説明

パレット交換装置

【課題】パレット交換時、フォークリフトによって交換すべきパレットを取りに行ったり、パレットを所定位置に定位させたりする必要がない、パレット交換装置を提供する。
【解決手段】作業部P1に位置する第1のテーブル20上に荷が積まれたパレットが載せられる。第1のテーブル20を作業部P1からパレット回収部P2へ移動させ、これに荷支持板30を追随させる。積荷は第1のストッパー5に突き当たることでパレットが抜き取られる。積荷は第1のテーブル20上から荷支持板30上へ乗り移る。パレット供給機構8により第2のテーブル40上にパレットが供給される。第2のテーブル40を作業部P1に位置する荷支持板30の下方に移動させる。荷支持板30を作業部P1からパレット供給部P3へ復帰動作させるとき積荷が第2のストッパー6に突き当たることで荷支持板30上から第2のテーブル40上のパレット上へ乗り移る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工場や倉庫などにおいて、荷が積まれたパレットを積荷から抜き取って他のパレットに交換するのに用いられるパレット交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫では荷を運搬したり保管したりするのにパレットが幅広く用いられている。荷が積まれたパレットはフォークリフトにより運ばれ、トラックやコンテナなどに積載されたり倉庫に保管されたりする。パレットは業者毎に保有されており、荷が製造業者から卸売業者へ手渡されたり、卸売業者から小売業者へ手渡されたりすると、手渡された側ではその荷を自社のパレットに積み替えて他社のパレットを返還する。また、パレットには木製、合成樹脂製など、種々の材質や形態のものがあり、例えば、食品を保管するような場合、衛生上の観点から木製のパレットから合成樹脂製のパレットに積み替えられることもある。
【0003】
上記したパレットの交換は、従来、手作業で行われていたが、その種の作業は多大の労力と時間とを要し、非能率的である。そこで、出願人は先般、荷が積まれたパレットを積荷から抜き取ったり他のパレットに交換したりする作業を機械的に行えるパレット抜取装置を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3582834号公報
【0005】
このパレット抜取装置は、図6(1)〜(3)に示すように、パレットA上に荷が積まれた状態のもの(以下、これを「荷積みパレットL」という。)を載せることが可能なテーブル100をパレットの交換作業が行われる作業部P1とパレットAを回収するパレット回収部P2との間で往復動させるテーブル移動機構101と、前記作業部P1とパレット回収部P2との間に設置され前記テーブル100が作業部P1からパレット回収部P2へ移動するときに積荷Cが突き当たって積荷Cのみを作業部P1に置き去りにさせる第1のストッパー102と、作業部P1に置き去りにされる積荷Cを下方より受けて支持する荷支持板103を前記テーブル100の移動に追随させて待機部Qから作業部P1へ移動させた後、作業部P1から待機部Qへ復帰動作させる支持機構104と、作業部P1と待機部Qとの間に設置され前記荷支持板103が作業部P1から待機部Qへ復帰動作するときに積荷Cが突き当たって積荷Cを作業部P1に置き去りにさせる第2のストッパー105とを備えたものである。
【0006】
上記したパレット抜取装置によりパレットAの交換を行うには、まず作業部P1に定位しているテーブル100上に荷積みパレットLを載せる(図6(1))。つぎに、テーブル100を作業部P1からパレット回収部P2まで移動させる。このテーブル100の移動時、積荷Cは第1のストッパー102に突き当たって作業部P1に置き去りにされるが、荷支持板103がテーブル100の移動に追随して待機部Qから作業部P1へ移動するので、置き去りにされる積荷Cは荷支持板103により下方より支持される(図6(2))。
【0007】
