説明

パレタイザー

【課題】缶体の各段間にセパレートシートを1枚のみ確実に供給できるパレタイザーを提供する。
【解決手段】パレット11上に缶体12と矩形のセパレートシート13とを交互に多段に積み重ねるパレタイザー10であって、パレット11上に複数の缶体12を配置する缶体供給部20と、パレット11上に配置された缶体12上にセパレートシート13を載置するシート供給部30とを備え、シート供給部30は、複数のセパレートシート13を積み重ねた状態で保持するシート保持部と、このシート保持部から最上段のセパレートシート13を吸着パッド51により吸着し持ち上げて搬送するシート搬送部とを有し、セパレートシート13を持ち上げる際にセパレートシート13の角部に当接するシート押さえ部42が設けられるとともに、吸着パッド51はこのシート押さえ部42よりも内側でセパレートシート13を吸着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の缶体を梱包するパレタイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば有底円筒状のアルミニウム製缶体は、パレット上に多数並べた状態で多段に積み重ねて梱包した梱包体として運搬される。この梱包体において缶体の各段間には、各段の缶体を保持および保護するための仕切り板(セパレートシート)が挟み込まれる。
【0003】
このような梱包体を形成するパレタイザーは、主に、パレット上に缶体を整列配置する缶体供給部と、セパレートシートを移動させるシート供給部とを有し、缶体とセパレートシートとを順次積み重ねる。セパレートシートは、たとえばボール紙、クラフト紙、樹脂シート等からなり、複数枚を積層した状態で保管され、シート供給部の吸着パッドによって1枚ずつ吸着搬送され、整列した缶体上に供給される(特許文献1参照)。
【0004】
缶体は、梱包体として運搬された後、デパレタイザーによって開梱されて次工程の装置へ送られる。デパレタイザーは、プッシャープレート等により各段の缶体をセパレートシート上から押し出し、セパレートシートを吸着搬送して次段の缶体上から取り除く工程を順次行う(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−237819公報
【特許文献2】特開2007−106565公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セパレートシートは、パレタイザーのシート供給部において、静電気や湿度等により互いに貼り付いている場合がある。この場合、複数枚が重なった状態で吸着搬送され、そのまま缶体の段間に複数枚が供給されるおそれがある。
【0007】
一方、缶体の搬出およびセパレートシートの除去を自動で行うデパレタイザーにおいては、缶体上のセパレートシートを吸着搬送して取り除いているので、セパレートシートが複数枚重なっていても1枚しか搬送できない。したがって、セパレートシートが複数枚重なっていると、缶体上にセパレートシートが残り、次段の缶体を円滑に搬出できないおそれがある。この場合、デパレタイザーの自動工程を停止して復旧作業を行わなければならず、デパレタイザーの稼働率が低下するという問題が生じる。
【0008】
また、デパレタイザーでの工程停止を防ぐために、パレタイザーにおいてセパレートシートの二重供給を監視することも考えられる。しかしながら、パレタイザーにおけるセパレートシートおよび缶体の多段積み重ねが自動工程であるため、二重供給が生じた場合にはその梱包体を開梱しなければならず、作業効率の低下が避けられない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、缶体の各段間にセパレートシートを1枚のみ確実に供給できるパレタイザーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、パレット上に缶体と矩形のセパレートシートとを交互に多段に積み重ねるパレタイザーであって、前記パレット上に複数の前記缶体を配置する缶体供給部と、前記パレット上に配置された前記缶体上に前記セパレートシートを載置するシート供給部とを備え、前記シート供給部は、複数の前記セパレートシートを積み重ねた状態で保持するシート保持部と、このシート保持部から最上段の前記セパレートシートを吸着パッドにより吸着し持ち上げて搬送するシート搬送部とを有し、前記セパレートシートを持ち上げる際に前記セパレートシートの角部に当接するシート押さえ部が設けられるとともに、前記吸着パッドはこのシート押さえ部よりも内側で前記セパレートシートを吸着する。
【0011】
このパレタイザーによれば、セパレートシートを吸着パッドが吸着して持ち上げる際に、その下面に次のセパレートシートが密着している場合であっても、吸着されたセパレートシートの角部がシート押さえ部によって湾曲することにより、1枚目のセパレートシートと2枚目のセパレートシートとの間が離れ、2枚目のセパレートシートが分離する。したがって、1枚のみのセパレートシートを吸着搬送し、缶体上に載置することができる。
【0012】
