説明

パレット種判定システム

【課題】ウエハパレットとトレイパレットとを複数段に混載したマガジンから引き出されたパレットの種別を自動的に判定できるようにする。
【解決手段】ウエハパレット22をパレット高さ検出手段で検出されるパレット高さが所定高さとなるように構成し、パレット高さ検出手段で検出したパレット高さが前記所定高さと異なる場合は、生産プログラムでトレイパレットが指定されていれば、生産プログラムの指定通りのトレイパレットが引き出されていると判定し、生産プログラムでウエハパレットが指定されていれば、エラーと判定する。パレット高さ検出手段で検出したパレット高さが前記所定高さと一致する場合は、生産プログラムでトレイパレットが指定されているときに、トレイパレット検出手段でトレイパレットのパレット判別部を画像認識できれば、生産プログラムの指定通りのトレイパレットが引き出されていると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ部品(ダイ)を載せたウエハパレットと、電子部品(トレイ部品)を載せたトレイパレットとをマガジン内に複数段に混載した部品供給装置のマガジンから引き出されたパレットの種別を判定するパレット種判定システムに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
トレイ型の部品供給装置においては、特許文献1(特開2008−288533号公報)に記載されているように、マガジンのスロットに挿入したトレイパレットの高さ(トレイパレット上のトレイの段積み高さ)を検出するパレット高さ検出手段を搭載し、このパレット高さ検出手段で検出したパレット高さによってトレイパレット上の部品数を管理するようにしたものがある。
【0003】
また、近年、特許文献2(特開2010−129949号公報)に記載されているように、トレイパレットと、ウエハ部品を載せたウエハパレットとを、マガジン内に多段に混載し、生産プログラムで指定されたパレットをマガジンから引出しテーブル上に引き出して当該パレット上の部品を部品実装機に供給するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−288533号公報
【特許文献2】特開2010−129949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2のように、ウエハパレットとトレイパレットを混載する部品供給装置においては、作業者がマガジンのスロットにパレットを挿入する際に、ウエハパレットとトレイパレットとを取り違えて挿入する作業ミスが発生する可能性があり、その結果、マガジンから引き出されたパレットが生産プログラムで指定されたパレットと相違する可能性がある。特許文献1のトレイ型の部品供給装置は、パレット高さを検出するパレット高さ検出手段を搭載しているが、トレイパレットの高さの変動範囲内にウエハパレットの高さが収まるため、パレット高さ検出手段で検出したパレット高さのみでは、ウエハパレットとトレイパレットとを判別できない。
【0006】
従って、特許文献2の部品供給装置に特許文献1のパレット高さ検出手段を組み合わせても、トレイパレットとウエハパレットとを判別できない。このため、マガジンから引き出されたパレットが生産プログラムで指定されたパレットと相違すると、パレット上の部品をピックアップする吸着ノズルがパレットと干渉して破損する等の不具合が発生する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ウエハパレットとトレイパレットを複数段に混載したマガジンから引き出されたパレットの種別を自動的に判定できるパレット種判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、部品供給装置のマガジン内に、ウエハ部品を載せたウエハパレットと、電子部品を載せたトレイパレットとを複数段に混載し、前記マガジンから生産プログラムで指定されたパレットを引き出して当該パレット上の部品を部品実装機に供給するものに適用される、前記マガジンから引き出されたパレットの種別を判定するパレット種判定システムであって、前記ウエハパレットの所定位置に、ウエハ情報を記録又は記憶したウエハ情報記録部を設けると共に、前記トレイパレットの所定位置に画像認識可能なパレット判別部を設け、前記ウエハパレットと前記トレイパレットの高さを検出するパレット高さ検出手段と、前記マガジンから引き出された前記ウエハパレットの前記ウエハ情報記録部から前記ウエハ情報を読み取るウエハ情報読取り手段と、前記マガジンから引き出された前記トレイパレットの前記パレット判別部を画像認識することで当該トレイパレットを検出するトレイパレット検出手段と、前記パレット高さ検出手段で検出したパレット高さ、前記ウエハ情報読取り手段で読み取った前記ウエハ情報、及び、前記トレイパレット検出手段で画像認識した前記パレット判別部の有無に基づいて、前記マガジンから引き出れたパレットが前記生産プログラムで指定されたパレットであるか否かを判定するパレット種判定手段とを備えた構成としたものである。