説明

パフューム・アトマイザー

【課題】操作することが容易であり、確実に液体チャンバを密閉し、製造性を向上させるような再充填可能な液体スプレー・ディスペンサを提供すること。
【解決手段】フレグランス・アトマイザーとして有用である再充填可能な液体スプレー・ディスペンサが、液体リザーバの排出ノズルと協働する再充填用の弁装置を含む。液体により充填され得る、液体スプレー・ディスペンサ内の主チャンバが、液体注入時に同時に再充填用の弁装置を介して繰り返し通気される。このようにして、液体スプレー・ディスペンサは液体充填作業中に正確且つ効率的に通気される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「Perfume Atomizer」と題されて2011年11月23日に出願された米国仮特許出願第61/563,302号の優先権を主張するものであり、その内容の全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は概して液体ディスペンサに関し、より詳細には、液体をこぼすリスクなくディスペンサを再充填するための機構、さらにはディスペンサを液体で再充填したときに空気を通気するための効率的な機構を有する再充填可能な液体スプレー・ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な用途において種々の種類の手動の液体ディスペンサが広く導入されている。1つのタイプの液体ディスペンサは、微細ミストで液体を吐出するように構成された手動操作式ポンプである。このような液体ディスペンサは一般に「アトマイザー」と称され、すなわち、液体は非常に小さい液滴として吐出される。このようなスプレー・ディスペンサの一般的な用途は芳香を吐出することである。
【0004】
液体スプレー・ディスペンサは、通常、エクスパンション・スプリングのばねの復元力に逆らって加えられる外力により手動で操作される往復動ポンプを利用し、加えられ取り除かれるこの外力は、ディスペンサの液体チャンバ内の圧力を変化させ、液体の吐出と次のポンプ・サイクルのための液体の取込みとを交互に引き起こすのに十分な大きさである。圧力下でスプレー・ノズルを通るように力を受けた液体は、非常に小さい液滴の分散ミストを発生させる。通常、このタイプの液体スプレー・ディスペンサは、液体チャンバを含むポンプ機構と、ポンプ機構内で手動で往復運動されるピストンとを有する。ピストンは液体チャンバ内で往復運動するように装着され、ばね力に逆らってポンプが動くとピストンが液体チャンバ内で移動してそれによりチャンバ内の液体に圧縮力が加えられる。この力により液体が液体通路を通ってスプレー出口まで移動するようになる。ポンプに対する下方向の外力を解放することにより、復元力でばねが拡張し、それによってポンプ機構がその伸長位置まで戻される。ポンプ機構がこのように動くことにより、ピストンは、液体チャンバの内部体積を拡大させるように液体チャンバ内で移動する。このような動きによって発生する負圧により液体が液体チャンバ内に引き込まれる。通常、ポンプ機構が動くことにより液体チャンバの内部体積が増大するときに液体チャンバ内への液体流れを制御するように弁組立体が使用される。
【0005】
場合によっては、液体スプレー・ディスペンサ内の液体チャンバを再充填することが可能であることが有益であることが分かっている。液体チャンバを再充填することが可能であることによりディスペンサを再利用することが可能となる。ディスペンサを再利用することは、ディスペンサの製造に使用される材料を節約することを促進することに加えて、形態及び機能の両方においてより高価なディスペンサを製造することが可能となる。1つの特定の実例として、ポケット又は小さい財布で保管されるのに適する全体サイズを有する再利用可能なフレグランス・アトマイザーがある。これぐらいの小さい寸法は携帯するのに有用であるが、芳香能力が妥協される。したがって、このような携帯用ディスペンサ内の液体チャンバを再充填することが可能であることが有益である可能性がある。
【0006】
