説明

パラジウム−金触媒の製造

パラジウム−金担持触媒の新規な製造方法を開示する。本方法は二酸化チタン担体の硫酸処理、硫酸処理された担体の焼成、焼成された担体へのパラジウム塩、金塩、およびアルカリ金属もしくはアンモニウム化合物による含浸、含浸した担体の焼成および焼成された担体の還元を含む。得られたパラジウム−金担持触媒にはアセトキシル化における活性と安定性の向上がみられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパラジウム−金担持触媒に関する。より詳細には、本発明は触媒活性が増強され、アセトキシル化における活性が安定化したパラジウム−金担持触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
パラジウム−金触媒については既知である。これらはアセトキシル化に使用される。例えば、パラジウム−金触媒および酢酸の存在下におけるエチレンの酸化によって、高分子工業にとって有用なモノマーである酢酸ビニルが生産される。
【0003】
アセトキシル化は一般的に、パラジウム−金担持触媒を用いて気相反応で行われる。パラジウム−金触媒の担持方法は既知である。一般的に、この方法はパラジウムおよび金の塩の混合物の担体上への蒸着と、次いでパラジウムおよび金の金属への還元とを含む。
【0004】
パラジウムおよび金はいずれも貴金属である。したがって、触媒活性を上げて必要な触媒の量を減らすための多大な努力がなされてきた。例えば、米国特許第6,022,823号には、金属の還元に先立ってパラジウムおよび金の塩を含浸した担体を焼成することが説明されている。この触媒は改善された活性を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当業界が今なお直面する課題は、パラジウム−金担持触媒がアセトキシル化の際にしばしば失活することである。そのため、パラジウム−金担持触媒の活性の安定性を増すことが当業界にとって重要である。理想的には、触媒の活性または生産性が増大し、しかしコストの増大は招かないことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はパラジウム−金担持触媒の製造方法である。この方法は二酸化チタン担体の硫酸処理を含む。硫酸処理された担体は焼成される。焼成された担体は続いてパラジウム塩、金塩およびアルカリ金属−またはアンモニウム化合物を含有する溶液により処理される。アルカリ金属−またはアンモニウム化合物は、担体の含浸の間にパラジウム−および金塩と反応する。含浸した担体は焼成されることでパラジウム−および金塩の部分分解を起こす。焼成された生成物はパラジウムおよび金を金属に還元するための還元工程に付される。
【0007】
本発明は、本発明の方法により製造されたパラジウム−金触媒を含む。本発明はまた、酢酸ビニルおよび酢酸アリルの製造のためのアセトキシル化における触媒の使用を含む。当業者に既知のパラジウム−金触媒と比較すると、本発明の方法により製造された触媒はアセトキシル化における触媒活性安定性の改善を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の方法は、二酸化チタン担体の硫酸処理を含む。ここで「硫酸処理」とは、二酸化チタン担体中に硫酸根を導入することを意味する。硫酸処理は二酸化チタン製造工程において行うことも、あるいは二酸化チタン製造後の処理として行うことも可能である。硫酸二酸化チタン法においては、硫酸根の残留量を調節することができる。あるいは、硫酸処理段階は二酸化チタンを硫酸化剤で処理することで行うこともできる。この硫酸根含有の二酸化チタンは、硫酸二酸化チタン法によるものであっても、あるいは他のいかなる方法によるものであっても、さらに硫酸処理してもしなくてもよい。
【0009】
適切な硫酸化剤としては硫酸、過硫酸およびそれらの塩など、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、硫酸化剤は硫酸もしくは過硫酸の塩である。塩は、酸よりも危険性が少ないためより取り扱いに便利である。
【0010】
好ましくは、前記硫酸処理された二酸化チタンは、硫黄(S)を0.01重量%以上含む。より好ましくは、硫酸処理された二酸化チタンは、Sを0.01重量%〜約5重量%含む。最も好ましくは、硫酸処理された二酸化チタンは、Sを0.1重量%〜約1.0重量%含む。
【0011】
好ましくは、後処理に用いられる二酸化チタンは、チタンオキシクロライドまたは硫酸チタニルの加水分解により製造され、ナノ構造を持ち、アナターゼ型結晶である。
【0012】
硫酸処理された二酸化チタンは続いて焼成される。焼成は、二酸化チタンを好ましくは500℃〜900℃、より好ましくは600℃〜800℃、そして最も好ましくは650℃〜750℃の温度範囲で加熱することにより行われる。
