説明

パルス再生装置及び通信システム

【課題】送信側で生成されたパルス信号を受信側で再生するタイミングのずれを低減することが可能な技術を提供する。
【解決手段】直並列変換部170は、あるパルス信号REPの入力が検出されると、その検出タイミングから所定時間内に直列入力されるパルス信号REPを並列出力する。再生決定部171は、直並列変換部170から並列出力されるパルス信号REPの数に基づいて、送信側で生成されたパルス信号を再生すべきか否かを決定する。再生パルス生成部172は、再生決定部171において、送信側で生成されたパルス信号を再生すべきと決定されると、所定のパルス幅のパルス信号を、送信側で生成されたパルス信号の再生信号として生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信側で生成されたパルス信号を受信側で再生する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムにおいては、送信側で生成されたパルス信号を受信側で再生する技術が必要となることがある。例えば、特許文献1に記載されているような赤外線通信システムにおいては、送信側では赤外線を点滅させることによって2値データを送信し、受信側では送信側からの赤外線を受光し、その受光信号から2値データを生成している。2値データはパルス信号として捉えることができることから、受信側では、送信側で生成されたパルス信号を受光信号から再生することによって、送信側から送られてくる2値データを得ることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−267771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信システムにおいては、送信側で生成されたパルス信号を受信側で再生するタイミングはできるだけ一定であることが要求されることがある。例えば、上述のように、パルス信号を再生して2値データを得る場合には、当該パルス信号を再生するタイミングがずれると、受信データの抜けや、受信データの二度読み等が起こり、受信データを正確に認識することができないことがある。
【0005】
そこで、本発明は上記点に鑑みて成されたものであり、送信側で生成されたパルス信号を受信側で再生するタイミングのずれを低減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、通信システムの送信側で生成された第1のパルス信号を再生する、当該通信システムの受信側のパルス再生装置であって、前記送信側では、前記第1のパルス信号が所定周期の複数の第2のパルス信号に変換され、当該第2のパルス信号は伝送路を通じて前記パルス再生装置に入力され、ある前記第2のパルス信号の入力が検出されると、その検出タイミングから所定時間内に直列入力される、当該ある前記第2のパルス信号を含む前記第2のパルス信号を並列出力する直並列変換部と、前記直並列変換部から並列出力される前記第2のパルス信号の数に基づいて、前記第1のパルス信号を再生すべきか否かを決定する再生決定部と、前記再生決定部において前記第1のパルス信号を再生すべきと決定されると、第3のパルス信号を前記第1のパルス信号の再生信号として生成する再生パルス生成部とを備える。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のパルス再生装置であって、前記直並列変換部は、前記第2のパルス信号を整形して並列出力する。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載のパルス再生装置であって、前記第2のパルス信号は光信号であって、前記第2のパルス信号を電気信号に変換する光電気変換部をさらに備え、前記直並列変換部には、電気信号に変換後の前記第2のパルス信号が入力される。
【0009】
また、請求項4の発明は、第1のパルス信号を生成し、当該第1のパルス信号を所定周期の複数の第2のパルス信号に変換して出力する送信装置と、伝送路を通じて前記送信装置から入力される前記第2のパルス信号から前記第1のパルス信号を再生する受信装置とを備え、前記受信装置は、ある前記第2のパルス信号の入力が検出されると、その検出タイミングから所定時間内に直列入力される、当該ある前記第2のパルス信号を含む前記第2のパルス信号を並列出力する直並列変換部と、前記直並列変換部から並列出力される前記第2のパルス信号の数に基づいて、前記第1のパルス信号を再生すべきか否かを決定する再生決定部と、前記再生決定部において前記第1のパルス信号を再生すべきと決定されると、第3のパルス信号を前記第1のパルス信号の再生信号として生成する再生パルス生成部とを有する、通信システムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、請求項3及び請求項4の発明によれば、直並列変換部から並列出力される第2のパルス信号の数に基づいて、第1のパルス信号を再生すべきか否かを決定している。したがって、直並列変換部に直列入力された第2のパルス信号が、当該直並列変換部から並列出力された時点で、第1のパルス信号の再生を決定することができる。よって、第1のパルス信号を再生するタイミングのずれを低減することができる。
【0011】
さらに、第2のパルス信号の数に基づいて第1のパルス信号を再生すべきかどうかを決定しているため、伝送路で不要なパルス信号が発生した場合であっても、誤って第1のパルス信号を再生することを防止できるとともに、異なったパルス幅の第2のパルス信号が入力されたとしても第1のパルス信号を再生することができる。また、送信側において生成される複数の第2のパルス信号のうち、その一部が伝送路で消滅した場合であっても、第1のパルス信号を確実に再生することができる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、直並列変換部からは第2のパルス信号が整形して出力されるため、伝送路で第2のパルス信号のパルス幅が変化した場合であっても、再生決定部は、第2のパルス信号の数を正確に判定することができる。よって、誤って第1のパルス信号を再生することを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<本発明の一実施形態>
図1は本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。本実施の形態に係る通信システムは例えば光通信システムである。図1に示されるように、本実施の形態に係る通信システムは、送信装置150と、当該送信装置150からの光信号を受信する受信装置160とを備えている。
【0014】
送信装置150は、受信装置160に送信するデータを生成するデータ生成部151と、データ生成部151で生成されたデータを所定の符号則で符号化するデータ符号化部152と、光を出力する発光部153と、データ符号化部152で符号化されたデータに基づいて発光部153を制御する発光制御部154とを備えている。
【0015】
データ生成部151は、2値データを生成してそれを情報データIFDとしてデータ符号化部152に出力する。データ符号化部152は、所定の符号則を使用して情報データIFDを符号化して符号化データCDDを生成し出力する。図2はデータ符号化部152で使用される符号則の一例を示す図である。本符号則例では、情報データIFDを2ビット単位で符号化し、4ビット単位の符号化データCDDを生成する。図2に示されるように、本符号則例では、情報データIFDにおける2ビットのビット列“00”は、4ビットのビット列“1000”に変換され、ビット列“01”はビット列“0100”に変換され、ビット列“10”はビット列“0010”に変換される。そして、情報データIFDにおけるビット列“11”は、ビット列“1100”とビット列“0000”とに交互に変換される。具体的には、データ符号化部152は、入力されるビット列“11”をビット列“1100”に変換し、次に入力されるビット列“11”をビット列“0000”に変換し、その次に入力されるビット列“11”をビット列“1100”に変換し、以後同様に動作する。
【0016】
このような法則で符号化された符号化データCDDに対しては、逆の法則を用いて復号化することによって、情報データIFDを得ることができる。図3は符号化データCDDが復号化される様子を示す図である。図3に示されるように、符号化データCDDの4ビットのビット列“1000”は2ビットのビット列“00”に変換され、ビット列“0100”はビット列“01”に変換され、ビット列“0010”はビット列“10”に変換される。そして、符号化データCDDのビット列“1100”及びビット列“0000”はともにビット列“11”に変換される。
【0017】
