説明

パネルの連結構造

【課題】 力の要らない簡単な施工作業で、横方向に隣接したパネル同士を止水性を確保して連結できるパネルの連結構造を提供する。
【解決手段】 パネル1の一側端部に嵌合凸部2を突設すると共に他側端部に嵌合凹部3を凹設し、横方向に隣接したパネル1同士を嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合で連結させたパネル1の連結構造である。一方のパネル1aの嵌合凸部2の表面側部位と他方のパネル1bの嵌合凹部3の表面側部位との間、及び一方のパネル1aの嵌合凸部2の裏面側部位と他方のパネル1bの嵌合凹部3の裏面側部位との間の少なくとも一方にパッキン4を介装する。一方のパネル1aを表面側に向けて傾斜させてその嵌合凸部2を他方のパネル1bの嵌合凹部3に挿入して嵌合凸部2と嵌合凹部3との間を支点として一方のパネル1aを裏面側に回動したことでパッキン4を押圧して嵌合凸部2と嵌合凹部3とを嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横方向に隣接するパネル同士の連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図8のように、上下方向に隣接するパネル1同士の連結構造(いわゆる横張り)では、上下に対向する嵌合凹部3の底部と嵌合凸部2の突出先端面との間にパッキン40が介装されており、先に配設した下方のパネル1に対して上方のパネル1を載置した際にはパネル1の自重によって嵌合凹部3の底部と嵌合凸部2の突出先端面との間でパッキン40を圧接させることができ、パッキン40が圧接されて上下のパネル1間に良好な止水性が確保できている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、横方向に隣接するパネル1同士を連結する場合(いわゆる縦張り)に、嵌合凹部3と嵌合凸部2との間でパッキン40を圧接して良好な止水性を備えようとするためには、隣接したパネル1同士を強く突き合わせて一方のパネル1の嵌合凸部2の突出先端面で他方の嵌合凹部3の底部にあるパッキン40を圧接させることが必要とされる。つまり、パネル1同士の突き合わせが弱いとパッキンの圧接が不充分で止水性を得ることができなくなるなどの問題があり、したがって、止水性を確保して横方向にパネル1同士を連結させるためには、パネル1同士を強く突き合わせるという力の必要とする施工作業が必要であり、パネル1の連結施工の施工性を悪化させるものであった。
【特許文献1】特許第2070393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点を解決するために為したものであって、力の要らない簡単な施工作業で、横方向に隣接したパネル同士を止水性を確保して連結できるパネルの連結構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係るパネルの連結構造にあっては、パネル1の一側端部に嵌合凸部2を突設すると共に他側端部に嵌合凹部3を凹設し、横方向に隣接したパネル1同士を嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合で連結させたパネル1の連結構造であって、一方のパネル1aの嵌合凸部2の表面側部位と他方のパネル1bの嵌合凹部3の表面側部位との間、及び一方のパネル1aの嵌合凸部2の裏面側部位と他方のパネル1bの嵌合凹部3の裏面側部位との間の少なくとも一方にパッキン4を介装し、一方のパネル1aを表面側に向けて傾斜させてその嵌合凸部2を他方のパネル1bの嵌合凹部3に挿入して嵌合凸部2と嵌合凹部3との間を支点として一方のパネル1aを裏面側に回動したことでパッキン4を押圧して嵌合凸部2と嵌合凹部3とを嵌合したことを特徴とする。これによると、パネル1の連結施工は、従来技術のようなパネル1同士を横方向に突き合わせるという力の要る施工作業の代わりに、一方のパネル1aを表面側に向けて傾斜させてその嵌合凸部2を他方のパネル1bの嵌合凹部3に挿入し、嵌合凸部2と嵌合凹部3との間を支点として一方のパネル1aを裏面側に回動させるといった一連の施工作業で行うことができ、ここで、一方のパネル1aを支点を中心に裏面側に回動させたときには、てこの原理が働くことで、施工者によるパネル1に加えた小さい回動力が支点を介して嵌合凸部2を嵌合凹部3に嵌合させる大きな力として作用することができ、この大きな力でパッキン4をパネル1の連結方向と略直交する方向に押圧して嵌合凸部2と嵌合凹部3とを嵌合できることから、力の要らない簡単な施工作業で横方向に隣接したパネル1同士を止水性を確保して連結することができる。
