説明

ヒトのケラチン物質のための明色化効果を有する染色用組成物

【課題】人工的に染色された又は着色された毛髪又は色黒の皮膚等のヒトのケラチン物質を明色化させるために使用される染色用の化粧品用組成物の提供。
【解決手段】化粧品的に許容可能な媒体に、十分な量の少なくとも一の蛍光染料を含有せしめてなることを特徴とする、明色化効果又は薄色化効果を有する、ヒトのケラチン物質を染色するための化粧品用組成に関する。また本発明は、前記組成物を使用する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、少なくとも一の蛍光染料を含有する、人工的に染料された又は着色(pigmented)された毛髪又は色黒の皮膚等のヒトのケラチン物質を染色するための、明色化(lightening)又は薄色化効果を有する化粧品用組成物に関する。また本発明は、これらの組成物を使用する方法及び装置に関する。
【0002】
色黒の皮膚の個人が皮膚の色を白くすることを望む場合、この目的のために、脱色剤(bleaching agent)を含有する化粧品用又は皮膚用組成物を使用するのが一般的である。
脱色剤として最も一般的に使用されている物質は、ヒドロキノンとその誘導体、コウジ酸とその誘導体、アゼライン酸、及びアルブチンとその誘導体の単独物又は他の活性剤と組合せたものである。
しかしながらこれらの薬剤には欠点がないわけではない。特に、皮膚の脱色効果を得るためには、長期間、多量に使用する必要がある。さらに、それらを含有する組成物を適用しても、即時効果は観察されない。
加えて、ヒドロキノンとその誘導体は、目に見えて分かるほどの脱色効果が生じるのに有効な量で使用される。特にヒドロキノンはメラノサイトに対するその細胞毒性が知られている。
さらに、コウジ酸とその誘導体は高価であり、よって広く市場に流通する製品として大量に使用できないといった欠点を有する。
しかして、自然な外観の、より明るく、均質で、均一な皮膚トーンを得られるようにでき、皮膚に適用した後に、満足のいく透明性を有する化粧品用組成物が、今なお必要とされている。
【0003】
ヘアケアの分野において、毛髪の染色には、主として2つのタイプがある。
第1は半永久的な染色すなわち直接染色であり、これは、数回の洗髪に対して耐性がある、程度の差はあれ明白な色調変化を毛髪の天然の色調に付与することを可能にする染料を使用する。これらの染料は直接染料として知られ、2つの異なる方法で使用され得る。着色は、直接染料(群)を含有する組成物を、ケラチン繊維に直接適用するか、又は酸化脱色剤、好ましくは過酸化水素水溶液を含有する組成物と、直接染料(群)を含有する組成物とで即時調製した混合物を適用することにより、実施することができる。このような方法は「明色化直接染色」と称される。
【0004】
第2は永久的染色すなわち酸化染色である。これは、使用時に、酸化物質と混合されて、酸化縮合プロセスにより着色した化合物及び染料を生じうる無色か弱く着色した化合物である「酸化」染料前駆体を用いて実施される。多くの場合、過剰な赤、オレンジ又は金色の光沢を有する色調を中和又は弱めるために、又はこれとは逆に赤、オレンジ又は金色の光沢を目立たせるために、酸化ベース及びカップラーと、一又は複数の直接染料とを組合せることが必要とされている。
【0005】
入手可能な直接染料の中で、ニトロベンゼン直接染料には十分な強度がなく、インドアミン類、キノン染料及び天然染料はケラチン繊維との親和性が低く、従って、繊維が被るであろう種々の処理、特にシャンプーに対する堅牢性が不十分な着色にしか至らない。
加えて、ヒトのケラチン繊維に対して明色化効果を得る必要性がある。この明色化は、従来的には、場合によっては過酸塩と組合せられた過酸化水素から一般的になる酸化系を介して、毛髪のメラニンを脱色するプロセスを介して達成される。この脱色系には、ケラチン繊維を劣化させ、それらの美容特性を損なうといった欠点がある。
【0006】
よって、本出願人は、上述した問題を解決する、すなわちケラチン繊維に対する良好な染色親和性、外的要因、特にシャンプーに対する良好な堅牢性を有し、繊維を損傷することなく、明色化を達成することが可能な化合物を研究した。
これらの研究の結果、本出願人は、驚くべきことに、また予期しないことに、蛍光染料、特にオレンジの領域のものを使用することで、これらの目的を達成することができることを見出した。
