したものである。図14はドレス無しの場合、図15は♯80でドレスした場合、図16は♯100でドレスした場合、図17は♯500でドレスした場合、図18は♯1000でドレスした場合のものを示す。この結果より、ドレス無しの場合にあっては等高線がその他のものと比較してスペクトルが中心に集中している傾向にあることがわかる。
【0029】
図19は、スペクトルの半値幅から得た空間波長の結果をドレス条件によってまとめたものである。この結果より、明らかにドレス無しの場合に比較してドレスを行うことで空間波長は小さくなる結果を示していることがわかる。また、ドレッサ粒度を増加させることによって、半値幅はより小さくなる傾向にあることがわかる。このことから、ドレスを行うことによって接触点同士の間隔が小さくなることを定量的に評価できたものと考えられる。
【0030】
なお、上記実施の形態では、ダブプリズム10を介してパッド12に所定の圧力を与えつつ、そのときの接触点から拡散反射された反射光を受光部(マイクロスコープ)によって取得することで、パッド12とダブプリズム10相互間の接触画像を取得したが、図20に示すように、接触面10bにおいて非接触点で全反射して出光する全反射光をマイクロスコープ22で受光するようにしてもよい。この場合、得られる画像は、図7〜図11における画像の白黒反転した接触画像となる。観察面10cはプリズム10の上面ではなく、側面となる。錘16は光を透過しない材料のものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実験室装置におけるドレッサの位置を示す説明図である。
【図2】実機装置におけるドレッサの位置を示す説明図である。
【図3】ダブプリズムの原理を示す説明図である。
【図4】ダブプリズムを用いて拡散反射光をマイクロスコープで受光する状態を示す説明図である。
【図5】本実施の形態における観察装置を示す説明図である。
【図6】拡散反射光の観測エリアを示す説明図である。
【図7】マイクロスコープで測定した、ドレス無しのパッドの接触画像である。
【図8】マイクロスコープで測定した、♯80でドレスしたパッドの接触画像である。
【図9】マイクロスコープで測定した、♯100でドレスしたパッドの接触画像である。
【図10】マイクロスコープで測定した、♯500でドレスしたパッドの接触画像である。
【図11】マイクロスコープで測定した、♯1000でドレスしたパッドの接触画像である。
【図12】ドレス条件と接触点数との関係を示すグラフである。
【図13】ドレス条件と接触率との関係を示すグラフである。
【図14】ドレス無しの場合の接触画像を空間FFT解析した等高線図である。
【図15】♯80でドレスした場合の接触画像を空間FFT解析した等高線図である。
【図16】♯100でドレスした場合の接触画像を空間FFT解析した等高線図である。
【図17】♯500でドレスした場合の接触画像を空間FFT解析した等高線図である。
【図18】♯1000でドレスした場合の接触画像を空間FFT解析した等高線図である。
【図19】ドレッサ番手と、空間FFT解析の半値幅との関係を示すグラフである。
【図20】受光部で全反射光を受光するようにした実施の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
2 定盤
4 ドレッサ
6 定盤
8 キャリア
10 ダブプリズム
10a 入光面
10b 接触面
12 パッド
14 固定治具
16 錘
20 光源
22 マイクロスコープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハ等のワークの研磨装置におけるパッドの表面状態観察方法およびパッド表面状態観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの高性能化に関連した諸要求のレベルが年々高度化する中にあって、デバイスに用いられるシリコンウェーハの高平坦化を達成するための製造工程の一つであるCMP(ポリシング)は不可避的なものとなっている。そして現在においても、安定したポリシングを行うために様々な工夫や取り組みが行われている。
ところで、ポリシングにおいては、使用されるパッド(研磨パッド)の表面性状としての表面粗さが研磨特性に及ぼす影響は大きい。
そこで、パッドの表面粗さを接触式もしくは非接触式の表面粗さ計で計測して、ポリシングにおける研磨特性を調べる技術が開発されている(非特許文献1)。
【非特許文献1】「シリコンウェーハ研磨への研磨パッド表面粗さおよび経常の影響」 2006年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集 503-504頁 松村進一等
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のパッド検査方法には次のような課題がある。
