パーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法及びライニング構造及び操業方法
【課題】ワークれんがと鉄皮の間にバインダー揮発分のガス抜き経路を設け、ワーク不焼成れんがの損傷を防止できるガス抜き経路の施工方法、ライニング構造および操業方法を提供する。
【解決手段】パーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法およびライニング構造は、パーマ不定形耐火物が施工されるワーク不焼成れんが3と鉄皮1との間に多数の空隙を有した繊維状体の集合であるガス抜き経路7を設置し、ワーク不焼成れんがのバインダー揮発分による目地部及び目地部交点を起点とする先行的な損傷を防止する。
【解決手段】パーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法およびライニング構造は、パーマ不定形耐火物が施工されるワーク不焼成れんが3と鉄皮1との間に多数の空隙を有した繊維状体の集合であるガス抜き経路7を設置し、ワーク不焼成れんがのバインダー揮発分による目地部及び目地部交点を起点とする先行的な損傷を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法及びライニング構造及び操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図11で示される鉄皮1、パーマネントライニングとしてのパーマれんが2及びウェアーライニングとしてのワークれんが3からなる転炉10や図示しない溶鋼鍋のパーマれんが2には定型耐火物、例えばMgOれんがなどが施工されてきたが、施工の簡略化、短縮化を計るためパーマれんがの一部または全てが不定形耐火物にて施工される様になってきた。図12にパーマれんがの30%が不定形耐火物のライニング、図13にパーマれんがの60%が不定形耐火物のライニング、図14にパーマれんがの100%が不定形耐火物のライニングを示す。尚、図12、図13の符号6は隙間である。
また、転炉や溶鋼鍋のワークれんがには耐侵食性、耐スポーリング性に優れた不焼成れんが、例えばMgO−Cれんが、Al2O3−Cれんがが使用されており、ワークれんがの施工はれんが間の目地部にモルタル等を使用しない空目地築造が一般的である。
不焼成れんが、例えばMgO−Cれんが、Al2O3−Cれんがでは一般的にバインダーにフェノール樹脂が用いられている。フェノール樹脂は固定炭素が高く、熱硬化性を有し硬化強度が高いこと、合成樹脂としては比較的安価であるといった利点から不焼成れんがのバインダーに選択されている。
【0003】
また、フェノール樹脂は加熱により脱水縮合反応で三次元網目構造を形成し、強固な硬化体を生成してれんがの構成粒子を結合する。この硬化体を更に加熱すると300℃付近から熱分解を起こし、アセトン、プロパノール、メタンなどの可燃性成分を含んだ分解ガスを発生する。
不焼成れんがの乾燥は一般的に300℃未満で行われることが多いため、乾燥後もれんが中に多くのバインダー分が残留しており、昇熱時にれんが稼動面に熱が加わるとれんが中のバインダーが揮発し始め、れんが内部でバインダー揮発分の少ないれんが背面へと揮発分が移動する。
【0004】
図15に示すように、パーマれんがが定型耐火物である場合、不焼成れんがの背面に溜まったバインダー揮発分はワーク不焼成れんがとパーマれんが間、パーマれんが同士の間に目地部が存在するため、この目地部もしくは目地部の交点を伝い炉外へと放出される。
図16、17、18に示すように、パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物の場合、不定形耐火物の施工部分は緻密であるため不焼成れんがの背面に溜まったバインダー揮発分がワーク不焼成れんがと鉄皮の間から炉外へ放出され難い。このため、不焼成れんがの背面のガス圧力が増加しワーク不焼成れんがの目地部もしくは目地部の交点より炉内へと噴出する。
【0005】
前記の様にバインダーの揮発分には多くの可燃成分が含まれるため、目地部もしくは目地部の交点を通る揮発分が燃焼し、昇熱時に他部位に先行して目地部もしくは目地部の交点を起点として不焼成れんがが損傷する。この様な不焼成れんがの損傷形態は俗にラットホールと呼ばれ、パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉において頻繁に目撃される損傷である。
【0006】
この様なラットホールが発生すれば、ラットホール部分のれんがの損傷個所を吹付補修や焼付補修にて補修を行う必要が生じる。このような補修を行わない様にするため、バインダーの揮発分による損傷を抑制する方法として不焼成れんがの乾燥温度を高くし、昇熱時の揮発分を除去する、もしくは揮発分の少ないバインダーを使用することが考えられるが、バインダーの揮発分を完全に除去する乾燥温度ではれんが自体の品質の低下を招く。例えばMgO−Cれんが、Al2O3−Cれんがの場合、高温下ではカーボンが酸化し、れんが組織が損傷する。また、現在一般的に不焼成れんがに使用されているバインダーではフェノール樹脂に代表される様に加熱時の揮発分が多いものが多く、揮発分の少ないバインダーを使用することによってもれんが品質の低下を招く。
【0007】
また、不定形耐火物が施工される際に、パーマれんが不定形耐火物の亀裂や爆裂防止のために水蒸気を逃がすための穴を形成する乾燥方法(特許文献1)、不定形耐火物ライニングの背面のパーマれんがに水分逃げのための隙間を形成する不定形耐火物ライニング構造(特許文献2)、不定形耐火物の施工体の非稼動面に、多数の細孔を有する中空パイプを稼動面と平行に複数本埋没し、各々の中空パイプの一端を大気中に開放させ、不定形耐火物を施工する施工方法(特許文献3)やキャスタブル耐火物の施工体にあらかじめチューブに抜き取り可能に差し込んだ棒状体を埋設、施工し耐火物硬化後、棒状体とチューブを引き出してキャスタブル耐火物施工体用乾燥脱水促進孔を形成する方法(特許文献4)などの施工方法、手法がとられる場合がある。
