説明

パールインキ検出装置

【課題】 紙葉類の搬送方向に関係なくパールインキ検出部を正確に検出すること。
【解決手段】 このパールインキ検出装置10は、パール顔料を含むインキを用いて印刷した紙幣Rのパールインキ印刷部Pを検出する装置であって、紫外光成分を含む光を紙幣Rに向けて出射するUVLED12と、UVLED12に対して紙幣Rを挟んで配置されており、紙幣Rを透過した光のうち可視光成分を受光するPD22子と、UVLED12に対して紙幣Rを挟んで配置されており、紙幣Rを透過した光のうち紫外光成分を受光するPD23と、PD22からの出力に基づいて、可視光成分の強度が一定となるようにUVLED12から出射される光の光量を調整する発光制御回路26と、PD23からの出力のレベルに基づいて、紙幣Rにおけるパールインキ印刷部Pの有無を判定する判定回路27bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、商品券、有価証券等の紙葉類における真偽の判別に利用するためのパールインキ検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載のパールインキ検出装置がある。この公報に記載されたパールインキ検出装置は、特定波長(青紫色:350〜480nm)の光を発する光源を有し、光源から出射されて紙葉類を透過した光を受光素子で受光することによって、紙葉類におけるパールインキ印刷部の有無を判定する。
【特許文献1】特開2004−246714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したパールインキ検出装置においては、紙葉類に汚れが付着したりして光の透過率が変化した場合に、紙葉類を透過する光の強度が変動して受光素子の受光レベルも変動するため、パールインキ印刷部の検出が困難となっていた。また、紙葉類を搬送することによって黒インキ等を含む印刷部とパールインキ印刷部とを連続的に検査する場合には、両者を透過する光のレベルに大きな差が現れにくいため、パールインキ印刷部の検出精度が低下する傾向にあった。
【0004】
そこで、本発明はかかる課題に鑑みて為されたものであり、紙葉類の搬送方向に関係なくパールインキ検出部を正確に検出することが可能なパールインキ検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の発明者らは、様々な種類の紙葉類を透過する光の分光特性について以下のような知見を得た。すなわち、紙葉類のパールインキ印刷部を透過する光の紫外光領域のレベルの可視光領域のレベルに対する相対値が、無印刷部分及び他の顔料による印刷部分に比較して小さいという知見を得た。
【0006】
そこで、このような知見に基づいて上記課題を解決するため、本発明のパールインキ検出装置は、パール顔料を含むインキを用いて印刷した紙葉類のパールインキ印刷部を検出する装置であって、紫外光成分を含む光を紙葉類に向けて出射する光源と、光源に対して紙葉類を挟んで配置されており、光源から出射されて紙葉類を透過した光のうち可視光成分を受光する第1の受光素子と、光源に対して紙葉類を挟んで配置されており、光源から出射されて紙葉類を透過した光のうち紫外光成分を受光する第2の受光素子と、第1の受光素子からの出力に基づいて、可視光成分の強度が一定となるように光源から出射される光の光量を調整する制御部と、第2の受光素子からの出力のレベルに基づいて、紙葉類におけるパールインキ印刷部の有無を判定する判定部とを備える。
【0007】
このようなパールインキ検出装置によれば、光源から照射された紫外光を含む光が紙葉類を透過し、その光のうちの可視光成分が第1の受光素子で受光され、紫外光成分が第2の受光素子で受光される。ここで、第1の受光素子の出力を利用して、紙葉類を透過する可視光成分の強度が一定になるように光源からの光量が調整されると同時に、第2の受光素子の出力を用いてパールインキ印刷部の有無が判定される。これにより、紙葉類を透過する光における紫外光成分の可視光領域に対する相対的レベルを把握して、その相対的レベルに基づいてパールインキ印刷部が判定されるので、紙葉類のパールインキ印刷部を無印刷部分や他の印刷部分から正確に判別することができる。特に、このようなパールインキ検出装置は、紙葉類のパールインキ印刷部及び他の印刷部分に渡って連続的に検査する場合に有効となる。
【0008】
また、光源と第1の受光素子との間に配置され、光源からの光の可視光成分を、第1の受光素子に向けて透過させると共に、光源からの光の紫外光成分を、第2の受光素子に向けて反射させるミラー部を更に備えることが好ましい。こうすれば、簡易な構成により紙葉類を透過した光から紫外光成分及び可視光成分を分離することができるとともに、紙葉類の表面における第1及び第2の受光素子による検査位置を容易に一致させることができる。