ここで、トレイパレットに設ける画像認識可能なパレット判別部は、例えば、着色(輝度)、マーク(図柄、絵)、文字、記号等により形成しても良く、或は、トレイパレットのうちの特徴的な形状部分をパレット判別部として用いても良い。
【0009】
本発明では、パレット高さ検出手段で検出したパレット高さと、ウエハ情報読取り手段で読み取った前記ウエハ情報と、トレイパレット検出手段で画像認識したパレット判別部の有無の組み合わせによって、マガジンから引き出れたパレットが生産プログラムで指定されたパレットであるか否かを判定することができ、マガジンから引き出されたパレットの種別を自動的に判定することができる。
【0010】
この場合、請求項2のように、前記パレット種判定手段は、部品供給装置の制御装置、又は、部品実装機の制御装置、又は、部品実装機を含む部品実装ラインの制御装置のいずれに設けても良い。
【0011】
また、ウエハパレットに設けるウエハ情報記録部は、バーコード、2次元コード等のコードを記録したものでも良いし、電子的に記憶する電子タグや、磁気的に記録する磁気テープ等を用いても良い。ウエハ情報記録部からウエハ情報を読み取るウエハ情報読取り手段は、ウエハ情報記録部の記録方式に応じて専用のリーダを設けても良いが、その分、コストアップする。
【0012】
そこで、ウエハパレットを搭載する部品供給装置には、ウエハパレット上のウエハ部品を撮像するカメラが標準装備されていることを考慮して、請求項3のように、ウエハパレットに設けるウエハ情報記録部として、上面にウエハ情報を表すコードが記録されたものを使用し、前記ウエハ情報読取り手段は、前記カメラで前記コードを撮像して該コードを画像認識すると共に、前記トレイパレット検出手段は、前記カメラで前記パレット判別部を撮像して該パレット判別部を画像認識するようにすると良い。このようにすれば、ウエハ部品を撮像するカメラを、ウエハ情報記録部とパレット判別部の両方の画像認識用のカメラとして兼用させることができ、低コスト化の要求を満たすことができる。
【0013】
更に、請求項4のように、ウエハパレットを、パレット高さ検出手段で検出されるパレット高さが所定高さとなるように構成し、パレット種判定手段は、パレット高さ検出手段で検出したパレット高さが前記所定高さと異なる場合は、(1)生産プログラムでトレイパレットが指定されていれば、マガジンから生産プログラムの指定通りのトレイパレットが引き出されていると判定し、(2)生産プログラムでウエハパレットが指定されていれば、エラーと判定するようにすれば良い。また、パレット高さ検出手段で検出したパレット高さが前記所定高さと一致する場合は、(3)生産プログラムでトレイパレットが指定されているときに、トレイパレット検出手段でパレット判別部を画像認識できれば、マガジンから生産プログラムの指定通りのトレイパレットが引き出されていると判定し、トレイパレット検出手段でパレット判別部を画像認識できなければ、エラーと判定し、(4)生産プログラムでウエハパレットが指定されているときに、ウエハ情報読取り手段でウエハ情報記録部からウエハ情報を読み取ることができれば、マガジンから生産プログラムの指定通りのウエハパレットが引き出されていると判定し、ウエハ情報読取り手段でウエハ情報記録部からウエハ情報を読み取ることができなければ、エラーと判定するようにすれば良い。いずれの場合も、エラーと判定されたときに、部品供給装置を停止させれば良い。このようにすれば、マガジンから引き出されたパレットが生産プログラムで指定されたパレットと相違する場合に、パレット上の部品をピックアップする吸着ノズルがパレットと干渉して破損する等の不具合が発生することを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の一実施例における部品供給装置の外観斜視図である。
【図2】図2は突き上げユニット部分の拡大斜視図である。
【図3】図3は部品供給装置をセットした部品実装機の外観斜視図である。
【図4】図4はウエハパレットの外観斜視図である。
【図5】図5はウエハパレットの平面図である。
【図6】図6はトレイパレットの外観斜視図である。