液体スプレー・ディスペンサ内で液体チャンバを再充填するために多数の試みがなされている。1つの試みは、単純に液体チャンバを開いてファンネルを使用して代わりの液体を注ぐことである。しかし、この技術は時間がかかり、また、充填する液体がこぼれる可能性もある。別の試みは、代わりの液体を液体チャンバに注入するための液体入口弁を液体スプレー・ディスペンサに組み込むことである。この液体入口弁は、大型の液体リザーバの吐出用ノズルに係合されるように構成される。液体スプレー・ディスペンサへの入口弁システムのために種々の設計が導入されているが、従来の設計は高水準の液体シールを実現しておらず、したがって液体漏洩が起こったり、及び/或いは、製造が困難であったり又は製造が高コストになったりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、操作することが容易であり、確実に液体チャンバを密閉し、製造性を向上させるような再充填可能な液体スプレー・ディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により、液体を漏洩させることなく液体スプレー・ディスペンサを再充填することを安定して実施することが可能となる。本発明のディスペンサは、液体リザーバからの吐出用ノズルに密閉可能に係合されるように適合される弾性密閉ガスケットを備えた弁本体を使用する。この弁本体は、液体注入プロセスを通して、複数のシール構成により液体シールを維持する。また、この弁本体は、液体チャンバ内の通気ガスケットを開閉するときに通気ロッドと共に同期的に移動することができ、それによって液体入口弁が開閉される。この場合、液体入口弁が開いているときにのみ空気通気弁が開かれる。
【0009】
一実施例では、本発明の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサは、主チャンバを画定するベッセルと、液体チャンバを有し、且つ主チャンバを通気するための空気通路を有するポンプ装置とを含む。このポンプ装置は、互いに垂直な軸線方向および径方向を画定する中心軸線を画定する。スプレー・ディスペンサは、液体通路を画定する中空内部を有するピストン・ロッドと、液体チャンバに配置されてピストン・ロッドによりポンプ装置内で軸線方向に移動可能なピストンであって、それにより液体をポンプ作用により液体チャンバからの液体通路に押し込み、また液体を主チャンバからポンプ装置内の第1の逆止弁を介して液体チャンバ内まで引き込むピストンとをさらに含む。通気ガスケットがポンプ装置に固定され、この通気ガスケットは、空気通路を解放可能に密閉するためにポンプ装置に弾性的に接触可能なフランジ部分を有する。弁本体がベッセルの開口部内に密閉可能に係合される。この弁本体は、液体が弁本体を通って主チャンバ内まで流れるのを可能にするための入口通路を備えた第1の部分と、液体リザーバからの排出ノズルを受け入れるように適合された第2の部分とを有する。弁本体は入口通路を閉じるために第1の部分へと偏倚(バイアス又は押圧)される。通気ガスケットのフランジ部分をポンプ装置から脱係合して空気通路を開くように、通気ロッドが弁本体によって移動され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の液体スプレー・ディスペンサに対する液体充填動作を示す連続する概略図の1つである。
【図1B】本発明の液体スプレー・ディスペンサに対する液体充填動作を示す連続する概略図の1つである。
【図1C】本発明の液体スプレー・ディスペンサに対する液体充填動作を示す連続する概略図の1つである。
【図2A】本発明の排出ノズルを示す分離した断面図である。
【図2B】本発明の液体スプレー・ディスペンサと共に操作中の図2Aの排出ノズルを示す概略図である。
【図3】本発明の液体スプレー・ディスペンサを示す断面図である。
【図4A】吐出状態にある図3に示される液体スプレー・ディスペンサの一部分を示す分離した断面図である。
【図4B】非吐出状態にある図3に示される液体スプレー・ディスペンサの一部分を示す分離した断面図である。
【図5】図3に示される液体スプレー・ディスペンサの一部分を示す断面図である。
【図6A】非充填状態にある本発明の液体スプレー・ディスペンサを示す断面図である。
【図6B】充填状態にある本発明の液体スプレー・ディスペンサを示す断面図である。