【0007】
カナダ国特許第1255603号、又は国際公開第99/13845号及び国際公開第00/71085号に記載されているように、文献には、蛍光増白剤(optical brighteners又はfluorescent brighteners)を含有する、毛髪又は皮膚のための組成物が開示されている。強い色調を得ることを可能にする化合物で毛髪を染色する組成物もまた知られており、例えば国際公開第01/62759号、独国特許第10029441号及び独国特許第19926377号に記載のものである。しかしながら、これらの組成物では、毛髪又は皮膚を、それを染色するのと同時に明色化することはできない。
欧州特許出願第0370470号及び欧州特許出願第0445342号には、樹脂に染料を溶解させることによって形成された蛍光性であってよい不溶性顔料(欧州特許第0370470号)を含有する化粧品用組成物が記載されている。これらの組成物は明色化しない。
さらに、米国特許第5356438号及び米国特許第5188639号には、毛髪を染色してコンディショニングする、又は毛髪を染色してパーマネントウエーブするための組成物が記載されている;しかし、それらは染色しながら毛髪を明色化することを意図したものではない。
【0008】
よって本発明の第1の主題は、化粧品的に許容可能な媒体中に、スペクトルの可視領域と、場合によっては紫外線領域に吸収された光を、スペクトルの可視領域においてさらに長い波長の蛍光として再発光する、前記媒体に可溶性の少なくとも一の蛍光染料を含有せしめることを特徴とする、ヒトのケラチン物質を染色するための、明色化(又は薄色化)効果を有する化粧品用組成物にある。
本発明の目的に対して、「蛍光染料」なる用語は、任意の一般的な染料と同様に、それ自体で着色させる分子である染料と、化粧品用の媒体に可溶性であり、可視スペクトルと、場合によっては紫外線スペクトル(360〜760ナノメートルの範囲の波長)の光を吸収するが、標準的な染料とは異なり、スペクトルの可視領域で放たれるより長い波長の蛍光に、吸収したエネルギーを転換する染料を意味する。
【0009】
本発明の蛍光染料は、蛍光増白剤とは区別される。増白剤(ブライトナー)、蛍光ブライトナー、蛍光増白剤、蛍光白色化剤(fluorescent whitening agents)、白色化剤(whiteners)又は蛍光ホワイトナーとしても知られている蛍光増白剤は、無色透明の化合物であり、可視領域の光を吸収せず、紫外線領域(200〜400ナノメートルの範囲の波長)のみを吸収し、吸収エネルギーを、可視領域スペクトルで放出された波長の長い蛍光に転換するため、染色はしない;色の印象は、主として青色(400〜500ナノメートルの範囲の波長)の純粋な蛍光のみから生じる。
【0010】
本発明において、「ヒトのケラチン物質」なる用語は、皮膚、毛髪、爪、睫毛及び眉毛、特に色黒の皮膚および人工的に染色された又は着色された毛髪を意味する。
本発明の目的において、「色黒の皮膚」なる用語は、CIEL L系で測定される明度Lが45以下、好ましくは40以下である皮膚を意味し、ここで、L=0は黒に等価であり、L=100は白に等価である。この明度に対応する皮膚タイプは、アフリカ人の皮膚、アフリカ系アメリカ人の皮膚、スペイン系アメリカ人の皮膚、インド人の皮膚及び北アフリカ人の皮膚である。
本発明の目的において、「人工的に染色された又は着色された毛髪」なる表現は、そのトーン高さが6(ダークブロンド)以下、好ましくは4(チェスナットブラウン)以下である毛髪を意味する。
【0011】
毛髪の明色化は、明色化の程度又はレベルを特徴付ける「トーン高さ」により評価される。「トーン」という概念は、一つのトーンが各色調をその直前又は直後の色調から分離する天然の色調の分類に基づいている。天然の色調のこの定義と分類は、ヘアスタイリング専門家にはよく知られており、Charles Zviak 1988, Masson, pp.215及び278の研究「Sciences des Traitements capillaires[Hair treatment sciences]」に公表されている。
トーン高さは1(黒)〜10(明るいライトブロンド)の範囲であり、一単位が一トーンに相当し;数字が高くなればなる程、色調は明るくなる。
【0012】