【図7】図7はパレット種判定プログラムの処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図8】図8はパレット種判定プログラムの処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を図面を用いて説明する。
図1に示すように、本実施例の部品供給装置11は、マガジン保持部12(トレイタワー)、パレット引き出しテーブル13、パレット引き出し機構14、サブロボット15、シャトル機構16、反転ユニット17、突き上げユニット18(図2参照)、NGコンベア19、ノズルチェンジャー20等を備えた構成となっている。この部品供給装置11は、図3に示すように、部品実装機25のフィーダセット用スロットにパレット引き出しテーブル13を差し込んだ状態にセットされる。
【0016】
部品供給装置11のマガジン保持部12内に上下動可能に収納されたマガジン(図示せず)には、ダイ21(ウエハ部品)を載せたウエハパレット22と、トレイ部品42(電子部品)を載せたトレイパレット41(図6参照)とを多段に混載できるようになっている。図4及び図5に示すように、ウエハパレット22は、碁盤目状にダイシングされたウエハ(多数のダイ21)を貼着した伸縮可能なダイシングシート36を、円形の開口部を有するウエハ装着板23にエキスパンドした状態で装着し、該ウエハ装着板23をパレット本体28にねじ止め等により取り付けた構成となっている。尚、ダイシングシート36のエキスパンドは、どのような方法で行っても良く、例えば、ダイシングシート36を下方から円形リングで押し上げた状態でウエハ装着板23に装着すれば良い。
一方、図6に示すように、トレイパレット41上には、トレイ部品42を収容したトレイ43が1段又は複数段に積載されている。
【0017】
パレット引き出し機構14は、生産プログラム(生産ジョブ)に従って、ウエハパレット22とトレイパレット41のいずれかのパレットをマガジン保持部12内のマガジンからパレット引き出しテーブル13上に引き出すものであり、パレット上の部品42やダイ21を部品実装機25(図3参照)の吸着ノズル(図示せず)でピックアップする位置(以下「部品実装機用引き出し位置」という)と、マガジンに近い引き出し位置(以下「サブロボット用引き出し位置」という)とのいずれの位置にもパレット22,41を引き出し可能に構成されている。部品実装機用引き出し位置は、パレット引き出しテーブル13の前端の位置(マガジンから最も離れた位置)であり、サブロボット用引き出し位置は、サブロボット15の吸着ノズル(図示せず)でウエハパレット22のダイシングシート36上のダイ21を吸着可能な位置である。
【0018】
サブロボット15は、マガジン保持部12の背面部(サブロボット用引き出し位置側の面)のうちのパレット引き出しテーブル13の上方に位置して設けられ、XZ方向(パレット引き出しテーブル13の幅方向及び垂直方向)に移動するように構成されている。尚、サブロボット15の移動方向をX方向のみとし、ウエハパレット22に対するサブロボット15のY方向(パレット引き出し方向)の相対的位置は、パレット引き出し機構14によってウエハパレット22をY方向に徐々に引き出すことで制御している。このサブロボット15には、1本又は複数本の吸着ノズル(図示せず)が下向きに設けられ、ピックアップするダイ21のサイズ等に応じてノズルチェンジャー20で吸着ノズルを交換できるようになっている。サブロボット15には、カメラ24が設けられ、このカメラ24の撮像画像に基づいて、ピックアップ対象となるダイ21の位置又はダイ21の吸着姿勢を確認できるようになっている。
【0019】
シャトル機構16は、サブロボット15の吸着ノズルでピックアップされた部品をシャトルノズル26で受け取って部品実装機25の吸着ノズルでピックアップ可能な位置まで移送する。
【0020】
反転ユニット17は、サブロボット15から受け取るダイ21を必要に応じて上下反転させるものである。ダイ21の種類によっては、ウエハパレット22のダイシングシート36に上下反対に貼着されたダイ(例えばフリップチップ等)が存在するためである。
【0021】
突き上げユニット18(図2参照)は、パレット引き出しテーブル13に設けられて、ウエハパレット22のダイシングシート下方の空間領域をXY方向(パレット引き出しテーブル13の幅方向及びその直角方向)に移動可能に構成されている。そして、部品実装機用引き出し位置とサブロボット用引き出し位置のいずれの位置にウエハパレット22を引き出した場合でも、ダイシングシート36のうちのピックアップしようとするダイ21の貼着部分をその下方から突き上げポット27で局所的に突き上げることで、当該ダイ21の貼着部分をダイシングシート36から部分的に剥離させてダイ21をピックアップしやすい状態に浮き上がらせるようにしている。突き上げユニット18は、ダイ21のサイズ等に応じて突き上げポット27を選択できるようにするために、複数種類(例えば4種類)の突き上げポット27が所定角度ピッチ(図2の例では90°ピッチ)で放射状に設けられ、突き上げ動作させる突き上げポット27が上向きとなる位置まで回転させるように構成されている。