発光部153は、例えばLEDで構成されており、発光制御部154による符号化データCDDに基づく制御により、赤外線のパルス信号LPを出力する。なお、発光部153からは可視光線や紫外線等の他の光パルス信号を出力しても良い。
【0018】
図4は符号化データCDDとパルス信号LPとの関係を示す図である。上述の図2に示されるように、データ符号化部152では、情報データIFDにおけるビット列“00”,“01”,“10”は、1ビット分だけ“1”を示す4ビットのビット列にそれぞれ変換されるため、データ符号化部152からは、1ビット分だけ“1”を示す電気信号であるパルス信号EPSが出力される。また、データ符号化部152では、情報データIFDにおけるビット列“11”は、2ビット分だけ“1”を示す4ビットのビット列に変換されるため、データ符号化部152からは、2ビット分だけ“1”を示す電気信号であるパルス信号EPLが出力される。このように、データ符号化部152では、パルス幅が小さいパルス信号EPSと、パルス幅が大きいパルス信号EPLとの2種類のパルス信号が生成される。以後、パルス信号EPSを「短パルス信号EPS」と、パルス信号EPLを「長パルス信号EPL」と呼ぶ。
【0019】
本実施の形態では、発光制御部154に短パルス信号EPSが入力されている間、発光制御部154による発光部153の制御によって、発光部153からは周期Tの複数のパルス信号LPが出力される。同様に、発光制御部154に長パルス信号EPLが入力されている間、発光制御部154による発光部153の制御によって、発光部153からは周期Tの複数のパルス信号LPが出力される。
【0020】
ここで、短パルス信号EPSのパルス幅EPWSは(NS×T)に設定されており、長パルス信号EPLのパルス幅EPWLは(NL×T)に設定されている。NS及びNLはともに3以上の整数であって、NS<NLである。発光部153は、発光制御部154に短パルス信号EPSが入力されている間、周期Tで、NSよりも少ない数だけ点灯する。これにより、発光制御部154に短パルス信号EPSが入力されている間に発光部153から出力されるパルス信号LPのパルス数PNSはNSよりも小さくなる。同様に、発光部153は、発光制御部154に長パルス信号EPLが入力されている間、周期Tで、NLよりも少ない数だけ点灯する。これにより、発光制御部154に長パルス信号EPLが入力されている間に発光部153から出力されるパルス信号LPのパルス数PNLはNLよりも小さくなる。
【0021】
このように、発光制御部154が符号化データCDDに基づいて発光部153を制御することによって、短パルス信号EPSは、NSよりも少ない数のパルス信号LPに変換され、長パルス信号EPLは、NLよりも少ない数のパルス信号LPに変換される。そして、これらの複数のパルス信号LPは、送信装置150と受信装置160との間の伝送路TLに直列出力される。本実施の形態では、図4に示されるように、NS=4であって、短パルス信号EPSは(NS−1)個のパルス信号LP、つまり3つのパルス信号LPに変換される。一方で、長パルス信号EPLに関しては、NL=8であって、長パルス信号EPLは(NL−1)個のパルス信号LP、つまり7つのパルス信号LPに変換される。
【0022】
以上のように、パルス幅(NS×T)の短パルス信号EPSを、NSよりも少ない数のパルス信号LPに変換することによって、当該パルス信号LPのパルス数PNSは少なくなる。同様に、パルス幅(NL×T)の長パルス信号EPLを、NLよりも少ない数のパルス信号LPに変換することによって、当該パルス信号LPのパルス数PNLは少なくなる。したがって、発光部153での発光時間が短くなり、送信装置150の消費電力を低減することができる。
【0023】
次に受信装置160について詳細に説明する。図1に示されるように、受信装置160は、パルス再生装置165と、データ復号化部163と、データ解析部164とを備えている。パルス再生装置165は、受光部161及びパルス再生部162を有しており、送信装置150からのパルス信号LPに基づいて、送信装置150で生成された短パルス信号EPS及び長パルス信号EPLを再生する。
【0024】
受光部161には、送信装置150からのパルス信号LPが伝送路TLを通じて入力される。受光部161は、例えばフォトダイオード及び増幅器で構成されており、入力されたパルス信号LPを電気信号に変換してパルス信号REPとしてパルス再生部162に直列出力する。このように、受光部161は、光パルス信号たるパルス信号LPを電気信号に変換する光電気変換部として機能する。
【0025】
パルス再生部162は、入力されたパルス信号REPから、短パルス信号EPS及び長パルス信号EPLを再生してデータ復号化部163に出力する。短パルス信号EPS及び長パルス信号EPLを再生することによって、送信装置150で生成された符号化データCDDを再生することができることから、パルス再生部162では符号化データCDDが再生される。そして、その再生データが再生符号化データRCDDとしてデータ復号化部163に入力される。
【0026】
データ復号化部163は、上述の図3に示される法則に従って、再生符号化データRCDDを復号化してデータ解析部164に出力する。これにより、データ復号化部163では、送信装置150で生成された情報データIFDが再生され、その再生データが再生情報データRIFDとしてデータ解析部164に入力される。データ解析部164は、再生情報データRIFDの内容を解析し、その内容に応じた動作を行う。例えば、受信装置160が表示装置を備えている場合には、当該表示装置に所定の画像を表示したり、スピーカを備えている場合には、当該スピーカから所定の音声を出力する。これにより、受信装置160は送信装置150の要求に応じた動作を行うことができる。
【0027】
次にパルス再生部162について詳細に説明する。図5はパルス再生部162の構成を示す図である。図5に示されるように、パルス再生部162は、直列入力されるパルス信号REPを並列出力する直並列変換部170と、直並列変換部170から並列出力されるパルス信号REPに基づいて、短パルス信号EPS及び長パルス信号EPLを再生すべきか否かを決定する再生決定部171と、所定のパルス幅のパルス信号を生成し、当該パルス信号を短パルス信号EPSあるいは長パルス信号EPLの再生信号として出力する再生パルス生成部172とを備えている。
【0028】
図6は直並列変換部170の構成を示す図である。図6に示されるように、直並列変換部170は、パルス整形回路170a〜170hと、遅延回路170i〜170oとを備えている。パルス整形回路170a〜170hのそれぞれは、パルス信号が入力されると、当該パネル信号を所定のパルス幅Pwに整形して出力する。パルス整形回路170a〜170hのそれぞれでは、パルス信号を出力している間に、入力信号があったとしてもその入力信号は無視され、それに応じたパルス信号は生成されない。
【0029】
遅延回路170i〜170oのそれぞれは、入力信号を所定時間遅延させて出力する。本実施の形態では、遅延回路170i〜170oのそれぞれは、入力信号を(2×Pw)遅延させて出力する。
【0030】
パルス整形回路170a及び遅延回路170iには、ぞれぞれパルス信号REPが直列入力される。遅延回路170i〜170nの出力は、それぞれ遅延回路170j〜170oに入力される。そして、遅延回路170i〜170oの出力は、それぞれパルス整形回路170b〜170hに入力される。直並列変換回路170では、パルス信号REPはパルス整形回路170aに最初に入力されるため、当該パルス整形回路170aによって、パルス信号REPの直並列変換回路170への入力を検出することができる。
【0031】
ここで、本実施の形態では、送信装置150の発光部153で生成されるパルス信号LPのパルス幅はPwに設定されている。そして、パルス信号LPの周期Tは(2×Pw)に設定されている。したがって、パルス信号LPが伝送路TLを通過する際に、そのパルス幅が変化しなければ、電気信号に変換後のパルス信号LPであるパルス信号REPのパルス幅はPwであり、その周期は(2×Pw)となる。しかしながら、実際には、パルス信号LPは伝送路TLを通過する際に変化することがあり、そのパルス幅が短くなることがある。したがって、パルス信号REPのパルス幅がPwよりも短くなることがある。
【0032】
本実施の形態では、パルス整形回路170a〜170hによってパルス信号REPを整形することができることから、パルス信号LPが伝送路TLを通過する間に、そのパルス幅が変化した場合であっても、本来のパルス幅と等しい、パルス幅Pwのパルス信号REPを得ることができる。
【0033】
受光部161から出力されたパルス信号REPは、パルス整形回路170aにそのまま入力されるとともに、遅延回路170iで(2×Pw)遅延されてパルス整形回路170bに入力される。そして、遅延後の当該パルス信号REPはパルス整形回路170bに入力されるとともに、遅延回路170jで(2×Pw)さらに遅延されてパルス整形回路170cに入力される。