【0006】
また、請求項2のパネルの連結構造にあっては、請求項1において、一方のパネル1aの嵌合凸部2の表面側部位と他方のパネル1bの嵌合凹部3の表面側部位との間、及び一方のパネル1aの嵌合凸部2の裏面側部位と他方のパネル1bの嵌合凹部3の裏面側部位との間に、それぞれパッキン4a,4bを介装したことを特徴とする。これによると、嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合部分ではパッキン4a,4bで2重に止水を施すことができ、連結したパネル1間に強固な止水性を確保することができる。
【0007】
また、請求項3のパネルの連結構造にあっては、請求項2において、嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合部分における両パッキン4a,4bの間隙Kを縦方向に延びる縦排水通路6とし、縦方向に隣接したパネル1間に形成した横方向に伸びる横排水通路7を上記縦排水通路6に臨ませたことを特徴とする。これによると、パネル1同士の嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合部分にできる両パッキン4a,4bの間隙Kを利用して簡単な構成で水を流下させ得る縦排水通路6を設けることができ、またこの縦排水通路6に縦方向に隣接したパネル1間に形成した横排水通路7を臨ませて連通させたので、パネル1に降りかかった雨水等を横排水通路7で集水した後に縦排水通路6に流下、排水させることができ、パネル1を連結して形成した壁面等の排水性能を向上できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1の発明では、施工者によるパネルに加えた小さい回動力が支点を介してパッキンを押圧して嵌合凸部を嵌合凹部に嵌め込む大きな力として作用されるといった、てこの原理を利用した力の要らない簡単な施工作業によってパネルの連結施工を行うことができる利点を有する。
【0009】
また請求項2の発明では、嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合部分ではパッキンで2重に止水を施すことができて連結したパネル間に強固な止水性を確保できる利点を有する。
【0010】
また請求項3の発明では、嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合部分にできる両パッキンの間隙を利用して簡単に縦排水通路を設けることができると共にパネルに降りかかった雨水等を横排水通路で集水して縦排水通路を介して排水でき、パネルを連結して形成した壁面等の排水性能を簡単な構成で向上できる利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
本例で用いるパネル1は、図3のように、表面側の金属外皮11aと裏面側の金属外皮11bとの間に断熱性や耐火性に優れた芯材10を充填させてなるサンドイッチ構造の長尺板状の建築用パネル1であり、長辺を構成するパネル1の幅方向の一側端部には外方に突出する嵌合凸部2が形成されると共にその他側端部には内方に凹没する嵌合凹部3が形成されており、隣接するパネル1同士を嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合で連結できるようにされている。このパネル1はたとえば鉛直に立設した状態で連結させて建物の壁面を形成したり、水平に敷設した状態で連結させて建物の床面や天井面を形成したり等、建築物の様々な用途に用いられるのであり、詳しくは芯材10にはたとえばロックウールやポリイソシアヌレートフォームなどが、各金属外皮11a,11bにはガルバリウム鋼鈑などがそれぞれ用いられている。なお、このパネル1にあって、嵌合凸部2や嵌合凹部3が形成されないパネル1の長手方向の端部には、芯材10の長手方向の端部から突出させた表面側の金属外皮11aの端部を折り曲げて箱折り部8がそれぞれ形成されている。本発明は、嵌合凸部2の嵌合凹部3への嵌合によって横方向に隣接するパネル1を連結させたパネル1の連結構造(いわゆる縦張りの連結構造)に関し、力の要らない簡単な施工作業でパネル1同士を止水性を確保して連結できるようにしたことに特徴を有したものである。以下、詳述する。