【0022】
この突き上げユニット18は、サーボモータ(図示せず)を駆動源として突き上げユニット18全体が上下動するように構成されている。ダイピックアップ動作時には、突き上げユニット18が上昇して突き上げポット27の上端がウエハパレット22のダイシングシート36に接触すると、ストッパ機構(図示せず)によって突き上げユニット18の上昇が止まり、更に上昇動作を続けると、突き上げポット27から突き上げピンが上方に突出して、ダイシングシート36のうちの吸着しようとするダイ21の貼着部分(吸着ノズルの吸着点)を突き上げるようになっている。この場合、駆動源となるサーボモータの回転量を調整することで、突き上げピンの突き上げ高さを調整できるようになっている。
【0023】
尚、NGコンベア19は、不良部品や吸着不良のダイ21を排出するコンベアである。 図3に示すように、マガジン保持部12には、ウエハパレット22のダイシングシート36上のダイ21をサブロボット15の吸着ノズルでピックアップする状態を作業者側から確認するための窓部31が設けられ、ウエハパレット22上のダイ21をサブロボット15の吸着ノズルでピックアップする状態を作業者が確認する際に、マガジン保持部12内のパレットを窓部31よりも下方へ退避させる確認モードの運転を選択できるように構成されている。更に、確認モードでは、サブロボット15の吸着ノズルがウエハパレット22上のダイ21をピックアップした状態で、サブロボット15を停止できるようになっている。
【0024】
以上のように構成した部品供給装置11の制御装置32は、キーボード、マウス等の入力装置33と、液晶ディスプレイ等の表示装置34等の周辺装置を備えたコンピュータにより構成され、生産プログラムに従って部品実装機25に供給する部品の種類に応じてパレットの引き出し位置と部品のピックアップ方法を選択すると共に、その選択結果に応じてパレット引き出し機構14、サブロボット15及びシャトル機構16、反転ユニット17、突き上げユニット18等の動作を次のように制御する。
【0025】
(1)小さいダイ21の場合
小さいダイ21の場合は、サブロボット15→シャトルノズル26→部品実装機25の吸着ノズルへのダイ21のつかみ替えが困難であるので、マガジン保持部12からウエハパレット22を部品実装機用引き出し位置に引き出して、当該ウエハパレット22のダイシングシート36上のダイ21を部品実装機25の吸着ノズルで直接ピックアップする。
【0026】
(2)上記以外のサイズのダイ21の場合
ダイ21のつかみ替えが可能なサイズのダイ21の場合は、実装時間を短縮することを目的として、マガジン保持部12内のマガジンからウエハパレット22をサブロボット用引き出し位置に引き出して、サブロボット15の吸着ノズルで当該ウエハパレット22のダイシングシート36上のダイ21をピックアップし、当該ダイ21をシャトル機構16のシャトルノズル26で受け取って所定のピックアップ位置まで移送し、このピックアップ位置で、シャトル機構16のシャトルノズル26からダイ21を部品実装機25の吸着ノズルでピックアップする。
【0027】
(3)トレイ部品の場合
トレイ部品の場合は、マガジン保持部12内のマガジンからトレイパレット41を部品実装機用引き出し位置に引き出して、当該トレイパレット41上のトレイ部品42を部品実装機25の吸着ノズルで直接ピックアップする。
【0028】
ところで、ウエハパレット22のダイシングシート36上のダイ21を吸着ノズルで吸着してピックアップする際に、突き上げポット27は、ダイシングシート36を張ったウエハパレット22の円形開口部内に位置して該ダイシングシート36の下面にほぼ密着し、且つ、吸引状態で該ダイシングシート36の下面に沿ってXY方向に移動するため、突き上げポット27がウエハパレット22の円形開口縁部と干渉することを避ける必要がある。
【0029】
また、ウエハパレット22のダイシングシート36上のウエハのサイズは、8インチ、6インチ、4インチ等、様々なサイズがあり、また、同じサイズであっても、内側にグリップリングが有るものと無いものとがあり、グリップリングの有無によってもウエハの有効領域(円形開口部)の径が異なってくる。従って、ウエハパレット22のダイシングシート36上のウエハのサイズやグリップリングの有無に応じて、突き上げポット27のXY方向の移動可能範囲を設定する必要がある。