【図7】本発明の液体スプレー・ディスペンサを示す分解構成部品図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面の中で最初に図1A〜1Cを参照すると、本発明の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ10が、液体リザーバ1に入れられた液体8でディスペンサ10の液体チャンバを充填又は再充填するための再充填順序で示されており、この液体リザーバ1は、スプレー・ヘッド2Aを備える比較的大容量の芳香容器などの場合は、排出部2を備える容器であってよい。図1Bに示されるように、ディスペンサ10は、液体8をリザーバ1からディスペンサ10まで移動させるためにリザーバ1の排出部2に係合されてよい。示される実施例ではスプレー・ヘッド2Aは取り外されてもよく、その結果、ポンプ方向の矢印6A、6Bで示されるディスペンサ10による往復ポンプ作用によりリザーバ1から液体8を導き出すように、排出部2のステムがディスペンサ10に係合される。ディスペンサ10内に注入される液体8の体積は窓12を通して監視され得る。ディスペンサ10が液体8で所望される通りに充填されると、ディスペンサ10は、リザーバ1又はディスペンサ10のいずれからも液体8を漏洩させることなくリザーバ1の排出部2から外され得る。リザーバ1内の液位は、図1A〜1Cでは概略的に描かれており、液体8をディスペンサ10へ移動させるプロセスにおいてその液位は減少している。
【0012】
一部の実施例では、排出ノズル3が、リザーバ1をディスペンサ10に流体的に連結するのに使用され得る。したがって、排出ノズル3は、後でより詳細に説明するようにリザーバ1の排出部2さらにはディスペンサ10に密閉可能に固定され得るアダプタを構成してよい。本発明では排出ノズル3に対して種々の構成が企図されているが、図2Aに1つの実例の構成が示されており、ここでは、排出ノズル3が、液密シールを形成するために排出部2に弾性的且つ密閉可能に係合されるアダプタ・ガスケット5を有するベース部分4を含む。アダプタ・ガスケット5の弾性特性により、排出ノズル3のベース部分4は種々の寸法の排出部2に密閉可能に係合され得る。排出ノズル3のベース部分4が種々のリザーバ排出部に機能的に適合することができるように、液体リザーバが種々のサイズの排出部2を使用することが知られている。排出ノズル3の挿入部分7は、特別に、液体8をディスペンサ10内に排出するためにディスペンサ10の弁本体及び弁ガスケットに密閉可能に係合されるように構成され得る。したがって、挿入部分7は、ディスペンサ10の弁本体に密閉可能に係合されてさらにディスペンサ10の弁本体と動作可能に協働するためのニップル7a及び肩部7bを含んでよい。液体8は、排出ノズル3を通って軸線方向に延在するチャネル9を通過する。排出ノズル3は図2Bに示されており、リザーバ1の排出部2とディスペンサ10とを接合している。
【0013】
液体スプレー・ディスペンサ10の一実施例の詳細な断面図が図3に示されている。ベッセル14が主チャンバ16を画定しており、チャンバ16内では、スプレー・ノズル18から外へ排出するための一定量の液体8が保持され得る。示される実施例では、ベッセル14は、側壁14A及び端壁14Bを備える実質的に円筒形の、且つ開いた円筒形のプラスチック本体を有してよい。しかし、本発明で有用であるような、ベッセル14のための別の構成も考えられる。
【0014】
ベッセル14にはポンプ装置20が固定され、このポンプ装置20は図4A及び4Bに別途示されている。ポンプ装置20は、液体チャンバ24を画定するシリンダ22を含む。ポンプ装置20は、主チャンバ16を外部環境まで通気するための空気通路28を画定するアタッチメント部材26をさらに含む。ポンプ装置20は、それ自体で互いに垂直な軸線方向31及び径方向32を画定する中央軸線30をさらに画定する。ポンプ装置20のアタッチメント26は、外側ブレース部分34及び内側ブレース部分36を含んでよく、アタッチメント26の外側ブレース部分34と内側ブレース部分36との間に空気通路28が画定される。外側ブレース部分34は、空気通路28を除いて主チャンバ16を実質的に閉鎖するためにベッセル14に固定され得る。外側ブレース部分34は、ベッセル14の係合部分15においてベッセル14の内側表面14Cにねじ込み式に又は別の方式で係合可能であってよい。したがって、外側ブレース部分34は、ベッセル14に対してポンプ装置20を保持可能に固定するための接続部分35にねじ部又は別の表面修正部を含んでよい。一実施例では、外側ブレース部分34はベッセル14内にプレス嵌めされ得、環状突出部38が、ベッセル14の上側リム15aに接触することによりアタッチメント部材26が主チャンバ16内に挿入されるのを防止する。一実施例では、アタッチメント部材26は単一体であってよく、中心軸線30を中心に環状に構成される単一構造体となるように成形されてよい。
【0015】
