説明

パーフルオロ(メチルビニルエーテル)の二官能性オリゴマー

フッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレンの共重合単位40〜90モルパーセントと、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位10〜60モルパーセントとを含有する、フッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレンを含むパーフルオロ(メチルビニルエーテル)オリゴマーを開示し、前記オリゴマーは、2つの官能性末端基を有し、1000から25000の間の数平均分子量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるモノマーを含むパーフルオロ(メチルビニルエーテル)のオリゴマーに関し、より詳細には、前記オリゴマーは、フッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレンの共重合単位40〜90モルパーセントと、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位10〜60モルパーセントとを含有し、前記オリゴマーは、2つの官能性末端基を有し、1000から25000g/モルの間の数平均分子量を有する。
【背景技術】
【0002】
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)と、フッ化ビニリデン(VF)またはテトラフルオロエチレン(TFE)のいずれかとの高分子量コポリマーは、当技術分野において公知である。比較的低いガラス転移温度(Tg)を有する加硫エラストマーの部品を、このようなポリマーから形成することができる。例えば、米国特許出願公開第2005/0215741号明細書を参照されたい。このようなコポリマーを、式RfX(式中、Rfが過フッ素化アルキル基であり、Xがヨウ素原子または臭素原子である)の連鎖移動剤の存在下で作製することができ、ヨウ素原子または臭素原子の末端基を有するコポリマーが生成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位と、フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるモノマーとを含む二官能性低分子量オリゴマーである。このようなオリゴマーを、より高分子量の重縮合ポリマーのためのハイブリッドブロックまたはビルディングブロックとして用いることができる。したがって、本発明の態様は、
A)フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるモノマーの共重合単位40から90モルパーセントと、
B)パーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位10から60モルパーセントと、
C)ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるモノマーの共重合単位であって、ただしA)がフッ化ビニリデンである場合には、C)がテトラフルオロエチレンのみであることができ、A)がテトラフルオロエチレンである場合には、C)がヘキサフルオロプロピレンのみであることができる共重合単位0から10モルパーセントと、
D)式CF=CFO(Rf’O)(Rf’’O)のパーフルオロビニルエーテルの共重合単位であって、式中、Rf’およびRf’’は、2〜6個の炭素原子の異なる鎖状または分岐のパーフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、独立して0〜10であり、Rは、1〜6個の炭素原子のパーフルオロアルキル基である共重合単位0から10モルパーセントと、
E)i)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、メチルエステル;ii)エタンスルホニルフルオリド、2−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−1,1,2,2−テトラフルオロ−;iii)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−;iv)プロパンニトリル、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−;v)ヘキサンニトリル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−6−[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]−;vi)プロパンニトリル、2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−[(トリフルオロエテニル)オキシ]プロポキシ]−;vii)プロパンアミド、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−;viii)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ;リン酸二水素;およびix)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−からなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルの共重合単位0から10モルパーセントと
から本質的になるオリゴマーであって、