【0008】
【特許文献1】特開2005−262736号公報
【特許文献2】特開平8−260018号公報
【特許文献3】特開平6−331280号公報
【特許文献4】特開平7−208870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来転炉の不定形耐火物構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉において、前記の様にパーマれんがの不定形耐火物中の水分、水蒸気を除去し不定形耐火物の損傷を防止する施工方法や手法が提案されているが、これらの施工方法や手法をワークれんがの不焼成れんがより発生するバインダー揮発分を除去し、バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷を防止する目的で利用すると、ガス抜き経路を穴により形成しようとする場合(特許文献1、特許文献4)、あらかじめ棒状体などを不定形耐火物中に埋設し引き抜く方法では、転炉の様に大型で炉口径が絞られている形状で直胴部から炉口部に傾斜が設けられている場合には棒状体を引き抜くことが困難であり、不定形耐火物硬化後に掘削することも同様の理由で困難である。ガス抜き経路を隙間により形成しようとする場合(特許文献2)、燃焼によって消失する発泡スチロール、ベニヤ板やセラミックウール、ダンボール紙にて形成する方法では炉口付近のワークれんが背面温度が低く完全に燃焼せずにガス抜き経路が遮断される、不定形耐火物を圧入する際に薄く潰されガス抜きに必要な隙間が生じないといった問題点がある。ガス抜き経路を中空パイプにより形成しようとする場合(特許文献3)、転炉の様に大型で炉口径が絞られている形状で直胴部から炉口部に傾斜が設けられている場合には施工自体が大掛かりになり、解体も難しくなる。以上の様にこれらの手法や方法は不定形耐火物中の水分、水蒸気を取り除く不定形耐火物の損傷防止技術であり、不焼成れんがのバインダー揮発分を取り除き、不焼成れんがの損傷を防止する目的においては種々の問題が生じる。本発明はバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷を防止するための施工方法およびライニング構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるパーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法は、パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワーク不焼成れんがが不焼成れんがのライニング構成炉において、パーマ不定形耐火物が施工される前記ワーク不焼成れんがと鉄皮の間にガス抜き経路を設置する方法であり、また、前記ガス抜き経路が繊維状体の集合である方法であり、また、本発明によるライニング構造は、請求項1又は2記載の施工方法を用いて形成した前記ガス抜き経路がワーク不焼成れんがに設置したスリットである構成であり、また、本発明による操業方法は、請求項1又は2記載の施工方法を用いて形成した前記ガス抜き経路を設置した転炉において、前記転炉のワーク不焼成れんがの目地部を補修しない方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明による、パーマ不定形耐火物が施工されるワークれんがと鉄皮の間にガス抜き経路を設置し、このガス抜き経路を繊維状体の集合とする、またはワーク不燃成れんがにスリットを設けることによってワーク不燃成れんがのバインダー揮発分による不燃成れんがの目地部及び目地部交点を起点とした先行的な損傷は完全に防止可能となった。これにより、損傷部の熱間での吹付補修、焼付補修や冷間での吹付補修、焼付補修が皆無となり補修時間がなくなったため炉稼働率が上昇し、生産性向上にもつながった。更に不焼成れんがの耐用が向上し、ライニングの寿命を向上させることができるといった非常に有益な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、パーマ不定形耐火物が施工されるワークれんがと鉄皮の間にガス抜き経路を設置し、ワーク不焼成れんがのバインダー揮発分によるワーク不焼成れんがの目地部および目地部交点を起点とした先行的な損傷を皆無とし、転炉の稼働率を向上させて生産性向上を得ることができるパーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法及びライニング構造及び操業方法を提供することを目的とする。
【実施例】
【0013】
以下、図面と共に本発明によるパーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法及びライニング構造及び操業方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を付して説明する。
本発明ではパーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉において、パーマ不定形耐火物が施工されるワークれんがと鉄皮の間にガス抜き経路を設置した施工方法およびライニング構成により不焼成れんがのバインダー揮発分を除去し、不焼成れんが背面に溜まったバインダー揮発分がワーク不焼成れんがの目地部もしくは目地部の交点より炉内へと噴出することなく、バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷防止を達成することが可能である。
【0014】