本発明の蛍光染料は、蛍光顔料とは区別されなければならない。顔料は媒体に不溶であるのに対し、染料は、約15〜25℃の室温で化粧品用媒体に可溶である。加えて、本発明の蛍光染料は化粧品用担体に対して蛍光を発する染料である。
【0013】
本発明の主題は、特に、化粧品的に許容可能な媒体に、十分な量の少なくとも一の蛍光染料を含有せしめてなることを特徴とする、明色化効果を有する、ヒトのケラチン物質を染色するための化粧品用組成物にあり、該物質に適用した後、該組成物により、500〜700nmで測定して、未処理のケラチン物質の反射率よりも高い反射率が付与される。
また本発明の主題は、特に、化粧品的に許容可能な媒体に、十分な量の少なくとも一の蛍光染料を含有せしめてなることを特徴とする、6以下、好ましくは4以下のトーン高さを有する人工的に染色された又は着色された毛髪を染色するための、明色化効果を有する化粧品用組成物にあり、毛髪に適用した後、該組成物により、500〜700nmで測定して、未処理の毛髪の反射率よりも、少なくとも一の0.05%、好ましくは少なくとも0.1%高い反射率が付与される。
このような本発明の組成物は、毛髪を劣化させることなくこれを明色化し、同時に毛髪を染色するという利点を有する。
【0014】
本発明において、中和されていてもよい蛍光染料は、25℃の温度で、1リットル当たり少なくとも1グラム、好ましくは1リットル当たり少なくとも5グラムまで、化粧品用溶媒に溶解する。
好ましくは、本発明において、蛍光染料は、独国特許出願第19926377号に記載されたようなフルオレセイン染料又はキサンチン誘導体、又は独国特許出願第10029441号に記載されたようなシクロペンタキノキサリニウム化合物ではないが、それはこれらの化合物には毒性がない訳ではないからである。
加えて、好ましくは、本発明の組成物により、CIEL L系で測定して、6以上の変数bを有し、b/aの絶対値の比率が、以下に記載する選択試験に従い1.2を超える色調に毛髪及び皮膚を明色化することができる。
【0015】
選択試験
チェスナットブラウンの毛髪に、チェスナットブラウンの毛髪1グラム当たり組成物10グラムの割合で組成物を適用する。毛髪全てに行き渡るように、組成物を展伸する。組成物を放置して、室温(20〜25℃)で20分間作用させる。ついで、繊維を水ですすぎ、ラウリルエーテル硫酸塩ベースのシャンプーで洗浄する。続いて乾燥する。次に、毛髪の分光比色的特徴を測定し、L座標を決定する。
CIEL L系では、a及びbは2つの色軸を示し:aは緑/赤の色軸を示し(+aは赤、−aは緑である)、bは青/黄の色軸を示し(+bは黄、−bは青である);a及びbの値がゼロに近い値はグレーの色調に相当する。
【0016】
本発明で好ましく使用される蛍光染料は、オレンジの領域の染料である。
好ましくは、毛髪、例えばチェスナットブラウンの毛髪に適用した後、組成物は次の結果を付与すべきである:
400〜700ナノメートルの範囲の波長の可視光線を放射した場合の毛髪の反射特質に注目する。
しかして、波長の関数としての反射率曲線が、本発明の組成物で処理された毛髪と未処理の毛髪とで比較される。処理された毛髪に相当する曲線は500〜700ナノメートルの範囲の波長の反射率を示し、これは、未処理の毛髪に相当する反射率曲線よりも高い。
このことは、540〜700ナノメートルの範囲の波長において、処理された毛髪に相当する反射率曲線が未処理の毛髪に相当する反射率曲線よりも高い少なくとも一の領域が存在することを意味する。
【0017】
「〜より高い」なる用語は、反射率の少なくとも0.05%、好ましくは少なくとも0.1%の差を意味する。このことは、540〜700ナノメートルの範囲の波長において、処理された毛髪に相当する反射率曲線が、未処理の毛髪に相当する反射率曲線と重なり合っているか、又はそれ以下である少なくとも一の領域が存在する可能性を妨げない。
好ましくは、処理された毛髪の反射率曲線と未処理の毛髪の反射率曲線との差異が最大になる波長は、500〜650ナノメートルの範囲の波長、好ましくは550〜620ナノメートルの範囲の波長にある。
【0018】
また本発明の主題は、ヒトのケラチン物質、特に色黒の皮膚、さらには人工的に染色された又は着色された毛髪を染色しながら明色化させるための、上述した化粧品用組成物自体、又は該組成物の製造における、明色化及び染色剤としての蛍光染料の使用にある。
本発明の蛍光染料は既知であり、市販化合物である。
これらの染料として、特に:
− 次の構造:
【化1】