前記オリゴマーが、1000から25000g/モルの数平均分子量を有し、前記オリゴマーが、それぞれの鎖末端で官能基を有し、前記官能基が、ヨウ素原子、オレフィン基、ヒドロキシ基、カルボン酸基および−CFH基からなる群から選択される、オリゴマーである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明は、一般に−30℃未満の低いガラス転移温度を有する二官能性オリゴマーに関する。反応性の末端官能基により、このようなオリゴマーは、より高分子量の縮合ポリマーを作製するために用いられ得る。「二官能性」は、概してそれぞれのオリゴマー鎖の両端が、それらに限定されるものではないが、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、カルボン酸基、ヒドリド基(すなわち−CFH)およびオレフィン(アリルを含む)基等の反応性の(すなわち官能性の)末端基を有することを意味する。
【0005】
本発明のオリゴマーは、a)フッ化ビニリデン(VF)およびテトラフルオロエチレン(TFE)からなる群から選択されるモノマーの共重合単位40から90(好ましくは50から85、最も好ましくは60から75)モルパーセントと、b)パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、すなわちCFOCF=CF(PMVE)の共重合単位10から60(好ましくは15から50、最も好ましくは25から40)モルパーセントと、c)a)がフッ化ビニリデンである場合には、c)がテトラフルオロエチレンのみであることができ、a)がテトラフルオロエチレンである場合には、c)がヘキサフルオロプロピレンのみであることができるという条件で、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)およびテトラフルオロエチレン(TFE)からなる群から選択されるモノマーの共重合単位0から10モルパーセントと、d)式CF=CFO(Rf’O)(Rf’’O)(式中、Rf’およびRf’’は、2〜6個の炭素原子の異なる鎖状または分岐のパーフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、独立して0〜10であり、Rは、1〜6個の炭素原子のパーフルオロアルキル基である)のパーフルオロビニルエーテルの共重合単位0から10モルパーセントと、e)i)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、メチルエステル(EVE)、ii)エタンスルホニルフルオリド、2−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−1,1,2,2−テトラフルオロ−(PSEPVE)、iii)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−(EVE−OH)、iv)プロパンニトリル、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ(8−CNVE)、v)ヘキサンニトリル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−6−[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]−(L−8−CNVE)、vi)プロパンニトリル、2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−[(トリフルオロエテニル)オキシ]プロポキシ]−(iso−8−CNVE)、vii)プロパンアミド、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−(AVE)、viii)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、リン酸二水素(EVE−P)、およびix)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−(EVE−COOH)からなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルの共重合単位0から10モルパーセントと
から本質的になる。モルパーセント値は、オリゴマー中で共重合しているモノマー単位の全モル数を基準にしている。すべての共重合しているモノマー単位のモルパーセントの合計は、100モルパーセントである。
【0006】
本発明のオリゴマー中で用いられ得る好ましい種類のパーフルオロビニルエーテルには、式
CF=CFO(CFCFXO)
(式中、Xは、FまたはCFであり、nは0〜5であり、Rは、1〜6個の炭素原子のパーフルオロアルキル基である)の組成物が挙げられる。
【0007】
最も好ましい種類のパーフルオロビニルエーテルには、nが0または1であり、Rが1〜3個の炭素原子を含有するエーテルが挙げられる。このような過フッ素化エーテルの例には、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が挙げられる。
【0008】
他の有用なパーフルオロビニルエーテルには、式
CF=CFO[(CFCFCFZO]
(式中、Rは、1〜6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基であり、m=0または1であり、n=0〜5であり、Z=FまたはCFである)のものが挙げられる。この種類の好ましい要素は、RがCFであり、m=1であり、n=1であり、Z=Fであるもの、およびRがCであり、m=0であり、n=1であるものである。
【0009】
さらなるパーフルオロビニルエーテルには、式
CF=CFO[(CFCF{CF}O)(CFCFCFO)(CF]C2x+1
(式中、mおよびnは独立して=0〜10であり、p=0〜3であり、x=1〜5である)の化合物が挙げられる。この種類の好ましい要素には、n=0〜1であり、m=0〜1であり、x=1である化合物が挙げられる。
【0010】
有用なパーフルオロビニルエーテルのさらなる例には、
CF=CFOCFCF(CF)O(CFO)2n+1