【0034】
上述のようにパルス信号REPの周期は(2×Pw)であり、遅延回路170i〜170oでの遅延時間と同じである。したがって、送信装置150側で周期(2×Pw)で生成された複数のパルス信号LPが、伝送路TLで消滅することなく受信装置160にすべて入力される場合には、パルス整形回路170bから、最初に直並列変換部170に入力されたパルス信号REPが出力されると、それと同じタイミングで、パルス整形回路170aからは、次に直並列変換部170に入力されたパルス信号REPが出力される。そして、その後、最初のパルス信号REPが遅延回路170jを通ってパルス整形回路170cから出力されると、それと同じタイミングで、パルス整形回路170bからは次のパルス信号REPが出力されるとともに、パルス整形回路170aからはその次のパルス信号REPが出力される。以後同様にして、最初のパルス信号REPがパルス整形回路170hから出力される際には、当該最初のパルス信号REPがパルス整形回路170aに入力されてからパルス整形回路170hに入力されるまでの間に直並列変換部170に入力されるパルス信号REPが、パルス整形回路170a〜170gから同時に出力されるようになる。パルス整形回路170a〜170hの出力信号は、それぞれ信号SA〜SHとして再生決定部171に入力される。
【0035】
このように、本実施の形態に係る直並列変換部170は、あるパルス信号REPの入力がパルス整形回路170aで検出されると、その検出タイミングから所定時間内に直列入力されるパルス信号REP(当該あるパルス信号REPを含む)を並列出力するように動作する。本実施の形態では、7つの遅延回路170i〜170oが設けられており、それぞれでの遅延時間が(2×Pw)に設定されていることから、直並列変換部170は、あるパルス信号REPの入力の検出タイミングから(7×2×Pw)の間に直列入力されるパルス信号REP(当該あるパルス信号REPを含む)を並列出力することになる。
【0036】
上述のように、送信装置150では、短パルス信号EPSは周期(2×Pw)の3つのパルス信号LPに変換される。したがって、これらの3つのパルス信号LPが受信装置160に直列入力される場合には、当該3つのパルス信号LPのうちの先頭のパルス信号LPに相当するパルス信号REPが、直並列変換部170におけるパルス整形回路170hから出力されると、それと同時に、それ以降の2つのパルス信号REPがパルス整形回路170f,170gからそれぞれ出力される。
【0037】
一方で、送信装置150では長パルス信号EPLは周期(2×Pw)の7つのパルス信号LPに変換される。したがって、これらの7つのパルス信号LPが受信装置160に直列入力される場合には、当該7つのパルス信号LPのうちの先頭のパルス信号LPに相当するパルス信号REPが、パルス整形回路170hから出力されると、それと同時に、それ以降の6つのパルス信号REPがパルス整形回路170b〜170gからそれぞれ出力される。
【0038】
次に再生決定部171について詳細に説明する。図7は再生決定部171の構成を示す図である。図7に示されるように、再生決定部171は、AND回路171a〜171mと、OR回路171n〜171sと、遅延回路171t〜171wとを備えている。AND回路171aは信号SA,SBの論理積を演算して出力し、AND回路171bは信号SA,SCの論理積を演算して出力し、AND回路171cは信号SB,SCの論理積を演算して出力する。AND回路171dは信号SA,SDの論理積を演算して出力し、AND回路171eは信号SB,SDの論理積を演算して出力し、AND回路171fは信号SC,SDの論理積を演算して出力する。
【0039】
AND回路171gは信号SE,SFの論理積を演算して出力し、AND回路171hは信号SE,SGの論理積を演算して出力し、AND回路171iは信号SF,SGの論理積を演算して出力する。AND回路171jは信号SE,SHの論理積を演算して出力し、AND回路171kは信号SF,SHの論理積を演算して出力し、AND回路171lは信号SG,SHの論理積を演算して出力する。
【0040】
OR回路171nはAND回路171b,171cの出力信号の論理和を演算して出力し、OR回路171oはAND回路171d〜171fの出力信号の論理和を演算して出力する。OR回路171pはAND回路171h,171iの出力信号の論理和を演算して出力し、OR回路171qはAND回路171j〜171lの出力信号の論理和を演算して出力する。
【0041】
遅延回路171tはAND回路171aの出力信号を(4×Pw)遅延して出力し、遅延回路171uはOR回路171nの出力信号を(2×Pw)遅延して出力する。遅延回路171vはAND回路171gの出力信号を(4×Pw)遅延して出力し、遅延回路171wはOR回路171pの出力信号を(2×Pw)遅延して出力する。
【0042】
OR回路171rは、遅延回路171tの出力信号STと、遅延回路171uの出力信号SUと、OR回路171oの出力信号SOとの論理和を演算して出力し、OR回路171sは、遅延回路171vの出力信号SVと、遅延回路171wの出力信号SWと、OR回路171qの出力信号SQとの論理和を演算して出力する。そして、AND回路171mは、OR回路171rの出力信号SRと、OR回路171sの出力信号JS1との論理積を演算して出力する。AND回路171mの出力信号JS0及びOR回路171sの出力信号JS1は再生パルス生成部172に入力される。
【0043】
以上のような構成を成す再生決定部171では、パルス整形回路170a〜170dの少なくとも2つから同時にパルス信号REPが出力されると、つまり、信号SA〜SDの少なくとも2つが同時にHighレベルとなると、OR回路171rの出力はHighレベルとなる。また、パルス整形回路170e〜170hの少なくとも2つから同時にパルス信号REPが出力されると、つまり、信号SE〜SHの少なくとも2つが同時にHighレベルとなると、OR回路171sの出力はHighレベルとなる。そして、OR回路171r,171sの出力が同時にHighレベルとなると、AND回路171mの出力はHighレベルとなる。
【0044】
本実施の形態では、AND回路171mからの出力信号JS0及びOR回路171sからの出力信号JS1は、長パルス信号EPL及び短パルス信号EPSを再生すべきか否かを示す信号として機能する。つまり、再生決定部171は、長パルス信号EPLを再生すべきと決定すると、出力信号JS0,JS1をともにHighレベルに設定し、短パルス信号EPSを再生すべきと決定すると、出力信号JS0をLowレベル、出力信号JS1をHighレベルに設定する。したがって、再生パルス生成部172では、出力信号JS0,JS1がともにHighレベルとなると長パルス信号EPLが再生され、出力信号JS1のみがHighレベルとなると短パルス信号EPSが再生される。
【0045】
図8は再生パルス生成部172の構成を示す図である。図8に示されるように、再生パルス生成部172は、ワンショットパルス発生回路172a,172bと、OR回路172cとを備えている。ワンショットパルス発生回路172aは出力信号JS0がHighレベルになると、そのタイミングから(14×Pw)の間Highレベルを示すパルス信号REPLを出力する。つまり、ワンショットパルス発生回路172aは、出力信号JS0の立ち上がりタイミングに応じてパルス幅(14×Pw)のパルス信号REPLを出力する。ワンショットパルス発生回路172bは出力信号JS1がHighレベルとなると、そのタイミングから(7×Pw)の間Highレベルを示すパルス信号REPSを出力する。つまり、ワンショットパルス発生回路172bは、出力信号JS1の立ち上がりタイミングに応じてパルス幅(7×Pw)のパルス信号REPSを出力する。OR回路172cは、ワンショットパルス発生回路172a,172bの出力信号の論理和を演算して信号SZとして出力する。なお、ワンショットパルス発生回路172a,172bのそれぞれでは、パルス信号を出力している間に、入力信号が新たに立ち上がったとしても、その立ち上がりは無視され、それに応じたパルス信号は生成されない。
【0046】
このような構成を有する再生パルス生成部172では、出力信号JS0,JS1が同時にHighレベルとなると、OR回路172cからはパルス幅の大きいパルス信号REPLが長パルス信号EPLの再生信号として出力される。一方で、出力信号JS1のみがHighレベルとなると、OR回路172cからはパルス幅の小さいパルス信号REPSが短パルス信号EPSの再生信号として出力される。以後、パルス信号REPLを「長パルス再生信号REPL」と、パルス信号REPSを「短パルス再生信号REPS」と呼ぶ。