次に荷支持板103は作業部P1から待機部Qへ復帰動作させるが、この復帰動作時、積荷Cは第2のストッパー105に突き当たって作業部P1に置き去りにされる。この置き去りにされる積荷Cは、フォークリフトのフォーク107により支持された他のパレットB上に支持することによりパレットの交換が完了する(図6(3))。なお、荷積みパレットLより抜き取られたパレットAは、同図に示すように、パレット回収機構106に回収されて保持される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した構成のパレット抜取装置では、パレット交換の都度、交換すべきパレットBをその保管場所まで取り行く必要があるため、フォークリフトをパレットの保管場所との間で繰り返し往復運転させる必要がある。また、パレットBはフォークリフトのフォークによって水平な姿勢に保って作業部P1の決められた位置に定位させる必要があり、その種の作業は熟練を要する。もし、パレットBが適正位置になければ、荷支持板103からパレットBへの積荷Cの乗り移りがうまく行かず、荷崩れを引き起こしてしまう。
【0009】
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、フォークリフトの往復運転により交換すべきパレットを取りに行ったり、パレット交換作業時、フォークリフトによってパレットを水平な姿勢に保って決められた位置に定位させたりする必要がないパレット交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によるパレット交換装置は、荷が積まれたパレットを積荷から抜き取って他のパレットに交換するものであり、交換すべき他のパレットを順次供給するパレット供給機構と、抜き取られたパレットを順次回収するパレット回収機構と、荷が積まれたパレットが載置される第1のテーブルをパレットの交換作業が行われる作業部とパレットの回収が行われるパレット回収部との間で往復動させる第1のテーブル移動機構と、積荷の支持が可能な荷支持板をパレットの供給が行われるパレット供給部から前記作業部へ第1のテーブルのパレット回収部への移動に追随させて移動させた後、作業部からパレット供給部へ復帰動作させる荷受け機構と、前記荷支持板が作業部に位置するときにパレット供給機構より供給されたパレットが載置された第2のテーブルをパレット供給部から作業部の荷支持板の下方へ移動させる第2のテーブル移動機構と、作業部とパレット回収部との間に設置され第1のテーブルが作業部からパレット回収部へ移動するときに積荷が突き当たって積荷を第1のテーブルから荷支持板上へ乗り移らせる第1のストッパーと、作業部とパレット供給部との間に設置され前記荷支持板が作業部からパレット供給部へ復帰動作するときに積荷が突き当たって積荷を荷支持板から第2のテーブル上のパレット上へ乗り移らせる第2のストッパーとを備えて成るものである。
【0011】
上記した構成のパレット交換装置によりパレットの交換を行うには、まず作業部に位置する第1のテーブル上に荷積みパレットを載せる。次に、第1のテーブルを作業部からパレット回収部まで移動させる。この移動時、積荷は第1のストッパーに突き当たって作業部に置き去りにされるが、第1のテーブルの移動に荷支持板が追随してパレット供給部から作業部へ移動するので、置き去りにされた積荷は第1のテーブル上から荷支持板上へ乗り移る。一方、積荷から抜き取れたパレットは第1のテーブルによりパレット回収部まで運ばれてパレット回収機構に回収される。
次に、パレット供給部において第2のテーブル上にパレット供給機構によりパレットが供給される。第2のテーブルは供給されたパレットを支持し、パレット供給部から作業部に位置する荷支持板の下方へ移動する。
次に、荷支持板が作業部からパレット供給部へ復帰動作する。この復帰動作時、積荷は第2のストッパーに突き当たって作業部に置き去りにされるが、その下方に第2のテーブルが定位しているので、置き去りされた積荷は荷支持板上から第2のテーブル上のパレット上に乗り移る。新たなパレットに積み替えられた荷はフォークリフトなどにより搬出される。
【0012】
この発明の好ましい実施態様によると、前記パレット供給機構は、パレット供給部の上方位置において複数のパレットを上下に積層した状態で保持することが可能なパレット保持機構と、このパレット保持機構に保持されたパレットのうち最下段のパレットのみを降下させて第2のテーブル上に載せるリフターとから構成されている。
この実施態様によると、パレット供給部の上方位置に、交換すべき複数のパレットを上下に積層した状態で保持するので、パレット供給部の上方空間を有効に利用できる。
【0013】
また、この発明の好ましい実施態様によると、前記パレット回収機構は、パレット回収部の上方位置において複数のパレットを上下に積層した状態で保持することが可能なパレット保持機構と、第1のテーブル上のパレットを上昇させてパレット保持機構に保持させるリフターとで構成されている。