図1、図2に示すように、パーマれんがの一部が不定形耐火物でワーク不焼成れんが3が不焼成れんがのライニング構成炉の場合、パーマ不定形耐火物4によりワーク不焼成れんが3と鉄皮1の間からバインダー揮発分が炉外へ放出され難い部位において、パーマれんががパーマ定型耐火物5により構成される部位のワーク不焼成れんが3の背面からパーマれんががパーマ不定形耐火物4の部位のワーク不焼成れんが3と鉄皮1の間を通じ、炉口部15より炉外へとワーク不焼成れんが3のバインダー揮発分のガス抜き経路7を設置する。
【0015】
図3に示すように、パーマれんがの全てが不定形耐火物でワークれんががワーク不焼成れんが3のライニング構成炉の場合、最下段のワーク不焼成れんが3の背面から炉口ワーク不焼成れんが3aまでワーク不焼成れんが3の背面に接するように通じ、炉口部15より炉外へとワーク不焼成れんが3のバインダー揮発分のガス抜き経路7を設置する。
【0016】
前記ガス抜き経路7は断面積が20mm2〜300mm2のスリットもしくは直径が5〜20mmで下端から上端まで通じた多数の空隙を有した繊維状体の集合の経路である。特に断面積200〜300mm2、直径15〜20mmの経路がガスの抜けが良く最も適している。断面積20mm2、直径5mm未満ではガス抜き効果が不十分でありガス抜き経路7が途中で閉塞されやすく、断面積300mm2、直径20mmを超えるものでは炉外雰囲気の吸気の恐れがあるため、ガス抜き経路7には適していない。
【0017】
前記ガス抜き経路7を紐により形成しようとする場合、施工、解体が簡単であり、多くの空隙を有するため燃焼により消失しない場合でも完全に閉塞しにくいといった点からガス抜き経路に適している。また、ワーク不焼成れんが3自体に背面にスリットを設けガス抜き経路7を形成する方法も同様の理由で適している。ワーク不焼成れんが3自体に背面にスリットを設ける場合には図4〜図7の様に加工したワーク不焼成れんが3を図7の様にスリットが炉口まで通じる様に施工する。
本発明において、前記紐は繊維状体の集合した一般的なもので劣化や破損により強度が低下していなければ、紐の材質を問わず全てで適用可能である。特に材質が麻、綿、藁のものは繊維状体の集合による空隙がガス抜きに最も適している。
本発明は、ガス抜き経路7の数が1経路以上で効果が得られ、ガス抜き経路7の数の増加に比例しワーク不焼成れんが3の損傷防止効果が得られる。ただし、ガス抜き経路7の過剰な設置は施工負担の増加を招くため一般的な転炉においては10〜30経路が最適数と考えられる。また、ガス抜き経路7は炉周方向の如何なる部位に設置しても効果を発揮するが、ガス抜き経路7が複数の場合は、転炉の全周に等間隔に設置する設置方法が炉全体のバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷を防止する点でより望ましい。尚、図8〜10にガス抜き5経路、10経路、20経路の設置例を示しており、符号8はトラニオン、9は出鋼口、10は炉体である。
【0018】
実験例
パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉において種々ガス抜き経路の実験を行った例及び比較例を表1、表2、表3の第1表から第3表に示す。
表1に本発明のガス抜き経路7を設置したパーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんががワーク不焼成れんがのライニング構成炉におけるバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷の程度とその比較例を示す。バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷抑制の程度を0〜100%の範囲(数値が大きいほど抑制効果大)で評価した。なお、評価結果から、バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷抑制の程度はパーマれんがの不定形耐火物の施工される部位の割合に依存せず、不定形耐火物の施工される部位の割合が30%、60%、100%の全ての場合に同程度の効果を示した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
次に、ガス抜き経路7が紐(ここでは材質が綿のものを使用した)及びスリットの場合は施工性は良好であり、スリットの断面積が20mm2〜300mm2及び紐の直径が5〜20mmのものでは、ガス抜き経路が1経路からバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷が抑制され、10経路でバインダー揮発分によるワーク不焼成れんがの損傷が30%〜60%軽減できた。30経路超ガス抜き経路を設置した場合にはスリットの断面積が20mm2〜300mm2及び紐の直径が5〜20mmのものでは全てバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷が100%抑制できたが、施工労力が大きく実用的ではなかった。最終的にスリットの断面積が200mm2〜300mm2及び紐の直径が15mm〜20mmでガス抜き経路を10経路〜30経路設置する条件がバインダー揮発分によるワーク不焼成れんがの損傷を50%以上抑制でき、施工労力も大きくなく実用的であった。
【0023】
前記スリットの断面積が20mm2未満及び紐の直径が5mm未満のものではガス抜き経路が閉塞し、300mm2超及び20mm超のものでは外気雰囲気の吸気が発生した。
ガス抜き経路7を穴及び隙間にて形成した場合は施工性が悪く、穴の直径及び隙間の断面積に関わらずガス抜き経路が閉塞または途中で閉塞し、バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷は抑制できなかった。また、ガス抜き経路を中空パイプにて形成した場合も施工性が悪く、ガス抜き効果も紐及びスリットの場合よりも低下した。