【0013】
好ましくは、焼成された二酸化チタンは細孔容積が0.1cm3/g〜0.75cm3/gの範囲にあり、表面積が0.5m2/g〜500m2/gの範囲にある。より好ましくは、細孔容積は0.10cm3/g〜0.65cm3/gの範囲であり、表面積は1m2/g〜200m2/gの範囲である。最も好ましくは、表面積は2m2/g〜50m2/gである。
【0014】
驚くべきことに、出願人は、硫酸処理された担体を焼成することで、それを原料に製造されたパラジウム−金触媒のアセトキシル化活性が著しく増大することを見出した。硫酸処理された二酸化チタン担体を焼成することによる効果として可能性があるのは、担体表面の燒結と改質であり、それにより担体上に担持された金属単体のパラジウムおよび金がより良好にはめ込まれることである。
【0015】
焼成された担体は含浸される。適切であればいかなる含浸方法を用いてもよい。例えば、米国特許第6,022,823号では担体にどのようにして含浸させるかが説明されている。
【0016】
担体は同時にあるいは引き続いてパラジウム塩、金塩およびアルカリ金属もしくはアンモニウム化合物で処理することができる。好ましくは、含浸は水溶液中で行われる。溶液の濃度および使用される各々の溶液の量は、最終触媒生成物中での所望のパラジウムおよび金の濃度により決定される。
【0017】
適切なパラジウム塩としては、塩化パラジウム、塩化亜パラジウム酸ナトリウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウムなど、およびそれらの混合物が挙げられる。適切な金塩としては、塩化金(III)、四塩化金酸、四塩化金酸ナトリウムなど、およびそれらの混合物が挙げられる。四塩化金酸ナトリウムおよび塩化パラジウムまたは塩化亜パラジウム酸ナトリウムが最も一般的に使用される。
【0018】
適切なアルカリ金属もしくはアンモニウム化合物としては、アルカリ金属もしくはアンモニウム水酸化物、アルカリ金属もしくはアンモニウム炭酸塩、アルカリ金属もしくはアンモニウム重炭酸塩、アルカリ金属もしくはアンモニウムメタケイ酸塩など、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0019】
担体を含浸する方法の1つには、担体をまずアルカリ金属もしくはアンモニウム化合物の水溶液で処理することが含まれる。アルカリ金属もしくはアンモニウム化合物を含有する水溶液で処理された担体は、続いてパラジウムおよび金の塩を含有する水溶液と接触させられる。
【0020】
他の方法では、パラジウムおよび金溶液による含浸は、アルカリ金属もしくはアンモニウム化合物の水溶液による処理の前に行われる。この方法では、担体の吸収能力の分だけ、ほぼ完全にパラジウムおよび金の塩の水溶液で満たされる。これは一般的に、担体上に溶液を湿り始めるまで滴下することによって行われる。パラジウムおよび金の塩で含浸した担体は、続いてアルカリ金属もしくはアンモニウム化合物と接触させられる。
【0021】
第3の方法は、担体に接触させる前にアルカリもしくはアンモニウム化合物と貴金属化合物とを混合することを含む。担体との接触は、混合物の担体上への滴下もしくは噴霧により、湿り始め、もしくは溶液中に粉末状担体のスラリーが形成されるまで行うことでなされる。
【0022】
含浸した触媒は、好ましくは焼成の前に、含浸の間に形成されたアルカリ金属塩、例えば塩化物を除去するために水で洗い、乾燥する。
【0023】
含浸した担体は、焼成、すなわち非還元性雰囲気下で高温で加熱される。好ましくは、焼成はパラジウムおよび金の塩の一部が分解されるような条件下で行われる。より好ましくは、焼成の間にパラジウムおよび金の塩の少なくとも10%が分解される。
【0024】
好ましくは、含浸した担体の焼成は約100℃〜約600℃の温度範囲で行われる。より好ましくは、温度範囲は100℃〜300℃である。最も好ましくは、温度範囲は150℃〜250℃である。
【0025】
焼成に用いられる適切な非還元性ガスとしては、不活性ガスまたは酸化気体、例えばヘリウム、窒素、アルゴン、ネオン、窒素酸化物、酸素、空気、二酸化炭素など、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、焼成は窒素、酸素あるいは空気またはそれらの混合物の雰囲気下で行われる。
【0026】
パラジウムおよび金の塩の分解の度合いは、使用される温度、沈殿した塩、および沈殿した硫酸塩含有の二酸化チタンが焼成される時間の長さに依存し、揮発性の分解産物をモニターすることによって追跡できる。例えば、担体をパラジウムおよび金の炭酸塩で含浸した場合、発生した二酸化炭素(CO2)の量を測定することができる。
