説明

パルスオキシメーターを使用した遠隔ケアシステム、その方法およびプログラム

【課題】簡易・安価に通知を受ける監視する側の自由度を向上すること。
【解決手段】パルスオキシメーター10は、処理装置20からの指示を受けて測定を行い、処理装置20は、測定結果より酸素飽和度(SpO2)の値が閾値以下となった場合、何らかの異常が発生したと判断し、通信装置30に対し通報指示を行い、通信装置30は、外部への通報を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液の色から、心拍毎に指先やその他の末梢組織に送り込まれる酸素飽和度(SpO2)を測定し監視を遠隔で行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パルスオキシメーターは、医療現場では以前から(1970年代〜)一般的によく使われてが、近年になり一般家庭で在宅医療として使われるようになってきた。
【0003】
その要因として、パルスオキシメーターが安価になり、一般家庭でも購入が可能となってきたこと、技術的に軽量小型化されてきたこと等があげられる。
【0004】
パルスオキシメーターの特徴としては、指をクリップで挟むことだけで、測定が可能であり、動脈血酸素分圧(Pao2)等と比べると測定コストが格段に安価である。
【0005】
ここで、従来の遠隔ケアシステムでは、一般ユーザに提供される普及型の場合、モーションセンサー(上に乗っているのもの動きを監視)により、ある一定時間(例えば20秒)動作が検知されない場合、何らかの問題が発生したと判断し通知を行っている。
【0006】
この場合、実際には問題は発生していないにも関わらず、ある一定時間単に動作がなった場合には誤検知となる。また、逆に発作・痙攣等により動作はあるものの、問題が発生している場合については、検知できないことになる。
【0007】
また、複数のセンサー等を駆使したシステムについては、精度は上がるものの、一般ユーザには高価過ぎるのが問題である。
【0008】
ここで、オキシメータが被検者の血中酸素濃度情報を測定し、室内無線中継装置に被検者の識別符号IDを付加して無線送信し、室内無線中継装置でリレー送信されてきた血中酸素濃度情報及び被検者識別符号を施設内監視装置が無線受信し、施設内監視装置は、受信した血中酸素濃度情報が閾値を越えている場合に、周囲に警報を発し、かつ、通信を通じてオキシメータによる被検者の監視側に通信を通じて通報することで、生体の血中酸素濃度遠隔監視通信システムにおいて、被検者に対する血中酸素濃度の測定の自由度、及び血中酸素濃度を測定する被検者での行動の自由度を得ることができる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−220052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の技術では、一般的なシステム構成として、子ユニットと親ユニットに別れ、子ユニットで検知した情報を親ユニットに送信する形となっており、通報範囲が限定されている。また、施設内で監視等するのではなく、外、場合によっては外出先でも通知を受けることは困難であった。
【0010】
本発明は、以上説明した問題点を解決するためになされたものである。その目的は、簡易・安価に通知を受ける監視する側の自由度を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、パルスオキシメーターは、処理装置からの指示を受けて測定を行い、
前記処理装置は、測定結果より酸素飽和度(SpO2)の値が閾値以下となった場合、何らかの異常が発生したと判断し、通信装置に対し通報指示を行い、
通信装置は、外部への通報を行うパルスオキシメーターを使用した遠隔ケアシステム。を提供する。
【0012】
また、本発明は、パルスオキシメーターは、測定を行い、測定結果より酸素飽和度(SpO2)の値が閾値以下となった場合、何らかの異常が発生したと判断し、通信装置に対し通報指示を行い、
通信装置は、外部への通報を行うパルスオキシメーターを使用した遠隔ケアシステムを提供する。
【0013】
また、本発明は、パルスオキシメーターは、測定を行い、測定結果より酸素飽和度(SpO2)の値が閾値以下となった場合、何らかの異常が発生したと判断し、通信手段により、外部への通報を行うパルスオキシメーターを使用した遠隔ケアシステムを提供する。
【0014】
また、本発明は、測定を行うステップと、
測定結果より酸素飽和度(SpO2)の値が閾値以下となった場合、何らかの異常が発生したと判断するステップと、
外部への通報を行うステップと
を有するパルスオキシメーターを使用した遠隔ケア方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易・安価に通知を受ける監視する側の自由度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1を参照すると、本実施の形態におけるパルスオキシメーターを使用した遠隔ケアシステムは、プログラム制御により動作するパルスオキシメーター10と、処理装置20と、通信装置30から構成されている。
【0018】
処理装置20は、パルスオキシメーター測定結果収集手段21と、パルスオキシメーター測定結果判断手段22、通報手段23とを含む。
【0019】
これらの手段はそれぞれ概略つぎのように動作する。
パルスオキシメーター10は、処理装置20からの指示を受け、測定を行う。
【0020】
パルスオキシメーター測定結果収集手段21は、パルスオキシメーターによる測定を一定間隔で実施するように指示し、その結果を随時収集する。
【0021】
パルスオキシメーター測定結果判断手段22は、測定結果より酸素飽和度(SpO2)の値が閾値(例えば90%)以下となった場合、何らかの異常が発生したと判断する。
【0022】
通報手段手段23は、パルスオキシメーター測定結果判断22により異常が発生したと判断された場合、通信装置に対し通報指示を行う。
【0023】
通信装置30は、処理装置20からの通報指示により、電話あるいはメール等により外部への通報を行う。
【0024】
なお、通信装置30は、外部に通知が可能な手段であれば限定はされない。例えば、携帯電話機、固定電話回線、インターネット等であってもよい。
【0025】
