説明

パルス信号生成装置、搬送装置、画像形成装置及びパルス生成方法

【課題】装置個体差に起因して周期が正常であるにも関わらず周期異常と検出される事態を低減できるうえ、周期異常発生時には適切な周期のパルスを生成できるパルス信号生成装置、搬送装置、画像形成装置及びパルス信号生成方法を提供する。
【解決手段】リニアエンコーダ信号ESのパルス周期を周期計測部44が計測し、第2比較器51は、出力信号周期記憶部47が格納する前の計測周期結果である記憶周期が上限と下限との間の適正周期範囲を逸脱すると周期異常として検出する。この下限と上限は、リニアエンコーダ信号平均周期算出部49が算出した平均周期に定数Bmin又はBmaxを乗算することで上限・下限値算出部50が算出する。正常周期検出時は出力信号周期記憶部47に格納された計測周期と同じ時間の周期となる印字基準信号PTSが生成され、周期異常検出時は、平均周期と同じ時間の周期となる印字基準信号PTSを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダの出力パルスの周期異常を検出して周期の修復されたパルスを生成するパルス信号生成装置、搬送装置、画像形成装置及びパルス信号生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置においては、搬送方向に搬送される用紙(ターゲット)に対し記録ヘッドが印刷を施す構成となっている。この場合、用紙搬送位置に応じた適切なタイミングでインク滴を吐出する必要があるため、用紙搬送速度に同期してエンコーダから出力される出力信号(パルス信号)を基に用紙の搬送速度に同期して印字基準信号を生成し、印字基準信号に基づき吐出タイミングの制御を行っている。
【0003】
例えば特許文献1には、用紙搬送手段として搬送ベルトを用いたプリンタ(画像形成装置)が開示されている。搬送ベルト上にはその速度及び位置を検出するためのマークが設けられており、エンコーダでマークを読み取り、そのエンコーダ信号に基づいてインク吐出を行い、用紙上に文字や画像を印刷するようになっている。
【0004】
特許文献1のように搬送ベルトによる用紙の搬送手段を用いたプリンタでは、ベルト移動量と記録用紙移動量とが同じであると仮定し、ベルト移動量から記録紙移動量を検出して所望ピッチ毎にインク滴吐出を行っている。インク滴吐出は、印字ピッチと同間隔のパルスを有するエンコーダ信号に同期して行われるため、搬送手段に速度変動がある場合でも、着弾位置ズレを制御することができる高画質印刷が可能となる。しかし、特許文献1の方式では、エンコーダ信号が等ピッチで連続的に出力される必要があり、以下の課題があった。
【0005】
記録用紙の搬送手段(搬送ベルト)の周長が印字ピッチの整数倍になっていない場合、リニアエンコーダの出力信号に不連続部分が発生し、画像劣化が発生する。また、搬送ベルトに配設されたリニアエンコーダにインクミストや紙粉が付着したり、リニアエンコーダが傷付いたりした場合は、エンコーダ信号にパルスの欠落が発生し、この場合も画像劣化をもたらす。
【0006】
この種の問題を解決する装置が、例えば特許文献2及び特許文献3に開示されている。
特許文献2に記載されたプリンタは、リニアエンコーダを用いてモータ速度制御をPLLによって行うものであり、リニアエンコーダの不連続検知手段を有し、不連続検知手段の検知結果に基づき速度・位置制御手段を変更する構成であった。不連続部分では、連続部分で計測された出力信号の出力間隔平均値を使用する。また、不連続部分が長い場合の対策としてセンサ二つを用いた場合の制御方法が記載されており、長期間ベルト速度を検出できないことが回避されるように対策されている。
【0007】
特許文献3には、マークを検出する2個のセンサを検出対象位置が異なる位置となるように設け、一方のセンサの出力信号に基づき搬送ベルトの継ぎ目などのマークの不連続部分や、ゴミや傷等によるパルスの欠落が検出されたときには、ベルト搬送速度を一定に制御するためのモータ制御に使用する出力信号を他方のセンサのものに切り換える構成が開示されている。また、センサの切換え時の信号の位相差を抑えるために、計測した周期を分割したり、同一クロックを用いたりして、補間処理部が高分解能信号を生成して信号合わせ誤差(位相差)を小さくする構成が採用されていた。また、特許文献2、3には、センサ信号(エンコーダ信号)の周期をベースクロックでカウントし、センサ信号のパルス周期が一定の閾値以上となった場合に、マークの不連続部分(エンコーダ信号のパルスの欠落)であると判定する方法が開示されている。
【0008】
また、特許文献4には、ベルト上に配設したリニアエンコーダを用いてモータ速度制御を行う方法が開示されている。この方法によれば、エンコーダマークの移動速度を検出し、移動速度に基づいて予め設定した目標速度に到達するベルトの制御量を演算して取得し、次のエンコーダマークまでの間、この制御量でベルトの速度を制御する手段を備える。エンコーダマークに汚れ、傷等の不鮮明があったときには、制御量の演算・取得は行わず前のマークでの制御量を維持し、iiされた制御量を用いて速度制御を行う。
【0009】
さらに特許文献4において、エンコーダマークの不鮮明等のエラー検知を行う位置ずれ制御装置について記述されている。位置ずれ制御装置は、以下の条件式(a)を用いてエラー検知を行っている。
【0010】
0.99×To≦t≦1.01×To …(a)
(但し、t:検出信号周期、To:基準検出時間To=Do/Vo、Do:エンコーダマーク間隔、Vo:基準移動速度)
【特許文献1】特開平11−245383号公報
【特許文献2】特開2003−280484号公報(例えば明細書段落[0023]〜[0061]、図1、図9、図10〜図22等)
【特許文献3】特開2005−350195号公報(例えば明細書段落[0041]〜[0053]等、図6〜図11等)
【特許文献4】特開2004−21236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2では、搬送ベルトが一定速度になるようにモータ速度制御を行うことで、印字精度を向上させる方法を取っているため、モータ制御用のコントローラが複雑となり、また制御が振動的になる虞があった。また、特許文献3についても、搬送ベルトが一定速度になるようにモータ速度制御を行うことで、印字精度を向上させる方法であるため、制御は発散しやすく、装置によって制御ゲイン等を調整する必要があるなどの問題がある。
【0012】
また、特許文献4における条件式(a)は、速度制御を行う場合にのみ有効な手段であり、特許文献1のようにエンコーダ信号に同期して印字を行う場合には、基準検出時間To(周期エラー検知用の閾値)が固定値になる。この場合、装置個体差によってはベルトの速度分布中心値が異なり、その速度分布中心値が想定される速度分布中心値に対し上下にシフトした装置においては、正常な信号であっても、検出信号周期tが下限(=0.99・To)又は上限(=1.01・To)の閾値を超えてエラー検知されてしまう問題があった。もちろん、これを防止するため、工場出荷時に装置毎に速度中心値を計算しておく方法が考えられるが、コスト増加や経時変化に対応できないという欠点がある。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置個体差に起因して周期が正常であるにも関わらず周期異常と検出される事態を低減できるうえ、周期異常発生時には適切な周期のパルスを生成できるパルス信号生成装置、搬送装置、画像形成装置及びパルス信号生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、エンコーダ信号生成装置であって、検出対象の速度に応じた周期のパルスを出力するエンコーダと、前記パルスの周期を計測する計測手段と、前記計測された周期を記憶する記憶手段と、パルス複数個分の周期計測結果に基づき統計学上妥当と推定される妥当周期を演算する演算手段と、前記計測手段の計測周期が前記妥当周期から規定される周期異常条件を満たす場合に周期異常として検出する検出手段と、前記周期異常が検出されない場合は前記計測周期に基づいてパルスを生成し、一方、前記周期異常が検出された場合は前記妥当周期に基づいてパルスを生成するパルス生成手段とを備えたことを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、計測手段がエンコーダの出力するパルスの周期を計測し、その計測周期が記憶手段に記憶される。演算手段は、パルス複数回分の計測周期に基づき統計学上妥当と推定される妥当周期を演算する。そして、計測手段の計測周期が、妥当周期から規定される周期異常条件を満たす場合に検出手段によって周期異常として検出される。周期異常が検出されなかった場合は、パルス生成手段によって記憶手段に記憶された計測周期に基づきパルスが生成される。一方、周期異常が検出されれば、パルス生成手段によって妥当周期に基づきパルスが生成される。このとき、あくまで計測周期時間毎にパルスを出力することによってパルスを連結するようにパルスを生成するので、周期の参照先が切り換わっても、急激に出力信号の周期が短くなることや長くなること等の問題は発生しない。
【0016】
ここで、検出手段が周期異常を検出する際に用いられる周期異常条件は、パルス複数個分の計測周期から統計学上導かれた妥当周期から、装置ごとに固有の条件として規定される。この結果、装置間で共通の周期異常条件が設定された場合に起こり得た、その装置にとって正常なパルス周期であるにも関わらず周期異常として検出される事態を回避できる。従って、装置個体差に起因して周期が正常であるにも関わらず周期異常と検出される事態を低減できるうえ、その装置にとって本当に周期異常が発生したときに適切な周期のパルスを生成することができる。