表2、表3に本発明の種々材質の紐により形成したガス抜き経路7を設置したパーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんががワーク不焼成れんがのライニング構成炉における、バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷の程度を示す。
紐の材質が麻、綿、藁の場合はバインダー揮発分が抜けやすく、直径が5〜20mmのものでは、ガス抜き経路が1経路からバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷が抑制され、10経路でバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷が30%〜60%軽減できた。また、紐の直径が15mm〜20mmでガス抜き経路を10経路〜30経路設置する条件がバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷を50%以上抑制でき、施工労力も大きくなく実用的であった。
【0024】
表2、表3中の紐の材質が絹〜しゅろ縄・パームまでの材質の場合は、直径が5〜20mmのものではガス抜き経路7が1経路からバインダー揮発分によるワーク不焼成れんがの損傷が抑制されたものの、紐が有する下端から上端まで通じた空隙が不十分もしくは昇熱により空隙が閉塞し、バインダー揮発分のガス抜き効果が若干低下してバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷抑制効果も若干低下した。
また、紐の材質に関わらず、紐の直径が5mm未満のものではガス抜き経路が閉塞し、20mm超のものでは外気雰囲気の吸気が発生した。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のガス抜き経路を設置したパーマれんがの30%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図2】本発明のガス抜き経路を設置したパーマれんがの60%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図3】本発明のガス抜き経路を設置したパーマれんがの100%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図4】本発明のスリットを設けた不焼成れんがの上面図である。
【図5】図4におけるA視点から見た本発明のスリットを設けた不焼成れんがの側面図である。
【図6】図4におけるB視点から見た本発明のスリットを設けた不焼成れんがの背面図である。
【図7】本発明のスリットを設けた不焼成れんがの施工例の模式図である。
【図8】本発明のガス抜き経路が5経路の場合の設置例の模式図である。
【図9】本発明のガス抜き経路が10経路の場合の設置例の模式図である。
【図10】本発明のガス抜き経路が20経路の場合の設置例の模式図である。
【図11】従来の転炉の模式図である。
【図12】従来のパーマれんがの30%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図13】従来のパーマれんがの60%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図14】従来のパーマれんがの100%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図15】従来のパーマれんがが定型耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉におけるバインダー揮発分の抜け方を示す模式図である。
【図16】従来のパーマれんがの30%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉のバインダー揮発分の炉内噴出を示す模式図である。
【図17】従来のパーマれんがの60%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉のバインダー揮発分の炉内噴出を示す模式図である。
【図18】従来のパーマれんがの100%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉のバインダー揮発分の炉内噴出を示す模式図である。
【符号の説明】
【0026】
1 鉄皮
2 パーマネントライニング(パーマれんが)
3 ウェアーライニング(ワーク不焼成れんが)
4 パーマ不定形耐火物
5 パーマ定型耐火物
6 鉄皮とパーマ定型耐火物の隙間
7 ガス抜き経路
8 トラニオン
9 出鋼口
10 炉体
15 炉口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法及びライニング構造及び操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図11で示される鉄皮1、パーマネントライニングとしてのパーマれんが2及びウェアーライニングとしてのワークれんが3からなる転炉10や図示しない溶鋼鍋のパーマれんが2には定型耐火物、例えばMgOれんがなどが施工されてきたが、施工の簡略化、短縮化を計るためパーマれんがの一部または全てが不定形耐火物にて施工される様になってきた。図12にパーマれんがの30%が不定形耐火物のライニング、図13にパーマれんがの60%が不定形耐火物のライニング、図14にパーマれんがの100%が不定形耐火物のライニングを示す。尚、図12、図13の符号6は隙間である。