この実施態様によると、パレット回収部の上方位置に、抜き取られた複数のパレットを上下に積層した状態で保持するので、パレット回収部の上方空間を有効に利用できる。
【0014】
この発明の好ましい実施態様においては、前記荷支持板は、ガイドレール上に往復動自由に支持される下向きの対向壁を有し、荷支持板の下方へ第2のテーブルを移動させたとき、第2のテーブル上のパレットが対向壁間に入り込むように対向壁の間隔が設定されている。
この実施態様によれば、従来例のように、荷支持板を片持ち状態で移動させる構造ではないので、パレット交換後の荷積みパレットをフォークリフトによらずに搬出するために、作業部にコンベヤを接続することができ、パレット交換作業の自動化を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、交換すべきパレットがパレット供給機構により供給されるので、フォークリフトを往復運転して交換すべきパレットをその保管場所まで取りに行く必要がなく、作業性が大幅に向上する。また、パレット交換作業時、フォークリフトによりパレットを水平姿勢に保って決められた位置に定位させる必要がないから、パレットの位置決めに熟練を必要とせず、位置決め不良による荷崩れの発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜図3は、この発明の一実施例であるパレット交換装置の構成を示している。なお、図1にはパレット交換装置を側面から見たときの外観が、図2には上方から見たときの外観が、図3には後述するパレット回収部P2の側から見たときの外観が、それぞれ示してある。また、図1〜図3は、荷積みパレットの導入に待機している状態を示すものではなく、説明の都合上、後述する第1、第2のテーブル20,40および荷支持板30を別個の位置に位置させた状態を示している。
図示例のパレット交換装置は、例えば倉庫や配送センターなどに設置されるもので、荷積みパレットより他社のパレットを抜き取って自社のパレットに交換するのに用いられる。抜き取って回収したパレットはその所有者へ返却される。
【0017】
なお、この発明のパレット交換装置は、他社のパレットと自社のパレットとの交換のみならず、種類の異なるパレットの交換、新旧パレットの交換など、あらゆるパレットの交換作業に適用できる。
また、ここでいう「パレット」は、荷を載せて運搬や保管などを行うのに用いられる板状のものを広く指しており、その形状や材質は問わない。この実施例では、一般に広く用いられているパレット、すなわち、上下に対向する上板と下板との間にフォークリフトのフォークを差し込むことが可能な空間を有するものを用いている。
【0018】
図示例のパレット交換装置は、複数のフレームなどにより成る機台1に、第1のテーブル移動機構2、荷受け機構3、第2のテーブル移動機構4、第1のストッパー5、第2のストッパー6、パレット回収機構7、パレット供給機構8などが組み込まれたものである。
前記機台1の中央部分は、フォークリフトによる荷積みパレットの搬出入およびパレットの交換作業が行われる作業部P1であり、この作業部P1を挟んで一方(図1の左側)に、交換すべき自社のパレットBが供給されるパレット供給部P3が、他方(図1の右側)に、抜き取った他社のパレットAを回収するパレット回収部P2が、それぞれ設けられている。
【0019】
前記第1のテーブル移動機構2は、フォークリフトにより運ばれてきた荷積みパレットが載せられる第1のテーブル20を有している。この第1のテーブル20は待機状態では作業部P1に位置し、パレット交換作業に際して作業部P1とパレット回収部P2との間を左右のガイドレール11,11に沿って往復移動する。第1のテーブル20はフレームを矩形状に枠組みして形成され、枠内の空間部分には後述するパレット回収機構7を構成するリフター21が組み込まれている。前記ガイドレール11,11は、機台1の全長にわたって設けられており、後述する第2のテーブル40を往復移動させるガイドレールも兼ねている。
【0020】
前記リフター21は水平な昇降板22をパンタグラフ式の昇降機構24(後述する図5−2(5)に示す。)により昇降させるものである。第1のテーブル20には昇降機構24の駆動源(図示せず。)が搭載され、この駆動源を動作させて昇降板22を水平な姿勢を保持したまま昇降動作させる。前記昇降板22は、上昇時には第1のテーブル20の上方へ突出し、下降時には第1のテーブル20の上面より下方に位置する。
【0021】