【0047】
上述のように、送信装置150では、短パルス信号EPSが3つのパルス信号LPに変換されるが、当該3つのパルス信号LPのうち少なくとも2つが受信装置160に直列入力され、それらのうちの先頭のパルス信号LPに対応するパルス信号REPがパルス整形回路170hから出力されると、再生決定部171では出力信号JS0がLowレベル、出力信号JS1がHighレベルとなる。つまり、再生決定部171では、直並列変換部170から並列出力される、短パルス信号EPSに起因するパルス信号REPの数が2以上の場合には、短パルス信号EPSを再生すべきと決定される。
【0048】
図9〜12は短パルス信号EPSを再生する際のパルス再生部162の動作を示す図である。図9は短パルス信号EPSが変換された3つのパルス信号LPのすべてが受信装置160に直列入力された場合の動作を、図10は当該3つのパルス信号LPのうち先頭のパルス信号LPが消滅した場合の動作を、図11は当該3つのパルス信号LPのうち2番目のパルス信号LPが消滅した場合の動作を、図12は当該3つのパルス信号LPのうち最後のパルス信号LPが消滅した場合の動作をそれぞれ示している。
【0049】
図9,11,12に示される例では、タイミングt1〜t8の間に直並列変換部170に直列入力された、短パルス信号EPSに起因する複数のパルス信号REPが、タイミングt8において直並列変換部170から並列出力されている。そして、タイミングt8において、出力信号JS0がLowレベル、出力信号JS1がHighレベルとなり、再生パルス生成部172から短パルス再生信号REPSが出力されている。
【0050】
一方で、図10に示されるように、先頭のパルス信号LPが消滅した場合には、タイミングt2〜t9の間に直並列変換部170に直列入力された、短パルス信号EPSに起因する複数のパルス信号REPが、タイミングt9において直並列変換部170から並列出力されている。そして、図9,11,12の例よりも(2×Pw)遅れたタイミングt9において、出力信号JS0がLowレベル、出力信号JS1がHighレベルとなり、再生パルス生成部172から短パルス再生信号REPSが出力されている。これは、先頭のパルス信号LPの消滅により、直並列変換部170にパルス信号REPが最初に入力されるタイミングが(2×Pw)遅れるからである。
【0051】
長パルス信号EPLについては、短パルス信号EPSとは異なった条件で再生される。長パルス信号EPLが変換される7つのパルス信号LPにおいて、先頭から4つのパルス信号LPのうちの少なくとも2つが受信装置160に入力され、残りの3つのパルス信号LPのうちの少なくとも2つが受信装置160に入力された場合には、基本的には、長パルス信号EPLが再生される。ただし、このような場合であっても、再生決定部171のOR回路171r,171sの出力信号が同時にHighレベルとならない場合には、長パルス信号EPLは再生されない。
【0052】
例えば、長パルス信号EPLに起因する7つのパルス信号LPのうち、2番目のパルス信号LPと、5番目のパルス信号LPとが消滅した場合には、OR回路171r,171sの出力信号が同時にHighレベルとなることはないため、長パルス信号EPLは再生されない。また、当該7つのパルス信号LPのうち、先頭のパルス信号LPと、7番目のパルス信号LPとが消滅した場合にも、OR回路171r,171sの出力信号が同時にHighレベルとなることはないため、長パルス信号EPLは再生されない。また、先頭と2番目のパルス信号LPが消滅した場合には、5〜7番目のパルス信号LPの有無に関わらず、OR回路171r,171sの出力信号が同時にHighレベルとなることはなく、長パルス信号EPLは再生されない。
【0053】
このように、本実施の形態では、長パルス信号EPLについては、短パルス信号EPSとは大きく異なった条件で再生される。これは、短パルス信号EPSを再生する際に必要な回路と同じ回路を使用して長パルス信号EPLを再生しているからである。図7に示されるように、本実施の形態では、AND回路171g〜171l、OR回路171p,171q,171s及び遅延回路171v,171wで構成される、短パルス信号EPSを再生する際に必要な回路と、AND回路171a〜171f、OR回路171n,171o,171r及び遅延回路171t,171uで構成される、長パルス信号EPLを再生する際に必要な回路とは、全く同じ回路構成となっている。したがって、回路構成上の利点を考慮しなければ、短パルス信号EPSを再生する場合と同様に、直並列変換部170から並列出力される、長パルス信号EPLに起因するパルス信号REPの数が所定数(例えば4つ)よりも大きい場合には必ず長パルス信号EPLを再生するようにパルス再生部162を構成しても良い。
【0054】
図13に長パルス信号EPLを再生する際のパルス再生部162の動作を示す。図13では、長パルス信号EPLに起因する7つのパルス信号LPのすべてが受信装置160に入力される場合でのパルス再生部162の動作を示している。図13に示されるように、タイミングt1〜t8の間に直並列変換部170に直列入力された7つのパルス信号REPは、タイミングt8において直並列変換部170から並列出力されている。そして、タイミングt8において、出力信号JS0,JS1の両方がHighレベルとなり、再生パルス生成部172から長パルス再生信号REPLが出力されている。
【0055】
以上のように、本実施の形態では、直並列変換部170から並列出力される、短パルス信号EPSに起因するパルス信号REPの数に基づいて、短パルス信号EPSを再生すべきか否かを決定している。したがって、直並列変換部170に直列入力された、短パルス信号EPSに起因するパルス信号REPが、直並列変換部170から並列出力された時点で(図9,11,12の例ではタイミングt8、図10の例ではタイミングt9)、短パルス信号EPSの再生を決定することができる。よって、本実施の形態のように、短パルス信号EPSを再生するタイミングのずれを低減することができる。その結果、受信データの抜けや受信データの二度読み等を抑制することができ、再生符号化データRCDDを正確に復号化することができる。
【0056】
先頭のパルス信号REPが存在する図9,11,12に示される例では、同一のタイミングで短パルス信号EPSが再生されている。先頭のパルス信号LPが消滅した場合であっても、(2×Pw)の遅延だけで短パルス信号EPSを再生することができる。この(2×Pw)の遅延時間は、短パルス信号EPSのパルス幅EPWS(=4×2×Pw)と比較すると小さい値であるため、データ復号化部163において情報データIFDを再生する際にはほとんど問題とならない。
【0057】
さらに、本実施の形態では、パルス信号REPの数に基づいて短パルス信号EPSを再生すべきかどうかを決定しているため、伝送路TLで不要なパルス信号LPが発生した場合であっても、誤って短パルス信号EPSを再生することを防止できるとともに、異なったパルス幅のパルス信号LPが受信装置160に入力されたとしても短パルス信号EPSを再生することができる。また、送信装置150側において生成される複数のパルス信号LPのうち、その一部が伝送路TLで消滅した場合であっても、短パルス信号EPSを確実に再生することができる。
【0058】
また、本実施の形態では、直並列変換部170からはパルス信号REPが整形して出力されるため、伝送路TLでパルス信号LPのパルス幅が変化した場合であっても、再生決定部171は、パルス信号REPの数を正確に判定することができる。よって、誤って短パルス信号EPSを再生することを抑制できる。
【0059】
なお、本実施の形態に係る送信装置150では、短パルス信号EPS及び長パルス信号EPLを複数の光パルス信号に変換していたが、複数の電気パルス信号に変換しても良い。この場合には、受信装置160において光信号を電気信号に変換する受光部161が不要となる。
【0060】
また、本実施の形態では、短パルス信号EPS及び長パルス信号EPLの2種類のパルス信号を再生しているが、送信側で生成された1種類のパルス信号だけを受信側で再生する場合には、パルス再生部162の構成を簡素化することができる。例えば、短パルス信号EPSだけを再生する場合には、直並列変換部170のパルス整形回路170a〜170d及び遅延回路170i〜170lと、再生決定部171のAND回路171a〜171f,171m、OR回路171n,171o,171r及び遅延回路171t,171uと、再生パルス生成部172のワンショットパルス発生回路172a及びOR回路172cとが不要となる。
【0061】
<パルス再生部の変形例>
次に、パルス再生部162の他の構成例について説明する。図14〜16は、直並列変換回路170、再生決定部171及び再生パルス生成部172の変形例をそれぞれ示す図である。以下では、直並列変換回路170、再生決定部171及び再生パルス生成部172の変形例をそれぞれ「直並列変換回路270」、「再生決定部271」及び「再生パルス生成部272」と呼ぶ。