アタッチメント部材26はシリンダ22の周りに固定されてよく、シリンダ22の環状リッジ40がアタッチメント部材26の環状チャネル42内に受け入れられる。シリンダ22は種々の構成であってよいが、本明細書で説明されるポンプ装置20の構成要素の動作に対応するように径方向に段差のついた外径を含んでよい。シリンダ20は、主チャンバ16から液体8を取り込むためのディッパー・チューブ46を受け入れることができる入口44を含む。シリンダ22はまた下側シート48を形成してよく、その上では、ポンプ装置20の第1の逆止弁52を形成するために下側シート48に対してボール50が動作可能に係合され得る。
【0016】
ピストン・ロッド54は、液体チャンバ24とスプレー・ノズル18との間で液体を連通させるための液体通路56を画定する中空内部を含んでよい。ピストン・ロッド54は、キャップ58に加えられる軸線方向の手動のポンプ力により軸線方向31に沿って往復動可能に操作され得る。ピストン・ロッド54に加えられる軸線方向のポンプ力は最初はピストン64に逆らうように作用し、次いで、上側ばね60及び下側ばね62の復元力に逆らうように作用し、それにより、ピストン64が液体チャンバ24内に押し込まれてそれにより液体チャンバ24内の圧力が増加する。キャップ58のポンプ力を除去することにより、上側ばね60及び下側ばね62の復元力によりピストン64を液体チャンバ24から軸線方向に押し出すことが可能となり、それにより、液体チャンバ24内の流体圧力が低下する。したがって、ピストン64は液体チャンバ24に配置され、ピストン・ロッド54によりポンプ装置20内で軸線方向31に沿って軸線方向に移動可能であり、それにより、液体8が液体チャンバ24から液体通路56内までポンプ作用で押し込まれたり、第1の逆止弁52を介して主チャンバ16から液体チャンバ24内までくみ上げられたりする。
【0017】
ポンプ装置20の下方向のポンプ・ストロークが図4Aに示されており、ここでは、キャップ58に加えられる下方向の力がピストン・ロッド54に伝達され、軸線方向においてピストン・ロッド54が軸線方向31に沿って下方向に移動するようになる。ピストン・ロッド54は、ピストン64を液体チャンバ24内へと下方向に押し込むためにピストン64の肩部65上で支持される。ポンプ・ガスケット66がピストン・ロッド54の周りに摺動可能に固定され、上述したようにピストン・ロッド54を往復動することにより、ポンプ・ガスケット66及びピストン・ロッド54が相対移動する。しかし、この相対移動は、ピストン・ロッド54が下方向に移動するときのピストン・ロッド54に対する、ポンプ・ガスケット66の上方向への相対移動に逆らうように作用する復元力を有する上側ばね60によって制限される。上側ばね60は、液体チャンバ24をピストン・ロッド54内の液体通路内まで連通させる液体チャネル68を開くために、ピストン・ロッド54に対するポンプ・ガスケット66の相対移動の範囲を所望される通りの範囲にするように較正される。ピストン64の下方向の移動により液体チャンバ24内の流体圧力が増加することにより、ボール50がシリンダ22の下側シート48に逆らって押し込まれてそれにより第1の逆止弁52が閉じられ、さらに、液体チャンバ24内の液体が液体チャネル68及び液体通路56を通るように押し込まれてスプレー・ノズル18を通して排出される。
【0018】
ポンプ・サイクルの第2の部分が図4Bに示されており、ここでは、キャップ58に逆らう下方向の力が除去されると、上側ばね60及び下側ばね62がそれらのそれぞれの復元力により膨張し、ピストン64、ポンプ・ガスケット66及びピストン・ロッド54が軸線方向において液体チャンバ24から外に上方向に押し出される。上側ばね60の復元力によって駆動される、ピストン・ロッド54に対するポンプ・ガスケット66の相対移動により、ピストン64の肩部65に向かってピストン・ロッド54に対してポンプ・ガスケット66が下方向に移動されて液体チャネル68が閉じられる。したがって、液体チャンバ24内に空気が引き込まれることが防止され、ピストン64が後退することにより圧力が低下する。液体チャンバ24内の負圧によりボール50がシリンダ22の下側シート48から押し上げられてそれにより第1の逆止弁52が開かれ、それにより液体8が主チャンバ16からディッパー・チューブ46及び入口44を通って流入することが可能となる。キャップ肩部70により、ピストン・ロッドがさらに軸線方向上向きに移動することが防止される。ピストン・ロッドとピストンとの組み合わせの上方への移動が停止されると、液体チャンバ24内の流体圧力が主チャンバ16内の流体圧力と一致し、それにより、液体チャンバ24内でボール50が重力及びボール50の上の液体の重量の作用を受けてシリンダ22の下側シート48に接して着座し第1の逆止弁52を閉じる。