このパレタイザーにおいて、前記シート押さえ部は、前記シート保持部上の前記セパレートシートの表面と平行でかつ側縁に対して傾斜して配置された棒状部材であることが好ましい。この場合、簡単な構成でセパレートシートの二重供給を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパレタイザーによれば、セパレートシートの二重供給を確実に防ぎ、1枚のセパレートシートだけ缶体上に載置することができるので、缶体の梱包体の生産効率や次工程でのデパレタイザーの稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のパレタイザーを示す斜視図である。
【図2】図1のパレタイザーにおけるシート供給部を示す上面図である。
【図3】図2のシート供給部におけるシート押さえ部を示す部分拡大図である。
【図4】図1のパレタイザーにおけるセパレートシートの吸着搬送工程を示す側面図である。
【図5】図1のパレタイザーにおいてシート押さえ部間をセパレートシートが通過した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るパレタイザーの実施形態について説明する。パレット11上に缶体12と矩形のセパレートシート13とを交互に多段に積み重ねて梱包体を製造する本実施形態のパレタイザー10は、パレット11上に複数の缶体12を配置する缶体供給部20と、パレット11上に配置された缶体12上にセパレートシート13を載置するシート供給部30とを備える。
【0016】
パレット11は、樹脂、金属等からなり、梱包体の台板となる板状の部材である。缶体12は、開口部を有する有底円筒状のアルミニウム合金製空缶であり、飲料が充填される容器等に用いられる。セパレートシート13は、クラフト紙、樹脂シート等からなるシート状の部材であり、その上面に缶体12を載置するとともに、多段に積み重ねられる缶体12を上限面の擦れ等による損傷から保護している。
【0017】
パレット11と、セパレートシート13を各段間に介在させてパレット11上に多段に積層された缶体12とが、熱収縮フィルム等により一体に梱包されることにより、梱包体が製造される。この梱包体の搬送は、フォークリフトなどにより行われる。
【0018】
缶体供給部20は、缶体12をパレット11へと搬送するコンベア21を有する。コンベア21上の缶体12は、図示しない移動装置によって、一定数がパレット11上へと移送される。
【0019】
パレット11は、パレット用リフター14上に配置されており、このパレット用リフター14によって任意の高さに調節可能である。すなわち、パレット用リフター14によってコンベア21の上面とパレット11上の缶体12の載置面とをほぼ同じ高さに設定し、押し出しプレート(図示せず)などによりコンベア21上からパレット11上へと缶体12を押し出すように滑らせて移動させることにより、複数の缶体12をパレット11上に容易に配置させることができる。そして、缶体12が1段積層された後に、パレット11をパレット用リフター14によって下降させることにより、順次缶体12を積層することができる。
【0020】
シート供給部30は、複数のセパレートシート13を積み重ねた状態で保持するシート保持部40と、このシート保持部40から吸着パッドによりセパレートシート13を吸着搬送するシート搬送部(図示略)とを有する。
【0021】
シート保持部40には、セパレートシート13を所定位置に保持する保持枠41と、セパレートシート13の角部を下方に向けて押さえるシート押さえ部42と、セパレートシート13の保持高さを変更するシート用リフター43とが備えられている。
【0022】
保持枠41は、略鉛直に延設された板状部材であり、セパレートシート13の各辺を押さえることにより複数枚のセパレートシート13を所定位置に保持している。
【0023】
シート押さえ部42は、セパレートシート13の表面に沿って延びる棒状部材であり、図2に示すように保持枠41に保持されたセパレートシート13の各角部を斜めに横切るように、それぞれ保持枠41に取り付けられている。シート押さえ部42は、たとえば図3に示すように、寸法1130mm×1440mmのセパレートシート13に対してa=300mm,b=210mm,c=10mm,d=30°となるように設けられる。このようにシート押さえ部42を設けることにより、棒状先端によるセパレートシート13の損傷を防止しながら、セパレートシート13を確実に湾曲させることができる。
【0024】
シート用リフター43は、セパレートシート13の保持枚数に応じて、セパレートシート13の最上面が所定の高さとなるように高さを変更することができる。このシート用リフター43により、セパレートシート13の最上面はシート押さえ部42に下方から当接するように保持される。
【0025】
シート搬送部は、セパレートシート13を吸着する吸着パッド51と、この吸着パッド51を移動させる移動装置(図示略)を有する。吸着パッド51は、シート保持部40のシート押さえ部42の内側でセパレートシート13を吸着するように設けられており、セパレートシート13を吸着した状態で上昇し、パレット11上へ移動され、缶体12上に下降して吸着を解除することにより、セパレートシート13を缶体12上に載置する。
【0026】
以上のように構成されたパレタイザー10を用いて、梱包体を製造するには、まず、所定の位置にパレット11を配置するとともに、シート供給部30のシート保持部40に複数のセパレートシート13を保持させておく。