【0062】
図14に示されるように、直並列変換回路270は、フリップフロップ回路270a〜270kと、OR回路270l〜270oと、クロック発生器270pとを備えている。クロック発生器270pから出力されるクロック信号CLK1のデューティー比は50%に設定されており、その周期はPwの1/2倍に設定されている。したがって、Pw=400nsであれば、クロック信号CLK1の周期は200nsとなる。
【0063】
フリップフロップ回路270a〜270jのそれぞれは、自身のデータ入力端子Dに入力される信号をクロック信号CLK1の立ち上がりで保持して出力する。一方で、フリップフロップ回路270kは、自身のデータ入力端子Dに入力される信号をクロック信号CLK1の立ち下がりで保持して出力する。フリップフロップ回路270a,270kのそれぞれのデータ入力端子Dにはパルス信号REPが入力される。OR回路270mは、フリップフロップ回路270a,270kの出力信号の論理和を演算して出力し、OR回路270mの出力信号は、フリップフロップ回路270bのデータ入力端子Dに入力される。フリップフロップ回路270b〜270jはこの順で直列接続されており、前段からの出力信号をクロック信号CLK1の立ち上がりで保持して出力する。OR回路270lは、OR回路270mの出力信号と、フリップフロップ回路270bの出力信号との論理和を演算して出力する。OR回路270nは、フリップフロップ回路270e,270fの出力信号の論理和を演算して出力する。OR回路270oは、フリップフロップ回路270i,270jの出力信号の論理和を演算して出力する。
【0064】
なお、フリップフロップ回路270a,270kの出力信号をそれぞれ信号SSA,SSBとし、OR回路270mの出力信号を信号SSCとする。また、フリップフロップ回路回路270b〜270jの出力信号をそれぞれ信号SSD〜SSLとする。そして、OR回路270l,270n,270oの出力信号をそれぞれ信号SSM、SSN,SSOとする。
【0065】
再生決定部271は、図15に示されるように、AND回路271a,271bと、OR回路271cとを備えている。AND回路271aは、信号SSMと信号SSOとの論理積を演算して、その結果を信号SSPとして出力する。AND回路271bは、信号SSNと信号SSOとの論理積を演算して、その結果を信号SSQとして出力する。そして、OR回路271cは、信号SSPと信号SSQとの論理和を演算して、その結果を信号SSRとして出力する。
【0066】
再生パルス生成部272は、図16に示されるように、フリップフロップ回路272a〜272dと、OR回路272e〜272hと、クロック発生器272iとを備えている。クロック発生器272iから出力されるクロック信号CLK2のデューティー比は50%に設定されており、その周期はPwの2倍に設定されている。したがって、Pw=400nsであれば、クロック信号CLK2の周期は800nsとなる。このように、クロック信号CLK2の周波数はクロック信号CLK1の周波数の1/4倍となっている。
【0067】
フリップフロップ回路272a〜272cのそれぞれは、自身のデータ入力端子Dに入力される信号をクロック信号CLK1の立ち上がりで保持して出力する。一方で、フリップフロップ回路272dは、自身のデータ入力端子Dに入力される信号をクロック信号CLK2の立ち上がりで保持して出力する。フリップフロップ回路272aのデータ入力端子Dには信号SSRが入力される。フリップフロップ回路272a〜272cはこの順で直列接続されており、前段からの出力信号をクロック信号CLK1の立ち上がりで保持して出力する。
【0068】
OR回路272eは、信号SSRとフリップフロップ回路272aの出力信号たる信号SSSとの論理和を演算して出力し、OR回路272fは、フリップフロップ回路272bの出力信号たる信号SSTと、フリップフロップ回路272cの出力信号たる信号SSUとの論理和を演算して出力する。そして、OR回路272gは、OR回路272e,272fの出力信号の論理和を演算して、その結果を信号SSVとして出力する。
【0069】
フリップフロップ回路272dのデータ入力端子Dには信号SSVが入力されている。OR回路272hは、信号SSVと、フリップフロップ回路272dの出力信号たる信号SSWとの論理和を演算して、その結果を信号SSXとして出力する。
【0070】
次に、図14〜16に示されるパルス再生部162の変形例の動作について説明する。図17〜20は短パルス信号EPSを再生する際のパルス再生部162の変形例の動作を示す図である。図17は短パルス信号EPSが変換された3つのパルス信号LPのすべてが受信装置160に直列入力された場合の動作を、図18は当該3つのパルス信号LPのうち先頭のパルス信号LPが消滅した場合の動作を、図19は当該3つのパルス信号LPのうち2番目のパルス信号LPが消滅した場合の動作を、図20は当該3つのパルス信号LPのうち最後のパルス信号LPが消滅した場合の動作をそれぞれ示している。
【0071】
図14に示される直並列変換回路270は、クロック信号CLK1の立ち上がりあるいは立ち下がりでパルス信号REPの入力を検出することができる。直並列変換回路270は、パルス信号REPの入力を検出すると、信号SSCを所定の時間Highレベルとする。つまり、直並列変換回路270では、パルス信号REPの入力が検出されると、OR回路270mからパルス信号が出力される。
【0072】
図17,19,20に示される例では、クロック信号CLK1のある立ち上がりのタイミングta1よりも少し前に最初のパルス信号REPが直並列変換回路270に入力されており、直並列変換回路270は、タイミングta1において、当該最初のパルス信号REPの入力を検出し、信号SSCをHighレベルとしている。
【0073】
一方で、図18に示される例では、短パルス信号EPSが変換された3つのパルス信号LPのうち先頭のパルス信号LPが消滅しているため、タイミングta1よりも(2×Pw)遅れたタイミング、つまりタイミングta5よりも少し前に最初のパルス信号REPが直並列変換回路270に入力されており、直並列変換回路270は、タイミングta5において、当該最初のパルス信号REPの入力を検出している。
【0074】
直並列変換回路270では、あるパルス信号REPの入力を検出すると、その検出タイミングから(4×Pw)の間に直列入力されるパルス信号REP(当該あるパルス信号REPを含む)をOR回路270l,270n,270oから並列出力する。このとき、パルス信号REPは所定のパルス幅に整形されて出力される。図17〜20の信号SSM,SSN,SSOに示されるように、直並列変換回路270からは、パルス幅が(7/4×Pw)であるパルス信号REPが出力される。
【0075】
図17,19,20に示される例では、タイミングta1でパルス信号REPが最初に検出され、そのタイミングta1から(4×Pw)の間、つまりタイミングta1からタイミングta9の間に直列入力されるパルス信号REPを、OR回路270l,270n,270oからタイミングta9において並列出力している。
【0076】
一方で、図18に示される例では、タイミングta5でパルス信号REPが最初に検出され、そのタイミングta5から(4×Pw)の間、つまりタイミングta5からタイミングta13の間に直列入力されるパルス信号REPを、OR回路270l,270n,270oからタイミングta13において並列出力している。
【0077】
再生決定部271では、直並列変換回路270から2つ以上のパルス信号REPが並列出力されると、つまり、信号SSM,SSN,SSOの少なくとも2つが同時にHighレベルとなると、短パルス信号EPSを再生すべきと決定し、信号SSRをHighベルとする。そして、再生パルス生成部272は、信号SSRがHighレベルとなると、パルス幅の短いパルス信号を生成し、これを短パルス信号EPSの再生信号としてAND回路272hから出力する(信号SSX参照)。
【0078】
短パルス信号EPSの再生信号として、図17に示される例ではPwの(29/4)倍のパルス幅のパルス信号が生成され、図18〜20に示される例ではPwの(21/4)倍のパルス幅のパルス信号が生成される。このように、図17に示される例と、図18〜20に示される例とでは、短パルス信号EPSの再生信号のパルス幅に(2×Pw)の差が生じているが、この差は短パルス信号EPSのパルス幅EPWSと比べて小さいため、データ復号化部163において情報データIFDを再生する際にはほとんど問題とならない。
【0079】