次に、図1及び図2のフローチャートを参照して本実施の形態の動作について詳細に説明する。
【0026】
まず、図2を参照すると、パルスオキシメーター測定指示(ステップA1)が処理装置20から、パルスオキシメーターに送られる。
【0027】
次に、パルスオキシメーター測定実施(ステップA2)がなされ、測定が行われる。
【0028】
次に、パルスオキシメーター測定結果通知(ステップA3)が行われ、測定結果がパルスオキシメーター10から処理装置20に送られる。
【0029】
次に、パルスオキシメーター測定結果受信(ステップA4)が行われ、処理装置20は、パルスオキシメーター10から測定結果を受信する。
【0030】
次に、測定結果判定(ステップA5)が行われ、処理装置20は、測定結果が「正常値」であるか、「異常値」であるか判定を行う。詳細は以下で説明する。
【0031】
「正常値」であった場合、一定間隔を置いて、パルスオキシメーター測定指示(ステップA1)を実施する。一方、「異常値」であった場合、ダイヤル通報あるいは、メール通報(ステップA6)が行われ、通信装置30に通報の支持が行われる。
【0032】
最後に、通報実施(ステップA7)が行われ、外部に通報が行われる。
【0033】
次に、図3を参照して処理装置20の測定/通知ロジックを詳細に説明する。
まず、パルスオキシメーター10に測定指示を出し(ステップB1)、パルスオキシメーター10で実施された測定の結果を受信する(ステップB2)。
【0034】
次に、測定結果がY(%)以上かつ100(%)以下であるかを判定する(ステップB3)。なお、測定不能時や100(%)以上も不正であると判定する。
【0035】
判定結果に応じて以上通知を行うか(ステップB4)、正常通知をするかの判定(ステップB5)へ移行する。
【0036】
前回通知からの時間がZ(分)を経過していれば正常通知を行う(ステップB6)。
【0037】
そして、次回測定指示を出すまでX(分)待機する(ステップB7)。
【0038】
上記の本実施の形態によれば、パルスオキシメーターおよび外部とのインターフェースを持った通信装置というように構成されているため、生命維持に最も必要な機能に問題が発生したことを検知し外部に通報ができる。
【0039】
また、目に見えた自覚症状がない場合でも異常が検知できる。その理由は、パルスオキシメーターを使用することにより、体内の酸素量を測定する為である。
【0040】
また、付き添い者等が外出できる。乳幼児や寝たきり老人を見ている者が、数分でも外出することは心配であるが、外出ができないのも困る場合が多く、その為外出先に通報ができる効果は大きい。
【0041】
次に、本発明の他の実施の形態の構成について説明する。処理装置20をチップ等実現し、パルスオキシメーター10に組み込むことも可能である。
【0042】
また、処理装置20、通信装置30共にチップ等で実現し、パルスオキシメーター10に組み込むことも可能である。
【0043】
なお、上述する実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、パルスオキシメーター10、処理装置20および通信装置30の機能を実現するためのプログラムを各装置に読込ませて実行することにより各装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0044】
本発明は、一般家庭への普及を目的としているが、老人ホーム、医療施設、介護ヘルパー等の分野での使用にも適用できる。また、健康な方が健康管理用として使用することも可能であり、現在は健康ではあるが一人暮らし等の場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態のシステム構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態の処理動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態の処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
10 パルスオキシメーター
20 処理装置
30 通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスオキシメーターは、処理装置からの指示を受けて測定を行い、
前記処理装置は、測定結果より酸素飽和度(SpO2)の値が閾値以下となった場合、何らかの異常が発生したと判断し、通信装置に対し通報指示を行い、
通信装置は、外部への通報を行うことを特徴とするパルスオキシメーターを使用した遠隔ケアシステム。
【請求項2】
パルスオキシメーターは、測定を行い、測定結果より酸素飽和度(SpO2)の値が閾値以下となった場合、何らかの異常が発生したと判断し、通信装置に対し通報指示を行い、
通信装置は、外部への通報を行うことを特徴とするパルスオキシメーターを使用した遠隔ケアシステム。
【請求項3】
パルスオキシメーターは、測定を行い、測定結果より酸素飽和度(SpO2)の値が閾値以下となった場合、何らかの異常が発生したと判断し、通信手段により、外部への通報を行うことを特徴とするパルスオキシメーターを使用した遠隔ケアシステム。
【請求項4】
測定を行うステップと、
測定結果より酸素飽和度(SpO2)の値が閾値以下となった場合、何らかの異常が発生したと判断するステップと、
外部への通報を行うステップと、
を有することを特徴とするパルスオキシメーターを使用した遠隔ケア方法。
【請求項5】
コンピュータシステムに請求項1記載の機能を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
コンピュータシステムに請求項2記載の機能を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
コンピュータシステムに請求項3記載の機能を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−188104(P2008−188104A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23137(P2007−23137)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】