を有し、ユビケム社(Ubichem)から販売されている感光性染料NK-557、2-[2-(4-ジメチルアミノ)フェニルエテニル]-1-エチルピリジニウムヨージド;
− 次の構造:
【化2】

を有し、サンド社(Sandoz)から販売されているブリリアントイエローB6GL;
− 次の構造:
【化3】

を有し、プロラボ社(Prolabo)、アルドリッチ社(Aldrich)又はカルロ・エルバ社(Carlo Erba)から販売されている、ベイシックイエロー2又はオーラミンO、4,4'-(イミドカルボニル)ビス(N,N-ジメチルアニリン)モノヒドロクロリド;CAS No.2465-27-2;
を挙げることができる。
【0019】
本発明の蛍光染料(群)は、組成物の全重量に対して、好ましくは約0.01重量%〜20重量%、より好ましくは0.05重量%〜10重量%、特に0.1重量%〜5重量%である。
【0020】
化粧品的に許容可能な媒体は、一般的に水、又は少なくとも一の有機溶媒と水との混合物からなる。
挙げることのできる有機溶媒の例には、C-C低級アルコール類、例えばエタノール及びイソプロパノール;グリセロール;グリコール類及びグリコールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びモノエチルエーテル、及び芳香族アルコール類、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、それらの類似品及び混合物が含まれる。
溶媒は、組成物の全重量に対して、好ましくは約1重量%〜40重量%、より好ましくは約5重量%〜30重量%の範囲の割合で存在し得る。
【0021】
本発明の組成物のpHは、一般的に約3〜12、好ましくは約5〜11である。それは、ヒトのケラチン繊維の染色において通常使用されている酸性化剤又は塩基性化剤を用いて所望の値に調節することができる。
挙げることのできる酸性化剤の例には、無機酸又は有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸及び乳酸、及びスルホン酸が含まれる。
挙げることのできる塩基性化剤の例には、例えば、アンモニア水、アルカリ性のカーボナート類、アルカノールアミン類、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンとその誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び次の式(I):
【化4】

[ここで、Wは、C-Cアルキル基又はヒドロキシル基で置換されていてもよいプロピレン残基であり;R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はC-Cアルキル基又はC-Cヒドロキシアルキル基を表す]
の化合物が含まれる。
【0022】
好ましい一実施態様において、本発明の化粧品用組成物は蛍光染料(群)に加えて、例えば次の赤又はオレンジのニトロベンゼン染料:
− 1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-N-(γ-ヒドロキシプロピル)アミノベンゼン、
− N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン、
− 1-アミノ-3-メチル-4-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-6-ニトロベンゼン、
− 1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、
− 1,4-ジアミノ-2−ニトロベンゼン、
− 1-アミノ-2-ニトロ-4-メチルアミノベンゼン、
− N-(β-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-パラ-フェニレンジアミン、
− 1-アミノ-2-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-5-クロロベンゼン、
− 2-ニトロ-4-アミノジフェニルアミン、
− 1-アミノ-3-ニトロ-6-ヒドロキシベンゼン、
− 1-(β-アミノエチル)アミノ-2-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、
− 1-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)オキシ-3-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、
− 1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン、
− 1-ヒドロキシ-2-アミノ-4,6-ジニトロベンゼン、
− 1-メトキシ-3-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、
− 2-ニトロ-4'-ヒドロキシジフェニルアミン、及び
− 1-アミノ-2-ニトロ-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼン、
から選択され得る、非イオン性、カチオン性又はアニオン性の一又は複数の付加的な直接染料を含有してもよい。
【0023】
本発明の化粧品用組成物は、これらのニトロベンゼン染料に加えて又は置き換えて、黄、黄-緑、青又は紫色のニトロベンゼン染料、アゾ染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、ベンゾキノン染料、インジゴイド染料、及びトリアリールメタン系染料から選択される一又は複数の付加的な直接染料を含有してもよい。
これらの付加的な直接染料は、特に、「ベイシックブラウン16」、「ベイシックブラウン17」、「ベイシックイエロー57」、「ベイシックレッド76」、「ベイシックバイオレット10」、「ベイシックブルー26」及び「ベイシックブルー99」の名称で、色指数(Color Index)、第3版で知られている染料を挙げることのできる塩基性染料、又は特に、「アシッドオレンジ7」、「アシッドオレンジ24」、「アシッドイエロー36」、「アシッドレッド33」、「アシッドレッド184」、「アシッドブラック2」、「アシッドバイオレット43」及び「アシッドブルー62」の名称で、色指数、第3版で知られている染料を挙げることのできる酸性直接染料、又はカチオン性直接染料、例えばその内容が本発明の主要部分を形成する国際公開第95/01772号、国際公開第95/15144号及び欧州特許公開第714954号に記載されているものであってもよい。
【0024】
付加的な、黄及び黄-緑ニトロベンゼン直接染料として、例えば:
− 1-β-ヒドロキシエチルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン、
− 1-メチルアミノ-2-ニトロ-5-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)オキシベンゼン、
− 1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メトキシ-4-ニトロベンゼン、
− 1-(β-アミノエチル)アミノ-2-ニトロ-5-メトキシベンゼン、
− 1,3-ジ(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-ニトロ-6-クロロベンゼン、
− 1-アミノ-2-ニトロ-6-メチルベンゼン、
− 1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ヒドロキシ-4-ニトロベンゼン、
− N-(β-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-4-トリフルオロメチルアニリン、
− 4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸、
− 4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸、
− 4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロクロロベンゼン、
− 4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロメチルベンゼン、
− 4-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)アミノ-3-ニトロトリフルオロメチルベンゼン、
− 1-(β-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、
− 1,3-ジアミノ-4-ニトロベンゼン、
− 1-ヒドロキシ-2-アミノ-5-ニトロベンゼン、
− 1-アミノ-2-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ-5-ニトロベンゼン、
− 1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、及び
− 4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンズアミド、
から選択される化合物を挙げることができる。
【0025】
付加的な、青又は紫色のニトロベンゼン直接染料としては、例えば:
− 1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、
− 1-(γ-ヒドロキシプロピル)アミノ-4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、
− 1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-(N-メチル-N-β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、
− 1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-(N-エチル-N-β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、
− 1-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)アミノ-4-(N-エチル-N-β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、
− 次の式(II):
【化5】