第1のテーブル20の下部の四隅位置には各ガイドレール11上を転動するローラ23が設けられている。第1のテーブル20は駆動機構25に連繋され、ガイドレール11に沿って往復動する。前記駆動機構25は、駆動源としてのモータ26、このモータ26によって駆動される左右の駆動スプロケット27、各駆動スプロケット27と左右の従動スプロケット28との間にそれぞれ張設される2本のチェン29,29などを含んでいる。各チェン29は左右のガイドレール11,11に沿って張設され、各チェン29の両端が第1のテーブル20の前後面にそれぞれ接続されている。第1のテーブル20を駆動機構25によって作業部P1からパレット回収部P2へ移動させるとき積荷からパレットが抜き取られる。
【0022】
このパレットの抜き取りに際して、第1のテーブル20を作業部P1からパレット回収部P2へ移動させるとき、パレット上の積荷が突き当たって作業部P1に置き去りにされるように第1のストッパー5が設けられている。この第1のストッパー5は、作業部P1とパレット回収部P2との間であって機台1上の積荷の高さ位置に設置されている。積荷は第1のストッパー5に突き当たるが、パレットは第1のストッパー5の下方を通過して第1のテーブル20とともに作業部P1からパレット回収部P2へ移行する。
【0023】
なお、図示していないが、第1のテーブル20には、パレットの抜き取り時にパレットを第1のテーブル20と一体に移動させるためのパレット保持手段を設けるのが望ましい。このパレット保持手段として、例えば、パレットの適所に引っ掛かる爪状のものを第1のテーブル20に設けたもの、第1のテーブル20の表面を粗面にするなどしてパレットとの摩擦を大きくしたものなど、種々の態様のものが考えられる。
【0024】
前記荷受け機構3は、作業部P1に置き去りにされる積荷を下方より受けて支持するための荷支持板30を有している。この荷支持板30は待機状態ではパレット供給部P3に位置し、パレット交換作業に際してパレット供給部P3と作業部P1との間を往復動する。図示例の荷支持板30は、薄板材の両側縁を下方へ屈曲して形成された対向壁31,31を備えている。各対向壁31は、この荷支持板30の下方へ後述する第2のテーブル40を移動させたとき、第2のテーブル40上に支持されたパレットが対向壁31,31間に入り込むようにその間隔が設定されている。
【0025】
この対向壁31,31の前後位置には左右のガイドレール12,12上を転動するローラ32がそれぞれ設けられている。なお、前記ガイドレール12,12は、第1,第2の各テーブル20,40を移動させるガイドレール11,11より上方に位置している。
前記荷支持板30は駆動機構33に連繋され、ガイドレール12に沿って往復動する。前記駆動機構33は、駆動源としてのモータ34、このモータ34によって駆動される左右の駆動スプロケット35、各駆動スプロケット35と左右の従動スプロケット36との間にそれぞれ張設される2本のチェン37などを含んでいる。各チェン37は左右のガイドレール12,12に沿って張設され、各チェン37の両端は荷支持板30の前後面にそれぞれ接続されている。
【0026】
前記荷支持板30を駆動機構33によってパレット供給部P3から作業部P1へ移動させるとき、荷受け機構3のモータ34と前記第1のテーブル移動機構2のモータ26とを同期運転させて荷支持板30を第1のテーブル20に追随させる。このときにパレットが抜き取られ、積荷はパレット上から荷支持板30上へ乗り移って支持される。また、荷支持板30を作業部P1からパレット供給部P3へ復帰動作させるときは、荷受け機構3のモータ34の回転方向を逆にして駆動させ、このとき積荷から荷支持板30が抜かれる。
【0027】
荷支持板30を作業部P1からパレット供給部P3へ復帰動作させるとき、荷支持板30上の積荷が突き当たって作業部P1に置き去りにされるように第2のストッパー6が設けられている。この第2のストッパー6は、作業部P1とパレット供給部P3との間であって機台1上の積荷の高さ位置に設置される。積荷は第2のストッパー6に突き当たるが、荷支持板30は第2のストッパー6の下方を通過する。
【0028】
前記第2のテーブル移動機構4は、パレット供給機構8より供給されたパレットBが載置される第2のテーブル40を有している。この第2のテーブル40は待機状態ではパレット供給部P3に位置し、パレット交換作業に際してパレット供給部P3と作業部P1との間を左右のガイドレール11,11に沿って往復移動する。第2のテーブル40はフレームを矩形状に枠組みして形成され、枠内の空間部分にはパレット供給機構8を構成するリフター41が組み込まれている。
