説明

パーマネント剤、およびパーマネント方法

【課題】毛髪の傷みを低減でき、利用しやすいパーマネント剤、およびパーマネント方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によれば、酸化剤として過酸化水素を含む第2剤と臭素酸塩を含む第3剤とを併用する。これにより、酸化剤による毛髪への刺激は過酸化水素を単独で使用した場合と比較して緩やかとなるから、毛髪に与えるダメージが低減される。また、処理時間を臭素酸塩を単独で使用した場合よりも短縮することができるから、被施術者に長時間の我慢を強いることなく施術を行うことができ、かつ、毛髪が長時間薬剤にさらされることによる傷みの発生を抑制することができる。また、トリートメントオイル剤を主成分とする第4剤を併用することも好ましい。また、第1剤・第2剤および第3剤による処理の後に、残留する酸化剤や還元剤を除去するためのグリオキシルアルデヒドを主成分とする第5剤によって毛髪を処理することも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマネント剤、およびパーマネント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーマネントの施術は、まず還元剤を含む第1剤で毛髪中のシスチン結合を切断させ、その後に酸化剤を含む第2剤でシスチン結合を再形成させることにより行われる(特許文献1)。ここで、酸化剤としては、臭素酸塩を主成分とするものと過酸化水素を主成分とするものの2種類がある。
【特許文献1】特開平5−97635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、過酸化水素は強力な酸化作用を有し、即効性があるため、処理時間を短くできる反面、毛髪に対する刺激が強く、処理後の毛髪にきしみを生じさせてしまうこと、処理が不均一となり易いこと、等の欠点を有する。
【0004】
一方、臭素酸塩は過酸化水素と比較して穏やかな酸化作用を有するため、毛髪への刺激が小さい反面、処理時間が長くなりがちで被施術者に長時間の我慢を強いるという欠点がある。また、処理時間が長いために毛髪が長時間薬剤にさらされることとなり、結局、刺激が小さいという長所が充分に生かされず毛髪が傷んでしまうこととなりがちである。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、毛髪の傷みを低減でき、利用しやすいパーマネント剤、およびパーマネント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、毛髪の傷みを低減できるパーマネント剤、およびパーマネント方法を開発すべく鋭意研究してきたところ、全く意外なことに、酸化剤として過酸化水素と臭素酸塩とを混合して使用することにより、互いの欠点が補われ、もって毛髪の傷みを最小限度に抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のパーマネント剤は、還元剤およびアルカリ剤を主成分とする第1剤と、過酸化水素を主成分とする第2剤と、臭素酸塩を主成分とする第3剤と、を含むものである。また、本発明のパーマネント方法は、還元剤およびアルカリ剤を主成分とする第1剤により毛髪を処理する第1の処理工程と、前記第1の処理工程後に過酸化水素を主成分とする第2剤と臭素酸塩を主成分とする第3剤とを混合した混合液により毛髪を処理する第2の処理工程と、を実行するものである。
【0008】
本発明において、第2剤および第3剤に、さらにトリートメントオイル剤を主成分とする第4剤を混合することがより好ましい。トリートメントオイル剤を毛髪に浸透させることにより、傷んだ毛髪が補修され、毛髪に柔らかさやしなやかさが付与される。
【0009】