(式中、n=1〜5であり、m=1〜3である、式中、好ましくはn=1である)が挙げられる。
【0011】
本発明のオリゴマーは、室温で、粘性のある油または半固体であり、1000から25000、好ましくは1200から12000、最も好ましくは1500から5000の数平均分子量を有する。
【0012】
本発明のオリゴマーを、溶液、懸濁または乳化の重合工程により作製することができる。このような工程は、当技術分野において周知である。好ましくは、無機過酸化物(例えば、ナトリウムまたはアンモニウムの過硫酸塩)が開始剤である乳化工程が用いられる。任意選択的に、界面活性剤、特にフッ素系界面活性剤を、乳化の安定を改善するために含むことができる。
【0013】
重合反応は、式I−Rf−I(式中、Rfは、3から12個の間の炭素原子を含有するパーフルオロアルキレン基または酸素原子含有パーフルオロアルキレン基である)の連鎖移動剤の存在下で行われる。好ましい連鎖移動剤は、1,4−ジヨードパーフルオロブタンおよび1,6−ジヨードパーフルオロヘキサンであり、ジヨードパーフルオロアルカンの混合物であることができる。この連鎖移動剤は、一般に、重合反応の開始前に反応器に導入され、オリゴマー鎖のそれぞれの末端でヨウ素原子の末端基を生成するのに十分な量で存在する。NMR分光法を用いて、概して、2個のヨウ素原子がそれぞれのポリマー鎖上にあることを確認することができる。
【0014】
本発明のオリゴマーにおけるヨウ素の末端基を、周知の化学反応により、他の官能性末端基に変換することができる。例えば、I−コポリ−I(式中、「コポリ」はオリゴマー鎖である)をエチレンと反応させて、ICHCH−コポリ−CHCHIを形成することができる。ジヨードエチル基の加水分解により、ジオールHO−CHCH−コポリ−CHCH−OHが生成される。このジオールの酸化により、二価酸の生成物が生成される。エチレンではなく酢酸アリルを、I−コポリ−Iと反応させた場合、ジアリル基、および他の官能基を公知の反応により得ることができる。
【0015】
本発明のオリゴマーの具体例には、I−(VF2−co−PMVE)−I、I−CH2CH2−(VF2−co−PMVE)−CH2CH2−I、CH2=CH−(VF2−co−PMVE)−CH=CH2、I−(TFE−co−PMVE)−I、I−CH2CH2−(TFE−co−PMVE)−CH2CH2−I、CH2=CH−(TFE−co−PMVE)−CH=CH2、I−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−I、I−CH2CH2−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−CH2CH2−I、CH2=CH−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−CH=CH2、I−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−I、I−CH2CH2−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CH2CH2−I、CH2=CH−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CH=CH2、CH2=CH−CH2−(VF2−co−PMVE)−CH2−CH=CH2、CH2=CH−CH2−(TFE−co−PMVE)−CH2−CH=CH2、CH2=CH−CH2−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CH2−CH=CH2、HO−CH2CH2−(VF2−co−PMVE)−CH2CH2−OH、HO−CH2CH2−(TFE−co−PMVE)−CH2CH2−OH、HO−CH2CH2−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CH2CH2−OH、HO−CH2CH2−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−CH2CH2−OH、H−(VF2−co−PMVE)−H、H−(TFE−co−PMVE)−H、H−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−H、H−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−H、HOOC−CH2−(VF2−co−PMVE)−CH2−COOH、HOOC−CH2−(TFE−co−PMVE)−CH2−COOH、HOOC−CH2−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CH2−COOH、ROOC−CH2−(VF2−co−PMVE)−CH2−COOR、ROOC−CH2−(TFE−co−PMVE)−CH2−COOR、ROOC−CH2−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CH2−COOR、NH2−CO−CH2−(VF2−co−PMVE)−CH2−CONH2、NH2−CO−CH2−(TFE−co−PMVE)−CH2−CONH2、NH2−CO−CH2−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CH2−CONH2、HOOC−(VF2−co−PMVE)−COOH、HOOC−(TFE−co−PMVE)−COOH、HOOC−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−COOH、HOOC−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−COOH、ROOC−(VF2−co−PMVE)−COOR、ROOC−(TFE−co−PMVE)−COOR、ROOC−