【0029】
前記リフター41は水平な昇降板42をパンタグラフ式の昇降機構44(後述する図5−2(4)に示す。)により昇降させるものである。第2のテーブル40には昇降機構44の駆動源(図示せず。)が搭載され、この駆動源を動作させて昇降板42を水平な姿勢を保持したまま昇降動作させる。前記昇降板42は、上昇時には第2のテーブル40の上方へ突出し、下降時には第2のテーブル40の上面より下方に位置する。
【0030】
第2のテーブル40の下部の四隅位置には各ガイドレール11上を転動するローラ43が設けられている。第2のテーブル40は駆動機構45に連繋され、ガイドレール11に沿って往復動する。前記駆動機構45は、駆動源としてのモータ46、このモータ46によって駆動される左右の駆動スプロケット47、各駆動スプロケット47と左右の従動スプロケット48との間にそれぞれ張設される2本のチェン49,49などを含んでいる。各チェン49は左右のガイドレール11,11に沿って張設され、各チェン49の両端が第2のテーブル40の前後部にそれぞれ接続されている。
第2のテーブル40の上面にパレットを支持した状態で駆動機構45を駆動して第2のテーブル40をパレット供給部P3から作業部P1に定位する荷支持板30の下方へ移動させた後、荷支持板30が作業部P1からパレット供給部P3へ復帰動作することにより荷支持板30上の積荷が第2のテーブル40上のパレットB上へ乗り移る。
【0031】
前記パレット回収機構7は、作業部P1からパレット回収部P2へ第1のテーブル20により運ばれてきたパレットAを回収して保持する。
この実施例のパレット回収機構7は、パレット回収部P2の上方位置において複数のパレットAを上下に積層した状態で保持することが可能な4個の保持爪71と、各保持爪71を閉じる方向へ付勢するばね(図示せず。)とから成るパレット保持機構70とを有している。このパレット保持機構70と、第1のテーブル20上のパレットAを昇降板22上に支持してパレット保持機構70の高さまで上昇させる前記のリフター21とでパレット回収機構7が構成されている。各保持爪71は、押し上げられたパレットAによって押し開かれた後にばね力で閉成するもので、それによって前記パレットAの下面に各保持爪71が係合してパレットAが保持される。
【0032】
前記パレット供給機構8は、第2のテーブル40上にパレットBを供給するためのもので、パレット供給部P3の上方位置において複数のパレットBを上下に積層した状態で保持することが可能な複数の保持爪81と、各保持爪81を開閉動作させる駆動機構(図示せず。)とから成るパレット保持機構80を有している。このパレット保持機構80と、最下段のパレットB1のみを昇降板22上に支持した状態で降下させて第2のテーブル40上に載せる前記のリフタ−21とでパレット供給機構8が構成されている。
なお、この実施例の前記リフター21,41は第1、第2の各テーブル20,40に設置されているが、機台1に設置することも可能である。
【0033】
図4(1)〜(6)は、上記したパレット供給機構8の構成とその動作を示している。
交換すべきパレットを第2のテーブル4上に供給するには、まず、前記リフター41の昇降板42をパレット保持機構80の高さまで押し上げて前記パレットBの積層体を支持する(図4(1))。このとき保持爪81は最下段のパレットB1の上板を保持している。次に、昇降板42をわずかに上昇させて、パレットBの積層体を昇降板42上に支持することにより保持爪81を回動可能な状態に設定する(図4(2))。
次に、保持爪81を開動作させた後(図4(3))、昇降板42をわずかに降下させる(図4(4))。この状態で保持爪81を閉動作させると、保持爪81により下から2段目のパレットB2が保持可能な状態となる(図4(5))。次に、昇降板42を下降させると、最下段のパレットB1のみが昇降板42上に支持され、残りのパレットBの積層体は保持爪81により保持される(図4(6))。前記パレットB1は第2のテーブル40上に載せられる。
【0034】
上記した構成のパレット交換装置を用いて荷積みパレットより他社のパレットを抜き取り、自社のパレットに交換する作業の手順を図5−1(1)〜図5−4(12)により説明する。