また、本発明において、第2剤および第3剤による処理の後に、グリオキシルアルデヒドを主成分とする第5剤により毛髪の処理を行うことが好ましい。これにより、毛髪に付着している還元剤や酸化剤等の薬剤が完全に除去されるため、これら薬剤が毛髪に残留することによる毛髪の傷みを低減できる。また、酸化剤により再形成されたシスチン結合がさらに強化されるから、ウエーブを長持ちさせることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、酸化剤として過酸化水素を含む第2剤と臭素酸塩を含む第3剤とを混合して使用する。このようにすれば、酸化剤による毛髪への刺激は過酸化水素を単独で使用した場合と比較して緩やかとなるから、毛髪に与えるダメージが低減される。また、処理時間を臭素酸塩を単独で使用した場合よりも短縮することができるから、被施術者に長時間の我慢を強いることなく施術を行うことができ、かつ、毛髪が長時間薬剤にさらされることによる傷みの発生を抑制することができる。このように、過酸化水素と臭素酸塩が互いの長所を活かしつつ、欠点を補い合うから、毛髪の傷みを最小限度に抑えることができ、利用しやすいパーマネント剤およびパーマネント方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のパーマネント剤は、還元剤およびアルカリ剤を主成分とする第1剤と、過酸化水素を主成分とする第2剤と、臭素酸塩を主成分とする第3剤と、を含むものである。
【0012】
第1剤は、還元剤およびアルカリ剤を主成分とするものである。ここで、還元剤としては、パーマネント用の還元剤として通常使用されるものであれば特に制限はなく、例えばチオグリコール酸アンモニウム・チオグリコール酸モノエタノールアミン等のチオグリコール酸塩、システイン、システイン塩酸塩・N−アセチルシステイン等のシステイン誘導体やシステアミン誘導体を使用できる。アルカリ剤としては、パーマネント用のアルカリ剤として通常使用されるものであれば特に制限はなく、例えばアンモニア水、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンを使用できる。また、第1剤には、必要に応じて安定剤、クリーム基剤、乳化剤、酸化防止剤、香料等、パーマネント剤通常使用される種々の副成分が含まれていても構わない。
【0013】
第2剤は、酸化剤としての過酸化水素を主成分とするものである。過酸化水素の濃度は約2〜3重量%程度であることが好ましい。第2剤には必要に応じて安定剤、pH調整剤等、パーマネント剤通常使用される種々の副成分が含まれていても構わない。
【0014】
第3剤は、酸化剤としての臭素酸塩を主成分とするものである。臭素酸塩としては、パーマネント用の酸化剤として通常使用されるものであれば良く、例えば臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等を使用できる。臭素酸塩の濃度は約2.5〜3.5重量%であることが好ましい。第3剤には必要に応じて安定剤、pH調整剤等、パーマネント剤通常使用される種々の副成分が含まれていても構わない。
【0015】
本発明のパーマネント剤には、さらに、以下に述べる第4剤および第5剤が含まれていても良い。
【0016】
第4剤は、トリートメントオイル剤を主成分とするものである。トリートメント剤は、酸化剤とともに使用されて、毛髪に浸透して傷みの修復、柔らかさやしなやかさの付与を行うものである。このトリートメント剤としては、酸化剤である過酸化水素水および臭素酸塩の併用効果を損なず、かつ、トリートメント効果を有するものであれば特に制限はなく、例えばミンク油、メドウフォーム油、コラーゲン、セタノール、ラノリン、ミネラルオイル、オレイン酸、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸、ジペンタエリスリチル、ソルビン酸、ジマレイン酸グリセリルTEA、リン酸ナトリウム、ステアルトリモニウムクロリド、背トリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、オレス−4、オレス−5、オレス−7、オレス−15、オレス−20、アモジメチコン、オレイルアルコール、リン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン等を使用できる。第5剤には、必要に応じて乳化剤、安定剤、pH調整剤等、パーマネント剤通常使用される種々の副成分が含まれていても構わない。
【0017】