【0017】
本発明のパルス信号生成装置においては、前記検出手段は、前記計測周期がパルス抜け閾値を超えた場合に前記周期異常としてパルス抜けを検出するパルス抜け検出手段を含むことが好ましい。
【0018】
この発明によれば、エンコーダのパルス抜け(パルス欠落)が発生した場合、計測周期がパルス抜け閾値を超えることでパルス抜けとして検出される。パルス抜け時もパルス生成手段が妥当周期のパルスを生成するので、パルス抜けのないパルス信号を出力できる。
【0019】
さらに本発明のパルス信号生成装置においては、前記演算手段は、前記周期異常と検出された計測周期を前記妥当周期の算出に用いない異常周期排除手段を備えることが好ましい。
【0020】
この発明によれば、周期異常と検出された計測周期は異常周期排除手段によって排除されて、妥当周期の算出に用いられない。よって、信頼性の高い妥当周期が確保され、周期異常の検出精度を高く確保できるうえ、周期異常発生時に適切な周期でパルスを生成できる。
【0021】
また、本発明のパルス信号生成装置においては、前記演算手段は、前回の妥当周期と今回の計測周期とデータ個数Qとの三データを含むQ個未満の所定個数のデータを用いて今回の妥当周期を算出可能であるとともに、パルスQ個分の計測周期に基づき今回の妥当周期を算出するための統計学上の計算式と等価な演算式を用いて演算することが好ましい。なお、「今回の計測周期」とは、必ずしも計測手段の最新の計測結果を指すものではなく、あくまで今回の妥当周期を算出するために使用する計測周期を指すものであり、計測手段の前回又は前々回の計測結果である場合もありうる。
【0022】
この発明によれば、前回の妥当周期と今回の計測周期との二データを用いて、パルス三回分以上の計測周期から算出されるに匹敵する今回の妥当周期が演算される。よって、今回の妥当周期を演算するために保持(記憶)しておくべきデータ量が少なく済み、例えばメモリ(RAM、不揮発性メモリ、レジスタ等を含む)の容量を節約できる。
【0023】
また、本発明のエンコーダ信号生成装置においては、前記エンコーダは、前記検出対象の移動方向に沿って設けられたスケール部と、該スケール部の異なる位置を検出して前記速度に応じた周期をもつパルスをそれぞれ出力する複数のセンサとを備え、前記検出手段は、前記センサごとに前記周期異常を検出可能に各センサに対応して複数備えられ、前記パルス生成手段が計測周期を採用する側のセンサに周期異常が検出されると、計測周期を採用するセンサを周期異常が検出されていない他のセンサに切り換える切換手段を備え、前記パルス生成手段は、前記検出手段が前記複数のセンサのすべてで周期異常を検出した場合は、前記妥当周期に基づきパルスを生成することが好ましい。
【0024】
この発明によれば、パルス生成手段が計測周期を採用する側のセンサに周期異常が検出されると、切換手段によって計測周期を採用するセンサが周期異常の検出されていない他のセンサに切り換えられる。そして、検出手段が複数のセンサのすべてで周期異常を検出した場合に、はじめて妥当周期に基づくパルスが生成される。このため、周期異常検出時における妥当周期によるパルス生成頻度が低減され、なるべくセンサの計測周期に基づく正確なパルスが生成できるので、より信頼性の高いパルス信号生成装置を提供できる。
【0025】
本発明は、上記発明のパルス信号生成装置と、前記検出対象として搬送手段とを備えた搬送装置であって、前記パルス信号生成装置を構成する前記エンコーダが前記搬送手段の搬送速度に応じた周期のパルスを出力するものであることを要旨とする。
【0026】
この発明によれば、搬送手段の搬送速度に応じた周期をもつパルスを周期異常がほとんどない状態で生成しうる搬送装置を提供できる。
また、本発明は、上記発明の搬送装置と、前記搬送手段により搬送されるターゲットに記録を施して画像を形成する記録手段とを備えた画像形成装置であって、前記パルス生成手段により生成されたパルスに基づいて前記記録手段の記録タイミングパルスを生成する記録用パルス生成手段を備えたことを要旨とする。
【0027】
この発明によれば、記録用パルス生成手段により、搬送手段の搬送速度に応じた正確な周期をもつパルスに基づき記録タイミングパルスが生成されるので、搬送手段により搬送されるターゲットに画像を正確に記録できる。
【0028】
さらに本発明は、エンコーダが出力するパルスの周期を計測する計測ステップと、前記計測された周期を記憶する記憶ステップと、パルス複数回分の周期計測結果に基づき妥当周期を演算する演算ステップと、前記計測ステップにおける計測周期が前記妥当周期から規定される周期異常条件を満たす場合に周期異常として検出する検出ステップと、前記周期異常が検出されない場合は前記計測周期に基づいてパルスを生成し、一方、前記周期異常が検出された場合は前記妥当周期に基づいてパルスを生成するパルス生成ステップとを備えたことを要旨とする。この発明によれば、上記パルス信号生成装置の発明と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(第一実施形態)
以下、本発明を具体化した第一実施形態を図1〜図11に従って説明する。
図1は、インクジェット式記録装置の模式側面図を示し、図2は、その模式平面図を示す。なお、図2においては記録ヘッドなどを省略している。
【0030】
図1及び図2に示すように、画像形成装置としてのインクジェット式記録装置(以下、単にプリンタ11という)は、記録紙Sを搬送するための搬送装置としてベルト搬送装置12を備える。ベルト搬送装置12は、用紙搬送方向下流側(図1、図2では左側)に設けられた駆動ローラ13と、用紙搬送方向上流側に設けられた従動ローラ14と、駆動ローラ13と従動ローラ14間の略中間位置かつやや下側(図2参照)に配置されたテンションローラ15と、各ローラ13〜15に渡って巻き掛けられた無端状の搬送ベルト16とを有している。
【0031】
図2に示すように、駆動ローラ13には電動モータ17の出力軸が直接又は減速機構(図示省略)を介して動力伝達可能に連結されている。電動モータ17が正転駆動されると、駆動ローラ13が回転駆動し、搬送ベルト16が記録紙Sを上流側から下流側へ搬送可能な方向へ回転する。
【0032】
ベルト搬送装置12の上流側には給紙部18が設けられ、給紙部18に積載された記録紙Sは給紙ローラ19により一枚ずつ給送される。給紙部18とベルト搬送装置12との間には、ゲートローラ20が設けられ、記録紙Sはゲートローラ20の回転により搬送ベルト16上へ給送される。なお、ゲートローラ20は、記録紙Sをローラ面に突き当てることで記録紙Sのスキューを補正し、またゲートローラ20の駆動開始タイミングを図ることで、記録紙Sを搬送ベルト16上の目標位置に載せるようにタイミングを合わせて記録紙Sを送り出す。
【0033】
従動ローラ14の下側には、帯電ローラ21がバネ22により従動ローラ14側へ付勢されて搬送ベルト16に接触して転動可能な状態に配置されている。帯電ローラ21は電源23に接続されて搬送ベルト16を帯電させることが可能であり、搬送ベルト16上に記録紙Sが静電吸着されるようになっている。なお、記録紙Sのベルト吸着方式は、静電吸着方式に限定されず、例えば搬送ベルト16上に形成された吸引孔から負圧により吸引気流を発生させて記録紙Sを吸着する負圧吸着方式も採用できる。なお、ベルト搬送装置12の下流側には、搬送ベルト16上からの印刷後の記録紙Sの排出先となる排紙部24が設けられている。
【0034】
搬送ベルト16の搬送方向中間位置上方には、長尺状をなすラインヘッド方式の記録ヘッド25が搬送ベルト16の幅方向と各々の長手方向が平行となる向きで搬送方向に沿って複数配置されている。記録ヘッド25は、プリンタ11が印刷できる最大幅の記録紙Sの幅方向全域より少し広い範囲に渡り多数のノズルが一定のノズルピッチで配列されてなるノズル列を下面(ノズル形成面)に複数列有しており、用紙搬送速度に合わせたタイミングでノズルからインク滴を順次噴射することで、搬送中の記録紙Sに画像等の印刷が行える。本例では、各記録ヘッド25はインク供給チューブを通じて図示しないインクカートリッジと接続されており、それぞれ対応するインクカートリッジから供給されたインクを吐出する。本例では、各記録ヘッド25は、上流側(図1における右側)から順に、黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色に対応するインク滴をそれぞれ噴射する。
【0035】
図2に示すように、搬送ベルト16の上面側縁部には、搬送方向に沿ってスケール部としての磁気リニアスケール26が搬送ベルト16の全周に渡って設けられている。磁気リニアスケール26は、搬送ベルト16の側縁部に形成された帯状の磁気記録層に一定ピッチで磁気パターンを記録して構成されている。磁気リニアスケール26の上側(図2では紙面手前側)近接位置には、磁気リニアスケール26上に記録された磁気パターンを再生するためのセンサとしての磁気センサ27が設けられている。磁気リニアスケール26と磁気センサ27とにより磁気式リニアエンコーダ(以下、単にリニアエンコーダ28という)が構成されている。また、プリンタ11には制御手段としてのコントローラ30が設けられている。コントローラ30は、電動モータ17(図2に示す)を駆動制御するとともに、磁気センサ27から入力したリニアエンコーダ信号ESを基に内部回路で生成した印字基準信号PTS(噴射タイミング信号)(図9、図10参照)に基づき用紙搬送速度(用紙搬送位置)に合わせた適切なタイミングでインク滴の噴射制御を行う。