【0030】
そこで、本実施例では、ダイシングシート36上のウエハのサイズ及び/又はピックアップ動作範囲に関するウエハ情報を記述したウエハ情報記録部35をウエハパレット22に設けた構成としている。このウエハ情報記録部35は、バーコード、2次元コード等のコードを記録したものでも良いし、電子的に記憶する電子タグや、磁気的に記録する磁気テープ等を用いても良い。ウエハ情報記録部35からウエハ情報を読み取る情報読取り手段は、ウエハ情報記録部35の記録方式に応じて専用のリーダを設けても良いが、その分、コストアップする。
【0031】
そこで、部品供給装置11にダイ撮像用のカメラ24が標準装備されていることを考慮して、本実施例では、ウエハ情報記録部35として、上面にウエハ情報を表すコード(バーコード、2次元コード等)が記録されたものを使用すると共に、ウエハ情報読取り手段として、部品供給装置11に装備されたダイ撮像用のカメラ24を使用し、カメラ24でウエハ情報記録部35のコードを撮像して部品供給装置11の制御装置32(ウエハ情報読取り手段)で画像処理することでウエハ情報記録部35のコードを読み取る。このようにすれば、ウエハ情報記録部35からウエハ情報を読み取るウエハ情報読取り手段のカメラをダイ撮像用のカメラ24に兼用させることができ、コストアップを回避できる。
【0032】
部品供給装置11の制御装置32は、ダイピックアップ動作を開始する前にダイ撮像用のカメラ24を使用してウエハ情報記録部35のコードからウエハ情報を読み取って、突き上げポット27のXY方向の移動可能範囲を自動設定する。これにより、突き上げポット27がウエハパレット22の円形開口縁部と干渉しないXY方向の移動可能範囲の情報を入力する作業を行う必要がなくなり、生産性を向上できる。
【0033】
また、本実施例では、部品供給装置11の制御装置32は、生産前に部品供給装置11のカメラ24で読み取ったウエハ情報を用いて生産プログラムのデータをチェックするようにしている。このようにすれば、カメラ24で読み取ったウエハ情報が生産プログラムのデータと異なっている場合は、カメラ24で読み取ったウエハ情報に基づいて生産プログラムのデータを修正したり、生産を停止させることができ、突き上げポット27の干渉や無駄な動作を未然に防止することができる。
【0034】
一方、トレイパレット41上に積載するトレイ43の段積み数によってトレイパレット41上のトレイ部品42の積載数量が変化するため、トレイパレット41のトレイ43の段積み高さ(以下「パレット高さ」という)を検出するパレット高さ検出手段を設けて、このパレット高さ検出手段で検出したパレット高さ(トレイ43の段積み数)によって、トレイパレット41上のトレイ部品42の積載数量を管理するようにしている。
【0035】
本実施例のパレット高さ検出手段は、図5に示すように、例えば2つの透過型の光センサ44,45を用いて構成され、各光センサ44,45を構成する発光素子44a,45aと受光素子44b,45bがマガジン保持部12の前面側と後面側の同一高さ位置に光軸が水平となるように設置されている。
【0036】
パレット高さを検出する場合は、マガジン保持部12内のマガジンを送りねじ機構(図示せず)によって上下動させて、部品供給装置11の制御装置32(パレット高さ検出手段)で2つの光センサ44,45の出力信号を監視し、2つの光センサ44,45のいずれかの光軸が検出対象(トレイパレット41やトレイ43)で遮断されて光センサ44,45が検出対象を検出した状態になっている区間のエンコーダ(図示せず)の出力パルスを制御装置32でカウントし、そのエンコーダの出力パルスのカウント値に基づいてパレット高さ(トレイ43の段積み数)を検出する。
【0037】
マガジン保持部12内のマガジン内にトレイパレット41とウエハパレット22を混載する場合は、光センサ44,45によってトレイパレット41のパレット高さを検出する際に、ウエハパレット22のパレット高さも同様にして検出される。
【0038】
本実施例では、マガジン内に挿入した複数のウエハパレット22は、光センサ44,45によって検出されるパレット高さが常に同じ高さとなるように構成されている。具体的には、各ウエハパレット22には、予め決められた同一高さの被検出部材46,47が光センサ44,45の光軸と交差する位置に上向きに設けられている。尚、被検出部材46,47の高さは、トレイパレット41のトレイ43の段積み高さの変動範囲内に収まるため、パレット高さ検出手段で検出したパレット高さのみでは、ウエハパレット22とトレイパレット41とを判別できない。