第5剤は、グリオキシルアルデヒドを主成分とするリンス剤である。グリオキシルアルデヒドは、毛髪に残留している還元剤の除去、シスチン結合の強化等の作用を備える。第5剤には、必要に応じて安定剤、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤等、パーマネント剤通常使用される種々の副成分が含まれていても構わない。
【0018】
以下には、本発明のパーマネント剤を用いてパーマネントの施術を行う方法について説明する。
【0019】
まず、洗髪された被施術者の毛髪に、第1剤を一部塗布する。次いで、塗布後の毛髪をロッドに巻き付けた後、残りの第1剤を塗布して15〜20分間放置する(第1の処理工程)。この際、必要に応じて被施術者の頭部にキャップを被せ、加温を行うことにより、処理時間を短縮することもできる。
【0020】
第1の処理工程が終了したら、毛髪をロッドに巻きつけたままの状態でお湯で洗い流し、その後、水分を拭き取る。次いで、第2剤、第3剤、および第4剤を混合し、混合液を調整する。これら3種の薬剤の混合の順序には特に制限はない。また、3種の薬剤の混合量は原則的には等量でよいが、被施術者の髪質、目的のヘアスタイル等に応じて調整することがより好ましい。次いで、混合液の適量を、被施術者の毛髪に、ロッドを巻いたままの状態で塗布する。この後、5〜10分間放置する(第2の処理工程)。なお、第2剤、第3剤、および第4剤は使用直前に混合することを要する。
【0021】
このとき、酸化剤による毛髪への刺激は過酸化水素を単独で使用した場合と比較して緩やかとなるから、毛髪に与えるダメージが低減される。また、処理時間は臭素酸塩を単独で使用した場合よりも短縮されるから、被施術者に長時間の我慢を強いることなく施術を行うことができ、かつ、毛髪が長時間薬剤にさらされることによる傷みの発生を抑制することができる。さらに、混合液にはトリートメントオイル剤を含む第4剤が配合されているから、処理中にこのトリートメントオイル剤が毛髪に浸透し、傷んだ毛髪が補修され、毛髪に柔らかさやしなやかさが付与される。
【0022】
第1の処理工程が終了したら、ロッドに巻きつけたままの状態で、毛髪に第5剤をたっぷりと振りかける(第3の処理工程)。これにより、毛髪に残留する薬剤を洗い流す。これにより、残留する薬剤による毛髪の損傷等の悪影響を防止できる。また、特に還元剤として使用されるチオ化合物は被施術者にとって不快な臭いを有するものが多いから、第5剤によってよく洗い流すことが、毛髪から臭いを除去するために大変効果的である。
【0023】
次いで、毛髪全体を軽く揉むようにしながら水で洗い流す。最後に、毛髪からロッドを取り外し、ドライヤー等で乾燥させて全工程を終了する。
【0024】
なお、本実施形態においては、トリートメントオイル剤を含む第4剤およびグリオキシルアルデヒドを含む第5剤を使用したが、本発明によれば、第4剤、第5剤の一方または両方を使用しなくても良い。第4剤を使用しない場合、第2の処理工程において、第2剤と第3剤との混合量は原則的には等量でよいが、被施術者の髪質、求めるヘアスタイル等を考慮して調節することが好ましい。また、第2剤および第3剤は使用直前に混合することを要する。
また、第5剤を使用しない場合、第2の処理工程終了後に、パーマネント処理おいて通常に行われる方法で薬剤を洗い流せばよい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0026】
<実施例1>
1.パーマネント処理
(1)薬剤の処方
(i)第1剤
2.2重量部のシステイン塩酸塩、2.0重量部のアセチルシステイン、1.0重量部のモノエタノールアミン、2.0重量部のトリエタノールアミン、2.0重量部の水溶性ケラチン、0.2重量部のシスチン、1.0重量部の水溶性シリコーン、1.0重量部の水溶性システアミン、0.5重量部のポリオキシエチレンラウリルエーテル、0.2重量部の香料、および0.2重量部のメチルパラベンを混合し、精製水を加えて100重量部とした。これを、第1剤とした。
【0027】
(ii)第2剤