【0019】
通気ガスケット72がポンプ装置20に固定され、また、この通気ガスケット72は、閉じられた空気通路28を解放可能に密閉するためにポンプ装置20に弾性的に接触することができるフランジ部分74を含む。示される実施例では、通気ガスケット72のステム部分76がアタッチメント部材26の内側ブレース部分36とシリンダ22の外側表面25との間に固定される。ステム部分76は、内側ブレース部分36とシリンダ22との間で摩擦嵌合され得る。通気ガスケット72のフランジ部分74は外側ブレース部分34の内側表面35に弾性的に接触することができ、その結果、フランジ部分74が外側ブレース部分34を弾性的に密閉し、それにより、アタッチメント部材26の外側ブレース部分34と内側ブレース部分36との間で空気通路28が解放可能に閉じられる。通気ガスケット72は、種々のプラスチック、ゴムなどの、任意の所望される弾性材料から製作されてよい。一実施例では、通気ガスケット72はシリコーンである。
【0020】
弁本体78がベッセル14の開口部80内でベッセル14に密閉可能に係合される。示される実施例では、開口部80はベース壁14B内に配置されてよい。しかし、開口部80はベッセル14内で別の形で配置され得ることも考えられる。弁本体78は、液体流れが弁本体78を通って主チャンバ16内に入るのを可能にするための入口通路84を備える第1の部分82と、液体リザーバ1からの排出ノズル3などの排出部2を受けるように適合された第2の部分86とを含む。弁本体のばね88は、弁本体78を方向31に沿って軸線方向外向きに第1の位置90(図6A)まで偏倚するように作用する復元力を有し、それにより入口通路84が閉じられる。
【0021】
ベッセル14の開口部80は、側壁92と、端壁94と、環状フランジ96とを有する凹部を画定しており、これらの側壁92、端壁94及び環状フランジ96は、組み合わせで、中心軸線30を中心に環状に構成される環状溝98を画定する。弁本体のばね88は、弁本体78を第1の位置90に向けて下方向に偏倚するために、環状溝98内において端壁94と弁本体78のストラット部分79との間に配置されてよい。弁本体78は第1の密閉リング100及び第2の密閉リング102を介して環状フランジ96でベッセル14に密閉可能に係合され、また、これらの第1の密閉リング100及び第2の密閉リング102は、保持溝104A、104Bで弁本体78に固定される弾性のOリングを有してよい。第1の密閉リング100及び第2の密閉リング102は入口通路84を跨いで軸線方向に間隔を空けて配置されてよく、入口通路84が軸線方向において第1の密閉リング100と第2の密閉リング102との間に配置される。このようにして、弁本体78は、リザーバ1の排出ノズル3により加えられる上方向の力をによって第2の位置91まで操作されるときに、ベッセル14の環状フランジ96に密閉可能に係合される状態を維持する。これらの2つの別個の密閉リング100、102により、環状フランジ96で弁本体78をベッセル14に密閉可能に係合するための、分離した別個の密閉位置が提供される。したがって、第1の位置90では、弁本体78は、弁本体78の第1の部分82及びベッセル14の環状フランジ96の両方に弾性的に接触する第1の密閉リング100及び第2の密閉リング102の両方において環状フランジ96に密閉可能に係合され得る。図1〜2に関連して上述した液体注入プロセスの結果として弁本体78が軸線方向上向きに押し込まれると、第1の密閉リング100が環状フランジ96との接触が外されるように軸線方向において押され、それにより入口通路84が開き、リザーバ1から排出ノズル3及び入口通路84を通って主チャンバ16内まで液体が通過することが可能となる。しかし、第1の密閉リング100が弁本体78の第1の部分82とベッセル14の環状フランジ96との間で密閉可能に係合されていない場合でも、入口通路84から軸線方向外側に配置される第2の密閉リング102は弁本体78の第1の部分82とベッセル14の環状フランジ96の間で密閉可能に係合される状態を維持する。このように密閉可能に係合されることにより、弁本体78と環状フランジ96との間において主チャンバ16から外に液体が漏洩することが防止される。
【0022】