【0039】
また、図6に示すように、トレイパレット41の所定位置には、画像認識可能なパレット判別部48が設けられている。このパレット判別部48は、例えば、着色(輝度)、マーク(図柄、絵)、文字、記号等により形成しても良く、或は、トレイパレット41のうちの特徴的な形状部分をパレット判別部48として用いても良い。以下の説明では、パレット判別部48として、明るい着色(輝度)のシールを貼着した場合の例を説明する。このパレット判別部48の画像認識に用いるカメラは、ダイ撮像用のカメラ24を用いれば良い。
【0040】
ところで、作業者がマガジンのスロットにパレットを挿入する際に、ウエハパレット22とトレイパレット41とを取り違えて挿入する作業ミスが発生する可能性がある。このため、マガジンからパレット引き出しテーブル13上に引き出されたパレットが生産プログラムで指定されたパレットと相違する可能性があり、それによって、パレット上の部品をピックアップする吸着ノズルがパレットと干渉して破損する等の不具合が発生する可能性がある。
【0041】
この対策として、本実施例では、部品供給装置11の制御装置32は、図7及び図8のパレット種判定プログラムを実行することで、マガジンからパレット引き出しテーブル13上に引き出されたパレットがウエハパレット22かトレイパレット41かを判別するようにしている。本プログラムによるパレット種の判定方法の概要は、パレット高さ検出手段で検出したパレット高さtが所定高さa(ウエハパレット22の高さ)と異なる場合は、(1)生産プログラムでトレイパレット41が指定されていれば、マガジンから生産プログラムの指定通りのトレイパレット41が引き出されていると判定し、(2)生産プログラムでウエハパレット22が指定されていれば、エラーと判定する。
【0042】
また、パレット高さ検出手段で検出したパレット高さtが所定高さa(ウエハパレット22の高さ)と一致する場合は、(3)生産プログラムでトレイパレット41が指定されているときに、トレイパレット検出手段でパレット判別部48を画像認識できれば、マガジンから生産プログラムの指定通りのトレイパレット41が引き出されていると判定し、トレイパレット検出手段でパレット判別部48を画像認識できなければ、エラーと判定し、また、(4)生産プログラムでウエハパレット22が指定されているときに、ウエハ情報読取り手段でウエハ情報記録部35からウエハ情報を読み取ることができれば、マガジンから生産プログラムの指定通りのウエハパレット22が引き出されていると判定し、ウエハ情報読取り手段でウエハ情報記録部35からウエハ情報を読み取ることができなければ、エラーと判定する。いずれの場合も、エラーと判定されたときに、部品供給装置11を停止させる。
【0043】
以下、制御装置32によって実行される図7及び図8のパレット種判定プログラムの処理内容を説明する。本プログラムは、作業者がマガジンの各スロットにウエハパレット22又はトレイパレット41を挿入する作業を行った後に実行され、特許請求の範囲でいうパレット種判定手段としての役割を果たす。この際、マガジンの各スロットに挿入するパレットの種別は、生産プログラムで指定されている。
【0044】
本プログラムが起動されると、まずステップ101で、マガジン内の各パレット22,41の高さtをパレット高さ検出手段で計測する。この後、ステップ102に進み、生産プログラムで指定されたパレット種が「トレイパレット」であるか否かを判定し、生産プログラムで指定されたパレット種が「トレイパレット」であると判定されれば、ステップ103に進み、測定したパレット高さtが所定高さa(ウエハパレット22の高さ)と一致するか否かを判定する。
【0045】
このステップ103で、測定したパレット高さtが所定高さa(ウエハパレット22の高さ)と異なると判定されれば、ステップ104に進み、生産プログラムの指定通りのウエハパレット22であると判定し、次のステップ105で、生産を実行する。
【0046】
これに対し、上記ステップ103で、測定したパレット高さtが所定高さa(ウエハパレット22の高さ)と一致すると判定されれば、ステップ106に進み、当該パレットをマガジンからパレット引き出しテーブル13上に引き出して、当該パレットの所定部分をカメラ24で撮像する。ここで、カメラ24で撮像する部分は、トレイパレット41のパレット判別部48と同じ位置の部分である。従って、撮像するパレットがトレイパレット41であれば、パレット判別部48が撮像され、ウエハパレット22であれば、パレット判別部48の無い部分が撮像される。
【0047】