過酸化水素水を、第2剤中の過酸化水素の配合比が2.5重量部となるようにはかり取り、これに0.5重量部のリン酸、1.5重量部のリン酸ナトリウム、および0.05重量部のフェナセチンを混合し、精製水を加えて100重量部とした。これを、第2剤とした。
【0028】
(iii)第3剤
3.0重量部の臭素酸ナトリウム、0.1重量部のリン酸、1.0重量部のリン酸ナトリウム、0.1重量部の水溶性シリコーン、および微量の青色色素を混合し、精製水を加えて100重量部とした。
【0029】
(iv)第4剤
1.0重量部のセタノール、3.0重量部のカチオン界面活性剤、2.2重量部の水溶性ラノリン、6.0重量部のコラーゲン、0.2重量部のメチルパラベン、および1.5重量部の水溶性シリコーンを混合し、精製水を加えて100重量部とした。
【0030】
(v)第5剤
4.0重量部のグリオキシルアルデヒド、0.5重量部のクエン酸、0.5重量部のクエン酸ナトリウム、および0.2重量部の両性界面活性剤を混合し、精製水を加えて100重量部とした。
【0031】
(2)施術方法
毛髪に第1剤を一部塗布した。次いで、塗布後の毛髪をロッドに巻き付けた後、残りの第1剤を塗布して15〜20分間放置した。次に、毛髪をロッドに巻きつけたままの状態でお湯で洗い流し、水分を拭き取った。次いで、第2剤、第3剤、および第4剤を等量ずつ混合して混合液を調整し、直ちにこの混合液の適量をロッドを巻いたままの状態の毛髪に塗布した。この後、5〜10分間放置した。
この後、ロッドに巻きつけたままの状態で、毛髪に第5剤をたっぷりと振りかけた。次いで、毛髪全体を軽く揉むようにしながら水で洗い流した。最後に、毛髪からロッドを取り外し、軽く乾燥させて施術を完了した。
【0032】
2.試験
上記1のパーマネント処理を施した毛髪を試料とし、以下の試験を行った。
(1)引張試験
株式会社山電製クリープメータ(RHEONER RE−3305)を用いて引張試験を行い、破断強度を調べた。測定条件は毛髪長4cm、引張速度0.5mm/secとした。
【0033】
(2)毛髪含水量
示差走査熱量計を用い、DSCチャートの水の蒸発に起因する吸熱ピークから水の蒸発熱量を求め、以下の式より毛髪の含水量を算出した。
【0034】
毛髪含水量=(水の蒸発熱量/試料重量)/(1gあたりの水の蒸発潜熱)×100…式(1)
【0035】
(3)滑り性
カトーテック株式会社製摩擦感テスタ(KES−SE−DC)を用いて毛髪の摩擦係数を調べた。
【0036】
<実施例2>
システイン塩酸塩を2.0重量部、アセチルシステインを1.5重量部、トリエタノールアミンを2.5重量部とした他は、実施例1と同様にして薬剤を調製し、パーマネント処理、および試験を行った。
【0037】
<実施例3>
システイン塩酸塩を1.5重量部、アセチルシステインを2.0重量部、トリエタノールアミンを3.0重量部とした他は、実施例1と同様にして薬剤を調製し、パーマネント処理、および試験を行った。
【0038】
<比較例1>
1.パーマネント処理
(1)薬剤の処方
(i)第1剤
7.0重量部のチオグリコール酸、2.0重量部の強アンモニア水、1.0重量部の炭酸水素アンモニウム、および1.0重量部の乳化剤を混合し、精製水を加えて100重量部とした。これを、第1剤とした。
【0039】
(ii)第2剤
10.0重量部の臭素酸ナトリウム、1.0重量部のラウリル硫酸塩、および0.2重量部のピロ硫酸ナトリウムを混合し、精製水を加えて100重量部とした。これを、第2剤とした。
【0040】
(2)施術方法
毛髪に第1剤を一部塗布した。次いで、塗布後の毛髪をロッドに巻き付けた後、残りの第1剤を塗布して15〜20分間放置した。次に、毛髪をロッドに巻きつけたままの状態でお湯で洗い流し、水分を拭き取った。次いで、第2剤の適量をロッドを巻いたままの状態の毛髪に塗布した。この後、15〜20分間放置した。この後、毛髪をお湯で洗い流した。最後に、毛髪からロッドを取り外し、軽く乾燥させて施術を完了した。
【0041】
2.試験
上記1のパーマネント処理を施した毛髪を試料とし、実施例1と同様にして試験を行った。
【0042】
<比較例2>
第1剤においてチオグリコール酸を8.0重量部とし、第2剤において臭素酸ナトリウムを15.0重量部とした他は、比較例1と同様にして薬剤を調製し、パーマネント処理、および試験を行った。