【0009】
また、光源と第2の受光素子との間に配置され、光源からの光の紫外光成分を、第2の受光素子に向けて透過させると共に、光源からの光の可視光成分を、第1の受光素子に向けて反射させるミラー部を更に備えることも好ましい。この場合も、簡易な構成により紙葉類を透過した光から紫外光成分及び可視光成分を分離することができるとともに、紙葉類の表面における第1及び第2の受光素子による検査位置を容易に一致させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のパールインキ検出装置によれば、紙葉類の搬送方向に関係なくパールインキ検出部を正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るパールインキ検出装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1に示す紙葉類検査器1は、紙葉類の一種である紙幣の真偽判別をするための装置であり、例えば、銀行ATM、自動販売機、自動券売機等の紙幣を搬送処理する装置内に内蔵されるものである。紙葉類検査器1は、カラーコピー等が施され多量の蛍光成分を含む偽造紙幣と、正規の紙幣との判別に用いられ、具体的には、正規の紙幣においてパールインキ(パール顔料)による印刷が施されている部分(パールインキ印刷部)を検出することによって判別する。
【0013】
同図に示すように、紙葉類検査器1には、上下のガイド板2,3で挟まれるようにして形成させた直線的な搬送通路4が設けられ、この搬送通路4の途中には、搬送ローラ5,6が配置され、各搬送ローラ5,6によって紙幣Rを排出側に向けて(図1の右方向)確実に搬送させている。このような搬送通路4の途中には、図示しない紙幣認識装置が配置されている。
【0014】
この紙幣認識装置は、LED光源によって紙幣Rを照らし、紙幣Rからの反射光をCCDカメラで捕捉する構造をもっている。そして、カメラで撮像された画像と既知の画像データとの照合を行い、紙幣の金種を判別している。しかし、近年、カラーコピーの高精度化によって、画像認識だけでは、紙幣Rの真偽を判別しにくい状態になっている。そこで、紙葉類認識装置の上流側に、図示しない紙葉類蛍光検出センサを配置させている。この紙葉類蛍光検出センサは、紙幣Rに紫外線を照射して、偽造紙幣Rから発せられる蛍光を、蛍光受光素子で受光して、紙幣Rの種類や真偽などを判別している。
【0015】
一方、近年、偽造防止対策として、紙幣Rの印刷の一部にパールインキが採用されており、パールインキ印刷部は、光沢があるので目視による確認が可能である。具体的に、二千円札においては、ある角度から観察するとピンク色に見えるようになっている。また、パールインキは、既知であり、天然雲母の厚さ、細かさ、粒子分布などにより、光の吸収、散乱、反射を異ならせることができ、様々な光彩を作り出している。また、パールインキによる印刷において、顔料である二酸化チタンの膜厚の違いによって銀、黄、赤、青、緑などの様々な彩色が出現する。なお、パールインキとして利用される顔料は様々であり、顔料の違いによって彩色を異ならせることができる。パールインキに関する技術として、例えば、特開平09−240133号公報、特開平09−267592号公報、特開2002−285061号公報、「機能性インキの最新技術」(株式会社シーエムシー出版、2002年1月)などがある。
【0016】
蛍光灯や自然光下で輝きを放つパールインキ印刷部は、紙幣Rの偽造防止などの目的で使われており、二千円札においては、目視によってある角度から見た場合に彩色が分かるようになっている。このような場合、紙幣Rを様々な角度に向けながらパールインキ印刷部の確認を行うこととなり、目視による確認作業は煩雑であった。
【0017】
そこで、二千円札のパールインキ印刷部の機械的な判別を精度良く行うために様々な実験を行い、その結果として、パールインキ印刷部において、可視光領域の光の透過率に対する紫外光領域の光の透過率の相対値が、紙幣の他の部分(無印刷部分、他の顔料による印刷部分)に比較して極めて小さいという特性を持っていることが本発明者らによって見出された。このような特性は、紙幣Rに汚れが付着して全体的な光の透過率が変動した場合であっても維持されるものであった。このような事実を踏まえて、パールインキ検出装置10が発案された。
【0018】