図14〜17に示されるパルス再生部162の変形例において、長パルス信号EPLも再生することができる。図21は、長パルス信号EPLを再生する際のパルス再生部162の変形例の動作を示す図である。図21では、長パルス信号EPLに起因する7つのパルス信号LPのすべてが受信装置160に入力される場合でのパルス再生部162の変形例の動作を示している。図21に示されるように、直並列変換回路270に長パルス信号EPLに起因する7つのパルス信号EPSが入力されると、再生パルス生成部172のOR回路272hからは、図17〜20に示される例よりもパルス幅の大きいパルス信号が長パルス信号EPLの再生信号として出力される(信号SSX参照)。
【0080】
なお、図14に示される直並列変換回路270では、フリップフロップ回路270a,270kに対してPwの1/2倍周期のクロック信号CLK1を供給していたが、図22に示されるように、Pwの1/4倍周期のクロック信号CLK3、つまりクロック信号CLK1に対して倍速のクロック信号CLK3を供給できるように直並列変換回路270を構成しても良い。図22に示されるように、クロック発生器270pから、Pwの1/2倍周期のクロック信号CLK1だけではなく、Pwの1/4倍周期のクロック信号CLK3を出力させる。そして、クロック信号CLK1,CLK3のどちらか一方を選択して出力するスイッチ回路270qを設けて、当該スイッチ回路270qの出力信号をフリップフロップ回路270a,270kにクロック信号として供給する。これにより、フリップフロップ回路270a,270kに供給するクロック信号を、Pwの1/2倍周期のクロック信号CLK1から、Pwの1/4倍周期のクロック信号CLK3に切り替えることができる。
【0081】
また、直並列変換回路270を図23に示されるような回路で構成しても良い。図23に示されるように、クロック発生器270pからは、クロック信号CLK1のみならず、Pwの1/8倍周期のクロック信号CLK4が出力される。フリップフロップ回路270r〜270uはこの順で直列接続されており、前段からの出力信号をクロック信号CLK4の立ち上がりで保持して出力する。最終段のフリップフロップ回路270uは、保持した信号をそのまま非反転出力信号として出力するとともに、当該信号を反転して反転出力信号として出力する。フリップフロップ回路270rは、フリップフロップ回路270uの反転出力信号をクロック信号CLK4の立ち上がりで保持して出力する。
【0082】
フリップフロップ回路270a1,270a2,270k1,270k2のそれぞれのデータ入力端子Dには、パルス信号REPが入力される。フリップフロップ回路270a1は、自身のデータ入力端子Dに入力される信号を、フリップフロップ回路270rの出力信号の立ち上がりで保持して出力する。フリップフロップ回路270a2は、自身のデータ入力端子Dに入力される信号を、フリップフロップ回路270sの出力信号の立ち上がりで保持して出力する。フリップフロップ回路270k1は、自身のデータ入力端子Dに入力される信号を、フリップフロップ回路270tの出力信号の立ち上がりで保持して出力する。フリップフロップ回路270k2は、自身のデータ入力端子Dに入力される信号を、フリップフロップ回路270uの非反転出力信号の立ち上がりで保持して出力する。そして、OR回路270mは、フリップフロップ回路270a1,270a2,270k1,270k2の出力信号の論理和を演算して信号SSCとして出力する。その他の構成について、図14に示される構成と同様である。
【0083】
以上のように、Pwの1/8倍周期のクロック信号CLK4、つまりクロック信号CKL1に対して4倍速のクロック信号CLK4を使用して直並列変換回路を構成することができる。
【0084】
<本発明の適用例>
次に、本発明に係る送信装置150及び受信装置160を使用したシステム例について説明する。以下では、スーパーマーケット等に導入される電子棚札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)に、送信装置150及び受信装置160を使用した場合について説明する。
【0085】
図24は、本実施の形態に係る電子棚札システムが備える電子棚札が、店舗の商品棚に配置された様子を示す図である。電子棚札システムにおいては、売価などの商品情報を表示する可搬性の電子棚札が、各商品に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を含む通信信号が、情報を配信する配信側装置から各電子棚札に送信され、その売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【0086】
図24に示されるように、商品棚60はフェース61と呼ばれる空間に区分され、各フェース61には同一種の商品6が集約されて載置される。商品棚60のフレーム62には、各フェース61に対応する位置にそれぞれ、電子棚札5が取り付けられている。すなわち、電子棚札5はそれぞれ一の商品6(正確には、一の商品の種類)に対応づけられ、その対応する商品6の近傍(一般的には、商品6の下側)のフレーム62に配置される。各電子棚札5はそれぞれディスプレイを備えており、ディスプレイには対応する商品6の売価が表示される。当該店舗の顧客(消費者)は、このような電子棚札5の表示により商品6の売価を認識する。
【0087】
電子棚札5は可搬性の装置であり、商品6の配置変更に対応できるように、フレーム62から取り外して別の位置に再配置することも可能とされている。本実施の形態においては、図24に示すような商品棚60が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
【0088】
図25は、店舗に適用される、電子棚札システム1を含む店舗情報システム100の構成例を示す図である。図25に示されるように、店舗情報システム100は、電子棚札システム1とともに、ストアコントローラ2及びPOSシステム3を備えている。POSシステム3が備えるPOSサーバ31、及び、電子棚札システム1が備えるESLサーバ10は、LAN21を介してストアコントローラ2に接続されている。これにより、ストアコントローラ2、POSシステム3及び電子棚札システム1の相互間でデータ通信が可能とされている。
【0089】
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、店舗情報システム100を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、当該店舗を統括管理する本部センターに配置されたサーバ装置等のコンピュータと通信可能とされている。
【0090】
POSシステム3は、商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ32を備えている。POSサーバ31とレジスタ32とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【0091】
POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、売価などの商品に係る各種の情報を示す商品マスタ301が記憶されている。複数のレジスタ32のそれぞれにおいては、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。
【0092】
店舗内の全商品に係る情報は、この商品マスタ301により一元的に管理されている。商品マスタ301に記載される情報には、商品の識別情報となる「商品コード」、商品の名称である「商品名」、通常の売価である「通常価格」、特売における売価である「特売価格」、特売を実施する期間である「特売期間」等が含まれている。
【0093】
電子棚札システム1は、上述した複数の電子棚札5と、電子棚札5に表示すべき商品の「売価」を配信する配信側装置40とに大別される。
【0094】
配信側装置40は、電子棚札システム1を統括的に管理するサーバ装置であるESLサーバ10と、複数の通信装置4とを備えて構成される。ESLサーバ10と複数の通信装置4とは、専用の通信ケーブル22を介して相互に接続されており、相互間でデータ通信が可能とされている。各通信装置4は電子棚札5と赤外線通信を行う。通信装置4は、販売スペース内に配置された全ての電子棚札5と通信可能なように、販売スペースの天井などに略一定距離ごとに配置される。
【0095】
ESLサーバ10のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図26はESLサーバ10の構成を示す図である。ESLサーバ10は、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、キーボード及びマウスなどで構成される入力部16、LAN21を介したデータ通信機能を有するデータ通信部17、並びに、通信装置4と通信するためのインターフェイス18を備えている。電子棚札5に送信すべき「売価」を示す信号はインターフェイス18を介して通信装置4に伝達される。