また、転炉や溶鋼鍋のワークれんがには耐侵食性、耐スポーリング性に優れた不焼成れんが、例えばMgO−Cれんが、Al2O3−Cれんがが使用されており、ワークれんがの施工はれんが間の目地部にモルタル等を使用しない空目地築造が一般的である。
不焼成れんが、例えばMgO−Cれんが、Al2O3−Cれんがでは一般的にバインダーにフェノール樹脂が用いられている。フェノール樹脂は固定炭素が高く、熱硬化性を有し硬化強度が高いこと、合成樹脂としては比較的安価であるといった利点から不焼成れんがのバインダーに選択されている。
【0003】
また、フェノール樹脂は加熱により脱水縮合反応で三次元網目構造を形成し、強固な硬化体を生成してれんがの構成粒子を結合する。この硬化体を更に加熱すると300℃付近から熱分解を起こし、アセトン、プロパノール、メタンなどの可燃性成分を含んだ分解ガスを発生する。
不焼成れんがの乾燥は一般的に300℃未満で行われることが多いため、乾燥後もれんが中に多くのバインダー分が残留しており、昇熱時にれんが稼動面に熱が加わるとれんが中のバインダーが揮発し始め、れんが内部でバインダー揮発分の少ないれんが背面へと揮発分が移動する。
【0004】
図15に示すように、パーマれんがが定型耐火物である場合、不焼成れんがの背面に溜まったバインダー揮発分はワーク不焼成れんがとパーマれんが間、パーマれんが同士の間に目地部が存在するため、この目地部もしくは目地部の交点を伝い炉外へと放出される。
図16、17、18に示すように、パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物の場合、不定形耐火物の施工部分は緻密であるため不焼成れんがの背面に溜まったバインダー揮発分がワーク不焼成れんがと鉄皮の間から炉外へ放出され難い。このため、不焼成れんがの背面のガス圧力が増加しワーク不焼成れんがの目地部もしくは目地部の交点より炉内へと噴出する。
【0005】
前記の様にバインダーの揮発分には多くの可燃成分が含まれるため、目地部もしくは目地部の交点を通る揮発分が燃焼し、昇熱時に他部位に先行して目地部もしくは目地部の交点を起点として不焼成れんがが損傷する。この様な不焼成れんがの損傷形態は俗にラットホールと呼ばれ、パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉において頻繁に目撃される損傷である。
【0006】
この様なラットホールが発生すれば、ラットホール部分のれんがの損傷個所を吹付補修や焼付補修にて補修を行う必要が生じる。このような補修を行わない様にするため、バインダーの揮発分による損傷を抑制する方法として不焼成れんがの乾燥温度を高くし、昇熱時の揮発分を除去する、もしくは揮発分の少ないバインダーを使用することが考えられるが、バインダーの揮発分を完全に除去する乾燥温度ではれんが自体の品質の低下を招く。例えばMgO−Cれんが、Al2O3−Cれんがの場合、高温下ではカーボンが酸化し、れんが組織が損傷する。また、現在一般的に不焼成れんがに使用されているバインダーではフェノール樹脂に代表される様に加熱時の揮発分が多いものが多く、揮発分の少ないバインダーを使用することによってもれんが品質の低下を招く。
【0007】
また、不定形耐火物が施工される際に、パーマれんが不定形耐火物の亀裂や爆裂防止のために水蒸気を逃がすための穴を形成する乾燥方法(特許文献1)、不定形耐火物ライニングの背面のパーマれんがに水分逃げのための隙間を形成する不定形耐火物ライニング構造(特許文献2)、不定形耐火物の施工体の非稼動面に、多数の細孔を有する中空パイプを稼動面と平行に複数本埋没し、各々の中空パイプの一端を大気中に開放させ、不定形耐火物を施工する施工方法(特許文献3)やキャスタブル耐火物の施工体にあらかじめチューブに抜き取り可能に差し込んだ棒状体を埋設、施工し耐火物硬化後、棒状体とチューブを引き出してキャスタブル耐火物施工体用乾燥脱水促進孔を形成する方法(特許文献4)などの施工方法、手法がとられる場合がある。
【0008】
【特許文献1】特開2005−262736号公報
【特許文献2】特開平8−260018号公報
【特許文献3】特開平6−331280号公報
【特許文献4】特開平7−208870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来転炉の不定形耐火物構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉において、前記の様にパーマれんがの不定形耐火物中の水分、水蒸気を除去し不定形耐火物の損傷を防止する施工方法や手法が提案されているが、これらの施工方法や手法をワークれんがの不焼成れんがより発生するバインダー揮発分を除去し、バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷を防止する目的で利用すると、ガス抜き経路を穴により形成しようとする場合(特許文献1、特許文献4)、あらかじめ棒状体などを不定形耐火物中に埋設し引き抜く方法では、転炉の様に大型で炉口径が絞られている形状で直胴部から炉口部に傾斜が設けられている場合には棒状体を引き抜くことが困難であり、不定形耐火物硬化後に掘削することも同様の理由で困難である。ガス抜き経路を隙間により形成しようとする場合(特許文献2)、燃焼によって消失する発泡スチロール、ベニヤ板やセラミックウール、ダンボール紙にて形成する方法では炉口付近のワークれんが背面温度が低く完全に燃焼せずにガス抜き経路が遮断される、不定形耐火物を圧入する際に薄く潰されガス抜きに必要な隙間が生じないといった問題点がある。ガス抜き経路を中空パイプにより形成しようとする場合(特許文献3)、転炉の様に大型で炉口径が絞られている形状で直胴部から炉口部に傾斜が設けられている場合には施工自体が大掛かりになり、解体も難しくなる。