すなわち、接触式粗さ計の場合には、測定範囲が直線状なので「面」の評価ができない。
また、実際の研磨の場合には加工物が押し付けられることにより、パッドが押し潰された状態で研磨作用がなされるが、接触式粗さ計および非接触式粗さ計のいずれも、パッドのこのような押し潰された状態を観察することはできない。
そこで、本発明は上記課題を解消すべくなされ、その目的とするところは、研磨時の状態に近いパッドの表面状態を精度よく観察できるパッド表面状態観察方法およびパッド表面状態観察装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るパッド表面状態観察方法は、研磨装置の定盤に貼付されたパッドの研磨面の表面状態を観察するパッド表面状態観察方法において、接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および観察面を有するプリズムを、前記接触面をパッドの研磨面に当接させて研磨面上に配置し、該研磨面上に配置したプリズムに所定の押圧力を加えてパッドの研磨面を接触面で押圧し、前記入光面に光を入光させて、屈折光を前記接触面で反射させる際、前記接触面に当接しないパッドの凹部に対応する接触面では全反射させ、前記接触面に当接するパッドの凸部に対応する接触面では全反射が崩れることによって発生する反射光を反射させ、前記プリズムの前記観察面側から出光する反射光を受光部で受光し、この受光光の状態により研磨面の表面状態を観察することを特徴とする。
【0005】
また本発明に係るパッド表面状態観察方法は、研磨装置の定盤に貼付されたパッドの研磨面の表面状態を観察するパッド表面状態観察方法において、接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および前記接触面からの全反射光が出光する観察面を有するプリズムを、前記接触面をパッドの研磨面に当接させて研磨面上に配置し、該研磨面上に配置したプリズムに所定の押圧力を加えてパッドの研磨面を接触面で押圧し、前記入光面に光を入光させて、屈折光を前記接触面で反射させる際、前記接触面に当接しないパッドの凹部に対応する接触面では全反射させ、前記接触面に当接するパッドの凸部に対応する接触面では全反射が崩れることによって発生する反射光を反射させ、前記プリズムの前記観察面側から出光する前記全反射光を受光部で受光し、この受光光の状態により研磨面の表面状態を観察することを特徴とする。
【0006】
前記プリズムに、光を透過する錘をのせてプリズムを押圧し、該錘を透過する反射光を受光部で受光するようにすることができる。
前記プリズムにダブプリズムを用いることができる。
【0007】
前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データから算出した接触点数を用いて画像診断を行うようにすることができる。
あるいは前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データから算出した接触率を用いて画像診断を行うようにすることができる。
あるいはまた前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データを用いた空間FFT解析結果の半値幅を用いて画像診断を行うようにすることができる。
【0008】
本発明に係るパッド画像観察装置は、ウェーハ等のワークの研磨装置におけるパッドの表面状態を観察する装置であって、接触面、この接触面に光を入光させる入光面および観察面を有し、接触面にてパッドの研磨面に当接してパッド上に載置されるプリズムと、光を透過可能で、前記プリズム上に載置され、プリズムを介してパッドに所定の押圧力を付与する錘と、前記プリズムの入光面に光を投射する光源と、前記プリズムの前記観察面側から出光し、前記錘を透過する反射光を受光する受光部とを具備することを特徴とする。
【0009】
また本発明に係るパッド画像観察装置は、ウェーハ等のワークの研磨装置におけるパッドの表面状態を観察する装置であって、接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および前記接触面からの全反射光が出光する観察面を有し、接触面にてパッドの研磨面に当接してパッド上に載置されるプリズムと、前記プリズム上に載置され、プリズムを介してパッドに所定の押圧力を付与する錘と、前記プリズムの入光面に光を投射する光源と、前記プリズムの前記観察面側から出光する全反射光を受光可能な受光部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、上記のように、研磨面上に配置したプリズムに所定の押圧力を加えてパッドの研磨面を接触面で押圧し、プリズムの入光面に光を入光させて、屈折光を接触面で反射させる際、接触面に当接しないパッドの凹部に対応する接触面では全反射させ、接触面に当接するパッドの凸部に対応する接触面では全反射が崩れることによって発生する反射光を反射させ、プリズムの観察面から出光する反射光を受光部で受光するようにしたので、パッドの実際の研磨時のような押し潰された状態を観察することができ、また鮮明な接触画像が得られ、研磨面の表面状態を良好に観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