図2に示すパールインキ検出装置10は、前述した紙葉類検査器1の搬送通路4の途中への配置を可能にするため、下ガイド板3に固定される略直方体形状の筐体11を有する。そして、この筐体11内には、搬送通路4に向けて紫外光成分を含む光を真下から出射するUVLED(光源)12が収容されている。このUVLED12は、筐体11に取り付けられた回路基板13に対しリード部12aを介して電気的に接続されるとともに、出射される光の光軸Lが搬送通路4を搬送される紙幣Rの表面に対して略垂直となるように固定されている。より詳細には、UVLED12は、発光波長が紫外光領域(200〜400nm)及び可視光領域(400nm〜800nm)の両方を含むようなものが選択される。このようなUVLED12としては、紫外光領域を発光波長とするLEDと可視光領域を発光波長とするLEDとを組み合わせたものを用いても良いし、両方の領域を含む広い発光波長を有する単体のLEDを用いても良い。また、筐体11の上面には、搬送通路4を臨むようにして配置される防塵ガラス板14が接着剤を介して固定され、この防塵ガラス板14には紫外光及び可視光を透過しやすいガラスが採用されている。
【0019】
さらに、このパールインキ検出装置10は、フォトセンサからなる2つのPD(受光素子)22,23とミラー部25とを収容する略直方体形状の筐体21を有し、この筐体21は、上ガイド板2に固定されると共に、光源側の筐体11に対向して配置されている。筐体21内においては、UVLED12に対して搬送通路4内の紙幣Rを挟んだ位置に、UVLED12から出射して紙幣Rを透過した光を受光するためのPD22,23が配置されている。このPD22は、筐体21に取り付けられた回路基板28に対しリード部22aを介して電気的に接続されるとともに、その受光面がUVLED12の光軸Lに垂直となるようにUVLED12に対向して配置されている。PD23は、回路基板28に対しリード部23aを介して電気的に接続されると共に、その受光面がUVLED12の光軸Lに略平行となり、かつ、PD22よりも搬送通路4側に位置するように配置されている。また、筐体21の下面には、搬送通路4を臨むようにして配置される防塵ガラス板24が接着剤を介して固定されている。
【0020】
さらに、筐体21内には、PD22と防塵ガラス板24との間において、光軸Lと反射面との傾斜角が約45°となり、かつ、その反射面がPD23を向くようにミラー部25が固定されている。このミラー部25は、入射角が45°で入射した可視光を透過させる一方で、その入射角で入射した紫外光を反射させる性質を有する板状ガラス部材である。このミラー部25は、UVLED12から出射されてミラー部25によって反射された紫外光成分が、PD23に効率的に入射するように、UVLED12の光軸Lとミラー部25の下面との交点Aの紙幣Rからの距離が、PD23の受光面の中心部の紙幣Rからの距離とほぼ一致するように設けられている。このミラー部25を利用すると、UVLED12から出射されて紙幣Rを透過した光のうちの可視光成分がPD22の受光面に入射され、UVLED12から出射されて紙幣Rを透過した光のうちの紫外光成分がPD23の受光面に入射される。
【0021】
なお、このPD22,23は、受光感度を有する波長帯域が、紫外光領域及び可視光領域を含むものであれば特定の受光感度のものに限られないが、PD22として可視光領域のみをカバーするもの、PD23として紫外光領域のみをカバーするものを用いることが、効率的に各領域を分光して検出できる点でより好ましい。
【0022】
筐体11に取り付けられた回路基板13の下面には、UVLED12の発光を制御する発光制御回路(制御部)26が設けられ、筐体21に取り付けられた回路基板28の上面には、PD22,23の出力を用いて紙幣Rの判定を行う処理回路27が設けられている。図3は、発光制御回路26及び処理回路27の接続関係を示すブロック図である。
【0023】
同図に示すように、発光制御回路26は、UVLED12の両端子に接続され、後述する信号変換回路27aから出力される検出信号に基づいて、PD22における受光レベル、つまり、紙幣Rを透過した光の可視光成分のレベルが一定となるように、UVLED12に供給する駆動電圧(又は駆動電流)を帰還制御するAPC(Auto Power Control)回路である。この発光制御回路26の帰還制御により、UVLED12から紙幣Rに向けて出射される光の光量が調整される。
【0024】
信号変換回路27aは、PD22から出力される受光信号に基づいて、PD22の受光面において受光された光の強度に対応する電圧レベルを有する検出信号に変換・増幅して、発光制御回路26に出力する。また、信号変換回路27aは、PD23から出力される受光信号に基づいて、PD23の受光面において受光された光の強度に対応する電圧レベルを有する検出信号に変換・増幅して、判定回路27bに出力する。
【0025】