【0027】
このパレット11上にシート供給部30によりセパレートシート13を載置し、その上に缶体供給部20により所定数の缶体12を1段整列配置する。1段分の缶体12およびセパレートシート13を配置したら、これら缶体12の上面を覆うようにセパレートシート13をシート供給部30により載置するとともに、パレット用リフター14によってパレット11を1段分下降させる。
【0028】
次いで、1段目の缶体12上のセパレートシート13上に、2段目の缶体12を配置し、さらにセパレートシート13を載置する。このように順次缶体12とセパレートシート13とを積み重ね、パレット11から最上段のセパレートシート13までを一体にフィルム梱包することにより、梱包体を製造することができる。
【0029】
このような梱包工程において、湿度や静電気等の影響により複数枚のセパレートシート13が互いに密着している場合があるが、そのような場合であっても、このパレタイザー10によればセパレートシート13が複数枚搬送供給されることはない。
【0030】
すなわち、このパレタイザー10では、シート押さえ部42の内側で吸着パッド51がセパレートシート13の上面を吸着した状態で、シート押さえ部42の下方から上昇するので、図4に示すように、各シート押さえ部42間を通過するセパレートシート13が湾曲する。これにより、吸着パッド51に吸着されたセパレートシート13(13a)とこのセパレートシート13の下面に密着していたセパレートシート13(13b)との間にすき間Aが生じて、吸着パッド51に吸着保持されていないセパレートシート13bが落下する。
【0031】
つまり、このパレタイザー10によれば、図5に示すように、吸着された1枚のセパレートシート13aのみが各シート押さえ部42間を通過して上方へ搬送されるので、複数枚のセパレートシート13が重なった状態で供給されることがない。
【0032】
以上説明したように、本発明のパレタイザー10によれば、セパレートシート13の移動を妨げるシート押さえ部42がセパレートシート13の各角部に対して設けられることにより、このシート押さえ部42間を通過するセパレートシート13が湾曲し、他のセパレートシート13との密着状態が解除される。したがって、1回のシート供給工程において複数枚のセパレートシート13が缶体12上に供給されることがなく、缶体の梱包体の生産効率や次工程でのデパレタイザーの稼働率を向上させることができる。
【0033】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0034】
たとえば、シート押さえ部は、前記実施形態のようにシート保持部上のセパレートシートの最上段に接触していてもよく、またセパレートシートから若干上方に離れた位置に配置し、各シート押さえ部間をセパレートシートが通過する際にセパレートシートが当接するようにしてもよい。
【0035】
また、シート押さえ部は、前記実施形態では棒状部材としたが、たとえば三角形の板状部材等、セパレートシートを持ち上げる際にセパレートシートを損傷させずに角部を湾曲させることができる部材であればよい。また、前記実施形態では棒状のシート押さえ部の一端部をセパレートシート上に配置したが、両端部をセパレートシート上から外れた位置に配置し、セパレートシートの角部を横切るように設けてもよい。また、前記実施形態ではシート押さえ部を直線状に設けたが、曲線状等であってもよい。さらに、シート抑え部の個数は限定されないが、前記実施形態のように4個、または対角位置に2個設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0036】
10 パレタイザー
11 パレット
12 缶体
13 セパレートシート
14 パレット用リフター
20 缶体供給部
21 コンベア
30 シート供給部
40 シート保持部
41 保持枠
42 シート押さえ部
43 シート用リフター
51 吸着パッド
A すき間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット上に缶体と矩形のセパレートシートとを交互に多段に積み重ねるパレタイザーであって、
前記パレット上に複数の前記缶体を配置する缶体供給部と、
前記パレット上に配置された前記缶体上に前記セパレートシートを載置するシート供給部とを備え、
前記シート供給部は、複数の前記セパレートシートを積み重ねた状態で保持するシート保持部と、このシート保持部から最上段の前記セパレートシートを吸着パッドにより吸着し持ち上げて搬送するシート搬送部とを有し、
前記セパレートシートを持ち上げる際に前記セパレートシートの角部に当接するシート押さえ部が設けられるとともに、前記吸着パッドはこのシート押さえ部よりも内側で前記セパレートシートを吸着することを特徴とするパレタイザー。
【請求項2】
前記シート押さえ部は、前記シート保持部上の前記セパレートシートの表面と平行でかつ側縁に対して傾斜して配置された棒状部材であることを特徴とする請求項1に記載のパレタイザー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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