【0013】
図2に示すように、パネル1の嵌合凸部2にあっては表面側と裏面側とでその突出基部の位置が異なり、突出基部の裏面側の位置が突出基部の表面側の位置に比べてパネル1の内方位置に位置している。なお、嵌合凸部2の表面側における突出基部と突出先端部との間の部位には裏面側に凹没した挿入凹部12が形成されており、この挿入凹部12によって嵌合凸部2の表面側における突出先端部には表面側に突出する押圧凸部13が形成されている。また、嵌合凸部2の裏面側における突出基部にはたとえばエチレンプロピレンゴム(EPDM)などの良好な耐候性や弾性を有する合成ゴムからなる裏面側パッキン4bが付設されている。
【0014】
また、本例のパネル1の嵌合凹部3にあっては表面側と裏面側とでその開口縁部の位置が異なり、表面側の開口縁の位置が表面側の開口縁部の位置に比べてパネル1の内方位置に位置している。つまり嵌合凹部3はパネル1の斜め表面側に開口する開口部14を備えている。なお、嵌合凹部3の表面側の開口縁部には裏面方向に突出した挿入凸部15が形成されており、この挿入凸部15によって嵌合凹部3の表面側における奥部には表面側に凹没する収納凹所16が形成されている。この収納凹所16には裏面側パッキン4b同様の表面側パッキン4aが付設されている。また、嵌合凹部3の裏面側の開口縁には表面方向に突出した押圧凸部17が形成されている。
【0015】
図1には、横方向に隣接したパネル1同士を連結させるパネル1の連結施工の途中における、嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合部分の断面を示している。本例では、先に他方のパネル1bを下地材9に固定して配設しておき、この他方のパネル1bの嵌合凹部3に対して一方のパネル1aの嵌合凸部2を連結するようなパネル1の連結施工について説明する。ここで、パネル1の下地材9への固定は釘やビス等の固着具19を嵌合凹部3の開口部14からパネル1の裏面側部位を通して胴縁材等の下地材9に打設させて行われるのであって、つまり嵌合凸部2と嵌合凹部3の嵌合部分の裏面側部位で固着具19の打入が行われるから、パネル1を連結した状態では固着具19がパネル1の表面外観に現れない配慮がなされている。更に言うと、本例では嵌合凸部2と嵌合凹部3を嵌合させたときには、図2のようにパネル1に打入された上記固着具19は裏面側パッキン4bにて圧接されて固着具19の防水性も確保されている。
【0016】
この一方のパネル1aを他方のパネル1bに連結する施工作業にあっては、まず、一方のパネル1aを表面側に向けて傾斜させてその嵌合凸部2を他方のパネル1bの嵌合凹部3に挿入し、次に、嵌合凸部2と嵌合凹部3との間を支点として一方のパネル1aを裏面側に回動させるべく押し込むといった一連の施工作業で行われる。施工者が一方のパネル1aの嵌合凸部2を他方のパネル1bの嵌合凹部3に挿入すると(矢印a)、裏面側パッキン4bを介して一方のパネル1aの嵌合凸部2の突出基部の裏面側部位と他方のパネル1bの嵌合凹部3の開口部14の裏面側部位とが接して支点部Oが形成される。本例では、支点部Oは嵌合凹部3の開口部14の裏面側部位にある押圧凸部17が構成する。なお、嵌合凹部3の開口部14は斜め表面側に開口しているので、嵌合凸部2の嵌合凹部3への斜め表面側から裏面側に向けての挿入はスムーズに行われる。この後、施工者が一方のパネル1aの他側端部を裏面側に押し込むと(矢印b)、支点部Oを中心として一方のパネル1aが回動するのであり、このとき、支点部Oがてこの原理の支点として機能するのであり、施工者による一方のパネル1aを裏面側に押し込む力によって、一方のパネル1aの一側端部にある嵌合凸部2が強い力で表面側パッキン4a及び裏面側パッキン4bをパネル1の表裏方向に圧接させつつ他方のパネル1bの嵌合凹部3に嵌合させることができるのである。詳しくは、一方のパネル1aを裏面側に押し込むために力を加える力点Fと、他方のパネル1bの嵌合凹部3内に位置した一方のパネル1aの嵌合凸部2の部位が構成する作用点部Pとが支点部Oを挟んで位置すると共に、力点Fと支点部Oとの距離に比べて作用点部Pと支点部Oとの距離が充分に短い位置関係を有しているので、支点部Oを支点としたてこの原理によって、作用点部Pでは力点Fでの一方のパネル1aを裏面側に押し込む力が大きな力に変わり、表面側パッキン4a及び裏面側パッキン4bを押圧させて行う嵌合凸部2の嵌合凹部3への嵌合が極めて容易に為されるのである。