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−COOR、ROOC−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−COOR、NH2−CO−(VF2−co−PMVE)−CONH2、NH2−CO−(TFE−co−PMVE)−CONH2、NH2−CO−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CONH2、NH2−CO−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−CONH2、NC−(VF2−co−PMVE)−CN、NC−(TFE−co−PMVE)−CN、NC−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CN、NC−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−CN、HOCH2−(VF2−co−PMVE)−CH2OH、HOCH2−(TFE−co−PMVE)−CH2OH、HOCH2−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CH2OH、HOCH2−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−CH2OHが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0016】
本発明のオリゴマーは、狭い分子量分布(一般に1.5よりはるかに小さい)を有し、より高分子量のフッ素化された重縮合ポリマーのハイブリッドブロックの合成を包含する多くの工業的用途において有用である。
【実施例】
【0017】
試験方法
数平均分子量(Mn)を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した。試料をTHFに溶解した。分析は、Polymer Laboratories製の、5μmのPLgelのMixed−Cカラム2本を備えたSpectra−Physicsクロマトグラフと、Spectra Physics SP8430の屈折率(RI)およびUVの検出器(PVF−Isに帰属される信号は、屈折率が負の値を示した)によって行った。ジメチルホルムアミド(DMF)またはテトラヒドロフラン(THF)を、0.8mL分−1の流量で、それぞれ、温度=70℃および温度=30℃における溶離剤として用いた。標準は、Polymer Laboratoriesまたは他の販売元から購入した単分散ポリ(スチレン)(PS)であった。末端基を積分することによる19F NMRも用いて、Mnを確認した。
【0018】
オリゴマーの組成および微細構造を、19F NMRおよびH NMRにより測定した。溶媒として重水素化アセトンを、H(または19F)原子核に対する参照としてテトラメチルシラン(TMS)(またはCFCl)を用い、NMRスペクトルを、Bruker AC 400(400MHz)の機器により記録した。結合定数および化学シフトは、それぞれHzおよびppmで与えられる。H(または19F)NMRスペクトルについての実験条件は以下の通りであった。すなわち、フリップ角は90°(または30°)、収集時間は4.5秒(または0.7秒)、パルス遅延は2秒(または5秒)、スキャン数は16(または64)、19F NMRについてのパルス幅は5μsであった。
【0019】
ガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量計(DSC)により測定した。DSC測定を、Perkin Elmer Pyris 1の機器を用いて行った。スキャンを、−100℃から50℃まで、10または20℃/分のいずれかの加熱速度で記録した。2回目の加熱後に記録値を得た。
【0020】
分解温度(Td)を、熱重量分析(TGA)により測定した。TGAを、空気中または窒素中において、室温から最大550℃まで、10℃または20℃/分のいずれかの加熱速度で、Texas Instrument ATG 51−133の装置によって行った。
【0021】
実施例1
入口バルブおよび出口バルブ、マノメータならびに破裂板を備えた、160mL容のHastelloy(HC−276)のオートクレーブを脱気し、窒素3.0MPaで2時間加圧して漏れを検査した。この操作の後、2.67kPaの真空を30分間(min.)適用して、残留酸素を除去した。真空下で、オートクレーブに予め調製した溶液を入れた。
【0022】
予め調製した溶液は、Na(0.368g、16.0×10−4mol)、1,4−ジヨードパーフルオロブタン(ICI)(7.15g、16.0×10−3mol)であり、脱イオン水(80g)と共に丸底フラスコに導入した。この溶液を、0℃で20分間、アルゴンによりバブリングして、反応混合物中の残留酸素を除去した。
【0023】
予め調製した溶液をオートクレーブに添加した後、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)(16.6g、0.100モル)およびフッ化ビニリデン(VF)(9.6g、0.150モル)の気体輸送によりモノマーを導入した。供給材料のモル比VF/PMVEは、60/40であった。PMVEの導入を促進するために、オートクレーブを、ドライアイス/アセトン浴中で約−40℃に冷却した。PMVEの導入中に、反応器圧力のわずかな増加が観測された(0から0.2MPaに)。次いで、オートクレーブを室温に温めた。オートクレーブ中の圧力は、0.2から0.5MPaに増加した。次に、VFを室温で導入した。オートクレーブ中の圧力は急速に増加した(0.5から2.0〜2.5MPaに)。VFの導入後に、混合物を10分間、加熱せずに混合した(攪拌速度=200〜300rpm)。オートクレーブ中の圧力は、ゆっくりと減少した(2.5から1.5MPaに)。