[上式中:
− Rは、C-Cアルキル基、又はβ-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシプロピル又はγ-ヒドロキシプロピル基を表し;
− R及びRは同一でも異なっていてもよく、β-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシプロピル、γ-ヒドロキシプロピル又はβ,γ-ジヒドロキシプロピル基を表し、R、R又はR基の少なくとも一はγ-ヒドロキシプロピル基を表し、Rがγ-ヒドロキシプロピル基である場合、R及びRは同時にはβ-ヒドロキシエチル基を示すことができない]
の2-ニトロ-パラ-フェニレンジアミン類、例えば仏国特許第2692572号に記載されているものから選択される化合物を挙げることができる。
【0026】
それらが存在する場合、付加的な直接染料(群)は、好ましくは組成物の全重量に対して約0.0005重量%〜12重量%を占め、さらにより好ましくはこの重量に対して約0.005重量%〜6重量%を占める。
酸化染色を意図している場合、本発明の化粧品用組成物は、蛍光化合物(群)に加えて、酸化染色に従来から使用されている酸化ベースから選択される、少なくとも一の酸化ベースを含有しており、酸化ベースとしては、特にパラ-フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ-アミノフェノール類、オルト-アミノフェノール類及び複素環ベース、及びそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩を挙げることができる。
【0027】
パラ-フェニレンジアミン類としては、例えばパラ-フェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4'-アミノフェニル-1-(3-ヒドロキシ)ピロリジン、及びそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩を特に挙げることができる。
【0028】
上述したパラ-フェニレンジアミン類の中でも、最も好ましいものは、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、及び2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、及びそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩である。
【0029】
ビス(フェニル)アルキレンジアミン類としては、例えばN,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン、及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、及びそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩を特に挙げることができる。
【0030】
パラ-アミノフェノール類としては、例えばパラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、及び4-アミノ-2-フルオロフェノール、及びそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩を特に挙げることができる。
オルト-アミノフェノール類としては、例えば2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、及び5-アセトアミド-2-アミノフェノール、及びそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩を挙げることができる。
複素環ベースとしては、特にピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体、及びそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩を挙げることができる。
酸化ベース(類)が存在する場合、それらは、組成物の全重量に対して約0.0005〜12重量%、より好ましくはこの重量に対して約0.005〜6重量%である。
【0031】
本発明の化粧品用組成物が酸化染色を意図している場合、それらは蛍光染料及び酸化ベースに加えて、蛍光染料及び酸化ベース(類)を使用して得られた色調を変化させ、又は光沢に富ませるために、少なくとも一のカップラーをさらに含有してよい。
本発明の化粧品用組成物に使用され得るカップラーは、酸化染色において従来から使用されているカップラーから選択することができ、このようなものとしては、特にメタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、及び複素環カップラー、及びそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩を挙げることができる。
【0032】
これらのカップラーは、特に2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、セサモール、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、及び6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンズイミダゾール、及びそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩から選択される。
カップラー(類)が存在する場合、それらは、組成物の全重量に対して、好ましくは0.0001重量%〜10重量%、さらに好ましくは0.005重量%〜5重量%である。
【0033】
一般的に、本発明の染色用組成物において使用され得る(酸化ベース及びカップラーとの)酸付加塩は、特に塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸、乳酸塩及び酢酸塩から選択される。