以上の様にこれらの手法や方法は不定形耐火物中の水分、水蒸気を取り除く不定形耐火物の損傷防止技術であり、不焼成れんがのバインダー揮発分を取り除き、不焼成れんがの損傷を防止する目的においては種々の問題が生じる。本発明はバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷を防止するための施工方法およびライニング構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるパーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法は、パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワーク不焼成れんがが不焼成れんがのライニング構成炉において、パーマ不定形耐火物が施工される前記ワーク不焼成れんがと鉄皮の間にガス抜き経路を設置する方法であり、また、前記ガス抜き経路が繊維状体の集合である方法であり、また、本発明によるライニング構造は、請求項1又は2記載の施工方法を用いて形成した前記ガス抜き経路がワーク不焼成れんがに設置したスリットである構成であり、また、本発明による操業方法は、請求項1又は2記載の施工方法を用いて形成した前記ガス抜き経路を設置した転炉において、前記転炉のワーク不焼成れんがの目地部を補修しない方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明による、パーマ不定形耐火物が施工されるワークれんがと鉄皮の間にガス抜き経路を設置し、このガス抜き経路を繊維状体の集合とする、またはワーク不燃成れんがにスリットを設けることによってワーク不燃成れんがのバインダー揮発分による不燃成れんがの目地部及び目地部交点を起点とした先行的な損傷は完全に防止可能となった。これにより、損傷部の熱間での吹付補修、焼付補修や冷間での吹付補修、焼付補修が皆無となり補修時間がなくなったため炉稼働率が上昇し、生産性向上にもつながった。更に不焼成れんがの耐用が向上し、ライニングの寿命を向上させることができるといった非常に有益な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、パーマ不定形耐火物が施工されるワークれんがと鉄皮の間にガス抜き経路を設置し、ワーク不焼成れんがのバインダー揮発分によるワーク不焼成れんがの目地部および目地部交点を起点とした先行的な損傷を皆無とし、転炉の稼働率を向上させて生産性向上を得ることができるパーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法及びライニング構造及び操業方法を提供することを目的とする。
【実施例】
【0013】
以下、図面と共に本発明によるパーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法及びライニング構造及び操業方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を付して説明する。
本発明ではパーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉において、パーマ不定形耐火物が施工されるワークれんがと鉄皮の間にガス抜き経路を設置した施工方法およびライニング構成により不焼成れんがのバインダー揮発分を除去し、不焼成れんが背面に溜まったバインダー揮発分がワーク不焼成れんがの目地部もしくは目地部の交点より炉内へと噴出することなく、バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷防止を達成することが可能である。
【0014】
図1、図2に示すように、パーマれんがの一部が不定形耐火物でワーク不焼成れんが3が不焼成れんがのライニング構成炉の場合、パーマ不定形耐火物4によりワーク不焼成れんが3と鉄皮1の間からバインダー揮発分が炉外へ放出され難い部位において、パーマれんががパーマ定型耐火物5により構成される部位のワーク不焼成れんが3の背面からパーマれんががパーマ不定形耐火物4の部位のワーク不焼成れんが3と鉄皮1の間を通じ、炉口部15より炉外へとワーク不焼成れんが3のバインダー揮発分のガス抜き経路7を設置する。
【0015】
図3に示すように、パーマれんがの全てが不定形耐火物でワークれんががワーク不焼成れんが3のライニング構成炉の場合、最下段のワーク不焼成れんが3の背面から炉口ワーク不焼成れんが3aまでワーク不焼成れんが3の背面に接するように通じ、炉口部15より炉外へとワーク不焼成れんが3のバインダー揮発分のガス抜き経路7を設置する。
【0016】
前記ガス抜き経路7は断面積が20mm2〜300mm2のスリットもしくは直径が5〜20mmで下端から上端まで通じた多数の空隙を有した繊維状体の集合の経路である。特に断面積200〜300mm2、直径15〜20mmの経路がガスの抜けが良く最も適している。断面積20mm2、直径5mm未満ではガス抜き効果が不十分でありガス抜き経路7が途中で閉塞されやすく、断面積300mm2、直径20mmを超えるものでは炉外雰囲気の吸気の恐れがあるため、ガス抜き経路7には適していない。
【0017】
前記ガス抜き経路7を紐により形成しようとする場合、施工、解体が簡単であり、多くの空隙を有するため燃焼により消失しない場合でも完全に閉塞しにくいといった点からガス抜き経路に適している。また、ワーク不焼成れんが3自体に背面にスリットを設けガス抜き経路7を形成する方法も同様の理由で適している。ワーク不焼成れんが3自体に背面にスリットを設ける場合には図4〜図7の様に加工したワーク不焼成れんが3を図7の様にスリットが炉口まで通じる様に施工する。
本発明において、前記紐は繊維状体の集合した一般的なもので劣化や破損により強度が低下していなければ、紐の材質を問わず全てで適用可能である。特に材質が麻、綿、藁のものは繊維状体の集合による空隙がガス抜きに最も適している。