ポリシングにおいては、使用されるパッドの表面性状としての表面粗さが研磨特性に及ぼす影響が大であることに加えて、研磨中におけるパッドとウェーハ間の真実接触面積が研磨レートや精度に及ぼす影響も大きい。特にポリシングにおいては、ウェーハ全面の見掛け上の接触面積は大きいものの、実際の研磨中におけるウェーハとパッド相互間の真実接触面積は非常に小さい状態となっている。これは、研磨中のウェーハに対し局部的に高い圧力が作用することを意味する。
【0012】
上記の事情を背景に、ポリシングのさらなる高精度化、および安定した研磨レートの確保を実現するためには、研磨中におけるウェーハとパッド相互間の接触状態を把握する必要がある。また、研磨の進行に伴いパッド表面は劣化し、研磨レートの低下やスクラッチ発生の原因につながることから、ダイヤモンドドレッサを用いてパッド表面の再生を行うことが通例である。しかしながら、現状においてはパッド表面性状を的確に把握しうる方法が明確にされていないばかりか、ドレッサの種類、特に粒度(番手)がパッド表面性状に及ぼす影響に関して明らかにされていないのが実情である。
【0013】
本実施の形態では、ポリシングパッドの表面性状観察装置として、次の2種類の研磨装置を用いた。
まず1つは、実験室レベルにおける装置(実験室装置)、もう1つは汎用の実機装置である。この2種類の研磨装置を用いて同一パラメータによるパッド表面性状の観察を行った。
【0014】
実験室装置においては、図1に示すようにしてパッドのドレスを行った。すなわち、直径300mmの定盤2にパッドを貼り付け、それを30rpmで時計方向に回転させた。そして、外径:100mm、内径:82mmのダイヤモンドドレッサ4をオフセット(パッド中心からドレッサ中心までの距離)が125mmとなる位置にセットすると同時に、デッドウエイト方式によってドレス圧力を与えつつ2rpmで時計方向に回転させることによってドレスを行った。
【0015】
なお、ドレッサ4は粒度の異なる4種類(♯80、♯100、♯500、♯1000)のものを用いたが、観察においては、1枚のパッドにおいて、ドレスなしでの観察→♯80でドレス→♯80でのドレス後の観察→♯100でドレス→♯100でのドレス後の観察→♯500でドレス→♯500でのドレス後の観察→♯1000でドレス→♯1000でのドレス後の観察というように、粒度の小さなものから順にドレス・観察を行った。
【0016】
一方、実機装置においては図2に示すようにしてドレスを行った。すなわち、本装置においては、パッドが貼り付けられた直径1000mmの上下定盤6に対して上定盤を時計方向(20rpm)に、下定盤を反時計方向(20rpm)に回転させると同時に、キャリア8に保持された3つのドレッサ4(外径:505mm、内径:475mm)によってドレスを行った。なお、キャリア8は半径50mmの小円運動(自転しない旋回回転運動)(回転速度:12rpm)を行うようになっている。ドレッサ4には粒度の異なる3種類(♯80、♯500、♯1000)のものを用いたが、観察には実験室装置の場合と同様に、1枚のパッドにおいて粒度の小さなものから順にドレス・観察を行った。
【0017】
主な運転条件は表1、2に示すとおりであり、表1が実験室装置の場合、表2が実機装置の場合である。なお、パッドには、実験室装置、実機装置ともにニッタ・ハース株式会社製の型番:MH−S15Aを用いたが、実験室装置では溝無し、実機装置では溝有り(溝間隔:30mm、溝幅:2mm)のものを用いた。また、表面粗さや接触画像による評価はいずれも1条件につき50個のデータを取得し、そのデータ分布における平均値と標準偏差をもって評価した。
【0018】
表1
【0019】
表2
【0020】
本実施の形態では、パッド表面性状を観察する方法としてダブプリズムを用いた観察方法を採用した。ダブプリズムとは光学ガラスの一種であり、像回転プリズムとも称される。ダブプリズム10は、図3に示すように、入光面10aに角度45°で入光した光はプリズム底面10b(接触面)で全反射し、プリズム10を透過するという特徴をもっている。なお、接触点(パッド12との接触点)においては、全反射の条件が崩れて光が拡散反射する。そしてパッド12との接触点以外の部位(非接触点)では全反射する。入光面10aは接触面10bに対して鋭角をなしている。なお、プリズムとして、必ずしも図3に示すような台形状のダブプリズムでなくともよい。
【0021】