【0096】
ESLサーバ10のハードディスク14には、専用のプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってCPU11が演算処理を行うことにより、ESLサーバ10としての各種機能が実現される。また、ESLサーバ10のハードディスク14には、商品に係る各種の情報(商品データ)を示すデータファイルである商品ファイル101が記憶されている。
【0097】
図27は、商品ファイル101の例を示す図である。図27に示されるように、商品ファイル101はテーブル形式となっており、レコード102のそれぞれが一の商品に係る情報を示している。具体的には、各レコード102ごとに「商品コード」、「商品名」、「通常価格」、「特売価格」及び「特売期間」等が登録されている。これらの情報は、上述したPOSシステム3に記憶された商品マスタ301と同様の情報であり、ESLサーバ10とPOSシステム3との通信により商品マスタ301の情報に基づいて登録される。このため、商品ファイル101の情報と商品マスタ301の情報とは内容が一致される。
【0098】
商品ファイル101の各レコード102には、さらに、電子棚札システム1が備える複数の電子棚札5のそれぞれに固有のハードウェアIDである一の「相手先コード」が登録される。これにより、商品と電子棚札5とが一対一の関係でデータ的に対応づけられる(リンク付けされる)。この「相手先コード」が利用されることにより、ある商品の「売価」が、その商品に対応する電子棚札5に対して送信されるようになっている。
【0099】
次に通信装置4について詳細に説明する。図28は通信装置4の構成を示す図である。図28に示されるように、各通信装置4は、データ符号化部41と、発光制御部42と、発光部43と、受光部44と、パルス再生部45と、データ復号化部46とを備えている。データ符号化部41、発光制御部42、発光部43、受光部44、パルス再生部45及びデータ復号化部46は、それぞれ上述のデータ符号化部152、発光制御部154、発光部153、受光部161、パルス再生部162及びデータ復号化部163と同様の機能を有している。なお、本実施の形態に係る電子棚札システム1では、ESLサーバ10が上述のデータ生成部151及びデータ解析部164と同様の機能を有している。
【0100】
データ符号化部41は、ESLサーバ10から与えられる「売価」を示すデータを上述の図2に示される符号則で符号化して発光制御部42に出力する。発光制御部42は、上述の発光制御部154と同様に、入力された符号化データに基づいて発光部43を制御して、当該発光部43から赤外線の所定周波数のパルス信号LP1を出力させる。これにより、データ符号化部41で生成された符号化データに含まれる短パルス信号EPSは赤外線の3つのパルス信号LP1に変換され、当該符号化データに含まれる長パルス信号EPLは赤外線の7つのパルス信号LP1変換される。発光部43から出力されたパルス信号LP1は電子棚札5に入力される。
【0101】
受光部44は、電子棚札5から出力される赤外線のパルス信号LP2を受信する。このパルス信号LP2はパルス信号LP1と同様にして生成される。受光部44は、赤外線のパルス信号LP2を電気信号に変換してパルス信号REP2としてパルス再生部45に出力する。パルス再生部45は、入力されたパルス信号REP2から、電子棚札5で生成された短パルス信号EPS及び長パルス信号EPLを再生してデータ復号化部46に出力する。これにより、データ復号化部46には電子棚札5で生成された符号化データが入力される。データ復号化部46は入力された符号化データを上述の図3に示される法則に従って復号化し、電子棚札5で生成された情報データを取得して、それをESLサーバ10に出力する。
【0102】
次に、電子棚札5について詳細に説明する。図29は電子棚札5の構成を示す図である。図29に示されるように、電子棚札5の前面には、商品の「売価」を表示するためのディスプレイ51と、配信側装置40との通信を担う通信部54とが配置されている。ディスプレイ51は、例えばドットマトリクス方式の液晶ディスプレイで構成されている。
【0103】
通信部54は、赤外線のパルス信号LP2を出力する発光部52と、通信装置4からのパルス信号LP1を受信し、当該パルス信号LP1を電気信号に変換して出力する受光部53とを備えている。発光部52は通信装置4の発光部43と同様の機能を有しており、受光部53は通信装置4の受光部44と同様の機能を有している。
【0104】
ディスプレイ51の下方には、電子棚札5が対応づけられた商品に係る「商品名」及び「商品コード」を示すバーコードが印刷されたオーバレイラベル55が貼付される。ラベル類が貼付されていない電子棚札5のままでは、電子棚札5がいずれの商品に対応づけられているかの把握は困難であるが、このオーバレイラベル55により電子棚札5と商品とが視覚的に対応づけられる。
【0105】
電子棚札5はその内部に、駆動電力を供給する小型の電池56と、装置の動作を制御する集積回路で構成された制御部57とをさらに備えている。制御部57は、通信装置4のパルス再生部45及びデータ復号化部46と同様の機能を有している。制御部57は、受光部53から出力される電気信号に基づいて、通信装置4で生成された短パルス信号EPS及び長パルス信号EPLを再生して符号化データを得る。そして、制御部57は、当該符号化データを上述の図2に示される法則で復号化して情報データを得る。これにより、電子棚札5は、ESLサーバ10から「売価」を示すデータを受け取ることができる。そして、制御部57は、上述のデータ解析部164と同様の機能を有しており、受け取ったデータを解析して、当該データの内容に応じた動作を行う。
【0106】
また制御部57は、上述のデータ生成部151と、通信装置4のデータ符号化部41及び発光制御部42と同様の機能をも有している。制御部57は、「売価」を示すデータを受け取ると、その旨を示す2値データを生成し、当該データを上述の図1に示される符号則で符号化して符号化データを生成する。制御部57は、上述の発光制御部154と同様に、得られた符号化データに基づいて発光部52を制御して、当該発光部52から赤外線の所定周波数のパルス信号LP2を出力させる。これにより、制御部57で生成された符号化データに含まれる短パルス信号EPSは赤外線の3つのパルス信号LP2に変換され、当該符号化データに含まれる長パルス信号EPLは赤外線の7つのパルス信号LP2に変換される。発光部52から出力されたパルス信号LP2は通信装置4に入力される。
【0107】
また制御部57は、各種の情報を記憶するメモリ58を備えている。このメモリ58には、パルス信号LP1から得られた「売価」を示すデータや、自装置の相手先コードなどを示すデータが記憶される。制御部57は、メモリ58から「売価」を示すデータを読み出し、そのデータに基づいてディスプレイ51を制御する。その結果、ディスプレイ51には「売価」が表示される。
【0108】
次に、電子棚札5に売価が表示されるまでの電子棚札システム1の一連の動作について説明する。本実施の形態の電子棚札システム1において、配信側装置40から電子棚札5への「売価」の配信は、システム起動時、及び、電子棚札5に表示させる「売価」を更新する際などに行われる。ここで「売価」を更新する際とは、商品マスタ301の通常価格が変更されたときや、特売の実施にあたって売価を通常価格から特売価格に変更するときなどが該当する。システム起動時には、店舗内の全ての商品に関して「売価」の配信がなされる。一方、「売価」を更新する際には、対象となる商品のみに関して「売価」の配信がなされる。これにより、電子棚札5に表示される「売価」と、レジスタ32による精算時の「売価」とが常時に一致されることになる。以下では、一の商品に関しての「売価」の配信に係る動作について説明する。以下の説明において、対象となる商品を「対象商品」という。
【0109】
まず、配信側装置40のESLサーバ10において、商品ファイル101のうちの対象商品に係るレコード102が参照され、「通常価格」及び「特売価格」のうちの配信すべき「売価」、及び、「相手先コード」が取得される。ここで取得された「相手先コード」は、対象商品に対応する電子棚札5の「相手先コード」であり、また、取得された「売価」はその電子棚札5が表示すべき「売価」となる。これらの「売価」及び「相手先コード」は、電気信号として通信ケーブル22を介して通信装置4に送信される。
【0110】
この「売価」及び「相手先コード」を示す信号は通信装置4において符号化される。通信装置4は、得られた符号化データに基づいて発光部43を制御する。これにより、通信装置4から、「売価」及び「相手先コード」の情報を含むパルス信号LP1が出力される。
【0111】