本発明は、ガス抜き経路7の数が1経路以上で効果が得られ、ガス抜き経路7の数の増加に比例しワーク不焼成れんが3の損傷防止効果が得られる。ただし、ガス抜き経路7の過剰な設置は施工負担の増加を招くため一般的な転炉においては10〜30経路が最適数と考えられる。また、ガス抜き経路7は炉周方向の如何なる部位に設置しても効果を発揮するが、ガス抜き経路7が複数の場合は、転炉の全周に等間隔に設置する設置方法が炉全体のバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷を防止する点でより望ましい。尚、図8〜10にガス抜き5経路、10経路、20経路の設置例を示しており、符号8はトラニオン、9は出鋼口、10は炉体である。
【0018】
実験例
パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉において種々ガス抜き経路の実験を行った例及び比較例を表1、表2、表3の第1表から第3表に示す。
表1に本発明のガス抜き経路7を設置したパーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんががワーク不焼成れんがのライニング構成炉におけるバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷の程度とその比較例を示す。バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷抑制の程度を0〜100%の範囲(数値が大きいほど抑制効果大)で評価した。なお、評価結果から、バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷抑制の程度はパーマれんがの不定形耐火物の施工される部位の割合に依存せず、不定形耐火物の施工される部位の割合が30%、60%、100%の全ての場合に同程度の効果を示した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
次に、ガス抜き経路7が紐(ここでは材質が綿のものを使用した)及びスリットの場合は施工性は良好であり、スリットの断面積が20mm2〜300mm2及び紐の直径が5〜20mmのものでは、ガス抜き経路が1経路からバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷が抑制され、10経路でバインダー揮発分によるワーク不焼成れんがの損傷が30%〜60%軽減できた。30経路超ガス抜き経路を設置した場合にはスリットの断面積が20mm2〜300mm2及び紐の直径が5〜20mmのものでは全てバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷が100%抑制できたが、施工労力が大きく実用的ではなかった。最終的にスリットの断面積が200mm2〜300mm2及び紐の直径が15mm〜20mmでガス抜き経路を10経路〜30経路設置する条件がバインダー揮発分によるワーク不焼成れんがの損傷を50%以上抑制でき、施工労力も大きくなく実用的であった。
【0023】
前記スリットの断面積が20mm2未満及び紐の直径が5mm未満のものではガス抜き経路が閉塞し、300mm2超及び20mm超のものでは外気雰囲気の吸気が発生した。
ガス抜き経路7を穴及び隙間にて形成した場合は施工性が悪く、穴の直径及び隙間の断面積に関わらずガス抜き経路が閉塞または途中で閉塞し、バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷は抑制できなかった。また、ガス抜き経路を中空パイプにて形成した場合も施工性が悪く、ガス抜き効果も紐及びスリットの場合よりも低下した。
表2、表3に本発明の種々材質の紐により形成したガス抜き経路7を設置したパーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワークれんががワーク不焼成れんがのライニング構成炉における、バインダー揮発分による不焼成れんがの損傷の程度を示す。
紐の材質が麻、綿、藁の場合はバインダー揮発分が抜けやすく、直径が5〜20mmのものでは、ガス抜き経路が1経路からバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷が抑制され、10経路でバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷が30%〜60%軽減できた。また、紐の直径が15mm〜20mmでガス抜き経路を10経路〜30経路設置する条件がバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷を50%以上抑制でき、施工労力も大きくなく実用的であった。
【0024】
表2、表3中の紐の材質が絹〜しゅろ縄・パームまでの材質の場合は、直径が5〜20mmのものではガス抜き経路7が1経路からバインダー揮発分によるワーク不焼成れんがの損傷が抑制されたものの、紐が有する下端から上端まで通じた空隙が不十分もしくは昇熱により空隙が閉塞し、バインダー揮発分のガス抜き効果が若干低下してバインダー揮発分による不焼成れんがの損傷抑制効果も若干低下した。
また、紐の材質に関わらず、紐の直径が5mm未満のものではガス抜き経路が閉塞し、20mm超のものでは外気雰囲気の吸気が発生した。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のガス抜き経路を設置したパーマれんがの30%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図2】本発明のガス抜き経路を設置したパーマれんがの60%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図3】本発明のガス抜き経路を設置したパーマれんがの100%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図4】本発明のスリットを設けた不焼成れんがの上面図である。