排出ノズル3のニップル7a及び/又はリザーバ1の排出部2との密閉可能な係合を形成するために、弁本体78の内側表面81に弾性の弁ガスケット106が設けられてよい。弾性の弁ガスケット106は、排出部2/排出ノズル3と弁本体78との間の係合部から液体が漏洩するのを防止することを目的として、ニップル7a及び/又は排出部2の周りに液密シールを形成するために、弾性材料から製造される。
【0023】
一実施例では、弾性の弁ガスケット106は、排出ノズル3の肩部7bに密閉可能に係合されるように構成され得るテーパ部分108を含む。再び図2Bを参照すると、液体8がディスペンサ10の主チャンバ16内に移動することは、排出部2又は排出ノズル3が弁本体78で密閉可能に係合されているときにディスペンサ10を下方に押すことにより実施され得る。ディスペンサ10に対する下方向の力により弁ガスケット106のテーパ部分108と排出ノズル3の肩部7bとの間の圧力が増加し、この増加した圧力がばね88の復元力に打ち勝つと、弁本体78がばね88の復元力に逆らって軸線方向上向きに移動してそれにより入口通路84が開かれる。ディスペンサ10に加えられる下方向の力は同時にリザーバ1の排出部2にも下方向の力を伝達し、それにより排出部2が下方向に移動し、液体8がポンプ作用によりリザーバ1から押し出されて排出ノズル3のチャネル9内に入り、さらに排出ノズル3のニップル7aを通って弁本体78の入口通路84に到達する。ディスペンサ10に対する下方向の力が除去されると、肩部7bと弁ガスケット106のテーパ部分108との間の圧力が解放され、それにより、弁本体のばね88の復元力が弁本体78をベッセル14内の凹部に対して軸線方向下向きに移動させることが可能となり、さらには、液体8が主チャンバ16から排出ノズル3のチャネル9内まで逆流することを防止するために入口通路84が閉じられる。また、ディスペンサ10に対する下方向の力が解放されると、排出部2内のばねが膨張することが可能となり、次のポンプ・サイクルに備えるために排出部2が軸線方向上向きに移動する。このように、液体8はリザーバ1からディスペンサ10の主チャンバ16まで一方向に移動することができる。
【0024】
上述したように液体8を主チャンバ16内に充填又は再充填することは、加えられる液体の体積に等しい体積の一定量の空気を主チャンバ16から除去するための通気能力に依存する。このような通気能力を有さない閉鎖された主チャンバ16では、上述したような密閉状態で液体を追加することは妨げられる。したがって、液体を主チャンバ16まで移動させることと同時に主チャンバ16を一時的に通気するための機構を提供することは、本発明の重要な側面である。
【0025】
上述した主チャンバ16の通気を実現するために、通気ロッド110は、空気通路28を開けることを目的として通気ガスケット72のフランジ部分74をポンプ装置20から外すために、弁本体78によって移動可能である。図5に示されるように、通気ロッド110の下側部分112は弁本体78の接続部分83に固定され得ることから、通気ロッド110は弁本体78と同期的に移動することができる。上述したように、弁本体78は、ディスペンサ10にかかるリザーバ1に対して下方向の力の結果として弁ガスケット106と排出ノズル3との間に発生する力により、軸線方向で移動可能であってよい。弁本体78が軸線方向上向きに主チャンバ16内に移動し、液体8が入口通路84を通って主チャンバ16内まで移動すると、それに対応して通気ロッド110が軸線方向上向きに移動し、同時に、通気ガスケット72のフランジ部分74とアタッチメント部材26の外側ブレース部分34との弾性的な接触が外される。通気ロッド110の上側部分114が外側ブレース部分34の内側表面35に摺動可能に係合されており、したがって、弁本体78によって駆動される軸線方向上向きの移動によりこの上側部分114が通気ガスケット72のフランジ部分74に接触するようになる。通気ロッド110が継続して軸線方向上向きに移動することにより、上側部分114が通気ガスケット72の弾性フランジ部分74を外側ブレース部分34の内側表面35との接触から外すように変位させる。このように変位することにより、主チャンバ16に対して空気通路28が開かれ、空気がそこを通って逃げることが可能となり、主チャンバ16が通気される。主チャンバ16から空気を通気させるための駆動力は、入口通路84を通して液体8を主チャンバ16内に注入することよって提供される。主チャンバ16に注入される液体の体積により、充填される液体8の上方の主チャンバ16のヘッド空間内の空気圧力が増加する。このように空気圧力が増加することにより、開かれた空気通路28を介して空気が外へ通気される。