次いで、急激な発熱(約20℃)を回避するために、オートクレーブを段階的に80℃まで、ゆっくりと加熱した。このような大きい発熱は、反応の収率を減少させる。圧力が4.0〜4.5MPaに達したときに、少しの発熱が観測され(約5℃)、次いで圧力の急激な低下が観測された(4.5から0.5MPaに)。この反応を8時間進行させた。次いで、オートクレーブを、氷浴中に約60分間置き、未反応ガス4gをゆっくりと放出した。収率は85〜90%であった。減圧したオートクレーブから、液体約100gを得た。この液体中に溶解していた過剰のモノマーを、真空(20mmHg)下で放出した。この液体を、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンで2度抽出し、水で洗浄して、Naのすべての痕跡を除去した。抽出物をNaSO下で乾燥した。溶媒を、蒸留(周囲温度/20mmHg)により除去して、粘性のある褐色がかった生成物を得た(収率=90〜95%)。残留ヨウ素を除去するために、この液体を、チオ硫酸ナトリウム溶液(水中5重量%)で洗浄した。生成したオリゴマー生成物は無色であった。
【0024】
このオリゴマーを、試験方法に記載のような、19FおよびHのNMR分光法ならびにSEC分析により特性決定した。数平均分子量は、1500g/mol(19F NMRによる)、1800g/mol(SECによる)であり、多分散性指数(PDI)1.30を有していた。このオリゴマーの組成は、VF68mol%およびPMVE32mol%であった。ガラス転移温度(Tg)は−63℃であり、分解温度(Td)は220℃であった。
【0025】
19F NMR[アセトン−d]−38.0から−40.0[m, −CH2−CF2I]、−53.5[m,−CF(OCF3)−]、−91.0から−93.0[m,−CH2−CF2−CH2−CF2−]、−108.0[m,−CF2−CF2−CH2I]、−109から−113.0[m, −CH2−CF2−CF2−CF(OCF3)、−CF2−(CF2)2−CF2−)]、−113.4[m,−CH2−CF2−CF2−CH2−CH2−]、−115.7[m,−CH2−CF2−CF2−CH2−CH2−]、−123.0から−124[m,−CH2−CF2−CF2−CF(OCF3)−、−CF2−(CF2)2−CF2−)]、−126から−129[m,−CH2−CF2−CF2−CF(OCF3)−]、−145から−146[m,−CH2−CF2−CF2−CF(OCF3)−CF2)−]。
【0026】
H NMR:δ2.3[m,−CH2−CF2−CF2−CH2−CH2−CF2−]、2.8から3.6[m,−CH2−CF2−CH2−CF2−,−CF2−CH2−CF2−CF(OCF3)−]、3.8 [q,3JHF=14.0Hz,−CH2−CF2I]、4.0[q,3JHF=8.0Hz,−CF2−CH2I]。
【0027】
実施例2
1リットル容の反応器に、水(脱酸素化済、400ml)、過硫酸ナトリウム(1.84g)および1,4−ジヨードパーフルオロブタン(35.75g)を充填した。この反応器を密封し、−40℃に冷却し、真空排気し、次いで、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE、83g)およびフッ化ビニリデン(VF、48g)のモノマーを反応器中に移送した。反応器を再度密封し、この反応を約1時間かけて80℃にゆっくりと加熱した。この反応を80℃で8時間進行させた。冷却後に、反応器の内容物を、Vertrel(登録商標)−XFの溶媒[2,3−ジヒドロパーフルオロペンタン](DuPontから入手可能)で2度抽出した。抽出物を合わせ、水で洗浄して、すべてのナトリウム塩残留物を除去した。この溶液を、硫酸ナトリウム粉末下でさらに乾燥して、水を除去した。この溶媒を、真空中で、次いで高真空により除去した。透明で無色の粘性液体50グラムが得られた。
【0028】
生成したオリゴマーの組成は、アセトン−d6中の19F−NMRにより、VF/PMVE=71.8/28.2(mol%)であると測定された。このオリゴマーのガラス転移温度は、DSCにより、−58℃であると測定され、Mnは、ポリスチレンを標準としたDMFまたはTHFでのSECにより、約2490g/mol(多分散性1.126)であると測定された。
【0029】
実施例3
1リットル容の反応器に、水(脱酸素化済、400ml)、過硫酸ナトリウム(1.84g)および1,4−ジヨードパーフルオロブタン(35.75g)を充填した。この反応器を密封し、−40℃に冷却し、真空排気し、次いで、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE、104g)およびテトラフルオロエチレン(TFE、25g)のモノマーを反応器中に移送した。反応器を再度密封し、反応器の内容物を約1時間かけて80℃にゆっくりと加熱した。この反応を80℃で8時間進行させた。冷却後に、反応器の内容物を、Vertrel(登録商標)−XFの溶媒で3度抽出した。抽出物を合わせ、水で洗浄して、すべてのナトリウム塩残留物を除去した。この溶液を、硫酸ナトリウム粉末下でさらに乾燥して、水を除去した。溶媒を、真空中で、次いで高真空により除去した。透明で無色の粘性液体33gが得られた。
【0030】
生成したオリゴマーの組成は、アセトン−d6中の19F−NMRにより、TFE/PMVE=45.6/54.4(mol%)であると測定された。このオリゴマーのガラス転移温度は、DSCにより、−40℃であると測定され、Mは、ポリスチレンを標準としたDMFまたはTHFでのSECにより、約1120g/mol(多分散性1.165)であると測定された。
【0031】
実施例4