本発明の組成物に使用され得る(酸化ベース及びカップラーとの)アルカリ剤との付加塩は、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属、アンモニア、アルカノールアミン類を含む有機アミン類、及び式(I)の化合物との付加塩から選択される。
【0034】
また本発明の化粧品用組成物は、特にヒトのケラチン繊維を染色するための化粧品用組成物に従来から使用されている種々のアジュバント、例えばアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性の界面活性剤又はその混合物、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性のポリマー類又はその混合物、無機又は有機増粘剤、酸化防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、バッファー、分散剤、コンディショナー、例えば、カチオン、カチオン性ポリマー又は両性ポリマー、変性もしくは未変性で揮発性もしくは非揮発性のシリコーン類、皮膜形成剤、セラミド類、防腐剤、安定剤及び不透明化剤をさらに含有してもよい。
特に好ましく使用される増粘剤は、当業者によく知られている会合性ポリマーをベースにした、特に非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性の増粘系である。
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の組成物に固有の有利な特性が、考慮される添加により悪影響を受けないか、又は実質的に受けないように留意して、これ又はこれらの任意の付加的な化合物(類)を選択するであろう。
【0035】
本発明の化粧品用組成物は、種々の形態、例えば、液体、シャンプー、クリーム又はゲル、又は任意の他の適切な形態であり得る。
【0036】
本発明において特に好ましく、本発明の他の主題を構成する一形態は、化粧品的に許容可能な水性媒体に、上述した少なくとも一の蛍光染料、及び好ましくは非イオン性である少なくとも一の界面活性剤を含有せしめてなる、明色化及び染色シャンプーである。
これらのシャンプーにおいて、界面活性剤は、シャンプー用組成物の全重量に対して約4重量%〜30重量%、好ましくは約8重量%〜20重量%の範囲の割合で存在しており、特に好ましい非イオン性界面活性剤はアルキルポリグルコシド類から選択される。
【0037】
本発明の組成物において、場合によっては、一又は複数のカップラーの存在下、一又は複数の酸化ベースが使用される場合、又は明色化直接染色操作において蛍光染料(類)が使用される場合、本発明の組成物は、例えば過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩、過ホウ酸塩及び過硫酸塩等の過酸塩、二電子又は四電子オキシドレダクターゼ及びペルオキシダーゼ等の酵素から選択される少なくとも一の酸化剤をさらに含有してよい。過酸化水素又は酵素の使用が特に好ましい。
【0038】
本発明の他の主題は、酸化剤及び酸化染料の非存在下、上述した組成物を使用する毛髪の染色及び明色化方法にある。
また本発明の他の主題は、酸化染料は非存在であるが、酸化剤の存在下で、上述した組成物を使用する毛髪の染色方法にある。
【0039】
本発明のこれらの染色方法の第1の変形例では、上述した少なくとも一の組成物を、所望の着色及び明色化がなされるのに十分な時間、毛髪に適用し、ついで毛髪をすすぎ、場合によってはシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
本発明におけるこれらの染色方法の第2の変形例は、上述した少なくとも一の組成物を、最終的なすすぎをすることなく、所望の着色及び明色化がなされるのに十分な時間、毛髪に適用する。
本発明の染色方法の第3の変形例において、該染色方法は、一方では、染色に適した媒体に、少なくとも一の蛍光染料を含有せしめてなる組成物を、他方では、染色に適した媒体に、少なくとも一の酸化剤を含有せしめてなる組成物を別々に保管し、ついで、使用時にそれらを混合することからなる予備工程を含み、ついで、該混合物を所望する着色がなされるのに十分な時間毛髪に適用し、その後毛髪をすすぎ、場合によってはシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
【0040】
本発明の他の主題は、酸化染料の存在下、上述した組成物を使用する毛髪の酸化染色方法にある。
この染色方法において、該染色方法は、一方では、染色に適した媒体に、少なくとも一の蛍光染料を含有せしめてなる組成物を、他方では、染色に適した媒体に、少なくとも一の酸化剤を含有せしめてなる組成物を別々に保管し、ついで、使用時にそれらを混合することからなる予備工程を含み、ついで、該混合物を所望する着色がなされるのに十分な時間毛髪に適用し、その後毛髪をすすぎ、場合によってはシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
【0041】
本発明の他の主題は、少なくとも一の蛍光染料を含有する組成物を収容している少なくとも一の区画と、少なくとも一の酸化剤を含有する組成物を収容している少なくとも一の他の区画を具備する、毛髪を染色及び明色化するための多区画具にある。この多区画具は、毛髪に所望の混合物を塗布可能な手段を具備したもの、例えば本出願人名義の仏国特許第2586913号に記載されている多区画具であってよい。
【0042】
また本発明の主題は、6以下、好ましくは4以下のトーン高さを有する毛髪に、本発明の組成物を適用することからなる方法にある。
毛髪を着色し、また明色化効果を得るのに必要な時間は、約5〜60分、特に約5〜約40分である。
毛髪を着色し、また毛髪に明色化効果を得るのに必要な温度は、一般的に室温(15〜25℃)〜80℃、特に15〜40℃である。
【0043】
本発明の他の主題は、上述した本発明の組成物を皮膚に適用することからなる、CIEL L系において、その明度Lが45以下、好ましくは40以下である皮膚を明色化するための方法にある。
【実施例】
【0044】
次の実施例は本発明を例証することを意図したものであり、その範囲を限定するものではない。
実施例1ないし5
本発明の3つの直接染色用組成物を調製した(含有量はグラム):
【表1】