【0036】
図3は、磁気リニアスケールの着磁パターンの一部を示す模式図である。図3に示すように、磁気リニアスケール26上には、搬送ベルト16(記録紙Sも同様)の位置を検出するために、一定ピッチ(着磁ピッチP)で規則正しくN極とS極が交互に並んで着磁された着磁パターンが形成されている。磁気リニアスケール26の被検出要素(磁極N・S)の配列周期である着磁ピッチPは、プリンタ11の印刷時におけるベルト搬送速度と印刷解像度とから設定されており、例えば35μm(解像度720dpiの場合)や70μm(解像度360dpiの場合)程度の値である。
【0037】
図4及び図5は、磁気リニアスケールの着磁装置を説明する模式図である。図4は着磁装置の模式側面図、図5は着磁装置の模式平面図である。
着磁装置31は、プリンタ11のベルト搬送装置12のものとほぼ同じ構成の駆動ローラ32と従動ローラ33とテンションローラ34とを備える。搬送ベルト16には、用紙搬送経路にあたらない側縁部に一定幅の磁性層26Aが塗布等の手法で形成されている。この搬送ベルト16を各ローラ32〜34に巻き掛けるように装着する。
【0038】
図5に示すように、駆動ローラ32には電動モータ35(例えばDCモータ)が直接又は減速機構を介して動力伝達可能な状態で連結されている。また、従動ローラ33には、高分解能(例えば720万パルス/rev)のロータリエンコーダ36が取り付けられている。コントローラ37は、ロータリエンコーダ36からの回転角度に同期したエンコーダパルスを入力し、このエンコーダパルスに基づいて搬送ベルト16が正確に一定速度で回転駆動するように電動モータ35を駆動制御する。
【0039】
この着磁装置31において、搬送ベルト16の磁性層26Aと対応する位置には、図4に示す書込み磁気ヘッド38が磁性層26Aに軽く接触する状態に設けられている。なお、書込み磁気ヘッド38としては、例えばGMR(Giant Magneto Resistive Effect)センサやMR(Magneto Resistive Effect)センサなどの多値出力可能な磁気センサを使用している。その他、ホール素子やMI(磁気インピーダンス)素子等を使用してもよい。
【0040】
書込み磁気ヘッド38は、コントローラ37内の書込み制御回路(図示せず)に接続されている。この書込み制御回路は、ロータリエンコーダ36からのエンコーダパルスを例えば分周した分周信号により、書込み磁気ヘッド38内のコイルの電流方向を変化させ、磁性層26Aに磁極Nと磁極Sとが一定の着磁ピッチPで磁化反転された着磁パターンを書き込む。こうして所定の着磁パターンが書き込まれた磁気リニアスケール26を側端部に有する搬送ベルト16が、プリンタ11の各ローラ13〜15に巻き掛けられる。
【0041】
なお、搬送ベルト16は、所定長さの一枚の帯状ゴムの両端部を接合して形成されており、継ぎ目がある。継ぎ目部分に段差など形状的欠陥があったり、紙粉やインクミストが磁気リニアスケール26に付着すると、リニアエンコーダ28を構成する磁気センサ27の出力パルスの欠落(パルス抜け)が発生する。また、プリンタ11の装置個体差によって搬送ベルト16の速度分布中心値(ベルト平均速度)がプリンタ11ごとに異なるので、リニアエンコーダ28から出力されるパルスの周期分布中心値(平均パルス周期)がプリンタ11ごとに異なる。また、ローラ13,14等の偏心量やベルト厚み等の偏りなどが、搬送ベルト16の速度のばらつきを発生させ、リニアエンコーダ28の出力パルスの周期のばらつきを生じさせる原因となる。
【0042】
図6はコントローラ30内に設けられた印字基準信号生成装置を示す。また、図9は印字基準信号生成装置における信号タイミングチャートを示す。なお、本実施形態の印字基準信号生成装置は、リニアエンコーダ28がセンサ1個の場合の例である。以下、図6に従って、必要に応じて図9及び図10を参照しつつ説明する。
【0043】
パルス信号生成装置としての印字基準信号生成装置41は、リニアエンコーダ28、クロック回路42、及び印字基準信号生成回路43とを備える。印字基準信号生成回路43は、リニアエンコーダ28からのリニアエンコーダ信号ES(エンコーダパルス)と、クロック回路42からの基準クロック信号CLとに基づき印字基準信号PTSを生成して記録ヘッド25へ出力する。
【0044】
記録ヘッド25内では、ヘッド駆動回路がノズル毎に設けられた吐出駆動素子(図示せず)を印字データに基づき印字基準信号PTSのタイミングに合わせて駆動し、駆動された吐出駆動素子に対応するノズルからインク滴が噴射される。なお、吐出駆動素子としては、インクジェット方式に用いられる圧電振動素子、静電駆動素子、ヒータ等を採用できる。
【0045】
図6に示すように、印字基準信号生成回路43は、計測手段としてのリニアエンコーダ信号周期計測部(以下、「周期計測部44」という)、記憶手段を構成するリニアエンコーダ信号周期記憶部45、検出手段としてのパルス抜け検出器46(比較器)、記憶手段を構成する出力信号周期記憶部47、第1比較器48、演算手段としてのリニアエンコーダ信号平均周期算出部(以下、「平均周期算出部49」という)、上限・下限値算出部50、第2比較器51、出力開始トリガカウンタ52及び出力信号生成部53等を備える。
【0046】
周期計測部44は、リニアエンコーダ28からのリニアエンコーダ信号ESと、クロック回路42からの基準クロック信号CLとを入力し、リニアエンコーダ信号ESの一のパルスの立ち上がりから次パルスの立ち上がりまでの間に入力される基準クロック信号CLのパルス数を計数することで、リニアエンコーダ信号ESのパルス周期を計測する。この周期計測結果はリニアエンコーダ信号周期記憶部45に記憶される。なお、周期計測部44がパルス周期を計測する処理ステップが、計測ステップに相当する。
【0047】
パルス抜け検出器46は、リニアエンコーダ信号ESがノット回路55で論理否定された反転信号をイネーブル信号としているため、リニアエンコーダ信号ESがLowレベルの場合にのみ動作する。パルス抜け検出器46は、周期計測部44が今回計測した計測周期と、リニアエンコーダ信号周期記憶部45から入力した前回の計測周期(記憶周期)とに基づき以下の式(1)で示される条件式が成立するか否かを比較判定する。
計測周期Tnew>記憶周期Told×検出設定値B … (1)
ここで、検出設定値Bは、パルスが現れない期間が、前回の計測周期Told(記憶周期)の何倍になったらパルス抜け(パルス欠落)であると判定するかの倍率を決めている設定値である。検出設定値Bは、例えば1.3〜2の範囲内の値に設定されている。パルス抜け検出器46は、上記式(1)で示された条件式Tnew>Told×Bを満たしたパルス抜け検出時にHiレベルとなり、パル抜け非検出時にLowレベルとなるパルス抜け検出信号PLSを出力する。なお、周期計測部44は、クロックカウントアップ毎にパルス抜け検出器46に周期計測結果を送信するため、パルス抜け検出器46ではリアルタイムで比較演算が行われる。
【0048】
オア回路56は、パルス抜け検出器46から入力されたパルス抜け検出信号とリニアエンコーダ信号ESとの論理和演算結果をラッチ信号LAT1としてリニアエンコーダ信号周期記憶部45に出力する。リニアエンコーダ信号周期記憶部45には、オア回路56から入力されたラッチ信号LAT1の立ち上がりのタイミングで、周期計測部44の周期計測結果がラッチされる(図9参照)。リニアエンコーダ信号周期記憶部45には、パルス抜けが無い場合のリニアエンコーダ信号周期及びパルス抜けがある場合のパルス抜け検出時点までの計測周期Terrorを格納することが可能となっている(図9参照)。
【0049】
また、オア回路56から出力されたラッチ信号LAT1がノット回路57で論理否定された結果が、ラッチ信号LAT2として出力信号周期記憶部47及び平均周期算出部49へ入力される。このラッチ信号LAT2は、ラッチ信号LAT1から半周期位相が遅れた状態で立ち上がるため、出力信号周期記憶部47にはリニアエンコーダ信号周期記憶部45に比べ半周期遅れで周期計測結果(出力信号周期)がラッチされる。なお、出力信号周期記憶部47が出力信号周期(周期計測結果)を記憶する処理ステップが、記憶ステップに相当する。
【0050】
リニアエンコーダ信号周期記憶部45に記憶された計測周期結果(記憶周期)が第1比較器48及び平均周期算出部49に送られる。第1比較器48は、上限・下限値算出部50で算出された上限・下限値を用いて、記憶周期が適正周期範囲に収まっているか否かを比較判定する。記憶周期が適正周期範囲内に収まっている場合、第1比較器48はHiレベルのイネーブル信号を平均周期算出部49へ出力する。平均周期算出部49はラッチ信号LAT2に同期して適正周期範囲の記憶周期のみ用いて平均周期(パルス周期平均値)を算出する。算出された平均周期は上限・下限値算出部50に送信され、上限・下限値算出部50は平均周期の±A%を上限・下限値として算出する。そして、上限・下限値算出部50が算出した上限・下限値が第1比較器48及び第2比較器51に送られ、比較判定処理で使用される条件式における上限・下限値として設定される。なお、第1比較器48は初期値としてHiを出力するため、リニアエンコーダ信号周期記憶部45から最初に送信された周期計測結果は、比較されることなく平均周期算出及び上下限値算出に使用される。
【0051】
平均周期算出部49は、リニアエンコーダ信号周期記憶部45に記憶された2パルス前の周期計測結果(今回(n回目)の計測周期としての記憶周期Tn)を図10に示すようにパルス周期平均値算出用データとして用い、以下の式(2)に基づいて、平均周期(パルス周期平均値)Av(n)を算出する。