【0026】
通気ロッド110を通気ガスケット72のフランジ部分74に解放可能に接触させることにより空気通路28を開閉することが図6A及び6Bに示されており、ここでは、主チャンバ16の外側へと第1の位置90まで軸線方向に偏倚された弁本体78が図6Aに示されており、通気ロッド110はフランジ部分74との変位可能な接触から外されている。しかし、図6Bは軸線方向上向きに押し込まれて第2の位置91にある弁本体78を示しており、それに対応して通気ロッド110が軸線方向上向きに移動してフランジ部分74に変位可能に接触しており、それにより、主チャンバ16を通気させるために空気通路28が開いている。弁本体のばね88が弁本体78を偏倚して弁本体78を第1の位置90に再配置することにより、それに対応して通気ロッド110の上側部分114が通気ガスケット72のフランジ部分74との変位可能な接触から外され、それにより、フランジ部分74と外側ブレース部分34の内側表面35との間に弾性的な密閉接触を再び形成して空気通路28を閉じることが可能となる。したがって、通気ロッド110は、上述した液体充填サイクルに対応し、弁本体78との同期的な動きを介して空気通路18を繰り返し開閉する。したがって、液体8が主チャンバ16に注入されない場合、通気ガスケット72が通常はアタッチメント部材26の外側ブレース部分34に密閉可能に係合されており、空気通路28が密閉可能に閉じられている。この構成により、閉鎖された主チャンバ16が形成され、スプレー・ノズル18を通して液体8を外に出すことが補助される。
【0027】
一部の実施例では、装飾的な目的及び/又は保護的な目的のために外側ケーシング120が設けられてよい。一実施例では、外側ケーシング120は高品質のアルミニウム材料から制作されてよい。
【0028】
液体スプレー・ディスペンサ10の分解構成部品図が図7に示されている。
【0029】
本明細書では、特許法に従って、新規の原理を適用するため及び必要に応じて本発明の実施例を構築及び使用するために必要となる情報を当業者に提供するために、本発明を非常に詳細に説明してきた。しかし、本発明のそれ自体の範囲から逸脱することなく、種々の修正がなされ得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0030】
1 液体リザーバ
2 排出部
2A スプレー・ヘッド
3 排出ノズル
4 ベース部分
5 アダプタ・ガスケット
6A、6B ポンプ方向の矢印
7 挿入部分
7a ニップル
7b 肩部
8 液体
9 チャネル
10 液体スプレー・ディスペンサ
14 ベッセル
14A 側壁
14B 端壁
14C 内側表面
16 主チャンバ
18 スプレー・ノズル
20 ポンプ装置
22 シリンダ
24 液体チャンバ
25 外側表面
26 アタッチメント部材
28 空気通路
30 中心軸線
31 軸線方向
32 径方向
34 外側ブレース部分
35 接続部分
36 内側ブレース部分
40 環状リッジ
42 環状チャネル
46 ディッパー・チューブ
48 下側シート
50 ボール
52 逆止弁
54 ピストン・ロッド
56 液体通路
58 キャップ
60 上側ばね
62 下側ばね
64 ピストン
66 ポンプ・ガスケット
68 液体チャネル
70 キャップ肩部
72 通気ガスケット
74 フランジ部分
76 ステム部分
78 弁本体
80 開口部
82 第1の部分
84 入口通路
86 第2の部分
88 弁本体のばね
90 第1の位置
92 側壁
94 端壁
96 環状フランジ
98 環状溝
100 第1の密閉リング
102 第2の密閉リング
104A、104B 保持溝
106 弾性の弁ガスケット
108 テーパ部分
110 通気ロッド
112 下側部分
114 上側部分
120 外側ケーシング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
再充填可能な液体スプレー・ディスペンサであって、
主チャンバを画定するベッセルと、
液体チャンバ、および前記主チャンバを通気するための空気通路を有するポンプ装置であって、互いに垂直な軸線方向および径方向を画定する中心軸線を画定するポンプ装置と、
液体通路を画定する中空内部を有するピストン・ロッドと、
前記液体チャンバに配置されて前記ピストン・ロッドにより前記ポンプ装置内で軸線方向に移動可能であるピストンであって、それによって液体を前記液体チャンバから前記液体通路にポンプ作用により押し込み、また液体を前記主チャンバから前記ポンプ装置内の第1の逆止弁を介して前記液体チャンバ内まで引き込むピストンと、