入口バルブおよび出口バルブ、マノメータならびに破裂板を備えた、160mL容のHastelloy(HC−276)のオートクレーブを脱気し、窒素3MPa barで加圧して漏れを検査し、次いで、2.67kPaの真空を30分間稼動した。真空下において、tert−ブチルパーオキシピバレート(TBPPI)0.460g(0.002mol)、ポリ(VF−coPMVE)I 20.0g(0.001mol)(前述の実施例の方法に従って作製、Mn約2000g/mol)および1,1,1,2,2−ペンタフルオロペンタン80.0gを、オートクレーブに移送した。次に、エチレン0.70g(0.025mol)を、この混合物中に導入した。オートクレーブの温度を、それぞれ2分間で以下の中間的な温度、すなわち25℃、30℃、35℃にまで加熱することにより、段階的に37℃に増加させた。約5℃の少しの発熱、次いで482kPaへの急激な圧力低下が観測された。急激な温度上昇を回避するために37℃の温度を維持し、末端ごとにエチレン1分子でなく、末端ごとにエチレン2分子の付加を維持することが重要であった。6時間の反応後に、オートクレーブを、氷浴中に約60分間置き、未反応エチレンをゆっくりと放出した。オートクレーブを開放後に、褐色液体約100gを得た。この生成物を、水/メチルエチルケトンの溶液で抽出し、溶媒を除去した後に、粘性のある褐色生成物を得た(収率=100%)。この試料を、19FおよびHのNMR分光法ならびにSEC分析により特性決定した。19F NMRスペクトル中の−40ppmにおける信号がないことから、エチレンのポリ(VF−co−PMVE)Iへの付加が確認される。
【0032】
19F NMR(重水素化アセトン、ppm)、−53.5(m,−CF(OCF)−)、−91.0から−93.0(m,−CH−CF−CH−CF−および−CH−CF−CH−CH)、−108.0(m,−CF−CF−CHI)、−109から−113.0(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)、−CF−(CF−CF−)、−113.4(m,−CH−CF−CF−CH−CH−)、−115.7(m,−CH−CF−CF−CH−CH−)、−123.0から−124(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−、−CF−(CF−CF−)、−126から−129(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−)、−145から−146(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−CF−)。
【0033】
H NMR:δ2.3(m,−CH−CF−CF−CH−CH−CF−および−CF−CHCHI)、2.8から3.6(m,−CH−CF−CH−CF−,−CF−CH−CF−CF(OCF)−およびCF−CHCHI)、4.0(q,HF=8.0Hz,−CF−CHI)。
【0034】
実施例5
冷却器および電磁攪拌機を備えた、250mL容の2口丸底フラスコを、アルゴンで30分間パージした。I−CHCH−(VF2−co−PMVE)−CHCH−I(実施例4から)40.0g(14.3ミリモル)を、DMF30.0g(410ミリモル)に溶解し、次いで、蒸留水1.5g(70ミリモル)をこのフラスコに添加した。この内容物を、室温で20分間、アルゴンによりパージした。次いで、温度を120℃に上昇させ、10〜12時間加水分解を行った。
【0035】
末端封止のホルメート(−CHOCHO)基(10〜25mol%を、H NMRにより確認)を移動させるために、反応混合物を(室温に冷却後に)、HSO/CHOH溶液(CHOH25mL中HSO7.0g(64ミリモル))で、8時間、直接に処理した。
【0036】
全生成混合物を、冷蒸留水から3回沈殿させ、水相を、有機のフッ素化された生成物(黄褐色の粘性液体として)から分離した。有機のフッ素化された生成物を、アセトンに溶解し、無水NaSOにより乾燥して、微量の水を除去した。アセトンを濾過および蒸発させた後、フッ素化されたジオールを、真空(10−2mmHg/50℃)下で一定の重量になるまで乾燥した。この生成物は、FTIR、Hおよび19FのNMR分光法により特性決定され、ジオール97〜99mol%、および変換されていない−CHOCHO末端基1〜3mol%を有することが見出された。
【0037】
上述のように得られた生成物20g、NaOH0.6g、およびエタノール100mlを、冷却器を有する丸底フラスコに導入した。70℃で1時間反応させた後、この溶液を室温に冷却し、溶媒を除去し、この材料を1,1,1,3,3−ペンタフルオロペンタンに再溶解した。未反応NaOH残留物を、水/1,1,1,3,3−ペンタフルオロペンタンで抽出することにより除去した。次いで、この溶媒を除去して、ポリ(VF−co−PMVE)官能化アルコールを得た。
【0038】
19F NMR(重水素化アセトン、ppm):−53.5(m,−CF(OCF)−)、−91.0から−93.0(m,−CH−CF−CH−CF−および−CH−CF−CH−CH)、−108.0(m,−CF−CF−CHI)、−109から−113.0(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)、−CF−(CF−CF−)、−113.4(m,−CH−CF−CF−CH−CH−)、−115.7(m,−CH−CF−CF−CH−CH−)、−123.0から−124(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−,−CF−(CF−CF−)、−126から−129(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−)、−145から−146(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−CF)−)。
【0039】
H NMR:δ2.3(m,−CH−CF−CF−CH−CH−CF−および−CF−CHCHOH)、2.8から3.6(m,−CH−CF−CH−CF−,−CF−CH−CF−CF(OCF)−)、3.8(t,−CF−CHCHOH)。
【0040】
実施例6