Av(n)=(Av(n-1)×(Q−1)+Tn)/Q … (2)
ここで、Av(n)は今回(n回目)の平均周期、Av(n-1)は前回(n-1回目)の平均周期、Qは平均するデータ個数(計測周期個数)である。平均周期算出部49は、平均周期の算出に使用する過去のデータを格納する格納部(例えばレジスタ)を備え、その格納部には前回(n-1回目)の平均周期Av(n-1)とデータ個数Qとが記憶される。例えばデータ個数Qは最大「16」「64」「128」「256」等の数値であるが、前回の平均周期Av(n-1)とデータ個数Qとを保存できる格納領域を用意するだけで、計測周期データQ個分を平均したにほぼ等しい平均周期Av(n)を算出することが可能となっている。平均周期算出部49が算出した平均周期Av(n)は、上限・下限値算出部50に送信される。なお、本例は、前回の妥当周期と今回の計測周期とデータ個数Q(本例ではQ=n)との三データを含むQ個未満の所定個数MがM=3の例である。また、上記(2)式が、M個(本例は3個)のデータを用いて今回の妥当周期を算出可能であるとともに、パルスQ個分の計測周期に基づき今回の妥当周期を算出するための統計学上の計算式((T1+T2+…+Tn)/Q)と等価な演算式に相当する。前記等価な演算式は適宜変更でき、所定個数Mは、採用した等価な演算式を用いて妥当周期を算出するために必要なデータの個数(但しQ個未満)であれば足りる。また、平均周期算出部49が平均周期を算出する処理ステップが、演算ステップに相当する。
【0052】
上限・下限値算出部50は、平均周期Av(n-1)の±A(%)の各値をそれぞれ下限値Tmin、上限値Tmaxとして算出する。例えばA(%)が2%であれば、下限値Tmin=Av(n-1)×0.98、上限値Tmax=Av(n)×1.02と算出される。この場合、上限・下限値を算出するために周期平均値Av(n-1)に乗ずる係数をそれぞれBmin,Bmaxとおくと、下限値Tmin=Av(n-1)×Bmin、上限値Tmax=Av(n-1)×Bmaxと算出される。なお、周期制限値(上限・下限値)を決めるA(%)の設定値は、工場出荷時もしくはユーザによって設定される。上限・下限値は設定値A(%)を用いて、Bmin,Bmax=(100±A)/100で示される。上限・下限値算出部50が算出した上限・下限値は、第1比較器48及び第2比較器51に送信され、今回(n回目)の比較判定に使用される。
【0053】
第1比較器48及び第2比較器51は、以下の式(3)で示される条件式が成立するか否かを比較判定し、記憶周期Tnが適正周期範囲(正常範囲)内に収まっているか否かを判定する。
Av(n-1)×Bmin≦Tn≦Av(n-1)×Bmax … (3)
第1比較器48は、上記条件式(3)が成立して記憶周期Tnが適正周期範囲になる場合にHiレベルのイネーブル信号を平均周期算出部49に送信し、平均周期算出部49では今回の記憶周期Tnを用いた平均周期Av(n)の更新が行われる。一方、上記条件式(3)が不成立であり、記憶周期Tnが適正周期範囲から逸脱した周期異常検出時には、平均周期算出部49にイネーブル信号が送信されることはない。このため、平均周期算出部49において異常周期は平均周期Av(n)の算出に使用されないので、平均周期算出部49には信頼性の高い平均周期Av(n)が格納される。
【0054】
一方、第2比較器51は、出力信号周期記憶部47からラッチ信号LAT2のタイミングで取得した記憶周期Tnが上記条件式(3)を満たすか否かを比較判定する。記憶周期Tnが、この条件式(3)で規定された平均周期Av(n)±A%の適正周期範囲内であればHiレベルとなり、一方、記憶周期Tnが適正周期範囲から逸脱する周期異常と判定された場合にLowレベルとなる周期エラー検出信号Serrorを出力する。
【0055】
図9に示すように、第2比較器51から出力される周期エラー検出信号Serrorは、記憶周期Tnが適正範囲内に収まる場合はHiレベルになり、周期異常が発生して記憶周期Tnが適正周期範囲から逸脱する場合にLowレベルになる。なお、周期エラー検出信号Serrorは、周期異常発生時には周期計測完了から半周期遅れてHiレベルからLowレベルに立ち下がる。なお、第2比較器51が条件式(3)を満たすか否かの比較判定を行って周期異常を検出する処理ステップが、検出ステップに相当する。
【0056】
パルス抜け検出器46及び第2比較器51の各出力信号PLS,Serror、並びに出力信号周期記憶部47の記憶周期Tn及び平均周期算出部49の平均周期Av(n)が、周期選択回路64に入力される。周期選択回路64は、本実施形態では各種の論理回路58〜63等から構成されており、印字基準信号PTSを生成する際に採用すべき印字基準信号周期を選択して出力する。周期選択回路64は、パルス抜け検出信号PLSがLowレベルになるか、周期エラー検出信号SerrorがHiレベルになる周期異常検出時に出力信号周期記憶部47からの記憶周期Tnを印字基準信号周期として選択して出力し、一方、パルス抜け検出信号PLSがHiレベルになるか、周期エラー検出信号SerrorがLowレベルになる周期異常検出時に平均周期Av(n)を印字基準信号周期として選択して出力する。
【0057】
周期選択回路64の回路構成を説明すると、パルス抜け検出信号PLSがノット回路58で論理否定された反転信号と第2比較器51の周期エラー検出信号Serrorとが入力されるアンド回路59と、アンド回路59の出力であるパルス周期選択信号と出力信号周期記憶部47からの出力信号周期Tn(記憶周期)のデータとが入力されるアンド回路60とを備える。さらに、アンド回路59からのパルス周期選択信号がノット回路61で論理否定された反転信号と平均周期算出部49からの平均周期Av(n)のデータとが入力されるアンド回路62を備え、両アンド回路60,62の各出力を入力するオア回路63から印字基準信号周期のデータが出力されるように構成されている。
【0058】
アンド回路59の出力信号であるパルス選択信号が、周期が正常範囲内にあってHiレベルであれば出力信号周期記憶部47からの出力信号周期Tnがアンド回路60を経由してオア回路63から印字基準信号周期として出力される。一方、出力信号周期Tnが異常(パルス抜け異常と適正周期範囲からの周期逸脱異常)であると検出されパルス選択信号がLowレベルになると、平均周期算出部49からの平均周期Av(n)がアンド回路62を経由してオア回路63から印字基準信号周期として出力される。つまり、周期選択回路64は、パルス周期選択信号がLowレベルになる周期正常時には、出力信号周期Tnを出力し、パルス周期選択信号がHiレベルとなる周期異常検出時には、周期異常パルスとなる出力信号周期Tnを不使用として既に式(2)によって算出される平均周期Av(n)を出力する(図9参照)。周期選択回路64からの印字基準信号周期は出力信号生成部53に入力される。
【0059】
出力信号生成部53には、印字基準信号周期と共に、基準クロック信号CLと出力開始トリガカウンタ52からの出力開始トリガ信号とが入力される。出力信号生成部53は、出力開始トリガ信号入力後に印字基準信号周期を周期にもつ印字基準信号PTSを生成して出力する回路である。よって、出力信号生成部53は、正常周期検出時は出力信号周期記憶部47に記憶された出力信号周期Tnの印字基準信号PTSを出力し、周期異常検出時は平均周期算出部49で算出された平均周期Av(n)の印字基準信号PTSを出力する(図9参照)。
【0060】
出力開始トリガカウンタ52は、カウンタと比較器からなり、リニアエンコーダ信号立ち下がり2パルスをカウントした時点でリニアエンコーダ信号ESを出力開始トリガ信号として出力する。つまり、リニアエンコーダ信号3パルス目立ち上がりに同期して印字基準信号PTSの出力を開始することになる。出力信号生成部53は、例えばカウンタと比較器を内蔵し、基準クロック信号CLのパルス数の計数値(クロックカウント値)が出力信号周期記憶部47に格納されている出力信号周期の半分に一致したところで、出力信号をLowレベルに立ち下げ、そのクロックカウント値が印字基準信号周期に達したところで出力信号をHiレベルに立ち上げる。この出力信号をHiレベルに立ち上げた時点でカウンタをリセットし、出力信号周期記憶部47を参照して次パルスの比較器カウンタ比較値を更新する。この後再度、出力信号周期の半分に一致したところで出力信号をLowレベルに立ち下げる。この動作を繰り返すことによって印字基準信号周期を繋げてパルスを順次生成する。
【0061】
以上の動作によって印字基準信号PTSとして、図9及び図10に示すような2パルスディレイされた信号を出力することが可能となる。よって、図9及び図10に示すように、周期異常が発生した瞬間は、2パルス前のリニアエンコーダ信号周期を使用して印字基準信号PTSを出力しているため、パルス周期異常の影響を受けることなく、印字基準信号PTSが生成可能となっている。
【0062】
パルス抜け検出後には、パルス抜け発生時に既に算出されている平均周期Av(n-1)を用いて印字基準信号PTSを生成しつつリニアエンコーダ信号ESの正常パルスへの復帰を待つ。このとき、リニアエンコーダ信号ESの正常パルスへの復帰後、2パルスディレイしてから印字基準信号周期が生成されるので、それまで同じ平均周期Av(n)のパルスを連結することで印字基準信号PTSを生成する。そして、パルス抜け復帰後2パルスディレイして印字基準信号周期が出力信号周期Tnに戻ると、印字基準信号PTSの周期が出力信号周期Tnに復帰する。なお、出力信号生成部53が印字基準信号PTSを生成する処理ステップが、パルス生成ステップに相当する。
【0063】