本実施の形態では、ダブプリズム10を介してパッド12に所定の圧力を与えつつ、そのときの接触点から拡散反射された反射光を受光部(マイクロスコープ)によって取得することで、パッド12とダブプリズム10相互間の接触画像を取得する。
このマイクロスコープでは、7.3mm×5.5mmの領域における画像を1600pixel×1200pixelで取得することができる。
【0022】
なお、接触画像は接触領域が白く、非接触領域が黒くなる。また、本実施の形態では、安定してダブプリズム10を介してパッド12に所定の圧力を与えるとともに、ダブプリズム10の上面(観察面10c)から出光する反射光をマイクロスコープにより撮影を可能にするため、図4、図5に示す装置を用いた。図4、図5において、10はダブプリズムであり、固定治具14によりその両側を挟持して、固定されるようになっている。ダブプリズム10の上面(観察面10c)には、光を透過する錘16を乗せ、この錘16によりダブプリズム10を介して所定の押圧力をパッド12に付与できるようになっている。錘16の所要箇所には位置決め孔が設けられ、この位置決め孔に固定治具14に設けたピン18が嵌入されることによって、錘16が位置決めされて固定治具14上に載置される。20は光源、22はマイクロスコープである。
【0023】
測定場所としては図6に示すとおりとした。すなわち、実験室装置では、図6(a)のとおり、ドレスした部位の全体をランダムに50箇所測定した。一方、実機装置では、パッド直径が1000mmと大きいこともあり、図6(b)に示すようにパッド半径方向でほぼ中心となる部位を測定した。
なお、受光部はマイクロスコープに限られず、たとえばCCDカメラのような受光部であってもよい。また、受光部でえた画像を表示部(図示せず)で表示するようにしてもよい。
また錘16は、穴あき錘として、拡散反射光をこの穴を通過させてマイクロスコープ22に受光させるようにしてもよい。
【0024】
図7〜図11は、マイクロスコープ20で測定した、パッドの表面性状の代表的な接触画像を示す。図7はドレス前のもの、図8は♯80によるドレッサでドレスした後の接触画像、図9は♯100によるドレッサでドレスした後の接触画像、図10は♯500によるドレッサでドレスした後の接触画像、図11は♯1000によるドレッサでドレスした後の接触画像である。
【0025】
1)接触点数をパラメータとした評価
接触点数とは取得される接触画像の中において、接触領域を表す白く光る部分の数を意味する。接触点数を算出するには、図示しない演算部により、受光部22により検出した接触画像領域における各画素を白黒いずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データから算出するようにする。図12はドレス条件と接触点数の関係であり、白プロットが実機装置、黒プロットが実験室装置での結果である。なお、プロットが平均値であり、エラーバーの長さは標準偏差を表している。以後の図においても、プロットとエラーバーの意味合いは同様である。図12より、実機装置、並びに実験室装置のいずれの場合にあってもドレッサ粒度を増加させることによって粒度♯100まではドレス無しの場合と大差ないものの、♯500、♯1000と粒度を増加させることによって接触点数は増大する傾向にあることがわかる。この拡散反射光による接触画像は鮮明であり、パッドの表面性状を精度よく観察できる。接触点数と研磨レート等の研磨状況との関係の評価法は今後の検討が待たれる。
【0026】
2)接触率をパラメータとした評価
接触率とは、取得される接触画像の中における真実接触面積(接触画像内に観測される接触領域の面積の計)と見かけ上の接触面積((観測される接触画像の面積)の比率である。接触率を算出するには、図示しない演算部により、受光部22により検出した接触画像領域における各画素を白黒いずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データの白黒の比率を算出して行う。図13は、ドレス条件と接触率の関係であり、白プロットが実機装置、黒プロットが実験室装置での結果である。図13より、実機装置、ならびに実験室装置のいずれの場合にあっても、ドレッサ粒度を増加させることによって粒度♯100までは接触率の減少がみられる。一方、♯500、♯1000と粒度を増加させることによって接触率は増大する傾向にあることがわかる。接触率と研磨レート等の研磨状況との関係の評価法は今後の検討に待たれる。
【0027】
3)接触画像の空間FFT解析結果の半値幅をパラメータとした評価