この後、ステップ107に進み、撮像画像を画像処理して撮像画像の輝度を判定した後、ステップ108に進み、撮像画像の輝度がしきい値より明るいか否かで、トレイパレット41のパレット判別部48を画像認識したか否かを判定する。その結果、撮像画像の輝度がしきい値より明るいと判定されれば、トレイパレット41のパレット判別部48を画像認識したと判断して、ステップ109に進み、生産プログラムの指定通りのトレイパレット41がパレット引き出しテーブル13上に引き出されていると判定し、ステップ105に進んで、生産を実行する。
【0048】
これに対し、上記ステップ108で、撮像画像の輝度がしきい値より暗いと判定されれば、パレット判別部48を画像認識できなかった(パレット判別部48が無い)と判断して、ステップ110に進み、生産プログラムで指定された「トレイパレット」と異なるパレット(つまりウエハパレット22)であるか、又はパレット判別部48が欠損していると判定する。この後、ステップ111に進み、エラーと判定して部品供給装置11を停止させる。
【0049】
一方、上記ステップ102で、生産プログラムで指定されたパレット種が「ウエハパレット」であると判定されれば、図8のステップ112に進み、測定したパレット高さtが所定高さa(ウエハパレット22の高さ)と一致するか否かを判定する。
【0050】
このステップ112で、測定したパレット高さtが所定高さa(ウエハパレット22の高さ)と異なると判定されれば、ステップ113に進み、生産プログラムで指定された「ウエハパレット」と異なるパレット(つまりトレイパレット41)であると判定する。この後、ステップ114に進み、エラーと判定して部品供給装置11を停止させる。
【0051】
これに対し、上記ステップ112で、測定したパレット高さtが所定高さa(ウエハパレット22の高さ)と一致すると判定されれば、ステップ115に進み、当該パレットをマガジンからパレット引き出しテーブル13上に引き出して、当該パレットの所定部分をカメラ24で撮像する。ここで、カメラ24で撮像する部分は、ウエハパレット22のウエハ情報記録部35と同じ位置の部分である。従って、撮像するパレットがウエハパレット22であれば、ウエハ情報記録部35が撮像され、トレイパレット41であれば、ウエハ情報記録部35の無い部分が撮像される。
【0052】
この後、ステップ116に進み、撮像画像を画像処理した後、ステップ117に進み、撮像画像からウエハ情報を読み取ることができたか否かを判定し、ウエハ情報を読み取ることができたと判定されれば、ステップ118に進み、生産プログラムの指定通りのウエハパレット22がパレット引き出しテーブル13上に引き出されていると判定し、ステップ119に進んで、読み取ったウエハ情報を使って生産を実行する。
【0053】
これに対し、上記ステップ117で、撮像画像からウエハ情報を読み取ることができなかったと判定されれば、ステップ120に進み、生産プログラムで指定された「ウエハパレット」と異なるパレット(つまりトレイパレット41)であるか、又はウエハ情報記録部35が欠損していると判定する。この後、ステップ121に進み、エラーと判定して部品供給装置11を停止させる。
【0054】
以上説明した本実施例によれば、パレット高さ検出手段で検出したパレット高さと、ウエハ情報読取り手段で読み取ったウエハ情報と、トレイパレット検出手段で画像認識したパレット判別部48の有無の組み合わせによって、マガジンから引き出れたパレットが生産プログラムで指定されたパレットであるか否かを判定することができ、マガジンから引き出されたパレットの種別を自動的に確認する機能を部品供給装置11に持たせることができる。
【0055】
尚、図7及び図8のパレット種判定プログラムでは、生産開始前にマガジン内の全てのパレット22,41の高さをパレット高さ検出手段で計測するようにしたが、マガジンからパレットをパレット引き出しテーブル13上に引き出す際に、該パレットの高さをパレット高さ検出手段で計測するようにしても良い。
【0056】
また、上記実施例では、パレット種判定手段としての機能を部品供給装置11の制御装置32に搭載するようにしたが、部品実装機25の制御装置、又は、部品実装機25を含む部品実装ラインの制御装置にパレット種判定手段としての機能を搭載するようにしても良い。
【0057】
その他、本発明は、部品供給装置11の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