次に、周期計測部44の回路構成の詳細を説明する。図7は、リニアエンコーダ信号周期計測部の回路構成を示し、図8は周期計測部44の動作タイミングチャートを示す。以下、図7に従って、必要に応じて図8を参照しつつ説明する。
【0064】
図7に示すように、周期計測部44は、第1分周回路66、第1カウンタ67、第2カウンタ68、第2分周回路69等を備えている。ここで、2つのカウンタ67、68を備える理由は、カウントと出力を一緒に行うのではなく、カウント値が確定されてから出力を行うようにするためである。2つのカウンタ67,68は、リニアエンコーダ信号ESのパルス周期を、1周期ずつ交互に計測する。つまり、第1カウンタ67がパルス周期を計数するパルス間のパルスのパルス周期を、第2カウンタ68が計数するようにしている。
【0065】
第1分周回路66は、リニアエンコーダ信号ESを二倍の周期に分周し、第1カウンタ67を動作させるためのイネーブル信号Enable1を出力する(図8参照)。第1カウンタ67は、イネーブル信号Enable1がHiレベル信号のときに基準クロック信号CLのパルス数を計数する。
【0066】
図7に示すように、アンド回路72では、リニアエンコーダ信号ESのノット回路70による論理否定と、イネーブル信号Enable1のノット回路71による論理否定とが論理積演算され、その演算結果がリセット信号Reset1として第1カウンタ67に入力される。第1カウンタ67は、リニアエンコーダ信号ESの1周期の期間に渡り立ち上がるイネーブル信号Enable1のHiレベル入力中は基準クロック信号CLのパルス数を計数し、Lowレベル入力時に計数を停止しリセット信号Reset1が入力されるまでカウンタ値を保持する。この後、リセット信号Reset1が入力されるとカウンタを0リセットして次パルスの計測に備える。
【0067】
また、図8に示すように、第2カウンタ68は、イネーブル信号Enable1がノット回路73における論理否定で反転されたイネーブル信号Enable2を入力する。第2カウンタ68は、イネーブル信号Enable2がHiレベル信号のときに基準クロック信号CLのパルス数を計数する。
【0068】
アンド回路74では、リニアエンコーダ信号ESのノット回路70による論理否定と、イネーブル信号Enable1とが論理積演算され、その演算結果がリセット信号Reset2として第2カウンタ68に入力される。このため、第2カウンタ68は、リニアエンコーダ信号ESのパルス周期のうち第1カウンタ67が計数対象とするパルス周期の間のパルス周期を計数する。
【0069】
図7に示す第2分周回路69は、リニアエンコーダ信号ESがノット回路75の論理否定で反転された信号を入力し、その入力信号を2倍の周期に分周する(図8参照)。アンド回路76は、第2分周回路69の出力と、第1カウンタ67の出力との論理積演算結果をオア回路79へ出力する。また、アンド回路78は、第2分周回路69の出力のノット回路77を介した論理否定と、第2カウンタ68の出力との論理積演算結果をオア回路79へ出力する。すなわち、アンド回路76は、第2分周回路69の出力がHiレベルのときに第1カウンタ67の出力をオア回路79へ出力し、アンド回路78は、第2分周回路69の出力がLowレベルのときに第2カウンタ68の出力をオア回路79へ出力する。こうしてオア回路79からは、アンド回路76から入力した第1カウンタ67の計数結果と、アンド回路78から入力した第2カウンタ68の計数結果とが交互に出力され、その出力データが図8に示す信号周期計測結果として、リニアエンコーダ信号周期記憶部45及びパルス抜け検出器46へ出力される。その結果、リニアエンコーダ信号周期記憶部45には、図8に示すようにリニアエンコーダ信号ESの計測されたパルス周期T1,T2,T3,…が1周期遅れで順次格納される。
【0070】
ここで、リニアエンコーダ信号周期記憶部45は、過去の周期計測データを不必要に多く保持することはメモリ容量(メモリ空間消費量)を無駄に消費するので、メモリ(レジスタ)に2パルス分のデータを保持することにしている。これは、出力信号生成部53が、印字基準信号として、リニアエンコーダ信号ESを2パルスディレイされた信号を出力するのに対応させている。
【0071】
このように構成された印字基準信号生成装置は以下のように動作する。図9に示すように、リニアエンコーダ信号ESの周期が正常なときは、パルス抜け検出信号PLSがLowレベル、周期エラー検出信号SerrorがHiレベルになるのでパルス周期選択信号がHiレベルとなり、印字基準信号周期に基づき出力信号周期記憶部47に記憶された2パルス前の計測周期Tnと同じ時間を周期にもつ印字基準信号PTSが生成される。一方、リニアエンコーダ信号ESの周期が適正周期範囲から逸脱したり、パルス抜けが発生したりした周期異常検出時には、その周期異常発生の瞬間は2パルス前の計測周期である出力信号周期Tnを周期とする印字基準信号PTSが生成される。そして、その後、パルス周期選択信号がHiレベルからLowレベルに立ち下がった後は、印字基準信号周期に基づき、既に2パルス前の計測周期を用いて式(2)に従って演算された平均周期(パルス周期平均値)Av(n)と同じ時間を周期にもつ印字基準信号PTSが生成される。
【0072】
図11はリニアエンコーダ信号のパルス周期の変化の様子を示す一例のグラフである。横軸がパルス発生時刻、縦軸がパルス周期を示している。周期異常を判定するために設定される適正周期範囲は、リニアエンコーダ信号ESの計測周期を用いて演算した過去データQ個の平均である平均周期Av(n)から装置個体差に応じて装置ごとに規定され、下限値Av(n)・Bmin、上限値Av(n)・Bmaxをもつ。よって、その装置にとって周期が異常な場合に限り周期異常が検出される。これに対し、特許文献4の異常周期検出方法によると、適正周期範囲を規定する下限値及び上限値が固定値なので、正常周期であるにも関わらず適正周期範囲から逸脱して周期異常として誤検出されることが多発する場合が起こり得た。これに対し、本実施形態の装置によれば、このような誤検出を回避できる。
【0073】
以上、詳述したように第一実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)リニアエンコーダ信号ESのパルス周期を計測し、計測したパルス周期を用いて過去データQ個の平均である平均周期Av(n)を演算し、平均周期Av(n)から規定される適正周期範囲(正常範囲)を計測周期(記憶周期)Tnが逸脱した場合を周期異常として検出するようにした。よって、装置個体差があっても適正周期範囲が装置ごとの測定周期に基づく平均周期から決められるので、特許文献4で問題であった適正周期範囲の閾値が固定値であることに起因して、計測周期が正常であるにも関わらず周期異常とされる誤検出を防止できる。従って、計測周期が正常であるにも関わらず誤検出時の代理周期が採用されることを低減し、信頼性の高い印字基準信号PTSを生成することができる。また、周期異常検出時に計測周期Tn(出力信号周期)の代わりに採用される代理周期として平均周期Av(n)を採用するので、周期異常検出時にも信頼性の高い周期の印字基準信号PTSを生成できる。
【0074】
(2)印字基準信号周期の間隔で順次パルスを出力することで印字基準信号PTSを生成する構成なので、周期正常時と周期異常検出時とで印字基準信号周期が計測周期Tnと平均周期Av(n)との間で切り換えられても、その切り換え前後(周期異常検出前後)で出力信号に周期異常が発生することがない。このため、周期異常検出前後で信号の位相差を考慮する必要がないうえ、搬送ベルト16の多少の速度変動も許容できることからローラ13等の高精度な心出しの必要もない。
【0075】
(3)搬送ベルト16の継ぎ目や、紙粉やインクミスト等の付着等に起因するリニアエンコーダ信号ESのパルスの欠落が発生しても、平均周期Av(n)で印字基準信号PTSを生成するため、適切なパルス周期の印字基準信号PTSを出力させることができる。よって、突発的にリニアエンコーダパルスの欠落が発生しても、比較的精度の高い周期でパルスを補間的に追加するので、パルスの欠落のない印字基準信号PTSを生成できる。また、印字基準信号により使用される周期計測結果を数パルス前(本例では2パルス前)の周期計測結果としたので、リニアエンコーダ信号のパルス抜け発生時に印字基準信号PTSにも抜けが発生することを防止できる。
【0076】
(4)平均周期算出部49は、前回(n-1回目)の平均周期Av(n-1)と今回の計測周期(記憶周期)Tnとデータ個数Qとの三データを用いて式(2)に基づいて算出する。よって、平均をとるデータ個数Qが例えば「16」「128」等の比較的大きな数であっても、前回の平均周期Av(n-1)とデータ個数Qとを保存できる格納領域を用意するだけで、データQ個分を平均したにほぼ等しい平均周期Av(n)を算出することができる。この結果、データ個数Qを多くして信頼性の高い平均周期Av(n)を使用できるうえ、そのデータ個数Qの割に平均周期Av(n)の算出のために記憶すべきデータ個数を少なく抑えることができ、ひいては用意すべきレジスタ等の記憶容量をなるべく少なく済ませられる。
【0077】
(5)印字基準信号生成装置41を備えたベルト搬送装置12が装備されたプリンタ11において、搬送ベルト16の速度変動や、ベルト接続部や紙粉付着等に起因してパルス抜けが発生したときも、適切なパルス周期で印字基準信号PTSが生成されるので、印刷画質精度を高めることができる。例えば搬送ベルト16の速度変動時の異常周期に基づき印字基準信号PTSが生成された場合、搬送ベルト速度が正常なときに2パルス前の速度変動時の周期で印字基準信号PTSが生成されてしまう不都合があるが、本実施形態の装置によればそのような不都合を解消できる。