【0027】
焼成段階に引き続き、得られた生成物はパラジウムおよび金の塩を対応する金属単体に変えるために還元される。還元は還元剤の存在下で加熱することで行われる。適切な還元剤としては、アンモニア、一酸化炭素、水素、炭化水素、オレフィン、アルデヒド、アルコール、ヒドラジン、一級アミン、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸エステルなど、およびそれらの混合物が挙げられる。水素、エチレン、プロピレン、アルカリ性ヒドラジンおよびアルカリ性ホルムアルデヒドが好ましい還元剤であり、エチレンおよび水素が特に好ましい。
【0028】
還元に用いられる温度は常温から約600℃までの範囲である。好ましくは、還元温度の範囲は300℃〜600℃である。最も好ましくは、還元温度の範囲は450℃〜550℃である。還元によってパラジウム−金担持触媒が得られる。
【0029】
本発明は、本発明の方法によって製造されたパラジウム−金担持触媒を含む。好ましくは、パラジウム−金担持触媒はパラジウムを0.1重量%〜3重量%と、金を0.1重量%〜3重量%含み、パラジウムの金に対する重量比は5/1〜1/3の範囲である。 より好ましくは、パラジウム−金担持触媒はパラジウムを0.5重量%〜1.5重量%と、金を0.25重量%〜0.75重量%含み、パラジウムの金に対する重量比は2.5/1〜1/1.5の範囲である。
【0030】
本発明により製造されたパラジウム−金担持触媒は多くの用途を有する。例えば、部分酸化、水素化、カルボニル化、アンモニア合成、選択的水素化、アセチルオキシル化、触媒燃焼もしくは完全酸化、三元触媒作用、NOx除去、メタノール合成、過酸化水素合成、ヒドロホルミル化、アルキル化およびアルキル転移、酸化的カルボニル化、オレフィンと芳香族化合物とのカップリングおよびアセトンからのメチルイソブチルケトンの製造に用いることができる。
【0031】
本発明によって製造されたパラジウム−金担持触媒は、特に酢酸ビニルおよび酢酸アリルの製造にとって有用である。酢酸ビニルおよび酢酸アリルの製造については様々なプロセスが知られている。例えば、米国特許第3,743,607号および第3,775,342号では、パラジウム−金触媒を用いて酢酸ビニルを製造する方法が開示されている。
【0032】
酢酸ビニルおよび酢酸アリルの製造に用いる場合、パラジウム−金担持触媒は好ましくは酢酸カリウムのようなカリウム化合物で処理される。カリウム処理は、触媒を酢酸カリウム溶液と混合し、濾過し、処理された触媒を乾燥することによりなされる。
【0033】
一般的に、酢酸ビニルは、酢酸およびパラジウム−金担持触媒の存在下でエチレンを酸化することにより製造することができる。酢酸アリルは、同様の方法でエチレンの代わりにプロピレンを用いることで製造することができる。
【0034】
出願人は、驚くべきことに、本発明により製造された触媒が、高い触媒活性のみならず活性の高い安定性を与えることを見出した。既存のパラジウム−金触媒の1つの課題として、時間とともに触媒が失活するということがある。本発明はこの課題を解決するものである。
【0035】
以下の実施例は単に本発明を説明するものである。当業者は本発明の技術思想および特許請求の範囲の範囲内において、様々な変形があることを認識できるであろう。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
二酸化チタンの硫酸処理
二酸化チタン(20g、GP350、ミレニアムケミカルズ社製、チタンオキシクロライドの水溶液の加水分解によって製造されたもの)を過硫酸アンモニウムの0.05モル/l水溶液50mlと混合し、室温で少なくとも2時間攪拌する。スラリーを濾過し、固体を温度105℃のオーブン中で少なくとも16時間乾燥することにより、硫酸処理された二酸化チタンを得る。
【0037】
硫酸処理された二酸化チタンの焼成
硫酸処理された二酸化チタンを700℃で6時間焼成する。最終的な表面積は32.5m2/g、細孔容積は0.20ml/g、硫黄含有量は0.23重量%である。硫黄含有量は以下に示す方法で測定される。
【0038】
二酸化チタン試料(0.5g)を封印可能でマイクロ波加熱可能な容器中でフッ化水素酸(5ml)と混合する。混合物を加圧下で溶液になるまでマイクロ波加熱する。冷却後、脱イオン水で50mlに希釈する。測定はIRISイントレピッドII誘導結合プラズマ質量分析装置を用い、硫黄の百分率で報告される。
【0039】
含浸
NaAuCl4(0.194g)、Na2PdCl4(0.496g)、およびNaHCO3(0.510g)を水(20ml)に溶かす。溶液を前記焼成した二酸化チタン(10g)と混合してスラリーを形成する。スラリーを一晩放置し、金属化合物を二酸化チタンの表面に沈着させる。混合物を濾過する。固体を、水(20ml)と混合して再度濾過することにより洗浄する。その後、オーブン中で105℃で少なくとも16時間乾燥する。