11…部品供給装置、12…マガジン保持部、13…パレット引き出しテーブル、14…パレット引き出し機構、15…サブロボット、16…シャトル機構、17…反転ユニット、18…突き上げユニット、19…NGコンベア、20…ノズルチェンジャー、21…ダイ(ウエハ部品)、22…ウエハパレット、23…ウエハ装着板、24…カメラ(ウエハ情報読取り手段,トレイパレット検出手段)、25…部品実装機、26…シャトルノズル、27…突き上げポット、28…パレット本体、32…制御装置(パレット高さ検出手段,ウエハ情報読取り手段,トレイパレット検出手段,パレット種判定手段)、33…入力装置、34…表示装置、35…ウエハ情報記録部、36…ダイシングシート、41…トレイパレット、42…トレイ部品(電子部品)、43…トレイ、44,45…光センサ(パレット高さ検出手段)、46,47…被検出部材、48…パレット判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給装置のマガジン内に、ウエハ部品を載せたウエハパレットと、電子部品を載せたトレイパレットとを複数段に混載し、前記マガジンから生産プログラムで指定されたパレットを引き出して当該パレット上の部品を部品実装機に供給するものに適用される、前記マガジンから引き出されたパレットの種別を判定するパレット種判定システムであって、
前記ウエハパレットの所定位置に、ウエハ情報を記録又は記憶したウエハ情報記録部を設けると共に、前記トレイパレットの所定位置に画像認識可能なパレット判別部を設け、 前記ウエハパレットと前記トレイパレットの高さを検出するパレット高さ検出手段と、 前記マガジンから引き出された前記ウエハパレットの前記ウエハ情報記録部から前記ウエハ情報を読み取るウエハ情報読取り手段と、
前記マガジンから引き出された前記トレイパレットの前記パレット判別部を画像認識することで当該トレイパレットを検出するトレイパレット検出手段と、
前記パレット高さ検出手段で検出したパレット高さ、前記ウエハ情報読取り手段で読み取った前記ウエハ情報、及び、前記トレイパレット検出手段で画像認識した前記パレット判別部の有無に基づいて、前記マガジンから引き出れたパレットが前記生産プログラムで指定されたパレットであるか否かを判定するパレット種判定手段と
を備えていることを特徴とするパレット種判定システム。
【請求項2】
前記パレット種判定手段は、前記部品供給装置の制御装置、又は、前記部品実装機の制御装置、又は、前記部品実装機を含む部品実装ラインの制御装置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパレット種判定システム。
【請求項3】
前記ウエハパレット上のウエハ部品を撮像するカメラを備え、
前記ウエハ情報記録部は、その上面に前記ウエハ情報を表すコードが記録され、
前記ウエハ情報読取り手段は、前記カメラで前記コードを撮像して該コードを画像認識し、
前記トレイパレット検出手段は、前記カメラで前記パレット判別部を撮像して該パレット判別部を画像認識することを特徴とする請求項1又は2に記載のパレット種判定システム。
【請求項4】
前記ウエハパレットは、前記パレット高さ検出手段で検出されるパレット高さが所定高さとなるように構成され、
前記パレット種判定手段は、前記パレット高さ検出手段で検出したパレット高さが前記所定高さと異なる場合は、(1)前記生産プログラムでトレイパレットが指定されていれば、前記マガジンから前記生産プログラムの指定通りのトレイパレットが引き出されていると判定し、(2)前記生産プログラムでウエハパレットが指定されていれば、エラーと判定し、
前記パレット高さ検出手段で検出したパレット高さが前記所定高さと一致する場合は、(3)前記生産プログラムでトレイパレットが指定されているときに、前記トレイパレット検出手段で前記パレット判別部を画像認識できれば、前記マガジンから前記生産プログラムの指定通りのトレイパレットが引き出されていると判定し、前記トレイパレット検出手段で前記パレット判別部を画像認識できなければ、エラーと判定し、(4)前記生産プログラムでウエハパレットが指定されているときに、前記ウエハ情報読取り手段で前記ウエハ情報記録部から前記ウエハ情報を読み取ることができれば、前記マガジンから前記生産プログラムの指定通りのウエハパレットが引き出されていると判定し、前記ウエハ情報読取り手段で前記ウエハ情報記録部から前記ウエハ情報を読み取ることができなければ、エラーと判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパレット種判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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