判定回路(判定部)27bは、信号変換回路27aから出力されたPD23に関する検出信号に基づいて、紙幣Rにおけるパールインキ印刷部Pの有無を判定し、その判定結果を示す結果信号を紙葉類検査器1内の紙幣認識装置等の他の装置に出力する。そして、紙幣認識装置等においては、結果信号に基づいた紙幣Rの真偽判断の後、紙幣Rの種類や真偽などをさらに判別する。ここでのパールインキ印刷部Pの有無の判定は、例えば、PD23に関する検出信号のレベルが、予め定められた閾値以下であるか否かを判定することにより行われる。
【0026】
次に、上述したパールインキ検出装置10の動作について説明する。
【0027】
図4に示すように、まず、搬送ローラ5,6によって紙幣Rが搬送通路4を排出側(図2の右側)に向けて搬送される(ステップS01)。その後、図示しないセンサによって紙幣Rが筐体11と筐体21との間に進入してきたことが検出されると、発光制御回路26からUVLED12に駆動電圧が供給されることにより発光が開始される(ステップS02)。そうすると、UVLED12から出射され、紙幣R及びミラー部25を透過してきた可視光成分がPD22によって受光され、受光レベルに応じた検出信号が発光制御回路26に入力される(ステップS03)。これに対して、発光制御回路26は、PD22における可視光成分の受光レベル、換言すれば、PD22の検出信号の電圧レベルが一定となるように、UVLED12に供給する駆動電圧を調整する(ステップS04)。このステップS03及びステップS04におけるUVLED12の駆動電圧の帰還制御は、紙幣Rが筐体11と筐体21との間を通過するまで継続される(ステップS05〜S06)。
【0028】
一方、ステップS05では、紙幣Rを透過した後ミラー部25で反射されてきた紫外光成分がPD23によって受光され、ステップS06では、その受光レベルに応じた検出信号が判定回路27bに入力される。これに対して、判定回路27bは、PD23における紫外光成分の受光レベル、換言すれば、PD23の検出信号の電圧レベルが、予め設定された閾値以下であるかを判定することによって、紙幣Rにおけるパールインキ印刷部Pの有無を判定する(ステップS07)。そして、判定回路27bは、判定結果を示す判定結果信号を出力する(ステップS08)。
【0029】
図5には、UVLED12の光量を一定にした場合の二千円札を透過する光の分光特性を示すグラフ、図6は、パールインキ検出装置10における二千円札を透過する光の分光特性を示すグラフである。これらの図を見てわかるように、UVLED12の光量を一定にした場合には、パールインキ印刷部Pを透過する光の紫外光領域(〜400nm)の強度は、黒インキ部分との強度に近くなっており区別することが難しいが、パールインキ検出装置10におけるパールインキ印刷部Pを透過する光の紫外光領域の強度は、黒インキ部分及び無印刷部分と比較して区別できる程度に小さくなっている。
【0030】
パールインキ検出装置10において上記のような光透過特性を有する二千円札を検出した結果である図7に示すように、二千円札である紙幣Rをパールインキ印刷部Pと黒インキ印刷部Bを横切る方向(図7の矢印方向)に検出させた場合、パールインキ印刷部PのPD23に対応する検出信号のレベルは、黒インキ印刷部Bのレベルよりも小さくなっている。また、図8に示すように、二千円札である紙幣Rをパールインキ印刷部Pと無印刷部Cを横切る方向(図8の矢印方向)に搬送させた場合も、パールインキ印刷部PのPD23に対応する検出信号のレベルは、無印刷部Cのレベルよりも小さくなっている。従って、紙幣Rの搬送方向に関係なく、判定回路27bによってパールインキ印刷部Pの存在有無が確実に判定される。
【0031】
以上説明したパールインキ検出装置10によれば、UVLED12から照射された紫外光を含む光が紙幣Rを透過した後、更にミラー部25を透過することによってその光のうちの可視光成分がPD22で受光されると同時に、ミラー部25によって反射された紫外光成分がPD23で受光される。ここで、PD22の検出信号を利用して、紙幣Rを透過する可視光成分の強度が一定になるようにUVLED12からの光量が調整されると同時に、PD23の検出信号を用いてパールインキ印刷部Pの有無が判定される。これにより、紙幣Rを透過する光における紫外光成分の可視光領域に対する相対的レベルを把握して、その相対的レベルに基づいてパールインキ印刷部Pが判定されるので、紙幣Rのパールインキ印刷部Pを無印刷部分Cや黒インキ印刷部Bから正確に判別することができる。
【0032】
特に、このようなパールインキ検出装置10は、紙幣Rのパールインキ印刷部P及び黒インキ印刷部B等の他の印刷部分に渡って連続的に検査する場合に有効となる。これは、光源の光量が一定の場合のパールインキ印刷部Pを透過する紫外光のレベルは、他の印刷部分のレベルとの差が小さいが、可視光のレベルと比較した相対的レベルにおいて差が顕著に現れるからである。