前記ポンプ装置に固定される通気ガスケットであって、前記空気通路を解放可能に密閉するために前記ポンプ装置に弾性的に接触可能なフランジ部分を有する通気ガスケットと、
前記ベッセル内にある開口部と、
前記開口部内で前記ベッセルに密閉可能に係合される弁本体であって、液体が該弁本体を通って前記主チャンバ内へ流れるのを可能にする入口通路を備えた第1の部分、及び前記液体リザーバの排出ノズルを受け入れるように適合された第2の部分を有し、且つ前記入口通路を閉じるために第1の位置まで偏倚可能に移動可能である弁本体と、
前記空気通路を開くために、前記通気ガスケットの前記フランジ部分を前記ポンプ装置から外すように前記弁本体によって移動可能な通気ロッドと
を有する、再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項2】
前記液体リザーバの前記排出ノズルとの密閉可能な係合を形成するために前記弁本体の前記第2の部分に弾性の弁ガスケットを含む、請求項1に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項3】
前記通気ロッドが前記弁本体内で同期的に移動可能である、請求項1に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項4】
前記通気ロッド及び前記弁本体が一体に軸線方向に移動し、このとき前記弁本体は前記主チャンバから外向きに偏倚されている、請求項3に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項5】
前記ポンプ装置が、外側ブレース部分及び内側ブレース部分を有するアタッチメント部材を含み、前記空気通路が前記アタッチメント部材の前記内側ブレース部分及び前記外側ブレース部分の間に画定される、請求項1に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項6】
前記アタッチメント部材の前記外側ブレース部分が、前記主チャンバを閉鎖するように前記ベッセルに固定される、請求項5に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項7】
前記ポンプ本体のシリンダが前記アタッチメント部材の前記内側ブレース部分に固定される、請求項6に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項8】
前記弁ガスケットのステム部分が前記アタッチメント部材の前記内側ブレース部分及び前記シリンダとの間で固定される、請求項7に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項9】
前記フランジ部分が前記アタッチメント部材の前記外側ブレース部分に弾性的に接触可能である、請求項7に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項10】
前記液体通路に連通され得るスプレー・ノズルを含む、請求項1に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項11】
前記開口部が、側壁と端壁とフランジとを有する凹部を画定し、これらの組み合わせにより、前記中心軸線を中心に環状に構成される環状溝が画定される、請求項1に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。
【請求項12】
前記弁本体を前記ベッセルに密閉可能に係合させる第1及び第2の密閉リングを含み、前記第1及び第2のリングが前記入口通路を跨いで軸線方向に間隔を空けて配置される、請求項1に記載の再充填可能な液体スプレー・ディスペンサ。


【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−107708(P2013−107708A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255889(P2012−255889)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【出願人】(512302544)ゼージアン ジェイエム インダストリー カンパニー、リミテッド (1)
【Fターム(参考)】