まず、第1のテーブル移動機構2の第1のテーブル20は作業部P1に、荷受け機構3の荷支持板30および第2のテーブル移動機構4の第2のテーブル40はパレット供給部P3に、それぞれ待機させておく(図5−1(1))。このとき、パレット供給部P3には複数のパレットBがパレット供給機構8のパレット保持機構80によって積層状態で保持されている。この待機状態において、フォークリフトが荷積みパレットLを支持して第1のテーブル20上にこれを載せる(図5−1(2))。
【0035】
次に、第1のテーブル移動機構2の駆動機構25を駆動して第1のテーブル20を作業部P1からパレット回収部P2に向けて移動させるとともに、荷受け機構3の駆動機構33を駆動して荷支持板30を第1のテーブル20に追随させ、パレット供給部P3から作業部P1に向けて移動させる。この移動時、第1のテーブル20上の積荷Cは第1のストッパー5に突き当たって置き去りにされ、パレットAは第1のテーブル20と一体にパレット回収部P2へ移動する(図5−1(3))。前記荷支持板30は第1のテーブル20の移動に追随しているので、置き去りにされる積荷CはパレットA上から荷支持板30上に乗り移って下方より支持される。
第1のテーブル20がパレット回収部P2に至り、荷支持板30が作業部P1に至ったとき、図示しない位置センサがこれを検知し、各駆動機構25,33は駆動を停止し、第1のテーブル20および荷支持板30が移動を停止する(図5−2(4))。
【0036】
次に、パレット回収部P2において、第1のテーブル20に組み込まれているパレット回収機構7のリフター21が上昇動作し、パレットAを昇降板22上に支持して第1のテーブル20から持ち上げ、パレット保持機構70の高さまで押し上げる(図5−2(5))。なお、図中、24はリフター21の昇降機構である。このパレットAの上昇時にパレット保持機構70における各保持爪71が押し開かれ、パレットAの通過後に閉成する。もし、保持爪71に他のパレットAが保持されているときは、そのパレットAとリフター21により押し上げられたパレットAとが上下に重ねられた状態となる。
次にリフター21の昇降板22が下降するとき、昇降板22のみがパレット保持機構70を通過し、パレットAはその下面に保持爪71が係合して保持される。その後、昇降板22は第1のテーブル20の位置まで下降する(図5−2(6))。
【0037】
一方、パレット供給部P3において、第2のテーブル40に組み込まれているパレット供給機構8のリフター41が動作して昇降板42がパレット保持機構80の高さまで上昇する(図5−2(4))。なお、図中、44はリフター41の昇降機構である。その後、前記した図4(1)〜(6)の動作を順次経ることにより、昇降板42上に最下段のパレットB1のみが支持され、残りのパレットBが保持爪81により保持される(図5−2(5))。その後、昇降板42が第2のテーブル40の位置まで下降することによりパレットB1は第2のテーブル40上に載せられる(図5−2(6))。
【0038】
次に、第2のテーブル移動機構4の駆動機構45を駆動して第2のテーブル40をパレット供給部P3から作業部P1に向けて移動させ、作業部P1に定位している荷支持板30の下方に位置させる(図5−3(7))。
【0039】
次に、荷受け機構3の駆動機構33が駆動し、荷支持板30は作業部P1よりパレット供給部P3に向けて復帰動作する。この復帰動作時、荷支持板30上の積荷Cは第2のストッパー6に突き当たって作業部P1に置き去りにされるが、荷支持板30の下方に第2のテーブル40およびパレットB1が位置しているので、置き去りにされる積荷Cは荷支持板30上からパレットB1上に乗り移って支持される(図5−3(8))。荷支持板30がパレット供給部P3に達したとき、図示しない位置センサがこれを検知し、駆動機構33は駆動を停止し、荷支持板30は復帰動作を停止する(図5−3(9))。これにより荷積みパレットLにおける他社のパレットAを自社のパレットB1に交換する作業が完了する。
【0040】
次に、フォークリフトのフォーク9をパレットB1の空間へ挿入し(図5−4(10))、荷積みパレットLをフォークリフトにより持ち上げて搬出する(図5−4(11))。その後、第1、第2の各テーブル移動機構2,4の駆動機構25,45が駆動して第1のテーブル20はパレット回収部P2から作業部P1へ、第2のテーブル40は作業部P1からパレット供給部P3へ、それぞれ移動する。各テーブル20,40が作業部P1およびパレット供給部P3にそれぞれ達したとき、図示しない位置センサがこれを検知し、各駆動機構25,45は駆動を停止し、第1、第2の各テーブル20,40は移動を停止する(図5−4(12))。この状態で次のパレット交換作業に待機する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の一実施例であるパレット交換装置の側面図である。