【0017】
このように、パネル1の連結施工は、従来技術のようなパネル1同士を横方向に突き合わせるという力の要る施工作業の代わりに、一方のパネル1aを表面側に向けて傾斜させてその嵌合凸部2を他方のパネル1bの嵌合凹部3に挿入し、嵌合凸部2と嵌合凹部3との間を支点として一方のパネル1aを裏面側に回動させるといった一連の施工作業で行うことができ、しかもこの一連の施工作業では、上述のように施工者がパネル1に加えた小さい回動力が支点を介してパッキン4を押圧しつつ嵌合凸部2を嵌合凹部3に嵌め込む大きな力として作用できるといったてこの原理を働かせることができたことから、力の要らない簡単な施工作業で、横方向に隣接したパネル1同士を止水性を確保して連結できるようにされているのである。
【0018】
図2には、上述のようにして横方向に隣接した一方のパネル1aと他方のパネル1bとを嵌合凸部10と嵌合凹部11との嵌合で連結したパネル1の連結部分の断面を示している。この図からも分かるように、隣接したパネル1のうち一方のパネル1aの嵌合凸部2を他方のパネル1bの嵌合凹部3に嵌合させた状態では、一方のパネル1aの嵌合凸部2の表面側部位と他方のパネル1bの嵌合凹部3の表面側部位との間に表面側パッキン4aが圧接され、また一方のパネル1aの嵌合凸部2の裏面側部位と他方のパネル1bの嵌合凹部3の裏面側部位との間に裏面側パッキン4bが圧接されている。詳しくは、表面側パッキン4aは嵌合凸部2の押圧凸部13と嵌合凹部3の収納凹所16とで表裏方向に圧接され、裏面側パッキン4bは嵌合凸部2の裏面側の突出基部と嵌合凹部3の押圧凸部17とで表裏方向に圧接されており、それぞれ押圧凸部13,17が押圧圧力を高めて表面側パッキン4aや裏面側パッキン4bの強い押圧を可能にしている。つまり、嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合部分では、表面側パッキン4aと裏面側パッキン4bとで2重に止水が施されているのであり、連結したパネル1間に強固な止水性が確保されている。また、このパネル1の連結構造では、表面側パッキン4a及び裏面側パッキン4bがパネル1の表裏方向に圧接されているので、良好な止水性を備えてのパネル1の連結状態が維持されるようになっている。したがって、パネル1を胴縁材や梁材などの下地材9に固定する場合には、パネル1同士を連結した状態で一旦仮置きすることもでき、良好な施工性が確保されている。
【0019】
なお、上記パネル1の連結状態では、一方のパネル1aの挿入凹部12内に他方のパネル1bの挿入凸部15の突出先端が挿入され、一方のパネル1aの嵌合凸部2の突出基部の表面と他方のパネル1bの挿入凸部15の一方のパネル1a側の表面とで囲まれて表面側に開口せる目地18が一方のパネル1aと他方のパネル1bとの間に形成されている。ここで、横方向に隣接したパネル1a,1bの連結状態では、嵌合凹部3と嵌合凸部2とで表面側パッキン4a及び裏面側パッキン4bを表裏方向に圧接すると共に嵌合凹部3と嵌合凸部2との嵌合部分にはパネル1をその連結時に横方向に移動可能にする隙間5が設けられているから、各パネル1a,1bの動きは表裏方向には規制されているが横方向には可動にされている。しかして、パネル1を連結する際にパネル1同士を突き合わせる方向に移動させ、挿入凹部12における嵌合凸部2の突出基部側の壁面12aに対して挿入凸部15の側壁面15aを当接させたときには、嵌合凸部2の突出基部の表面側壁面と挿入凸部15の側壁面15aとで隙間無く囲んで目地18を形成することができるのであり、これによると、パネル1を連結してなる壁面等に形成される目地18を全て隙間無く形成できることから、壁面に現出される全ての目地18に連続性を持たせることができ、壁面に良好な外観を確保できるのである。
【0020】