FFTとは高速フーリエ変換の略であり、通常は時間軸に対して変動する信号の周波数成分を知る際に用いられる。一方、空間FFTとは、対象とする画像がどのような空間周波数成分を含んでいるかを知るための解析である。すなわち、ドレス条件の違いによって取得した接触画像中に存在する接触点同士の間隔を定量的に評価できる一手法として考えることができる。すなわち、一例として接触点同士の間隔が大きい場合にはその空間周波数は小さいことを意味する。その結果、空間FFT解析で得られるスペクトルは中心波数(=0)に集中することから、当該スペクトル波数の半値幅は小さいものとなる。したがって、その逆数で与えられる空間波長は大きいこととなる。この半値幅も、演算部により、受光部22により検出した接触画像領域における各画素を白黒いずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データをもとに空間FFT解析をして得られる。
【0028】
図14〜図18は、実験室装置で得た接触画像に対して空間FFT解析を行った際に得られたスペクトルの最大値を基準(=0dB)として正規化し、−30dBから0dBまでの間を3dB間隔で等高線表記したものである。図14はドレス無しの場合、図15は♯80でドレスした場合、図16は♯100でドレスした場合、図17は♯500でドレスした場合、図18は♯1000でドレスした場合のものを示す。この結果より、ドレス無しの場合にあっては等高線がその他のものと比較してスペクトルが中心に集中している傾向にあることがわかる。
【0029】
図19は、スペクトルの半値幅から得た空間波長の結果をドレス条件によってまとめたものである。この結果より、明らかにドレス無しの場合に比較してドレスを行うことで空間波長は小さくなる結果を示していることがわかる。また、ドレッサ粒度を増加させることによって、半値幅はより小さくなる傾向にあることがわかる。このことから、ドレスを行うことによって接触点同士の間隔が小さくなることを定量的に評価できたものと考えられる。
【0030】
なお、上記実施の形態では、ダブプリズム10を介してパッド12に所定の圧力を与えつつ、そのときの接触点から拡散反射された反射光を受光部(マイクロスコープ)によって取得することで、パッド12とダブプリズム10相互間の接触画像を取得したが、図20に示すように、接触面10bにおいて非接触点で全反射して出光する全反射光をマイクロスコープ22で受光するようにしてもよい。この場合、得られる画像は、図7〜図11における画像の白黒反転した接触画像となる。観察面10cはプリズム10の上面ではなく、側面となる。錘16は光を透過しない材料のものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実験室装置におけるドレッサの位置を示す説明図である。
【図2】実機装置におけるドレッサの位置を示す説明図である。
【図3】ダブプリズムの原理を示す説明図である。
【図4】ダブプリズムを用いて拡散反射光をマイクロスコープで受光する状態を示す説明図である。
【図5】本実施の形態における観察装置を示す説明図である。
【図6】拡散反射光の観測エリアを示す説明図である。
【図7】マイクロスコープで測定した、ドレス無しのパッドの接触画像である。
【図8】マイクロスコープで測定した、♯80でドレスしたパッドの接触画像である。
【図9】マイクロスコープで測定した、♯100でドレスしたパッドの接触画像である。
【図10】マイクロスコープで測定した、♯500でドレスしたパッドの接触画像である。
【図11】マイクロスコープで測定した、♯1000でドレスしたパッドの接触画像である。
【図12】ドレス条件と接触点数との関係を示すグラフである。
【図13】ドレス条件と接触率との関係を示すグラフである。
【図14】ドレス無しの場合の接触画像を空間FFT解析した等高線図である。
【図15】♯80でドレスした場合の接触画像を空間FFT解析した等高線図である。
【図16】♯100でドレスした場合の接触画像を空間FFT解析した等高線図である。
【図17】♯500でドレスした場合の接触画像を空間FFT解析した等高線図である。
【図18】♯1000でドレスした場合の接触画像を空間FFT解析した等高線図である。
【図19】ドレッサ番手と、空間FFT解析の半値幅との関係を示すグラフである。
【図20】受光部で全反射光を受光するようにした実施の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
2 定盤
4 ドレッサ
6 定盤
8 キャリア
10 ダブプリズム
10a 入光面
10b 接触面
12 パッド
14 固定治具
16 錘
20 光源
22 マイクロスコープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨装置の定盤に貼付されたパッドの研磨面の表面状態を観察するパッド表面状態観察方法において、
接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および観察面を有するプリズムを、前記接触面をパッドの研磨面に当接させて研磨面上に配置し、
該研磨面上に配置したプリズムに所定の押圧力を加えてパッドの研磨面を接触面で押圧し、