ポリ(VF−coPMVE)I 20.0g(0.01mol)(Mn=2000g/mol、2に類似したCFIの官能性、前述の実施例に開示されている一般的な方法により作製)、酢酸アリル2.5g(0.025mol)、アセトニトリル50g、およびtert−ブチルパーオキシピバレート(TBPPI)0.46gを、冷却器をもつ丸底フラスコに導入した。この溶液を、0℃で20分間、アルゴンによりバブリングした。75℃で8時間反応させた後、この溶液を室温に冷却し、溶媒を蒸留により除去した(定量的収率)。このコポリマーをH NMRおよび19F NMRにより特性決定した。−40ppmを中心とする信号がないことから、酢酸アリルのポリ(VF−co−PMVE)Iへの付加が確認される。
【0041】
19F NMR(重水素化アセトン、ppm):−53.5 (m,−CF(OCF)−)、−91.0から−93.0(m、−CH−CF−CH−CF−および−CH−CF−CH−CHI−O−(C=O)−CH)、−108.0(m,−CF−CF−CHI)、−109から−113.0(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)、−CF−(CF−CF−)、−113.4(m,−CH−CF−CF−CH−CH−)、−115.7(m,−CH−CF−CF−CH−CH−)、−123.0から−124(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−、−CF−(CF−CF−)、−126から−129(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−)、−145から−146(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−CF)−)。
【0042】
H NMR:δ2.3(m,−CH−CF−CF−CH−CH−CF−)、2.8(m,−CH−CF−CH−CHI−CHO−(C=O)−CH)、2.8から3.6(m,−CH−CF−CH−CF−、−CF−CH−CF−CF(OCF)−)、4.3(q,−CF−CH−CHI−CHO−(C=O)−CH)、4.6(CH−CF−CH−CHI−CH−O−(C=O)−CH)。
【0043】
実施例7
冷却器、電磁攪拌機および滴下漏斗を備えた250ml容のフラスコに、亜鉛粉末1.5g(0.022mol)(無水酢酸および酢酸の等モル混合物により活性化)ならびに乾燥メタノール100mlを充填した。次いで、この反応混合物を40℃に加熱し、テレケリックなジヨードビスアセテートポリ(VF−co−PMVE)20g(0.01mol)(実施例6において調製)を滴下した。数滴の臭素も添加して、亜鉛を活性化した。すべて添加した後に、反応混合物を4時間還流した。次いで、未反応の亜鉛粉末を濾過により除去し、メタノールを蒸発させた。残留物を、メチルエチルケトン中に溶解し、10重量%HCl800mlで洗浄し、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過して、無色の粘性液体として得られるα,ω−ジエンポリ(VF−co−PMVE)(17.96g、90%)を生成した。H NMRおよび19F NMRのスペクトルにより、化学修飾(ジエンの官能性は2に近い)が確認される。
【0044】
19F NMR(重水素化アセトン、ppm):−53.5(m,−CF(OCF)−)、−91.0から−93.0(m,−CH−CF−CH−CF−)、−108.0(m,−CF−CF−CHI)、−109から−113.0(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)、−CF−(CF−CF−)、−113.4(m,−CH−CF−CF−CH−CH−およびCH−CF−CF−CH=CH)、−115.7(m,−CH−CF−CF−CH−CH−)、−123.0から−124(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−、−CF−(CF−CF−)、−126から−129(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−)、−145から−146(m,−CH−CF−CF−CF(OCF)−CF)−)。
【0045】
H NMR:δ2.3(m,−CH−CF−CF−CH−CH−CF−)、2.8から3.6(m,−CH−CF−CH−CF−,−CF−CH−CF−CF(OCF)−,CH−CF−CHCH=CH)、5.2(m,−CH−CF−CHCH=CH)、5.6〜5.8(m,−CH−CF−CHCH=CH)。
【0046】
実施例8
反応フラスコ中に、ポリ(VF−co−PMVE)I 60g(前述の実施例の方法に従って作製、Mn約2400g/molおよびVF/PMVE=70.7/29.3(モル%))と、2,3−ジヒドロパーフルオロペンタン(10mL)および無水THF(20mL)の混合溶媒とを充填した。攪拌後に、透明な黄色溶液を得た。水素化トリブチルスズ(16g、0.055モル)を、この溶液にゆっくりと添加した。この反応は発熱を伴い、フラスコの内容物の温度は約55℃に達した。水素化トリブチルスズの添加を完了した後に、この溶液は不透明になった。次いで、反応混合物を、75〜80℃で7時間攪拌した。生じた生成混合物を冷却し、分液漏斗中に入れ、上層を捨てた(主に有機スズの残留物)。下層の有機層を、2,3−ジヒドロパーフルオロペンタン(100mL)に添加し、水で数回洗浄した。溶媒を真空中で除去した。残留物を、高真空下でさらに乾燥した。最終生成物を、粘性の油(または冷却後半固体)として得た。収量は52gであった(96〜97%)。CFI末端がすべてCFH末端に変換されたことが、NMRスペクトルにより示された。19F NMRスペクトル中の、−40ppmにおける信号がないこと、および−222ppmにおける新規の信号があることから、ポリ(VF−co−PMVE)Iのポリ(VF−co−PMVE)Hへの還元反応が確認された。このオリゴマー中の新規のCFH末端は、H NMRスペクトルにおいてd 6.25ppm(多重項)における信号を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴマーであって、