【0033】
また、紙幣Rを透過した光を分光するために、波長選択ミラーであるミラー部25を用いることで、装置構成の簡易化を実現するとともに、紙幣Rの表面におけるPD22及びPD23による検査位置を、レンズ等の光学部材を用いることなく容易に一致させることができる。
【0034】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、ミラー部25に代えて、所定の入射角で入射した紫外光を透過させる一方で、その入射角で入射した可視光を反射させる性質を有するミラー部を用いて、PD22に対応する検出信号を判定回路27bに、PD23に対応する検出信号を発光制御回路26に出力させるようにしてもよい。
【0035】
また、PD22として可視光領域にのみ受光感度を有するようなフォトセンサを用い、PD23として紫外光領域にのみ受光感度を有するようなフォトセンサを用いるのであれば、ミラー部25の代わりに波長選択性の無いハーフミラーを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るパールインキ検出装置を適用した紙葉類検査器の好適な一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のパールインキ検出装置をより詳細に示す拡大断面図である。
【図3】図2の発光制御回路及び処理回路の接続関係を示すブロック図である。
【図4】本発明に係るパールインキ検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図2のUVLEDの光量を一定にした場合の二千円札を透過する光の分光特性を示すグラフである。
【図6】図2のパールインキ検出装置における二千円札を透過する光の分光特性を示すグラフである。
【図7】(a)は、検査対象である紙幣の検査位置を示す図、(b)は、図2のパールインキ検出装置において(a)の紙幣の検査位置を検出した場合の検出信号の分布を示す図である。
【図8】(a)は、検査対象である紙幣の検査位置を示す図、(b)は、図2のパールインキ検出装置において(a)の紙幣の検査位置を検出した場合の検出信号の分布を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1…紙葉類検査器、10…パールインキ検出装置、12…UVLED(光源)、22,23…PD(第1及び第2の受光素子)、25…ミラー部、26…発光制御回路(制御部)、27b…判定回路(判定部)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パール顔料を含むインキを用いて印刷した紙葉類のパールインキ印刷部を検出する装置であって、
紫外光成分を含む光を前記紙葉類に向けて出射する光源と、
前記光源に対して前記紙葉類を挟んで配置されており、前記光源から出射されて前記紙葉類を透過した光のうち可視光成分を受光する第1の受光素子と、
前記光源に対して前記紙葉類を挟んで配置されており、前記光源から出射されて前記紙葉類を透過した光のうち紫外光成分を受光する第2の受光素子と、
前記第1の受光素子からの出力に基づいて、前記可視光成分の強度が一定となるように前記光源から出射される光の光量を調整する制御部と、
前記第2の受光素子からの出力のレベルに基づいて、前記紙葉類における前記パールインキ印刷部の有無を判定する判定部と、
を備えることを特徴とするパールインキ検出装置。
【請求項2】
前記光源と前記第1の受光素子との間に配置され、前記光源からの光の可視光成分を、前記第1の受光素子に向けて透過させると共に、前記光源からの光の紫外光成分を、前記第2の受光素子に向けて反射させるミラー部を更に備えることを特徴とする請求項1記載のパールインキ検出装置。
【請求項3】
前記光源と前記第2の受光素子との間に配置され、前記光源からの光の紫外光成分を、前記第2の受光素子に向けて透過させると共に、前記光源からの光の可視光成分を、前記第1の受光素子に向けて反射させるミラー部を更に備えることを特徴とする請求項1記載のパールインキ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−87333(P2007−87333A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278495(P2005−278495)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】