【図5】図4におけるA視点から見た本発明のスリットを設けた不焼成れんがの側面図である。
【図6】図4におけるB視点から見た本発明のスリットを設けた不焼成れんがの背面図である。
【図7】本発明のスリットを設けた不焼成れんがの施工例の模式図である。
【図8】本発明のガス抜き経路が5経路の場合の設置例の模式図である。
【図9】本発明のガス抜き経路が10経路の場合の設置例の模式図である。
【図10】本発明のガス抜き経路が20経路の場合の設置例の模式図である。
【図11】従来の転炉の模式図である。
【図12】従来のパーマれんがの30%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図13】従来のパーマれんがの60%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図14】従来のパーマれんがの100%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉の模式図である。
【図15】従来のパーマれんがが定型耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉におけるバインダー揮発分の抜け方を示す模式図である。
【図16】従来のパーマれんがの30%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉のバインダー揮発分の炉内噴出を示す模式図である。
【図17】従来のパーマれんがの60%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉のバインダー揮発分の炉内噴出を示す模式図である。
【図18】従来のパーマれんがの100%が不定形耐火物で、ワークれんがが不焼成れんがのライニング構成炉のバインダー揮発分の炉内噴出を示す模式図である。
【符号の説明】
【0026】
1 鉄皮
2 パーマネントライニング(パーマれんが)
3 ウェアーライニング(ワーク不焼成れんが)
4 パーマ不定形耐火物
5 パーマ定型耐火物
6 鉄皮とパーマ定型耐火物の隙間
7 ガス抜き経路
8 トラニオン
9 出鋼口
10 炉体
15 炉口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワーク不焼成れんがが不焼成れんがのライニング構成炉において、パーマ不定形耐火物が施工される前記ワーク不焼成れんがと鉄皮の間にガス抜き経路を設置することを特徴とするパーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法。
【請求項2】
前記ガス抜き経路が繊維状体の集合であることを特徴とする請求項1記載のパーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の施工方法を用いて形成した前記ガス抜き経路がワーク不焼成れんがに設置したスリットであることを特徴とするライニング構造。
【請求項4】
請求項1又は2記載の施工方法を用いて形成した前記ガス抜き経路を設置した転炉において、前記転炉のワーク不焼成れんがの目地部を補修しないことを特徴とする操業方法。
【請求項1】
パーマれんがの一部または全てが不定形耐火物で、ワーク不焼成れんがが不焼成れんがのライニング構成炉において、パーマ不定形耐火物が施工される前記ワーク不焼成れんがと鉄皮の間にガス抜き経路を設置することを特徴とするパーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法。
【請求項2】
前記ガス抜き経路が繊維状体の集合であることを特徴とする請求項1記載のパーマ不定形耐火物にガス抜き経路を設置する施工方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の施工方法を用いて形成した前記ガス抜き経路がワーク不焼成れんがに設置したスリットであることを特徴とするライニング構造。
【請求項4】
請求項1又は2記載の施工方法を用いて形成した前記ガス抜き経路を設置した転炉において、前記転炉のワーク不焼成れんがの目地部を補修しないことを特徴とする操業方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
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【図12】
【図13】
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【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−115353(P2009−115353A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287000(P2007−287000)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000001971)品川白煉瓦株式会社 (112)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000001971)品川白煉瓦株式会社 (112)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】
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