A)フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるモノマーの共重合単位40から90モルパーセントと、
B)パーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位10から60モルパーセントと、
C)ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるモノマーの共重合単位であって、ただしA)がフッ化ビニリデンである場合には、C)がテトラフルオロエチレンのみであることができ、A)がテトラフルオロエチレンである場合には、C)がヘキサフルオロプロピレンのみであることができる共重合単位0から10モルパーセントと、
D)式CF=CFO(Rf’O)(Rf’’O)のパーフルオロビニルエーテルの共重合単位であって、式中、Rf’およびRf’’は、2〜6個の炭素原子の異なる鎖状または分岐のパーフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、独立して0〜10であり、Rは、1〜6個の炭素原子のパーフルオロアルキル基である共重合単位0から10モルパーセントと、
E)i)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、メチルエステル;ii)エタンスルホニルフルオリド、2−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−1,1,2,2−テトラフルオロ−;iii)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−;iv)プロパンニトリル、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−;v)ヘキサンニトリル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−6−[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]−;vi)プロパンニトリル、2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−[(トリフルオロエテニル)オキシ]プロポキシ]−;vii)プロパンアミド、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−;viii)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−;リン酸二水素;およびix)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−からなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルの共重合単位0から10モルパーセントと
から本質的になり
前記オリゴマーが、1000から25000g/モルの数平均分子量を有し、前記オリゴマーが、それぞれの鎖末端で官能基を有し、前記官能基が、ヨウ素原子、オレフィン基、ヒドロキシ基、カルボン酸基および−CFH基からなる群から選択されるオリゴマー。
【請求項2】
共重合単位A)がフッ化ビニリデンである、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項3】
共重合単位A)がテトラフルオロエチレンである、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項4】
前記共重合単位A)が、60から75モルパーセントの量で存在し、前記共重合単位B)が、25から60モルパーセントの量で存在する、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項5】
前記オリゴマーが、1500から5000g/モルの数平均分子量を有する、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項6】
前記オリゴマーがヨウ素末端基を有する、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項7】
前記オリゴマーがオレフィン末端基を有する、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項8】
前記オリゴマーがヒドロキシ末端基を有する、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項9】
前記オリゴマーがカルボン酸末端基を有する、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項10】
前記オリゴマーが−CFH末端基を有する、請求項1に記載のオリゴマー。

【公表番号】特表2011−500947(P2011−500947A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531221(P2010−531221)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/080862
【国際公開番号】WO2009/055521
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(597035953)デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー (44)
【Fターム(参考)】