【図2】パレット交換装置の平面図である。
【図3】パレット交換装置をパレット回収部より見た正面図である。
【図4】パレット供給機構の構成と動作とを示す断面図である。
【図5−1】パレット交換作業の手順を示す側面図である。
【図5−2】図5−1のパレット交換作業の手順の続きを示す側面図である。
【図5−3】図5−2のパレット交換作業の手順の続きを示す側面図である。
【図5−4】図5−3のパレット交換作業の手順の続きを示す側面図である。
【図6】従来のパレット抜取装置を用いたパレット交換作業の手順を示す側面図である。
【符号の説明】
【0042】
2 第1のテーブル移動機構
3 荷受け機構
4 第2のテーブル移動機構
5 第1のストッパー
6 第2のストッパー
7 パレット回収機構
8 パレット供給機構
20 第1のテーブル
21 リフター
30 荷支持板
31 対向壁
40 第2のテーブル
41 リフター
70,80 パレット保持機構
P1 作業部
P2 パレット回収部
P3 パレット供給部
A 他社のパレット
B,B1,B2 自社のパレット
C 積荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷が積まれたパレットを積荷から抜き取って他のパレットに交換するパレット交換装置において、交換すべき他のパレットを順次供給するパレット供給機構と、抜き取られたパレットを順次回収するパレット回収機構と、荷が積まれたパレットが載置される第1のテーブルをパレットの交換作業が行われる作業部とパレットの回収が行われるパレット回収部との間で往復動させる第1のテーブル移動機構と、積荷の支持が可能な荷支持板をパレットの供給が行われるパレット供給部から前記作業部へ第1のテーブルのパレット回収部への移動に追随させて移動させた後、作業部からパレット供給部へ復帰動作させる荷受け機構と、前記荷支持板が作業部に位置するときにパレット供給機構より供給されたパレットが載置された第2のテーブルをパレット供給部から作業部の荷支持板の下方へ移動させる第2のテーブル移動機構と、作業部とパレット回収部との間に設置され第1のテーブルが作業部からパレット回収部へ移動するときに積荷が突き当たって積荷を第1のテーブルから荷支持板上へ乗り移らせる第1のストッパーと、作業部とパレット供給部との間に設置され前記荷支持板が作業部からパレット供給部へ復帰動作するときに積荷が突き当たって積荷を荷支持板から第2のテーブル上のパレット上へ乗り移らせる第2のストッパーとを備えて成るパレット交換装置。
【請求項2】
前記パレット供給機構は、パレット供給部の上方位置において複数のパレットを上下に積層した状態で保持することが可能なパレット保持機構と、このパレット保持機構に保持されたパレットのうち最下段のパレットのみを降下させて第2のテーブル上に載せるリフターとから構成されている請求項1に記載されたパレット交換装置。
【請求項3】
前記パレット回収機構は、パレット回収部の上方位置において複数のパレットを上下に積層した状態で保持することが可能なパレット保持機構と、第1のテーブル上のパレットを上昇させてパレット保持機構に保持させるリフターとで構成されている請求項1に記載されたパレット交換装置。
【請求項4】
前記荷支持板は、ガイドレール上に往復動自由に支持される下向きの対向壁を有し、荷支持板の下方へ第2のテーブルを移動させたとき、第2のテーブル上のパレットが対向壁間に入り込むように対向壁の間隔が設定されている請求項1に記載されたパレット交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−232434(P2006−232434A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46710(P2005−46710)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【特許番号】特許第3723819号(P3723819)
【特許公報発行日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(390032274)吉田車輌機器株式会社 (9)
【Fターム(参考)】