前記入光面に光を入光させて、屈折光を前記接触面で反射させる際、前記接触面に当接しないパッドの凹部に対応する接触面では全反射させ、前記接触面に当接するパッドの凸部に対応する接触面では全反射が崩れることによって発生する反射光を反射させ、
前記プリズムの前記観察面側から出光する反射光を受光部で受光し、この受光光の状態により研磨面の表面状態を観察することを特徴とするパッド表面状態観察方法。
【請求項2】
研磨装置の定盤に貼付されたパッドの研磨面の表面状態を観察するパッド表面状態観察方法において、
接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および前記接触面からの全反射光が出光する観察面を有するプリズムを、前記接触面をパッドの研磨面に当接させて研磨面上に配置し、
該研磨面上に配置したプリズムに所定の押圧力を加えてパッドの研磨面を接触面で押圧し、
前記入光面に光を入光させて、屈折光を前記接触面で反射させる際、前記接触面に当接しないパッドの凹部に対応する接触面では全反射させ、前記接触面に当接するパッドの凸部に対応する接触面では全反射が崩れることによって発生する反射光を反射させ、
前記プリズムの前記観察面側から出光する前記全反射光を受光部で受光し、この受光光の状態により研磨面の表面状態を観察することを特徴とするパッド表面状態観察方法。
【請求項3】
前記プリズムに、光を透過する錘をのせてプリズムを押圧し、該錘を透過する反射光を受光部で受光するようにすることを特徴とする請求項1記載のパッド表面状態観察方法。
【請求項4】
前記プリズムにダブプリズムを用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のパッド表面状態観察方法。
【請求項5】
前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データから算出した接触点数を用いて画像診断を行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のパッド表面状態観察方法。
【請求項6】
前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データから算出した接触率を用いて画像診断を行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のパッド表面状態観察方法。
【請求項7】
前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データを用いた空間FFT解析結果の半値幅を用いて画像診断を行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のパッド表面状態観察方法。
【請求項8】
ウェーハ等のワークの研磨装置におけるパッドの表面状態を観察する装置であって、
接触面、この接触面に光を入光させる入光面および観察面を有し、接触面にてパッドの研磨面に当接してパッド上に載置されるプリズムと、
光を透過可能で、前記プリズム上に載置され、プリズムを介してパッドに所定の押圧力を付与する錘と、
前記プリズムの入光面に光を投射する光源と、
前記プリズムの前記観察面側から出光し、前記錘を透過する反射光を受光する受光部とを具備することを特徴とするパッド表面状態観察装置。
【請求項9】
ウェーハ等のワークの研磨装置におけるパッドの表面状態を観察する装置であって、
接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および前記接触面からの全反射光りが出光する観察面を有し、接触面にてパッドの研磨面に当接してパッド上に載置されるプリズムと、
前記プリズム上に載置され、プリズムを介してパッドに所定の押圧力を付与する錘と、
前記プリズムの入光面に光を投射する光源と、
前記プリズムの前記観察面側から出光する全反射光を受光可能な受光部とを具備することを特徴とするパッド表面状態観察装置。
【請求項10】
前記プリズムがダブプリズムであることを特徴とする請求項8または9記載のパッド表面状態観察装置。
【請求項1】
研磨装置の定盤に貼付されたパッドの研磨面の表面状態を観察するパッド表面状態観察方法において、
接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および観察面を有するプリズムを、前記接触面をパッドの研磨面に当接させて研磨面上に配置し、
該研磨面上に配置したプリズムに所定の押圧力を加えてパッドの研磨面を接触面で押圧し、
前記入光面に光を入光させて、屈折光を前記接触面で反射させる際、前記接触面に当接しないパッドの凹部に対応する接触面では全反射させ、前記接触面に当接するパッドの凸部に対応する接触面では全反射が崩れることによって発生する反射光を反射させ、
前記プリズムの前記観察面側から出光する反射光を受光部で受光し、この受光光の状態により研磨面の表面状態を観察することを特徴とするパッド表面状態観察方法。
【請求項2】