【0078】
(第二実施形態)
本実施形態は、1つのリニアエンコーダの周期異常が継続した場合に、平均周期Av(n)の印字基準信号PTSが生成され続ける不都合を解消する構成である。そのために本実施形態では、リニアエンコーダを構成するセンサを2個使用し、2個のセンサのうち印字基準信号周期を採用する側の一方のセンサで周期異常が検出されたら、印字基準信号周期を採用する側のセンサを他方のセンサに切り換えて印字基準信号PTSを生成するようにしている。なお、プリンタ11の構成については、第一実施形態と同様であるので、印字基準信号生成装置の構成及び動作について図12〜図15に基づいて詳細に説明する。
【0079】
図12は、コントローラ30内に備えられた印字基準信号生成装置の回路構成を示す。図12に示すように、印字基準信号生成装置80は、第1センサ81、第2センサ82、クロック回路83、第1印字基準信号生成回路84、第2印字基準信号生成回路85、エンコーダ選択信号生成回路86、出力開始トリガカウンタ87及び出力信号生成回路88等を備えている。
【0080】
第1センサ81と第2センサ82は、第一実施形態と同様の磁気センサからなり、磁気リニアスケール26上の異なる位置を検出対象とする所定の位置にそれぞれ配設されている。例えば2個のセンサ81,82のうち一方が搬送ベルト16の継ぎ目の部分を検出対象とする期間に、他方が継ぎ目の無い部分を検出対象とするように位置設定されている。実際には、磁気リニアスケール26上において搬送方向に例えば1〜20cmの範囲内の所定距離離れた異なる位置に配置されている。また、本実施形態の磁気リニアスケール26は2列分の幅を有し、各センサ81,82は磁気リニアスケール26の幅方向に異なる位置を検出対象とするように配置されている。
【0081】
第1印字基準信号生成回路84及び第2印字基準信号生成回路85は共に、前記第一実施形態における図6の印字基準信号生成回路43から出力開始トリガカウンタ52と出力信号生成部53とを取り除いた以外は図6の印字基準信号生成回路43と同じ回路構成を有している。
【0082】
第1印字基準信号生成回路84は、第1センサ81からのリニアエンコーダ信号ES1と基準クロック信号CLを入力して、第1パルス周期選択信号と第1印字基準信号周期とを出力する。また、第2印字基準信号生成回路85は、第2センサ82からのリニアエンコーダ信号ES2と基準クロック信号CLを入力して、第2パルス周期選択信号と第2印字基準信号周期とを出力する。なお、第1及び第2パルス周期選択信号は、図6におけるパルス周期選択信号に相当する信号であり、第1及び第2印字基準信号周期は、図6における印字基準信号周期に相当する信号である。
【0083】
エンコーダ選択信号生成回路86は、第1印字基準信号生成回路84からの第1パルス周期選択信号がノット回路89(インバータ)を介して論理否定された反転信号と、第2印字基準信号生成回路85からの第2パルス周期選択信号がノット回路90を介して論理否定された反転信号とを入力して、エンコーダ選択信号を出力する回路である。
【0084】
出力信号生成回路88は、第1印字基準信号生成回路84からの第1印字基準信号周期と、第2印字基準信号生成回路85からの第2印字基準信号周期と、エンコーダ選択信号生成回路86からのエンコーダ選択信号とを入力して、第1印字基準信号周期と第2印字基準信号周期とのうちエンコーダ選択信号に基づき選択した一方の印字基準信号周期と同じ時間を周期にもつ印字基準信号PTSを生成する。本実施形態では、出力信号生成回路88は、エンコーダ選択信号がLowレベルのときに第1印字基準信号周期を選択し、エンコーダ選択信号がHiレベルのときに第2印字基準信号周期を選択するように構成され、選択した一方の印字基準信号周期と同じ時間を周期にもつ印字基準信号PTSを生成する。このとき、出力信号生成回路88は、出力開始トリガカウンタ87からの出力開始トリガ信号に基づき印字基準信号PTSの出力を開始する。出力信号生成回路88は、例えばカウンタと比較器を備えた構成となっている。そして、出力開始トリガ信号入力以後、クロック回路83からの基準クロック信号CLのパルス数を計数するカウンタの計数値(クロックカウント値)が印字基準信号周期の半周期に相当する値に達すると立ち下がり、クロックカウント値が印字基準信号周期に相当する値に達すると立ち上がるようにパルスを生成することで、印字基準信号周期と同じ時間を周期とする印字基準信号PTSを出力する。
【0085】
図13(a)にエンコーダ選択信号生成回路86の回路構成及び同図(b)にその入出力信号のタイミングチャートを示す。エンコーダ選択信号生成回路86は、図13(a)に示すように、Reset入力である第2センサ82の第2パルス周期選択信号と、Set入力である第1センサ81の第1パルス周期選択信号のノット回路93を介した反転信号とが入力されるアンド回路92と、アンド回路92の出力をReset入力とするとともに、第1センサ81の第1パルス周期選択信号をSet入力とするRS−FF(リセットフリップフロップ)とを備えた構成となっている。RS−FFは、アンド回路92の出力が入力となるノア回路94と、第1パルス周期選択信号が入力されるノア回路95とを備え、各ノア回路94,95の出力がそれぞれ他方のノア回路の入力となるように接続されており、Q端子からエンコーダ選択信号を出力する。
【0086】
図13(b)はエンコーダ選択信号生成回路86のタイミングチャートを示す。エンコーダ選択信号生成回路86に入力される第1パルス周期選択信号の反転信号及び第2パルス周期選択信号の反転信号は共に、正常周期検出時にLowレベルとなり、異常周期検出時にHiレベルとなる。第1パルス周期選択信号の反転信号が立ち上がった時にエンコーダ選択信号はLowレベルからHiレベルに立ち上がり、一方、第1パルス周期選択信号の反転信号がLowレベルの状態で第2パルス周期選択信号の反転信号が立ち上がった時にエンコーダ選択信号は立ち下がるようになっている。よって、第1パルス周期選択信号の反転信号が第1センサ81側の周期異常検出時に立ち上がりエンコーダ選択信号がLowレベルからHiレベルに立ち上がることでセンサの切り換えが行われた後、第1センサ81側の周期異常が検出されなくなって(つまり正常周期に復帰して)第1パルス周期選択信号の反転信号が立ち下がっても、その後、次に第2パルス周期選択信号の反転信号が第2センサ側で周期異常が検出されたことを理由に立ち上がるまで第1センサへの復帰は行われない。
【0087】
このため、エンコーダ選択信号生成回路86は、第1及び第2センサ81,82の頻繁な切り換えを抑制し、使用中のセンサで周期異常が検出され且つ他方のセンサが正常の場合にのみセンサ切り換えを行う。これにより異常周期から正常周期への復帰直後の不安定な信号を使用する確率が減少するようにしている。また、印字基準信号周期の接続により印字基準信号PTSを生成することで、位相ずれを防ぐことが可能となり、長い間隔のパルス抜けがあっても、ベルト搬送速度変動に対応した印字が可能な印字基準信号PTSを生成可能となる。
【0088】
図14及び図15は、エンコーダ用のセンサを2つ使用した本実施形態の印字基準信号生成装置80における各種信号のタイミングチャートを示す。なお、図14及び図15においては、第1センサ81から出力される第1リニアエンコーダ信号ES1のパルス周期をtn(但しn=1,2,…)とおき、第2センサ82から出力される第2リニアエンコーダ信号ES2のパルス周期をTn(但しn=1,2,…)とおいている。
【0089】
図14は、第1センサ81から出力される第1リニアエンコーダ信号ES1に記憶周期が適正周期範囲を逸脱する周期異常が発生した場合の例を示している。周期異常が検出されると第1パルス周期選択信号がLowレベルに立ち下がり、周期異常検出区間に2パルスディレイを伴って第1印字基準信号周期として平均周期tAv4が出力されている。このとき、他方の第2センサ82から出力される第2リニアエンコーダ信号ES2は正常周期が検出されており、第2印字基準信号周期として記憶周期Tnが出力されている。エンコーダ選択信号は、第1センサ81からの第1リニアエンコーダ信号ES1に周期異常が検出されると、図14に示すようにLowレベルからHiレベルに立ち上がる。この結果、それまで印字基準信号PTSの生成に使用されていた第1印字基準信号周期tnから第2印字基準信号周期Tnに切り換わる。
【0090】
図15は、両センサ81,82にパルス抜け等の周期異常が発生した場合の例を示している。第1リニアエンコーダ信号ES1で周期異常が検出されると第1パルス周期選択信号がLowレベルに立ち下がり、周期異常検出区間に対応する期間では出力信号周期tnに替わり、第1印字基準信号周期として平均周期tAv4が出力される。このとき、他方の第2センサ82から出力される第2リニアエンコーダ信号ES2にも周期異常が検出されており、第2パルス周期選択信号がLowレベルに立ち下がり、その周期異常検出区間に対応する期間では出力信号周期Tnに替わり、第2印字基準信号周期として平均周期TAv5及びTAv9が出力される。
【0091】
図15に示すように、エンコーダ選択信号は、第1パルス周期選択信号の立ち下がりで立ち上がり、その後、周期異常が検出されなくなって(つまり正常周期検出状態に復帰して)第1パルス周期選択信号が立ち上がった後、さらに第2リニアエンコーダ信号ES2で周期異常が検出されて第2パルス周期選択信号が立ち下がってはじめて立ち下がる。
【0092】