ところで、図4乃至図6には、鉛直に立設したパネル1を上下左右に並べて形成した建物の外装材20を示す。この外装材20における、左右(横方向)に隣接したパネル1同士は図2のように対向する嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合で連結されており、上下(縦方向)に隣接したパネル1同士は図6のように下方のパネル1cの上端に設けた上箱折り部8aと上方のパネル1dの下端に設けた下箱折り部8bとを表裏に重ねて接続されている。
【0021】
詳しくは、図6のように、パネル1の上端部に設けた上箱折り部8aは、芯材10の上端面から上方に上延出片部21を延出し、この上延出片部21の上端から水平且つ裏面側に上水平片22を折り曲げると共に、上水平片22の裏面側端部から立上片23を上方に折り曲げたことで形成されている。また、このパネル1の下端部に設けた下箱折り部8bは、芯材10の下端面から下方に下延出片部24を延出し、この下延出片部24の下端から水平且つ裏面側に下水平片25を折り曲げると共に、下水平片25の裏面側端部から垂下片26を下方に折り曲げたことで形成されている。なお、各箱折り部8a,8bにおける、パネル1の一側端側の端部は嵌合凸部2に形成した挿入凹部12にまで至っており、パネル1の他側端側の端部は嵌合凹部3の表面側部位の他側端面にまで至って形成されている。また、上水平片22の裏面側への延出寸法は下水平片25のそれに比べて長く形成されると共に、垂下片26の下方への延出寸法は立上片23の上方への延出寸法に比べて短く形成されている。しかして、上下に隣接するパネル1c,1d同士の連結部位には、上下の各箱折り部8a,8bを表裏に重ねたことで、表面側に開口せる縦断面略コ字溝状の横排水通路7が水平方向に亙って形成される。なお、この横排水通路7には建物内部への漏水を防止すべく乾式目地材27を配設して止水性を備えるのが好ましい。本例では乾式目地材27は、その係止部27aを立上片23と垂下片26との間に挿入係止させ、ひれ片27bで構成した上縁及び下縁を横排水通路7の奥部における上水平片22と下水平片25とに圧接させるようにして横排水通路7の奥部に配置されている。
【0022】
ここで、図4及び図5のように、上記横排水通路7は、嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合部分における表面側パッキン4aと裏面側パッキン4bとの間隙Kに臨ませるように形成されている。つまり、上記表面側パッキン4aと裏面側パッキン4bとの間隙Kは左右に隣接するパネル1間に上下に亙って形成されているのであるが、この間隙Kを縦排水通路6として用い、パネル1に降りかかった雨水等を横排水通路7で集水した後に上記縦排水通路6を介して流下して排水させ得るようにしている。詳しくは、上下に隣接するパネル1の縦排水通路6同士は、下方のパネル1cの芯材10の上端面と上方のパネル1dの芯材10の下端面との間に裏面側から嵌め込み配置させた水平断面略コ字状のゴム製の縦排水通路連通材28によって、上下に連通されて排水可能にされている。便宜上、この縦排水通路連通材28による縦排水通路6の連通部位を縦排水通路連通部6aと称する。上箱折り部8aにおけるパネル1の一側端側の端部には、下方且つ裏方に凹没されて縦排水通路連通部6aに臨む凹段部29が形成されている。そして、横方向に連結した一方のパネル1aの上箱折り部8aと他方のパネル1bの上箱折り部8aとは上記凹段部29で重なるようにされている。つまり、横方向に連結したパネル1a,1bの各上箱折り部8aの重なり部分では、一方のパネル1aの上箱折り部8aに凹段部29が形成された分の裏方及び下方への隙間Sが形成されるのであり、この隙間Sが縦排水通路連通部6aに臨んでいる。しかして、横排水通路7は上記隙間Sにて縦排水通路連通部6aに連通されると共にこの縦排水通路連通部6aを介して縦排水通路6に連通されており、横排水通路7で集水された雨水は隙間S、縦排水通路連通部6aを介して縦排水通路6に排水可能にされているのである。このように本例の外装材20では、横方向に隣接したパネル1同士の嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合部分にできる縦方向に伸びる表面側パッキン4aと裏面側パッキン4bとの間隙Kを利用し、簡単な構成で水を流下させ得る縦排水通路6を設けることができたものであり、またこの縦排水通路6には縦方向に隣接したパネル1間に形成した横排水通路7を臨ませて連通させているので、パネル1に降りかかった雨水等を横排水通路7で集水した後に縦排水通路6に流下、排水させることができたものであり、外装材20の排水性能の向上が図られているのである。