【0040】
含浸した担体の焼成
前記含浸した二酸化チタンを空気流中の反応器中で200℃で3時間焼成し、沈殿した貴金属塩の10%以上が部分分解を受けるようにする。
【0041】
還元
前記焼成の後、反応器を窒素でパージし、次いで窒素中に5%水素の混合物を容器中に導入する。温度を500℃まで10℃/分で昇温する。温度は3時間この値に保つ。反応器を窒素でパージし、得られた触媒を窒素流中で室温にまで冷却する。冷却後、試料を洗浄することにより、硝酸銀溶液により検出される残存するいかなる塩化物をも除去し、次いでオーブン中で105℃で乾燥する。
【0042】
カリウム処理
前記で得られた触媒(5g)を過剰量の(>10ml)酢酸カリウム5重量%水溶液と室温で10分間接触させる。混合物を濾過し、カリウム処理された触媒をオーブン中で少なくとも4時間、105℃で乾燥する。
【0043】
酢酸ビニルの製造
熱勾配の影響を最小化するために、カリウム処理された触媒を1:9の比率で、不活性アルミナ担体と混合する。混合物(0.5g)を石英ガラス反応器中に入れる。温度を110℃まで上げた後、この物質を、大気圧で1時間あたりガス空間速度が13,200の、77%エチレン、11%ヘリウム、9%酸素および3%酢酸の供給組成のガスに暴露する。反応器からの流出物を質量分析計を用いて分析する。次いで温度を2℃/分の割合で110℃から160℃まで上昇させ、再び110℃まで冷却することを繰り返す。
【0044】
触媒の性能は、規定時間運転中の135℃において補間された速度を計算することにより比較され、110℃と160℃の間で採取されたデータから計算される。較正は既知の量の酢酸ビニルを噴射することによりなされる。結果を表1に挙げる。この触媒が高い活性を示すことが分かる。表1には運転中の最初の1時間と、6時間目に測定された触媒活性も挙げる。この結果は、反応条件への暴露が増えるほど触媒性が増大することを示す。
【0045】
【表1】

【0046】
(比較例2)
GP350酸化チタンを過硫酸アンモニウムで処理しない他は実施例1の一般的な方法を繰り返し行う。表1に示されるように、触媒活性は実施例1と比べて格段に劣り、また活性は最初の1時間から6時間目の間に衰えている。
【0047】
(実施例3)
二酸化チタン(DT51、ミレニアムケミカルズ社製)が硫酸塩前駆体を用いて製造されたものであり、この二酸化チタンを過硫酸アンモニウムで処理しない他は実施例1の一般的な方法を繰り返し行う。この二酸化チタンは硫黄を0.47重量%含む。二酸化チタンを700℃で焼成した後、硫黄含有量は0.14重量%まで減少する。表1に示されるように、この触媒は比較例2の触媒と比較すると活性の安定性が改善されていることが分かる。
【0048】
(実施例4)
二酸化チタンを0.05モル濃度の過硫酸アンモニウムで処理する他は実施例3の一般的な方法を繰り返し行う。表1に示されるように、この触媒は実施例3の触媒と比較すると活性が改善されていることが、また、比較例2の触媒と比較すると活性の安定性が改善されていることが分かる。
【0049】
【表2】

【0050】
(実施例5)
二酸化チタンDT51を様々な温度で焼成し(非焼成、700、800、または900℃)、含浸した担体も同様に様々な温度で焼成する(190℃または220℃)他は実施例3の一般的な方法を繰り返し行う。結果を表2に示す。含浸前および後の二酸化チタンの焼成がともに高い触媒活性および安定性を達成するために重要であることが示されている。
【0051】
(実施例6)
実施例3で製造した触媒を用いて酢酸アリルを製造する。ガスの供給組成を29%プロピレン、60%ヘリウム、7.7%酸素および3.3%酢酸とし、1時間あたりガス空間速度を12,400(ml/ml)/hrとする他は、実施例1における酢酸ビニル製造と同じ方法に従う。この触媒は6時間目の運転中に測定された4.48×10-3μmol/sの平均速度を有する。
【0052】
(実施例7)
過硫酸アンモニウム濃度を、0.025モル濃度の増分で0〜0.1モル濃度で変化させる他は実施例4の一般的な方法を繰り返し行う。結果を表3に示す。最適性能は過硫酸アンモニウムの濃度が0.05〜0.075モル濃度の間に存在しうることが示されている。
【0053】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の段階、
(a)二酸化チタン担体の硫酸処理;
(b)該硫酸処理された担体の焼成;
(c)該焼成した担体のパラジウム塩、金塩、およびアルカリ金属もしくはアンモニウム化合物による含浸;
(d)該含浸した担体の焼成;および
(e)段階(d)で焼成された担体の還元によるパラジウム−金担持触媒の形成;