エンコーダ選択信号がLowレベルとなる第1エンコーダ(Enc1)使用区間では、第1印字基準信号周期が選択され、第1印字基準信号周期t1,t2,t3,t4に基づき印字基準信号PTSが生成される。エンコーダ選択信号がHiレベルとなる第2エンコーダ(Enc2)使用区間では、第2印字基準信号周期が選択され、第2印字基準信号周期T4,T5,TAv5,T7,T8,T9に基づき印字基準信号PTSが生成される。このとき第1リニアエンコーダ信号ES1では正常周期検出状態に復帰しても、センサ切り換えが行われることはなく、第2印字基準信号周期Tn(又はTAvn)に基づく印字基準信号PTSの生成が継続される。周期異常検出状態から正常周期検出状態へ復帰した直後は、パルス周期が正常周期範囲内にあるものの不安定となりやすいが、正常に復帰してもセンサ切り換えが行わないことから、リニアエンコーダ信号のパルス周期の正常復帰後の不安定なパルス周期を使用して印字基準信号PTSが生成される頻度が減少する。また、よって、図15に示すように両センサ81,82に周期異常が発生した場合は、センサ切り換えを行わずに平均周期TAv5を出力することによって印字基準信号PTSの欠落が防止される。
【0093】
そして、第2センサ82からの第2リニアエンコーダ信号ES2に周期異常が検出されて第2パルス周期選択信号が立ち下がった時点でエンコーダ選択信号は立ち下がり、センサ切り換えが行われる。そして、エンコーダ選択信号がLowレベルとなった図15における2回目の第1エンコーダ(Enc1)使用区間では、第1印字基準信号周期が選択され、第1印字基準信号周期t10,t11,…に基づき印字基準信号PTSが生成される。
【0094】
よって、この第二実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(6)複数のセンサ81,81(複数のエンコーダ)を設け、印字基準信号PTSの生成に印字基準信号周期を使用する側のセンサで周期異常が検出されると、センサ切り換えを行って正常周期検出中の他のセンサ側のリニアエンコーダ信号に基づき生成された印字基準信号周期を使用して印字基準信号PTSを生成する構成を採用した。よって、センサの計測周期(記憶周期)に基づく周期で印字基準信号PTSが生成される頻度を高めることができ、信頼性の高い印字基準信号PTSを出力することができる。よって、第一実施形態におけるプリンタ11に比べ、印刷画質精度を一層高いプリンタを提供できる。
【0095】
(7)エンコーダ選択信号生成回路86は、BRS−FF(リセットフリップフロップ)を備え、第1及び第2センサ81,82の頻繁な切り換えを抑制し、使用中のセンサで周期異常が検出され且つ他方のセンサが正常の場合にのみセンサ切り換えが行われるように構成した。従って、周期異常検出状態から正常周期検出状態への復帰直後の不安定なパルス周期が印字基準信号PTSの生成に使用される頻度を低減できるので、より信頼性の高い印字基準信号PTSを生成することができる。また、第一実施形態における印字基準信号生成装置41では長い間隔のパルス抜けがあった場合、古い平均周期Av(n)を使用して印字基準信号PTSが生成され続けることになるが、この第二実施形態における印字基準信号生成装置80によれば、センサ切り換えが行われるので、古い平均周期Av(n)を使用して印字基準信号PTSが生成され続ける事態を回避しやすい。これらの点からも、信頼性の高い周期の印字基準信号PTSを生成でき、印刷画質精度の一層高いプリンタ11を提供できる。
【0096】
(10)印字基準信号周期を繋げてパルスを順次生成することで印字基準信号PTSを出力する構成なので、センサ切り換えを伴う構成であるものの、センサ切り換え前後において、信号位相差による出力信号周期異常が発生することを防止できる。
【0097】
なお、実施形態は、上記に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
(変形例1)前記各実施形態において、パルス抜け検出器46における周期異常条件(パルス抜け検出条件)を、周期計測結果が平均周期Av(n)×Bを超えること(周期計測結果>Av(n)×B)としてもよい。例えば特許文献4では計測周期が上限を超えた場合にパルス抜けもまとめて周期異常として検出しているが、その上限値が固定値であると、装置個体差によって周期分布中心値が上方へシフトしている装置では、正常周期であるにも関わらずパルス抜けと誤検出される頻度が増す恐れがある。これに対し、平均周期から規定される上記のパルス抜け検出条件を採用した場合、装置個体差によって周期分布中心値が上方へシフトしている装置においても、平均周期からパルス抜け検出条件のパルス抜け閾値が決定されるので、正常周期であるにも関わらずパルス抜けとして検出される頻度を低減できる。
【0098】
(変形例2)統計学上の妥当周期は平均周期(周期平均値)に限定されない。加重平均、累積加重平均、相加平均、相乗平均、調和平均などでもよい。また、これらの平均算出時に最大値と最小値など不適当な値の可能性のある値を計算対象から除外してもよい。さらには平均に限定されず、統計学上の妥当値であればよい。例えば標準偏差「45」や「55」など平均値以外の統計学上の値を妥当値に採用してもよい。また、実験でパルス周期の計測を行って得られたデータから統計学的な解析を行って妥当値算出用の計算式を導き、その計算式を用いて妥当値を算出する構成も採用できる。また、周期異常条件は、上限と下限を有する範囲で規定されることに限定されず、上限のみ又は下限のみを用いて規定される範囲でもよい。例えば計測周期Tn<Tminのみ周期異常としたり、計測周期Tn>Tmaxのみ周期異常としたりしてもよい。また、周期異常条件は、f(T)>K(例えばTは計測周期、Kは妥当値から決まる定数)のように関数式で示されてもよい。要するに周期異常条件の成立・不成立を決める条件値が固定値ではなく、過去の複数の計測周期から求まる妥当値から規定される変動値であれば足りる。
【0099】
(変形例3)妥当周期から規定される正常範囲は、妥当周期を中心にもつ範囲に限定されない。前記各実施形態において、適正周期範囲は平均周期を中心とする範囲に限定されず、例えば下限値と平均周期との間の幅と、上限値と平均周期との間の幅とが異なる値に設定されてもよい。例えば妥当周期を正常範囲の下限値又は上限値に設定してもよい。
【0100】
(変形例4)パルス抜け検出と適正周期範囲からの逸脱との2種類の条件式を用いて周期異常を検出する構成としたが、検出手段を、パルス抜け検出器46と第2比較器51とのうち一方のみとした構成も採用できる。もちろん、3種類以上の複数種の周期異常条件を設定して複数種の周期異常を検出する構成としてもよい。
【0101】
(変形例5)前記実施形態では、リニアエンコーダに適用したが、ロータリエンコーダに適用してもよい。例えばモータの回転制御を行う場合にロータリエンコーダの検出パルスを用いる構成において、パルス信号生成装置を適用することもできる。また、エンコーダは、インクリメンタルエンコーダに限らず、アブソリュートエンコーダも使用できる。
【0102】
(変形例6)用紙等の記録媒体を搬送する搬送手段は、搬送ベルト方式に限定されない。例えば搬送経路上の複数箇所に駆動ローラと従動ローラとの一対からなるローラ装置が配設されてなるローラ方式の搬送装置を備えたプリンタにも適用できる。例えばローラの端部周面上に磁気スケールを設けたり、ローラや動力伝達系の回転駆動軸にロータリエンコーダ式の回転板磁気スケールを設ければよい。また、ラインプリンタにおけるベルト搬送方式の場合、搬送方向上流側と下流側にそれぞれ一対ずつ配設されたローラ間に複数本のベルトを千鳥配置で巻き掛けた構成も採用できる。また、搬送ベルトを有さないドラムを備え、ドラムの外周面上に記録用紙が吸着された状態で、記録手段により印刷を施す構成も採用できる。
【0103】
(変形例7)パルス信号生成装置は、ラインプリンタへの適用に限定されず、例えば記録ヘッドが紙幅方向に移動(走査)しながら印刷を行うシリアル式プリンタに適用してもよい。例えば記録ヘッドが設けられたキャリッジの移動経路と平行にリニアエンコーダを設け、キャリッジと共に移動するセンサからのリニアエンコーダ信号ESを前記各実施形態における印字基準信号生成回路に入力して印字基準信号PTSを生成する構成とする。
【0104】
(変形例8)前記第二実施形態において、一つのリニアスケールに対しセンサを3個以上設けてもよい。
(変形例9)エンコーダ(リニアエンコーダ、ロータリエンコーダ)は磁気式に限らず光学式も採用できる。光学式エンコーダの場合、スケールに一定ピッチでスリットを設け、光源(発光素子)から出射されてスリットを通過した光を受光する光検出センサの受光量が周期的に変化するようにスリットの開口形状や開口面積を周期的に変化させれば、振幅が周期的に変化するリニアエンコーダ信号ESを得ることができる。また、光学式エンコーダを構成する場合、上記の透過型以外に反射型も採用できる。
【0105】
(変形例10)印字基準信号生成装置は、ハードウェアの構成に限定されない。CPU(中央処理装置)がメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、エンコーダ信号のパルス周期を計測する周期計測処理、周期異常を検出する周期異常検出処理、数パルス前の計測周期を基に印字基準信号を生成するパルス生成処理を行うソフトウェアにより実現してもよい。
【0106】
(変形例11)パルス信号生成装置によって生成するパルス信号は、プリンタの印字基準信号の生成に限定されない。広く搬送装置用のエンコーダ信号生成装置に適用できる。例えばエンコーダ信号生成装置を、搬送ベルトの速度検出用として使用したり、搬送ベルトの位置検出用として使用したりしてもよい。これらの構成の場合、本発明のエンコーダ信号生成装置を用いてモータ等のアクチュエータの速度制御や位置制御を行うことにより、速度制御の精度を高めたり、位置制御の精度を高めたりすることができる。また、印字基準信号以外の基準パルス信号を生成してもよく、その場合、エンコーダパルスを逓倍又は分周することによりエンコーダ信号周期と異なる周期の基準パルス信号を生成するようにしてもよい。