【0043】
[結果と考察]
各実施例における、第1剤、第2剤、第3剤、第4剤、および第5剤の配合を表1、表2、表3、表4、および表5にそれぞれ示した。また、各比較例における第1剤および第2剤の配合を表6および表7にそれぞれ示した。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
【表6】

【0050】
【表7】

【0051】
各実施例および比較例における、毛髪の損傷、ハリ・コシ、つや、触感、処理後の残臭についての評価を表8に示した。なお、「ハリ・コシ」「つや」「触感」については、以下の4段階で評価した。
非常に良い ○:まあまあ良い △:あまり良くない ×:良くない
【0052】
【表8】

【0053】
表8より、実施例1、2、および3では、パーマネント処理後の毛髪に損傷は視認されず、残臭もなかった。また、「ハリ・コシ」「つや」「触感」はいずれも良好であった。一方、酸化剤として臭素酸塩を単独で使用し、かつ、トリートメントオイル剤を用いた第4剤や処理後の薬剤を洗い流すための第5剤を併用しなかった比較例では、パーマネント処理後の毛髪に損傷が観察され、残臭が認められた。また、「ハリ・コシ」「つや」「触感」はいずれも満足のいくものではなかった。
【0054】
各実施例および比較例における、破断強度、毛髪含水量、摩擦係数の測定結果を表9に示した。
【0055】
【表9】

【0056】
表9より、破断強度に関しては、実施例1〜実施例3のものでは145g〜155gであり、ほぼ健康な毛髪と言える範囲内であった。これに対し、比較例1および比較例2のものでは105gおよび98gであり、パーマネント処理により毛髪が傷んだ結果、強度が低下したといえる。
【0057】
毛髪含水量に関しては、実施例1〜実施例3のものでは13%〜14%であり、ほぼ健康な毛髪と言える範囲内であった。これに対し、比較例1および比較例2のものでは9%および7%であり、パーマネント処理により毛髪が傷んだ結果、水分が失われたといえる。
【0058】
摩擦係数に関しては、実施例1〜実施例3のものでは0.19〜0.28であり、滑り性が良好であった。これに対し、比較例1および比較例2では0.34および0.37であり、パーマネント処理により表面のキューティクルが傷んだ結果,滑り性が低下したといえる。
【0059】
以上より、本発明のパーマネント剤およびそれを用いたパーマネント方法によれば、毛髪の損傷を回避できることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤およびアルカリ剤を主成分とする第1剤と、
過酸化水素を主成分とする第2剤と、
臭素酸塩を主成分とする第3剤と、
を含むパーマネント剤。
【請求項2】
トリートメントオイル剤を主成分とする第4剤をさらに含む、請求項1に記載のパーマネント剤。
【請求項3】
グリオキシルアルデヒドを主成分とする第5剤をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のパーマネント剤。
【請求項4】
還元剤およびアルカリ剤を主成分とする第1剤により毛髪を処理する第1の処理工程と、
前記第1の処理工程後に過酸化水素を主成分とする第2剤と臭素酸塩を主成分とする第3剤とを混合した混合液により前記毛髪を処理する第2の処理工程と、
を実行するパーマネント方法。
【請求項5】
前記第2の処理工程において前記第2剤および前記第3剤に、さらにトリートメントオイル剤を主成分とする第4剤を混合する、請求項4に記載のパーマネント方法。
【請求項6】
前記第2の処理工程の後にグリオキシルアルデヒドを主成分とする第5剤により前記毛髪を処理する第3の処理工程を実行する、請求項4または請求項5に記載のパーマネント方法。

【公開番号】特開2007−246431(P2007−246431A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71340(P2006−71340)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(506090233)株式会社IHC (1)
【Fターム(参考)】