AM*は活性物質を示す
【0045】
オレンジではあるが非蛍光である染料を除き、上述した本発明の3つの組成物と同様の組成を有する本発明品ではない2つの比較組成物を調製した:
【表2】

AM*は活性物質を示す
2-ニトロ-4-ヒドロキシ-1-アミノベンゼン
◆◆ 次の式:
【化6】

を有し、チバ・ガイギー社(Ciba Geigy)から販売されているビブラカラーフレームオレンジ(Vibracolor flame orange)又はベイシックオレンジ31
【0046】
各組成物1〜5を、チェスナットブラウン色のナチュラルな毛髪の束1gに、それぞれ10gの割合で適用し、20分間放置して作用させた。ついで、毛髪の束を水ですすぎ、乾燥させた。
24時間後、毛髪の束を、L系にて、ミノルタ(Minolta)CM2002比色計を使用して読み取り、トーン高さを評価した。
結果を次の表(I)にまとめる。
【表3】

TH*はトーン高さを示す
これらの結果から、本発明の3つの組成物1〜3のみが、毛髪を明色化すると同時に着色させることがはっきりと分かる。
【0047】
さらに、未処理のチェスナットブラウンの毛髪と、上述した組成物1〜5それぞれで処理されたチェスナットブラウンの毛髪との間の反射率の差は、次の通りである:
【表4】

【0048】
以下の表(II)には、反射率曲線における結果を示す。
表(II)
【表5】

このグラフには、x軸には毛髪を照射する光の波長、y軸には染色されたチェスナットブラウンの毛髪と染色されていないチェスナットブラウンの毛髪(トーン高さ4)との反射率の差が示されている。
組成物1、2及び3(蛍光染料を含有)の反射率は、実質的全ての波長領域において正(>0%)であるのに対し、組成物4及び5(蛍光染料を含有しない)の反射率は常に負であり、よって、染色されていないチェスナットブラウンの毛髪の反射率の方が低いことを意味している。
【0049】
実施例6
以下の組成の明色化及び染色シャンプーを調製した:
(含有量は、活性物質AM*のグラムで表す)
【表6】

ついで、チェスナットブラウンの毛髪の束に、このシャンプーを適用する5通りの試験を、本発明で記載された選択試験を適用することによって実施した。
試験3及び4は、シャンプーを重ねて実施でき、尚も明色化及び染色結果を生じることを示すために実施された。
試験1:チェスナットブラウンの毛髪の束1グラムを、10グラムのシャンプーで、室温で20分間処理した。ついで、毛髪の束を水ですすぎ、乾燥させた。
試験2:チェスナットブラウンの毛髪の束1グラムを、0.4グラムのシャンプーで、室温で1分間処理した。ついで、毛髪の束を水ですすぎ、乾燥させた。
試験3:試験2の毛髪の束1グラムを、再度、0.4グラムのシャンプーで、室温で1分間処理した。ついで、毛髪の束を水ですすぎ、乾燥させた。
試験4:試験3の毛髪の束1グラムを、再度、0.4グラムのシャンプーで、室温で1分間処理した。ついで、毛髪の束を水ですすぎ、乾燥させた。
【0050】
毛髪の束は明色化され、以下の表(III)にまとめたL測定値により、実施例6の組成物は、本発明の選択基準を満たしていることが示された。
【表7】

★★未処理の毛髪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品的に許容可能な媒体中に、スペクトルの可視領域と、場合によっては紫外線領域の吸収した光を、スペクトルの可視領域のより長い波長の蛍光として再発光する、前記媒体に可溶性の少なくとも一の蛍光染料を、含有せしめることを特徴とする、ヒトのケラチン物質を染色するための明色化効果を有する化粧品用組成物。
【請求項2】
「ケラチン物質」なる用語が色黒の皮膚を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
「ケラチン物質」なる用語が人工的に染色された又は着色された毛髪を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
人工的に染色された又は着色された毛髪が6以下、好ましくは4以下のトーン高さを有することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ヒトのケラチン物質に適用した後、前記組成物により、500〜700nmで測定して、組成物で処理されていないケラチン物質の反射率よりも高い反射率が付与されるのに十分な量で、蛍光染料が存在していることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
毛髪に適用した後、前記組成物により、500〜700nmで測定して、組成物で処理されていない毛髪の反射率よりも少なくとも0.05%、好ましくは少なくとも0.1%高い反射率が付与されるのに十分な量で、蛍光染料が存在していることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
蛍光染料が、CIEL L系で測定して、6以上の変数bを有し、b/aの絶対値の比率が1.2を超える色調に毛髪及び皮膚を明色化させることを特徴とする、請求項2ないし6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
蛍光染料が、次の構造:
【化1】