【0023】
なお、上述の説明では、パッキン4をあらかじめ製造工場などで付設したパネル1を例示したが、パッキン4の配設形態はこれに限るものではなく、たとえばパネル1の連結施工時に施工現場においてパネル1間の所定位置に挟み込ませるようにして配設してもよいのは言うまでもない。また、図示はしないが、嵌合凸部2と嵌合凹部3とで圧接するパッキン4は表面側パッキン4a及び裏面側パッキン4bのうちの1つだけ設けるようにしてもよく、この場合にも先例同様、パネル連結施工の良好な施工性を確保しつつ、嵌合凸部2と嵌合凹部3との嵌合部分に止水性を備えることができる。また、図7のように、パネル1の表面に等間隔に目地18と同形状の化粧目地33を形成し、規則的な化粧目地33の配列の中に上記規則性を守るようにして目地18を配置させることも好ましい。ここで、目地18は上述のように化粧目地33同様に隙間無く形成できるから、目地18と化粧目地33との間に連続性を持たせることができるのであり、これによると、パネル1を連結して形成した壁面等に対して、目地18があたかも等間隔に凹設された化粧目地33の1つであるような、一体性のある良好な外観を現出できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態の例であって、横方向に隣接するパネルの連結施工を説明する断面図である。
【図2】同上のパネルの連結部位の断面図である。
【図3】同上のパネルの断面斜視図である。同上のパネルの連結施工を説明する説明図である。
【図4】同上のパネルで形成した外装材であり、横方向に連結したパネルの上端付近の分解斜視図である。
【図5】図4の平面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の他例であり、パネルの連結部分の断面図である。
【図8】背景技術の例の縦断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 パネル
2 嵌合凸部
3 嵌合凹部
4 パッキン
4a 表面側パッキン
4b 裏面側パッキン
6 縦排水通路
7 横排水通路
9 下地材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの一側端部に嵌合凸部を突設すると共に他側端部に嵌合凹部を凹設し、横方向に隣接したパネル同士を嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合で連結させたパネルの連結構造であって、一方のパネルの嵌合凸部の表面側部位と他方のパネルの嵌合凹部の表面側部位との間、及び一方のパネルの嵌合凸部の裏面側部位と他方のパネルの嵌合凹部の裏面側部位との間の少なくとも一方にパッキンを介装し、一方のパネルを表面側に向けて傾斜させてその嵌合凸部を他方のパネルの嵌合凹部に挿入して嵌合凸部と嵌合凹部との間を支点として一方のパネルを裏面側に回動したことでパッキンを押圧して嵌合凸部と嵌合凹部とを嵌合したことを特徴とするパネルの連結構造。
【請求項2】
一方のパネルの嵌合凸部の表面側部位と他方のパネルの嵌合凹部の表面側部位との間、及び一方のパネルの嵌合凸部の裏面側部位と他方のパネルの嵌合凹部の裏面側部位との間に、それぞれパッキンを介装したことを特徴とする請求項1記載のパネルの連結構造。
【請求項3】
嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合部分における両パッキンの間隙を縦方向に延びる縦排水通路とし、縦方向に隣接したパネル間に形成した横方向に伸びる横排水通路を上記縦排水通路に臨ませたことを特徴とする請求項2記載のパネルの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−161486(P2006−161486A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357289(P2004−357289)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000207436)日鉄鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】