を含む、パラジウム−金担持触媒の製造方法。
【請求項2】
前記硫酸処理が、二酸化チタンと、硫酸、過硫酸、それらの塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される硫酸化剤との反応により行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硫酸化剤が過硫酸アンモニウムである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記段階(b)の焼成が、600℃〜900℃の範囲内の温度で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記温度が650℃〜750℃の範囲内である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属もしくはアンモニウム化合物が、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、メタケイ酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アルカリ金属もしくはアンモニウム化合物が炭酸塩または重炭酸塩である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記パラジウムおよび金の塩が、塩化パラジウム、塩化亜パラジウム酸ナトリウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化金(III)、四塩化金酸、四塩化金酸ナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記段階(d)の焼成が、非還元性雰囲気で100℃〜600℃の範囲内の温度で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記非還元性雰囲気が、ヘリウム、窒素、アルゴン、ネオン、窒素酸化物、酸素、空気、二酸化炭素、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記焼成温度が100℃〜300℃の範囲内である請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記還元が水素または水素と不活性ガスの混合物中で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記還元が300℃〜600℃の範囲内の温度で行われる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記還元が450℃〜550℃の間の温度で行われる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記段階(e)のパラジウム−金担持触媒をカリウム塩で処理することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法により製造されたパラジウム−金担持触媒。
【請求項17】
酢酸と請求項16に記載のパラジウム−金担持触媒の存在下においてエチレンを酸化すること、を含む酢酸ビニルの製造方法。
【請求項18】
酢酸と請求項16に記載のパラジウム−金担持触媒の存在下においてプロピレンを酸化すること、を含む酢酸アリルの製造方法。
【請求項19】
下記の段階、
(a)硫酸根含有の二酸化チタン担体の焼成;
(b)該焼成した担体のパラジウム塩、金塩、およびアルカリ金属もしくはアンモニウム化合物による含浸;
(c)該含浸した担体の焼成;および
(d)段階(c)で焼成された担体の還元によるパラジウム−金担持触媒の形成;
を含む、パラジウム−金担持触媒の製造方法。
【請求項20】
前記パラジウム−金担持触媒をカリウム化合物で処理することをさらに含む請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2009−525174(P2009−525174A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553243(P2008−553243)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/000600
【国際公開番号】WO2007/094903
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(505341095)ライオンデル ケミカル テクノロジー、 エル.ピー. (61)
【氏名又は名称原語表記】LYONDELL CHEMICAL TECHNOLOGY, L.P.
【Fターム(参考)】