を有する染料からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
蛍光染料が、組成物の全重量に対して0.01%〜20%の範囲の濃度で存在していることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
蛍光染料が、組成物の全重量に対して0.05%〜10%の範囲の濃度で存在していることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
蛍光染料が、組成物の全重量に対して0.1%〜5%の範囲の濃度で存在していることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
化粧品的に許容可能な媒体が、水、又は少なくとも一の有機溶媒と水との混合物からなることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
3〜12、好ましくは5〜11の範囲のpHを有していることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
非イオン性、カチオン性又はアニオン性の少なくとも一の付加的な直接染料をさらに含有していることを特徴とする、請求項3ないし13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
付加的な直接染料がニトロベンゼン染料から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
付加的な直接染料が、アゾ染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、又はベンゾキノン染料、インジゴイド染料、及びトリアリールメタン系の染料から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
付加的な直接染料が、組成物の全重量に対して0.0005重量%〜12重量%であることを特徴とする、請求項14ないし16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
付加的な直接染料が、組成物の全重量に対して0.005重量%〜6重量%であることを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
明色化及び染色シャンプーの形態であり、十分な量の少なくとも一の界面活性剤をさらに含有していることを特徴とする、請求項3ないし18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
界面活性剤が非イオン性であることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
酸化染色のためのものであり、パラ-フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ-アミノフェノール類、オルト-アミノフェノール類及び複素環ベース、又はそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩から選択される、少なくとも一の酸化ベースをさらに含有していることを特徴とする、請求項3ないし18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
酸化ベースが、組成物の全重量に対して0.0005重量%〜12重量%であることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
酸化ベースが、組成物の全重量に対して0.005重量%〜6重量%であることを特徴とする、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
メタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、及び複素環カップラー、又はそれらの酸又はアルカリ剤との付加塩から選択される少なくとも一のカップラーをさらに含有していることを特徴とする、請求項21ないし23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
カップラーが染色用組成物の全重量に対して0.0001重量%〜10重量%であることを特徴とする、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
カップラーが染色用組成物の全重量に対して0.005重量%〜5重量%であることを特徴とする、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも一の酸化剤を含有していることを特徴とする、請求項3ないし18及び20ないし26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩、過ホウ酸塩及び過硫酸塩等の過酸塩、二電子又は四電子オキシドレダクターゼ及びペルオキシダーゼ等の酵素から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
酸化剤が過酸化水素であることを特徴とする、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
請求項3ないし18のいずれか1項に記載の組成物を、所望の着色及び明色化がなされるのに十分な時間、毛髪に適用し、ついで毛髪をすすぎ、場合によってはシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させることを特徴とする、毛髪の染色及び明色化方法。
【請求項31】
請求項3ないし18のいずれか1項に記載の組成物を、最終的なすすぎをすることなく、所望の着色及び明色化がなされるのに十分な時間、毛髪に適用することを特徴とする、毛髪の染色及び明色化方法。
【請求項32】
酸化ベース及びカップラーの非存在下、請求項27ないし29のいずれか1項に記載の組成物を使用することからなる、毛髪の染色方法。
【請求項33】
一方では、染色に適した媒体に、請求項1及び8ないし11のいずれか1項に記載の少なくとも一の蛍光染料を含有せしめてなる組成物を、他方では、染色に適した媒体に、少なくとも一の酸化剤を含有せしめてなる組成物を別々に保管し、ついで、使用時にそれらを混合することからなる予備工程を含み、ついで、該混合物を所望する着色がなされるのに十分な時間毛髪に適用し、その後毛髪をすすぎ、場合によってはシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項21ないし29のいずれか1項に記載の組成物を使用することを特徴とする、毛髪の染色方法。
【請求項35】
一方では、染色に適した媒体に、請求項1及び8ないし11のいずれか1項に記載の少なくとも一の蛍光染料及び少なくとも一の酸化ベースを含有せしめてなる組成物を、他方では、染色に適した媒体に、少なくとも一の酸化剤を含有せしめてなる組成物を別々に保管し、ついで、使用時にそれらを混合することからなる予備工程を含み、ついで、該混合物を所望する着色がなされるのに十分な時間毛髪に適用し、その後毛髪をすすぎ、場合によってはシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
6以下、好ましくは4以下のトーン高さを有する毛髪に、組成物を適用することを特徴とする、請求項30ないし35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
請求項1及び8ないし11のいずれか1項に記載の少なくとも一の蛍光染料を含有する組成物を収容する少なくとも一の区画と、少なくとも一の酸化剤を含有する組成物を収容する少なくとも一の他の区画を具備する、毛髪を染色及び明色化するための多区画具。
【請求項38】
CIEL L系においてその明度Lが45以下、好ましくは40以下である皮膚を明色化するための方法において、請求項1、2、5及び7ないし13のいずれか1項に記載の組成物を皮膚に適用することを特徴とする方法。

【公開番号】特開2008−239628(P2008−239628A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−107345(P2008−107345)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【分割の表示】特願2003−532018(P2003−532018)の分割
【原出願日】平成14年9月24日(2002.9.24)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】