【0107】
(変形例12)前記各実施形態において、パルス抜け(パルス欠落)検出状態が所定時間継続した場合に、ユーザにリニアエンコーダ等のクリーニングをする旨を報知する構成を採用できる。
【0108】
(変形例13)画像形成装置はプリンタに限定されず、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの所定パターン(配線パターン、電極パターン、画素パターン、エッチングパターン、配列パターンを含む)を画像として描画する画像形成装置であってもよい。もちろん、インクジェット方式以外のプリンタにも適用できる。例えば、ドットインパクトプリンタ、熱転写プリンタ、レーザープリンタ等に適用してもよい。さらにはプリンタ以外の電子機器にも適用でき、例えば搬送装置を有するスキャナ装置等にも適用できる。
【0109】
前記各実施形態及び変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(1)前記パルス生成手段は、前のパルスの立ち上がり時から前記計測周期又は前記妥当周期の半周期を計時した時点でパルスを立ち下げ、前のパルスの立ち上がり時から前記計測周期又は前記妥当周期を計時した時点でパルスを立ち上げることを繰り返すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパルス信号生成装置。
【0110】
(2)前記妥当周期は、前記計測手段が計測した複数回分の周期の平均値であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパルス信号生成装置。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】第一実施形態におけるプリンタの概略構成を示す模式側面図。
【図2】記録ヘッドを省略したプリンタの模式平面図。
【図3】磁気リニアスケールを示す模式平面図。
【図4】着磁装置を示す模式側面図。
【図5】着磁装置を示す模式平面図。
【図6】印字基準信号生成装置の電気的構成を示す回路図。
【図7】リニアエンコーダ信号周期計測部を示す電気回路図。
【図8】リニアエンコーダ信号周期計測部の動作タイミングチャート。
【図9】印字基準信号生成装置の動作タイミングチャート。
【図10】周期異常検出時の動作タイミングチャート。
【図11】リニアエンコーダ信号を用いた周期異常検出を説明するグラフ。
【図12】第二実施形態における印字基準信号生成装置の電気的構成を示す回路図。
【図13】(a)エンコーダ選択信号生成回路の回路図、(b)その動作タイミングチャート。
【図14】周期異常検出時の動作タイミングチャート。
【図15】両エンコーダ共に異常周期検出時の動作タイミングチャート。
【符号の説明】
【0112】
11…画像形成装置としてのプリンタ、12…搬送装置としてのベルト搬送装置、13…搬送手段を構成する駆動ローラ、14…搬送手段を構成する従動ローラ、15…テンションローラ、16…搬送手段を構成するとともに検出対象としての搬送ベルト、17…電動モータ、25…記録手段としての記録ヘッド、26…エンコーダを構成するとともにスケール部としての磁気リニアスケール、27…エンコーダを構成するとともにセンサとしての磁気センサ、28…エンコーダとしての磁気リニアエンコーダ、30…コントローラ、41…印字基準信号生成装置、42…クロック回路、44…計測手段としての周期計測部、45…記憶手段としてのリニアエンコーダ信号周期記憶部、46…パルス抜け検出手段としてのパルス抜け検出器、47…記憶手段を構成する出力信号周期記憶部、48…周期排除手段としての第1比較器、49…演算手段としてのリニアエンコーダ信号平均周期算出部、50…上限・下限値算出部、51…検出手段を構成する第2比較器、52…出力開始トリガカウンタ、53…パルス生成手段及び記録用パルス生成手段を構成する出力信号生成部、64…周期選択回路、80…印字基準信号生成装置、81…センサとしての第1センサ、82…センサとしての第2センサ、83…クロック回路、84…第1印字基準信号生成回路、85…第2印字基準信号生成回路、86…切換手段としてのエンコーダ選択信号生成回路、87…出力開始トリガカウンタ、88…パルス生成手段及び記録用パルス生成手段を構成する出力信号生成回路、S…記録媒体としての記録紙、ES…エンコーダ信号としてのリニアエンコーダ信号、ES1…エンコーダ信号としての第1リニアエンコーダ信号、ES2…エンコーダ信号としての第2リニアエンコーダ信号、Tn…計測周期としての記憶周期(出力信号周期)、tn…計測周期としての記憶周期(出力信号周期)、Tmin…下限値、Tmax…上限値、Serror…周期エラー検出信号、PLS…パルス抜け検出信号、PTS…印字基準信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象の速度に応じた周期のパルスを出力するエンコーダと、
前記パルスの周期を計測する計測手段と、
前記計測された周期を記憶する記憶手段と、
パルス複数個分の周期計測結果に基づき統計学上妥当と推定される妥当周期を演算する演算手段と、
前記計測手段の計測周期が前記妥当周期から規定される周期異常条件を満たす場合に周期異常として検出する検出手段と、
前記周期異常が検出されない場合は前記計測周期に基づいてパルスを生成し、一方、前記周期異常が検出された場合は前記妥当周期に基づいてパルスを生成するパルス生成手段と
を備えたことを特徴とするパルス信号生成装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記計測周期がパルス抜け閾値を超えた場合に前記周期異常としてパルス抜けを検出するパルス抜け検出手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のパルス信号生成装置。
【請求項3】
前記演算手段は、前記周期異常と検出された計測周期を前記妥当周期の算出に用いない異常周期排除手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のパルス信号生成装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前回の妥当周期と今回の計測周期とデータ個数Qとの三データを含むQ個未満の所定個数のデータを用いて今回の妥当周期を算出可能であるとともに、パルスQ個分の計測周期に基づき今回の妥当周期を算出するための統計学上の計算式と等価な演算式を用いて演算することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のパルス信号生成装置。
【請求項5】
前記エンコーダは、前記検出対象の移動方向に沿って設けられたスケール部と、該スケール部の異なる位置を検出して前記速度に応じた周期をもつパルスをそれぞれ出力する複数のセンサとを備え、
前記検出手段は、前記センサごとに前記周期異常を検出可能に各センサに対応して複数備えられ、
前記パルス生成手段が計測周期を採用する側のセンサに周期異常が検出されると、計測周期を採用するセンサを周期異常が検出されていない他のセンサに切り換える切換手段を備え、
前記パルス生成手段は、前記検出手段が前記複数のセンサのすべてで周期異常を検出した場合は、前記妥当周期に基づきパルスを生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパルス信号生成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパルス信号生成装置と、前記検出対象として搬送手段とを備えた搬送装置であって、
前記パルス信号生成装置を構成する前記エンコーダが前記搬送手段の搬送速度に応じた周期のパルスを出力するものであることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送装置と、前記搬送手段により搬送されるターゲットに記録を施して画像を形成する記録手段とを備えた画像形成装置であって、
前記パルス生成手段により生成されたパルスに基づいて前記記録手段の記録タイミングパルスを生成する記録用パルス生成手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
エンコーダが出力するパルスの周期を計測する計測ステップと、
前記計測された周期を記憶する記憶ステップと、
パルス複数回分の周期計測結果に基づき妥当周期を演算する演算ステップと、
前記計測ステップにおける計測周期が前記妥当周期から規定される周期異常条件を満たす場合に周期異常として検出する検出ステップと
前記周期異常が検出されない場合は前記計測周期に基づいてパルスを生成し、一方、前記周期異常が検出された場合は前記妥当周期に基づいてパルスを生成するパルス生成ステップと
を備えたことを特徴とするパルス信号生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−248502(P2009−248502A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101259(P2008−101259)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】