通信装置4から出力されたパルス信号LP1は、電子棚札5の通信部54において受信されて電気信号に変換される。制御部57は、通信部54で得られた電気信号から「売価」及び「相手先コード」を示すデータを取得する。
【0112】
次に、制御部57は、得られた「相手先コード」が、メモリ58内に予め記憶された自装置の相手先コードと一致するか否かを判定する。このとき、その「相手先コード」が自装置のものと一致しない場合は、受信したパルス信号LP1は他の電子棚札5のための信号と判断され、そのまま処理が終了する。
【0113】
一方、「相手先コード」が自装置のものと一致した場合は、受信したパルス信号LP1は自装置のための信号と判断され、得られた「売価」に従ってディスプレイ51の表示が制御部57によって更新される。
【0114】
以上のような動作によって、配信側装置40から電子棚札5へ「売価」の配信がなされることになる。
【0115】
ディスプレイ51の表示を更新した後においては、「売価」を示すデータを正常に受け取った旨を示す情報を含むパルス信号LP2が電子棚札5の発光部52から出力される。このパルス信号LP2は通信装置4で受信されて、当該パルス信号LP2に含まれる情報がESLサーバ10に伝達される。これにより、配信側装置40のESLサーバ10は、「売価」を示すデータが電子棚札5で正常に受信されたか否かを確認できる。したがって、例えば、電子棚札5からパルス信号LP2が出力されない場合は、「売価」を示すデータが電子棚札5で正常に受信されなかったと判断して、ESLサーバ10は、パルス信号LP2が返答されるまで「売価」を示すデータを繰り返し出力するなどの処理が可能となる。これにより、電子棚札5の表示を確実に更新でき、システムの信頼性を大幅に向上できる。
【0116】
なお、本実施の形態では、本発明に係る送信装置150及び受信装置160を電子棚札システムに適用する場合について説明したが、他のシステムにも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態において符号化データが復号化される様子を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る送信装置における符号化データとパルス信号との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る直並列変換部の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る再生決定部の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る再生パルス生成部の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の動作を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の動作を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の動作を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の動作を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の動作を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る直並列変換部の変形例の構成を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る再生決定部の変形例の構成を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る再生パルス生成部の変形例の構成を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の変形例の動作を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の変形例の動作を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の変形例の動作を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の変形例の動作を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態に係るパルス再生部の変形例の動作を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態に係る直並列変換部の変形例の構成を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態に係る直並列変換部の変形例の構成を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態に係る送信装置及び受信装置が使用される電子棚札システムが備える電子棚札が配置された様子を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態に係る送信装置及び受信装置が使用される電子棚札システムを含む店舗情報システムの構成例を示す図である。
【図26】ESLサーバの構成を示す図である。
【図27】商品ファイルの例を示す図である。
【図28】通信装置の構成を示す図である。
【図29】電子棚札の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0118】
4 通信装置
10 ESLサーバ
44,53,161 受光部
45,162 パルス再生部
54 通信部
57 制御部
150 送信装置
160 受信装置
165 パルス再生装置
170,270 直並列変換部
171,271 再生決定部
172,272 再生パルス生成部
EPL,EPS,LP,REP,REPL,REPS パルス信号
TL 伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムの送信側で生成された第1のパルス信号を再生する、当該通信システムの受信側のパルス再生装置であって、
前記送信側では、前記第1のパルス信号が所定周期の複数の第2のパルス信号に変換され、当該第2のパルス信号は伝送路を通じて前記パルス再生装置に入力され、
ある前記第2のパルス信号の入力が検出されると、その検出タイミングから所定時間内に直列入力される、当該ある前記第2のパルス信号を含む前記第2のパルス信号を並列出力する直並列変換部と、
前記直並列変換部から並列出力される前記第2のパルス信号の数に基づいて、前記第1のパルス信号を再生すべきか否かを決定する再生決定部と、
前記再生決定部において前記第1のパルス信号を再生すべきと決定されると、第3のパルス信号を前記第1のパルス信号の再生信号として生成する再生パルス生成部と
を備える、パルス再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパルス再生装置であって、
前記直並列変換部は、前記第2のパルス信号を整形して並列出力する、パルス再生装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載のパルス再生装置であって、
前記第2のパルス信号は光信号であって、
前記第2のパルス信号を電気信号に変換する光電気変換部をさらに備え、
前記直並列変換部には、電気信号に変換後の前記第2のパルス信号が入力される、パルス再生装置。
【請求項4】
第1のパルス信号を生成し、当該第1のパルス信号を所定周期の複数の第2のパルス信号に変換して出力する送信装置と、
伝送路を通じて前記送信装置から入力される前記第2のパルス信号から前記第1のパルス信号を再生する受信装置と
を備え、
前記受信装置は、
ある前記第2のパルス信号の入力が検出されると、その検出タイミングから所定時間内に直列入力される、当該ある前記第2のパルス信号を含む前記第2のパルス信号を並列出力する直並列変換部と、
前記直並列変換部から並列出力される前記第2のパルス信号の数に基づいて、前記第1のパルス信号を再生すべきか否かを決定する再生決定部と、
前記再生決定部において前記第1のパルス信号を再生すべきと決定されると、第3のパルス信号を前記第1のパルス信号の再生信号として生成する再生パルス生成部と
を有する、通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2008−148227(P2008−148227A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335998(P2006−335998)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】