研磨装置の定盤に貼付されたパッドの研磨面の表面状態を観察するパッド表面状態観察方法において、
接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および前記接触面からの全反射光が出光する観察面を有するプリズムを、前記接触面をパッドの研磨面に当接させて研磨面上に配置し、
該研磨面上に配置したプリズムに所定の押圧力を加えてパッドの研磨面を接触面で押圧し、
前記入光面に光を入光させて、屈折光を前記接触面で反射させる際、前記接触面に当接しないパッドの凹部に対応する接触面では全反射させ、前記接触面に当接するパッドの凸部に対応する接触面では全反射が崩れることによって発生する反射光を反射させ、
前記プリズムの前記観察面側から出光する前記全反射光を受光部で受光し、この受光光の状態により研磨面の表面状態を観察することを特徴とするパッド表面状態観察方法。
【請求項3】
前記プリズムに、光を透過する錘をのせてプリズムを押圧し、該錘を透過する反射光を受光部で受光するようにすることを特徴とする請求項1記載のパッド表面状態観察方法。
【請求項4】
前記プリズムにダブプリズムを用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のパッド表面状態観察方法。
【請求項5】
前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データから算出した接触点数を用いて画像診断を行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のパッド表面状態観察方法。
【請求項6】
前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データから算出した接触率を用いて画像診断を行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のパッド表面状態観察方法。
【請求項7】
前記受光部により検出した接触画像を白黒のいずれかにする2値化処理を行い、該2値化処理により得られた2値化画像データを用いた空間FFT解析結果の半値幅を用いて画像診断を行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のパッド表面状態観察方法。
【請求項8】
ウェーハ等のワークの研磨装置におけるパッドの表面状態を観察する装置であって、
接触面、この接触面に光を入光させる入光面および観察面を有し、接触面にてパッドの研磨面に当接してパッド上に載置されるプリズムと、
光を透過可能で、前記プリズム上に載置され、プリズムを介してパッドに所定の押圧力を付与する錘と、
前記プリズムの入光面に光を投射する光源と、
前記プリズムの前記観察面側から出光し、前記錘を透過する反射光を受光する受光部とを具備することを特徴とするパッド表面状態観察装置。
【請求項9】
ウェーハ等のワークの研磨装置におけるパッドの表面状態を観察する装置であって、
接触面、この接触面に光を入光させる入光面、および前記接触面からの全反射光りが出光する観察面を有し、接触面にてパッドの研磨面に当接してパッド上に載置されるプリズムと、
前記プリズム上に載置され、プリズムを介してパッドに所定の押圧力を付与する錘と、
前記プリズムの入光面に光を投射する光源と、
前記プリズムの前記観察面側から出光する全反射光を受光可能な受光部とを具備することを特徴とするパッド表面状態観察装置。
【請求項10】
前記プリズムがダブプリズムであることを特徴とする請求項8または9記載のパッド表面状態観察装置。
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図20】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図20】
【公開番号】特開2010−52072(P2010−52072A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217890(P2008−217890)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年3月1日 社団法人日本機械学会 北陸信越学生会発行の「北陸信越学生会 第37回学生員卒業研究発表講演会 講演論文集」において発表
【出願人】(000236687)不二越機械工業株式会社 (48)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年3月1日 社団法人日本機械学会 北陸信越学生会発行の「北陸信越学生会 第37回学生員卒業研究発表講演会 講演論文集」において発表
【出願人】(000236687)不二越機械工業株式会社 (48)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]